JP2018084180A - オイルフィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】オイルフィルタの交換作業時にハウジング内の残留オイルがオイル流入口及びオイル流出口から垂れ落ちてしまうことを防止できるオイルフィルを提供する。【解決手段】本オイルフィルタ1は、ハウジング2と、ろ材3と、支持筒4と、逆止弁9と、開閉弁5と、を備える。そして、記開閉弁は、弁体31と、付勢体(コイルバネ32)と、を備え、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合により、弁体は、付勢体の付勢力に抗してユニオンボルトの先端側に押圧されて、ユニオンボルトの先端側との間でユニオンボルトの内側空間Scと下流空間Sbとを連通する連通路39を形成し、オイル流出口のメスネジとユニオンボルトとの螺合の解除により、弁体は、付勢体の付勢力によりハウジングの底面部2aにおいてオイル流出口8の外周側表面に当接してオイル流出口を閉鎖する。【選択図】図1
Description
本発明は、オイルフィルタに関し、さらに詳しくは、エンジンオイルをろ過してエンジンの潤滑経路に流入させるオイルフィルタに関する。
従来のオイルフィルタとして、エンジンオイルをろ過してエンジンの潤滑経路に流入させるものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、例えば、図7に示されるように、筒状のハウジング102と、ハウジング102内に軸心を一致して収容される筒状のろ材103と、ハウジングの底面部102aから立ち上げられてろ材103の内周側を支持する支持筒104と、を備えるオイルフィルタ101が記載されている。このオイルフィルタ101では、ハウジングの底面部102aには、ろ材103の外側の上流空間Saに連なるオイル流入口107及びろ材103の内側の下流空間Sbに連なるオイル流出口108が形成されており、オイル流出口108の内周側に形成されたメスネジ113とエンジン111に設けられた管状のユニオンボルト112との螺合により、エンジン111にハウジング102が取り付けられる。さらに、ハウジング102の底面部102aには、上流空間Saからオイル流入口107に向かうオイルの流通を規制する逆止弁109が備えられている。
しかし、上記従来のオイルフィルタ101では、オイル流入口107でのオイルの逆流を防止する逆止弁109が備えられているが、オイル流入口108を開閉する開閉弁が何ら備えられていない。そのため、オイルフィルタ101の交換作業時に、エンジン111からハウジング102を取り外したときに、逆止弁109によりハウジング102内の上流空間Saに溜められた残留オイルが、ろ材103を通過して下流空間Sb内に至りオイル流出口108から垂れ落ちてしまう。その結果、周辺部品や床面等の清掃が必要となり作業性が低下してしまう。特に、エンジン111に対してオイルフィルタ101が上向き搭載されている場合には、オイルフィルタ101の交換作業時の残留オイルが垂れ落ちてしまい易い。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、オイルフィルタの交換作業時にハウジング内の残留オイルがオイル流入口及びオイル流出口から垂れ落ちてしまうことを防止できるオイルフィルを提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に軸心を一致して収容される筒状のろ材と、前記ハウジングの底面部から立ち上げられて前記ろ材の内周側を支持する支持筒と、を備え、前記ハウジングの底面部には、前記ろ材の外側の上流空間に連なるオイル流入口及び前記ろ材の内側の下流空間に連なるオイル流出口が形成されており、前記オイル流出口の内周側に形成されたメスネジとエンジンに設けられた管状のユニオンボルトとの螺合により、前記エンジンに前記ハウジングが取り付けられるオイルフィルタであって、前記上流空間から前記オイル流入口に向かうオイルの流通を規制する逆止弁と、前記オイル流出口を開閉する開閉弁と、を備え、前記開閉弁は、前記支持筒の立ち上げ側の内側で前記支持筒の軸方向に沿って移動可能な弁体と、前記弁体を前記オイル流出口に向かって付勢する付勢体と、を備え、前記オイル流出口のメスネジと前記ユニオンボルトとの螺合により、前記弁体は、前記付勢体の付勢力に抗して前記ユニオンボルトの先端側に押圧されて、前記ユニオンボルトの先端側との間で前記ユニオンボルトの内側空間と前記下流空間とを連通する連通路を形成し、前記オイル流出口のメスネジと前記ユニオンボルトとの螺合の解除により、前記弁体は、前記付勢体の付勢力により前記ハウジングの底面部において前記オイル流出口の外周側表面に当接して前記オイル流出口を閉鎖することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記連通路は、前記ユニオンボルトの先端側に設けられた切欠き部により形成されることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記弁体は、その外周側と前記支持筒の内周側との間にオイル流通路を形成することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記開閉弁は、前記支持筒の内側において前記弁体よりも前記オイル流出口から遠い側に設けられる受け体を備え、前記付勢体は、前記弁体と前記受け体との間に介装されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記受け体は、オイル流通穴を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が前記支持筒の内周側に接合されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記開閉弁は、前記付勢体の付勢力による前記弁体の移動を規制する移動規制部を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記連通路は、前記ユニオンボルトの先端側に設けられた切欠き部により形成されることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記弁体は、その外周側と前記支持筒の内周側との間にオイル流通路を形成することを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記開閉弁は、前記支持筒の内側において前記弁体よりも前記オイル流出口から遠い側に設けられる受け体を備え、前記付勢体は、前記弁体と前記受け体との間に介装されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記受け体は、オイル流通穴を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が前記支持筒の内周側に接合されていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、前記開閉弁は、前記付勢体の付勢力による前記弁体の移動を規制する移動規制部を備えることを要旨とする。
本発明のオイルフィルタによると、上流空間からオイル流入口に向かうオイルの流通を規制する逆止弁と、オイル流出口を開閉する開閉弁と、を備える。そして、開閉弁は、支持筒の立ち上げ側の内側で支持筒の軸方向に沿って移動可能な弁体と、弁体をオイル流出口に向かって付勢する付勢体と、を備える。さらに、オイル流出口のメスネジとユニオンボルトとの螺合により、弁体は、付勢体の付勢力に抗してユニオンボルトの先端側に押圧されて、ユニオンボルトの先端側との間でユニオンボルトの内側空間と下流空間とを連通する連通路を形成し、オイル流出口のメスネジとユニオンボルトとの螺合の解除により、弁体は、付勢体の付勢力によりハウジングの底面部においてオイル流出口の外周側表面に当接してオイル流出口を閉鎖する。これにより、オイルフィルタの交換作業時において、エンジンからハウジングを取り外すときに、逆止弁によりオイル流入口が閉鎖され且つ開閉弁によりオイル流出口が閉鎖される。よって、ハウジング内の残留オイルは、逆止弁及び開閉弁によりハウジング内に保持され、オイル流入口及びオイル流入口から垂れ落ちてしまうことが防止される。その結果、周辺部品や床面等の清掃を必ずしも実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。
また、前記連通路が、前記ユニオンボルトの先端側に設けられた切欠き部により形成される場合は、適正なオイル流量となる連通路を容易に設定できる。
また、前記弁体が、その外周側と前記支持筒の内周側との間にオイル流通路を形成する場合は、適正なオイル流量となるオイル流通路を容易に設定できる。
また、前記開閉弁が、前記支持筒の内側において前記弁体よりも前記オイル流出口から遠い側に設けられる受け体を備え、前記付勢体が、前記弁体と前記受け体との間に介装されている場合は、開閉弁を簡易且つ安価な構造にできる。
また、前記受け体が、オイル流通穴を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が前記支持筒の内周面に接合されている場合は、適正なオイル流量となるオイル流通穴を容易に設定できるとともに、支持筒に対して受け体を強固に接合できる。
さらに、前記開閉弁が、前記付勢体の付勢力による前記弁体の移動を規制する移動規制部を備える場合は、移動規制部により支持筒内からの弁体の飛び出しが規制される。よって、開閉弁を内蔵した支持筒として容易に取り扱うことができる。
また、前記連通路が、前記ユニオンボルトの先端側に設けられた切欠き部により形成される場合は、適正なオイル流量となる連通路を容易に設定できる。
また、前記弁体が、その外周側と前記支持筒の内周側との間にオイル流通路を形成する場合は、適正なオイル流量となるオイル流通路を容易に設定できる。
また、前記開閉弁が、前記支持筒の内側において前記弁体よりも前記オイル流出口から遠い側に設けられる受け体を備え、前記付勢体が、前記弁体と前記受け体との間に介装されている場合は、開閉弁を簡易且つ安価な構造にできる。
また、前記受け体が、オイル流通穴を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が前記支持筒の内周面に接合されている場合は、適正なオイル流量となるオイル流通穴を容易に設定できるとともに、支持筒に対して受け体を強固に接合できる。
さらに、前記開閉弁が、前記付勢体の付勢力による前記弁体の移動を規制する移動規制部を備える場合は、移動規制部により支持筒内からの弁体の飛び出しが規制される。よって、開閉弁を内蔵した支持筒として容易に取り扱うことができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例に係るオイルフィルタの縦断面図である。
図1の要部拡大図であり、(a)はエンジンにハウジングを取り付けた状態を示し、(b)はエンジンからハウジングを取り外した状態を示す。
実施例に係る開閉弁を説明するための分解斜視図である。
上記開閉弁を内蔵した支持筒の縦断面図である。
他の形態のオイルフィルタを説明するための説明図である。
更なる他の形態のオイルフィルタを説明するための説明図であり、(a)はエンジンにハウジングを取り付けた状態を示し、(b)はエンジンからハウジングを取り外した状態を示す。
従来のオイルフィルタの縦断面図である。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
<オイルフィルタ>
本実施形態に係るオイルフィルタは、筒状のハウジング(2)と、ハウジング内に軸心を一致して収容される筒状のろ材(3)と、ハウジングの底面部(2a)から立ち上げられてろ材(3)の内周側を支持する支持筒(4)と、を備え、ハウジングの底面部(2a)には、ろ材の外側の上流空間(Sa)に連なるオイル流入口(7)及びろ材の内側の下流空間(Sb)に連なるオイル流出口(8)が形成されており、オイル流出口(8)の内周側に形成されたメスネジ(13)とエンジン(11)に設けられた管状のユニオンボルト(12)との螺合により、エンジン(11)にハウジング(2)が取り付けられるオイルフィルタ(1)である(例えば、図1等参照)。そして、上流空間(Sa)からオイル流入口(7)に向かうオイルの流通を規制する逆止弁(9)と、オイル流出口(8)を開閉する開閉弁(5)と、を備える。
本実施形態に係るオイルフィルタは、筒状のハウジング(2)と、ハウジング内に軸心を一致して収容される筒状のろ材(3)と、ハウジングの底面部(2a)から立ち上げられてろ材(3)の内周側を支持する支持筒(4)と、を備え、ハウジングの底面部(2a)には、ろ材の外側の上流空間(Sa)に連なるオイル流入口(7)及びろ材の内側の下流空間(Sb)に連なるオイル流出口(8)が形成されており、オイル流出口(8)の内周側に形成されたメスネジ(13)とエンジン(11)に設けられた管状のユニオンボルト(12)との螺合により、エンジン(11)にハウジング(2)が取り付けられるオイルフィルタ(1)である(例えば、図1等参照)。そして、上流空間(Sa)からオイル流入口(7)に向かうオイルの流通を規制する逆止弁(9)と、オイル流出口(8)を開閉する開閉弁(5)と、を備える。
上記開閉弁(5)は、支持筒(4)の立ち上げ側の内側で支持筒の軸方向に沿って移動可能な弁体(31)と、弁体(31)をオイル流出口(8)に向かって付勢する付勢体(32)と、を備える(例えば、図2等参照)。そして、オイル流出口(8)のメスネジ(13)とユニオンボルト(12)との螺合により、弁体(31)は、付勢体(32)の付勢力に抗してユニオンボルト(12)の先端側に押圧されて、ユニオンボルトの先端側との間でユニオンボルトの内側空間(Sc)と下流空間(Sb)とを連通する連通路(39)を形成し、オイル流出口(8)のメスネジ(13)とユニオンボルト(12)との螺合の解除により、弁体(31)は、付勢体(32)の付勢力によりハウジングの底面部(2a)においてオイル流出口(8)の外周側表面に当接してオイル流出口(8)を閉鎖する。
本実施形態に係るオイルフィルタとしては、例えば、上記連通路(39)は、ユニオンボルト(12)の先端側に設けられた切欠き部(14)により形成される形態(例えば、図3等参照)を挙げることができる。
本実施形態に係るオイルフィルタとしては、例えば、上記弁体(31)は、その外周側と支持筒(4)の内周側との間にオイル流通路(35)を形成する形態(例えば、図2等参照)を挙げることができる。
本実施形態に係るオイルフィルタとしては、例えば、上記開閉弁(5)は、支持筒(4)の内側において弁体(31)よりもオイル流出口(8)から軸方向に遠い側に設けられる受け体(33)を備え、付勢体(32)は、弁体(31)と受け体(33)との間に介装されている形態(例えば、図2等参照)を挙げることができる。
上述の形態の場合、例えば、上記受け体(33)は、オイル流通穴(36)を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が支持筒(4)の内周側に接合されていることができる(例えば、図2等参照)。
本実施形態に係るオイルフィルタとしては、例えば、上記開閉弁(5)は、付勢体(32)の付勢力による弁体(31)の移動を規制する移動規制部(34)を備える形態(例えば、図4等参照)を挙げることができる。
なお、上記オイルフィルタを構成するハウジング、ろ材、支持筒の材質、形状、構成等は特に問わない。また、上記開閉弁を構成する弁体、付勢体、受け体、移動規制部の材質、形状、構成等は特に問わない。さらに、上記実施形態で記載した各構成の括弧内の符号は、後述する実施例に記載の具体的構成との対応関係を示すものである。
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「オイルフィルタ」として、ろ材の交換時にハウジングを含め全体が交換されるスピンオン型のオイルフィルタを例示する。さらに、エンジンに対して上向き搭載されるオイルフィルタを例示する。
(1)オイルフィルタの構成
本実施例に係るオイルフィルタ1は、図1に示すように、円筒状のハウジング2と、ハウジング2内に軸心を一致して収容される筒状のろ材3と、ハウジング2の底面部2aから立ち上げられてろ材3の内周側を支持する円筒状の支持筒(「プロテクタ」とも称される。)4と、を備えている。このオイルフィルタ1は、後述する逆止弁9及び開閉弁5を備えている。
本実施例に係るオイルフィルタ1は、図1に示すように、円筒状のハウジング2と、ハウジング2内に軸心を一致して収容される筒状のろ材3と、ハウジング2の底面部2aから立ち上げられてろ材3の内周側を支持する円筒状の支持筒(「プロテクタ」とも称される。)4と、を備えている。このオイルフィルタ1は、後述する逆止弁9及び開閉弁5を備えている。
上記ハウジング2の底面部2aには、ろ材3の外側の上流空間Saに連なるオイル流入口7及びろ材3の内側の下流空間Sbに連なるオイル流出口8が形成されている。このオイル流出口8の内周側(具体的に、後述の突起部18の内周側)には、エンジン11に設けられた管状のユニオンボルト12と螺合するメスネジ13が形成されている。そして、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合により、エンジン11にハウジング2が取り付けられる。具体的に、ユニオンボルト12の外周側には、エンジン11用のオスネジ5aと、オイルフィルタ1用のオスネジ5bと、が軸方向に並んで形成されている(図3参照)。このオスネジ5aは、エンジン11と螺合され、オスネジ5bは、エンジン11の表面から突出しており、オイル流出口8のメスネジ13と螺合される。すなわち、ユニオンボルト12は、エンジン11とオイルフィルタ1とを連結するボルトである。
上記ユニオンボルト12の軸方向に延びる内側空間Scは、エンジン11の潤滑経路を構成している。さらに、ユニオンボルト12の先端側には、円周方向に沿って所定間隔で複数の切欠き部14が設けられている(図3参照)。これら各切欠き部14は、ユニオンボルト12の先端から軸方向に凹んで形成されている。さらに、各切欠き部14は、後述の連通路39を形成する。
上記ハウジング2は、有底筒状で金属製のケース16と、ケース16の軸端開口を塞ぐ金属製のボトムプレート17と、を備えている。このボトムプレート17には、その中心側に上方に突出する筒状の突起部18が設けられている。この突起部18には、その内周側にオイル流出口8が形成されており、その外周側に逆止弁9が装着されている。また、ボトムプレート17のオイル流出口8の外周側には、円周方向に沿って所定間隔で複数のオイル流入口7が形成されている(図3参照)。また、ボトムプレート17の底面には、環状で金属製の支持プレート19が溶着等で接合されている。この支持プレート19の外周端側は、ケース16の開口端側にカシメ等により接合されている。また、支持プレート19には、エンジン11の搭載面との間をシールするガスケット20が装着されている。
上記ろ材3は、ろ紙等からなり、ひだ折り筒状(「菊花状」とも称される。)に形成されている。このろ材3の軸端面のそれぞれには、環状のシール材22a、22bが設けられている。一方のシール材22aは、ハウジング2の天井部2bの内側に配置される蓋体23に圧接している。また、他方のシール材22bは、逆止弁9に圧接している。これら各シール材22a、22bの圧接により、ハウジング2の内側空間は、ろ材3の外側の上流空間Saとろ材3の内側の下流空間Sbとに仕切られている。
上記支持筒4は、金属製である。この支持筒4は、ろ材3を支持する部分に多数の貫通穴4aが形成されている。また、支持筒4の立ち上げ側の軸端側は、逆止弁9に装着されている。さらに、支持筒4の一方の軸端側(上端側)には、上流空間Saと下流空間Sbとの圧力差が所定値以上となったときに、上流空間Saのオイルをろ材3を通過せずに下流空間Sbにバイパスさせるリリーフ弁25が備えられている。
上記逆止弁9は、ハウジング2の底面部2aに備えられている。この逆止弁9は、ゴム等の弾性材からなり、環状に形成されている。また、逆止弁9は、オイル流入口7から上流空間Saに向かうオイルの流通を許容する一方、上流空間Saからオイル流入口7に向かうオイルの流通(即ち、逆流)を規制する。
上記開閉弁5は、図2及び図3に示すように、支持筒4の立ち上げ側の内側に備えられている。この開閉弁5は、オイル流出口8を開閉するものである。また、開閉弁5は、支持筒4の立ち上げ側の内側で支持筒4の軸方向に沿って移動可能な弁体31と、支持筒4の内側において弁体31よりもオイル流出口8から軸方向に遠い側に設けられる受け体33と、弁体31と受け体33との間に介装されて弁体31をオイル流出口8に向かって付勢するコイルバネ(本発明に係る「付勢体」として例示する。)32と、を備えている。この開閉弁5は、コイルバネ32の付勢力による弁体31の移動を規制する移動規制部34を備えている。
上記弁体31は、樹脂製である。この弁体31は、円盤状のバルブ31aと、バルブ31aの中心側から軸方向に延びる軸部31bと、軸部31bの一端側に設けられる頭部31cと、を備えている。このバルブ31aは、突起部18の先端面に当接してオイル流出口8を閉鎖可能な大きさに形成されている。また、バルブ31aは、支持筒4の内径より小さな外径を有しており、その外周側と支持筒4の内周側との間にはオイル流通路35が形成される。
上記受け体33は、オイル流通穴36を有するプレート状に形成されている。具体的に、受け体33は、円板部33aと、円板部33aの外周側から立ち上がる筒部33bと、を備えている。この円板部33aには、その中央側に凹部37が形成されているとともに、凹部37を横切るようにオイル流通穴36が形成されている。このオイル流通穴36は、頭部31c及び軸部31bが挿通可能な大きさに形成されている。そして、頭部31cをオイル流通穴36に挿通してから弁体31を軸方向に回転させることで、頭部31cが凹部37に入り込み可能とされている(図2(b)参照)。さらに、受け体33は、その外周側(具体的に、筒部33b)が支持筒4の内周側に溶着等により接合されている。
上記開閉弁5では、図2(a)に示すように、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力に抗してユニオンボルト12の先端側に押圧されて、ユニオンボルト12の先端側との間でユニオンボルト12の内側空間Scと下流空間Sbとを連通する連通路39を形成する(即ち、オイル流出口8を開放する)。一方、図2(b)に示すように、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合の解除により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力によりハウジング2の底面部2aにおいてオイル流出口8の外周側表面(具体的に、突起部18の先端面)に当接してオイル流出口8を閉鎖する。
なお、本実施例では、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合を解除する途中で弁体31がオイル流出口8を閉鎖するものとするが、これに限定されず、例えば、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合が完全に解除された瞬間に弁体31がオイル流出口8を閉鎖するようにしてもよい。
上記移動規制部34は、図4に示すように、ハウジング2の底面部2aから支持筒4を取り外した状態で、コイルバネ32の付勢力による弁体31の移動を規制している。具体的に、ハウジング2の底面部2aから支持筒4を取り外すと、コイルバネ32の付勢力により、弁体31は、突起部18の先端から離れて支持筒4の一端開口に向かって移動するが、弁体31の頭部31cが受け体33の凹部37上に係止することで弁体31の移動が規制される。すなわち、本実施例では、移動規制部34は、受け体33により構成されている。
(2)オイルフィルタの作用
次に、上記構成のオイルフィルタ1の作用について説明する。エンジン稼働時には、図1に示すように、エンジンオイル(図中破線矢印で示す。)は、逆止弁9を押し上げてオイル流入口7を通ってハウジング2内の上流空間Saに流入し、ろ材3を通過して塵埃などの異物がろ過されてから、支持筒4の貫通穴4aを通って下流空間Sbに至る。そして、下流空間Sbに至ったエンジンオイルは、図2(a)に示すように、オイル流通穴36、オイル流通路35及び連通路39を通ってユニオンボルト12の内側空間Scに流入されてエンジン11の潤滑対象部に送られる。
次に、上記構成のオイルフィルタ1の作用について説明する。エンジン稼働時には、図1に示すように、エンジンオイル(図中破線矢印で示す。)は、逆止弁9を押し上げてオイル流入口7を通ってハウジング2内の上流空間Saに流入し、ろ材3を通過して塵埃などの異物がろ過されてから、支持筒4の貫通穴4aを通って下流空間Sbに至る。そして、下流空間Sbに至ったエンジンオイルは、図2(a)に示すように、オイル流通穴36、オイル流通路35及び連通路39を通ってユニオンボルト12の内側空間Scに流入されてエンジン11の潤滑対象部に送られる。
一方、オイルフィルタ1の交換作業時には、図2(b)に示すように、ユニオンボルト12に対するオイル流出口8のメスネジ13の螺合を緩めると、コイルバネ32の付勢力により弁体31が突起部18の先端面に当接してオイル流出口8を閉鎖する。そのため、ハウジング2内の残留オイルは、逆止弁9及び開閉弁5によりハウジング2内に保持されることとなる。
(3)実施例の効果
本実施例のオイルフィルタ1によると、上流空間Saからオイル流入口7に向かうオイルの流通を規制する逆止弁9と、オイル流出口8を開閉する開閉弁5と、を備える。そして、開閉弁5は、支持筒4の立ち上げ側の内側で支持筒4の軸方向に沿って移動可能な弁体31と、弁体31をオイル流出口8に向かって付勢するコイルバネ32と、を備える。さらに、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力に抗してユニオンボルト12の先端側に押圧されて、ユニオンボルト12の先端側との間でユニオンボルト12の内側空間Scと下流空間Sbとを連通する連通路39を形成し、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合の解除により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力によりハウジング2の底面部2aにおいてオイル流出口8の外周側表面に当接してオイル流出口8を閉鎖する。これにより、オイルフィルタ1の交換作業時において、エンジン11からハウジング2を取り外すときに、逆止弁9によりオイル流入口7が閉鎖され且つ開閉弁5によりオイル流出口8が閉鎖される。よって、ハウジング2内の残留オイルは、逆止弁9及び開閉弁5によりハウジング2内に保持され、オイル流入口7及びオイル流入口8から垂れ落ちてしまうことが防止される。その結果、周辺部品や床面等の清掃を必ずしも実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。
本実施例のオイルフィルタ1によると、上流空間Saからオイル流入口7に向かうオイルの流通を規制する逆止弁9と、オイル流出口8を開閉する開閉弁5と、を備える。そして、開閉弁5は、支持筒4の立ち上げ側の内側で支持筒4の軸方向に沿って移動可能な弁体31と、弁体31をオイル流出口8に向かって付勢するコイルバネ32と、を備える。さらに、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力に抗してユニオンボルト12の先端側に押圧されて、ユニオンボルト12の先端側との間でユニオンボルト12の内側空間Scと下流空間Sbとを連通する連通路39を形成し、オイル流出口8のメスネジ13とユニオンボルト12との螺合の解除により、弁体31は、コイルバネ32の付勢力によりハウジング2の底面部2aにおいてオイル流出口8の外周側表面に当接してオイル流出口8を閉鎖する。これにより、オイルフィルタ1の交換作業時において、エンジン11からハウジング2を取り外すときに、逆止弁9によりオイル流入口7が閉鎖され且つ開閉弁5によりオイル流出口8が閉鎖される。よって、ハウジング2内の残留オイルは、逆止弁9及び開閉弁5によりハウジング2内に保持され、オイル流入口7及びオイル流入口8から垂れ落ちてしまうことが防止される。その結果、周辺部品や床面等の清掃を必ずしも実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。
また、本実施例では、連通路39は、ユニオンボルト12の先端側に設けられた切欠き部14により形成される。これにより、適正なオイル流量となる連通路39を容易に設定できる。
また、本実施例では、弁体31は、その外周側と支持筒4の内周側との間にオイル流通路35を形成する。これにより、適正なオイル流量となるオイル流通路35を容易に設定できる。
また、本実施例では、開閉弁5は、支持筒4の内側において弁体31よりもオイル流出口8から遠い側に設けられる受け体33を備え、コイルバネ32は、弁体31と受け体33との間に介装されている。これにより、開閉弁を簡易且つ安価な構造にできる。
また、本実施例では、受け体33は、オイル流通穴36を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が支持筒4の内周面に接合されている。これにより、適正なオイル流量となるオイル流通穴36を容易に設定できるとともに、支持筒4に対して受け体33を強固に接合できる。
さらに、本実施例では、開閉弁5は、コイルバネ32の付勢力による弁体31の移動を規制する移動規制部34を備える。これにより、移動規制部34により支持筒4内からの弁体31の飛び出しが規制される。よって、開閉弁5を内蔵した支持筒4として容易に取り扱うことができる。
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、移動規制部として、弁体31の頭部31cが係止して弁体31の移動を規制する受け体33を例示したが、これに限定されず、例えば、図5に示すように、支持筒4の軸端側に折り曲げ部41(移動規制部)を設け、折り曲げ部41で弁体31の移動を規制してもよい。さらに、例えば、コイルバネ32と弁体31とを連結部(移動規制部)で連結して弁体31の移動を規制してもよい。
また、上記実施例では、ユニオンボルト12の先端側の切欠き部14により連通路39を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、図6に示すように、切欠き部39に代えて又は加えて、弁体31に形成された凹部42により連通路39を形成するようにしてもよい。この凹部42は、通常、弁体31の円周方向に沿って所定間隔で複数設けられる。
また、上記実施例では、付勢体として、弁体31と受け体33との間に介装される圧縮コイルバネ32を例示したが、これに限定されず、例えば、弁体31とハウジング2の底面部2aとの間に介装される引張コイルバネとしてもよい。さらに、上記実施例では、付勢体としてコイルバネ32を例示したが、これに限定されず、例えば、付勢体として、皿バネ、板バネ、弾性材等を採用してもよい。
また、上記実施例では、弁体31の外周側と支持筒4の内周側との間にオイル流通路35を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、弁体31の外周側に貫通穴を形成し、貫通穴によりオイル流通穴を構成してもよい。
また、上記実施例では、オイル流通穴36を有するプレート状の受け体33を例示したが、これに限定されず、例えば、支持筒4の内周側に複数の突片を設け、これら各突片で受け体を構成してもよい。さらに、例えば、支持筒4の周壁を内側に凹ませてなる凹部を設け、凹部で受け体を構成してもよい。
さらに、上記実施例では、エンジン11に対して上向き搭載されるオイルフィルタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、エンジン11に対して横向き搭載や下向き搭載されるオイルフィルタとしてもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
本発明は、エンジンオイルを濾過するオイルフィルタとして広く利用される。
1;オイルフィルタ、2;ハウジング、2a;底面部、3;ろ材、4;支持筒、5;開閉弁、7;オイル流入口、8;オイル流出口、9;逆止弁、11;エンジン、12、ユニオンボルト、13;メスネジ、14;切欠き部、31;弁体、32;コイルバネ、33;受け体、34;移動規制部、35;オイル流通路、36;オイル流通穴、39;連通路、Sa;上流空間、Sb;下流空間、Sc;ユニオンボルトの内側空間。
Claims (6)
- 筒状のハウジングと、前記ハウジング内に軸心を一致して収容される筒状のろ材と、前記ハウジングの底面部から立ち上げられて前記ろ材の内周側を支持する支持筒と、を備え、前記ハウジングの底面部には、前記ろ材の外側の上流空間に連なるオイル流入口及び前記ろ材の内側の下流空間に連なるオイル流出口が形成されており、前記オイル流出口の内周側に形成されたメスネジとエンジンに設けられた管状のユニオンボルトとの螺合により、前記エンジンに前記ハウジングが取り付けられるオイルフィルタであって、
前記上流空間から前記オイル流入口に向かうオイルの流通を規制する逆止弁と、
前記オイル流出口を開閉する開閉弁と、を備え、
前記開閉弁は、前記支持筒の立ち上げ側の内側で前記支持筒の軸方向に沿って移動可能な弁体と、前記弁体を前記オイル流出口に向かって付勢する付勢体と、を備え、
前記オイル流出口のメスネジと前記ユニオンボルトとの螺合により、前記弁体は、前記付勢体の付勢力に抗して前記ユニオンボルトの先端側に押圧されて、前記ユニオンボルトの先端側との間で前記ユニオンボルトの内側空間と前記下流空間とを連通する連通路を形成し、
前記オイル流出口のメスネジと前記ユニオンボルトとの螺合の解除により、前記弁体は、前記付勢体の付勢力により前記ハウジングの底面部において前記オイル流出口の外周側表面に当接して前記オイル流出口を閉鎖することを特徴とするオイルフィルタ。 - 前記連通路は、前記ユニオンボルトの先端側に設けられた切欠き部により形成される請求項1記載のオイルフィルタ。
- 前記弁体は、その外周側と前記支持筒の内周側との間にオイル流通路を形成する請求項1又は2に記載のオイルフィルタ。
- 前記開閉弁は、前記支持筒の内側において前記弁体よりも前記オイル流出口から遠い側に設けられる受け体を備え、
前記付勢体は、前記弁体と前記受け体との間に介装されている請求項1乃至3のいずれか一項に記載のオイルフィルタ。 - 前記受け体は、オイル流通穴を有するプレート状に形成されているとともに、その外周側が前記支持筒の内周側に接合されている請求項4記載のオイルフィルタ。
- 前記開閉弁は、前記付勢体の付勢力による前記弁体の移動を規制する移動規制部を備える請求項1乃至5のいずれか一項に記載のオイルフィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016227166A JP2018084180A (ja) | 2016-11-22 | 2016-11-22 | オイルフィルタ |
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2016
- 2016-11-22 JP JP2016227166A patent/JP2018084180A/ja active Pending
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