JP2018084563A - 電力システム - Google Patents

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Abstract

【課題】単相3線式のR相またはT相と、N相とにのみ接続される電力供給設備であっても、変流器の設置適正判断および受電電力導出を実現する。【解決手段】電力システム100は、電力系統からの引き込み線である単相3線式のうちR相またはT相のいずれか一方と、N相とに接続された電力供給設備116と、R相またはT相の一方、および、N相それぞれに流れる電流値を計測する第1電流計118aおよび第2電流計118bと、第1電流計および第2電流計それぞれで計測された電流値を取得する計測値取得部と、第1電流計および第2電流計それぞれの設置適正を判断する適正判断部と、第1電流計および第2電流計に基づいてR相またはT相の他方の電流値を推定して推定電流値とする電流値推定部と、受電電力を導出する電力導出部と、を備える。【選択図】図11

Description

本発明は、構内に電力供給設備が設けられた電力システムに関する。
低圧受電の需要者は、電力会社からの電気(商用電力)の供給を受けて構内の負荷設備(一般用電気工作物)で電気を使用する。また、太陽光発電設備等、電力供給設備を構内に設け、負荷設備を動作させるとともに(例えば、特許文献1)、電力供給設備で生成した電力のうち余った電力を電力会社に売電することも可能である。
特開2013−247737号公報
太陽光発電設備や燃料電池といった単相3線式100/200Vにおける単相3線式200V(R相とT相)に接続される電力供給設備では、電圧線であるR相とT相とにそれぞれ電流計(変流器)を取り付け、各電流計で検出される電流値と、電力供給設備で検出されるR相およびT相の電圧値と、電流、電圧の位相に基づく力率値とから受電電力を算出している。また、電力供給設備では、受電電力を適切に導出すべく、R相およびT相に接続された内部負荷それぞれの変動に伴う電流計の電流値変化に基づいて、電流計の潮流方向、相位置、健全性(信号線の断線等)といった電流計の設置に関する適正(以後、単に「設置適正」という。)を判断しているものもある。
また、今後は、省エネルギー機器が普及し、構内の電力需要が減少すると、必ずしも単相3線式200Vへの接続を要さず、例えば、単相3線式100/200Vの片方に相当する単相3線式100V(R相とN相、または、T相とN相)のみに接続される小出力の電力供給設備を設置することが考えられる。
しかし、かかる小出力の電力供給設備は、R相またはT相のいずれか一方とN相に接続されるため、R相とT相とに取り付けた2つの電流計のうち一方について設置適正を判断できなくなる。また、設置適正を判断できない電流計をN相に付け替えれば、その電流計についても設置適正を判断できるようになるが、既存の手順では受電電力を直接導出できなくなる問題が残る。
本発明は、このような課題に鑑み、単相3線式のR相またはT相と、N相とにのみ接続される電力供給設備であっても、電流計の設置適正の判断および受電電力の導出が可能な電力システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の電力システムは、電力系統からの引き込み線である単相3線式のうちR相またはT相のいずれか一方と、N相とに接続された電力供給設備と、R相またはT相の一方、および、N相それぞれに流れる電流値を計測する第1電流計および第2電流計と、第1電流計および第2電流計それぞれで計測された電流値を取得する計測値取得部と、第1電流計および第2電流計それぞれの設置適正を判断する適正判断部と、第1電流計および第2電流計に基づいてR相またはT相の他方の電流値を推定して推定電流値とする電流値推定部と、R相またはT相の一方に係る相間電圧値と電圧線の電流値とその力率とを乗じた値と、想定値と推定電流値と想定力率とを乗じた値とを加算し受電電力を導出する電力導出部と、を備える。
電力導出部は、推定電流値の方向に応じて、相間電圧値として取り得る規定最小電圧値および規定最大電圧値のいずれかを想定値としてもよい。
電力系統に接続され、R相またはT相の他方に係る相間電圧値を計測可能な電力メータを備え、電力導出部は、電力メータが計測した相間電圧値を想定値としてもよい。
電力導出部は、電力メータが計測した相間電圧値を統計的に処理し、推定電流値の方向に応じて、統計的に導き出した実測最小電圧値および実測最大電圧値のいずれかを想定値としてもよい。
本発明によれば、単相3線式のR相またはT相と、N相とにのみ接続される電力供給設備であっても、電流計の設置適正の判断および受電電力の導出が可能となる。
電力システムの接続関係を示した説明図である。 電力供給設備と分岐配線との具体的な接続態様を説明するためのブロック図である。 電流計の設置適正判断の課題を説明するための説明図である。 電流計の設置方法の流れを示したフローチャートである。 電圧線接続点と電流計接続点との対応付けを説明するための説明図である。 電流計の適正判断の流れを示したフローチャートである。 電圧線接続点と電流計接続点との対応付けを説明するための説明図である。 負荷の大きさによる潮流方向と電流値を説明するための説明図である。 電流計の適正判断の流れを示したフローチャートである。 適正判断を実行するための構成を示した説明図である。 電力供給設備の他の課題を説明するための説明図である。 電力システムの接続関係を示した説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(電力システム100)
図1は、電力システム100の接続関係を示した説明図である。図1では電力の移動を実線で、情報を含む信号を破線の矢印で示している。電力システム100は、引き込み線10を通じて、電力系統12から電気(商用電力)の供給を受ける。かかる電力システム100は、需要者単位で構成され、その範囲としては、一般用電気工作物(低圧受電の需要者)であれば、家屋等に限らず、病院、工場、ホテル、レジャー施設、商業施設、マンションといった建物単位や建物内の一部分であってもよい。
また、電力システム100は、電力メータ112と、分電盤114と、電力供給設備116と、電流計118とを含んで構成される。
電力メータ(電力量計)112は、電力系統12に引き込み線10を介して接続され、引き込み線10と電力システム100との間に流れる(消費および売電の)電流値を計測する。
分電盤114は、電力メータ112に接続され、契約容量を示すサービス遮断器(サービスブレーカ)114a、漏電の検出に応じて電気の供給を遮断する漏電遮断器(漏電ブレーカ)114b、および、複数の分岐配線120それぞれに設けられ許容電流値(例えば20A)を超過すると電気の供給を遮断する配線用遮断器(安全ブレーカ)114cを有する。また、分岐配線120には負荷設備14が接続され、負荷設備14は、分岐配線120を通じて電力系統12から電力の供給を受けることができる。
なお、ここでは、分電盤114の構成としてサービス遮断器114aを挙げているが、サービス遮断器114a自体を設置しなくてもよく、また、サービス遮断器114aを電力メータ112に設けてもよい。
電力供給設備116は、分電盤114における複数の分岐配線120のいずれかに(単相3線式100/200Vのいずれか一方に係る単相3線式100Vに)接続され、発電部Gにおいて他のエネルギーを電気エネルギーに変換して電気を生成し、生成した電気を電力系統12より優先して構内の負荷設備14に供給する。なお、ここでは、後述する図2に示す、単相3線式100/200V(単相3線式)のR相とT相とを単相3線式200Vと呼び、R相とN相、または、T相とN相を単相3線式100Vと呼ぶ。
かかる電力供給設備116としては、太陽光発電機、風力発電機、水力発電機、地熱発電機、太陽熱発電機、大気中熱発電機、燃料電池、蓄電池、内燃力発電等を用いることができる。また、電力供給設備116は、余剰ヒータ等の内部負荷116aと、計器用変圧器(VT)等で構成され、単相3線式100V(R相またはT相とN相)の相間電圧値を計測する電圧計116bと、発電部Gからの電力供給(出力)を遮断する解列部116cと、電力供給設備116全体を制御する制御ユニット116dを有している。
制御ユニット116dは、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成される。ここでは、制御ユニット116dが電力供給設備116と一体的に形成される例を挙げて説明しているが、別体として設けられてもよい。また、制御ユニット116dは、プログラムを動作させることで、負荷制御部140、計測値取得部142、適正判断部144、電流値推定部146、電力導出部148としても機能する。かかる制御ユニット116dの機能部については、後程詳述する。
電流計118は、例えば、変流器(CT)で構成され、一次巻線を配した貫通体(鉄心、コア)それぞれに、いずれかの相の配線を挿通(クランプ)し、その電流値(実効値およびその方向)を計測値に変成して制御ユニット116dに送信する。ここでは、R相、T相については、順潮流方向を正とし、また、N相については、電力供給設備116から電力系統12への方向を正とする。また、説明の便宜上、単にR相、T相、N相のいずれか(単相3線式100/200Vのいずれか一方(例えばR相とN相)または他方(例えばT相とN相)に係る単相3線式100Vそれぞれ)に挿通する例を挙げているが、正確には、図1における電力メータ112の2次側かつ配線用遮断器114cの1次側の配線に取り付けられるのが一般的である。なお、電流計118は、負荷設備14より電力系統12側であれば、いずれの位置に設置してもよい。
詳細は後述するが、上述した電力供給設備116では、電流計118に接続し、各相に取り付けられた電流計118で計測された電流値と、電力供給設備116で計測された各相の相間電圧値と、電流、電圧の位相に基づく力率値とから受電電力を導出している。かかる受電電力により、受電電力一定制御、RPR(逆電力継電器)機能、UPR機能(不足電力継電器)を実現することが可能となる。
また、電力供給設備116は、受電電力を適切に導出すべく、自機内で各相に接続された内部負荷116aそれぞれの変動に伴う電流計118の電流値変化に基づいて、電流計118の潮流方向(極性)、相位置(取り付けられている相)、健全性(信号線の断線や電流計118の不具合等)といった設置適正を判断しているものもある(CTチェックとも言う)。例えば、電力供給設備116の動作中に、健全性が確保できなくなると、電力供給設備116の発電を停止する。
ところで、電力供給設備116は、単相3線式100/200Vののうち、単相3線式200Vに接続して用いるのが一般的である。この場合、配線用遮断器114cに代えて連系遮断器(200V)を設け、その連系遮断器に電力供給設備116を接続したり、また、漏電遮断器114bの1次側から別途の個別遮断器(200V)を介して電力供給設備116を接続しなければならない。
ただし、今後は、省エネルギー機器が普及し、電力システム100の電力需要が減少すると、必ずしも単相3線式200Vへの接続を要さない、本実施形態のような、単相3線式100/200Vのうち電力線であるR相またはT相のいずれか一方と、中性線であるN相とによる単相3線式100V(R相とN相、もしくは、T相とN相)のみに接続される小出力の電力供給設備116が設置されることとなる。このように単相3線式100Vで運用できれば、図1のように、既存の分岐配線120を利用して、例えば、屋外コンセントに電力供給設備116を接続することが可能となり、電力システム100内の配線を簡素化できる。
図2は、電力供給設備116と分岐配線120との具体的な接続態様を説明するためのブロック図である。上記のように、小出力の電力供給設備116は、電圧線(非接地側電線)の片方と接続する単相3線式100Vに接続される。例えば、電力供給設備116がR相側に接続された場合、図2(a)に示すように、電力供給設備116の電力の出力端の一方である電圧線接続点AにR相が接続され、出力端の他方である中性線接続点BにN相が接続される。この場合、電力供給設備116の連系相がR相ということになり、非連系相がT相ということになる。また、2つの電流計118(第1電流計118aおよび第2電流計118b)のうちいずれか一方が、電力供給設備116の電流の入力端である第1電流計接続点Cに接続され、他方が、第2電流計接続点Dに接続される。
また、電力供給設備116がT相側に接続された場合においても、図2(b)に示すように、電力供給設備116の電力の出力端の一方である電圧線接続点AにT相が接続され、出力端の他方である中性線接続点BにN相が接続される。この場合、電力供給設備116の連系相がT相ということになり、非連系相がR相ということになる。また、2つの電流計118a、118bのうちいずれか一方が、電力供給設備116の電流の入力端である第1電流計接続点Cに接続され、他方が、第2電流計接続点Dに接続される。
本実施形態では、このように、R相側、T相側のいずれの単相3線式100Vにも接続することができる。以下の実施形態では、説明の便宜上、R相を連系相とした場合、すなわち、R相とN相の単相3線式100Vに接続した場合を説明するが、その実施形態が、T相を連系相とした場合、すなわち、T相とN相の単相3線式100Vに接続した場合にも適用できるのは言うまでもない。
(第1の実施形態:電流計の設置適正判断)
上述したように、小出力の電力供給設備116は、R相またはT相のいずれか一方とN相に接続されるため、負荷を変動させようとしても、R相またはT相のいずれか一方に接続された内部負荷116aしか変動させることができない。したがって、その設置適正判断において以下の問題が生じる。
図3は、電流計の設置適正判断の課題を説明するための説明図である。仮に、図3(a)のように、単相3線式200Vに電力供給設備16を接続したとする。ここでは、電力供給設備16の電力の出力端のうち、電圧線接続点AにR相が接続され、電圧線接続点AAにT相が接続され、中性線接続点BにN相が接続される。そして、連系相に取り付けられた2つの電流計118a、118bのいずれか一方が電力供給設備16の電流の入力端である第1電流計接続点Cに接続され、他方が、第2電流計接続点Dに接続される。
ここでは、電圧線の被覆が赤色または黒色であり、中性線が白色であることに基づいて、中性線接続点Bに中性線(N相)を接続することができ、電圧線接続点A、AAを電圧線(R相またはT相)に接続することはできるが、電圧線接続点Aと電圧線接続点AAのいずれがR相に接続され、いずれがT相に接続されたかは、屋内と屋外とでは距離が離れているので目視では確認できない。
また、電圧線の被覆が赤色または黒色であることに基づいて、2つの電流計118a、118bをいずれも電圧線(R相またはT相)に取り付けることはできるが、電流計118aと電流計118bのいずれがR相に取り付けられ、いずれがT相に取り付けられているかは、距離の制約上、目視では確認できない。また、電流計118と電力供給設備16との距離が長いので、2つの電流計118a、118bのいずれが第1電流計接続点Cに接続され、いずれが第2電流計接続点Dに接続されているかも目視では確認できない。すなわち、第1電流計接続点C、Dのいずれが中性線接続点B(N相)に接続され、いずれが、電圧線接続点A、AA(R相またはT相)のどちらかに接続されているか確認できない。
しかし、電力供給設備16においては、電圧線接続点A、AAがいずれの電圧線に接続されているかの情報は必ずしも必要ではなく、電圧線接続点A、AAと電流計接続点C、Dとを対応付けさえできれば、すなわち、相位置の相関さえ把握できれば、受電電力を導出できる。
そこで、単相3線式200Vに接続した電力供給設備16では、まず、電圧線接続点Aに接続されている内部負荷16aを変動させる。ここでは、内部負荷16aの変動によりR相の電流値Iが変動したとする。そして、その電流値Iの変動に応じて、第1電流計接続点Cに入力される電流値Iと、第2電流計接続点Dに入力される電流値Iとのいずれが変動するか判定する。そして、変動した電流計接続点(ここでは、第1電流計接続点C)と電圧線接続点Aとを対応付ける。
続いて、電圧線接続点AAに接続されている内部負荷16bを変動させる。ここでは、内部負荷16bの変動によりT相の電流値Iが変動したとする。そして、その電流値Iの変動に応じて、第1電流計接続点Cに入力される電流値Iと、第2電流計接続点Dに入力される電流値Iとのいずれが変動するかを判定する。そして、変動した電流計接続点(ここでは、第2電流計接続点D)と電圧線接続点AAとを対応付ける。
このように、単相3線式200Vに接続した電力供給設備16では、2つの内部負荷16a、16bを通じて、電圧線接続点A、AAと電流計接続点C、Dとを容易に対応付けることができ、設置適正のうち、相位置や健全性を判断することが可能となる。また、対応付けが確定すれば、2つの電流計118a、118bの設置適正の他のパラメータ(潮流方向)も適切に判断することができる。
しかし、小出力の電力供給設備116は、図3(b)のように、R相またはT相のいずれか一方とN相に接続されるため、R相またはT相のいずれか一方に接続された1つの内部負荷116aしか変動させることができない。したがって、単相3線式200Vに接続した電力供給設備16と同手順で判断すると、2つの電流計118a、118bのいずれもが追従して変動してしまい、2つの電流計接続点(第1電流計接続点C、第2電流計接続点D)のいずれが電圧線接続点(連系相または中性線)に対応しているか判断することができない。そこで、本実施形態は、その手順を改良し、電圧線接続点(連系相または中性線)と電流計接続点とを適切に対応付け、単相3線式100Vにのみ接続される電力供給設備116であっても、電流計の設置適正を判断することを目的とする。
図4は、電流計118の設置方法(電流計設置方法)の流れを示したフローチャートであり、図5は、電圧線接続点(連系相または中性線)と電流計接続点との対応付けを説明するための説明図である。図4に示す設置方法では、電流計と各相(連系相、非連系相、中性線)とを対応付けることで、設置適正のうち、相位置および健全性について判断することができる。
(ステップS10)
まず、図5(a)のように、電力供給設備116の電圧線接続点Aを電圧線(R相またはT相)のいずれか(ここではR相)に接続する。そして、電力供給設備116の中性線接続点Bを中性線(N相)に接続する。
(ステップS11)
続いて、図5(b)に示すように、電流計118のうち一方の第1電流計118aを、電圧線(R相またはT相)のいずれか一方に取り付ける。また、第1電流計118aの配線を、電力供給設備116の電流計接続点のいずれか一方(ここでは第1電流計接続点C)に接続する。このとき、まだ第2電流計118bは電力供給設備116に接続しない。
(ステップS12)
次に、負荷制御部140は、単相3線式100Vに接続された内部負荷116aを変動させ、計測値取得部142は、第1電流計接続点Cを通じた電流値、すなわち、第1電流計118aで計測された電流値を取得する。そして、適正判断部144は、内部負荷116aの変動に応じ、想定される所定の範囲内で電流値が追従して変動するか否かによって、第1電流計118a(第1電流計接続点C)に連系相(電圧線接続点A)または非連系相を対応付ける。具体的に、電流値が変動すれば、第1電流計118aに連系相を対応付け、電流値が変動しなければ、第1電流計118aに非連系相を対応付ける。
(ステップS13)
続いて、図5(c)に示すように、第1電流計118aの接続を解除することなく、他方の第2電流計118bを、中性線(N相)に取り付ける。また、第2電流計118bの配線を、電力供給設備116の電流計接続点の他方(ここでは第2電流計接続点D)に接続する。
(ステップS14)
次に、適正判断部144は、第2電流計118b(第2電流計接続点D)に中性線(中性線接続点B)を対応付ける。
(ステップS15)
続いて、適正判断部144によって、第1電流計118aに非連系相が対応付けられたか否か判定する。その結果、非連系相が対応付けられていなければ、すなわち、第1電流計118aに連系相が対応付けられていれば、当該電流計設置方法を終了し、非連系相が対応付けられていれば、ステップS16に処理を移す。
(ステップS16)
上記ステップS15において、第1電流計118aに非連系相が対応付けられたと判定すると、第1電流計118aに連系相を対応付けるための処理を行い、当該電流計設置方法を終了する。例えば、一方の電圧線に取り付けられている第1電流計118aを、他方の電圧線に付け替える。こうして、適正判断部144は、第1電流計118a(第1電流計接続点C)と連系相(電圧線接続点A)とを対応付けることができる。
また、このように、第1電流計118aを付け替えなくとも、第1電流計118aが非連系相に取り付けられていることを認識させて、第1電流計118aの電流値Iおよび第2電流計118bの電流値Iから連系相の電流値を導出することもできる。
例えば、単相3線式100/200Vでは、N相の電流値Iの方向を、電流値IがN相を流れる方向とした場合、N相の電流値I=R相の電流値I−T相の電流値Iが成り立つ。したがって、仮に、第1電流計118aが非連系相(T相)に取り付けられていた場合、連系相(R相)の電流値Iは、N相の電流値I+T相の電流値I、すなわち、第2電流計118bの電流値Iに第1電流計118aの電流値Iを加算することで導出できることとなる。なお、ここでは、説明の便宜上、単に、電流値の方向として説明しているが、電流は本来交流であり、かかる電流値の方向は、実際は、その電流値による電力の潮流方向を示す。以下の計算においても、単に、電流値の方向として説明するが、実際は、その電流値による電力の潮流方向を示しているのは言うまでもない。
かかる構成により、単相3線式100Vにのみ接続される電力供給設備116であっても、2つの電流計118a、118bのいずれが連系相や中性線に対応しているか(相位置)を適切に判断することができる。また、対応付けが確定すれば、2つの電流計118a、118bの他の設置適正(潮流方向、健全性)を適切に判断することが可能となる。
なお、2つの電流計118a、118bの設置適正の判断は、2つの電流計118a、118bの連系相等への対応付けが完了してから実行してもよいし、段階的に、すなわち、第1電流計118aと連系相とが対応付けられた後に第1電流計118aの設置適正を判断し、第2電流計118bと中性線とが対応付けられた後に第2電流計118bの設置適正を判断してもよい。
また、上記の電流計設置方法では、ステップS11において、第1電流計118aを、電圧線(R相またはT相)のいずれか一方に無作為に取り付ける例を挙げて説明している。したがって、常に、50%の確率で、第1電流計118aと非連系相とが対応付けられてしまう。そこで、第1電流計118aを取り付ける前に、コンセントチェッカ等により、その電圧線と、電力供給設備116の電圧線接続点Aとが導通しているか否か判定し、導通している電圧線に第1電流計118aを取り付けるとしてもよい。かかる構成により、ステップS12において、第1電流計118aと連系相とを確実に対応付けることが可能となる。
(第2の実施形態:電流計の設置適正判断)
上述したように、小出力の電力供給設備116では、R相またはT相のいずれか一方とN相に接続されるため、R相またはT相のいずれか一方に接続された内部負荷116aしか変動させることができない。そこで、第1の実施形態では、2つの電流計118a、118bの設置順を工夫して、いずれが連系相や中性線に対応しているかを判断した。第2の実施形態では、2つの電流計118a、118bをいずれも接続した状態で、連系相や中性線との対応のみならず、その設置適正も自動的に判断することを目的としている。
図6は、電流計118の適正判断(適正判断方法)の流れを示したフローチャートであり、図7は、電圧線接続点(連系相または中性線)と電流計接続点との対応付けを説明するための説明図である。図6に示す適正判断方法では、設置適正のうち、相位置および健全性について判断する。
(ステップS20)
まず、図7のように、電力供給設備116の電圧線接続点Aを電圧線(R相またはT相)のいずれか(ここでは、R相)に接続するとともに、電力供給設備116の中性線接続点Bを中性線(N相)に接続する。
続いて、電流計118のうち一方の第1電流計118aを、電圧線(R相またはT相)のいずれか一方(ここでは、R相)に取り付けるとともに、第1電流計118aの配線を、電力供給設備116の電流計接続点のいずれか一方(ここでは第1電流計接続点C)に接続する。また、電流計118のうち他方の第2電流計118bを、中性線(N相)に取り付けるとともに、第2電流計118bの配線を、電力供給設備116の電流計接続点の他方(ここでは第2電流計接続点D)に接続する。
(ステップS21)
次に、計測値取得部142は、第1電流計接続点Cを通じた電流値、すなわち、第1電流計118aで計測された電流値I、および、第2電流計接続点Dを通じた電流値、すなわち、第2電流計118bで計測された電流値Iを取得する。そして、かかる電流値I、Iを内部負荷116a変動前の電流値I1o、I2oとして保持しておく。
(ステップS22)
続いて、負荷制御部140は、電力供給設備116内において単相3線式100Vに接続された内部負荷116aを変動(例えば増加)させる。
(ステップS23)
次に、計測値取得部142は、第1電流計接続点Cを通じた電流値、すなわち、第1電流計118aで計測された電流値I、および、第2電流計接続点Dを通じた電流値、すなわち、第2電流計118bで計測された電流値Iを取得する。
(ステップS24)
続いて、計測値取得部142は、取得した電流値I、Iの絶対値(実効値)から、ステップS21において保持した電流値I1o、I2oの絶対値(実効値)をそれぞれ減算し、電流値I、Iの絶対値の変動分を示す電流差分Δ|I|、Δ|I|を導出する(Δ|I|=|I|−|I1o|、Δ|I|=|I|−|I2o|)。以下、第1電流計118aで計測された電流値I、電流差分Δ|I|、第2電流計118bで計測された電流値I、および、電流差分Δ|I|に基づいて適正判断を行う。なお、以下の説明において、電流値I、電流差分Δ|I|、電流値I、電流差分Δ|I|がそれぞれ等しいか否か判定する場合、理論的に等しいか否かのみに言及しており、電流計118の計測誤差やノイズといった他の要素は除外して考えるものとする。したがって、例えば、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とを比較する場合に、理論的に電流差分Δ|I|=電流差分Δ|I|となるのは、実際には、|(電流差分Δ|I|−電流差分Δ|I|)|<誤差分となる。
(ステップS25)
次に、適正判断部144は、電流差分Δ|I|、Δ|I|がいずれも0以外であるか否か、すなわち、内部負荷116aの変動に応じ、電流差分Δ|I|、Δ|I|がそれぞれ変化したか否か判定する。その結果、いずれも0以外であれば、ステップS27に処理を移し、いずれかが0であれば、ステップS26に処理を移す。
(ステップS26)
上記ステップS25において、電流差分Δ|I|、Δ|I|のいずれかが0であると判定されれば、適正判断部144は、電流差分が0である電流計118が内部負荷116aの変動に応じていない、すなわち、第1電流計118aが連系相ではなく非連系相に取り付けられている(非連系相設置エラー)と判断し、当該適正判断方法を終了する。ここで、非連系相に取り付けられていると判断された電流計118は、上述したように、他方の電圧線に付け替えたり、第1電流計118aの電流値Iおよび第2電流計118bの電流値Iから連系相の電流値を導出して、適用することができる。
(ステップS27)
上記ステップS25において、電流差分Δ|I|、Δ|I|がいずれも0以外であると判定されれば、適正判断部144は、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しいか否か(実際には、|(電流差分Δ|I|−電流差分Δ|I|)|<誤差分か否か)判定する。かかる判定では、R相とT相のいずれの負荷が大きいか判定される。以下、その判定根拠を詳述する。
図8は、負荷の大きさによる潮流方向と電流値を説明するための説明図である。例えば、図8(a)のように、R相の負荷がT相の負荷より相対的に大きい場合、電流値Iと電流値Iとは、図8(a)中白抜き矢印で示したように、いずれも正の値となる。そうすると、内部負荷116aを増加した場合、電流値Iおよび電流値Iのいずれも、正の値から、絶対値がより大きい正の値に変化する。例えば、内部負荷116aの増加に応じて、電流値Iが5Aから7Aに2A増加すると、電流値Iは1Aから3Aに2A増加する。ここでは、電流値Iおよび電流値Iの増加前後の値が全て正の値なので、電流値Iおよび電流値Iの絶対値の増加は、電流値Iおよび電流値Iの値の増加と等しく2Aとなる。したがって、内部負荷116aの変動による電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とは等しくなる。
一方、図8(b)のように、R相の負荷がT相の負荷より相対的に小さい場合、図8(b)中白抜き矢印で示したように、電流値Iが正の値を示すのに対し、電流値Iは負の値を示す。そうすると、内部負荷116aを増加した場合、電流値Iは正の値から、絶対値がより大きい正の値に変化する一方で、電流値Iは負の値から、絶対値がより小さい負の値に変化するか、または、負の値から正の値に変化する。したがって、電流値の増加量は等しいものの、電流値の絶対値の増加量は等しくならない。
例えば、内部負荷116aの増加に応じて、電流値Iが5Aから7Aに2A増加すると、電流値Iは−3Aから−1Aに2A増加する。しかし、その絶対値に関しては、電流値Iの絶対値が5Aから7Aに2A増加するのに対し、電流値Iの絶対値は3Aから1Aに2A減少する。また、内部負荷116aの増加に応じて電流値Iが5Aから7Aに2A増加すると、電流値Iは−0.5Aから1.5Aに2A増加する。しかし、その絶対値に関しては、電流値Iの絶対値が5Aから7Aに2A増加するのに対し、電流値Iの絶対値は0.5Aから1.5Aに1A増加するに留まる。したがって、内部負荷116aの変動による電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とは等しくならない。
そうすると、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しい場合、R相の負荷がT相の負荷より相対的に大きく、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しくない場合、R相の負荷がT相の負荷より相対的に小さいこととなる。
したがって、ステップS27において、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しければ、適正判断部144は、ステップS28に処理を移し、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しくなければ、適正判断部144は、ステップS33に処理を移す。
(ステップS28)
上記ステップS27において、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しいと判定されれば、適正判断部144は、ステップS23において取得した電流値Iと電流値Iとを比較する。これは以下の理由による。
すなわち、図8(a)に示したように、R相の負荷がT相の負荷より相対的に大きい場合、N相の電流値Iは、R相の電流値I−T相の電流値Iとなり、T相の電流値Iが0でない限り、R相の電流値Iよりその絶対値が小さくなる。したがって、R相の負荷がT相の負荷より相対的に大きい場合、電流の絶対値が相対的に大きい方がR相の電流値Iとなり、電流の絶対値が相対的に小さい方がN相の電流値Iとなる。
したがって、ステップS28において、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値よりも大きければ、適正判断部144は、ステップS29に処理を移し、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値以下であれば、ステップS30に処理を移す。
(ステップS29)
上記ステップS28において、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値よりも大きいと判定されれば、適正判断部144は、第1電流計118a(第1電流計接続点C)に連系相(電圧線接続点A)を対応付けるとともに、第2電流計118b(第2電流計接続点D)に中性線(中性線接続点B)を対応付け、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS30)
上記ステップS28において、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値以下であると判定されれば、適正判断部144は、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値よりも小さいか否か判定する。その結果、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値よりも小さければ、適正判断部144は、ステップS31に処理を移し、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値より小さくない、すなわち、電流値Iの絶対値と電流値Iの絶対値とが等しい場合、適正判断部144は、ステップS32に処理を移す。
(ステップS31)
上記ステップS30において、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値よりも小さいと判定されれば、適正判断部144は、第2電流計118b(第2電流計接続点D)に連系相(電圧線接続点A)を対応付けるとともに、第1電流計118a(第1電流計接続点C)に中性線(中性線接続点B)を対応付け、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS32)
上記ステップS30において、電流値Iの絶対値が電流値Iの絶対値より小さくないと判定されれば、適正判断部144は、2つの電流計118a、118bが同相に設置され、同相の電流値を計測している(同相設置エラー)と判断し、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS33)
上記ステップS27において、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しくないと判定されれば、適正判断部144は、電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とを比較する。これは以下の理由による。なお、ここでは、相位置と併せて健全性も判定される。
すなわち、図8(b)を用いて説明したように、R相の負荷がT相の負荷よりも相対的に小さい場合、内部負荷116aの増加に応じて、電流値Iは正の値から、絶対値がより大きい正の値に変化する一方で、電流値Iは負の値から、絶対値がより小さい負の値に変化するか、または、負の値から正の値に変化する。例えば、内部負荷116aの増加に応じて、電流値Iが2A増加すると、電流値Iも2A増加するものの、その絶対値に関しては、電流値Iの絶対値が5Aから7Aに2A増加するのに対し、電流値Iの絶対値は3Aから1Aに2A減少したり、0.5Aから1.5Aに1A増加するに留まることとなる。このように電流値Iの絶対値は、減少したり、または、電流値Iより小さく増加する。したがって、R相の負荷がT相の負荷より相対的に大きい場合、電流差分ΔIが相対的に大きい方(正である方)がR相の電流差分ΔIとなり、電流差分ΔIが相対的に小さい方(負である方)がN相の電流差分ΔIとなる。
したがって、ステップS33において、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|よりも大きく、かつ、電流差分Δ|I|が閾値(電流閾値)よりも大きければ、適正判断部144は、ステップS34に処理を移し、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|以下であるか、または、電流差分Δ|I|が電流閾値以下であれば、適正判断部144は、ステップS35に処理を移す。なお、ここでの電流閾値は、内部負荷116aの変動に対して想定される電流差分ΔIより小さく、かつ、0より大きな値であり、例えば、想定される電流差分ΔIの1/2としてもよい。
(ステップS34)
上記ステップS33において、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より大きく、かつ、電流差分Δ|I|が電流閾値より大きいと判定されれば、適正判断部144は、第1電流計118a(第1電流計接続点C)に連系相(電圧線接続点A)を対応付けるとともに、第2電流計118b(第2電流計接続点D)に中性線(中性線接続点B)を対応付け、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS35)
上記ステップS33において、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|以下であるか、または、電流差分Δ|I|が電流閾値以下であると判定されれば、適正判断部144は、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より小さく、かつ、電流差分Δ|I|が電流閾値より大きいか否か判定する。その結果、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より小さく、かつ、電流差分Δ|I|が電流閾値より大きければ、適正判断部144は、ステップS36に処理を移し、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より小さくない(電流差分Δ|I|と電流差分Δ|I|とが等しい)、または、電流差分Δ|I|が電流閾値以下であれば、適正判断部144は、ステップS37に処理を移す。
(ステップS36)
上記ステップS35において、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より小さく、かつ、電流差分Δ|I|が電流閾値より大きいと判定されれば、適正判断部144は、第2電流計118b(第2電流計接続点D)に連系相(電圧線接続点A)を対応付けるとともに、第1電流計118a(第1電流計接続点C)に中性線(中性線接続点B)を対応付け、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS37)
上記ステップS35において、電流差分Δ|I|が電流差分Δ|I|より小さくない、または、電流差分Δ|I|が電流閾値以下であると判定されれば、適正判断部144は、2つの電流計118a、118bは健全ではない(不健全エラー)と判断し、当該適正判断方法を終了する。
かかる適正判断方法により、設置適正のうち、相位置および健全性について判断することが可能となる。
図9は、電流計118の適正判断(適正判断方法)の流れを示したフローチャートであり、図10は、適正判断を実行するための構成を示した説明図である。図9に示す適正判断方法では、図6の適正判断方法によって相位置および健全性が判断された2つの電流計118a、118bについて潮流方向の適正を判断する。
(ステップS40)
まず、計測値取得部142は、図10に示すように、電圧計116bを通じて相間電圧の波形(位相変化の情報を含む)を取得する。
(ステップS41)
続いて、計測値取得部142は、図10に示すように、第1電流計接続点Cを通じた電流波形(位相変化の情報を含む)、すなわち、第1電流計118aで計測された電流波形、および、第2電流計接続点Dを通じた電流波形、すなわち、第2電流計118bで計測された電流波形を取得する。
(ステップS42)
次に、計測値取得部142は、取得した相間電圧の波形と第1電流計118aで計測された電流波形とを比較し、その位相差が閾値(位相閾値)より大きいか否か判定する。その結果、位相閾値より大きければ、適正判断部144は、ステップS43に処理を移し、位相閾値以下であれば、なんら位相操作を行うことなく、ステップS44に処理を移す。ここで、位相閾値は、位相が反転していないと判断できる90度以下の値、例えば、10度である。
(ステップS43)
上記ステップS42において、位相差が位相閾値より大きいと判定されれば、適正判断部144は、第1電流計118aの潮流方向が逆であると判断し、第1電流計接続点Cを通じた電流波形、すなわち、第1電流計118aで計測された電流波形の位相を反転してまたは180度遅らせて認識させる。
(ステップS44)
続いて、計測値取得部142は、取得した相間電圧の波形と第2電流計118bで計測された電流波形とを比較し、その位相差が閾値(位相閾値)より大きいか否か判定する。その結果、位相閾値より大きければ、適正判断部144は、ステップS45に処理を移し、位相閾値以下であれば、なんら位相操作を行うことなく、当該適正判断方法を終了する。
(ステップS45)
上記ステップS44において、位相差が位相閾値より大きいと判定されれば、適正判断部144は、第2電流計118bの潮流方向が逆であると判断し、第2電流計接続点Dを通じた電流波形、すなわち、第2電流計118bで計測された電流波形の位相を反転してまたは180度遅らせて認識させる。
かかる適正判断方法により、設置適正のうち、潮流方向を正すことが可能となる。
なお、第1の実施形態および第2の実施形態において、負荷制御部140が電力供給設備116の内部に設けられた内部負荷116aを変動させる例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、電力供給設備116と等しい単相3線式100Vに接続された外部の負荷を変動させてもよい。
(第3の実施形態:受電電力導出)
続いて、設置適正が判断された2つの電流計118a、118bを用いて受電電力を導出する処理について説明する。
図11は、電力供給設備116の他の課題を説明するための説明図である。仮に、単相3線式200Vに電力供給設備16を接続したとする。ここでは、電力供給設備16の電力の出力端のうち、電圧線接続点AにR相が接続され、電圧線接続点AAにT相が接続され、中性線接続点BにN相が接続される。そして、2つの電流計118a、118bのいずれか一方が電力供給設備16の電流の入力端である第1電流計接続点Cに接続され、他方が、第2電流計接続点Dに接続される。
そして、図11(a)のように、第1電流計118aが電圧線であるR相の電流値Iを計測し、第2電流計118bが電圧線であるT相の電流値Iを計測したとする。また、電力供給設備16に設けられた電圧計16cがN相に対するR相の相間電圧値Vを計測し、電圧計16dがN相に対するT相の相間電圧値Vを計測したとする。
このように計測された電流値I、I、相間電圧値V、Vに基づき、それぞれの相(R相、T相)に関し、電流値と相間電圧値と力率との積(I×V×cosθ、I×V×cosθ)を求めると、その和(I×V×cosθ+I×V×cosθ)が受電電力となる。かかる受電電力により、受電電力一定制御、RPR機能、UPR機能等を実現することが可能となる。
しかし、本実施形態のように、単相3線式100Vに電力供給設備116を接続する場合において、2つの電流計118a、118bを電圧線であるR相とT相に取り付けると、一方は非連系相なので、その電流計118についは設置適正を判断できなくなる。また、図11(b)のように、設置適正を判断できない電流計118をN相に付け替えれば、その電流計118についても設置適正を判断できるようになるが、非連系相の電流値や相間電圧を把握できないため、図11(a)を用いて説明したような既存の手順では受電電力を導出できないといった問題があった。
そこで、ここでは非連系相の電流値や相間電圧を推定し、電流計118の設置適正の判断を実行しつつ、受電電力を導出することを目的とする。
本実施形態の電力供給設備116においては、図11(b)のように、第1電流計118aがR相またはT相のいずれか一方と接続され、第2電流計118bがN相に接続される。したがって、第1電流計118aがR相の電流値Iを計測し、第2電流計118bがN相の電流値Iを計測することができる。そして、計測値取得部142は、電流値Iおよび電流値Iを取得する。ただし、受電電力を導出するのに必要なT相の電流値Iを計測することができない。
しかし、上述したように、N相の電流値Iの方向を電流値IがN相を流れる方向とした場合、単相3線式100/200Vでは、N相の電流値I=R相の電流値I−T相の電流値Iが成り立つ。そうすると、R相の電流値IとN相の電流値Iとを把握できれば、T相の電流値Iを推定することができる。そこで、電流値推定部146は、第1電流計118aおよび第2電流計118bに基づいて、他方の単相3線式100Vにおける電圧線であるT相の電流値Iを推定して推定電流値ITAとする。
具体的に、電流値推定部146は、R相の電流値I−N相の電流値I、すなわち、第1電流計118aの電流値Iから第2電流計118bの電流値Iを減算することでT相の推定電流値ITAを導出することが可能となる。
また、単相3線式100Vに電力供給設備116を接続する場合、図11(b)のように、接続されている単相3線式100Vの相間電圧値(ここでは、R相の相間電圧値V)を計測することができる。そして、計測値取得部142は、相間電圧値Vを取得する。しかし、接続されている単相3線式100Vの相間電圧値(ここでは、R相の相間電圧値V)は検出できるものの、接続されていない他方の単相3線式100Vの相間電圧値(ここでは、T相の相間電圧値V)は検出できない。ここでは、計測不能な他方の単相3線式100Vの相間電圧値Vを推定することで、上記の推定電流値ITAと合わせ、単相3線式200Vに接続した電力供給設備と実質的に等しい条件で受電電力を導出する。
ところで、電気事業法において電力会社から供給される電力の相間電圧値は、101V±6Vの範囲内と定められている。したがって、T相の相間電圧値は、95V(規定最小電圧値)〜107V(規定最大電圧値)の範囲内でしか変動しない。そこで、当該電力システム100が逆潮流を許容する場合(逆潮流有り連系)、相間電圧値として取り得る範囲であり、かつ、引き込み線10の電圧降下(例えば2V)を考慮して、上述したT相の相間電圧値の想定値VTAとして、例えば、中心値である101Vを選択することができる。
また、このような電力システム100では、R相とT相の負荷が均一に近くなることが多いので、T相の相間電圧値の想定値VTAとして、例えば、連系相であるR相の相間電圧値Vを、そのまま流用してもよい。かかる構成により、受電点での潮流を0近傍とすることが可能となり、電力供給設備116で発電された電力を有効に利用することができる。また、R相とT相とは位相が180度異なることが多いので、想定力率cosθTAとして、例えば、非連系相であるT相のN相に対する相間電圧の位相を、連系相であるR相のN相に対する相間電圧の位相を反転した(180度異ならせた)位相とみなし、想定力率cosθTAを決定してもよい。
また、当該電力システム100が逆潮流を許容しない場合(逆潮流無し連系)、電力導出部148は、他方であるT相の電流の方向に応じて、想定値VTAおよび想定力率cosθTAを決定するとしてもよい。例えば、T相の電流が逆潮流となる方向(図11(b)の破線矢印と異なる方向)に流れているとする。このとき、T相の相間電圧値Vは、規定最小電圧値(95V)から規定最大電圧値(107V)の範囲で変動し得るので、T相に関する電力は、(電流値I×規定最小電圧値)から(電流値I×規定最大電圧値)の範囲で変動することとなる。ここでは、安全側である(電流値I×規定最大電圧値)の値をとることで逆潮流が生じないことを明示する。すなわち、電力導出部148は、T相の電流が逆潮流となる方向に流れている場合、想定値VTAとして規定最大電圧値を設定する。また、不足電力を厳しく(安全側で)判定すべく、T相の電力が最大となるように、想定力率cosθTAを1とみなして演算してもよい。
同様に、電力導出部148は、T相の電流が逆潮流とならない方向(図11(b)の破線矢印と等しい方向)に流れている場合、想定値VTAとして、安全側である規定最小電圧値を設定する。また、不足電力を厳しく(安全側で)判定すべく、T相の電力が最小となるように、想定力率cosθTAを所定の値(例えば0)とみなして演算してもよい。
かかる構成により、逆潮流を許容しない場合において、単相3線式100Vにのみ接続される電力供給設備116を単相3線式100/200Vとして換算した場合の最も安全側での受電電力を求めることができ、電力供給設備116の逆潮流を適切に回避することが可能となる。
そして、電力導出部148は、T相の電流値としての推定電流値ITAおよびT相の相間電圧値としての所定の想定値VTAおよびT相の相間電圧の力率としての所定の想定力率cosθTAを参照し、単相3線式100/200Vの受電電力を導出する。具体的に、電力導出部148は、R相に関する電力(I×V×cosθ)と、T相に関する想定電力(ITA×VTA×cosθTA)とを求め、その和(I×V×cosθ+ITA×VTA×cosθTA)を導出して単相3線式100/200Vの換算された受電電力とする。
かかる構成により、単相3線式100Vにのみ接続される電力供給設備116であっても、単相3線式100/200Vの受電電力を適切に求めることができる。
(第4の実施形態:電力システム200)
図12は、第4の実施形態における電力システム200の接続関係を示した説明図である。かかる電力システム200では、電力導出部248の処理が第3の実施形態と異なるが、他の構成要素については第3の実施形態と実質的に等しい。
第4の実施形態において、電力導出部248は、想定値を固定的に選択せず、当該電力システム200の任意の機器から相間電圧値に関する情報を取得し、その情報に基づいて想定値を随時決定する。例えば、図12の例において、電力導出部248は、電力メータ112における相間電圧値、具体的には、電力供給設備116が接続されている相とは異なる相の相間電圧値を取得し、その相間電圧値を想定値とする。
かかる構成により、本来の相間電圧値に近い値を想定値VTAとし、より厳密に受電電力を求めることができる。
ただし、電力メータ112の相間電圧値の更新頻度によっては、本来の相間電圧値と異なる値を参照することになってしまう。例えば、電力メータ112が数十秒に1回のみ更新される場合、参照する相間電圧値が数十秒前の相間電圧値となる場合がある。そこで、電力導出部248は、かかる電力メータ112における相間電圧値Vを蓄積して、それを統計的に処理して想定値を決定してもよい。
例えば、電力導出部248は、電力メータ112における、過去の任意の期間(年、月、週、日、時間等)分の相間電圧値を蓄積し、その間の最小電圧値(実測最小電圧値)と最大電圧値(実測最大電圧値)とを求める。ここで、T相の相間電圧値Vは、実測最小電圧値から実測最大電圧値の範囲で変動しているので、T相に関する電力は、(電流値I×実測最小電圧値)から(電流値I×実測最大電圧値)の範囲で変動することとなる。
ここで、電力導出部248は、T相の電流が逆潮流となる方向(図11(b)の破線矢印と異なる方向)に流れている場合、想定値VTAとして、安全側である実測最大電圧値を設定する。また、電力導出部248は、T相の電流が逆潮流とならない方向(図11(b)の破線矢印と等しい方向)に流れている場合、想定値VTAとして、安全側である実測最小電圧値を設定する。
かかる構成により、単相3線式100Vにのみ接続される電力供給設備116を単相3線式100/200Vとして換算した場合の最も安全側での受電電力を求めることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、電力メータ112から制御ユニット116dに対し、相間電圧値を送信する例を挙げて説明したが、電力メータ112がスマートメータであった場合、その機能、例えば、HEMS(Home Energy Management System)を通じて電力メータ112から制御ユニット116dに送信してもよい。
また、上述した実施形態では、過去の任意の期間分の相間電圧値を蓄積し、その間の最小電圧値(実測最小電圧値)と最大電圧値(実測最大電圧値)とを求める例を挙げて説明したが、統計的に導き出した、例えば、統計的な偏差から、実効的な最小電圧値(実測最小電圧値)と最大電圧値(実測最大電圧値)とを求めるとしてもよい。
本発明は、構内に電力供給設備が設けられた電力システムに利用することができる。
10 引き込み線
100 電力システム
112 電力メータ
114 分電盤
116 電力供給設備
116a 内部負荷
116b 電圧計
116d 制御ユニット
118a 第1電流計(電流計)
118b 第2電流計(電流計)
140 負荷制御部
142 計測値取得部
144 適正判断部
146 電流値推定部
148、248 電力導出部

Claims (4)

  1. 電力系統からの引き込み線である単相3線式のうちR相またはT相のいずれか一方と、N相とに接続された電力供給設備と、
    前記R相またはT相の一方、および、N相それぞれに流れる電流値を計測する第1電流計および第2電流計と、
    前記第1電流計および前記第2電流計それぞれで計測された電流値を取得する計測値取得部と、
    前記第1電流計および前記第2電流計それぞれの設置適正を判断する適正判断部と、
    前記第1電流計および前記第2電流計に基づいて前記R相またはT相の他方の電流値を推定して推定電流値とする電流値推定部と、
    前記R相またはT相の一方に係る相間電圧値と電圧線の電流値とその力率とを乗じた値と、想定値と前記推定電流値と想定力率とを乗じた値とを加算し受電電力を導出する電力導出部と、
    を備える電力システム。
  2. 前記電力導出部は、前記推定電流値の方向に応じて、相間電圧値として取り得る規定最小電圧値および規定最大電圧値のいずれかを前記想定値とする請求項1に記載の電力システム。
  3. 前記電力系統に接続され、前記R相またはT相の他方に係る相間電圧値を計測可能な電力メータを備え、
    前記電力導出部は、前記電力メータが計測した相間電圧値を前記想定値とする請求項1に記載の電力システム。
  4. 前記電力導出部は、前記電力メータが計測した相間電圧値を統計的に処理し、前記推定電流値の方向に応じて、統計的に導き出した実測最小電圧値および実測最大電圧値のいずれかを前記想定値とする請求項3に記載の電力システム。
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