JP2018079049A - 眼科装置、眼科撮影方法、及びプログラム - Google Patents

眼科装置、眼科撮影方法、及びプログラム Download PDF

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【課題】撮影範囲全体にわたって眼底の深さ方向に広い範囲を描出する断層画像を取得可能な眼科装置を提供する。【解決手段】光源からの光を分割した測定光を被検眼の眼底へ照射した戻り光と光源からの光を分割した参照光との干渉光を発生させる干渉部と、測定光を被検眼の眼底上で走査する走査手段と、走査手段による測定光の走査の際に、測定光の走査位置に関する情報を用いて被検眼の瞳面での測定光の入射位置を移動させる移動手段と、干渉光を検出する光検出部と、光検出部によって検出された干渉光に関する情報を用いて、被検眼の断層の情報を取得する取得手段とを備える眼科装置。【選択図】図5

Description

本発明は、眼科装置、眼科撮影方法、及びプログラムに関する。
現在、眼科診療に用いられる眼科装置のうち、眼を観察する光学機器として様々なものが使用されている。その中で、光干渉断層撮影法(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いた装置(以下、OCT装置という。)が知られている。OCT装置は、低コヒーレント光を被検眼に照射し、その被検眼からの戻り光を参照光と合波させた干渉光を用いて、被検眼の断層に関する情報を得る装置である。OCT装置では、低コヒーレント光を被検眼の眼底上に走査することで、断層画像の取得を行うことができる。そのため、OCT装置は網膜の診断等において広く利用されている。
OCT装置において、測定光は眼底に対して可能な限り直角に近い角度で入射することが望ましい。これは、眼底を深さ方向に広い範囲で撮影するためには、眼内において眼底の深い層へ最短の光路長で達する光路が望ましいためである。しかしながら、被検眼に対するOCT装置のアライメント状態によっては、測定光の眼底に対する入射角が0よりも大きくなる場合がある。このとき、測定光と参照光との干渉光に基づいて生成される断層画像において、眼底の断層像が傾いて表示されることがある。
これに対して、特許文献1には、断層像を略水平とするために、撮影開始前に断層画像中の断層像の傾きに基づいて装置のアライメントを調節する技術が記載されている。特許文献1に記載されている技術では、上述のように装置のアライメントを調整し、断層画像の中心位置での眼底に対して測定光がほぼ垂直に入射するように、測定光の入射角度を制御するとされている。
特開2013−215591号公報
しかしながら、従来の技術では、撮影範囲全体にわたって眼底に対する測定光の入射角を小さくすることが難しいという問題があった。
特許文献1の技術では、ある固定のアライメント位置で撮影を行うため、撮影範囲全体にわたって眼底に対する測定光の入射角を制御することは一切考慮されていない。
そこで、本発明では、撮影範囲全体にわたって眼底の深さ方向に広い範囲を描出する断層画像を取得可能な眼科装置、眼科撮影方法、及びプログラムを提供する。
本発明の一実施態様による眼科装置は、光源からの光を分割した測定光を被検眼の眼底へ照射した戻り光と前記光源からの光を分割した参照光との干渉光を発生させる干渉部と、前記測定光を前記被検眼の眼底上で走査する走査手段と、前記走査手段による前記測定光の走査の際に、前記測定光の走査位置に関する情報を用いて前記被検眼の瞳面での前記測定光の入射位置を移動させる移動手段と、前記干渉光を検出する光検出部と、前記光検出部によって検出された前記干渉光に関する情報を用いて、前記被検眼の断層の情報を取得する取得手段とを備える。
また、本発明の別の実施態様による眼科撮影方法は、光源からの光を、被検眼の眼底へ照射される測定光と参照光とに分割する工程と、前記測定光を前記被検眼の眼底上で走査する工程と、前記測定光の走査の際に、前記測定光の走査位置に関する情報を用いて前記被検眼の瞳面での前記測定光の入射位置を移動させる工程と、前記測定光の前記被検眼からの戻り光と前記参照光との干渉光を発生させる工程と、前記干渉光を検出する工程と、検出された前記干渉光に関する情報を用いて、前記被検眼の断層の情報を取得する工程とを含む。
本発明によれば、撮影範囲全体にわたって眼底の深さ方向に広い範囲を描出する断層画像を取得できる。
本発明の一実施例による眼科装置の概略的な構成を示す。 一実施例に係る測定光学系の概略的な構成を示す。 移動手段の例である平行平面板と被検眼の関係を示す。 瞳面に対する測定光の入射位置を移動させない場合の例を示す。 瞳面に対する測定光の入射位置を移動させる場合の例を示す。 一実施例に係る制御の流れを示す。
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。
以下、本発明の一実施例に係る眼科装置について説明する。本実施例では、主に眼科診療や眼科撮影等に用いられる眼科装置として、OCT装置10を例に挙げて説明する。
(装置の概略構成)
図1を参照して、本実施例におけるOCT装置10の概略的な構成について説明する。OCT装置10には、測定光学系100(測定部)、測定光学系駆動手段150(駆動手段)、制御部160(取得手段)、表示部170、及び入力部180が設けられている。
測定光学系100(測定部)は、制御部160に通信可能に接続されており、制御部160によって制御され、被検眼の測定に用いられる。また、測定光学系100には、測定光学系駆動手段150が設けられている。測定光学系駆動手段150(駆動手段)は、制御部160の制御に従って、測定光学系100をXYZ方向に駆動することができる。このため、測定光学系駆動手段150は、被検眼に対する測定光学系100の相対位置を移動し、測定光学系100のアライメントを調整することができる。
制御部160(取得手段)は、測定光学系100の各構成要素の制御や測定光学系100から取得した信号を処理し、断層画像の生成等を行う。さらに、制御部160は、表示部170に通信可能に接続されており、生成した断層画像や被検眼に関する情報等を表示部170に送る。制御部160は、汎用のコンピュータを用いて構成されることができる。しかしながら、制御部160の構成はこれに限られず、OCT装置10に専用のコンピュータによって構成されてもよい。また、本実施例では制御部160は、測定光学系100と別個に設けられているが、制御部は測定光学系と一体的に構成されてもよい。また、制御部160にはマウスやキーボード等を含む入力部180が接続されており、制御部160は、入力部180の入力に基づいて、測定光学系100や表示部170を制御することができる。
表示部170は、制御部160から受け取った画像や被検眼の情報等の表示を行う。表示部170は任意のモニタを用いて構成されることができる。また、本実施例では表示部170は、測定光学系100や制御部160と別個に構成されているが、これらと一体的に構成されてもよい。
(測定光学系の構成)
図2を参照して、本実施例に係る測定光学系100の構成について説明する。図2は、測定光学系100の概略的な構成を示す。
測定光学系100においては、被検眼140に対向して対物レンズ101が設置されている。対物レンズ101の光軸上にはダイクロイックミラー102及びダイクロイックミラー103が設けられている。対物レンズ101からの光路は、ダイクロイックミラー102,103によって、OCT光学系の光路L1、内部固視灯及び眼底観察系用の光路L2、並びに前眼部観察系用の光路L3に、光路を通過する光の波長帯域ごとに分岐される。本実施例では、ダイクロイックミラー102の透過方向にOCT光学系の光路L1並びに内部固視灯及び眼底観察系の光路L2が配置され、反射方向に前眼部観察系の光路L3が配置される。また、ダイクロイックミラー103の透過方向に内部固視灯及び眼底観察系の光路L2が配置され、反射方向にOCT光学系の光路L1が配置される。しかしながら、これらの光路の配置は当該配置に限られず、ダイクロイックミラー102,103の透過方向及び反射方向にそれぞれ逆の配置となるように各光路が配置されてもよい。
光路L2には、レンズ104,105、ダイクロイックミラー134、内部固視灯106、及び眼底観察用のCCD111が設けられている。なお、眼底観察系の光路に配置される構成要素は眼底観察光学系を構成する。レンズ104は合焦レンズであり、光路L2を通過する光の合焦調整のため、制御部160によって制御される不図示のモータにより、図中矢印で示される光軸方向に駆動される。光路L2は、ダイクロイックミラー134によって内部固視灯106への光路と、CCD111への光路とに分岐される。本実施例では、ダイクロイックミラー134の透過方向に内部固視灯106が配置され、反射方向にCCD111が配置される。なお、ダイクロイックミラー134の透過方向にCCD111が配置され、反射方向に内部固視灯106が設けられてもよい。
CCD111は不図示の眼底観察用照明光の波長、具体的には780nm付近に感度を有する。内部固視灯106は可視光を発生して被検者の固視を促すために用いられる。
眼底観察用光源から発せられ被検眼140によって反射された戻り光は、対物レンズ101、及びダイクロイックミラー102,103を透過し、光路L2に入射する。光路L2に入射した戻り光は、レンズ104,105を通った後、ダイクロイックミラー134によって反射され、CCD111へと導かれる。CCD111は、入射した被検眼140からの戻り光を検出し、戻り光に対応する信号を生成する。制御部160は、CCD111によって生成された信号に基づいて被検眼140の眼底Erの正面画像を得ることができる。
内部固視灯106から発せられた光は、ダイクロイックミラー134、レンズ105,104、ダイクロイックミラー103,102、及び対物レンズ101を通り、被検眼140に入射する。内部固視灯106は、被検眼140上の任意の位置に任意の形状の光を固視標として提供することができ、被検者の固視を促すことができる。
なお、眼底観察光学系の構成は上記構成に限られず、例えば、照明光を被検眼に対して走査するSLO(Scanning Laser Ophothalmoscope:走査型検眼鏡)の構成を有していてもよい。この場合、内部固視灯106は、SLO光学系の走査手段の動きに合わせて内部固視灯106を点滅させることによって、被検眼140上の任意の位置に任意の形状の光を固視標として提供することができ、被検者の固視を促すことができる。
次に、前眼部観察系の光路L3について説明する。前眼部観察系の光路L3には、レンズ107,109、スプリットプリズム108、及び赤外光を検知する前眼部観察用のCCD110が設けられている。なお、前眼部観察系の光路L3に配置されるこれらの構成要素は、前眼部観察光学系(撮影手段)を構成する。
光路L3では、不図示の光源から970nm付近の波長を有する前眼部観察用の光が被検眼140の前眼部に対して照射される。被検眼140の前眼部からの反射光は対物レンズ101、ダイクロイックミラー102、及びレンズ107を介してスプリットプリズム108に入射する。スプリットプリズム108は、被検眼140の瞳孔と共役な位置に配置されている。スプリットプリズム108から出射された光はレンズ109を介してCCD110に入射する。
CCD110は、970nm付近の波長を有する光を検出するものであり、前眼部からの反射光を検出し、前眼部からの反射光に対応する信号を生成する。制御部160は、CCD110によって生成された信号に基づいて、被検眼140の前眼部の画像を生成することができる。この際、制御部160は、CCD110によってスプリットプリズム108を通った反射光を検出することで、前眼部のスプリット像から被検眼140に対する測定光学系100のZ方向(深さ方向)の距離を検出することができる。
次に光路L1について説明する。光路L1は前述の通りOCT光学系用の光路を構成しており、被検眼140の断層画像を形成するための干渉信号の取得に用いられる。光路L1には、平行平面板128,129、Xスキャナ132、Yスキャナ133、及びレンズ112,113が配置されている。
平行平面板128,129は、被検眼140の瞳面への測定光の入射位置を移動させるために、制御部160によって制御される不図示のモータにより後述する方法で駆動される。平行平面板128はX方向に被検眼140の瞳面に対する測定光の入射位置を移動させるために用いられる。平行平面板129は、平行平面板128の直後に配置され、光軸及び平行平面板128の回転軸と直行する回転軸を持つ。平行平面板129はY方向に被検眼140の瞳面に対する測定光の入射位置を移動させるために用いられる。
Xスキャナ132及びYスキャナ133は、測定光を被検眼140の眼底Er上で走査する走査手段を構成する。Xスキャナ132及びYスキャナ133は、制御部160によって制御される不図示のガルバノモータにより後述する方法で駆動される。Xスキャナ132は測定光をX方向に走査するために用いられ、Yスキャナ133は測定光をY方向に走査するために用いられる。なお、Xスキャナ132及びYスキャナ133は、ガルバノミラー等の任意の偏向ミラーを用いて構成されることができる。なお、本実施例では、Xスキャナ132及びYスキャナ133によって走査手段を構成しているが、走査手段の構成はこれに限られない。走査手段は、MEMSミラー等の1枚で2次元方向に光を偏向させられる偏向ミラーによって構成されてもよい。
レンズ112は、被検眼140の眼底Erに対する、OCT測定光学系の光ファイバー115から出射する測定光の合焦調整のために用いられる合焦レンズである。レンズ112は、制御部160によって制御される不図示のモータにより、図中矢印で示される測定光の光軸方向に駆動される。この合焦調整によって眼底Erからの戻り光は同時に光ファイバー115の先端にスポット状に結像されて入射される。なお、光ファイバー115、光路L1に配置される各光学部材、ダイクロイックミラー102,103、及び対物レンズ101等は、OCT光学系において測定光が伝播するOCT測定光学系を構成する。
光ファイバー115は、光カプラー119に接続されている。光カプラー119には、OCT測定光学系の光ファイバー115、光源114に接続された光ファイバー116、OCT参照光学系の光ファイバー117、及び分光器123に接続された光ファイバー118が接続されている。本実施例において、OCT光学系はマイケルソン干渉計の構成を有する。そのため、光カプラー119は、光源114からの光を測定光と参照光に分割する分割器、及び被検眼140からの測定光の戻り光と参照光とを干渉させ、干渉光を発生させる干渉部として機能する。
光源114は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。本実施例では、光源114として、出射する光の中心波長が855nm、波長バンド幅が約100nmのものを用いている。なお、光源114の構成はこれに限られず、所望の構成に応じて任意の光源を用いることができる。
光源114から出射された光は光ファイバー116を通じ、光カプラー119を介して、光ファイバー115等のOCT測定光学系を伝播する測定光と光ファイバー117等のOCT参照光学系を伝播する参照光とに分割される。測定光は前述のOCT光学系の光路L1を通じ、観察対象である被検眼140の眼底Erに照射され、網膜による反射や散乱により、戻り光として同じ光路を通じて光カプラー119に到達する。
一方、参照光は光ファイバー117、レンズ120、測定光と参照光の分散を合わせるために挿入された分散補償ガラス121、平行平面板130,131を介して参照ミラー122に到達し反射される。そして同じ光路を戻り光カプラー119に到達する。平行平面板130,131は、制御部160によって制御される不図示のモータにより平行平面板128,129と同期して駆動される。ここで、光ファイバー117、レンズ120、分散補償ガラス121、平行平面板130,131、及び参照ミラー122はOCT参照光学系を構成する。
被検眼140からの測定光の戻り光と参照光は光カプラー119によって、合波され干渉光となる。測定光の光路長と参照光の光路長とがほぼ等しい状態となったときに、測定光の戻り光と参照光は互いに干渉し、干渉光となる。参照ミラー122は、制御部160によって制御される不図示のモータ及び駆動機構により、参照光の光軸方向に調整可能に保持され、被検眼140の被測定部によって変わる測定光の光路長に参照光の光路長を合わせることが可能である。干渉光は、光ファイバー118を介して分光器123に導かれる。
分光器123(光検出部)には、レンズ124,126、回折格子125、及びラインセンサ127が設けられている。光ファイバー118から出射された干渉光は、レンズ124を介して略平行光となった後、回折格子125で分光され、レンズ126によってラインセンサ127に結像される。なお、ラインセンサ127は、干渉光を受光して、干渉光に応じた出力信号を生成し、出力する受光素子の一例として示される。制御部160は、ラインセンサ127によって生成された信号に基づいて、被検眼140の眼底Erの断層に関する情報を取得し、眼底Erの断層画像を生成することができる。
(画像生成)
次に制御部160による画像生成について説明する。制御部160は、上述の一連の処理によりラインセンサ127から得られるデータをフーリエ変換し、フーリエ変換後のデータを輝度或いは濃度情報に変換することによって被検眼140の眼底Erのある一点における深さ方向(Z方向)の断層画像を取得する。このようなスキャン方式をAスキャンと呼び、得られる断層画像をAスキャン画像と呼ぶ。
Xスキャナ132及びYスキャナ133によって測定光を眼底Erの所定の横断方向に走査しながら、このようなAスキャンを繰り返し行うことにより、複数のAスキャン画像を取得することができる。例えば、制御部160は、測定光をXスキャナ132によってX方向に走査すればXZ面における断層画像が得られ、Y方向に走査すればYZ面における断層画像が得られる。このように被検眼140の眼底Erを所定の横断方向に走査する方式をBスキャンと呼び、得られる断層画像をBスキャン画像と呼ぶ。
また、制御部160は、光路L2に配置される眼底観察用のCCD111によって取得されたデータから眼底正面画像を生成する。さらに、制御部160は、光路L3に配置される前眼部観察用のCCD110によって取得されたデータから前眼部画像を生成する。
(平行平面板と測定光の入射位置)
以下、図3(a)乃至(c)を参照して平行平面板128を傾斜させ、被検眼140の瞳孔(瞳面)への測定光の入射位置を移動させる構成について説明する。図3(a)乃至(c)は、平行平面板128の角度と、被検眼140の瞳孔への測定光の入射位置との関係を概略的に示す。
図3(a)は、被検眼140に対して垂直に測定光が入射する場合の例を模式的に示す。図3(a)において、平行平面板128から被検眼140の眼底Erへ至るまでの光学系は説明のため簡略化されている。
透過光学部材である平行平面板128は、制御部160によって制御される不図示のガルバノモータ等の駆動手段により、測定光の光軸の略直交面に対して傾斜角を発生するように駆動される。
光路301は平行平面板128の傾斜角が0である場合の測定光の光路である。この場合、測定光学系100と被検眼140のアライメントが適切に行われていれば、測定光は被検眼140の瞳孔の中心から入射する。光路302は、測定光の平行平面板128に対する入射角がθになるように平行平面板128を傾斜させた場合の光路である。この場合、以下の式に示されるように、被検眼140の瞳孔への入射位置はδ2だけシフトされる。
Figure 2018079049
ここで、θは平行平面板128に対する測定光の入射角、φは平行平面板128に対する測定光の屈折角、nは平行平面板128の屈折率、PはOCT測定光学系の光学倍率、dは平行平面板128の厚さである。具体的には、例えば屈折率nを1.5、倍率Pを1.5倍、厚さdを10mmとしたとき、平行平面板128を±25°回転させると、測定光の入射位置を被検眼140の瞳孔(瞳面)上でおよそ±1mm変化させることができる。一般に人眼の瞳孔径はおよそ2〜7mmであるため、以上の条件によって多くの被検眼に対して瞳孔の範囲内で入射位置を移動させることができる。
被検眼140の眼底Erが球面であるとすると、光路301を通る測定光と光路302を通る測定光は眼底Er上の同じ位置に集光するが、眼底Erへの入射角が異なる。光路301は眼球の中心を通るため、光路301を通る測定光は眼底Erへ垂直に、すなわち入射角が0で入射する。一方、光路302を通る測定光は、0より大きい入射角で眼底Erへ入射する。
図3(b)は、説明の簡略化のために、図3(a)の光学系をさらに省略化した図である。図3(b)においては、平行平面板128が仮想的に被検眼140の直前に示され、被検眼140から見て、測定光が図3(a)に示された測定光が通る光路と同一の光路を通るように平行平面板128が傾斜されている。光路303は光路301と、光路304は光路302と同一のものを仮想的に表している。
図3(c)は、図3(b)と同様の模式図であり、Xスキャナ132の角度を変更し、眼底Er上の異なる点を走査しているときの平行平面板128と被検眼140の関係を示す。光路305は平行平面板128の傾斜角が0の場合の光路である。光路306は、平行平面板128の傾斜角が図3(b)において傾斜された平行平面板128の傾斜角と同じ傾斜角になるように、平行平面板128を傾斜させた場合の光路である。
図3(a)及び(b)の場合と同様に、光路306を通る測定光は光路305に対してδ2のオフセットをもって被検眼140の瞳面へ入射し、眼底Erで光路305を通る測定光と略同一の点へ集光する。光路305を通る測定光は眼底Erへ0より大きい入射角で入射するのに対し、光路306を通る測定光は眼球の中心を通るため、眼底Erへ0の入射角で入射する。従って、図3(b)に示す場合とは異なり、図3(c)に示す場合では、平行平面板128を傾斜させた場合に限り、眼底Erへの入射角が0となる測定光が眼底Erに照射・投影される。従って、OCT装置10では、眼底Erの走査位置に応じて平行平面板128を適切に傾斜させることにより、眼底Erへの入射角の小さい測定光を眼底Erに投影することができる。
また、図3(c)では光路305と光路306の光路長が異なる。この光路長の変化は、瞳孔への入射位置が移動することで生じる光路長の変化と、平行平面板128が傾斜することで生じる光路長の変化を合わせたものである。このうち、平行平面板128が傾斜することで生じる光路長の変化は、参照光の光路において平行平面板130を平行平面板128と同期して駆動することで抑制できる。
これに対し、光路305と光路306では、瞳孔への入射位置が移動することでも光路長に変化が生じる。そのため、平行平面板128の傾斜によって瞳孔への入射位置を移動させることで、一定の範囲内で測定光の任意の光路長を実現できる。ここで、測定光の光路長は眼底Erの走査位置に応じても変化する。従って、OCT装置10では、眼底Erの走査位置に応じて平行平面板128を適切に傾斜させることにより、瞳孔への入射位置を移動させつつ、測定光と参照光との光路長差を略一定に保つことができる。このため、OCT装置10では、眼底Erの断層像を略水平に描画し、折り返しのない断層画像を得ることができる。平行平面板128の適切な制御方法については後述する。
なお、本実施例では、平行平面板128は被検眼140の瞳孔(瞳面)上で測定光がX方向に移動する向きに傾斜し、平行平面板129は被検眼140の瞳孔上で測定光がY方向に移動する向きに傾斜するように配置されている。従って、平行平面板128による、瞳孔に対する測定光の入射位置の移動方向軸とXスキャナ132による走査方向軸は略一致し、平行平面板129による、瞳孔に対する測定光の入射位置の移動方向軸とYスキャナ133による走査方向軸も略一致している。
(測定光の入射位置を移動させない場合)
本実施例では、平行平面板128,129によって、被検眼140の瞳孔に対する測定光の入射位置を移動させることで、眼底Erに対する測定光の入射角を0に近づけることができる。この構成による利点を説明するため、まず被検眼140の瞳孔に対する測定光の入射位置を移動しない場合の動作について図4(a)及び(b)を用いて説明する。
図4(a)は、瞳孔に対する測定光の入射位置を移動しない場合における、表示部170の表示の例である。表示部170には、前眼部画像410、眼底正面画像420、及び断層画像430(Bスキャン画像)が表示される。
前眼部画像410には、ライン411及び入射位置ライン412が示されている。ライン411は、測定光学系100と被検眼140とのアライメントの際に用いられる。より具体的には、Z方向(深度方向)において、被検眼140に対して測定光学系100の位置が適切でない場合、前眼部画像はスプリットプリズム108によってライン411に沿って分離される。
入射位置ライン412は、測定光が被検眼140の瞳面に入射する際の入射位置が移動される領域を示すものである。図4(a)に示す例では、入射位置ライン412の位置が被検眼140の瞳孔中心に設定されるとともに、入射位置ライン412の幅、すなわち入射位置が移動される領域の幅はゼロに設定されている。このとき、制御部160は、平行平面板128,129,130,131の傾斜角度を0に設定した状態で、平行平面板128,129,130,131を停止させる。そのため、図4(a)に示す例では、瞳孔に対する測定光の入射位置はXスキャナ132及びYスキャナ133による走査の際に変化しない。
眼底正面画像420には、断層画像の撮影位置を示すライン421が示されている。測定光は、Xスキャナ132によって、被検眼140の眼底Er上においてライン421に沿って走査される。
断層画像430は、眼底正面画像420に示されたライン421に対応する眼底Er上の位置を走査して得られたBスキャン画像である。図4(a)の例では、ライン421がX方向に設定されており、断層画像430はXスキャナ132の走査によって取得されたBスキャン画像である。Xスキャナ132がBスキャンを繰り返し行うことで、断層画像430は動画として表示される。
図4(b)は、図4(a)に示される各画像が表示部170によって表示されているときの、平行平面板128の角度と被検眼140の関係を模式的に示す。図4(b)においては、説明の簡略化のため、平行平面板128から被検眼140に至るまでの光学系は省略されており、光学系の倍率は無視されている。図4(b)には、Xスキャナ132による走査位置がライン421の中心に達した際の光路401、及びXスキャナ132による走査位置がライン421の端に達したときの光路402が示されている。なお、ライン421上の他の位置を走査しているときの光路は省略されている。
測定光が光路401を通るときには、測定光は入射位置ライン412の位置で被検眼140の瞳面に入射し、眼球の中心を通って眼底Er上のライン421の中心へ垂直に入射する。測定光が光路402を通るときには、測定光は、光路401と同じ位置で被検眼140への瞳面に入射し、眼球の中心を通らずに眼底Er上のライン421の端の位置へ一定の入射角をもって入射する。ライン421に沿った一連の走査により、断層画像430が得られる。
このように、被検眼140の瞳面に対する測定光の入射位置が、測定光の走査中に移動しない場合には、走査位置によっては眼底に対する測定光の入射角度が0よりも大きくなる。そのため、走査位置によっては、測定光が眼底のより深い層へ達することができず、眼底の深さ方向に広い範囲を描出することができない場合がある。
また、この場合、走査位置によって測定光の光路長が異なる。そのため、断層画像430における断層像は湾曲をもって、すなわち傾いて表示される。このように断層画像430において断層像が傾いている場合、断層像が深さ方向の撮影範囲を超えることで断層画像430に断層像の折り返しが発生して所望の画像が得られないことがある。なお、被検眼140の眼底Erの湾曲が大きい場合や走査方向の撮影範囲が広い場合には、断層像の折り返しが発生しやすくなる。
(測定光の入射位置を移動させる場合)
これに対し、図5(a)及び(b)は、測定光の入射位置の移動を行う場合の制御について説明するための図である。図5(a)は、測定光の入射位置の移動を行う場合における、表示部170の表示の例を示す。表示部170には、前眼部画像510、眼底正面画像520、及び断層画像530(Bスキャン画像)が表示される。ライン511,521及び入射位置ライン512はそれぞれ、ライン411,421及び入射位置ライン412と同様のものであるため、説明を省略する。
図5(a)において、断層画像の撮影位置を表すライン521の位置は、図4(a)に示されるライン421の位置と同じである。一方で、図5(a)に示す場合には、入射位置ライン512が瞳孔中心に位置し、且つ、入射位置ライン512の幅が瞳孔径よりやや短い幅になるように設定されている。
制御部160は、Xスキャナ132による走査の際に、入射位置ライン512の設定に従って、被検眼140の瞳面に対する測定光の入射位置が入射位置ライン512上を移動するように平行平面板128を駆動する。平行平面板128の駆動周期はXスキャナ132と同じであり、Xスキャナ132がライン521上を1回走査する間に、Xスキャナ132による走査に同期して、測定光の入射位置が入射位置ライン512上を1回移動するように平行平面板128を駆動する。特に、制御部160は、瞳面に対する測定光の入射位置を、眼底Er上の走査方向と同一の軸方向において、走査方向と逆方向に移動させるように平行平面板128を駆動する。これにより、測定光は眼球の中心付近を通り、眼底Erに対して0により近い入射角で、すなわち垂直により近い状態に入射する。
なお、制御部160は、参照光の光路中の平行平面板130を平行平面板128と同じ周期及び角度で駆動する。その結果、上述の走査位置に応じた測定光の瞳面への入射位置の移動と合わせて、一連の走査(Bスキャン)の際に測定光学系100における参照光と測定光の光路長差を略一定に保つことができる。平行平面板129,131は、入射位置ライン512がY方向に長さを持って設定されている場合のみ駆動される。図5(a)の状態では、制御部160は平行平面板129,131を停止させている。
図5(b)は、図5(a)に示す各画面が表示部170に表示されているときの、平行平面板128の角度と被検眼140の関係を模式的に示す。図5(b)においては、説明の簡略化のため、平行平面板128から被検眼140に至るまでの光学系は省略されており、光学系の倍率は無視されている。図5(b)には、Xスキャナ132による走査位置がライン521の中心に達した際の光路501、及びXスキャナ132による走査位置がライン521の端に達したときの光路502が示されている。なお、ライン521上の他の位置を走査している時の光路は省略されている。
光路501では平行平面板128の傾射角は0であるため、光路501は図4(b)に示す光路401と同一である。一方、光路502では、平行平面板128の傾斜角が最大となり、瞳面への測定光の入射位置は入射位置ライン512の端の位置となる。このとき、光路502を通る測定光の眼底Er上の走査位置は図4(b)に示す光路402を通る測定光の走査位置と同じであるが、光路502は眼球の中心により近い位置を通る。そのため、眼底Erへの測定光の入射角は0により近くなる。これにより、測定光が眼底のより深い層へ達することができるため、OCT装置10は、測定光の戻り光に基づいて眼底の深さ方向に広い範囲を描出することができる。
なお、上述したように、走査位置に応じて平行平面板128,130を制御することにより、走査位置に応じた測定光と参照光との光路長差の変化を抑制できる。このため、光路501及び参照光路の光路長差と光路502及び参照光路の光路長差との差は、光路401及び参照光路との光路長差と光路402及び参照光路の光路長差との差に比べて小さい。この場合の一連の走査では、上述のように、走査位置に従った測定光と参照光との光路長差の変化が小さくなるため、断層画像530における断層像は図4(b)に示される断層画像430の断層像よりも湾曲、すなわち傾きが小さく表示される。
(制御の流れ)
次に図5(a)乃至図6を参照して、本実施例に係る被検眼140の観察から断層画像の表示まで流れの例を説明する。図6(a)は本実施例に係る一連の制御の流れを示し、図6(b)はステップS604において行われる撮影の流れを示す。
まず、検者は、ステップS601において、前眼部画像510を見ながら、被検眼140に対する測定光学系100の位置合せ(アライメント)を行う。上述のように、被検眼140のZ方向(深度方向)における、被検眼140に対する測定光学系100の位置が適切でない場合、前眼部画像510はスプリットプリズム108によってライン511に沿って分離される。なお、被検眼140に対する測定光学系100の位置合わせは、制御部160が前眼部画像510を解析し、解析結果に基づいて測定光学系駆動手段150を制御し測定光学系100を駆動させることで行われてもよいし、他の任意の方法によって行われてもよい。
次に検者は、ステップS602において、眼底正面画像520と断層画像530を見ながら、入力部180を用いて撮影位置(ライン521)、並びに、参照ミラー122、及びレンズ104,112の位置を調節する。なお、ここで表示されている断層画像530は、上述のように動画であり、本制御の前に生成された断層画像である。なお、断層画像530は静止画であってもよい。また、一連の診断において、初めて断層画像が生成される場合には、検者は眼底正面画像520のみに基づいて撮影位置を設定することができる。なお、撮影位置や参照ミラー122等の設定は、制御部160によって、眼底正面画像520を解析した解析結果及び所望の構成等に応じて自動的に設定されてもよい。
撮影位置(ライン521)等を設定した後、検者は、ステップS603において、マウス等の不図示の入力部180を用いて、前眼部画像510に示される入射位置ライン512の位置及び幅を指定する。これにより、平行平面板128によって、被検眼140の瞳面(瞳孔)に対する測定光の入射位置を移動させる領域(移動範囲)を設定・調整することができる。この場合、検者は、表示部170によって断層画像が動画として表示されている際に、断層画像を見ながら、入射位置ライン512を入力することができる。ここで、OCT装置10は、断層画像が動画として表示されている際に入力された入射位置ライン512に従って、断層画像を静止画として撮影してもよい。この場合には、OCT装置10によって、複数のBスキャンの結果に対し加算平均処理等を行い、断層画像のノイズ低減や画質向上を図ってもよい。なお、入射位置ライン512、すなわち測定光の入射位置を移動させる領域の設定は、制御部160の設定手段によって行われてもよく、また、当該領域の調整は、制御部160の調整手段によって行われてもよい。ここで、設定手段及び調整手段は、制御部160によって実行されるモジュールやASIC等の回路等によって構成されることができる。
次に検者は、ステップS604において不図示の撮影キーを押し、断層画像の撮影を開始する。撮影においては、上述のように、まず図6(b)に示すステップS611において、光カプラー119が光源114から出射された光を測定光と参照光に分割する。
次にステップS612において、走査手段であるXスキャナ132によって測定光を眼底Er上で走査しながら、平行平面板128によって瞳面に対する測定光の入射位置を移動させる。この際、Xスキャナ132はライン521の位置を走査し、平行平面板128は、Xスキャナ132による走査に同期して、測定光の入射位置を入射位置ライン512の位置で移動させる。上述のように、制御部160は、瞳孔に対する測定光の入射位置を眼底Er上の走査方向と逆方向に移動させるように、平行平面板128を駆動する。これにより、制御部160は、断層像の湾曲をより小さくするように、言い換えると、断層像の傾きを抑制するように、平行平面板128を駆動することができる。なお、この際に参照光の光路に配置される平行平面板130が平行平面板128に同期して駆動される。
その後、ステップS613において、光カプラー119で被検眼140からの測定光の戻り光と参照光を合波して干渉光を発生させ、ステップS614において分光器123で検出した干渉光に基づいて干渉信号を生成する。干渉信号を生成したら、ステップS615において、制御部160が干渉信号に基づいて断層画像を生成する。撮影後、ステップS605において、生成した断層画像530を表示部170によって表示する。上述のような制御を行うことで、全ての走査位置で測定光が眼底Erに対してより小さい入射角で入射するため、撮影範囲全体にわたって眼底Erのより深い層を観察可能な断層画像を得ることができる。
なお、ステップS603において、検者は、断層画像を見ながら断層像の湾曲が小さくなるように入射位置ライン512の位置と幅を設定・調整することができる。このような操作を行うことで、全ての走査位置で眼底Erに対して測定光が小さい入射角で入射し、眼底Erのより深い層を観察可能な断層画像を得ることができる。また、湾曲が小さくなるように入射位置ライン512を設定・調整することで、折り返しのない断層画像を得ることができる。
なお、眼底Er上のY方向の断層画像を取得する場合には、平行平面板128,130を静止させ、平行平面板129,131を上記と同様に駆動させればよい。また、ボリュームスキャン、ラジアルスキャン、及びサークルスキャン等のXスキャナ132及びYスキャナ133を両方用いる走査を行う場合も考えられる。これらの場合には、Xスキャナ132の駆動に応じて平行平面板128,130を、Yスキャナ133の駆動に応じて平行平面板129,131を駆動させ、測定光の入射位置をX方向及びY方向に同時に移動させることができる。このように平行平面板128,129,130,131を駆動することで、スキャンパターンの形状に関わらず、眼底Erのより深い層を観察可能な、折り返しのない断層画像を得ることができる。
上記のように、本実施例によるOCT装置10は、光を出射する光源114と、光源114からの光を測定光と測定光に対応する参照光に分割する光カプラー119とを備える。さらに、光カプラー119は、測定光を被検眼140の眼底Erに照射した戻り光と参照光との干渉光を発生させる。また、OCT装置10は、測定光を被検眼140の眼底Er上で走査する走査手段として、走査ミラーであるXスキャナ132及びYスキャナ133を備える。測定光は、Xスキャナ132及びYスキャナ133の角度に応じて眼底Er上で走査される。OCT装置10は、Xスキャナ132及びYスキャナ133による測定光の走査位置に関する情報を用いて、被検眼140の瞳面での測定光の入射位置を移動させる移動手段を更に備える。OCT装置10は、当該移動手段として、測定光の光軸を移動させる光学部材である平行平面板128,129を備える。ここで、測定光の走査位置に関する情報とは、眼底Er上の走査位置に限られず、例えば、Xスキャナ132及びYスキャナ133の角度に関する情報等であってもよい。なお、Xスキャナ132及びYスキャナ133の角度に関する情報は、各スキャナの角度に限られず、各スキャナの駆動タイミングを示す信号等の制御情報であってもよい。また、OCT装置10は、干渉光を検出する分光器123と、分光器123によって検出された干渉光に関する情報を用いて、被検眼140の断層の情報を取得する制御部160とを備える。なお、干渉光に関する情報とは、干渉光自体に限られず、例えば、干渉光を検出した分光器123の出力信号や分光器123の出力信号に任意の信号処理を施した信号等であってもよい。
OCT装置10では、平行平面板128が、Xスキャナ132による測定光の走査の際に、測定光の走査位置に関する情報を用いて瞳面での測定光の入射位置を移動させる。これにより、測定光が眼球の中心付近を通り、眼底Erに対して0により近い入射角で、すなわち垂直により近い状態で入射する。より具体的には、制御部160が、瞳面に対する測定光の入射位置が眼底Er上の走査方向と同一の軸方向において走査方向と逆方向に移動するように、平行平面板128を駆動する。これにより、測定光が、各走査位置において被検眼140の眼底Erに対して0により近い入射角で入射するため、測定光が眼底Erのより深い位置まで届くこととなる。このため、OCT装置10では、被検眼140からの測定光の戻り光に基づく被検眼140の眼底Erの断層の情報から、撮影範囲全体にわたって眼底Erのより深い層を観察可能な断層画像を得ることができる。また、OCT装置10では、撮影範囲全体にわたって眼底Erに対する測定光の入射角を略均一に保てるため、撮影範囲全体における眼底Erの各断層による測定光の散乱率等を略均一に保つことができ、より高い画質の断層画像を生成することができる。さらに、OCT装置10では、瞳孔への入射位置を移動させることにより、撮影範囲全体にわたって眼底Erに対する測定光の入射角を略均一に保てることから、走査位置による測定光の光路長変化を軽減することができる。これにより、断層画像における断層像の傾きを抑制し、断層像を水平に近づけることができ、断層像の傾きに起因して生じる断層画像における断層像の折り返しを抑制することができる。
また、OCT装置10は、参照光の光路に配置された平行平面板130,131(参照光学部材)をさらに備え、平行平面板130,131は平行平面板128,129と同期して駆動する。瞳面に対する測定光の入射位置を移動させるために平行平面板128が駆動されることで、測定光の光路長が変化する際に、平行平面板128に同期して駆動する平行平面板130によって参照光の光路長も変更される。このため、平行平面板130の駆動による測定光の光路及び参照光の光路間の光路長差の変化が抑制される。従って、測定光の走査の際に、測定光と参照光の光路長差を略一定に保ちつつ被検眼140の瞳孔への入射位置を移動させることができる。これにより、被検眼140からの測定光の戻り光に基づく断層画像において、被検眼140の断層像が傾くことをさらに抑制し、断層像をより水平に近づけることができる。この結果、断層像の傾きに起因して生じる断層画像における折り返しをさらに抑制することができる。ここで、平行平面板129が駆動される場合には、平行平面板131が平行平面板129に同期して駆動することで同様の効果を奏することができる。また、参照光の光路に平行平面板130,131を設けることで、測定光の光路に配置された平行平面板128,129によって変化した測定光の分散に合わせて参照光の分散を補償することもできる。
なお、被検眼140の瞳孔径が小さい場合や、眼底Erの湾曲が大きい場合には、断層像の湾曲を小さくしようとすると、測定光の入射位置ラインが瞳孔の外側まで及んでしまう場合がある。この場合には、虹彩によって測定光が遮断され断層像が欠けてしまう。このように断層像が欠けることを抑制するために、入射位置ラインは瞳孔内で設定することができる。さらに被検眼の固視微動を考慮して、瞳孔内である程度の余裕をもって入射位置ラインを設定することができる。また、被検眼の水晶体に混濁がある場合には、混濁を避けて入射位置ラインを設定することができる。このように、断層画像を取得可能な範囲内で入射位置ラインを設定することで、被検眼の状態等を考慮しつつ、眼底Erのより深い層を観察可能な、折り返しのない断層画像を得ることができる。
本実施例では、測定光の光路中の平行平面板128,129と、参照光の光路中の平行平面板130,131を同期させて駆動することで、測定光と参照光の光路長差を略一定に保っている。しかしながら、他の方法で測定光と参照光の光路長差を略一定に保ってもよい。例えば、参照光の光路中には平行平面板を配置せず、参照ミラー122を測定光の光路中の平行平面板128,129と同期させて駆動してもよい。その場合、分散補償ガラス121の厚さは平行平面板128,129を考慮して決められることができる。
本実施例では、測定光と参照光との光路長差の変化及び分散の不一致を抑制するために、参照光の光路に平行平面板130,131を設けている。しかしながら、単に、測定光が眼底Erのより深い層を観察可能な断層画像を生成する場合には、平行平面板130,131を設けなくてもよい。この場合にも、測定光は眼底Erに対して0により近い入射角で入射するため、OCT装置10は、眼底Erのより深い層の観察が可能な断層画像を生成できる。
また、瞳面に対する測定光の入射位置を移動させられる構成であれば、平行平面板を用いなくてもよい。例えば、可変頂角プリズムを向かい合うように並べ、それらの角度を制御することによって、瞳面に対する測定光の入射位置を移動させてもよい。又は、測定光学系100内部には瞳面に対する測定光の入射位置の調節機構を設けずに、OCT測定光学系を内部に含む測定部、すなわち測定光学系100を測定光学系駆動手段150により駆動させることで、測定光の入射位置を調整してもよい。
本実施例では、Xスキャナ132によるBスキャンに同期させて瞳面に対する測定光の入射位置の移動を制御しているが、走査位置に基づいた制御であれば、他の制御でもよい。例えば、3次元データを取得するために被検眼140に対して測定光の2次元走査を行う際、主走査であるBスキャンではなく、副走査に同期させて瞳面に対する測定光の入射位置を移動させる制御を行ってもよい。眼底Erは主走査方向と副走査方向のいずれにも湾曲を持っているため、副走査方向に対して上記制御を適用することで、副走査方向において上記と同様の効果を得ることができる。なお、副走査は主走査よりも遅いため、入射位置の移動に時間がかかる装置構成をより容易に適用することができる。
さらに、図5(a)の入射位置ライン512の位置と幅の設定・調整は、制御部160が自動的に行う構成でもよい。例えば、制御部160は前眼部画像510を解析して瞳孔中心と瞳孔径を算出し、入射位置ライン512の位置を瞳孔中心に設定し、入射位置ライン512の幅を瞳孔径よりやや短い幅になるように自動的に調整してもよい。又は、制御部160は、制御部160によって取得された被検眼140の断層の情報に基づく断層画像530を解析し、断層画像530における断層像の傾きと湾曲が小さくなるように入射位置ライン512を設定・調整してもよい。なお、制御部160は、上記構成に限られず、前眼部画像510に関する情報や断層画像530に関する情報を用いて、入射位置ライン512の設定・調整を行うことができる。ここで、前眼部画像510に関する情報や断層画像530に関する情報は、各画像自体に限られない。例えば、前眼部画像510に関する情報は、前眼部観察用のCCD110を含む前眼部観察光学系からの出力等であってもよく、断層画像530に関する情報は、分光器123からの出力等であってもよい。
また、制御部160は、断層画像530に対して画像補正を行ってもよい。断層画像530における断層像は、実際には湾曲を持つ眼底Erを撮影したものであるが、本実施例による処理により湾曲が小さい像として描出されている。そのため、断層像を、実際の被検眼140の眼底Erの形状に近くなるように断層画像530を補正して表示してもよい。
例えば、まず、制御部160は撮影時の入射位置ライン512の位置と幅を記憶する。制御部160は、記憶した情報から、入射位置を移動させて取得した断層画像530における断層像の湾曲と、入射位置を移動しない場合に得られるべき断層像の湾曲との差を計算し、その結果に基づいて断層画像530を補正する。それにより、断層画像430のような画像が得られる。従って、この場合には、上記処理により湾曲の小さい断層像を取得し、表示の際に折り返しを発生させず、且つ、実際の湾曲に即するように断層像の湾曲を補正する。これにより、通常の撮影では断層画像に折り返しが発生するような眼底Erの湾曲の大きい被検眼であっても、折り返しがなくかつ実際の湾曲に即した断層画像を生成することができる。
また、本実施例では、OCT装置の干渉光学系としてマイケルソン干渉計の構成を用いているが、干渉光学系の構成はこれに限られない。例えば、OCT装置の干渉光学系はマッハツェンダー干渉計の構成を有していてもよい。さらに、測定光学系100の構成は、上記の構成に限られず、測定光学系100に含まれる構成の一部を測定光学系100と別体の構成としてもよい。
また、分割手段として光カプラーを使用したファイバー光学系を用いているが、コリメータとビームスプリッタを使用した空間光学系を用いてもよい。さらに、波長ごとに光を分割する光学部材としてダイクロイックミラーを用いているが、当該光学部材はこれに限られない。例えば、穴あきミラーや中空のミラーが蒸着されたプリズム等から構成されるミラーを用いて、波長ごとに光を分割してもよい。
なお、本実施例では、OCT装置として、SLDを光源として用いたスペクトラルドメインOCT(SD−OCT)装置について述べたが、本発明によるOCT装置の構成はこれに限られない。例えば、出射光の波長を掃引することができる波長掃引光源を用いた波長掃引型OCT(SS−OCT)装置等の他の任意の種類のOCT装置にも本発明を適用することができる。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
10:OCT装置(眼科装置)、114:光源、119:光カプラー(干渉部)、123:分光器(光検出部)、128,129:平行平面板(移動部)、132:Xスキャナ(走査手段)、133:Yスキャナ(走査手段)、140:被検眼、160:制御部(取得部)、Er:眼底

Claims (17)

  1. 光源からの光を分割した測定光を被検眼の眼底へ照射した戻り光と前記光源からの光を分割した参照光との干渉光を発生させる干渉部と、
    前記測定光を前記被検眼の眼底上で走査する走査手段と、
    前記走査手段による前記測定光の走査の際に、前記測定光の走査位置に関する情報を用いて前記被検眼の瞳面での前記測定光の入射位置を移動させる移動手段と、
    前記干渉光を検出する光検出部と、
    前記光検出部によって検出された前記干渉光に関する情報を用いて、前記被検眼の断層の情報を取得する取得手段と、
    を備える、眼科装置。
  2. 前記移動手段は前記測定光の入射位置を前記走査手段による前記測定光の走査方向とは逆方向に移動させる、請求項1に記載の眼科装置。
  3. 前記移動手段は、前記断層の情報を用いて生成される断層像の湾曲をより小さくするように、前記測定光の入射位置を移動させる、請求項1又は2に記載の眼科装置。
  4. 前記移動手段は前記測定光の光軸を移動させる光学部材を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼科装置。
  5. 前記参照光の光路に配置された参照光学部材をさらに備え、
    前記参照光学部材は前記光学部材と同期して駆動する、請求項4に記載の眼科装置。
  6. 前記走査手段を含む測定部をさらに備え、
    前記移動手段は、
    前記測定部の前記被検眼に対する相対位置を移動するように、前記測定部を駆動する駆動手段を含み、
    前記駆動手段による前記測定部の駆動によって、前記測定光の入射位置を移動させる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼科装置。
  7. 前記移動手段は、前記走査手段による走査に同期して前記入射位置を移動させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の眼科装置。
  8. 前記走査手段は、前記被検眼の眼底上で前記測定光の主走査及び副走査を行い、
    前記移動手段は、前記走査手段による前記主走査に同期して前記入射位置を移動させる、請求項7に記載の眼科装置。
  9. 前記走査手段は、前記被検眼の眼底上で前記測定光の主走査及び副走査を行い、
    前記移動手段は、前記走査手段による前記副走査に同期して前記入射位置を移動させる、請求項7に記載の眼科装置。
  10. 前記走査手段は、前記被検眼の眼底を走査するための走査ミラーを含み、
    前記移動手段は、前記走査ミラーの角度に関する情報を用いて前記入射位置を移動させる、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の眼科装置。
  11. 前記被検眼の前眼部を撮影する撮影手段と、
    前記撮影手段によって撮影された前記前眼部の画像に関する情報を用いて、前記入射位置を移動させる領域を設定する設定手段をさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の眼科装置。
  12. 前記取得手段によって取得された前記断層の情報を用いて、前記入射位置を移動させる領域を設定する設定手段をさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の眼科装置。
  13. 前記移動手段によって前記入射位置を移動させる領域を入力するための入力部をさらに備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の眼科装置。
  14. 前記断層の情報を用いて生成される断層画像を動画として表示する表示部をさらに備え、
    前記表示部によって前記断層画像が動画として表示されている際に前記領域が入力される、請求項13に記載の眼科装置。
  15. 前記移動手段によって前記入射位置を移動させる領域を調整する調整手段をさらに備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の眼科装置。
  16. 光源からの光を、被検眼の眼底へ照射される測定光と参照光とに分割する工程と、
    前記測定光を前記被検眼の眼底上で走査する工程と、
    前記測定光の走査の間に、前記測定光の走査位置に関する情報を用いて前記被検眼の瞳面での前記測定光の入射位置を移動させる工程と、
    前記測定光の前記被検眼からの戻り光と前記参照光との干渉光を発生させる工程と、
    前記干渉光を検出する工程と、
    検出された前記干渉光に関する情報を用いて、前記被検眼の断層の情報を取得する工程と、
    を含む、眼科撮影方法。
  17. コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに対して請求項16に記載の眼科撮影方法の各工程を実行させる、プログラム。
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