JP2018084326A - 摩耗検知機能をもつ輸送管、輸送管の製造方法、摩耗検知方法、及び輸送管の運用方法 - Google Patents
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Description
図23は輸送管の一部透過図であり、図23(a)は曲がり部を有する可撓性の輸送管を示し、図23(b)は曲がり部を有さない輸送管を示している。
図23に示すように、輸送管(耐摩耗ホース)10は、一方の端部10aと他方の端部10bが、それぞれ継手20を介して配管1に接続されている。輸送管10の内管11には、一方の端部10aから他方の端部10bに向かって、粉体又はペレット等の摩耗性物質2と液体の混合したスラリー又は摩耗性物質2が流れている。
図23(a)に示す輸送管(耐摩耗ホース)10は、一方の端部10aから他方の端部10bに至るまでに4カ所の曲がり部を有する。また、図23(b)に示す輸送管10は、一方の端部10aから他方の端部10bに至るまでに曲がり部を有さない。
図23(a)に示すように、輸送管の一種である耐摩耗ホース10をスラリー又は摩耗性物質2の輸送に使用すると、耐摩耗ホース10のうち曲率が大きくなっている部分の曲がり外側部分(耐摩耗ホース10のカーブしている流路の外寄りの部分)の内管11が、摩耗性物質2の衝突により局所的に著しい摩耗損傷を受けやすい。したがって、内管11の曲がり外側部分が、その他の部分よりも摩耗の進行が速い摩耗進行領域Xとなる(内管11のうち図23(a)の長円で囲まれた部分)。そして、内管11のどこか1カ所でも摩耗限界に達した場合には、たとえ耐摩耗ホース10の他の部分にはまったく摩耗損傷がなくても、耐摩耗ホース10全体としては短時間で使用不能となり交換を余儀なくされる。耐摩耗ホース10の交換作業は、それ自体煩雑であるのと同時に、作業中の全体システム停止に伴う時間的、経済的損失も甚大となる。
図23(b)に示すように、耐摩耗ホース以外の輸送管10においても、液相に比べて固相の比重が大きいスラリーや、ペレットなどの摩耗性物質2を輸送する場合には、曲がりのない直管部においても重力の影響により摩耗の進行が内管11の鉛直下側に偏る。したがって、内管11の鉛直下側の部分が、その他の部分よりも摩耗の進行が速い摩耗進行領域Xとなる(内管11のうち図23(b)の長円で囲まれた部分)。そして、内管11のどこか1カ所でも摩耗限界に達した場合には、たとえ鉛直上側や側面にはまったく摩耗損傷がなくても鉛直下側の部分の摩耗が限界に達した時点で輸送管10全体が使用不能となってしまう。
このように、摩耗性物質2の衝突により生ずる内管11の摩耗損傷は、内管11全体で一様に進行するのではなく、部分によって進行の度合いに程度の差がある。
従って、耐摩耗ホースなどの輸送管10をスラリー又は摩耗性物質2の輸送に用いる場合には、内管11の局所的摩耗による破損を避けて輸送管10全体としての稼働性をできるだけ長く維持し、輸送管10の寿命を延伸させるような対策をとることが望まれる。そして、適切な対策をとるためには、摩耗が進行した部分の管軸周りの角度範囲を的確に検知することが必要である。
また、特許文献2には、モルタル圧送用ホースなど、ホースの摩耗や破損を検知する必要のあるホースにおいて、ホースの内周面側に螺旋状に埋設された導線と、ホースの外周面側に螺旋状に埋設された導線とを互いに直列に接続して、接続した導線の導通状態を調べることによって、ホースの内周面と外周面の損傷を同時に電気的に検知することが開示されている。
また、特許文献3には、内面層と耐圧補強層の間にホース長手方向に渡って一対の離間した電気的に導通性を有する検知線を配設し、検知線はホースの一端では結線し、もう一端ではホースの外部に引き出して、内面層が流体によって摩耗損傷された場合に、これを検知することが開示されている。
請求項1に記載の本発明によれば、輸送管のうち摩耗が進行した部分の管軸周りの角度範囲を摩耗検知線を用いて検知することができる。
請求項2に記載の本発明によれば、曲率が大きい場所でも摩耗検知線が断線し難くなり、特に大きな曲がり部を有する可撓管に適用した場合に信頼性を高めることができる。
請求項3に記載の本発明によれば、摩耗検知線ごとに摩耗検知を担当する角度範囲の部分を明確に区分けすることができる。
請求項4に記載の本発明によれば、輸送管の一方の端部だけで導通検査を行うことができるため、作業効率が向上する。また、端部だけで導通検査を行う場合に、例えば複数の摩耗検知線のそれぞれに戻り線を設ける必要が無くなり、戻り線を共通線で共用化できる。
請求項5に記載の本発明によれば、摩耗検知線が内管の内面側からの摩耗以外で断線することをさらに防止できる。
請求項6に記載の本発明によれば、色分けすることにより、摩耗検知線の破断(非導通)で検知された内管の摩耗位置を含む管軸周りの角度範囲を、輸送管の外側からでも対応色を視認することにより容易に特定可能となる。
請求項7に記載の本発明によれば、摩耗検知線の破断(非導通)で検知された内管の摩耗位置を含む管軸周りの角度範囲との対応づけが容易となる。
請求項8に記載の本発明によれば、内管に発生した摩耗の深さ方向への進行度(摩耗度)を検知することができる。
請求項9に記載の本発明によれば、輸送管のうち摩耗が進行した部分の管軸周りの角度範囲を、導電塗膜で形成された摩耗検知線を用いて検知することができる。
請求項10に記載の本発明によれば、内管の内面と略直交する方向への塗膜面の減少度合いに基づいて、内管に発生した摩耗の深さ方向への進行度を検知することができる。また、例えば塗膜面の幅を広く取ることにより、摩耗検知層を単層とした場合でも摩耗の深さ方向への進行度を検知することが可能となる。
請求項11に記載の本発明によれば、螺旋状に巻回された摩耗検知線を有する輸送管を効率良く成形することができる。
請求項12に記載の本発明によれば、摩耗検知線が導電塗料により形成された輸送管を効率よく成形することができる。また、内管材料の側面に導電塗料を各種の塗装方法や印刷等により予め塗布しておくことができるため、製造が容易となる。
請求項13に記載の本発明によれば、内管のうち摩耗が進行した部分の管軸周りの角度範囲を電気的変化により検知することができる。
請求項14に記載の本発明によれば、内管に発生した摩耗の深さ方向への進行度を検知することができる。また、摩耗の深さ方向への進行度と抵抗値変化の関係が比例的になり、検出が容易となる。
請求項15に記載の本発明によれば、複数の摩耗検知線のうち破断した2本が担当する管軸周りの角度範囲の境界近傍が局所的に摩耗したことを検知することができる。
請求項16に記載の本発明によれば、内管の摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定すると共に、管軸方向の位置範囲を特定することができる。また、摩耗検知に用いる輸送管の総長も節約できる。
請求項17に記載の本発明によれば、内管が摩耗性物質の衝突により局所的な摩耗を受けるとしても、摩耗が生じた部分を異なる角度範囲に移動させることで、内管に生ずる摩耗を管軸周りの各角度範囲に分散させることができる。よって、摩耗限界に達するまでの時間が大幅に長くなり、輸送管全体としての寿命を大きく延伸することができる。
請求項18に記載の本発明によれば、管軸周りに輸送管を回転させて摩耗が生じた部分を異なる角度範囲に移動させることで、内管に生ずる摩耗を管軸周りの各角度範囲に分散させることができる。
請求項19に記載の本発明によれば、輸送管に外力を加えて変形させ摩耗が生じた部分を異なる角度範囲に移動させることで、内管に生ずる摩耗を管軸周りの各角度範囲に分散させることができる。
請求項20に記載の本発明によれば、特に水中において、浮力により輸送管に外力を加えることが容易となる。
請求項21に記載の本発明によれば、機構的外力により輸送管に外力を加えることが容易となる。
請求項22に記載の本発明によれば、移動履歴を考慮することで移動先の角度範囲をさらに適切に設定して、輸送管全体としての寿命を大きく延伸することができる。
請求項23に記載の本発明によれば、輸送管全体としての寿命をさらに大きく延伸することができる。
請求項24に記載の本発明によれば、輸送管の不要な移動を防止することができる。
請求項25に記載の本発明によれば、摩耗を受けやすい角度範囲に位置する内管の部分を所定の稼働時間ごとに変えて、内管に生ずる摩耗を管軸周りの各角度範囲に均一に分散させやすくなる。
請求項26に記載の本発明によれば、内管に生ずる摩耗を管軸周りの各角度範囲に均一に分散させやすくなる。
請求項27に記載の本発明によれば、効率よく輸送管の回転作業を行うことができるとともに、自動化への展開が容易となる。
請求項28に記載の本発明によれば、輸送管の回転角度を把握しやすくなる。
請求項29に記載の本発明によれば、大きなトラブルに至る前に稼働を停止し、検査や輸送管の交換等を行うことができる。
図1は本実施形態による輸送管の第一実施例による運用方法のフローチャート、図2は同輸送管の第二実施例による運用方法のフローチャート、図3は同輸送管の第三実施例による運用方法のフローチャートである。また、図24は輸送管の従来の運用方法のフローチャートである。
輸送管10の両端をそれぞれ継手20を介して配管1に接続し、稼働を開始する(ステップ100)。稼働開始すると、輸送管10の内管11にはスラリー又は摩耗性物質2が流れる。
ステップ100の後、輸送管10の稼働を継続する(ステップ200)。
ステップ200における稼働が一定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ300)。摩耗限界は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより判断する。
ステップ300において、内管11の摩耗が限界に達していないと判断した場合は、ステップ200に戻って稼働を継続する。
ステップ300において、内管11の摩耗が限界に達したと判断した場合は、輸送管10の稼働を停止し、輸送管10を交換する(ステップ400)。
輸送管10の両端をそれぞれ継手20を介して配管1に接続し、稼働を開始する(ステップ1)。稼働開始すると、輸送管10の内管11にはスラリー又は摩耗性物質2が流れる。
ステップ1の後、輸送管10の稼働を継続する(ステップ2)。
ステップ2における稼働が所定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ3)。摩耗限界は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより判断する。
ステップ3において、内管11の摩耗が限界に達したと判断した場合は、輸送管10の稼働を停止し、輸送管10を交換する(ステップ4)。これにより、大きなトラブルに至ることを防止できる。
ステップ3において、内管11の摩耗が限界に達していないと判断した場合は、輸送管10が所定の稼働時間に達したか否かを判断する(ステップ5)。所定の稼働時間は、経験や予測等に基づいて予め設定する。
ステップ5において、輸送管10が所定の稼働時間に達していないと判断した場合は、ステップ2に戻って稼働を継続する。
ステップ5において、輸送管10が所定の稼働時間に達したと判断した場合は、輸送管10を管軸周りに所定の角度だけ回転させる(ステップ6)。所定の角度は、内管11のうち、それまで摩耗進行領域Xに配置されていた部分が、管軸周りの回転によって摩耗進行領域Xとは異なる角度範囲に移動するように、経験や予測等に基づいて予め設定する。ステップ6の後、ステップ2に戻って稼働を継続する。
このように、内管11が摩耗性物質2の衝突により局所的な摩耗を受けるとしても、内管11のうち摩耗進行領域Xに位置する部分をローテーションさせることで摩耗箇所が分散し、摩耗限界に達するまでの時間が大幅に長くなり、輸送管10全体としての寿命(稼働可能な時間)を大きく延伸することができる。
なお、第一実施例では、所定の稼働時間ごとに輸送管10を離散的に回転する方式としているが、電動機等の駆動手段(図示せず)を有する輸送管回転機構を設け、輸送管回転機構による回転速度を所定の稼働時間ごとに所定の角度分輸送管10が管軸周りに回転するように設定し、稼働中は輸送管10を常時、低速で回転させてもよい。稼働中は輸送管10を常に低速で回転させることにより、内管11に生ずる摩耗を管軸周りに均一に分散させやすくなる。また、駆動手段を有する輸送管回転機構を設けることで、効率よく輸送管10の回転作業を行うことができるとともに、自動化への展開が容易となる。
輸送管10の両端をそれぞれ継手20を介して配管1に接続し、稼働を開始する(ステップ11)。稼働開始すると、輸送管10の内管11にはスラリー又は摩耗性物質2が流れる。
ステップ11の後、輸送管10の稼働を継続する(ステップ12)。
ステップ12における稼働が所定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ13)。摩耗限界は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより判断する。
ステップ13において、内管11の摩耗が限界に達したと判断した場合は、輸送管10の稼働を停止し、輸送管10を交換する(ステップ14)。これにより、大きなトラブルに至ることを防止できる。
ステップ13において、内管11の摩耗が限界に達していないと判断した場合は、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かを判断する(ステップ15)。内管11の摩耗量は、測定器等によって測定する。所定の閾値は、経験や予測等に基づいて予め設定する。
ステップ15において、内管11の摩耗量が所定の閾値に達していないと判断した場合は、ステップ12に戻って稼働を継続する。
ステップ15において、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したと判断した場合は、摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定する(ステップ16)。角度範囲は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより特定する。
ステップ16で摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定した後、輸送管10を管軸周りに回転した場合に稼働を継続することが可能か否かを判断する(ステップ17)。この判断は、それまでの輸送管10の回転履歴(移動履歴)を考慮して行う。例えば、まだ一回も管軸周りに輸送管10を回転させていない場合は、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置していた部分は殆ど摩耗していないため、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することが可能と判断し、何回か管軸周りに輸送管10を回転させていて、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置している部分全ての摩耗量が所定の閾値に達したことを検知している場合は、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することは不可能と判断する。
ステップ17において、管軸周りに輸送管10を回転した場合に稼働を継続することが可能と判断した場合は、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な管軸周りの回転角度を選定する(ステップ18)。最も効果的な管軸周りの回転角度は、それまでの輸送管10の回転履歴を考慮して選定する。例えば、内管11のうち摩耗量が最も少ないか、摩耗進行領域Xに位置した回数が最も少ない場所が、回転後に摩耗進行領域Xに位置するように選定する。
ステップ18で輸送管10の最も効果的な管軸周りの回転角度を選定した後、輸送管10を選定した回転角度、回転させる(ステップ19)。これにより、ステップ16で特定した摩耗箇所の管軸周りの角度範囲が、その角度範囲とは異なる角度範囲に移動する。ステップ19の後、ステップ12に戻って稼働を継続する。
ステップ17において、管軸周りに輸送管10を回転した場合に稼働を継続することが不可能と判断した場合は、輸送管10を回転することなくステップ12に戻って稼働を継続する。このように回転履歴を考慮しても移動先となる異なる角度範囲の選定ができない場合は、内管11のうち摩耗進行領域Xに位置していた部分を元の角度範囲に留めることで、輸送管10の不要な回転を防止することができる。
なお、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断するステップ13と、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かを判断するステップ15は、まとめて行ってもよい。
よって、内管11のうち、それまで摩耗進行領域Xに位置していた部分以外の相対的に最も健全な部分が新たに摩耗進行領域Xに位置して局所的摩耗を引き受けることになるため、内管11の摩耗が局所的摩耗により限界に達するまでの時間が大幅に長くなり、輸送管10全体としての寿命を大きく延伸することができる。
輸送管10に外力を加えて変形させる場合は、ステップ17において、輸送管10を管軸周りに回転した場合に稼働を継続することが可能か否かの判断に代えて、輸送管10に外力を加えて変形させた場合に稼働を継続することが可能か否かを判断する。この判断は、それまでの輸送管10に外力を加えた履歴(移動履歴)を考慮して行う。例えば、まだ一回も輸送管10に外力を加えて変形させていない場合は、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置していた部分は殆ど摩耗していないため、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することが可能と判断し、何回か輸送管10に外力を加えて変形させていて、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置している部分全ての摩耗量が所定の閾値に達したことを検知している場合は、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することは不可能と判断する。
また、輸送管10に外力を加えて変形させる場合は、ステップ18において、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な管軸周りの回転角度を選定することに代えて、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な変形後の状態を選定する。最も効果的な変形後の状態は、それまでの輸送管10に外力を加えた履歴を考慮して選定する。例えば、内管11のうち摩耗量が最も少ないか、摩耗進行領域Xに位置した回数が最も少ない場所が、外力による変形後に摩耗進行領域Xに位置するように選定する。
輸送管10の両端をそれぞれ継手20を介して配管1に接続し、稼働を開始する(ステップ21)。稼働開始すると、輸送管10の内管11にはスラリー又は摩耗性物質2が流れる。
ステップ21の後、輸送管10の稼働を継続する(ステップ22)。
ステップ22における稼働が一定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ23)。摩耗限界は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより判断する。
ステップ23において、内管11の摩耗が限界に達したと判断した場合は、輸送管10の稼働を停止し、輸送管10を交換する(ステップ24)。これにより、大きなトラブルに至ることを防止できる。
ステップ23において、内管11の摩耗が限界に達していないと判断した場合は、輸送管10が所定の稼働時間に達したか否かを判断する(ステップ25)。所定の稼働時間は、経験や予測等に基づいて予め設定する。
ステップ25において、所定の稼働時間に達していないと判断した場合は、ステップ22に戻って稼働を継続する。
ステップ25において、所定の稼働時間に達したと判断した場合は、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かを判断する(ステップ26)。内管11の摩耗量は、測定器等によって測定する。所定の閾値は、経験や予測等に基づいて予め設定する。
ステップ26において、内管11の摩耗量が所定の閾値に達していないと判断した場合は、輸送管10を管軸周りに所定の角度だけ回転させる(ステップ27)。所定の角度は、内管11のうち、それまで摩耗進行領域Xに配置されていた部分が、管軸周りの回転によって摩耗進行領域Xとは異なる角度範囲に移動するように、経験や予測等に基づいて予め設定する。ステップ27の後、ステップ22に戻って稼働を継続する。
ステップ26において、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したと判断した場合は、摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定する(ステップ28)。角度範囲は、内管11について目視検査や導通試験等を実施することにより特定する。
ステップ28で摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定した後、輸送管10を管軸周りに回転した場合に稼働を継続することが可能か否かを判断する(ステップ29)。この判断は、それまでの輸送管10の回転履歴(移動履歴)を考慮して行う。例えば、まだ一回も管軸周りに輸送管10を回転させていない場合は、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置していた部分は殆ど摩耗していないため、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することが可能と判断し、何回か管軸周りに輸送管10を回転させていて、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置している部分全ての摩耗量が所定の閾値に達したことを検知している場合は、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することは不可能と判断する。
ステップ29において、管軸周りに輸送管10を回転した場合に稼働を継続することが可能と判断した場合は、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な管軸周りの回転角度を選定する(ステップ30)。最も効果的な管軸周りの回転角度は、それまでの輸送管10の回転履歴を考慮して選定する。例えば、内管11のうち摩耗量が最も少ないか、摩耗進行領域Xに位置した回数が最も少ない場所が、回転後に摩耗進行領域Xに位置するように選定する。
ステップ30で輸送管10の最も効果的な管軸周りの回転角度を選定した後、輸送管10を選定した回転角度、回転させる(ステップ31)。これにより、ステップ28で特定した摩耗箇所の管軸周りの角度範囲が、その角度範囲とは異なる角度範囲に移動する。ステップ31の後、ステップ22に戻って稼働を継続する。
ステップ29において、管軸周りに輸送管10を回転した場合に稼働を継続することが不可能と判断した場合は、輸送管10を回転することなくステップ22に戻って稼働を継続する。このように回転履歴を考慮しても移動先となる異なる角度範囲の選定ができない場合は、内管11のうち摩耗進行領域Xに位置していた部分を元の角度範囲に留めることで、輸送管10の不要な回転を防止することができる。
なお、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断するステップ23と、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かを判断するステップ26は、まとめて行ってもよい。
したがって、内管11の摩耗が局所的摩耗により限界に達するまでの時間が大幅に長くなり、輸送管10全体としての寿命を大きく延伸することができる。
なお、第三実施例では、内管11の摩耗量が所定の閾値に達していない場合は所定の稼働時間ごとに輸送管10を離散的に回転する方式としているが、電動機等の駆動手段を有する輸送管回転機構を設け、輸送管回転機構による回転速度を所定の稼働時間ごとに所定の角度分輸送管10が管軸周りに回転するように設定し、稼働中は輸送管10を常時、低速で回転させてもよい。稼働中は輸送管10を常に低速で回転させることにより、内管11に生ずる摩耗を管軸周りに均一に分散させやすくなる。また、駆動手段を有する輸送管回転機構を設けることで、効率よく輸送管10の回転作業を行うことができるとともに、自動化への展開が容易となる。
輸送管10に外力を加えて変形させる場合は、ステップ29において、輸送管10を管軸周りに回転した場合に稼働を継続することが可能か否かの判断に代えて、輸送管10に外力を加えて変形させた場合に稼働を継続することが可能か否かを判断する。この判断は、それまでの輸送管10に外力を加えた履歴(移動履歴)を考慮して行う。例えば、まだ一回も輸送管10に外力を加えて変形させていない場合は、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置していた部分は殆ど摩耗していないため、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することが可能と判断し、何回か輸送管10に外力を加えて変形させていて、内管11のうち摩耗進行領域X以外に位置している部分全ての摩耗量が所定の閾値に達したことを検知している場合は、それらの部分を摩耗進行領域Xに新たに位置させて稼働を継続することは不可能と判断する。
また、輸送管10に外力を加えて変形させる場合は、ステップ30において、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な管軸周りの回転角度を選定することに代えて、輸送管10の寿命を延伸する上で最も効果的な変形後の状態を選定する。最も効果的な変形後の状態は、それまでの輸送管10に外力を加えた履歴を考慮して選定する。例えば、内管11のうち摩耗量が最も少ないか、摩耗進行領域Xに位置した回数が最も少ない場所が、外力による変形後に摩耗進行領域Xに位置するように選定する。
なお、輸送管10を可撓性を持たせて構成し、回転させることと外力を加えることを組み合わせて異なる角度範囲に移動させることも可能である。
本例の輸送管回転機構は、機構が簡素で安価である。殆どの場合、現行の配管設定のままで輸送管10の回転が実現できる。
なお、フランジ継手20は締結したままにしておき、フランジ付き金具と輸送管10との間の相対的角度位置を適宜ずらす方式にしてもよい。
回転管継手20には、回転角度把握手段として、輸送管10の管軸周りの一定角度ごと(例えば30度ごと)にノッチを設けたり、回転角度を示す目盛を設けたりしておくと、回転作業時に輸送管10の回転角度を把握しやすくなる。
回転管継手20の輸送管10側フランジには、回転作業用の取っ手やハンドル30などを適宜設けておくと、テコの原理により輸送管10の回転が容易になる。輸送管10がホースのような可撓管で長い場合には、輸送管10の捩れを防止するため、図5に示すように輸送管10の両端10a、10bを同時かつ同方向に回すことが望ましいが、輸送管10が鋼管のような高剛性管である場合や可撓管であっても短い場合には、輸送管10の一方の端部10a(又は他方の端部10b)のみを回すことにより輸送管10全体を回転させてもよい。
本例の輸送管回転機構によれば、配管系を稼働したまま輸送管10を回転することができるので、輸送管10の回転に要する手間を減らし作業時間を大幅に短縮できる。
摩耗検知情報の処理及び輸送管回転角度の決定や電動回転機構40の操作などは人間が手動で行ってもよいが、図6に示すように専用の計測・制御装置50を設け、専用プログラムによるコンピューター制御とすることも可能である。コンピューター制御の場合、輸送管10からの摩耗検知情報と電動回転機構40からの輸送管回転角度情報が計測・制御装置50への入力となり、電動回転機構40への輸送管回転制御信号が計測・制御装置50からの出力となる。なお、本例では輸送管側フランジの回転に電動回転機構40を用いたが、油圧、水圧、空気圧、又は電磁気力等、任意の駆動力による回転機構を用いることもできる。
本例の輸送管回転機構によれば配管系を稼働したまま輸送管10を回転することができるので、輸送管10の回転に要する手間を減らし作業時間を大幅に短縮できる。また、輸送管10からの摩耗検知情報に基づいて的確な輸送管回転角度を割り出し、電動回転機構40により正確な輸送管回転制御を行うことができる。また、コンピューター制御による自動化が可能となる。
輸送管変形機構は、輸送管10の一方の端部10aと他方の端部10bとの中間部分に設けられた浮力発生手段60であり、外力としての浮力を輸送管10に加える。浮力発生手段60を用いることにより、特に水中にある輸送管10に外力を加えることが容易となる。なお、大気中にある輸送管10に浮力発生手段60を用いることもできる。
浮力発生手段60は、空気やガス等の気体の出し入れによって膨張及び収縮する膨縮部61を有する。なお、気体の出し入れは外部からのオン/オフ操作等により行う。
図7(a)に示すように、膨縮部61が内部に気体が充満しておらず収縮しているときには、輸送管10は、自重及び浮力発生手段60の重さによって垂れ下がった状態である。また、図7(b)に示すように、気体を入れて膨縮部61を膨張させると、浮力発生手段60に浮力が発生し、浮力発生手段60の浮力が輸送管10に加わり、輸送管10の中間部分が持ち上げられた状態に変形する。
このように浮力発生手段60に作用する浮力を制御し、輸送管10に浮力を加えて変形させることで、輸送管10の中間部分の位置を上下反転させることができる。このとき輸送管10は、管軸周りに回転せず、図7(a)に示す状態から図7(b)に示す状態へ、又は図7(b)に示す状態から図7(a)に示す状態へと変形することにより、一方の端部10aと他方の端部10bとの間に形成された4カ所の曲がり部のうち、摩耗性物質2の衝突により局所的に著しい摩耗損傷を受けやすい曲がり外側部分が上下で入れ替わる。これにより、内管11のうち、それまで摩耗進行領域Xに配置されていた部分が摩耗進行領域Xとは異なる角度範囲に移動することになり、輸送管10を管軸周りに180度回転させた場合と同様の効果を得ることができる。
また、輸送管変形機構は、浮力発生手段60に代えて、輸送管10の中間部分をワイヤー等の吊具を用いて牽引する懸吊機や、輸送管10の中間部分を載せて上下に動く架台等の機構手段を用いて構成することもできる。さらに、例えば輸送管10の中間部分を載せて動く架台を上下のみならず左右にも動くように構成し、架台を下→左→上→右の順に移動させれば、架台の動きに伴って輸送管10が変形し、中間部分の位置も下→左→上→右の順に変わるため、内管11のうち、摩耗進行領域Xに配置されている部分が順次移動し、輸送管10を管軸周りに90度ずつ回転した場合と同様の効果を得ることができる。
なお、輸送管10を可撓性を持たせて構成し、回転させることと外力を加えることを組み合わせて異なる角度範囲に移動させる場合には、例えば輸送管回転機構と輸送管変形機構を組み合わせて用いることができる。また、輸送管回転機構により可撓性を有した輸送管10を回転させることによる回転と、回転に伴う輸送管10の変形を利用して実現することもできる。
本実施形態による輸送管の運用方法による寿命延伸効果を検証するため、輸送管の一種である耐摩耗ホースと模擬鉱石スラリーを用いたスラリー循環式摩耗試験を実施し、上記した従来の運用方法(比較例)と第三実施例による運用方法の比較検証を行った。
螺旋状ライナーの形成方法としては、まずSUS304鋼製のテープ(断面寸法:厚さ2mm×幅10mm)を外径70mmの鋼製パイプに適当な張力をかけた状態で螺旋状に巻き付け、そのまま張力を保ってテープがパイプに密着した状態で工業用耐摩耗ホース10の内管11に挿入した後、テープ端の張力を解放して螺旋を径方向に膨らませ、内管11に密着させて螺旋状ライナーを形成した。ここで、最終的な螺旋状ライナーのホース管軸方向の隙間は約2mmであった。ホース端からホース管軸方向に撮影した螺旋状ライナー付き耐摩耗ホース10の内部の概観写真を図8に、工業用内視鏡を用いて撮影した螺旋状ライナーの近接写真を図9にそれぞれ示す。
図10に示すように、上流側の耐摩耗ホース(ライナーなし)1にフランジ付き金具(継手)20を介して螺旋状ライナー付き耐摩耗ホース10を連結してホース摩耗試験部αとした。実際の使用状況を考慮してホース摩耗試験部αには曲率を持たせており、ホース摩耗試験部αにおける耐摩耗ホース10の最小曲率半径は2.2mとした。なお、螺旋状ライナー付き耐摩耗ホース10を連結する際には、螺旋状ライナー端部を内管11と接続用のフランジ付き金具20の間に挟み、耐摩耗ホース10の外側から締め付け用器具で締め付けることにより螺旋状ライナー端部を固定した。また、摩耗試験部αの下流側には流量計5を設けている。
スラリー中の模擬鉱石には、ある程度粒径の揃った市販の砕石(生産品名:単粒度砕石S−20(5号)(茨城県笠間産)、岩質:硬質砂岩(堆積岩)、絶乾密度:2.65g/cm3、平均粒径:約19mm)を用いた。
試験時の模擬鉱石投入量(1回分)は25kgとし、移送水は淡水を使用した。試験中、スラリーの模擬鉱石濃度は約5%(体積濃度)であった。
螺旋状ライナー付き耐摩耗ホース10をホース摩耗試験部αに装着し、図24に示すフローチャートに従って、耐摩耗ホース10の管軸周り角度を固定したままスラリー循環式摩耗試験を実施した。
図24に示すフローチャートでは、稼働が所定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ300)が、摩耗試験では、試験時間(稼働時間)が、10時間、16時間、18時間を経過したそれぞれの時点で、耐摩耗ホース10を取り外して内部観察を行い、螺旋状ライナーの状態を調べた。最終的に内管11の摩耗が限界に達したと判断された時点(本試験の場合は螺旋状ライナーの破断が確認された時点)で摩耗試験は終了とし、それまでの試験時間をもって耐摩耗ホース10の寿命と定義した。
図24に示すフローチャートに基づいた摩耗試験では、試験時間が18時間経過した時点で上流側のホース端から78.8cm下流側に離れた位置の鉛直下側(下面側)の螺旋状ライナーが破断した。工業用内視鏡による螺旋状ライナーの破断箇所の観察写真を図11に示す。
螺旋状ライナー付き耐摩耗ホース10をホース摩耗試験部αに装着し、図3に示すフローチャートに従って、管軸周りに耐摩耗ホース10を適宜回転させながらスラリー循環式摩耗試験を実施した。
図3に示すフローチャートでは、稼働が所定の時間を経過した後、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断する(ステップ23)が、摩耗試験では、試験時間(稼働時間)が4時間を経過するごとに、耐摩耗ホース10を取り外して内部観察を行い、螺旋状ライナーの状態を調べた。また、それと同時に、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かの判断を行った(ステップ26)。すなわち本試験では、内管11の摩耗が限界に達したか否かを判断するステップ23と、内管11の摩耗量が所定の閾値に達したか否かを判断するステップ26を、まとめて実施した。
1.図13は耐摩耗ホースの管軸周りの角度位置を示す図である。配管1と耐摩耗ホース10との接続に使用しているフランジ付き金具(継手)20を上流側から眺め、図13に示すように、耐摩耗ホース10の管軸周りのボルト穴の角度位置に応じて位置番号(1)〜(8)を振る。これらの位置番号は、耐摩耗ホース10の回転に伴って耐摩耗ホース10と一緒に回転するものとする。
2.スラリー循環式摩耗試験では、試験の開始時に耐摩耗ホース10は角度位置(1)が鉛直上側、角度位置(2)が鉛直下側となるように装着しておき、試験時間が4時間経過するごとに、角度位置が(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(1)、(2)、・・・の順で鉛直上側となるように耐摩耗ホース10を管軸周りに回転していく。
他方、ステップ29において、管軸周りに耐摩耗ホース10を回転させた場合に試験の継続が不可能と判断した場合には、それ以上の耐摩耗ホース10の回転は行わず、そのままステップ22に戻って摩耗試験を継続することとした。最終的に、ステップ23において内管11の摩耗が限界に達したと判断された時点(本試験の場合は螺旋状ライナーの破断が確認された時点)で摩耗試験は終了とし、それまでの摩耗試験経過時間をもって耐摩耗ホース10の寿命と定義した。
表1に、スラリー循環式摩耗試験結果の比較を示す。耐摩耗ホース10を固定したまま回転させない輸送管の運用方法(図24に示すフローチャート)に従って試験した比較例と、管軸周りに耐摩耗ホース10を適宜回転させる輸送管の運用方法(図3に示すフローチャート)に従って試験した第三実施例とでは、螺旋状ライナーが破断するまでの摩耗試験時間は、比較例が18時間、第三実施例が36時間となり、第三実施例による輸送管の運用方法では、耐摩耗ホース10の寿命が比較例の2倍に延伸されることが判明した。
図16は図15を見やすくした参考図であり、図16(a)は図15(c)を管軸方向に伸ばした図、図16(b)は図15(d)を管軸方向に伸ばした図、図16(c)は図15(e)を管軸方向に伸ばした図である。
図17は同輸送管の内管に設けた摩耗検知線及び共通線の形状と内管を示す図であり、図17(a)は摩耗検知線及び共通線の形状と内管を斜め横方向から見た図、図17(b)は(a)の内管を透明化した図である。
図18は図17を見やすくした参考図であり、図18(a)は図17(a)を管軸方向に伸ばした図、図18(b)は図17(b)を管軸方向に伸ばした図である。
図19は同輸送管の内管の成形方法を示す図である。
摩耗検知線A〜D及び共通線Eを内管11に螺旋状に巻回して配置することで、輸送管10の曲率が大きい場所でも摩耗検知線A〜D及び共通線Eが断線し難くなり、特に大きな曲がり部を有する輸送管10に適用した場合に信頼性を高めることができる。
なお、螺旋状に巻回するのではなく、所定の角度範囲内で円周方向に往復を繰り返しながら管軸方向に延びる配置としてもよい。
このように摩耗検知線A〜Dを配置することで、摩耗検知線A〜Dごとに摩耗検知を担当する角度範囲の部分を明確に区分けすることができ、内管11に摩耗損傷が生じた場合に、摩耗損傷個所の管軸周りの角度範囲を特定することができる。なお、共通線Eは、内管11の外周のみに巻回されている。摩耗損傷個所の管軸周りの角度範囲の特定に当たっては、複数の摩耗検知線A〜Dと共通線Eに電圧を印加し摩耗検知線A〜Dの摩耗又は断線を電気的変化として検知する。この際、摩耗検知線A〜Dのいずれかが破断して導通が無くなったことの検知も、また摩耗検知線A〜Dのいずれかが摩耗して抵抗が変化したことの検知も、どちらとも可能である。
また、複数の摩耗検知線A〜Dが結線される共通線Eを有することで、輸送管10の一方の端部10aだけで導通検査を行うことができるため、作業効率が向上する。また、一方の端部10aだけで導通検査を行う場合に、例えば複数の摩耗検知線A〜Dのそれぞれに戻り線を設ける必要が無くなり、戻り線を共通線Eで共用化できる。
図19に示すように棒状又は板状の内管材料11Aを螺旋形に巻回して内管11を成形する場合は、図17(a)に示すように1本の棒状又は板状の内管材料11Aに対して金属等の電導体からなる4本の摩耗検知線A〜D及び1本の共通線Eをあてがうように配置し、これらを一体として螺旋形に巻回し、内管材料11Aの隣接側面を順次接着していくことにより輸送管10が完成する。
本実施形態による製造方法によれば、効率良く5条螺旋の摩耗検知線A〜D及び共通線E付き内管11を有する輸送管10を製造することができる。なお、摩耗検知線が2本、共通線Eが1本の場合は、3条螺旋となる。
さらに、図20に示すように、導電塗膜の塗膜面が内管11の内面と略直交する方向に形成されるように、すなわち導電塗膜の塗膜面が内管11の深さ方向に所定の幅をもって形成されるように、導電塗料を塗布している。内管11が厚肉の場合には、摩耗検知範囲の摩耗が深さ方向に進行するにつれて導電塗膜の導通面積が次第に減じていくため、摩耗検知層を単層とした場合であっても、摩耗検知線A〜Dの抵抗値を連続的に測定して導電塗膜の導通面積の減少による抵抗値の変化を検出することにより、内管11に発生した摩耗検知範囲の摩耗の深さ方向への進行度(摩耗度)を定量的に把握することができる。また、摩耗の深さ方向への進行度と抵抗値変化の関係が比例的になり、検出が容易となる。
この場合、保護層または補強層の外面は、各摩耗検知線A〜Dの摩耗検知範囲(担当する管軸周りの角度範囲)と対応づけて色分けしておくことが好ましい。このように色分けすることにより、摩耗検知線A〜Dの破断(非導通)で検知された内管11の摩耗位置を含む管軸周りの角度範囲を、輸送管10の外側からでも対応色を視認することにより容易に特定可能となる。
さらに、摩耗検知線A〜Dや共通線Eは必ずしも被覆しておく必要は無いが、保護層又は補強層を設け、保護層又は補強層の外面に各摩耗検知線A〜Dの摩耗検知範囲と対応づけて色分けする場合は、摩耗検知線A〜Dの破断(非導通)で検知された内管11の摩耗位置を含む管軸周りの角度範囲との対応づけを容易にするため、保護層又は補強層外面の色分けと同じ色に被覆しておくことが好ましい。
なお、図21では、2層の摩耗検知層を形成した場合を示している。図21(a)は2層の摩耗検知層を管軸方向に見た図、図21(b)は2層の摩耗検知層を斜め上方向から見た図である。
摩耗検知機能をもつ輸送管10Aは、必ずしも輸送管10の全長に亘って配置する必要はなく、図22に斜線で示した部分のように輸送管10のなかでも曲率が大きい部分等、予め局所的な摩耗の進行が予想されるような部分にのみ配置することも可能である。
このように部分的に摩耗検知機能をもつ輸送管10Aを配置することにより、内管11の摩耗箇所の管軸周りの角度範囲を特定するのみならず、管軸方向の位置範囲を特定することができる。また、摩耗検知に用いる輸送管10Aの総長も節約できる。
なお、図22に斜線で示した部分(摩耗検知機能をもつ輸送管10A)以外の輸送管10Bに、摩耗検知線A〜D等を配置しない通常の輸送管を用いた場合は、摩耗検知機能をもつ輸送管10Aの導通検査は各々の箇所について個別に行う。
また、図22に斜線で示した部分(摩耗検知機能をもつ輸送管10A)以外の輸送管10Bに、摩耗検知線A〜Dを共通線Eと同じ深さに巻回した接続用輸送管を用いた場合は、接続用輸送管は内管11の摩耗検知機能はもたないが、連結された摩耗検知機能をもつ輸送管10Aの摩耗検知線A〜D及び共通線Eを接続する機能を有する。この場合、摩耗検知機能をもつ輸送管10Aの導通検査は輸送管全体に対して行うことができる。
10 輸送管
11 内管
11A 内管材料
60 浮力発生手段
A 摩耗検知線
B 摩耗検知線
C 摩耗検知線
D 摩耗検知線
E 共通線
Claims (29)
- 摩耗性物質と液体の混合したスラリー又は前記摩耗性物質の輸送に用いる輸送管であって、前記輸送管の内管の内部、又は前記内管の外周及び内部に、管軸周りの角度範囲に応じて複数の摩耗検知線を配置した構造を備えたことを特徴とする摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 前記摩耗検知線を、螺旋状に巻回して配置したことを特徴とする請求項1に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 複数の前記摩耗検知線を、担当する前記角度範囲では相対的に前記内管の内面に近い位置を通り、担当外の前記角度範囲では相対的に前記内管の前記内面から遠い位置又は前記内管の前記外周を通るように配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 複数の前記摩耗検知線が結線される共通線を有したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 前記内管の外側に保護層又は補強層を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 複数の前記摩耗検知線が配置された管軸周りの前記角度範囲に応じて、前記保護層又は前記補強層を複数の色に色分けして形成したことを特徴とする請求項5に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 複数の前記摩耗検知線が、前記複数の色の前記色分けに対応した色の被覆を有したことを特徴とする請求項6に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 前記内管と前記摩耗検知線を多層に配置し、深さ方向への摩耗の進行を検出可能としたことを特徴とする請求項1から請求項7のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 前記摩耗検知線が、導電塗膜で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 前記導電塗膜の塗膜面が、前記内管の内面と略直交する方向に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管。
- 請求項1から請求項10のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管の製造方法であって、棒状又は板状の内管材料に複数の前記摩耗検知線を配置し、前記内管材料と複数の前記摩耗検知線を巻回し、前記内管材料の隣接側面を順次接着していくことにより前記輸送管を完成することを特徴とする輸送管の製造方法。
- 前記内管材料の側面に導電塗料を、管軸周りの前記角度範囲に応じて塗布して前記導電塗膜を形成したことを特徴とする請求項9又は請求項10を引用する請求項11に記載の輸送管の製造方法。
- 請求項1から請求項10のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管を用いた摩耗検知方法であって、複数の前記摩耗検知線に電圧を印加し前記摩耗検知線の摩耗又は断線を電気的変化として検知することにより、摩耗のあった前記内管の管軸周りの前記角度範囲を特定することを特徴とする摩耗検知方法。
- 前記導電塗膜の導通面積の減少による抵抗値の変化を検出して前記摩耗を検知することを特徴とする請求項10を引用する請求項13に記載の摩耗検知方法。
- 複数の前記摩耗検知線のうち前記角度範囲が隣り合う2本の前記摩耗検知線の同時、又は相次ぐ前記電気的変化を検知することにより、2つの前記角度範囲の境界領域が摩耗したことを検知することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の摩耗検知方法。
- 請求項1から請求項10のうちの1項に記載の摩耗検知機能をもつ輸送管を用いた摩耗検知方法であって、輸送系統の摩耗の想定される箇所にのみ前記輸送管を用いたことを特徴とする摩耗検知方法。
- 請求項13から請求項16のうちの1項に記載の摩耗検知方法を用いた輸送管の運用方法であって、管軸周りの特定した前記角度範囲を、前記角度範囲とは異なる角度範囲に移動させることを特徴とする輸送管の運用方法。
- 前記異なる角度範囲に移動させるように、管軸周りに前記輸送管を回転させることを特徴とする請求項17に記載の輸送管の運用方法。
- 前記異なる角度範囲に移動させるように、前記輸送管を可撓性を持たせて構成し、前記輸送管に外力を加えて変形させることを特徴とする請求項17に記載の輸送管の運用方法。
- 前記外力は、浮力発生手段による浮力であることを特徴とする請求項19に記載の輸送管の運用方法。
- 前記外力は、懸吊機、架台を含む機構手段による機構的外力であることを特徴とする請求項19に記載の輸送管の運用方法。
- 前記異なる角度範囲の選定に当って、前記輸送管の移動履歴を考慮して選定することを特徴とする請求項17から請求項21のうちの1項に記載の輸送管の運用方法。
- 前記移動履歴を考慮して、前記輸送管の寿命を延伸する上で最も効果的な角度範囲に前記異なる角度範囲を設定することを特徴とする請求項22に記載の輸送管の運用方法。
- 前記移動履歴を考慮しても前記異なる角度範囲の選定ができない場合は、元の前記角度範囲に留めることを特徴とする請求項22に記載の輸送管の運用方法。
- 所定の稼働時間が経過したら、所定の範囲だけ前記輸送管を移動させることを特徴とする請求項17から請求項24のうちの1項に記載の輸送管の運用方法。
- 前記輸送管を常時、低速で移動させることを特徴とする請求項17から請求項24のうちの1項に記載の輸送管の運用方法。
- 管軸周りに前記輸送管を回転させるに当り、電動機を含む駆動手段を用いて回転させることを特徴とする請求項18を引用する請求項22から請求項26のうちの1項に記載の輸送管の運用方法。
- 管軸周りに前記輸送管を回転させたときの回転角度を、前記輸送管を管軸周りに回転可能とする回転管継手に設けた回転角度把握手段により把握することを特徴とする請求項27に記載の輸送管の運用方法。
- 前記輸送管の摩耗限界を判断し、前記輸送管の稼働を停止することを特徴とする請求項17から請求項28のうちの1項に記載の輸送管の運用方法。
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