JP2018080144A - シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体 - Google Patents

シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】水溶性、形状安定性および加工性が高い、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体を提供する。【解決手段】シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体であって、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを1:1〜7:1の質量比で含み、多孔質であり、かつ、水溶性である、成形体。【選択図】図1

Description

本発明は、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体に関する。
シルクフィブロインおよびコラーゲンは、いずれも、化粧料または医薬品の原料として広く使用されてきたタンパク質である。
特許文献1には、シルクフィブロイン水溶液とアシル化アテロコラーゲン水溶液とを均一に混合し、これを乾燥させて、シルクフィブロインとアシル化アテロコラーゲンの複合膜を製造する方法が記載されている。ここで、アシル化アテロコラーゲンを用いた理由は、可溶化領域が中性pH域であるシルクフィブロイン水溶液と酸性のアテロコラーゲン水溶液を混合すると、混合水溶液のpHがシルクフィブロインの等電点以下となりシルクフィブロインが沈殿するので(段落[0008]に詳細に記載)、これを避けるために中性pH域で溶解性を示すアシル化アテロコラーゲンを用いたものである。また、シルクフィブロインとアシル化アテロコラーゲンの複合膜の具体的な製造方法を開示した実施例1および実施例2では、スクシニル化またはミリスチル化したアテロコラーゲン水溶液とシルクフィブロイン水溶液との混合液(実施例2ではテトラサイクリンも混合)を、25℃環境下において12時間以上かけて乾燥させる態様が開示されている。
また、特許文献2には、コラーゲンペプチド、シルクフィブロイン等の水溶性基材を電界紡糸することにより水溶性電界紡糸シートを得る技術が開示されている。
特開平11−228837号公報 国際公開第2009/031620号
特許文献1には、アテロコラーゲン(アシル化していないもの)を用いることについては何ら開示されていない。また、特許文献1に記載の方法によって得られるシルクフィブロインとアシル化アテロコラーゲンの複合膜は、多孔質状のものではない。
同様に、特許文献2にもアテロコラーゲンを用いることについては何ら開示されていない。アテロコラーゲンは、紡糸溶液に適した溶媒に溶解させることが困難である。したがって、特許文献2に記載の技術により、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体を得ることは現実的でない。
本発明は、水溶性、形状安定性および加工性が高い、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、シルクフィブロインとアテロコラーゲンの配合割合を巧みに設定すると、上記課題を解決するシルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]である。
[1] シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体であって、
前記シルクフィブロインと前記アテロコラーゲンとを1:1〜7:1の質量比で含み、多孔質であり、かつ、水溶性である、成形体。
[2] 三次元形状、シート状、不織布状またはフェルト状の外観形状を有する、上記[1]に記載の成形体。
[3] さらに、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]または[2]に記載の成形体。
[4] アシル化アテロコラーゲンを含まない、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の成形体。
[5] 皮膚に用いられる、上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の成形体。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の成形体の製造方法であって、
シルクフィブロインとアテロコラーゲンを1:1〜7:1の質量比で含む水溶液を調製する第一工程と、
前記第一工程で調製した水溶液を凍結乾燥して成形体を得る第二工程と、
を備える、成形体の製造方法。
[7] 前記第一工程における水溶液が、さらに、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[6]に記載の製造方法。
[8] 前記第二工程の後に、さらに、前記成形体をシート状に加工する第三工程を備える、上記[6]または[7]に記載の製造方法。
本発明によれば、水溶性、形状安定性および加工性が高い、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体を提供することができる。
本発明の成形体は水に溶け易い特性を有する。このため、特に、化粧料の用途に適する。
実施例4の成形体の(a)外観写真と(b)表面の走査型電子顕微鏡像である。なお、図1(b)中のスケールバーは100μmを表す。 実施例4の成形体を圧縮したシート状物の(a)外観と(b)断面の走査型電子顕微鏡像である。なお、図2(b)中のスケールバーは100μmを表す。
(シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体)
本発明のシルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体(以下「本発明の成形体」という。)は、シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを1:1〜7:1の質量比で含む。
また、本発明の成形体は、多孔質である。
さらに、本発明の成形体は、水溶性である。
本発明の成形体を構成するシルクフィブロインおよびアテロコラーゲンは、いずれも水溶性を示すことが肝要であり、公知の方法によって取得したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
シルクフィブロインを取得するための公知の方法として、例えば、特開平7−67687号公報に記載された水溶性絹フィブロインの製造法および特開2009−292743号公報に記載された絹フィブロイン粉末の製造方法等を挙げることができる。なお、シルクフィブロインの由来は、特に限定されることはなく、例えば、チョウ目、蜂目、およびクモ目等が挙げられるが、好ましくはチョウ目であり、より好ましくはチョウ目カイコガ科であり、さらに好ましくはカイコガ(学名:Bombyx mori)である。また、市販品としては、例えば、株式会社松田養蚕場の商品名「ナノフィブロイン」を挙げることができる。
アテロコラーゲンは、コラーゲンから抗原決定基であるテロペプタイドが除去されたものである。アテロコラーゲンの特徴の1つは、アテロコラーゲンの可溶化水溶液に適当な緩衝液を添加して適度なイオン強度およびpHにすると、再フィブリル化(線維化ともいう)し、D周期性の横縞が観察されることである。なお、アテロコラーゲンには、本発明の成形体の成形形状が維持される限りにおいてペプチド、アミノ酸、またはゼラチン等が含有されていてもよい。
アテロコラーゲンは、哺乳類、魚介類、鳥類、または爬虫類等の生物原料のコラーゲン含有組織から公知の方法によって取得することができるものであり、好適にはヒトとの共通のウイルスを有さない魚類由来のものである。各種用途への適用性の観点から変性温度が比較的高いものが好ましく、好例としてはオレオクロミス属由来のアテロコラーゲンである。オレオクロミス属の中でも中国から東南アジアにかけて食用として主力に養殖されており入手が容易であるティラピアが特に好ましい。
魚類由来のアテロコラーゲンは、例えば、特許第4863433号公報または特許第5692770号公報等に記載の方法によって取得することができる。取得法の一態様を鱗の例で簡単に説明すると、酸によって脱灰した鱗をペプシン等のプロテアーゼを用いて処理することによりコラーゲンをアテロ化し、必要に応じて精製処理を行うことでアテロコラーゲンを取得することができる。精製処理には、例えば、塩析法、特許第5522857号公報に記載のpHが7以下の活性炭を用いる方法等を適用することができる。
本発明の成形体中のシルクフィブロインとアテロコラーゲンの質量比は、1:1〜7:1の範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは3:1〜7:1の範囲内であり、より好ましくは3:1〜5:1の範囲内である。なお、「範囲内」には範囲の両端を含む。
シルクフィブロインとアテロコラーゲンは、化粧料としての好適な特性であるうるおい感、もっちり感、成膜感、とろみ感等を共に有するものであるが、当該特性はアテロコラーゲンの質量割合に対してシルクフィブロインの質量割合を同等以上とすることによってより効果に発揮させることができる。一方、シルクフィブロインの質量割合がアテロコラーゲンの質量割合の7倍よりも大きい場合には、圧縮してシート状に加工することが可能な成形体を得ることができない。
本発明の成形体において、多孔質を形成する孔の孔径は、特に限定されないが、平均孔径として、好ましくは50〜500μmであり、より好ましくは70〜250μmである。
ここで、平均孔径は、走査型電子顕微鏡観察を用いて測定したものである。走査型電子顕微鏡観察による平均孔径の求め方としては、最表面に観察される孔の数が少なくとも30個である一定区画内において、当該孔の最大個数がn(個;nは1以上の自然数)であるときに、平均孔径={Σ(孔iの最大幅+孔iの最小幅)/2}/n(但し、i=1〜n)の数式によって算出する方法が挙げられる。平均孔径を求めるための走査型電子顕微鏡像の倍率としては、100倍程度が好適である。
本発明の成形体において、水溶性とは、成形体1質量部に対し、25℃の蒸留水30質量部を噴霧し、1分後の溶解率が90%以上であることをいう。当該溶解率は、好ましくは95%であり、より好ましくは97%以上である。特に、本発明の成形体を用時調製型化粧料として用いる用途においては、少量の水で速やかに溶解する特性を有するものであることが好ましい。とりわけ、本発明の成形体は多孔質の性状を有するが故に、成形体内への水の浸入性に優れ、水に溶解し易い性質を発揮する。
なお、本発明の成形体が成形体としての形状を有しているかを評価するための簡便な一方法は、本発明の成形体を圧縮したときに、得られた圧縮物が粉を発生することなく圧縮された成形形状を保持できているかを評価するものである。
本発明の成形体の外観形状については、三次元形状、シート状、不織布状またはフェルト状であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。三次元形状としては、例えば、立方体状、直方体状、円柱状、球状、楕円球状、円錐状、角錘状等が挙げられる。また、一旦所定の形状に作製したものを別の形状に加工した態様も本発明に含まれる。加工方法は、圧縮、切断、切削等の公知の方法を用いることができる。
また、本発明の成形体の外観形状がシート状の場合、本発明の成形体として最初からシート状に作製したものであってもよい。また、シート状の別の一態様は、三次元形状(例えば、立方体状、直方体状等)を有する本発明の成形体をシート状に圧縮したものである。圧縮程度は用途に応じて適宜設定することが好ましい。当該別の一態様は、不織布状またはフェルト状の外観形状を有するものを作製するのに好適な方法でもある。いずれの形状であっても、多孔質であり水溶性であれば、本発明の成形体の範疇に含まれる。
本発明の成形体は、コラーゲンとして、吸湿し易いアシル化アテロコラーゲンではなく、吸湿し難いアテロコラーゲンを用いているため、収縮等の形状変化が起き難く、形状安定性が高いといえるものである。そして、本発明の成形体は、圧縮、切断、および切削等の形状加工性にも優れている。
本発明の成形体は、好ましくはアシル化アテロコラーゲンを含まない。アシル化アテロコラーゲンを含まないことにより、成形体が吸湿して収縮することを避けることができる。
本発明の成形体は、さらに任意の成分として、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる。
ビタミンC誘導体は、一般に、ビタミンCと比べて安定性が向上しており、さらに酸化され難いという性質が付与されたものである。ビタミンC誘導体は、生体への適用に支障のないものであることが好ましく、用途に応じて適宜最適なものを選択することが好ましい。ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の含有割合は、本発明の成形体に対して1〜50質量%の範囲であることが好ましい。
本発明の成形体は、シルクフィブロインとアテロコラーゲンを主成分とするものであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内において、その他要素を含有するものであってもよい。その他要素としては、例えば、ヒアルロン酸、アルギン酸、コンドロイチン硫酸、プロテオグリカン、ゼラチン、トレハロース、マンニトール、プルラン等が挙げられる。なお、上記「主成分」の具体的範囲としては、本発明の成形体中のシルクフィブロインとアテロコラーゲンの合計が50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、さらにより好ましくは80質量%以上であり、最も好ましくは90質量%以上である。
(製造方法)
本発明の成形体の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)シルクフィブロインとアテロコラーゲンを1:1〜7:1の質量比で含む水溶液(以下「混合液」という。)を調製する第一工程
(2)混合液を凍結乾燥して成形体を得る第二工程
上記混合液は、所望により、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
所望により、第二工程の後に、さらに、以下の工程を含んでもよい。
(3)成形体をシート状に加工する第三工程
本発明の成形体の製造方法は、水分以外については系外への逸失が実質的にないため、原料に由来する成分量がそのまま最終的に得られる製品に保持されるものである。
(第一工程)
混合液の調製方法は、固体のシルクフィブロインと固体のアテロコラーゲンを水に溶解する方法、シルクフィブロイン水溶液とアテロコラーゲン水溶液を混合する方法、シルクフィブロイン水溶液に固体のアテロコラーゲンを溶解する方法、アテロコラーゲン水溶液に固体のシルクフィブロインを溶解する方法等が挙げられ、いずれであってもよい。
好適な一形態は、アテロコラーゲン水溶液にシルクフィブロイン水溶液を徐々に添加する方法である。当該形態による調製方法は、混合時に凝集物が発生し難いという利点を有する。また、調製された混合液のpHを4〜5の範囲となるように設定することが好ましく、これにより混合液中でシルクフィブロインとアテロコラーゲンの両方が溶解状態を保つことが容易となる。
混合液中のアテロコラーゲンの含有量は適宜設定すればよいが、0.2〜1質量%の範囲が好ましい。混合液中のシルクフィブロインおよびアテロコラーゲンの混合比は、成形体中の質量比と同様の割合とすることが好ましい。
(第二工程)
凍結乾燥処理の方法は公知の方法を採用すればよい。凍結乾燥条件は、常法により多孔質状となるように適宜設定すればよく、特に限定されないが、凍結温度を、好ましくは−10〜−60℃、より好ましくは−20〜−50℃の範囲内とし、凍結乾燥時間を、好ましくは0.5〜60時間、より好ましくは1〜48時間の範囲内とする。
凍結乾燥処理において、混合液を収容する容器は、目的とする製品形状に適合する形状を有する容器を選択することが好ましい。
混合液には、必要に応じて、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含有させてもよいが、シルクフィブロインとアテロコラーゲンが溶解状態を保つように混合液のpHを適宜調整することが好ましい。ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の添加時期は、混合液の調製中であってもよいし、調製後であってもよい。混合液中において、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種は溶解していることが好ましいが、目的や用途によっては必ずしも完全に溶解している必要はなく、分散状態であってもよい。
(第三工程)
本発明の成形体の製造方法には、第一工程および第二工程に加えて、任意実施の他の工程も包含されるものである。例えば、第二工程で得られた本発明の成形体を圧縮してシート状に成形する工程を第三工程として実施してもよい。当該第三工程によって得られる成形体も水溶性を有するように、圧縮方法を適宜選択することが好ましい。通常は、常法による圧縮方法を採用すればよい。また、第二工程で得られた本発明の成形体を切断、切削等の加工方法によって形状を整える工程を第三工程として実施してもよい。切断、切削等の加工方法は、常法により実施すればよい。
(用途)
本発明の成形体の好適な用途として化粧料を例示することができ、例えば、保湿剤、化粧水、クリーム等が挙げられる。化粧料への本発明の成形体の適用の仕方は用途に応じて使い分ければよく、例えば、本発明の成形体をそのまま化粧料製品として用いてもよいし、化粧料製品中の一構成要素として用いてもよい。また、本発明の成形体は、用時調製としての使用用途にとりわけ適しており、例えば、使用者が使用時に本発明の成形体を水や化粧水等で溶解させ、これを所定部位の肌に塗布する用例が挙げられる。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(シルクフィブロイン水溶液)
シルクフィブロイン水溶液として、(株)松田養蚕場製「ナノフィブロイン」(シルクフィブロイン濃度:5.5質量%)をカートリッジフィルタ(孔径1μm)でろ過し、必要に応じ精製水で適宜希釈したものを用いた。
(アテロコラーゲン水溶液)
アテロコラーゲン水溶液として、ティラピアの鱗から製造された多木化学(株)製「3重らせんコラーゲン FD−48WL」(スポンジ品)をpH3のHCl水溶液に溶解した無色透明溶液を用いた。
〔実施例1〜13、比較例1〕
アテロコラーゲン水溶液にシルクフィブロイン水溶液を撹拌下で徐々に添加し、シルクフィブロインとアテロコラーゲンが溶解した混合液を得た。なお、一部実施例において、混合液にビタミンCを添加した。次に、混合液を24ウェルプレートに注入した後、−35℃で18時間凍結乾燥し、成形体を得た。
表1に、混合液の製造に用いた各原料の濃度、質量比、および含有量、ならびに混合液のpHを示す。なお、表1中、ビタミンC含有率は、最終的に得られた成形体の含水率を0質量%として、ビタミンC添加量から算出したものである。
実施例4の成形体(直径約14mm,厚み約4mm)の写真を図1に示した。図1(a)は、外観写真であり、ピンセットでつまめる程の強度を有するものである。図1(b)は、表面の走査型電子顕微鏡像(日本電子(株)製「JSM−6010LA」)(倍率100倍)であり、多孔質状であることが分かる。
実施例1〜13および比較例1の各成形体1質量部に対し、25℃の蒸留水30質量部を噴霧し1分後の溶解率を測定した結果、溶解率は100%であった。
実施例1〜13の成形体は、圧縮してシート状に加工することができた。図2に、実施例4の成形体(直径約14mm,厚み0.2〜0.4mm)を圧縮したシート状物の写真を示した。図2(a)は、外観写真であり、ピンセットでつまめる程の強度を有するものである。図2(b)は、断面の走査型電子顕微鏡像(倍率100倍)であり、圧縮されても空隙が多数存在することが分かる。一方、比較例1の成形体は、圧縮するとモロモロになり、また粉の発生が見られた。なお、実施例1〜13の各成形体を圧縮したシート状物について、上記同様に溶解率を測定した結果、溶解率は100%であった。
〔比較例2〜6〕
比較例2〜6として、以下の各水溶液を24ウェルプレートに注入した後、−35℃で18時間凍結乾燥した。
・比較例2:シルクフィブロイン水溶液
・比較例3:シルクペプチド水溶液(市販品を精製水に溶解させたもの。シルクペプチド濃度:1質量%)
・比較例4:シルクアミノ酸水溶液(市販品を精製水に溶解させたもの。シルクアミノ酸濃度:1質量%)
・比較例5:コラーゲンペプチド水溶液(市販品を精製水に溶解させたもの。コラーゲンペプチド濃度:1質量%)
・比較例6:ゼラチン水溶液(市販品を精製水に溶解させたもの。ゼラチン濃度:1質量%)
実施例1、2、4、9、10、12、13および比較例2〜6の各成形体について、物性評価および官能評価を以下の通り行った。
[物性評価]
以下の評価方法および評価基準によって各成形体を評価し、表2に結果を示した。
(1)強度
成形体をピンセットで挟んでつまみ上げ、以下の基準により評価した。
× つまみ上げることができなかった。
○ つまみ上げることができた。
(2)安定度
成形体を空気存在下の密閉容器内に1日保存したときの収縮率を測定し、以下の基準により評価した。
× 収縮率が5%以上である。
○ 収縮したが、収縮率は5%未満である。
◎ 全く収縮しない。
(3)成形度
成形体を圧縮したときの粉の発生を観察し、以下の基準により評価した。
× 圧縮物が粉を発生した、または粉化した。
○ 粉を発生することなく圧縮された。
◎ 粉を発生することなく圧縮され、かつ、容易に圧縮された。
実施例1、2、4、9、10、12、および13の成形体は、いずれも良好な物性を有しており、成形体として流通させるのに適しているものであった。なかでも、実施例1、2、4、9、および10の成形体は、成形度が優れており、取扱い性に優れるものであった。
一方、比較例2〜5の成形体は、「強度」を備えたものではなかった。また、比較例6の成形体は、「安定度」を備えたものではなかった。
[官能評価]
以下の評価方法および評価基準によって各成形体を評価し、表3に結果を示した。
(1)うるおい感(保湿感)
成形体を水で溶解し指で肌に塗り広げたとき、「うるおい感(保湿感)」をどのように感じるかにより評価した。
× 感じない
△ あまり感じない
○ やや感じる
◎ 非常に感じる
(2)もっちり感
成形体を水で溶解し指で肌に塗り広げたとき、「もっちり感」をどのように感じるかにより評価した。
× 感じない
△ あまり感じない
○ やや感じる
◎ 非常に感じる
(3)成膜感
成形体を水で溶解し指で肌に塗り広げたとき、「成膜感」をどのように感じるかにより評価した。
× 感じない
△ あまり感じない
○ やや感じる
◎ 非常に感じる
(4)とろみ感
成形体を水で溶解し指で肌に塗り広げたとき、「とろみ感」をどのように感じるかにより評価した。
× 感じない
△ あまり感じない
○ やや感じる
◎ 非常に感じる
実施例1、2、4、9、10、12、および13の成形体は、水で溶解し指で肌に塗り広げたとき、「うるおい感」、「もっちり感」、「成膜感」、および「とろみ感」をすべて備えていたことから、化粧料用途に好適である。なかでも、実施例4、9、10、12、および13の成形体は、官能評価がすべて「◎」評価であり、化粧料用途に最適である。
一方、比較例2の成形体は、「とろみ感」以外の評価項目において良好な評価が得られたが、表2に示したように成形体とするには不適であった。また、比較例3〜6の成形体は、ほとんどの評価項目で良好な評価が得られなかった。
[モニター評価]
実施例11の成形体を顔の皮膚用化粧料として、一般市民12名を被験者とするモニター評価をおこなった。
モニター評価において、使用頻度は、初日の朝晩の使用を義務付けた以外は被験者の任意とした。また、成形体の溶解に用いる液体(溶解液)も被験者の任意とした。
表4に、各被験者の情報および結果を示した。表4中の「満足度」は、5点満点による評価である(5点:満足、4点:やや満足、3点:普通、2点:やや不満、1点:不満)。
表4より、実施例11の成形体について、被験者12人中11人は肌の変化を実感し、肌の変化を実感した日が、使用1日後であった被験者は5名、使用3日後であった被験者は4名であった。このことより、実施例11の成形体は、極めて早期に効果が感じられるものであることが分かった。また、全体的に高い満足度が得られ、被験者に好評であったことが分かった。

Claims (8)

  1. シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体であって、
    前記シルクフィブロインと前記アテロコラーゲンとを1:1〜7:1の質量比で含み、多孔質であり、かつ、水溶性である、成形体。
  2. 三次元形状、シート状、不織布状またはフェルト状の外観形状を有する、請求項1に記載の成形体。
  3. さらに、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の成形体。
  4. アシル化アテロコラーゲンを含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形体。
  5. 皮膚に用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の成形体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、
    シルクフィブロインとアテロコラーゲンを1:1〜7:1の質量比で含む水溶液を調製する第一工程と、
    前記第一工程で調製した水溶液を凍結乾燥して成形体を得る第二工程と、
    を備える、成形体の製造方法。
  7. 前記第一工程における水溶液が、さらに、ビタミンCおよびビタミンC誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記第二工程の後に、さらに、前記成形体をシート状に加工する第三工程を備える、請求項6または7に記載の製造方法。
JP2016225139A 2016-11-18 2016-11-18 シルクフィブロインとアテロコラーゲンとを含む成形体からなる用時調製型化粧料 Active JP6886138B2 (ja)

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