JP2018084794A - 再帰反射シート - Google Patents
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Abstract
【課題】虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる再帰反射シートを提供する。【解決手段】シート状の支持体部と、支持体部の一方の面に形成される複数の再帰反射素子22と、を備え、それぞれの再帰反射素子22は、一つの頂点を共有する3つの反射側面22a,22b,22cを有し、頂点24から延在する稜線26を互いに隣り合う反射側面22a,22b,22cで共有し、平面視において互いに隣り合う再帰反射素子22の間に形成される複数の谷線28x,28y,28zのうち少なくとも一部の谷線28x,28y,28zは互いに平行であり、平行な複数の谷線28x,28y,28zのピッチの標準偏差が3μm以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、再帰反射シートに関する。
再帰反射シートは、入射した光を光源側に反射させることができる性質を有する。再帰反射シートは、このような性質を有するため、夜間や暗所において光が照射されたときに印刷物等の対象物を見やすくする等の目的で利用される。再帰反射シートは、例えば、交通標識、案内標識、車両用ナンバープレート、広告看板、車線分離標、視線誘導標等に利用されている。
また、再帰反射シートは、プロジェクターやハーフミラーと組み合わせて3次元画像投射システムに用いられることもある。このような3次元画像投射システムでは、プロジェクターから投射された画像がハーフミラーに照射されそこで鏡面反射し、次いで再帰反射シートに照射されそこで再帰反射し、再度ハーフミラーに照射された画像がそこを透過して、3次元画像が表示される。
上記のような再帰反射シートとして、例えば下記特許文献1には、多数のキューブコーナー要素と、当該キューブコーナー要素を支持する本体層とを有する再帰反射シートが開示されている。この再帰反射シートでは、多数のキューブコーナー要素によって、入射した光を光源側に反射させることができる。
再帰反射シートでは、入射した光を光源側に反射させる再帰反射素子が小さくされることによって、シート厚を薄くしたり、上記のような3次元画像投射システムに用いられる場合には解像度を向上させたりすることができる。しかし、従来の再帰反射シートは、再帰反射素子が小さくされることによって、標識等に用いられる場合に照射された光が分光されて虹色の光を生じる場合がある。標識等において再帰反射シートが対象物に被覆して用いられる場合、上記のように虹色の光を生じると当該対象物の視認性を低下させる場合がある。また、従来の再帰反射シートでは、再帰反射素子が小さくされ過ぎると、3次元画像投射システムに用いられる場合に却って解像度が低下する場合がある。
そこで、本発明は、虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる再帰反射シートを提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明の再帰反射シートは、シート状の支持体部と、前記支持体部の一方の面に形成される複数の再帰反射素子と、を備え、それぞれの前記再帰反射素子は、一つの頂点を共有する3つの反射側面を有し、前記頂点から延在する稜線を互いに隣り合う前記反射側面で共有し、平面視において互いに隣り合う前記再帰反射素子の間に形成される複数の谷線のうち少なくとも一部の前記谷線は互いに平行であり、平行な複数の前記谷線のピッチの標準偏差が3μm以上であることを特徴とする。
上記のように虹色の光が生じたり、3次元画像投射システムに用いられる場合において解像度が低下したりする原因は、以下のように考えられる。すなわち、複数の再帰反射素子のそれぞれが回折格子のように機能し、それぞれの再帰反射素子で再帰反射される光が回折し、これらの回折光同士が干渉することによって生じる干渉縞が原因であると考えられる。そこで、本発明の再帰反射シートでは、上記のように互いに平行な複数の谷線のピッチの標準偏差が3μm以上であることによって、すなわち平行な複数の谷線のピッチがランダムであることによって、複数の再帰反射素子が形成される位置がランダムになる。このため、複数の再帰反射素子によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下をより抑制し易くなる。なお、本明細書において「平行」とは、2つ線や面の傾きの差が10分以下であることを意味する。
また、互いに平行な複数の前記谷線の組を複数組有し、互いに異なる前記組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、前記組毎の複数の谷線のピッチの標準偏差の和が3μm以上であることが好ましい。
このように、複数の方向において複数の谷線のピッチがランダムであることによって、複数の再帰反射素子が形成される位置をよりランダムにし易くなるので、複数の再帰反射素子によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置をよりランダムにし易くなる。したがって、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生をより抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下をより抑制し易くなる。
また、互いに平行な複数の前記谷線を有し、前記互いに平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差が3μm以上であることが好ましい。
上記のように平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差が3μm以上であることによって、すなわち平行な複数の谷線のシート厚方向における複数の谷線の位置がランダムにされることによって、複数の再帰反射素子の底面がシート厚方向においてランダムに傾く。このため、平面視における複数の再帰反射素子の面積の大きさをランダムにし易くなる。すなわち、平面視において互いに隣り合う再帰反射素子の間に形成される谷線または谷線の延長線で囲われる部位の面積を素子面積とするとき、この素子面積の大きさがランダムになるように複数の再帰反射素子が形成される。このように素子面積の大きさがランダムになるように複数の再帰反射素子が形成されることによって、それぞれの再帰反射素子で再帰反射されて生じるそれぞれの回折光の広がり方をランダムにすることができる。したがって、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制することができる。
また、互いに平行な複数の前記谷線の組を複数組有し、互いに異なる前記組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、前記組毎の複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差の和が3μm以上であることが好ましい。
このように、複数の方向に並列される谷線のシート厚方向における位置がランダムにされることによって、複数の再帰反射素子をシート厚方向においてランダムに傾け易くなり、複数の再帰反射素子の素子面積の大きさをランダムにすることがより容易になる。よって、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生をより抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下をより抑制し易くなる。
以上のように、本発明によれば、虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる再帰反射シートが提供される。
以下、本発明に係る再帰反射シートの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す再帰反射シートの斜視図である。図3は、図1に示すV1aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図4は、図1に示すV1bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、図1から図4および以下に示す他の図において、理解のし易さのため、各構成要素の大きさは誇張して示される場合がある。また、図1から図4および以下に示す他の図のそれぞれにおいて、見易さのため、同様の構成要素については一部にのみ参照符号が付され、一部参照符号が省略される場合がある。
図1は、第1実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図2は、図1に示す再帰反射シートの斜視図である。図3は、図1に示すV1aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図4は、図1に示すV1bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、図1から図4および以下に示す他の図において、理解のし易さのため、各構成要素の大きさは誇張して示される場合がある。また、図1から図4および以下に示す他の図のそれぞれにおいて、見易さのため、同様の構成要素については一部にのみ参照符号が付され、一部参照符号が省略される場合がある。
図1に示す再帰反射シート1は、シート状の支持体部20と支持体部20の一方の面に形成される複数の再帰反射素子22とを有する。再帰反射素子22は、入射した光を再帰反射させるのに適した反射面を有している限り、特に限定されるものではない。本実施形態の再帰反射シート1は、主に略三角錐状の再帰反射素子22を有する。
また、互いに隣り合う再帰反射素子22の間には、谷線28x,28y,28zが形成されている。谷線28x,28y,28zは、互いに隣り合う再帰反射素子22の間に形成される溝の最底部に沿う線である。さらに、平面視において谷線28x,28y,28zまたは谷線28x,28y,28zの延長線で囲われる部位の面積を素子面積とするとき、複数の再帰反射素子22は、所定の領域において素子面積の大きさがランダムになるように形成される。理解のし易さのため、図1では、谷線28x,28y,28zまたは谷線28x,28y,28zの延長線で囲われる部位のうち一つの部位にハッチが入れられている。
本実施形態のそれぞれの再帰反射素子22は、一つの頂点24を共有する3つの反射側面22a,22b,22cを有する。3つの反射側面22a,22b,22cは互いに垂直である。よって、1つの再帰反射素子22において、反射側面22aと反射側面22bとは互いに垂直であり、反射側面22bと反射側面22cとは互いに垂直であり、反射側面22cと反射側面22aとは互いに垂直である。また、再帰反射素子22の3つの反射側面22a,22b,22cが互いに垂直な関係であることから、互いに隣り合う再帰反射素子22は、それぞれ互いに平行な反射側面22a,22b,22cを有する。すなわち、互いに隣り合う再帰反射素子22のうち一方の再帰反射素子22の反射側面22aと他方の再帰反射素子22の反射側面22aとは互いに平行である。同様に、互いに隣り合う再帰反射素子22のうち一方の再帰反射素子22の反射側面22bと他方の再帰反射素子22の反射側面22bとは互いに平行であり、一方の再帰反射素子22の反射側面22cと他方の再帰反射素子22の反射側面22cとは互いに平行である。このように、3つの反射側面22a,22b,22cのそれぞれに平行に他の複数の反射側面22a,22b,22cが形成される。なお、頂点24は、厳密な点ではなく曲面や平面となっていても良い。また、互いに隣り合う反射側面22a,22b,22cは頂点24から延在する稜線26を共有しており、稜線26は3つ形成される。ただし、後述するように複数の谷線28x,28y,28zのピッチやシート厚方向における位置がランダムにされることによって、複数の再帰反射素子22のうち少なくとも一部の再帰反射素子22は、底面が傾いた錐体や、稜線26が折れ曲がる又は分岐することによって反射側面を4面以上有する錐体となる。
本実施形態の再帰反射シート1では、一つの再帰反射素子22を囲う複数の谷線28x,28y,28zのうち、それぞれの谷線28x,28y,28zに平行に他の複数の谷線28x,28y,28zが形成されている。上記所定の領域において、平行に形成されるこれらの複数の谷線28x,28y,28zの平面視におけるピッチがランダムになっている。本実施形態の再帰反射素子22は主に略三角錐状であることから、再帰反射素子22は3本の谷線28x,28y,28zによって囲われる。この3本の谷線28x,28y,28zが延在する方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とすると、上記所定の領域に形成される他の複数の谷線28x,28y,28zは、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれかと平行な方向に延在する。そして、本実施形態の再帰反射シート1では、X軸方向に平行な複数の谷線28xのピッチ、Y軸方向に平行な複数の谷線28yのピッチ、Z軸方向に平行な複数の谷線28zのピッチがそれぞれ平面視においてランダムである。
平行な複数の谷線28x,28y,28zのピッチがそれぞれ平面視においてランダムであるとは、より具体的には以下の通りである。
本実施形態の再帰反射シート1では、上記のように一つの再帰反射素子22を囲う複数の谷線28x,28y,28zのうち、互いに異なる方向に延在する谷線28x,28y,28zのそれぞれに平行な他の複数の谷線28x,28y,28zが形成される。つまり、本実施形態の再帰反射シート1は、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組と、Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組と、Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組の3組を有する。そして、これら3組に含まれる谷線28x、28y、28zは、互いに非平行である。そして、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組において、X軸方向に平行な複数の谷線28xの平面視におけるピッチの標準偏差をσixとする。Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yの平面視におけるピッチの標準偏差をσiyとする。Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yの平面視におけるピッチの標準偏差をσizとする。このとき、それぞれの組に含まれる谷線のピッチの標準偏差σix,σiy,σizの和σiが3μm以上である。すなわち、本実施形態の再帰反射シート1は、互いに平行な複数の谷線の組を複数組有し、互いに異なる組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、組毎の複数の谷線のピッチの標準偏差の和が3μm以上である。なお、上記標準偏差σix,σiy,σizの和σiは、6μm以上であることが好ましい。
本実施形態の再帰反射シート1では、上記のように一つの再帰反射素子22を囲う複数の谷線28x,28y,28zのうち、互いに異なる方向に延在する谷線28x,28y,28zのそれぞれに平行な他の複数の谷線28x,28y,28zが形成される。つまり、本実施形態の再帰反射シート1は、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組と、Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組と、Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組の3組を有する。そして、これら3組に含まれる谷線28x、28y、28zは、互いに非平行である。そして、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組において、X軸方向に平行な複数の谷線28xの平面視におけるピッチの標準偏差をσixとする。Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yの平面視におけるピッチの標準偏差をσiyとする。Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yの平面視におけるピッチの標準偏差をσizとする。このとき、それぞれの組に含まれる谷線のピッチの標準偏差σix,σiy,σizの和σiが3μm以上である。すなわち、本実施形態の再帰反射シート1は、互いに平行な複数の谷線の組を複数組有し、互いに異なる組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、組毎の複数の谷線のピッチの標準偏差の和が3μm以上である。なお、上記標準偏差σix,σiy,σizの和σiは、6μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態の再帰反射シート1では、上記所定の領域において、平行に形成される複数の谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置がランダムである。すなわち、本実施形態の再帰反射シート1では、X軸方向に平行な複数の溝の深さ、Y軸方向に平行な複数の溝の深さ、及びZ軸方向に平行な複数の溝の深さがそれぞれランダムである。
平行に形成される複数の谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置がランダムであるとは、より具体的には以下の通りである。
本実施形態の再帰反射シート1では、上記のように一つの再帰反射素子22を囲う複数の谷線28x,28y,28zのうち、互いに異なる方向に延在する谷線28x,28y,28zのそれぞれに平行な他の複数の谷線28x,28y,28zが形成される。つまり、本実施形態の再帰反射シート1は、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組と、Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組と、Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組の3組を有する。そして、これら3組に含まれる谷線28x、28y、28zは、互いに非平行である。そして、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組において、X軸方向に平行な複数の谷線28xのシート厚方向における位置の標準偏差をσpxとする。Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yのシート厚方向における位置の標準偏差をσpyとする。Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組において、Z軸方向に平行な複数の谷線28zのシート厚方向における位置の標準偏差をσpzとする。このとき、これらの標準偏差σpx,σpy,σpzの和σpが3μm以上である。すなわち、本実施形態の再帰反射シート1は、互いに平行な複数の谷線の組を複数組有し、互いに異なる組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、組毎の複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差の和が3μm以上である。なお、上記標準偏差σpx,σpy,σpzの和σpは、6μm以上であることが好ましい。谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置の標準偏差は、次のようにして求められる。平行な複数の谷線と垂直な平面上において当該平行な複数の谷線の座標を測定し、これらの座標から最小二乗法で求められる近似直線を基準線とし、当該基準線と谷線の座標との距離の標準偏差を、谷線のシート厚方向における位置の標準偏差とする。
本実施形態の再帰反射シート1では、上記のように一つの再帰反射素子22を囲う複数の谷線28x,28y,28zのうち、互いに異なる方向に延在する谷線28x,28y,28zのそれぞれに平行な他の複数の谷線28x,28y,28zが形成される。つまり、本実施形態の再帰反射シート1は、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組と、Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組と、Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組の3組を有する。そして、これら3組に含まれる谷線28x、28y、28zは、互いに非平行である。そして、X軸方向に平行な複数の谷線28xを有する組において、X軸方向に平行な複数の谷線28xのシート厚方向における位置の標準偏差をσpxとする。Y軸方向に平行な複数の谷線28yを有する組において、Y軸方向に平行な複数の谷線28yのシート厚方向における位置の標準偏差をσpyとする。Z軸方向に平行な複数の谷線28zを有する組において、Z軸方向に平行な複数の谷線28zのシート厚方向における位置の標準偏差をσpzとする。このとき、これらの標準偏差σpx,σpy,σpzの和σpが3μm以上である。すなわち、本実施形態の再帰反射シート1は、互いに平行な複数の谷線の組を複数組有し、互いに異なる組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、組毎の複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差の和が3μm以上である。なお、上記標準偏差σpx,σpy,σpzの和σpは、6μm以上であることが好ましい。谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置の標準偏差は、次のようにして求められる。平行な複数の谷線と垂直な平面上において当該平行な複数の谷線の座標を測定し、これらの座標から最小二乗法で求められる近似直線を基準線とし、当該基準線と谷線の座標との距離の標準偏差を、谷線のシート厚方向における位置の標準偏差とする。
また、本実施形態の再帰反射シート1では、互いに隣り合う再帰反射素子22がそれぞれ互いに平行な反射側面22a,22b,22cを有する。よって、3つの反射側面22a,22b,22cのそれぞれに平行に他の複数の反射側面22a,22b,22cが形成される。本実施形態の再帰反射シート1では、このように互いに平行に形成される複数の反射側面22a,22b,22cのピッチがランダムである。すなわち、平行に形成される複数の反射側面22aのピッチの標準偏差をσda、平行に形成される複数の反射側面22bのピッチの標準偏差をσdb、平行に形成される複数の反射側面22cのピッチの標準偏差をσdcとするとき、これらの標準偏差σda,σdb,σdcの和σdが3μm以上であり、6μm以上であることが好ましい。なお、図3には、互いに平行に形成される反射側面22cのピッチdcが示されている。
また、本実施形態の再帰反射シート1では、複数の谷線28x,28y,28zのうちいずれかを切断するシート厚方向断面において、当該断面で切断される互いに平行な複数の谷線のピッチがランダムである。例えば、複数の谷線28xを切断する再帰反射シート1のシート厚方向断面において、平行な複数の谷線28xのピッチがランダムである。すなわち、複数の谷線28xを切断する再帰反射シート1の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線28xのピッチの標準偏差をσlx、複数の谷線28yを切断する再帰反射シート1の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線28yのピッチの標準偏差をσly、複数の谷線28zを切断する再帰反射シート1の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線28zのピッチの標準偏差をσlzとするとき、これらの標準偏差σlx,σly,σlzの和σlが3μm以上であり、6μm以上であることが好ましい。なお、図3は谷線28xに垂直である再帰反射シート1の厚さ方向断面に相当し、平行な複数の谷線28xのピッチlxが示されている。
以上説明した再帰反射シート1は、再帰反射素子22に入射する光を光源側に反射させることができる性質を有する。再帰反射シート1に優れた再帰反射性を備えさせる観点から、支持体部20及び再帰反射素子22は、透明な樹脂からなることが好ましい。支持体部20及び再帰反射素子22を構成する材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いられてもよく、混合して用いられてもよい。また、支持体部20及び再帰反射素子22の透明性や耐候性等を高める観点からは支持体部20及び再帰反射素子22は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等からなることが好ましい。なお、支持体部20及び再帰反射素子22には、透明性を著しく損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、架橋剤、酸化防止剤、防カビ剤、着色剤等の様々な添加剤を適宜添加することができる。
複数の再帰反射素子22によって光が再帰反射されるとき、複数の再帰反射素子22のそれぞれが回折格子のように機能し、それぞれの再帰反射素子22で再帰反射される光が回折する場合がある。この現象は、再帰反射素子22の素子面積が小さくなると顕著になる。しかし、再帰反射シート1では、上記のように互いに平行な複数の谷線28x,28y,28zのピッチがランダムであることによって、複数の再帰反射素子22が形成される位置がランダムになるので、複数の再帰反射素子22によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
また、上記のように、所定の領域において、平行に形成される複数の谷線28x,28y,28zのピッチがランダムであることによって、複数の再帰反射素子22が形成される位置がランダムになる。このため、複数の再帰反射素子22によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下をより抑制し易くなる。
また、上記のようにシート厚方向における複数の谷線28x,28y,28zの位置がランダムにされることによって、複数の再帰反射素子22の底面がシート厚方向においてランダムに傾く。このため、平面視における複数の再帰反射素子22の面積の大きさをランダムにし易くなる。すなわち、平面視において互いに隣り合う再帰反射素子22の間に形成される谷線28x,28y,28zまたは谷線28x,28y,28zの延長線で囲われる部位の面積を素子面積とするとき、この素子面積の大きさがランダムになるように複数の再帰反射素子22が形成される。このように素子面積の大きさがランダムになるように複数の再帰反射素子22が形成されることによって、それぞれの再帰反射素子22で再帰反射されて生じるそれぞれの回折光の広がり方をランダムにすることができる。したがって、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
また、上記のように、互いに隣り合う再帰反射素子22が有する互いに平行な反射側面22a,22b,22cのピッチがランダムとされることによって、各再帰反射素子22で再帰反射される光の光路差をランダムに変化させることができる。その結果、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
また、本実施形態の再帰反射シート1では、上記のように厚さ方向断面において互いに平行な複数の谷線28x,28y,28zのピッチがランダムにされることによって、各再帰反射素子22で再帰反射される光の光路差をランダムに変化させることができる。その結果、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
上記のように、再帰反射シート1によれば、再帰反射素子22が小さくされても、回折光による虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。再帰反射素子22を小さくできることによって、再帰反射シート1を薄くすることや、再帰反射シート1が用いられる3次元画像投射システムの解像度を向上させることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図5は、第2実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図6は、図5に示す再帰反射シートの斜視図である。図7は、図5に示すV2aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図8は、図5に示すV2bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図5は、第2実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図6は、図5に示す再帰反射シートの斜視図である。図7は、図5に示すV2aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図8は、図5に示すV2bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の再帰反射シート2は、平行に形成される複数の谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置が同じである点において、上記第1実施形態と異なる。すなわち、互いに隣り合う再帰反射素子22の間に形成される溝の深さはいずれも同じである。ただし、再帰反射シート2では、上記第1実施形態と同様に、平面視において、平行に形成される複数の谷線28x,28y,28zのピッチはランダムである。すなわち、上記標準偏差σix,σiy,σizの和σiは、3μm以上であり、6μm以上であることが好ましい。
このような再帰反射シートであっても、再帰反射シート1と同様に、複数の再帰反射素子22が形成される位置をランダムにすることができ、複数の再帰反射素子22によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置をランダムにすることができる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図9は、第3実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図10は、図9に示す再帰反射シートの斜視図である。図11は、図10に示すV3aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図12は、図10に示すV3bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
次に、本発明の第3実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図9は、第3実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図10は、図9に示す再帰反射シートの斜視図である。図11は、図10に示すV3aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図12は、図10に示すV3bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の再帰反射シート3では、X軸方向に平行な複数の谷線28xの平面視におけるピッチがランダムである。Y軸及びZ軸方向に平行な複数の谷線28y,28zの平面視におけるピッチは一定である。より具体的には、上記標準偏差σixは、3μm以上であり、6μm以上であることが好ましく、上記標準偏差σiy,σizは、それぞれ0.2μm以下である。また、複数の谷線28x,28y,28zのシート厚方向における位置は同じである。より具体的には、上記標準偏差σpx,σpy,σpzは、それぞれ0.1μm以下である。
このような再帰反射シート3であっても、複数の再帰反射素子22が形成される位置をランダムにすることができるので、複数の再帰反射素子22によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができるので、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図13は、第4実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す再帰反射シートの斜視図である。図15は、図13に示すV4aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図16は、図13に示すV4bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
次に、本発明の第4実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図13は、第4実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図14は、図13に示す再帰反射シートの斜視図である。図15は、図13に示すV4aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図16は、図13に示すV4bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の再帰反射シート4では、再帰反射素子122の形状が立方体または直方体とされる。再帰反射素子122は、一つの頂点24を共有する四角形状の3つの反射側面122a,122b,122cを有する。3つの反射側面122a,122b,122cが互いに直交してフルキューブコーナー形状が構成される。
また、互いに隣り合う再帰反射素子122の間には谷線128x,128y,128zが形成されている。さらに、平面視において谷線128x,128y,128zで囲われる部位の面積を素子面積とするとき、複数の再帰反射素子122は、上記所定の領域において素子面積の大きさがランダムになるように形成される。理解のし易さのため、図13では、谷線128x,128y,128zで囲われる部位のうち一つの部位にハッチが入れられている。
本実施形態の再帰反射シート4では、一つの再帰反射素子122を囲う複数の谷線128x,128y,128zのうちそれぞれの谷線128x,128y,128zに平行に他の複数の谷線128x,128y,128zが形成されている。また、上記所定の領域において、平行に形成されるこれらの複数の谷線128x,128y,128zの平面視におけるピッチがランダムになっている。本実施形態の再帰反射素子122は立方体または直方体であることから、立方体または直方体の一つの角に相当する頂点24から見る場合に、再帰反射素子122は6本の谷線128x,128y,128zによって囲われる。ただし、6本の谷線128x,128y,128zは2本ずつが互いに平行になっている。これらの6本の谷線128x,128y,128zが延在する方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とすると、上記所定の領域に形成される他の複数の谷線128x,128y,128zは、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれかと平行な方向に延在する。そして、本実施形態の再帰反射シート4では、X軸方向に平行な複数の谷線128xのピッチ、Y軸方向に平行な複数の谷線128yのピッチ、Z軸方向に平行な複数の谷線128zのピッチがそれぞれ平面視においてランダムである。すなわち、上記第1実施形態と同様に、X軸方向に平行な複数の谷線128xの平面視におけるピッチの標準偏差をσix、Y軸方向に平行な複数の谷線128yの平面視におけるピッチの標準偏差をσiy、Z軸方向に平行な複数の谷線128zの平面視におけるピッチの標準偏差をσizとするとき、これらの標準偏差σix,σiy,σizの和σiは、3μm以上とされ、6μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態の再帰反射シート4では、上記所定の領域において、平行に形成される谷線128x,128y,128zのシート厚方向における位置がランダムである。すなわち、上記第1実施形態と同様に、X軸方向に平行な複数の谷線128xのシート厚方向における位置の標準偏差をσpx、Y軸方向に平行な複数の谷線128yのシート厚方向における位置の標準偏差をσpy、Z軸方向に平行な複数の谷線128zのシート厚方向における位置の標準偏差をσpzとするとき、これらの標準偏差σpx,σpy,σpzの和σpは、3μm以上とされ、6μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態の再帰反射シート6では、互いに隣り合う再帰反射素子122がそれぞれ互いに平行な反射側面122a,122b,122cを有する。よって、3つの反射側面122a,122b,122cのそれぞれに平行に他の複数の反射側面122a,122b,122cが形成される。本実施形態の再帰反射シート6では、このように互いに平行に形成される複数の反射側面122a,122b,122cのピッチがランダムである。すなわち、平行に形成される複数の反射側面122aのピッチの標準偏差をσda、平行に形成される複数の反射側面122bのピッチの標準偏差をσdb、平行に形成される複数の反射側面122cのピッチの標準偏差をσdcとするとき、これらの標準偏差σda,σdb,σdcの和σdが3μm以上とされ、6μm以上であることが好ましい。
また、本実施形態の再帰反射シート6では、複数の谷線128x,128y,128zのうちいずれかを切断する厚さ方向断面において、当該断面で切断される互いに平行な複数の谷線128x,128y,128zのピッチがランダムである。例えば、谷線128xを切断する再帰反射シート6の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線128xのピッチがランダムである。すなわち、複数の谷線128xを切断する再帰反射シート6の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線128xのピッチの標準偏差をσlx、複数の谷線128yを切断する再帰反射シート6の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線128yのピッチの標準偏差をσly、複数の谷線128zを切断する再帰反射シート6の厚さ方向断面において、平行な複数の谷線128zのピッチの標準偏差をσlzとするとき、これらの標準偏差σlx,σly,σlzの和σlは3μm以上とされ、6μm以上であることが好ましい。
再帰反射シート4では、上記のように互いに平行な複数の谷線128x,128y,128zのピッチがランダムであることによって、複数の再帰反射素子122が形成される位置がランダムになるので、複数の再帰反射素子122によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
また、上記のようにシート厚方向における複数の谷線128x,128y,128zの位置がランダムにされることによって、複数の再帰反射素子122がシート厚方向においてランダムに傾く。このため、複数の再帰反射素子122の素子面積の大きさをランダムにし易くなる。よって、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
また、上記のように互いに隣り合う再帰反射素子122が有する互いに平行な反射側面122a,122b,122cのピッチがランダムにされることによって、各再帰反射素子122で再帰反射される光の光路差をランダムに変化させることができる。その結果、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
また、本実施形態の再帰反射シート6では、厚さ方向断面において互いに平行な複数の谷線128x,128y,128zのピッチがランダムにされることによって、各再帰反射素子122で再帰反射される光の光路差をランダムに変化させることができる。その結果、干渉縞の発生を抑制し易くなり、上記のような虹色の光の発生や解像度の低下を抑制し易くなる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図17は、第5実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図18は、図17に示す再帰反射シートの斜視図である。図19は、図17に示すV5aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図20は、図17に示すV5bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第4実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
次に、本発明の第5実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図17は、第5実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図18は、図17に示す再帰反射シートの斜視図である。図19は、図17に示すV5aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図20は、図17に示すV5bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第4実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の再帰反射シート5は、平行に形成される複数の谷線128x,128y,128zのシート厚方向における位置が同じである点において、上記第4実施形態と異なる。ただし、再帰反射シート5では、上記第4実施形態と同様に、平面視において、平行に形成される複数の谷線128x,128y,128zのピッチはランダムである。すなわち、上記標準偏差σix,σiy,σizの和σiは、3μm以上であり、6μm以上であることが好ましい。
このような再帰反射シート5であっても、上記再帰反射シート4と同様に、複数の再帰反射素子122が形成される位置をランダムにすることができ、複数の再帰反射素子122によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置をランダムにすることができる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができ、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図21は、第6実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図22は、図21に示す再帰反射シートの斜視図である。図23は、図21に示すV6aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図24は、図21に示すV6bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第5実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
次に、本発明の第6実施形態に係る再帰反射シートについて説明する。図21は、第6実施形態に係る再帰反射シートの一部を概略的に示す平面図である。図22は、図21に示す再帰反射シートの斜視図である。図23は、図21に示すV6aの方向から見る再帰反射シートの側面図である。図24は、図21に示すV6bの方向から見る再帰反射シートの側面図である。なお、第1から第5実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態の再帰反射シート6では、X軸方向に平行な複数の谷線128xの平面視におけるピッチがランダムである。Y軸及びZ軸方向に平行な複数の谷線128y,128zの平面視におけるピッチは一定である。より具体的には、上記標準偏差σixは、3μm以上であり、6μm以上であることが好ましく、上記標準偏差σiy,σizは、それぞれ0.2μm以下である。また、複数の谷線128x,128y,128zのシート厚方向における位置は同じである。より具体的には、上記標準偏差σpx,σpy,σpzは、それぞれ0.1μm以下である。
このような再帰反射シート6であっても、複数の再帰反射素子122が形成される位置をランダムにすることができるので、複数の再帰反射素子122によって再帰反射されて生じる回折光の発生位置がランダムになる。したがって、干渉縞の発生を抑制することができるので、上記のような虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる。
以上、本発明について好適な実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、再帰反射シートが支持体部と再帰反射素子とを有する一層で構成される例をあげて説明したが、本発明の再帰反射シートはさらに他の層を備えていてもよい。他の層としては、例えば、再帰反射シートの表面を保護する層、再帰反射素子との間に空気層を形成するための層、再帰反射シートを他の部材に貼り付けるための層等があげられる。
また、上記実施形態では、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の全て、または、X軸方向にのみに平行な複数の谷線のピッチがランダムである例をあげて説明した。しかし、これらの形態に限定されず、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくともいずれか一つの方向に平行に形成される複数の谷線のピッチがランダムであることが好ましい。
また、上記実施形態では、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の全て、または、X軸方向にのみに平行な複数の谷線のシート厚方向における位置がランダムである例をあげて説明した。しかし、これらの形態に限定されず、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の少なくともいずれか一つの方向に平行に形成される複数の谷線のシート厚方向における位置がランダムであることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
以下に説明する条件を満たす実施例及び比較例に係る再帰反射シートを作製し、それぞれの再帰反射シートにLED(Light Emitting Diode)照明の光を照射して再帰反射された光による干渉縞の有無を評価した。その結果を以下の基準で評価して表1から表3に示す。
○:干渉縞が発生しない。
△:明確な干渉縞は発生しない。
×:明確な干渉縞が発生する。
○:干渉縞が発生しない。
△:明確な干渉縞は発生しない。
×:明確な干渉縞が発生する。
下記表1から表3に示す全ての実施例及び比較例に係る再帰反射シートは、シート状の支持体部と当該支持体部の一方の面に形成される複数の略三角錐状の再帰反射素子を備える。また、それぞれの再帰反射素子は、最大厚さが100μmであり、光学軸が支持体部の他方の面に対して垂直となるように形成されている。以下、支持体部の他方の面を再帰反射シートの表面という場合がある。また、谷線のピッチの平均値を212.1μmとした。
表1において、変化範囲は、X軸方向に平行な複数の谷線のピッチの最大値と最小値との差を示している。σixはX軸方向に平行な複数の谷線の平面視におけるピッチの標準偏差であり、σiyはY軸方向に平行な複数の谷線の平面視におけるピッチの標準偏差であり、σizはZ軸方向に平行な複数の谷線の平面視におけるピッチの標準偏差であり、σiはσixとσiyとσizとの和である。比較例1に係る再帰反射シートでは、変化範囲は0μmであり、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれに平行な谷線の平面視におけるピッチが一定である。また、実施例1から実施例5に係る再帰反射シートは、変化範囲及び標準偏差σixが表1に示す通りになるように設計されている。なお、測定結果のばらつきを考慮して、比較例1及び実施例1から実施例5において、谷線のピッチを一定とする場合であっても標準偏差を0.2としている。また、比較例1及び実施例1から実施例5に係る再帰反射シートでは、平行な複数の谷線のシート厚方向における位置は一定である。
表1に示すように、比較例1に対して、谷線のピッチをランダムにした実施例1から実施例5では、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生が抑制された。
表2において、変化範囲は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれに平行な谷線のピッチの最大値と最小値との差を示している。σix、σiy、σiz、σiは表1と同様である。表2に示す実施例6から実施例10に係る再帰反射シートは、変化範囲及び標準偏差σix、σiy、σizが表2に示す通りになるように設計されている。
表2に示すように、比較例1に対して、谷線のピッチをランダムにした実施例6から実施例10では、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生が抑制された。
表3において、変化範囲は、複数の谷線のうち再帰反射シートの表面に最も近い位置に形成される谷線と再帰反射シートの表面から最も遠い位置に形成される谷線との再帰反射シートの表面からの距離の差である。σpxはX軸方向に平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差であり、σpyはY軸方向に平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差であり、σpzはZ軸方向に平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差であり、σpはσpxとσpyとσpzとの和である。比較例2に係る再帰反射シートでは、平行な複数の谷線のシート厚方向における位置は一定である。また、実施例11から実施例13に係る再帰反射シートは、X軸方向に平行な谷線のシート厚方向における位置がランダムである。すなわち、X軸方向に平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の変化範囲及び標準偏差σpxが表3に示す通りになるように設計されている。なお、測定結果のばらつきを考慮して、比較例2及び実施例11から実施例13において、谷線のシート厚方向における位置を一定とする場合であっても標準偏差を0.1としている。また、実施例14から実施例16に係る再帰反射シートは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれに平行な複数の谷線のシート厚方向における位置がランダムである。すなわち、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の変化範囲及び標準偏差σpx、σpy、σpzが表3に示す通りになるように設計されている。なお、比較例2及び実施例11から実施例16に係る再帰反射シートでは、平行な複数の谷線の平面視におけるピッチは一定である。
表3に示すように、比較例2に対して、シート厚方向における谷線の位置がランダムである実施例11から実施例16では、回折光同士が干渉し難くなり、干渉縞の発生が抑制された。
以上のように、実施例に係る再帰反射シートでは、回折光同士の干渉が抑制され、干渉縞の発生が抑制された。なお、上記実施例ではLED照明の光を照射して再帰反射された光による干渉縞の有無を評価した。よって、上記実施例に係る再帰反射シートは、LEDバックライト、有機ELディスプレイの光源、プロジェクター用LED光源等からの光に対して好適であると考えられる。ただし、上記実施例に係る再帰反射シートは、太陽光、ハロゲンランプや蛍光灯等のLED照明以外の光源からの光に対しても同様に干渉縞の発生を抑制し得ると考えられる。
以上説明したように、本発明によれば虹色の光の発生や3次元画像投射システムに用いられる場合における解像度の低下を抑制することができる再帰反射シートが提供され、標識や3次元画像投射システムの分野においての利用することができる。
1,2,3,4,5,6・・・再帰反射シート
20・・・支持体部
22,122・・・再帰反射素子
22a,22b,22c,122a,122b,122c・・・反射側面
24・・・頂点
26・・・稜線
28x,28y,28z,128x,128y,128z・・・谷線
20・・・支持体部
22,122・・・再帰反射素子
22a,22b,22c,122a,122b,122c・・・反射側面
24・・・頂点
26・・・稜線
28x,28y,28z,128x,128y,128z・・・谷線
Claims (4)
- シート状の支持体部と、
前記支持体部の一方の面に形成される複数の再帰反射素子と、
を備え、
それぞれの前記再帰反射素子は、一つの頂点を共有する3つの反射側面を有し、前記頂点から延在する稜線を互いに隣り合う前記反射側面で共有し、
平面視において互いに隣り合う前記再帰反射素子の間に形成される複数の谷線のうち少なくとも一部の前記谷線は互いに平行であり、
平行な複数の前記谷線のピッチの標準偏差が3μm以上である
ことを特徴とする再帰反射シート。 - 互いに平行な複数の前記谷線の組を複数組有し、
互いに異なる前記組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、
前記組毎の複数の谷線のピッチの標準偏差の和が3μm以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の再帰反射シート。 - 互いに平行な複数の前記谷線を有し、
前記互いに平行な複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差が3μm以上である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の再帰反射シート。 - 互いに平行な複数の前記谷線の組を複数組有し、
互いに異なる前記組に含まれる谷線同士は互いに非平行であり、
前記組毎の複数の谷線のシート厚方向における位置の標準偏差の和が3μm以上である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の再帰反射シート。
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