(実施形態)
(1)概要
まず、本実施形態に係る通信装置、及びそれを用いた監視システムの概要について図1及び図2を参照して簡単に説明する。
本実施形態の監視システム10は、図2に示すように、通信装置1と、監視装置2と、複数台(図2の例では4台)の監視対象機器(以下、単に「機器」という)31,32,…とを備えている。通信装置1及び複数台の機器31,32,…は建物4内に設けられている。監視装置2は建物4から離れた場所、つまり建物4の遠隔地に設けられている。以下では、複数台の機器31,32,…をとくに区別しない場合、複数台の機器31,32,…の各々を「機器3」という。
通信装置1は、図1に示すように、第1通信部111,112と、第2通信部12と、電源部13と、切替部131と、制御部14とを備えている。第1通信部111,112は、建物4に設けられた機器3と通信する。第2通信部12は、建物4から離れて設けられた監視装置2と通信する。電源部13は、電池15及び外部電源5から電力供給を受けて第1通信部111,112及び第2通信部12の動作電源を生成する。切替部131は、電源部13の動作モードを、電池15の電力で動作電源を生成する第1モードと、外部電源5の電力で動作電源を生成する第2モードとで切り替える。制御部14は、第1通信部111,112及び第2通信部12を制御する。
制御部14は、第1モードにおいては、第2モードに比べて第2通信部12が低消費状態で動作するように第2通信部12を間欠的に受信動作させる。さらに、第1モードにおいては、制御部14は、第1通信部111,112にて機器3から特定信号を受信すると、第2通信部12から監視装置2へ監視信号を送信するように構成されている。
ここで、「電池15」は本実施形態では通信装置1に内蔵された電池である。電池15は、通信装置1の構成要素に含まれていてもよいし、通信装置1の構成要素に含まれていなくてもよい。電池15は、通信装置1から取外可能な構成であってもよいし、通信装置1に外付けされる構成であってもよい。また、「外部電源5」は本実施形態では系統電源(商用電源)である。外部電源5は、通信装置1の構成要素には含まれない。外部電源5は、建物4の外部にあればよく、系統電源に限らず、たとえば太陽光発電設備等の分散電源であってもよい。また、「低消費状態」とは、一定期間における(第2通信部12での)消費電力量が低い(小さい)状態を意味する。なお、本実施形態では、通信装置1には2つの第1通信部111,112が設けられているが、これら2つの第1通信部111,112をとくに区別しない場合、第1通信部111,112の各々を「第1通信部11」という。
要するに、本実施形態の通信装置1は、建物4に設けられた機器3、及び建物4から離れて設けられた監視装置2のそれぞれとの通信機能を有している。そのため、通信装置1が正常に動作していれば、建物4の遠隔地に設けられた監視装置2においても、建物4内の機器3の状態を監視することが可能である。たとえば機器3が人感センサであれば、通信装置1は、人感センサの検知結果を受けて、建物4内の人の存否を表す監視信号を監視装置2に送信することができる。監視装置2では、機器3の状態を監視することにより建物4の状況を監視する。
ここで、切替部131は、通信装置1を電池15で駆動する第1モードと、通信装置1を外部電源5で駆動する第2モードとで、電源部13の動作モードを切り替える。つまり、第1モードにおいては、電源部13は、第1通信部11及び第2通信部12の動作電源を、電池15の電力にて生成する。しかも、制御部14は、第1モードにおいては、第2モードに比べて第2通信部12が低消費状態で動作するように第2通信部12を間欠的に受信動作させ、第1通信部11にて機器3から特定信号を受信すると、第2通信部12から監視装置2へ監視信号を送信する。つまり、通信装置1は、電池15で駆動する場合(第1モード)においては、第2モードに比べて第2通信部12を低消費状態で動作させることで、電池15の電気エネルギーの消費を抑えて動作時間の延長を図ることができる。
したがって、たとえばブレーカの遮断や停電などで外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない場合でも、通信装置1は監視装置2に監視信号を送信することができ、監視装置2での建物4の監視結果の信頼性を向上させることができる。
(2)具体的構成
以下、本実施形態の通信装置1、及びそれを用いた監視システム10について詳細に説明する。但し、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
また、以下の説明では一例として、監視システム10が適用される建物4として、戸建住宅を例示する。なお、監視システム10が適用される建物4は、戸建住宅に限らず、たとえば集合住宅の各住戸などの戸建住宅以外の住宅、あるいは事務所や店舗、介護施設等の非住宅であってもよい。
(2.1)システム構成
まず、監視システム10の構成について図2を参照して説明する。
監視システム10においては、複数の建物4からなる監視対象群が、監視装置2の監視対象となる。この場合、監視対象群に属する複数の建物4に設けられた通信装置1が、1台の監視装置2と通信することにより、監視装置2と通信装置1とは一対多の関係となる。ただし、以下では説明を簡単にするため、監視装置2の監視対象が1つの建物4である場合、つまり監視装置2と通信装置1とが一対一の関係にある場合を例に説明する。
本実施形態の監視システム10において、機器3は、たとえば人感センサ、カメラ、火災感知器、温湿度センサ、窓センサ、及び通話装置などである。人感センサは、建物4内の監視エリア(たとえばリビングルームなどの居室)における人の存否を検知し、人が存在する場合には報知信号を通信装置1へ送信する。カメラは、建物4内の撮像エリアを撮像し、撮像された映像を映像信号として通信装置1へ送信する。火災感知器は、建物4での火災の発生の有無を検知し、火災が発生した場合には報知信号を通信装置1へ送信する。温湿度センサは、建物4内の温度及び湿度を測定し、測定結果を測定信号として通信装置1へ送信する。窓センサは、建物4の窓の開閉を検知し、窓が開いた場合には報知信号を通信装置1へ送信する。通話装置は、スピーカ及びマイクロフォンを有し、通信装置1との間で音声信号を送受信することにより、通信装置1を介して、監視装置2との間で通話を可能とする。なお、カメラは、マイクを有し、映像信号と共に音声信号を通信装置1へ送信する構成であってもよい。
図2の例では、機器31は「人感センサ」、機器32は「カメラ」、機器33は「火災感知器」、機器34は「温湿度センサ」である。ただし、この例に限らず、同じ種類の機器3が複数台設けられていてもよいし、空調機器や照明機器等が機器3として設けられていてもよい。
これらの機器3は、一方的に通信装置1に信号を送信するだけでなく、通信装置1からの信号を受信する機能を有している。機器3が通信装置1から受信する信号には、たとえば機器3のアライブチェック(生存確認)のための信号、運転(稼働)及び停止(待機)の切り替えを含む機器3の制御のための信号、機器3の設定変更のための信号などがある。つまり通信装置1は機器3との関係ではコントローラとしても機能する。
また、これらの機器3はいずれも電池駆動である。ただし、複数台の機器3が全て電池駆動であることは本実施形態において必須の構成ではなく、少なくとも一部の機器3は、系統電源からの電力供給を受けて動作する構成であってもよい。また、機器3が建物4内に設けられていることは本実施形態において必須の構成ではなく、少なくとも一部の機器3は、建物4に付設するように建物4の外部(外壁等)に設置されていてもよい。
通信装置1は、建物4内においてアウトレット(コンセント)に接続されることにより、分電盤6を介して、外部電源(系統電源)5に電気的に接続されている。そのため、通信装置1は、アウトレットから電力が供給される定常時においては、外部電源5からの電力供給を受けて動作することができる。
通信装置1は、機器3及び監視装置2との通信機能を有している。本実施形態では、通信装置1と機器3との通信には電波を媒体とした無線通信方式が適用される。詳しくは「(2.2)通信装置の構成」の欄で説明するが、通信装置1と機器3との通信方式として、920〔MHz〕帯の特定小電力無線と、Wi−Fi(登録商標)との2種類の通信方式が適用されている。これら2種類の通信方式は、機器3によって使い分けられてもよいし、1台の機器3でシーンに応じて使い分けられてもよい。
また、通信装置1と監視装置2との通信方式としては、通信事業者が提供する3G(第3世代)回線、LTE(Long Term Evolution)回線等のキャリア網(携帯電話網)7を用いた通信方式が適用される。つまり、本実施形態では通信装置1はキャリア網7に接続され、キャリア網7を介して監視装置2と通信する。ここで、通信装置1−機器3間の通信と、通信装置1−監視装置2間の通信とを比較すると、通信装置1−監視装置2間の通信の方が消費電力は大きい。言い換えれば、通信装置1−機器3間の通信は、通信装置1−監視装置2間の通信に比べて、低消費電力の通信方式である。
通信装置1は、基本的な機能として、機器3から特定信号を受信すると、監視装置2へ監視信号を送信する機能を有している。ここでいう「特定信号」は、機器3から受信する特定の信号であって、たとえば人感センサ、火災感知器、及び窓センサからの報知信号、カメラからの映像信号、温湿度センサからの測定信号、並びに通話装置からの音声信号の少なくとも1つである。さらに、通信装置1は、ユーザ(建物4の住人)の操作を受け付ける機能や、種々の情報を表示や音声により出力する機能などを有している。また、「監視信号」は、特定信号をトリガに通信装置1で発生する信号であって、特定信号に含まれる情報を含んでいてもよいし、特定信号に対応する定型のメッセージやコマンドを含んでいてもよい。
監視装置2は、たとえば監視システム10を用いたサービスの提供元(警備会社等)が所有する施設に設けられており、キャリア網7に接続されている。監視装置2は、本実施形態ではコンピュータを主構成とし、コンピュータのCPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータを監視装置2として機能させる。
監視装置2は、基本的な機能として、通信装置1からの監視信号を受信すると、監視信号に含まれる情報を表示や音声により出力する機能を有している。さらに、監視装置2は、一方的に通信装置1から信号を受信するだけでなく、通信装置1に信号を送信する機能を有している。監視装置2が通信装置1に送信する信号には、たとえば通信装置1及び機器3のアライブチェック(生存確認)のための信号、通信装置1に対して監視信号等の送信を要求するための信号、機器3の制御のための信号、通信装置1の設定変更のための信号などがある。
(2.2)通信装置の構成
次に、通信装置1の具体的な構成例について、図1を参照して説明する。なお、図1において破線矢印は信号の流れを表している。
本実施形態において、通信装置1は、第1通信部11、第2通信部12、電源部13、切替部131、及び制御部14に加えて、入力部16、出力部17、及び充電部18を備えている。切替部131は電源部13に設けられている。なお、ここでは電池15も通信装置1の構成要素に含まれることとする。
第1通信部11は、機器3との通信用の通信モジュールであって、制御部14にて制御される。第1通信部11は、送信機能と受信機能とを有している。本実施形態では、上述したように通信装置1と機器3との通信方式として、2種類の通信方式が適用されているため、通信装置1には、2つの第1通信部111,112が設けられている。一方の第1通信部111は特定小電力無線用であり、他方の第1通信部112はWi−Fi(登録商標)用である。
第2通信部12は、監視装置2との通信用の通信モジュールであって、制御部14にて制御される。第2通信部12は、送信部121と受信部122とを有している。つまり、送信部121は監視装置2に対して信号を送信し、受信部122は監視装置2から信号を受信する。送信部121及び受信部122は個別に動作可能であって、第2通信部12は、たとえば送信部121を動作させず受信部122のみを動作させることが可能である。通信方式の違いから、第2通信部12の消費電力は第1通信部11の消費電力に比べて大きい。
電源部13は、電池15及び外部電源5に電気的に接続されており、電池15と外部電源5とのいずれから電力供給を受けても動作電源を生成可能に構成されている。電源部13には、電源部13の動作モードを第1モードと第2モードとで切り替える切替部131が設けられている。そのため、電源部13は、電池15の電力で動作電源を生成する第1モードと、外部電源5の電力で動作電源を生成する第2モードとのいずれかの動作モードで動作する。切替部131は、たとえば電源部13の入力先を電池15と外部電源5とで切り替えるリレーで構成されていてもよいし、電源部13の制御を変更することで第1モードと第2モードとを切り替えるように構成されていてもよい。
電源部13は、整流平滑回路及びDC/DCコンバータを有している。第2モードでは、電源部13は、外部電源5から印加される交流電圧(たとえば100V)を整流平滑回路で直流電圧に変換し、さらに直流電圧をDC/DCコンバータで動作電源の電圧(たとえば5V)に変換する。一方、第1モードでは、電池15の出力電圧をDC/DCコンバータで動作電源の電圧に変換する。ただし、電池15の出力電圧が動作電源の電圧と等しければ、第1モードにおいて、電源部13は、整流平滑回路及びDC/DCコンバータを通さず、電池15から供給される電力をそのまま出力してもよい。
なお、図1では図示を省略しているが、電源部13には、第1通信部11、第2通信部12、制御部14、入力部16、及び出力部17が電気的に接続されており、電源部13で生成された動作電源により、通信装置1の各部の動作用の電力が賄われる。
また、本実施形態では、電源監視部132が電源部13に設けられている。電源監視部132は、外部電源5から電源部13への給電状態を監視する。つまり、外部電源5としての系統電源の停電や、分電盤6のブレーカ遮断などによって、外部電源5から通信装置1への電力供給が停止すれば、電源監視部132は、外部電源5から電源部13への給電が停止したと判断する。
制御部14は、本実施形態ではCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイコン(マイクロコンピュータ)にて構成されている。言い換えれば、制御部14は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御部14として機能する。プログラムは、ここでは制御部14のメモリに予め記録されているが、インターネットなどの電気通信回線を通じて、あるいはメモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部14は、電源監視部132の監視結果に基づいて切替部131を制御して、電源部13の動作モードを第1モードと第2モードとで切り替える。ここで、制御部14は、外部電源5から電源部13への給電がない状態では第1モード、外部電源5から電源部13への給電がある状態では第2モードとするように、切替部131に対して切替信号を出力する。これにより、切替部131は、外部電源5からの給電がなければ第1モードとなり、外部電源5からの給電があれば第2モードとなるように、電源監視部132の監視結果に基づいて電源部13の動作モードを切り替える。
さらに、本実施形態では、記憶部141及び時計部142が制御部14に設けられている。記憶部141は、スケジュール情報を記憶する。時計部142は、現在時刻(年、月、日も含む)を計時する機能を有し、たとえばRTC(Real-Time Clock)である。スケジュール情報は、監視装置2から通信装置1へ信号が送信されるタイミング(日時)を表す情報である。スケジュール情報は、監視装置2と通信装置1とで共有されている。なお、建物4への監視システム10の導入時においては、通信装置1の初期設定として記憶部141にスケジュール情報が記憶される。その後、スケジュール情報に変更があれば、ユーザが、監視システム10を用いたサービスの提供元(警備会社等)に連絡し、監視装置2において変更後のスケジュール情報が登録される。この状態で、通信装置1と監視装置2との間の通信が行われると、スケジュール情報の変更を指示するコマンドが監視装置2から通信装置1へ送信され、コマンドに従って記憶部141のスケジュール情報が書き換えられる。
制御部14は、第1モードにおいては、スケジュール情報に基づくタイミングで第2通信部12を受信動作させるように構成されている。具体的には、電源部13の動作モードが第1モードである場合、時計部142の表す現在時刻がスケジュール情報の表す日時に一致するまでの期間には、制御部14は、第2通信部12への電力供給を停止することで第2通信部12の動作を停止させる。時計部142の表す現在時刻がスケジュール情報の表す日時に一致すると、制御部14は、所定時間(たとえば1分間)だけ、第2通信部12を起動して第2通信部12の受信部122を動作させる。これにより、制御部14は、第2通信部12を間欠的に受信動作させながらも、監視装置2からの送信タイミングに合わせて第2通信部12を受信動作させることができ、監視装置2からの信号を第2通信部12にて受信可能となる。
電池15は、本実施形態では通信装置1の筐体内に収納され、外部電源5の電力で充電される二次電池である。電池15は、充電部18を介して外部電源5に電気的に接続される。充電部18は、整流平滑回路及びDC/DCコンバータを有し、外部電源5からの電力を用いて電池15を充電する。電池15は、たとえばリチウム電池、ニッケル・カドミウム電池などである。
入力部16は、操作部に接続され、操作部に対するユーザの操作に応じた入力信号を制御部14へ出力する。出力部17は、表示部や音声出力部(スピーカ)等に接続され、制御部14からの出力信号を受けて表示部に種々の情報を表示させたり、音声出力部から音声を出力させたりする。通信装置1は、機器3から特定信号を受信して監視装置2へ監視信号を送信する際、出力部17にて所定の表示や音声出力を行う。これにより、通信装置1が機器3から特定信号を受信した場合、監視装置2だけでなく、建物4内のユーザに対しても報知が可能となる。なお、入力部16及び出力部17は、通信装置1に設けられたユーザインタフェースとしての操作部、表示部等に接続されていてもよいし、通信装置1とは別の端末(スマートフォン、タブレット端末など)と通信により接続されていてもよい。
(3)動作
以下、本実施形態の監視システム10の動作について簡単に説明する。ここでは、建物4の住人の不在(外出)時において、建物4への侵入者の有無を監視する場合を例として、監視システム10の動作を説明する。この場合に主に使用される機器3は、人感センサからなる機器31、及びカメラからなる機器32であるので、以下ではこれらの機器31,32と通信装置1とが通信する場合を例に説明する。
(3.1)第2モード
まず、外部電源5から電源部13への給電がある場合、つまり電源部13の動作モードが第2モードにある場合の監視システム10の動作について説明する。
この場合において、通信装置1は、常時、第1通信部11及び第2通信部12を動作させている。ただし、侵入者が存在しない「通常時」においては、通信装置1は、2つの第1通信部111,112のうち、特定小電力無線用の第1通信部111のみ動作させ、Wi−Fi(登録商標)用の第1通信部112の動作は停止している。さらに、「通常時」においては、通信装置1は、第2通信部12の受信部122のみ動作させ、送信部121の動作は停止している。
「通常時」には、通信装置1は、機器3のアライブチェックのために、機器3に対して定期的に(たとえば1日1回)ビーコンを送信する。ビーコンを受信した機器3は、アライブ信号を通信装置1に送信する。アライブ信号の返信を行わない機器3があれば、通信装置1は、機器3の故障や電池切れ、又は通信エラーと判断する。なお、カメラからなる機器32は「通常時」には待機状態にあって、撮像は行わない。
また、監視装置2は、通信装置1及び機器3のアライブチェックのために、通信装置1に対して定期的に(たとえば1日1回)要求信号を送信する。監視装置2が要求信号を送信するタイミングは、スケジュール情報に基づいて決定する。なお、要求信号には、たとえば上述したスケジュール情報の変更を指示するコマンド、さらに通信装置1が行う機器3のアライブチェックの頻度を指示するコマンドなどが含まれる。
要求信号を受信した通信装置1は、第2通信部12の送信部121を一時的に起動して、送信部121にて応答信号を監視装置2に送信する。応答信号の返信を行わない通信装置1があれば、監視装置2は、通信装置1の故障、又は通信エラーと判断する。このとき通信装置1が送信する応答信号には、通信装置1が行った機器3のアライブチェックの結果(機器3の故障や電池切れ、又は通信エラー)を表すメンテナンス情報や、建物4や機器3に関する固有情報が含まれている。ここでいう固有情報は、たとえば建物4の住所や建物4の所有者の氏名、機器3の種類を表す機器コード、機器3の設定状態などを含んでいる。なお、通信装置1が行う機器3のアライブチェックにて、アライブ信号の返信を行わない機器3があった場合に、通信装置1は監視装置2からの要求信号を待たずに、応答信号を監視装置2に送信してもよい。
一方、侵入者が存在する「非常時」においては、人感センサからなる機器31が侵入者を検知する。機器31は、特定小電力無線にて、報知信号を通信装置1に送信する。通信装置1は、第1通信部111にて機器31からの報知信号を受信すると、カメラからなる機器32に対して、第1通信部111より起動信号を送信する。このとき、通信装置1は、Wi−Fi(登録商標)用の第1通信部112を起動し、第1通信部112を待ち受け状態とする。機器32は、特定小電力無線にて通信装置1からの起動信号を受信すると、起動し撮像を開始し、Wi−Fi(登録商標)にて、映像信号を通信装置1に送信する。なお、機器32は、1回の起動信号により、一定時間(たとえば30秒)撮像し、撮像中の映像を映像信号としてストリーミング送信する。なお、機器32に起動信号を送信するトリガは、人感センサ(機器31)からの報知信号に限らず、たとえば窓センサからの報知信号であってもよい。
また、通信装置1は、第1通信部11にて機器3から特定信号を受信すると、第2通信部12の送信部121を一時的に起動して、第2通信部12から監視装置2へ監視信号を送信する。ここでいう特定信号は、機器31からの報知信号、又は機器32からの映像信号である。このとき通信装置1が送信する監視信号には、機器31からの特定信号(報知信号)を受信した旨の通知(発報情報)、機器32からの特定信号(映像信号)に含まれる情報(映像)が含まれている。監視信号には、上述した応答信号と同様にメンテナンス情報や固有情報が含まれていてもよい。したがって、機器32で撮像された映像は、通信装置1で中継され、監視装置2に送信されることになる。これにより、「非常時」においては、監視装置2にて建物4内の映像を確認することが可能となる。
さらに、「通常時」及び「非常時」のいずれでも、第2通信部12の受信部122は常時動作しているので、通信装置1−監視装置2間の通信において、監視装置2は、任意のタイミングで通信装置1に信号を送信することが可能である。これにより、監視装置2では、たとえば任意のタイミングで通信装置1に要求信号を送信し、通信装置1から応答信号を受信することで、建物4及び機器3の状態を確認することができる。なお、応答信号には、監視信号と同様に、機器3からの特定信号に基づく情報(発報情報や映像など)が含まれていてもよい。
(3.2)第1モード
次に、外部電源5から電源部13への給電がない場合、つまり電源部13の動作モードが第1モードにある場合の監視システム10の動作について説明する。
この場合において、通信装置1−機器3間の通信の動作は、電源部13の動作モードが第2モードにある場合と同様である。すなわち、通信装置1は、電源部13の動作モードが第1モードにある場合でも、常時、第1通信部11を動作させている。以下では、通信装置1−監視装置2間の通信の動作に関して、電源部13の動作モードが第2モードにある場合と異なる点について説明する。
電源部13の動作モードが第1モードにある場合、通信装置1は、第2通信部12の受信部122を常時動作させるのではなく間欠的に動作させる。ここで、制御部14は、上述したように記憶部141に記憶されているスケジュール情報に基づくタイミングで、第2通信部12を受信動作させるように構成されている。これにより、通信装置1は、スケジュール情報に基づくタイミングで監視装置2から送信される要求信号を、第2通信部12にて受信することができる。一方、監視装置2が任意のタイミングで通信装置1に送信する信号については、通信装置1では受信されないことになる。なお、第2通信部12の受信動作は、周期的(一定時間間隔)であってもよいし、非周期的であってもよい。
このように、電源部13の動作モードが第1モードにある場合、第2通信部12が受信動作を間欠的に行うことにより、第2通信部12への電力供給が間欠的に行われる。そのため、第2通信部12が常時動作する第2モードに比べて、一定期間(たとえば1日)における第2通信部12での消費電力量が小さくなり、第2通信部12は低消費状態で動作する。
なお、たとえば「非常時」のように、通信装置1から監視装置2に信号を送信する際の監視システム10の動作については、電源部13の動作モードが第1モードにある場合でも、電源部13の動作モードが第2モードにある場合と同様である。
(4)効果
以上説明した本実施形態の通信装置1によれば、切替部131は、通信装置1を電池15で駆動する第1モードと、通信装置1を外部電源5で駆動する第2モードとで、電源部13の動作モードを切り替える。したがって、第1モードにおいては、電源部13は、第1通信部11及び第2通信部12の動作電源を電池15の電力にて生成し、外部電源5からの外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない状況下でも、通信装置1は動作を継続できる。しかも、制御部14は、第1モードにおいては、第2モードに比べて第2通信部12が低消費状態で動作するように第2通信部12を間欠的に受信動作させ、第1通信部11にて機器3から特定信号を受信すると、第2通信部12から監視装置2へ監視信号を送信する。これにより、通信装置1は、第1モードにおいては、特定信号を受けて監視信号を送信する動作を継続しながらも、第2モードに比べて第2通信部12を低消費状態で動作させ、電池15の電気エネルギーの消費を抑えて動作時間の延長を図ることができる。とくに、本実施形態では第1通信部11と比べて消費電力の大きな第2通信部12を低消費状態で動作させるので、電池15の電気エネルギーの消費を抑制する効果は大きい。
したがって、たとえば建物4の住人が、旅行や出張などで長期間留守にする場合に、分電盤6のブレーカを遮断するようなことがあっても、通信装置1は、第1モードで動作することで監視装置2に監視信号を送信することができる。また、外部電源5としての系統電源の停電時においても、通信装置1は第1モードで動作することで監視装置2に監視信号を送信することができる。要するに、外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない場合でも、通信装置1は監視装置2に監視信号を送信することができ、監視装置2での建物4の監視結果の信頼性を向上させることができる、という利点がある。
また、本実施形態のように通信装置1は、スケジュール情報を記憶する記憶部141をさらに備え、制御部14は、第1モードにおいては、スケジュール情報に基づくタイミングで第2通信部12を受信動作させるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、スケジュール情報により規定されるタイミングでのみ、第2通信部12が受信動作すればよいので、第2通信部12を低消費状態で動作させながらも、監視装置2からの信号を通信装置1で受信することが可能である。ただし、記憶部141を備えることは通信装置1に必須の構成ではなく、記憶部141は適宜省略可能である。
また、本実施形態のように通信装置1は、外部電源5から電源部13への給電状態を監視する電源監視部132をさらに備えることが好ましい。この場合、切替部131は、外部電源5からの給電がなければ第1モードとなり、外部電源5からの給電があれば第2モードとなるように、電源監視部132の監視結果に基づいて電源部13の動作モードを切り替えるように構成されていることが好ましい。この構成によれば、電源部13の動作モードが自動的に切り替わるので、ユーザが動作モードの切り替えのための操作を行う必要がなく、ユーザが操作を忘れたことにより通信装置1が動作しなくなるような事態を回避できる。
また、本実施形態のように、電池15は、外部電源5の電力で充電される二次電池であることが好ましい。この構成によれば、通信装置1が第1モードで動作して電池15の電気エネルギーが減少しても、電池15の電気エネルギーの減少分を外部電源5からの電力で補充することができ、通信装置1が第1モードでの動作を何度も繰り返すことが可能になる。
また、本実施形態の監視システム10は、通信装置1と、監視装置2とを備える。この監視システム10によれば、外部電源5から通信装置1への電力供給が行われていない場合でも、通信装置1は監視装置2に監視信号を送信することができ、監視装置2での建物4の監視結果の信頼性を向上させることができる、という利点がある。
また、監視システム10は、機器(監視対象機器)3をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、建物4内の機器3の状態を監視装置2で監視することができる。
(5)変形例
以下に、実施形態の変形例を列挙する。
監視システム10において監視対象となる機器3は、1つの建物4に対して複数台設けられていることは必須ではなく、1台のみであってもよい。
また、通信装置1と機器3との通信方式は、上述した方式に限らず、たとえば426〔MHz〕帯の特定小電力無線、DECT(登録商標、Digital Enhanced Cordless Telecommunications)、Bluetooth(登録商標)などであってもよい。さらに、通信装置1と機器3との通信方式は、電波を媒体にした無線通信に限らず、赤外線通信や有線通信などでもよい。同様に、通信装置1と監視装置2との通信方式は、上述した方式に限らず、たとえば専用回線や、固定電話用の電話回線などを用いた有線通信などでもよい。ただし、いずれの場合でも、通信装置1が第1モードにおいて機器3及び監視装置2との間の通信を確保するためには、停電時にも利用可能な通信路を用いることが好ましい。
また、充電部18は、電源部13に含まれていてもよい。この場合、電源部13の整流平滑回路及びDC/DCコンバータを、充電部18に兼用することが可能であり、回路構成の簡略化が可能である。
また、電池15は、二次電池に限らず一次電池であってもよい。電池15が一次電池であれば、充電部18は不要になる。また、電池15は、たとえば電気二重層コンデンサなど、大容量のコンデンサであってもよい。
また、切替部131は、電源監視部132の監視結果に基づいて第1モードと第2モードとを自動的に切り替える構成に限らず、ユーザの操作により第1モードと第2モードとを切り替える構成であってもよい。この場合、制御部14は、入力部16からの入力信号に従って、切替部131に対して第1モードと第2モードとを切り替えるための切替信号を出力する。
切替部131及び電源監視部132は電源部13と一体に設けられる構成に限らず、切替部131及び電源監視部132の少なくとも一方は、電源部13と別体に設けられていてもよい。たとえば、切替部131は制御部14に一体に設けられていてもよい。同様に、記憶部141及び時計部142は制御部14と一体に設けられる構成に限らず、記憶部141及び時計部142の少なくとも一方は、制御部14と別体に設けられていてもよい。
また、通信装置1は、電源部13の動作モードが第2モードにある場合、第2通信部12の受信部122を常時動作させるのではなく間欠的に動作させてもよい。この構成では、電源部13の動作モードが第1モードと第2モードとのいずれでも、第2通信部12は間欠的に受信動作することになる。この場合、電源部13の動作モードが第1モードにあれば、第2モードに比べて、受信部122の動作間隔を長くして、第2通信部12が受信動作を行う頻度を低くすることで、第2モードに比べて第2通信部12が低消費状態で動作する。