JP2018078990A - ステント - Google Patents
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Abstract
【課題】生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができるステントを提供すること。
【解決手段】ステントは、生体管腔内に留置されるステントであって、生体管腔内で拡張可能であり、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより筒状に形成され、複数の気泡39が内部全体に存在する気泡構造を有する筒体29を備える。
【選択図】図4
【解決手段】ステントは、生体管腔内に留置されるステントであって、生体管腔内で拡張可能であり、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより筒状に形成され、複数の気泡39が内部全体に存在する気泡構造を有する筒体29を備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、生体管腔内に留置されるステントに関する。
例えば、血管(生体管腔)内に生じた狭窄部の治療では、ステントデリバリーデバイスにより血管内を介して狭窄部にステントを送達して留置するステント留置術が行われている。留置されたステントは、狭窄部を押し広げて血液の流動を改善する。そのため、ステントには、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度が求められる。そこで、一般的には、ステントは、金属材料により形成されている。
金属材料により形成されたステントは、血管内において分解されるわけではなく、血管内に永久に留置されたままになる。そのため、ステントが血管内に留置されてしばらく経った後、血栓症などを発症することがある。
これに対して、特許文献1には、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより構成されたステントが開示されている。生分解性ポリマーは、血管内に留置された後には、徐々に分解され、人間又は動物の生体に悪影響を及ぼさない。そのため、ステントが分解された後では、血栓症などの発症を抑えることができる。
しかし、生分解性ポリマーにより構成されたステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間は、例えば約3年程度である。そのため、その期間内において、血栓症などを発症するおそれがある。そこで、生分解性ポリマーにより構成されたステントには、生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することが望まれている。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができるステントを提供することを目的とする。
前記課題は、本発明によれば、生体管腔内に留置されるステントであって、前記生体管腔内で拡張可能であり、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより筒状に形成され、複数の気泡が内部全体に存在する気泡構造を有する筒体を備えたことを特徴とするステントにより解決される。
前記構成によれば、ステントの筒体は、複数の気泡が内部全体に存在する気泡構造を有する。そのため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生体吸収性を有する生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、筒体に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、筒体の表面積を増加させることができる。そのため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、生分解性ポリマーにより形成された筒体が分解される速度は速くなる。これにより、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
好ましくは、前記筒体の内側部分における空隙率は、前記内側部分よりも外側に配置された前記筒体の外側部分における前記空隙率とは異なることを特徴とする。
前記構成によれば、筒体の内側部分における空隙率が筒体の外側部分における空隙率とは異なるため、筒体に用いられる生分解性ポリマーの量、および筒体の表面積を、内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。そのため、筒体が分解される速度を内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。すなわち、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。これにより、内側部分を外側部分よりも先に分解させたり、外側部分を内側部分よりも先に分解させたりして、筒体が分解される速度を部分的に調整することができる。
好ましくは、前記内側部分における前記空隙率は、前記外側部分における前記空隙率よりも高いことを特徴とする。
前記構成によれば、筒体の内側部分における空隙率が筒体の外側部分における空隙率よりも高いため、筒体の外側部分と比較して、筒体の内側部分に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、筒体の内側部分の表面積を増加させることができる。そのため、内側部分は、外側部分よりも先に分解される。そのため、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持しつつ、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。すなわち、生体管腔が血管の場合、ステントが血管内に留置された直後では、血管が収縮する力が比較的強い。そして、ステントが血管内に留置されてからしばらくの期間が経過すると、血管が収縮する力は、留置直後よりも弱くなる。そのため、内側部分が外側部分よりも先に分解された場合であっても、外側部分は、血管を支持して血管の収縮を抑え、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持することができる。また、内側部分が外側部分よりも先に分解されるため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
好ましくは、前記筒体は、前記筒体の内側部分に設けられ第1空隙率を有する第1層と、前記第1層よりも外側に位置する外側部分に設けられ前記第1空隙率とは異なる第2空隙率を有する第2層と、を有することを特徴とする。
前記構成によれば、筒体は、複数の層が設けられた多層構造を有する。すなわち、第1層は、筒体の内側部分に設けられ、第1空隙率を有する。また、第2層は、第1層よりも外側に位置する外側部分に設けられ、第1空隙率とは異なる第2空隙率を有する。このように、筒体が多層構造を有することで、各層毎に空隙率を設定することができ、筒体を比較的容易に製造することができる。また、筒体に用いられる生分解性ポリマーの量、および筒体の表面積を、第1層と第2層との間において異ならせることができる。そのため、筒体が分解される速度を第1層と第2層との間において異ならせることができる。すなわち、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を第1層と第2層との間において異ならせることができる。これにより、第1層を第2層よりも先に分解させたり、第2層を第1層よりも先に分解させたりして、筒体が分解される速度を部分的に調整することができる。
好ましくは、前記第1空隙率は、前記第2空隙率よりも高いことを特徴とする。
前記構成によれば、第1空隙率が第2空隙率よりも高いため、第2層と比較して、第1層に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、第1層の表面積を増加させることができる。そのため、第1層は、第2層よりも先に分解される。そのため、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持しつつ、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。すなわち、生体管腔が血管の場合、ステントが血管内に留置された直後では、血管が収縮する力が比較的強い。そして、ステントが血管内に留置されてからしばらくの期間が経過すると、血管が収縮する力は、留置直後よりも弱くなる。そのため、第1層が第2層よりも先に分解された場合であっても、第2層は、血管を支持して血管の収縮を抑え、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持することができる。また、第1層が第2層よりも先に分解されるため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、ステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
好ましくは、前記第1層を形成する前記生分解性ポリマーは、前記第2層を形成する前記生分解性ポリマーと同じであることを特徴とする。
前記構成によれば、第1層を形成する生分解性ポリマーが第2層を形成する生分解性ポリマーと同じであるため、第1層と第2層との間で生ずる相互作用を抑え、筒体を比較的容易に製造することができる。また、第1空隙率および第2空隙率を調整することにより、筒体が分解される速度の部分的調整を比較的容易に行うことができる。
好ましくは、前記筒体は、軸回りを周方向に周回してリング状に形成された複数の素線を有する骨格部と、前記軸方向において隣り合う前記素線同士を互いに離れた状態で連結する連結部と、を有することを特徴とする。
前記構成によれば、リング状に形成された複数の素線を有する骨格部において、軸方向において隣り合う素線同士が連結部により連結されている。また、連結部は、互いに離れた状態で、軸方向において隣り合う素線同士を連結している。そのため、ステントが生体管腔内において拡張する際に、連結部は、骨格部を連動するように拡張させる。そのため、ステントは、生体管腔内に迅速且つ精度よく留置される。また、連結部は、軸方向において隣り合う素線同士を互いに離れた状態で連結する。そのため、隣り合う素線同士が周方向の全周において連結された場合と比較すると、隣り合う素線同士は、互いに柔軟に変形することができる。これにより、ステントは、屈曲や湾曲する生体管腔に沿いつつ生体管腔を支持し、生体管腔やその周辺の臓器に対する影響を抑えて、生体管腔を良好に治療することができる。
本発明によれば、生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができるステントを提供することができる。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
本発明の実施形態に係るステントは、生体管腔である血管に生じた狭窄部(治療部位)を治療するために使用される。ステントは、血管内で拡張及び留置され、狭窄部の内側を支持することで狭窄部を押し広げる留置部材として構成される。なお、ステントは、血管への適用に限定されるものではなく、種々の生体管腔(例えば、胆管、気管、食道、尿道、鼻腔、その他の臓器等)の治療に適用することが可能である。なお、本願明細書では、管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称する。
図1は、本発明の実施形態に係るステントと、ステントを送達するステントデリバリーデバイスと、の構成を示す平面図である。
本実施形態に係るステント10は、図1に示すように、ステントデリバリーデバイス12のバルーン70に装着されて、血管内の狭窄部に挿入及び留置される。
本実施形態に係るステント10は、図1に示すように、ステントデリバリーデバイス12のバルーン70に装着されて、血管内の狭窄部に挿入及び留置される。
ステントデリバリーデバイス12は、長尺なシャフト部13と、シャフト部13の先端部に設けられたバルーン70と、バルーン70に装着(マウント)されるステント10と、シャフト部13の基端に固着されたハブ20と、を備える。
シャフト部13は、血管内に挿入可能な可撓性を有する外管14と、外管14の内部に配置される内管18と、を有する。外管14は、先端および基端が開口した管状体である。外管14の内部には、バルーン70を拡張するための拡張用流体が流通する拡張用ルーメン16が形成されている。拡張用流体は、気体でも液体でもよく、例えば、ヘリウムガス、CO2ガス、O2ガス等の気体や、生理食塩水、造影剤等の液体が挙げられる。内管18の内部には、ガイドワイヤ24が挿通されるガイドワイヤルーメン22が形成されている。外管14及び内管18は、内管18の内側のガイドワイヤルーメン22に挿入されるガイドワイヤ24に沿って血管内を案内される。
内管18の先端部は、バルーン70の内部を貫通してバルーン70よりも先端側で開口している。内管18の基端側は、外管14の側壁を貫通して、外管14に接着剤または熱融着により液密に固着されている。
ハブ20は、図1に示すように、外管14の拡張用ルーメン16と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能する基端開口部21を有する。ハブ20の先端部には、外管14の基端部が接着剤、熱融着または止具(図示せず)等により液密に固着されている。
外管14および内管18は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましい。外管14および内管18の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を使用することができる。
ハブ20の構成材料としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体等を好適に使用することができる。
バルーン70は、拡張することで狭窄部を押し広げるとともに、バルーン70の拡張力によってステント10を塑性変形させつつ拡張させて、狭窄部などの目的部位の内面に密着させて固定する。バルーン70は、拡張した際に所定の範囲を効率よく押し広げられるよう、軸方向中央部に略円筒状で形成されてほぼ同一径の筒状部71を有している。バルーン70の筒状部71の先端側には、先端側へ向かって径がテーパ状に縮小して形成された第1縮径部72が設けられている。筒状部71の基端側には、基端側へ向かって径がテーパ状に縮小して形成された第2縮径部73が設けられている。
第1縮径部72の先端側は、内管18の外壁面に接着剤または熱融着等により液密に固着されている。第2縮径部73の基端側は、外管14の先端部の外壁面に接着剤または熱融着等により液密に固着されている。したがって、バルーン70の内部は、外管14に形成された拡張用ルーメン16と連通し、拡張用ルーメン16を介して、基端側から拡張用流体を流入可能となっている。バルーン70は、拡張用流体の流入により拡張し、流入した拡張用流体を排出することにより折り畳まれた状態となる。
バルーン70は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されることが好ましい。バルーン70の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を使用することができる。
ステント10は、バルーン70の拡張力により塑性変形しつつ拡張する、いわゆるバルーン拡張型ステントであり、バルーン70の筒状部71上に収縮された状態で装着される。
ステント10には、X線造影下で血管内に留置されたステント10の位置を把握できるように、白金等のX線造影マーカーを設けておいてもよい。なお、後述するように、ステント10を構成する部材は、生分解性ポリマーである。そのため、生分解性ポリマーに硫酸バリウム等のX線造影剤を添加してもよい。
ステント10は、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより筒状に形成された筒体29を備える。筒体29は、生体管腔内で拡張可能であり、生体管腔内に生じた狭窄部の内側を支持することで狭窄部を押し広げる。
筒体29は、骨格部28と、連結部34と、を有する。骨格部28は、素線である波状のストラット30により、全体として筒状の骨格に形成されている。なお、本実施形態の筒体29は、素線により骨格に形成された骨格部28を有することには限定されず、例えばチューブとして形成されていてもよい。以下の説明では、筒体29が素線としてのストラット30により骨格に形成された骨格部28を有する場合を例に挙げる。
ストラット30は、ステント10の軸11回りを周回してリング状に形成され、且つ軸11方向に略ジグザグ状に形成された波状リング32を構成している。ストラット30は、本発明の素線に相当する。波状リング32は、軸11方向に複数並び、隣接し合う波状リング32同士が連結部34により連結されている。ステント10は、連結部34が複数の波状リング32を連ねることで、軸11方向に連なって側周面が網目状を呈する筒状となる。ステント10の内側には、ステント10の長手方向(軸11方向)に沿って貫通孔36が設けられる。バルーン70は、ステント10の内側に設けられた貫通孔36に通される。
図2は、本実施形態に係るステントの拡張状態を概略的に示す部分展開図である。
図3は、本実施形態のストラット同士の連結状態を拡大して示す説明図である。
図3は、本実施形態のストラット同士の連結状態を拡大して示す説明図である。
ストラット30は、第1〜第4延在部41、42、43、44と、第1〜第4湾曲部51、52、53、54と、により一つの形状パターン31を形成している。波状リング32は、複数(図2では4つ)の形状パターン31が周方向に並ぶことで環状に形成されている。ステント10は、拡張状態で、第1〜第4湾曲部51、52、53、54により第1〜第4延在部41、42、43、44が相互に離間することで、所定の径及び周長を呈する。
第1延在部41は、ステント10の軸11方向に沿って平行に延びている。第1延在部41の両端部は、第1及び第4湾曲部51、54に連結されている。第1湾曲部51は、第1延在部41から湾曲しつつ折り返すことで、第1延在部41に対し第2延在部42を比較的急角度に傾けて支持している。
第2延在部42は、第1湾曲部51から軸11方向に対し斜めに延びて第2湾曲部52に連結されている。第2湾曲部52は、第2延在部42から湾曲しつつ折り返すことで、第3延在部43を第1湾曲部51よりも緩やかな角度に傾けて支持している。
第3延在部43は、第2湾曲部52から軸11方向に対し斜めに延びて第3湾曲部53に連結されている。第3延在部43は、第1、第2、第4延在部41、42、44よりも長く、若干クランクするように延びることで、第2延在部42と第4延在部44を周方向に比較的大きく離間させている。第3湾曲部53は、第3延在部43から第2湾曲部52と同程度に湾曲して折り返すことで、第4延在部44を傾けて支持している。
第4延在部44は、第3湾曲部53から軸11方向に対し斜めに延びて第4湾曲部54に連結されている。第4湾曲部54は、第4延在部44から第1湾曲部51と同程度に湾曲して折り返すことで、隣接する形状パターン31の第1延在部41を軸11方向に平行に支持している。
波状リング32は、上記のようなストラット30の形状パターン31が周方向に繰り返されて環状に形成される。波状リング32は、図1に示すように、バルーン70に装着可能な収縮状態に容易に弾性変形する。すなわち、収縮状態では、第1〜第4延在部41、42、43、44が相互に近接するように弾性変形される。特に第1延在部41に対し、第2〜第4延在部42、43、44が軸11方向に沿うように傾きを大きく変えることになる。これにより、波状リング32の周方向の長さを十分に短くすることが可能となる。
拡張状態(図2参照)における波状リング32自体の寸法は、特に限定されるものではない。例えば、波状リング32の軸11方向長さは、0.5mm〜2.0mm程度であり、好適には0.9mm〜1.5mmである。また例えば、波状リング32の拡張状態の直径は、1.2mm〜4.0mm程度である。また例えば、波状リング32の収縮状態の直径は、0.8mm〜2.5mm程度である。
波状リング32を構成するストラット30の寸法は、特に限定されるものではない。例えば、ストラット30の幅は、0.07mm〜0.30mm程度である。また例えば、ストラット30の肉厚は、0.05mm〜0.25mm程度である。
ストラット30および連結部34は、生体吸収性を有する生分解性ポリマーを含有している。すなわち、筒体29は、生体吸収性を有する生分解性ポリマーを含有している。生分解性ポリマーは、ステント10が病変部に留置された際、徐々に分解されるものであって、人間又は動物の生体に悪影響を及ぼさないポリマーである。生分解性ポリマーとしては、特に限定されないが、生体安定性が高いものが好ましく、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸との共重合体、ポリカプロラクトン、乳酸とカプロラクトンとの共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシブチレイト吉草酸、ポリリンゴ酸、ポリ−α−アミノ酸、ポリオルソエステル、セルロース、コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、桂皮酸、及び桂皮酸誘導体よりなる群から選択される少なくとも1つの重合体、重合体を構成する単量体が任意に共重合されてなる共重合体、並びに重合体と共重合体の混合物であることが好ましい。これらの中でも、特にポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、或いは乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)がさらに好ましい。それは、生体内で分解すること考慮すると医学的に安全なものがよいからである。
ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、或いは乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)については、市販のものを購入しても合成してもよい。合成する場合には、例えば、L−乳酸、D−乳酸及びグリコール酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリドから必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。
また、生分解性ポリマーは、可塑剤を含有するものであってもよい。生分解性ポリマーが可塑剤を含有する場合には、生分解性ポリマーの延性が向上し、ストラット30の曲げ柔軟性が向上し、またストラット30の変形時に生じる可能性があるひび割れを防ぐことができる。可塑剤としては、人間又は動物の生体に悪影響を及ぼさないものであれば、特に限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリセリルトリリシノレート、セスキオレイン酸ソルビタン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリヘキシル、クエン酸ブチリルトリヘキシル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、モノグリセライド、及びアセチル化モノグリセライドよりなる群から選択される少なくとも1つ、又はこれらの混合物であることが好ましい。このような可塑剤は、生分解性ポリマー素材に対して、0.01〜80質量%、好ましくは0.1〜60質量%、さらに好ましくは1〜40質量%の含有率で使用される。
なお、ストラット30は、ステント10の留置状態で、血管に溶出する生物学的生理活性物質を含有するように構成されてもよい。或いは、ストラット30は、ステント10の外面を全体的にもしくは部分的に被覆する生理活性物質含有樹脂層を備えてもよい。生理活性物質は、血管を治療する効果があるものであれば特に限定されず、任意に選択することができる。この場合、生理活性物質は、例えば、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、抗リウマチ剤、抗血栓薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、ACE阻害剤、カルシウム拮抗剤、抗高脂血症薬、抗炎症剤、インテグリン阻害薬、抗アレルギー剤、抗酸化剤、GPIIbIIIa拮抗薬、レチノイド、フラボノイド、カロチノイド、脂質改善薬、DNA合成阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗血小板薬、血管平滑筋増殖抑制薬、抗炎症薬、生体由来材料、インターフェロン、及びNO産生促進物質等よりなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
連結部34は、図2および図3に示すように、ストラット30を連結するための部材である。連結部34は、ステント10の送達及び拡張時に波状リング32を連結する。本実施形態に係るステント10において、骨格部28は、複数の波状リング32が相互に連結された形態を有する。すなわち、後述するように、複数の連結部34は、軸11方向において隣り合う波状リング32同士を互いに離れた状態で連結している。そのため、血管は、複数の波状リング32に支持されつつ、屈曲や湾曲等の自然状態を容易にとり得る。なお、連結部34の数は複数には限定されず、1つであっても良い。
連結部34は、図2中に示す波状リング32の周方向に4つ並ぶ形状パターン31のうち、1つ飛ばしで2つの形状パターン31に設けられる。すなわち、周方向に並ぶ2つの連結部34は、180°間隔に離間することで貫通孔36を介して対向し、隣接する波状リング32同士を連結する。
ここで、図2中の複数の波状リング32を左から右に向かって第1〜第4波状リング32A〜32Dとした場合に、第1波状リング32Aと第2波状リング32Bとの間の連結部34の位相と、第2波状リング32Bと第3波状リング32Cとの間の連結部34の位相と、は周方向にずれている。また、第3波状リング32Cと第4波状リング32Dとの間を連結する連結部34の位相と、第1波状リング32Aと第2波状リング32Bとの間を連結する連結部34の位相と、は周方向に一致している。つまり、軸方向に隣接する連結部34同士の位相は、周方向に所定角度(90°)でずれている。これにより、ステント10全体の物性の均一化を図っている。
また、図3に示すように、連結部34は、左側の波状リング32(例えば第1波状リング32A)の形状パターン31のうちの第1湾曲部51と、右側の波状リング32(例えば第2波状リング32B)の形状パターン31のうちの第4湾曲部54と、を連結している。これにより、左側の波状リング32の第1延在部41と、右側の波状リング32の第1延在部41と、が周方向に略一致する位置に配置される。従って、ステント10全体として、形状パターン31が周方向に一致することになる。これにより、収縮状態及び拡張状態の変形が軸11方向に沿って連動し易くなる。
連結部34は、貫通孔36を構成するステント10の側周面で、第1湾曲部51及び第4湾曲部54の平面形状を覆うように設けられている。連結部34は、ストラット30の幅よりも広い幅に形成されている。また、連結部34は、左側の波状リング32の第1湾曲部51から斜めに突出して、右側の波状リング32の第4湾曲部54を連結している。これにより、左側の波状リング32と右側の波状リング32との間で生じる可能性がある周方向の剪断応力を、連結部34で良好に受けることができる。
図4は、図3に表した切断面C1−C1における断面図である。
図4(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図4(b)は、図4(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図4(c)は、図4(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図4(a)〜図4(c)に表した状態は、この順に変化していく。図4(a)〜図4(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29の外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29の内側(血管内腔側)を表している。
図4(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図4(b)は、図4(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図4(c)は、図4(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図4(a)〜図4(c)に表した状態は、この順に変化していく。図4(a)〜図4(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29の外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29の内側(血管内腔側)を表している。
なお、図3に表した切断面C1−C1のように、図4(a)〜図4(c)は、第1延在部41の延在方向に対して垂直な切断面における断面図である。図4(a)〜図4(c)に表した断面図は、第2〜第4延在部42、43、44のそれぞれの延在方向に対して垂直な切断面における断面図と同様である。また、図4(a)〜図4(c)に表した断面図は、連結部34の延在方向(突出方向)に対して垂直な切断面における断面図と同様である。そのため、本実施形態では、第1延在部41の延在方向に対して垂直な切断面における断面図を例に挙げ、筒体29の断面図を説明する。
一般的に、生分解性ポリマーにより構成されたステントが生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間は、例えば約3年程度である。そのため、その期間内において、血栓症などを発症することがある。そのため、生分解性ポリマーにより構成されたステントには、生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することが望まれている。
これに対して、本実施形態に係るステント10では、図4(a)に表したように、筒体29の内部全体には、複数の気泡39が存在する。すなわち、筒体29は、複数の気泡39が内部全体に存在する気泡構造を有する。気泡39の直径は、例えば約10μm以下であり、好ましくは約5μm以下である。さらに好ましくは、気泡39の直径は、例えば約0.5μm〜5μmの範囲で設定される。なお、気泡39の直径は、これだけには限定されず、0.5μm以下であってもよい。
本実施形態によれば、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生体吸収性を有する生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、筒体29に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、筒体29の表面積を増加させることができる。そのため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、生分解性ポリマーにより形成された筒体29が分解される速度は速くなる。これにより、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間は、例えば3ヶ月〜6ヶ月程度である。
また、図4(a)に表したように、相対的にみて、筒体29の内側部分における空隙率は、筒体29の外側部分における空隙率とは異なる。具体的には、筒体29の内側部分に存在する気泡39の直径は、筒体29の外側部分に存在する気泡39の直径よりも大きい。そのため、筒体29の内側部分における空隙率は、筒体29の外側部分における空隙率よりも高い。なお、筒体29の外側部分とは、筒体29の内側部分よりも相対的に外側に配置された部分である。本願明細書において「空隙率」とは、筒体29の総体積に対する気泡39の体積の比率をいう。
これによれば、筒体29に用いられる生分解性ポリマーの量、および筒体29の表面積を、内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。そのため、筒体29が分解される速度を内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。すなわち、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を内側部分と外側部分との間において異ならせることができる。これにより、内側部分を外側部分よりも先に分解させたり、外側部分を内側部分よりも先に分解させたりして、筒体29が分解される速度を部分的に調整することができる。
具体的には、筒体29の内側部分における空隙率が筒体29の外側部分における空隙率よりも高いため、筒体29の外側部分と比較して、筒体29の内側部分に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、筒体29の内側部分の表面積を増加させることができる。そのため、図4(b)および図4(c)に表したように、筒体29の内側部分は、筒体29の外側部分よりも先に分解される。そのため、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持しつつ、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
すなわち、ステント10が血管内に留置された直後では、血管が収縮する力が比較的強い。そして、ステント10が血管内に留置されてからしばらくの期間が経過すると、血管が収縮する力は、留置直後よりも弱くなる。そのため、図4(b)および図4(c)に表したように、筒体29の内側部分が筒体29の外側部分よりも先に分解された場合であっても、筒体29の外側部分は、血管を支持して血管の収縮を抑え、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持することができる。また、筒体29の内側部分が筒体29の外側部分よりも先に分解されるため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
また、前述したように、リング状に形成された複数の素線(ストラット30)を有する骨格部28において、軸11方向において隣り合う波状リング32同士が複数の連結部34により連結されている。また、複数の連結部34は、軸11方向において隣り合う波状リング32同士を互いに離れた状態で連結している。
これによれば、ステント10が生体管腔内において拡張する際に、連結部34は、骨格部28を連動するように拡張させる。そのため、ステント10は、生体管腔内に迅速且つ精度よく留置される。また、隣り合う波状リング同士が周方向の全周において連結された場合と比較すると、隣り合う波状リング32同士は、互いに柔軟に変形することができる。これにより、ステント10は、屈曲や湾曲する生体管腔に沿いつつ生体管腔を支持し、生体管腔やその周辺の臓器に対する影響を抑えて、生体管腔を良好に治療することができる。
図5は、第1変形例の筒体を表す断面図である。
図5(a)〜図5(c)は、図3に表した切断面C1−C1における断面図に相当する。図5(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図5(b)は、図5(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図5(c)は、図5(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図5(a)〜図5(c)に表した状態は、この順に変化していく。図5(a)〜図5(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29Aの外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29Aの内側(血管内腔側)を表している。
図5(a)〜図5(c)は、図3に表した切断面C1−C1における断面図に相当する。図5(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図5(b)は、図5(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図5(c)は、図5(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図5(a)〜図5(c)に表した状態は、この順に変化していく。図5(a)〜図5(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29Aの外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29Aの内側(血管内腔側)を表している。
なお、図4(a)〜図4(c)に関して前述したように、ストラット30Aの第1延在部41の断面図は、ストラット30Aの第2〜第4延在部42、43、44、および連結部34Aのそれぞれの断面図と同様である。そのため、本変形例では、第1延在部41の断面図を例に挙げ、筒体29Aの断面図を説明する。
本変形例の筒体29Aの内部全体には、複数の気泡39が存在する。すなわち、本変形例の筒体29Aは、複数の気泡39が内部全体に存在する気泡構造を有する。気泡39の直径は、筒体29Aの内部全体において略一定であり、図4(a)〜図4(c)に関して前述した通りである。
図5(a)に表したように、相対的にみて、筒体29Aの内側部分における空隙率は、筒体29Aの外側部分における空隙率とは異なる。具体的には、筒体29Aの内側部分の単位体積あたりに存在する気泡39の数は、筒体29Aの外側部分の単位体積あたりに存在する気泡39の数よりも多い。そのため、筒体29Aの内側部分における空隙率は、筒体29Aの外側部分における空隙率よりも高い。
本変形例によれば、図4(a)〜図4(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られるとともに、気泡39の直径が筒体29Aの内部全体において略一定であるため、筒体29Aを比較的容易に製造することができる。
図6は、第2変形例の筒体を表す断面図である。
図6(a)〜図6(c)は、図3に表した切断面C1−C1における断面図に相当する。図6(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図6(b)は、図6(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図6(c)は、図6(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図6(a)〜図6(c)に表した状態は、この順に変化していく。図6(a)〜図6(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29Bの外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29Bの内側(血管内腔側)を表している。
図6(a)〜図6(c)は、図3に表した切断面C1−C1における断面図に相当する。図6(a)は、ステント10が生体管腔内に留置される前あるいは留置された直後の状態を表す断面図である。図6(b)は、図6(a)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。図6(c)は、図6(b)に表した状態から時間が経過した後の状態を表す断面図である。すなわち、図6(a)〜図6(c)に表した状態は、この順に変化していく。図6(a)〜図6(c)のそれぞれにおいて、上側は筒体29Bの外側(血管壁側)を表しており、下側は筒体29Bの内側(血管内腔側)を表している。
なお、図4(a)〜図4(c)に関して前述したように、ストラット30Bの第1延在部41の断面図は、ストラット30Bの第2〜第4延在部42、43、44、および連結部34Bのそれぞれの断面図と同様である。そのため、本変形例では、第1延在部41の断面図を例に挙げ、筒体29Bの断面図を説明する。
図6(a)に表したように、本変形例の筒体29Bは、第1層291と、第2層292と、を有する。つまり、本変形例の筒体29Bは、複数の層が設けられた多層構造を有する。第1層291は、筒体29Bの内側部分に設けられている。第1層291の内部全体には、複数の第1気泡391が存在する。また、第2層292は、第1層291よりも外側に位置する外側部分に設けられている。第2層292の内部全体には、複数の第2気泡392が存在する。つまり、本変形例の筒体29Bの内部全体には、複数の気泡が存在する。すなわち、本変形例の筒体29Bは、複数の気泡が内部全体に存在する気泡構造を有する。
第1気泡391の直径は、第1層291において略一定であり、図4(a)〜図4(c)に関して前述した通りである。第2気泡392の直径は、第2層292において略一定であり、図4(a)〜図4(c)に関して前述した通りである。第1層291における空隙率(第1空隙率)は、第2層292における空隙率(第2空隙率)とは異なる。具体的には、第1層291に存在する第1気泡391の直径は、第2層292に存在する第2気泡392の直径よりも大きい。そのため、第1層291における空隙率は、第2層292における空隙率よりも高い。
本変形例によれば、筒体29Bが多層構造を有することで、各層毎に空隙率を設定することができ、筒体29Bを比較的容易に製造することができる。また、筒体29Bに用いられる生分解性ポリマーの量、および筒体29Bの表面積を、第1層291と第2層292との間において異ならせることができる。そのため、筒体29Bが分解される速度を第1層291と第2層292との間において異ならせることができる。すなわち、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を第1層291と第2層292との間において異ならせることができる。これにより、第1層291を第2層292よりも先に分解させたり、第2層292を第1層291よりも先に分解させたりして、筒体29Bが分解される速度を部分的に調整することができる。
具体的には、第1層291における空隙率が第2層292における空隙率よりも高いため、第2層292と比較して、第1層291に用いられる生分解性ポリマーの量を低減することができるとともに、第1層291の表面積を増加させることができる。そのため、図6(b)および図6(c)に表したように、第1層291は、第2層292よりも先に分解される。そのため、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持しつつ、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。
すなわち、図4(a)〜図4(c)に関して前述したように、ステント10が血管内に留置された直後では、血管が収縮する力が比較的強い。そして、ステント10が血管内に留置されてからしばらくの期間が経過すると、血管が収縮する力は、留置直後よりも弱くなる。そのため、第1層291が第2層292よりも先に分解された場合であっても、第2層292は、血管を支持して血管の収縮を抑え、狭窄部を押し広げた状態を維持するための強度を保持することができる。また、第1層291が第2層292よりも先に分解されるため、気泡が筒体の内部全体に存在せず、生分解性ポリマーが充填された場合と比較すると、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。また、図4(a)〜図4(b)に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
また、第1層291を形成する生分解性ポリマーは、第2層292を形成する生分解性ポリマーと同じであることがより好ましい。これによれば、第1層291と第2層292との間で生ずる相互作用を抑え、筒体29Bを比較的容易に製造することができる。また、第1層291における空隙率および第2層292における空隙率を調整することにより、筒体29Bが分解される速度の部分的調整を比較的容易に行うことができる。
次に、本実施形態に係るステント10の製造方法について説明する。
図7は、本実施形態に係るステントの製造方法を示す説明図である。
図7は、本実施形態に係るステントの製造方法を示す説明図である。
本実施形態に係るステント10では、上述した波状リング32と連結部34とを同じ製造過程で生成する。波状リング32および連結部34の製造過程では、まず、生分解性ポリマーを含有する材料を用いて押出成形や射出成形を行うことにより、パイプ60を生成する。パイプ60の肉厚は、ストラット30および連結部34のそれぞれの厚みに近い。なお、パイプ60は、生分解性ポリマーを含有する材料を用いて射出成形を行うことにより、ストラット30および連結部34のそれぞれの厚みに近い板材を用意し、その板材の端辺同士を接合することで形成されてもよい。
押出成形や射出成形を行う際に、筒体29の形成後に気泡39、第1気泡391および第2気泡392になる発泡剤としての炭酸ガスや窒素ガスなどを、生分解性ポリマーを含有する溶融状態の材料に高圧下で注入させる。例えば、発泡剤としての炭酸ガスや窒素ガスなどは、生分解性ポリマーを含有する材料に超臨界状態で供給される。超臨界状態の流体(超臨界流体)は、臨界温度および臨界圧力以上において、気体および流体の両方の性質を有する。このような押出成形や射出成形を行うことにより、パイプ60は、複数の気泡が内部全体に存在する気泡構造を有する。
このとき、図6(a)〜図6(c)に関して前述した第1層291のように、相対的に大きい直径の気泡を有する層を形成する場合には、生分解性ポリマーを含有する材料に対して炭酸ガスや窒素ガスを供給するときの圧力を相対的に低い圧力に設定し、攪拌速度を相対的に遅い速度に設定する。一方で、図6(a)〜図6(c)に関して前述した第2層292のように、相対的に小さい直径の気泡を有する層を形成する場合には、生分解性ポリマーを含有する材料に対して炭酸ガスや窒素ガスを供給するときの圧力を相対的に高い圧力に設定し、攪拌速度を相対的に速い速度に設定する。
そして、パイプ60に対し所定の加工方法を施すことで、連結部34により連結された複数の波状リング32のストラット30が取り出される。つまり、パイプ60の不要な部分(所定の形状パターン31および連結部34以外の箇所)を除去することにより、複数のストラット30は、連結部34に連結された状態で上述した形状パターン31を周方向に繰り返したリング状に成形される。これにより、所定長さを有する筒状のステント10が作成される。
加工方法としては、フォトファブリケーションと呼ばれるマスキングと化学薬品を使用したエッチング方法、型による放電加工法、切削加工法(例えば、機械研磨、レーザー切削加工)等が挙げられる。さらに、パイプ60から波状リング32および連結部34を取り出した後、熱処理を行ってもよい。
その後、波状リング32やステント10に対して血管内に溶出する薬剤などをコーティングすることで、血管内に留置可能なステント10の製造が完了する。
次に、本実施形態に係るステントを使用した手技について説明する。
図8は、本実施形態に係るステントを使用した手技を説明する断面図である。
なお、図8(a)は、収縮状態のステントを表す断面図である。図8(b)は、拡張状態のステントを表す断面図である。
図8は、本実施形態に係るステントを使用した手技を説明する断面図である。
なお、図8(a)は、収縮状態のステントを表す断面図である。図8(b)は、拡張状態のステントを表す断面図である。
本実施形態に係るステント10は、ステント留置術により血管Vに生じた狭窄部Xに留置され、狭窄部Xを内側から押し広げるために適用される。具体的には、上記の製造方法で製造されたステント10は、図1に示すステントデリバリーデバイス12の先端部側のバルーン70に装着される。ステント10は、ステントデリバリーデバイス12に装着された状態で収縮状態を呈し、さらに軸方向の移動を規制されている。
手技時において、術者は、例えばセルジンガー法により患者の所定位置(手首、腕部、足首、大腿部等)から血管V内にガイドワイヤ24を経皮的に挿入する。その後、術者は、ステントデリバリーデバイス12(具体的には内管18)のガイドワイヤルーメン22内にガイドワイヤ24を挿入し、ステント10の挿入及び送達を開始する。なお、ステントデリバリーデバイス12の適用前には、専用のデバイスを使用して狭窄部X付近の血管Vの診断又は治療等を行ってもよい。
ステントデリバリーデバイス12は、術者の操作により血管V内に挿入された後、ガイドワイヤ24に沿って血管V内をスムーズに移動する。そして、図8(a)に示すように、ステント10が装着されたバルーン70が狭窄部Xに重なる位置まで達すると、ステントデリバリーデバイス12の移動を停止させステント10の拡張位置を位置決めする。その後、術者は、拡張用ルーメン16を介してバルーン70の内部に拡張用液体を流入させ、ステント10を拡張させていく。
ステント10の複数の波状リング32は、連結部34により軸方向に連なっており、相互が離間することなく血管V内に拡張していく。図8(b)に示すように、ステント10は、血管V内で径方向外側に拡張することで血管Vを内側から外側に押し広げる。
そして、図4(a)〜図6(c)に関して前述したように、ステント10が生体管腔内に留置された後では、ステント10が生体管腔内に留置されてから生体内に吸収されるまでの期間を短縮することができる。これにより、血栓症などを発症するおそれを低減することができる。
なお、本実施形態では、ステント10は、波状リング32により波状に形成されている。但し、ステントの形状は、これだけには限定されず、周方向に直線状に延びるストラットにより形成された円環状であってもよい。また、連結部34が軸11方向において隣り合う波状リング32同士を連結する箇所は、図2および図3に関して前述した箇所には限定されず、適宜変更可能である。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
10・・・ステント、 11・・・軸、 12・・・ステントデリバリーデバイス、 13・・・シャフト部、 14・・・外管、 16・・・拡張用ルーメン、 18・・・内管、 20・・・ハブ、 21・・・基端開口部、 22・・・ガイドワイヤルーメン、 24・・・ガイドワイヤ、 28・・・骨格部、 29、29A、29B・・・筒体、 30、30A、30B・・・ストラット、 31・・・形状パターン、 32・・・波状リング、 32A・・・第1波状リング、 32B・・・第2波状リング、 32C・・・第3波状リング、 32D・・・第4波状リング、 34、34A、34B・・・連結部、 36・・・貫通孔、 39・・・気泡、 41・・・第1延在部、 42・・・第2延在部、 43・・・第3延在部、 44・・・第4延在部、 51・・・第1湾曲部、 52・・・第2湾曲部、 53・・・第3湾曲部、 54・・・第4湾曲部、 60・・・パイプ、 70・・・バルーン、 71・・・筒状部、 72・・・第1縮径部、 73・・・第2縮径部、 291・・・第1層、 292・・・第2層、 391・・・第1気泡、 392・・・第2気泡、 V・・・血管、 X・・・狭窄部
Claims (7)
- 生体管腔内に留置されるステントであって、
前記生体管腔内で拡張可能であり、生体吸収性を有する生分解性ポリマーにより筒状に形成され、複数の気泡が内部全体に存在する気泡構造を有する筒体を備えたことを特徴とするステント。 - 前記筒体の内側部分における空隙率は、前記内側部分よりも外側に配置された前記筒体の外側部分における前記空隙率とは異なることを特徴とする請求項1に記載のステント。
- 前記内側部分における前記空隙率は、前記外側部分における前記空隙率よりも高いことを特徴とする請求項2に記載のステント。
- 前記筒体は、
前記筒体の内側部分に設けられ第1空隙率を有する第1層と、
前記第1層よりも外側に位置する外側部分に設けられ前記第1空隙率とは異なる第2空隙率を有する第2層と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のステント。 - 前記第1空隙率は、前記第2空隙率よりも高いことを特徴とする請求項4に記載のステント。
- 前記第1層を形成する前記生分解性ポリマーは、前記第2層を形成する前記生分解性ポリマーと同じであることを特徴とする請求項4または5に記載のステント。
- 前記筒体は、
軸回りを周方向に周回してリング状に形成された複数の素線を有する骨格部と、
前記軸方向において隣り合う前記素線同士を互いに離れた状態で連結する連結部と、
を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のステント。
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JP2022542483A (ja) * | 2019-05-10 | 2022-10-03 | 上海微▲創▼医▲療▼器械(集▲團▼)有限公司 | 分解性薬剤保持ステントおよびその製造方法 |
JP7334338B2 (ja) | 2019-05-10 | 2023-08-28 | 上海微▲創▼医▲療▼器械(集▲團▼)有限公司 | 分解性薬剤保持ステントおよびその製造方法 |
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