(実施形態1)
(1)監視システムの概要
まず、本実施形態に係る監視システム10の概要について、図2を参照して説明する。
本実施形態に係る監視システム10は、1台の通信装置1と、複数台(図2の例では4台)の監視機器201,202,…とを備えている。
通信装置1は、複数台の監視機器201,202,…の各々と、双方向に通信可能に構成されている。また、通信装置1は、複数台の監視機器201,202,…とは別の、外部装置3との間でも通信可能に構成されている。通信装置1及び複数台の監視機器201,202,…は建物4に設けられている。外部装置3は建物4から離れた場所、つまり建物4の遠隔地に設けられている。以下では、複数台の監視機器201,202,…を特に区別しない場合、複数台の監視機器201,202,…の各々を「監視機器2」という。通信装置1は、複数台の監視機器2と通信可能であるので、以下では、通信装置1と通信可能な複数台の監視機器2を「通信対象」ともいう。本実施形態では、外部装置3は監視システム10の構成要素には含まれないこととするが、外部装置3は監視システム10の構成要素に含まれていてもよい。
以下の説明では一例として、監視システム10が適用される建物4として、戸建住宅を例示する。監視システム10が適用される建物4は、戸建住宅に限らず、例えば集合住宅の各住戸等の戸建住宅以外の住宅、又は事務所や店舗、介護施設等の非住宅であってもよい。
要するに、通信装置1は、同一の建物4に設けられた監視機器2、及び建物4の外部に設けられた外部装置3の各々との通信機能を有している。本実施形態では、監視機器2は、例えば、人感センサ、カメラ、火災感知器、温湿度センサ、窓センサ、又は通話装置等の機能を有している。そのため、通信装置1は、監視機器2との通信により、例えば建物4内の状況を監視したり、監視機器2を制御したりすることが可能である。さらに、通信装置1は、外部装置3との通信により、例えば監視機器2の状態を外部装置3に転送したり、外部装置3にて監視機器2を遠隔制御したりすることができる。これにより、建物4の外部の外部装置3においても、建物4内の状況を監視することが可能になる。
通信装置1は、建物4内においてアウトレット(コンセント)に接続されることにより、分電盤6を介して、外部電源5に電気的に接続されている。通信装置1は、外部電源5、及び電池15(図1参照)からの電力供給を受けて動作可能に構成されている。通信装置1は、アウトレットから電力が供給される定常時においては、外部電源5からの電力供給を受けて動作する。
本実施形態では、通信装置1と監視機器2との通信には電波を媒体とした無線通信方式が適用される。通信装置1と監視機器2との通信方式としては、例えば、920〔MHz〕帯の特定小電力無線と、Wi−Fi(登録商標)との2種類の通信方式が適用されている。これら2種類の通信方式は、監視機器2によって使い分けられてもよいし、1台の監視機器2でシーンに応じて使い分けられてもよい。
また、通信装置1と外部装置3との通信方式としては、例えば、通信事業者が提供する3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等のキャリア網(携帯電話網)7を用いた無線通信方式が適用される。つまり、本実施形態では通信装置1はキャリア網7に接続され、キャリア網7を介して外部装置3と通信する。
通信装置1は、基本的な機能として、監視機器2から監視信号を受信すると、外部装置3へ通報信号を送信する機能を有している。ここでいう「監視信号」は、監視機器2から受信する特定の信号であって、例えば、人感センサ、火災感知器及び窓センサからの報知信号、カメラからの映像信号、温湿度センサからの測定信号、及び通話装置からの音声信号の少なくとも1つである。また、「通報信号」は、監視信号をトリガに通信装置1で発生する信号であって、監視信号に含まれる情報を含んでいてもよいし、監視信号に対応する定型のメッセージやコマンドを含んでいてもよい。さらに、通信装置1は、ユーザ(建物4の住人)の操作を受け付ける機能、及び種々の情報を表示や音声により出力する機能等を有している。
また、複数台の監視機器2はいずれも電池駆動式であって、電池25(図1参照)からの電力供給を受けて動作可能に構成されている。
人感センサの機能を有する監視機器2は、建物4内の監視エリア(例えばリビングルーム等の居室)における人の存否を検知し、人が存在する場合には報知信号を通信装置1へ送信する。カメラの機能を有する監視機器2は、建物4内の撮像エリアを撮像し、撮像された映像を映像信号として通信装置1へ送信する。火災感知器の機能を有する監視機器2は、建物4での火災の発生の有無を検知し、火災が発生した場合には報知信号を通信装置1へ送信する。温湿度センサの機能を有する監視機器2は、建物4内の温度及び湿度を測定し、測定結果を測定信号として通信装置1へ送信する。窓センサの機能を有する監視機器2は、建物4の窓の開閉を検知し、窓が開いた場合には報知信号を通信装置1へ送信する。通話装置の機能を有する監視機器2は、スピーカ及びマイクロホンを有し、通信装置1との間で音声信号を送受信することにより、通信装置1を介して、外部装置3との間で通話を可能とする。なお、カメラの機能を有する監視機器2は、マイクロホンを有し、映像信号と共に音声信号を通信装置1へ送信する構成であってもよい。
図2の例では、監視機器201は「人感センサ」の機能を有し、監視機器202は「カメラ」の機能を有し、監視機器203は「火災感知器」の機能を有し、監視機器204は「温湿度センサ」の機能を有している。ただし、この例に限らず、同じ種類の監視機器2が複数台設けられていてもよいし、例えば、空調機器及び照明機器等が監視機器2として設けられていてもよい。
これらの監視機器2は、通信装置1に対して一方的に信号を送信するだけでなく、通信装置1からの信号を受信する機能を有している。監視機器2が通信装置1から受信する信号としては、少なくとも、通信装置1と監視機器2との間で同期処理を行うための同期信号(ビーコン)がある。さらに、監視機器2が通信装置1から受信する信号には、例えば、監視機器2のアライブチェック(生存確認)のための信号、監視機器2の状態を問い合わせるための信号、監視機器2の制御のための信号、及び監視機器2の設定変更のための信号等がある。監視機器2の制御には、運転(稼働)/停止(待機)等の監視機器2の動作モードの切り替えが含まれる。つまり、通信装置1は、監視機器2からの監視信号を収集するだけでなく、監視機器2の制御等を行うコントローラとしても機能する。
外部装置3は、例えば、監視システム10を用いたサービスの提供元(警備会社等)が所有する施設に設けられており、キャリア網7に接続されている。外部装置3は、基本的な機能として、通信装置1からの通報信号を受信すると、通報信号に含まれる情報を表示又は音声等により出力する機能を有している。さらに、外部装置3は、通信装置1から一方的に信号を受信するだけでなく、通信装置1に対して信号を送信する機能を有している。外部装置3が通信装置1に送信する信号には、例えば、通信装置1及び監視機器2のアライブチェック(生存確認)のための信号、監視機器2の状態を問い合わせるための信号、監視機器2の制御のための信号、通信装置1及び監視機器2の設定変更のための信号等がある。
また、外部装置3は、実際には、複数の建物4からなる監視対象群を監視対象とする。この場合、監視対象群に属する複数の建物4に設けられた通信装置1が、1台の外部装置3と通信することにより、外部装置3と通信装置1とは一対多の関係となる。ただし、以下では説明を簡単にするため、外部装置3の監視対象が1つの建物4である場合、つまり外部装置3と通信装置1とが一対一の関係にある場合を例に説明する。
(2)具体的構成
次に、本実施形態に係る監視システム10において、通信装置1及び監視機器2の個々の具体的な構成について、図1を参照して説明する。図1では、複数台の監視機器201,202,…のうち1台の監視機器2のみを図示しているが、他の監視機器2についても同様の構成である。
以下では、通信装置1の通信部と監視機器2の通信部(機器側通信部)とを区別するために、通信装置1の通信部を「第1通信部」、監視機器2の通信部(機器側通信部)を「第2通信部」という。同様に、通信装置1の制御部と監視機器2の制御部(機器側制御部)とを区別するために、通信装置1の制御部を「第1制御部」、監視機器2の制御部(機器側制御部)を「第2制御部」という。つまり、第2通信部21が「機器側通信部」に相当し、第2制御部22が「機器側制御部」に相当する。
(2.1)通信装置
通信装置1は、図1に示すように、第1通信部11と、第1制御部12と、電源部13と、外部通信部14と、入力部16と、出力部17と、充電部18とを有している。
第1通信部11(通信部)は、少なくとも1台の監視機器2からなる通信対象との通信用の通信モジュールであって、第1制御部12にて制御される。第1通信部11は、監視機器2への信号の送信を行う第1送信部111と、監視機器2からの信号の受信を行う第1受信部112とを有している。第1送信部111及び第1受信部112は個別に動作可能であって、第1通信部11は、例えば第1送信部111を動作させずに第1受信部112のみを動作させることが可能である。
本実施形態では、上述したように通信装置1と監視機器2との通信方式として、2種類の通信方式が適用されているため、通信装置1には、2種類の通信方式に対応して2つの第1通信部11が設けられていてもよい。一方の通信方式は特定小電力無線であり、他方の通信方式はWi−Fi(登録商標)である。ここでいう特定小電力無線は、免許を必要としない小電力無線である。特定小電力無線については、用途等に応じて使用する周波数帯域や空中線電力等の仕様が各国で規定されている。
外部通信部14は、外部装置3(図2参照)との通信用の通信モジュールであって、第1制御部12にて制御される。外部通信部14は、外部装置3への信号の送信を行う送信部141と、外部装置3からの信号の受信を行う受信部142とを有している。
電源部13は、電池15又は外部電源5から電力供給を受けて第1通信部11、外部通信部14及び第1制御部12等の動作用電力を生成する。ここで、「外部電源5」は本実施形態では系統電源(商用電源)である。外部電源5は、通信装置1の構成要素には含まれない。外部電源5は、建物4(図2参照)の外部にあればよく、系統電源に限らず、例えば太陽光発電設備等の分散電源であってもよい。「電池15」は本実施形態では通信装置1に内蔵された電池である。電池15は、通信装置1の構成要素に含まれていてもよいし、通信装置1の構成要素に含まれていなくてもよい。電池15は、通信装置1から取外可能な構成であってもよいし、通信装置1に外付けされる構成であってもよい。
本実施形態では、電池15は、外部電源5の電力で充電される二次電池である。電池15は、充電部18を介して外部電源5に電気的に接続される。充電部18は、整流平滑回路及びDC/DCコンバータを有し、外部電源5からの電力を用いて電池15を充電する。電池15は、例えばリチウム電池、ニッケル・カドミウム電池などである。
さらに、電源部13は電源監視部131を含んでいる。電源監視部131は、外部電源5からの給電状態を監視する。つまり、分電盤6のブレーカ遮断、又は外部電源5としての系統電源の停電等によって、外部電源5から通信装置1への電力供給が停止すれば、電源監視部131は、外部電源5から電源部13への給電が停止したと判断する。
第1制御部12(制御部)は、第1通信部11及び外部通信部14を制御する。第1制御部12は、本実施形態ではCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。言い換えれば、第1制御部12は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが第1制御部12として機能する。プログラムは、ここでは第1制御部12のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
さらに、第1制御部12は切替部121及び時計部122を含んでいる。切替部121は、第1制御部12の動作モードを、第1モードと第2モードとで切り替える。時計部122は、現在時刻(年、月、日も含む)を計時する機能を有し、例えばRTC(Real-Time Clock)である。ここでいう「第1モード」は、第1通信部11を外部電源5の電力で動作させる動作モードである。「第2モード」は、第1通信部11を電池15の電力で動作させる動作モードである。第1モードでは、第1通信部11だけでなく、第1制御部12等を含む通信装置1全体が外部電源5の電力で動作する。同様に、第2モードでは、第1通信部11だけでなく、第1制御部12等を含む通信装置1全体が電池15の電力で動作する。第1制御部12の動作モードは、通信装置1全体の動作を決定するので、第1制御部12の動作モードを、通信装置1の動作モードということもある。
第1制御部12は、第1モードにおいては、第1通信部11を常時受信動作させるように構成されている。一方、第1制御部12は、少なくとも第2モードにおいては、第1通信部11を通信対象(監視機器2)と同期通信させるように構成されている。さらに、第1制御部12は、第2モードにおいては、第1通信部11を間欠的に受信動作させるように構成されている。
ここにおいて、切替部121は、電源監視部131の監視結果に基づいて、動作モードを切り替える。具体的には、切替部121は、外部電源5からの給電が有れば第1モード、外部電源5からの給電が無ければ第2モードとなるように、電源監視部131の監視結果に基づいて動作モードを切り替える。
入力部16は、操作部に接続され、操作部に対するユーザの操作に応じた入力信号を第1制御部12へ出力する。出力部17は、表示部や音声出力部(スピーカ)等に接続され、第1制御部12からの出力信号を受けて表示部に種々の情報を表示させたり、音声出力部から音声を出力させたりする。通信装置1は、少なくとも監視機器2から監視信号を受信して外部装置3へ通報信号を送信する際には、出力部17において、音(音声を含む)又は光(表示を含む)により建物4にて報知を行う。これにより、通信装置1が監視機器2から監視信号を受信した場合、外部装置3だけでなく、建物4内のユーザに対しても報知が可能となる。入力部16及び出力部17は、通信装置1に設けられたユーザインタフェースとしての操作部、表示部等に接続されていてもよいし、通信装置1とは別の端末(スマートフォン、タブレット端末等)と通信により接続されていてもよい。
(2.2)監視機器
監視機器2は、図1に示すように、第2通信部21と、第2制御部22と、電源部23と、機能モジュール24とを有している。
監視機器2における第2通信部21、第2制御部22及び電源部23は、通信装置1における第1通信部11、第1制御部12及び電源部13にそれぞれ対応する構成である。そこで、以下では、監視機器2の各部の構成のうち、対応する通信装置1の各部の構成と同様の構成については、適宜説明を省略する。
機能モジュール24は、監視機器2における通信装置1との通信以外の機能を実現するモジュールである。人感センサ等のセンサとしての機能を有する監視機器2であれば、機能モジュール24はセンサの機能を有する。通話装置としての機能を有する監視機器2であれば、機能モジュール24は通話装置としての機能を有する。つまり、監視機器2は、機能モジュール24の機能に、通信装置1との通信機能が付加された構成である。
第2通信部21(機器側通信部)は、通信装置1(第1通信部11)との通信用の通信モジュールであって、第2制御部22にて制御される。第2通信部21は、通信装置1への信号の送信を行う第2送信部211と、通信装置1からの信号の受信を行う第2受信部212とを有している。
電源部23は、電池25から電力供給を受けて第2通信部21、機能モジュール24及び第2制御部22等の動作用電力を生成する。電池25は、監視機器2の筐体内に収納される一次電池である。電池25は、監視機器2の構成要素に含まれていてもよいし、監視機器2の構成要素に含まれていなくてもよい。
第2制御部22(機器側制御部)は、マイクロコンピュータにて構成されており、第2通信部21及び機能モジュール24を制御する。マイクロコンピュータを第2制御部22として機能させるためのプログラムは、ここでは第2制御部22のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第2制御部22は、機能モジュール24にて特定のイベントが発生すると、第2通信部21から通信装置1(第1通信部11)に監視信号を送信するように構成されている。ここでいう「イベント」は、例えば、人感センサの機能を有する監視機器2であれば、人の存在を検知することである。
第2制御部22は、第2通信部21を通信装置1(第1通信部11)と同期通信させるように構成されている。さらに、第2制御部22は、第2通信部21を間欠的に受信動作させるように構成されている。第2通信部21は、通信装置1の動作モードにかかわらず、常に、間欠的に受信動作を行う。
(3)動作
以下、本実施形態の監視システム10の動作について、図3を参照して説明する。ここでは、1台の通信装置1と4台の監視機器201,202,203,204(図2参照)との間の通信を例に説明する。図3では、「監視機器A」、「監視機器B」、「監視機器C」、「監視機器D」が監視機器201,202,203,204にそれぞれ対応する。図3では、「通信装置」の「Tx」が通信装置1の第1送信部111の動作(斜線部が送信動作中)を示し、「通信装置」の「Rx」が通信装置1の第1受信部112の動作(斜線部が受信動作中)を示している。また、図3では、「監視機器」の「Tx」が監視機器2の第2送信部211の動作(斜線部が送信動作中)を示し、「監視機器」の「Rx」が監視機器2の第2受信部212の動作(斜線部が受信動作中)を示している。
図3の例では、時刻t2までの期間には外部電源5から通信装置1への給電が有り、時刻t2にて、外部電源5から通信装置1への給電(電力供給)が停止する(図3中の「OFF」)場合を例示している。すなわち、少なくとも時刻t2までの期間には、通信装置1(第1制御部12)の動作モードは第1モードである。
(3.1)同期通信
本実施形態では、通信装置1(第1通信部11)と監視機器2(第2通信部21)とは、第1制御部12の動作モードが第1モードである間だけでなく、常に、同期方式の通信(同期通信)を行う。通信装置1と監視機器2との間の同期方式は、例えば、キャラクタ同期方式又はフラグ同期方式などである。
具体的には、通信装置1は、複数台の監視機器2に対して、第1周期T1間隔で、定期的に同期信号Ss1(ビーコン)を送信することで、同期信号Ss1を受信した複数台の監視機器2との間で同期をとる同期処理を行う。同期信号Ss1は、マルチキャスト又はブロードキャストにより、複数台の監視機器2に一斉(同時)に送信される。同期信号Ss1の送信周期である第1周期T1は、例えば10分である。第1周期T1のカウントは、時計部122にて行われる。監視機器2においては、第1周期T1間隔で、第2通信部21が間欠的に受信動作することにより、通信装置1からの同期信号Ss1を受信する。このような同期処理が定期的に行われることによって、通信装置1と監視機器2とは同期する。
これにより、第1制御部12は、第1通信部11を間欠的に受信動作させながらも、監視機器2とタイミングを合わせて第1通信部11を受信動作させることができ、監視機器2からの上り信号を第1通信部11にて受信可能となる。同様に、第2制御部22は、第2通信部21を間欠的に受信動作させながらも、通信装置1とタイミングを合わせて第2通信部21を受信動作させることができ、通信装置1からの下り信号を第2通信部21にて受信可能となる。ここでいう「上り信号」は監視機器2から通信装置1に送信される信号を意味する。「下り信号」は通信装置1から監視機器2に送信される信号を意味する。つまり、通信装置1から監視機器2に送信される同期信号Ss1は、下り信号に含まれる。
また、通信装置1が定期的に監視機器2のアライブチェックを行う場合、通信装置1は、例えば同期信号Ss1をアライブチェックに利用してもよい。この場合、同期信号Ss1を受信した監視機器2は、アライブ信号を通信装置1に送信する。アライブ信号の返信を行わない監視機器2があれば、通信装置1は、監視機器2の故障や電池切れ、又は通信エラーと判断する。ただし、アライブチェックの機能は通信装置1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
(3.2)第1モード
次に、外部電源5から通信装置1(電源部13)への給電が有る場合、つまり通信装置1(第1制御部12)の動作モードが第1モードである場合の、監視システム10の動作について説明する。
この場合、図3に示すように、通信装置1は常時受信動作し、監視機器2は間欠的に受信動作する。
すなわち、第1モードにおいては、通信装置1は、第1通信部11を常時受信動作させている。具体的には、第1制御部12は、第1受信部112への電力供給を常時行い、第1受信部112を常時動作させる。これにより、第1制御部12は、第1通信部11を常時受信動作させる。
監視機器2は、同期信号Ss1の送信タイミングに合わせて、第2通信部21を間欠的に受信動作させている。具体的には、間欠的に設定される受信タイミングまでの期間には、第2制御部22は、第2受信部212への電力供給を停止することで第2受信部212の動作を停止させる。受信タイミングになると、第2制御部22は、所定時間だけ、第2受信部212を起動して第2通信部21を受信動作させる。本実施形態では、同期信号Ss1の送信周期は第1周期T1であるので、第2通信部21は第1周期T1で間欠的に受信動作する。
そのため、通信装置1の動作モードが第1モードである場合、通信装置1は、いずれのタイミングで送信された上り信号(監視信号等)についても受信可能である。一方、監視機器2は、間欠的に設定される第2通信部21の受信タイミングに送信された下り信号(同期信号Ss1等)についてのみ受信可能である。
(3.3)第2モード
次に、通信装置1(第1制御部12)の動作モードが第2モードである場合の、監視システム10の動作について説明する。
本実施形態に係る監視システム10では、通信装置1(第1制御部12)の動作モードの監視機器2への通知は行われない。そのため、監視機器2は、通信装置1の動作モードが第1モードと第2モードとのいずれかにあっても、同じ動作をすることになる。
本実施形態では、通信装置1は、外部電源5から通信装置1(電源部13)への給電が停止すると、直ちに第2モードでの動作を開始する。図3の例では、時刻t2において、外部電源5から通信装置1(電源部13)への給電が停止する。外部電源5からの給電が無くなると、通信装置1は、切替部121にて第1制御部12の動作モードを第1モードから第2モードに切り替える。つまり、図3の例では、時刻t2が第2モードの開始時点となる。
通信装置1(第1制御部12)の動作モードが第2モードである場合、図3に示すように、通信装置1は間欠的に動作し、監視機器2は間欠的に受信動作する。
すなわち、第2モードにおいては、通信装置1は、第1通信部11を間欠的に受信動作させている。要するに、通信装置1の動作モードが第1モードから第2モードに切り替わると、通信装置1での受信動作は、常時受信から間欠受信に切り替わる。具体的には、間欠的に設定される受信タイミングまでの期間には、第1制御部12は、第1受信部112への電力供給を停止することで第1受信部112の動作を停止させる。受信タイミングになると、第1制御部12は、所定時間だけ、第1受信部112を起動して第1通信部11を受信動作させる。本実施形態では、第1通信部11は、同期信号Ss1の送信タイミングを基準とし、同期信号Ss1の送信タイミングから第2周期T2間隔で設定された受信タイミングで、間欠的に受信動作する。第2周期T2は、第1周期T1よりも短く設定されており(T2<T1)、一例として、第1周期T1が10分の場合に、第2周期T2は1分に設定される。第2周期T2のカウントは、時計部122にて行われる。
監視機器2は、通信装置1の動作モードが第1モードである場合と同様に、同期信号Ss1の送信タイミングに合わせて、第2通信部21を間欠的に受信動作させている。ここで、監視機器2における受信間隔(第1周期T1)と、通信装置1の第2モードでの受信間隔(第2周期T2)とは、互いに異なっている。
そのため、通信装置1の動作モードが第2モードである場合、通信装置1は、間欠的に設定される第1通信部11の受信タイミングに送信された上り信号(監視信号等)についてのみ受信可能である。監視機器2もまた、間欠的に設定される第2通信部21の受信タイミングに送信された下り信号(同期信号Ss1等)についてのみ受信可能である。
また、図3に示す例のように、第2モードでの動作の開始後における通信装置1の最初の受信タイミングは、第2モードでの動作の開始直前の同期信号Ss1の送信タイミングから、第2周期T2のN倍(Nは自然数)の間隔が空くことになる。つまり、通信装置1は、時刻t2の直前の同期信号Ss1の送信タイミングから、第2周期T2のN倍(T2×N)の時間経過後から、第1通信部11を間欠的に受信動作させ始める。ここで、通信装置1が、第2モードでの動作を開始した直後から、受信動作を開始することは必須ではない。すなわち、同期信号Ss1の送信タイミングから第2周期T2間隔で設定される複数のタイミングのうち、時刻t2以降であって最初のタイミングにおいて、通信装置1が受信動作を行うことは必須ではない。
(3.4)監視信号の送信処理
次に、監視機器2(第2制御部22)が、通信装置1に監視信号を送信する際の、監視システム10の動作について説明する。
監視機器2の第2制御部22は、イベントの発生時に、第1タイミングと、第2タイミングとの両方において、第2通信部21から通信装置1に監視信号を送信するように構成されている。ここでいう「第1タイミング」は、イベントが発生した時点を基準とするタイミングである。「第2タイミング」は、通信装置1における第2モードでの受信タイミングに合わせたタイミングである。以下では、第1タイミングにて監視機器2が送信する「監視信号Se1」を、「1回目の監視信号Se1」ともいう。また、第2タイミングにて監視機器2が送信する「監視信号Se2」を、「2回目の監視信号Se2」ともいう。本実施形態では一例として、第1タイミングはイベントが発生した時点とする。そのため、監視機器2は、イベントが発生した直後に、1回目の監視信号Se1を送信することになる。また、本実施形態では一例として、第2タイミングはイベントが発生した時点以降の最初(1回目)の通信装置1における第2モードでの受信タイミングとする。そのため、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との送信間隔、つまり第1タイミングと第2タイミングとの間隔は、第2周期T2以下となる。
ここで、通信装置1と監視機器2とは、上述したように定期的な同期処理によって同期しているので、監視機器2においては、2回目の監視信号Se2の送信タイミングを通信装置1の受信タイミングに合わせることが可能である。要するに、通信装置1は、第2モードにおいては、同期信号Ss1の送信タイミングを基準とする受信タイミングで、間欠的に受信動作する。そこで、監視機器2は、同期信号Ss1を受信したタイミング(同期信号Ss1の送信タイミング)を基準に、2回目の監視信号Se2の送信タイミング(第2タイミング)を決定することができる。
本実施形態では、監視機器2は、通信装置1の動作モードにかかわらず、少なくともこれら2回のタイミングにて監視信号を送信する。ただし、通信装置1の動作モードが第1モードか第2モードかによって、通信装置1の受信動作(常時受信又は間欠受信)が異なるため、以下では、通信装置1の動作モード別に、監視信号の送信処理を説明する。
まず、通信装置1の動作モードが第1モードである場合について説明する。この場合において、例えば、人感センサの機能を有する監視機器201が人の存在を検知する等、監視機器201にて特定のイベントが発生すると(図3中の「EvA」)、監視機器201において、監視信号を送信する必要が生じる。この場合、監視機器201は、イベントが発生した時点(時刻t1)を基準とする第1タイミング(時刻t1の直後)にて、通信装置1に対して1回目の監視信号Se1を送信する。さらに、監視機器201は、通信装置1における第2モードの受信タイミングに合わせた第2タイミングにて、通信装置1に対して2回目の監視信号Se2を送信する。図3の例では、監視機器201でのイベントの発生時点(時刻t1)は、直前の同期信号Ss1の送信タイミングから、第2周期T2の「M−1」倍(Mは自然数)以上、かつ第2周期T2の「M」倍未満の時間が経過した時点である。そのため、監視機器201は、時刻t1の直前の同期信号Ss1の送信タイミングから、第2周期T2のM倍(T2×M)の時間が経過したタイミング(第2タイミング)にて、2回目の監視信号Se2を送信する。
このように、通信装置1の動作モードが第1モードである場合、監視機器2は、イベントが発生すると、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との2回にわたって監視信号を送信する。通信装置1の動作モードが第1モードにあれば、通信装置1は、常時受信動作しているので、いずれのタイミングで送信された上り信号(監視信号)についても受信可能である。そのため、第1モードで動作する通信装置1は、監視機器201からの1回目の監視信号Se1、及び2回目の監視信号Se2の両方を受信する。ただし、本実施形態では、通信装置1は、第1モードにおいては、1台の監視機器201からの1回目の監視信号Se1を受信すると、同じ監視機器201からの2回目の監視信号Se2については、受信後、破棄するように構成されている。そのため、通信装置1は、1回目の監視信号Se1のみを受信する場合と同様に動作する。その結果、通信装置1は、第1モードにおいては、監視機器2にて特定のイベントが発生した場合に、即座に、監視機器2からの監視信号Se1を受信することができる。
次に、通信装置1の動作モードが第2モードである場合について説明する。この場合において、例えば、火災感知器の機能を有する監視機器203が火災の発生を検知する等、監視機器203にて特定のイベントが発生すると(図3中の「EvC」)、監視機器203において、監視信号Se1を送信する必要が生じる。この場合、監視機器203は、イベントが発生した時点(時刻t3)を基準とする第1タイミング(時刻t3の直後)にて、通信装置1に対して1回目の監視信号Se1を送信する。さらに、監視機器203は、通信装置1における第2モードの受信タイミングに合わせた第2タイミングにて、通信装置1に対して2回目の監視信号Se2を送信する。図3の例では、監視機器203でのイベントの発生時点(時刻t3)は、第2モードでの動作の開始後における通信装置1の最初の受信タイミングから、第2周期T2の2倍以上、かつ第2周期T2の3倍未満の時間が経過した時点である。そのため、監視機器203は、第2モードの開始時点(時刻t2)の直前の同期信号Ss1の送信タイミングから、第2周期T2の「N+3」倍(T2×(N+3))の時間が経過したタイミング(第2タイミング)にて、2回目の監視信号Se2を送信する。
このように、通信装置1の動作モードが第2モードである場合でも、監視機器2は、イベントが発生すると、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との2回にわたって監視信号を送信する。通信装置1の動作モードが第2モードにあれば、通信装置1は、同期信号Ss1の送信タイミングを基準とする受信タイミングにて間欠的に受信動作しているので、少なくとも第2タイミングで送信された上り信号(監視信号)について受信可能である。例えば図3では、通信装置1は、1回目の監視信号Se1については受信できず(図3では、受信できないことを「×」印で示している)、2回目の監視信号Se2を受信する。その結果、通信装置1は、第2モードにおいては、監視機器2にて特定のイベントが発生した場合に、イベントの発生時点(時刻t3)の次の受信タイミングを待って、監視機器2からの監視信号Se2を受信することになる。ここで、上述したように、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との送信間隔は、第2周期T2以下であるので、第2周期T2が短いほど、イベントの発生時点(時刻t3)から、通信装置1が監視信号Se2を受信するまでのタイムラグが小さくなる。
また、1回目の監視信号Se1の送信タイミングが通信装置1の受信タイミングと一致する場合がある。この場合、通信装置1は、1回目の監視信号Se1についても受信可能となるため、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との両方を受信することになる。この場合、通信装置1は、第1モードのときと同様に、2回目の監視信号Se2については、受信後、破棄することが好ましい。又は、1回目の監視信号Se1の送信タイミングが通信装置1の受信タイミングと一致する場合、監視機器2は、監視信号Se2を兼ねる監視信号Se1を送信してもよい。この場合、監視機器2からは、監視信号が一度だけ送信されることになる。
以上説明したように、本実施形態では、監視機器2の第2制御部22は、イベントの発生時に、第1タイミングと第2タイミングとの両方において、第2通信部21から通信装置1に監視信号Se1又はSe2を送信する。したがって、監視機器2にてイベントが発生する度に、監視機器2から通信装置1に対して、監視信号が2回送信されることになる。そのため、通信装置1は、第1制御部12の動作モードが第1モードと第2モードとのいずれにあっても、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との少なくとも一方を受信することができる。ここにおいて、監視機器2が監視信号を2回送信することで、監視機器2が監視信号を1回だけ送信する場合に比べると、監視機器2での監視信号の送信に要する電力(第2送信部211の消費電力)は大きくなる。ただし、監視機器2が監視信号を送信するのは、そもそも監視機器2でのイベントの発生時のみであるため、監視機器2でのイベントの発生頻度が比較的低い場合には、監視機器2での監視信号の送信に要する電力の増加は殆ど無い。
(3.5)通信装置−外部装置間の通信
次に、通信装置1(外部通信部14)と外部装置3との間の通信について簡単に説明する。通信装置1は、第1モード及び第2モードのいずれにおいても、外部通信部14の受信部142を間欠的に動作させる。
第1制御部12は、外部通信部14については、予め設定されているスケジュール情報に基づくタイミングで受信動作させるように構成されている。すなわち、時計部122の表す現在時刻がスケジュール情報の表す日時に一致するまでの期間には、第1制御部12は、受信部142への電力供給を停止することで受信部142の動作を停止させる。時計部122の表す現在時刻がスケジュール情報の表す日時に一致すると、第1制御部12は、所定時間(例えば1分間)だけ、受信部142を起動して外部通信部14を受信動作させる。
これにより、第1制御部12は、外部通信部14を間欠的に受信動作させながらも、外部装置3からの送信タイミングに合わせて外部通信部14を受信動作させることができ、外部装置3からの信号を外部通信部14にて受信可能となる。この構成では、第1制御部12の動作モードが第2モードにあれば、第1通信部11だけでなく、外部通信部14についても間欠的に受信動作させることになる。したがって、通信装置1において、第1通信部11だけでなく外部通信部14も低消費状態で動作するので、電池15の電気エネルギーの消費をより小さく抑えて、通信装置1の動作時間の更なる延長を図ることができる。とくに、第1通信部11と比べて消費電力の大きな外部通信部14が低消費状態で動作すると、電池15の電気エネルギーの消費を抑制する効果は大きい。
(4)まとめ
以上説明したように本実施形態に係る監視機器2は、通信装置1と通信する機器側通信部(第2通信部)21と、機器側通信部21を制御する機器側制御部(第2制御部)22とを有している。通信装置1は、外部電源5の電力で動作して、常時受信動作する第1モードと、電池15の電力で動作して、機器側通信部21と同期通信し、かつ間欠的に受信動作する第2モードと、の2つの動作モードを有している。機器側制御部22は、イベントの発生時に、第1タイミングと、第2タイミングとの両方において、機器側通信部21から通信装置1に監視信号Se1又はSe2を送信するように構成されている。第1タイミングは、イベントが発生した時点を基準とするタイミングである。第2タイミングは、通信装置1における第2モードでの受信タイミングに合わせたタイミングである。
この構成によれば、通信装置1は、外部電源5の電力で動作する第1モードと、電池15の電力で動作する第2モードとの2つの動作モードを有している。したがって、第2モードにおいては、外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない状況下でも、通信装置1は動作を継続できる。しかも、通信装置1は、第2モードにおいては、間欠的に受信動作するので、常時受信動作する第1モードに比べて、通信装置1での受信に要する電力(第1受信部112の消費電力)を小さく抑えることができる。ここで、監視機器2の機器側制御部22は、イベントの発生時に、第1タイミングと第2タイミングとの両方において、機器側通信部21から通信装置1に監視信号Se1又はSe2を送信する。したがって、監視機器2にてイベントが発生する度に、監視機器2から通信装置1に対して、監視信号が2回送信されることになる。そのため、通信装置1は、動作モードが第1モードと第2モードとのいずれにあっても、1回目の監視信号Se1と2回目の監視信号Se2との少なくとも一方を受信することができる。
その結果、通信装置1は、第2モードにおいては、監視機器2からの信号を受信する動作を継続しながらも、第1モードに比べて低消費状態で動作でき、電池15の電気エネルギーの消費を抑えて動作時間の延長を図ることができる。よって、例えば建物4の住人が長期間留守にする、又は建物4が空き家である等の理由で、分電盤6のブレーカが遮断される場合、及び系統電源の停電時においても、通信装置1及び監視機器2は継続的に通信を行うことができる。要するに、外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない場合でも、通信装置1にて監視機器2の監視を継続的に行うことができ、外部装置3等での監視機器2の監視結果の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態のように、機器側通信部21は、第2モードで動作する通信装置1から間欠的に送信される同期信号Ss1を受信することが好ましい。この場合、機器側制御部22は、同期信号Ss1を受信したタイミングを基準に第2タイミングを決定するように構成されていることが好ましい。この構成によれば、機器側通信部21と通信装置1との同期通信に必要な同期信号Ss1を利用して、第2タイミングが決定される。したがって、第2タイミングを決定するための信号を、同期信号Ss1とは別に、通信装置1から監視機器2に送信する必要がなく、通信装置1と監視機器2との間の通信量の増加が抑制される。ただし、この構成は監視機器2に必須の構成ではなく、監視機器2は、同期信号Ss1を用いずに、例えば、通信装置1との定期的な通信により第2タイミングを決定してもよい。
また、本実施形態のように、機器側通信部21は、間欠的に受信動作を行い、機器側通信部21における受信間隔(第1周期T1)は、通信装置1の第2モードでの受信間隔(第2周期T2)とは異なることが好ましい。この構成によれば、機器側通信部21が間欠的に受信動作を行うことで、機器側通信部21が常時受信動作する場合に比べて、監視機器2での受信に要する電力(第2受信部212の消費電力)を小さく抑えることができる。また、機器側通信部21における受信間隔と、通信装置1の第2モードでの受信間隔とが異なることで、個々の受信間隔を、それぞれ上り信号及び下り信号の送信頻度に応じた受信間隔に、設定することが可能である。特に、本実施形態のように、第2周期T2が第1周期T1よりも短い場合には、通信装置1の動作モードが第2モードにあるときの、イベントの発生時点から、通信装置1が監視信号Se2を受信するまでのタイムラグが小さくなる。ただし、この構成は監視機器2に必須の構成ではなく、機器側通信部21は常時受信動作してもよい。
また、監視システム10は、監視機器2を少なくとも1台含む通信対象と、通信装置1とを備えることが好ましい。この構成によれば、外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない場合でも、通信装置1にて監視機器2の監視を継続的に行うことができ、外部装置3等での監視機器2の監視結果の信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態のように、監視システム10において、前記通信装置1は、前記第1モードと第2モードとを有する制御部(第1制御部)12と、外部電源5からの給電状態を監視する電源監視部131とを有することが好ましい。この場合、制御部12は、外部電源5からの給電が有れば第1モードとなり、外部電源5からの給電が無ければ第2モードとなるように、電源監視部131の監視結果に基づいて動作モードを切り替えるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、通信装置1の動作モードが自動的に切り替わるので、ユーザが動作モードの切り替えのための操作を行う必要がなく、ユーザが操作を忘れたことにより通信装置1が動作しなくなるような事態を回避できる。ただし、この構成は通信装置1に必須の構成ではなく、電源監視部131は適宜省略されてもよい。
(5)変形例
実施形態1の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は実施形態1に限定されることはなく、実施形態1以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、実施形態1の変形例を列挙する。
監視システム10において、通信装置1の通信対象となる監視機器2は、複数台設けられていることは必須ではなく、1台のみであってもよい。つまり、監視システム10は、1台の通信装置1と少なくとも1台の監視機器2とで構成されていればよい。
また、複数台の監視機器2が全て電池駆動であることは、監視システム10に必須の構成ではなく、複数台の監視機器2の少なくとも一部は、外部電源5からの電力供給を受けて動作する構成であってもよい。
また、監視機器2が建物4内に設けられていることは監視システム10に必須の構成ではなく、少なくとも一部の監視機器2は、建物4の外部(外壁等)に設置されていてもよい。
また、通信装置1と監視機器2との通信方式は、上述した方式に限らず、例えば426〔MHz〕帯の特定小電力無線、DECT(登録商標、Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。さらに、通信装置1と監視機器2との通信方式は、電波を媒体にした無線通信に限らず、赤外線通信や有線通信等でもよい。同様に、通信装置1と外部装置3との通信方式は、上述した方式に限らず、例えば専用回線や、固定電話用の電話回線等を用いた有線通信等でもよい。ただし、いずれの場合でも、電池駆動において通信装置1及び監視機器2の間の通信を確保するためには、停電時にも利用可能な通信路を用いることが好ましい。
また、充電部18は、電源部13に含まれていてもよい。この場合、電源部13の整流平滑回路及びDC/DCコンバータを、充電部18に兼用することが可能であり、回路構成の簡略化が可能である。さらに、電池15は、二次電池に限らず一次電池であってもよい。一方、電池25は、一次電池に限らず二次電池であってもよい。電池15が一次電池であれば、充電部18は不要になる。電池15及び電池25は、例えば電気二重層コンデンサ等、大容量のコンデンサであってもよい。
また、切替部121は、電源監視部131の監視結果に基づいて第1モードと第2モードとを自動的に切り替える構成に限らず、ユーザの操作により第1モードと第2モードとを切り替える構成であってもよい。この場合、第1制御部12は、入力部16からの入力信号に従って、第1モードと第2モードとを切り替える。
また、通信装置1は、第1制御部12の動作モードが第1モードにある場合、外部通信部14の受信部142を間欠的に動作させるのではなく常時動作させてもよい。この構成では、第1制御部12の動作モードが第1モードにあれば、第1通信部11及び外部通信部14は、いずれも常時受信動作することになる。
また、監視機器2は、イベントの発生時に、少なくとも第1タイミングと第2タイミングとの両方において、第2通信部21から通信装置1に監視信号を送信すればよく、監視信号を3回以上送信する構成であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る通信装置1Aは、図4に示すように、発報部123と、移報部124とを更に有する点で、実施形態1に係る通信装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。動作についても、実施形態1と同様の点については適宜説明を省略する。
本実施形態では、発報部123及び移報部124は、第1制御部12Aに含まれている。発報部123は、通信対象からの監視信号Se1又はSe2の受信時に音又は光により、通信対象が設けられている建物4にて報知を行う。移報部124は、通信対象からの監視信号Se1又はSe2の受信時に、建物4から離れて設けられた外部装置3に対して通信にて報知を行う。すなわち、通信装置1Aは、監視機器2から監視信号Se1又はSe2を受信すると、発報部123から、例えば出力部17に出力信号を出力する。これにより、監視機器2にて特定のイベントが発生すると、出力部17は、音(音声を含む)又は光(表示を含む)により建物4にて報知を行うことになる。したがって、監視機器2にて特定のイベントが発生した場合には、このイベントが発生した建物4において、音又は光による報知が行われる。また、通信装置1Aは、監視機器2から監視信号Se1又はSe2を受信すると、移報部124から、例えば外部通信部14に出力信号を出力する。これにより、監視機器2にて特定のイベントが発生すると、外部通信部14は、通報信号を外部装置3に送信し、外部装置3に報知を行わせる。したがって、監視機器2にて特定のイベントが発生した場合には、このイベントが発生した建物4から離れた場所、つまり建物4の遠隔地(例えば、監視システム10を用いたサービスの提供元が所有する施設)において、外部装置3による報知が行われる。
ところで、本実施形態に係る通信装置1Aでは、動作モードが第1モードにあれば、発報部123の機能は有効、移報部124の機能は有効となる。また、動作モードが第2モードにあれば、発報部123の機能は無効、移報部124の機能は有効となる。すなわち、本実施形態では、移報部124の機能は、第1制御部12Aの動作モードが第1モードか第2モードかによらず、有効である。これに対して、発報部123の機能は、常に有効ではなく、第1制御部12Aの動作モードが第1モードにあれば有効、第2モードにあれば無効になる。したがって、第1制御部12Aの動作モードが第1モードにある場合に、監視機器2にて特定のイベントが発生すると、この監視機器2が設置された建物4、及び建物4の遠隔地の両方において、報知が行われる。一方、第1制御部12Aの動作モードが第2モードにある場合に、監視機器2にて特定のイベントが発生すると、この監視機器2が設置された建物4では報知が行われず、建物4の遠隔地でのみ報知が行われる。
以上説明したように、通信対象は建物4に設けられており、通信装置1Aは、発報部123と、移報部124とを更に有することが好ましい。発報部123は、通信対象からの監視信号Se1又はSe2の受信時に音又は光により建物4にて報知を行う。移報部124は、通信対象からの監視信号Se1又はSe2の受信時に、建物4から離れて設けられた外部装置3に対して通信にて報知を行う。通信装置1Aでは、動作モードが第1モードにあれば、発報部123の機能は有効、移報部124の機能は有効となり、動作モードが第2モードにあれば、発報部123の機能は無効、移報部124の機能は有効となることが好ましい。
この構成によれば、通信装置1Aの動作モードが第2モードにある場合、監視機器2が設置された建物4では報知が行われず、建物4の遠隔地でのみ報知が行われる。通信装置1Aの動作モードが第2モードにある場合には、建物4が無人である可能性が高いので、建物4での報知が行われないことにより、無人の建物4での不要な報知を抑制できる、という利点がある。すなわち、通信装置1Aの動作モードが第2モードであれば、例えば建物4の住人が長期間留守にする、又は建物4が空き家である等の理由で、分電盤6のブレーカが遮断された状況にある可能性が高い。したがって、このような状況において、建物4での報知を行わないことにより、無人の建物4での報知が抑制される。また、無人の建物4での報知が抑制されることにより、建物4の近隣への騒音の抑制、更には、電池15の電気エネルギーの消費をより小さく抑えて、通信装置1Aの動作時間の更なる延長を図ることができる。
ところで、通信装置1A自身が出力部17にて音又は光による報知を行う例を示したが、この例に限らず、監視機器2が音又は光による報知を行う報知機能を有していてもよい。この場合、監視機器2の報知機能による報知は、建物4において行われることになるので、実施形態2で説明した発報部123の機能と同様に、通信装置1Aの動作モードが第2モードであれば、監視機器2における報知機能は無効となることが好ましい。ただし、通信装置1Aの動作モードは、監視機器2に通知されないため、監視機器2における報知機能を完全に無効にするのではなく、例えば、監視機器2での報知を停止することで、監視機器2の報知機能を無効にする。具体的には、第2モードで動作する通信装置1Aは、監視信号Se1又はSe2を受信すると、通報信号を外部装置3に送信した後、監視機器2での報知を停止させる。又は、通信装置1Aは、通信装置1Aの動作モードを表す情報を同期信号Ss1に含めて、定期的に通信対象に送信してもよい。この場合、通信装置1Aの動作モードが監視機器2に通知されることになり、通信装置1Aの動作モードが第2モードであれば、監視機器2における報知機能を完全に無効とすることができる。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。