JP2018076769A - メンテナンスサインを備えた防水床構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】防水層の補修を抑制することが可能となるうえ、補修時期や補修部位を目視により簡単に判断することができ、補修にかかる時間やコストの低減を図ることができる。
【解決手段】防水床1は、スラブR上に設けられる防水層2と、防水層2の上層に設けられる防滑層3と、防滑層3の表面を保護するトップコート層4と、を有する積層構造をなし、防滑層3には、この防滑層3の厚さ方向で中間部に層状に形成されるとともに、前記積層構造のうち他の部分とは異なる色で層状に形成された着色層5を有しており、着色層5が緑色に着色され、防滑層3のうち着色層5より上層に位置する他の層は、グレーに着色され、防滑層3のうち着色層5より上層及び下層が複数層からなる構成の防水床1を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物の屋上駐車場に用いられるメンテナンスサインを備えた防水床構造に関する。
従来、例えば大型ショッピングセンターなどの建物では、屋上のスペースを有効活用するための屋上に自走式駐車場を備えた構造のものが知られている。このような屋上駐車場では、屋上スラブのコンクリート上に塗膜防水のみで防水した防水床構造を採用することがある(例えば、特許文献1参照)。
このような防水床構造は、例えばスラブ上に下層から上層に向けてプライマー層、防水層、防滑層、トップコート層の順で積層され、自動車の走行に伴う摩耗によって損傷した各層は適宜、補修されている。
特開2000−7986号公報
しかしながら、従来の屋上駐車場に使用される防水床構造は、自動車の走行における規定を超える使用によっては、予想と実際の使われ方が食い違い、例えば、駐車場の場合には比較的同じ部分を繰り返し自動車が走行することから、トップコート層及び防滑層の摩耗の進行が想定よりも早く、この状態を見逃すと、摩耗が防滑層の下の防水層にまで達してしまい、漏水が発生するという問題があった。その場合、補修にかかる時間とコストが多大となることから、防水層を補修しないようにメンテナンスを計画することが求められているが、好適な方法がなく、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、防水層の補修を抑制することが可能となるうえ、補修時期や補修部位を目視により簡単に判断することができ、補修にかかる時間やコストの低減を図ることができるメンテナンスサインを備えた防水床構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るメンテナンスサインを備えた防水床構造では、屋上駐車場のスラブ上に設けられる防水層と、該防水層の上層に設けられる防滑層と、該防滑層の表面を保護するトップコート層と、を有する積層構造をなすメンテナンスサインを備えた防水床構造であって、前記防滑層は、当該防滑層の少なくとも一部が、前記積層構造のうち他の部分とは異なる色で層状に形成された着色層を有しており、前記着色層が緑色に着色され、前記防滑層のうち前記着色層より上層に位置する他の層は、グレーに着色され、前記防滑層のうち前記着色層より上層及び下層が複数層からなることを特徴としている。
本発明では、防水床を構成する積層構造のうち緑色の着色層よりも上の層が自動車の走行などにより摩耗したときに着色層が露出する。そして、緑色の着色層と防滑層のうち着色層より上層に位置する他の層がグレーに着色されて色が異なるので、摩耗により露出した着色層を他の層の他の色の部分に対して判別することが容易になる。つまり、防水層の上層の防滑層の少なくとも一部に、積層構造のうち他の部分とは異なる色の着色層を設けることで、屋上駐車場の使用頻度、使用状況に合わせて着色層より上層が摩耗により剥がれると、着色層が表面側で露出し、その着色層の露出部分が防水床で色が変わった部分となる。そして、着色層は防水層よりも上層側に配置されているので、着色層が露出した状態において防水層が摩耗していないことになる。そのため、着色層は、その色が変わった部分(着色層の露出部分)が現れた時点で、補修部位及び補修時期を判断するためのメンテナンスサインとなる。したがって、補修部位及び補修時期を確認するために、従来のように技術的な知識を有する管理者でなくとも、その露出したメンテナンスサインを目視により容易に確認することができる。
具体的には、着色層が防水床の表面に露出した着色層部分のみを日常点検により確認し、定期的に摩耗により損傷した防水床の補修を行う。この場合、防水層が摩耗する前に補修することができ、防滑層及びトップコート層の補修のみで済むことから、防水層を含めた塗膜防水材の全体を更新するというコストのかかるメンテナンスが不要となり、ライフサイクルコストの低減を図ることができる。
また、本発明に係るメンテナンスサインを備えた防水床構造では、着色層は、防滑材に着色トナーを混ぜて形成されていることが好ましい。
この場合には、防滑材に着色トナーを混ぜて吹付け等により塗布することで着色層を容易に形成することができる。防滑層が複数の層から形成される場合であっても、それら複数層の任意の位置に着色層を設けることができる。
また、本発明に係るメンテナンスサインを備えた防水床構造では、着色層は、屋上駐車場のうち自動車の走行範囲は、着色層よりも上の厚さ寸法が他の部分よりも厚いことが好ましい。
本発明によれば、屋上駐車場のうち防水床の摩耗による損傷の大きな自動車の走行部分は、他の部分よりも着色層上の厚さ寸法が厚く形成されているので、着色層が現れるメンテナンスサインが出るまでの期間を長く延ばすことができる。
本発明のメンテナンスサインを備えた防水床構造によれば、摩耗によって防水層が損傷する前に補修時期を確認することで防水層の補修を抑制することが可能となるとともに、防水床の補修時期や補修部位を目視により容易に判断することができるので、補修にかかる時間やコストの低減を図ることができる。
本発明の実施の形態による防水床の一部を示す側断面図である。 防水床の摩耗状態を示す側断面図であって、(a)は着色層の露出前の図、(b)は着色層の露出時の図である。 図2(b)を上から見た図であって、着色層の露出状態の一例を示す図である。 変形例による第1防水床の一部を示す側断面図である。 変形例による第2防水床の一部を示す側断面図である。 変形例による第3防水床の一部を示す側断面図である。
以下、本発明の実施の形態によるメンテナンスサインを備えた防水床構造について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態によるメンテナンスサインを備えた防水床構造は、屋上駐車場のコンクリート造のスラブR上に施工される防水床1に適用され、この防水床1の補修時期を好適に判断するための構造である。
ここで、本実施の形態では、防水床1の厚さ方向において、上側を表面側といい、下側を裏面側として、以下説明する。
防水床1は、スラブR上に設けられる防水層2と、防水層2の上層に設けられる防滑層3と、防滑層3の表面を保護するトップコート層4と、を有する積層構造をなしている。
そして、防滑層3には、この防滑層3の厚さ方向で中間部に層状に形成されるとともに、前記積層構造のうち他の部分とは異なる色で層状に形成された着色層5を有している。これらの各層は、それぞれの材料を吹き付け等により下層から順に塗布することにより形成される。
なお、図1は、見やすくするため、各層間に段差をつけた図としている。
防水層2は、ウレタン樹脂系の一般用防水樹脂材料からなり、スラブRの表面に塗布されたプライマー層6上に設けられている。
防滑層3は、複数層(ここでは、7層の非着色層3A〜3F及び前記着色層5)からなり、厚さ方向の中間に着色層5が設けられている。すなわち着色層5の上下それぞれに3層ずつ設けられている。防滑層3は、防水層2の材料とは異なるウレタン樹脂系の一般用防水樹脂材料からなり、骨材等の滑り止め材料が混入された防滑材が用いられる。
着色層5は、前述した防滑層3を形成するウレタン樹脂系の防滑材に任意の色の着色トナーを混合することにより設けられている。また、着色トナーを混合させるものに限定されず、厚さの薄い着色層5を防滑層3の複数の層間に挿入させるようにしても良い。
そして、着色層5の色は、防水床1のうち他の層の色がグレーの場合において、変色しにくい緑色(グリーン)が好ましい。例えば、着色層5が黄色の場合、紫外線により変色し易く、他の層の色(ここではグレー)と比べて見分けがつき難くなる。なお、前述の着色層5がグリーンの場合、露出してから約半年を経過しても変色が小さく、他の部分の層のグレー色と色の違いが明確であることを実験的に確認している。
次に、上述したメンテナンスサインを備えた防水床構造の作用、及びその施工方法について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態の防水床1は、図1に示すように、屋上駐車場のスラブR上にプライマー層6を塗布した後、さらに防水層2を設け、防水層2の上層に防滑層3を設けるとともに、防滑層3の中間部に積層構造のうち他の部分のグレー色とは異なるグリーン色で層状に形成された着色層5を設け、その後、防滑層3の表面をトップコート層4で被覆することにより形成することができる。
この場合、図2(a)、(b)及び図3に示すように、防水床1を構成する積層構造のうち着色層5よりも上の層が自動車の走行などにより摩耗したときに着色層5が露出する。図2に示す符号Mは、摩耗部を示している。そして、着色層5と積層構造のうち他の部分(防滑層3のうち着色層5より上層の非着色層3D〜3F)との色が異なるので、摩耗により露出した着色層5を他の層の他の色の部分に対して判別することが容易になる。つまり、防水層2の上層の防滑層3の一部に、積層構造のうち他の部分とは異なる色の着色層5を設けることで、屋上駐車場の使用頻度、使用状況に合わせて着色層5より上層が摩耗により剥がれると、着色層5が表面側で露出し、その着色層5の露出部分が防水床1で色が変わった部分となる。そして、着色層5は防水層2よりも上層側に配置されているので、着色層5が露出した状態において防水層2が摩耗していないことになる。そのため、着色層5は、その色が変わった部分(着色層5の露出部分)が現れた時点で、補修部位及び補修時期を判断するためのメンテナンスサインとなる。
したがって、補修部位及び補修時期を確認するために、従来のように技術的な知識を有する管理者でなくとも、その露出したメンテナンスサインを目視により容易に確認することができる。
さらに具体的には、着色層5が防水床1の表面に露出した着色層5の部分のみを日常点検により確認し、定期的に摩耗により損傷した防水床1の補修を行う。この場合、防水層が摩耗する前に補修することができ、防滑層3(着色層5)及びトップコート層4の補修のみで済むことから、防水層2を含めた塗膜防水材の全体を更新するというコストのかかるメンテナンスが不要となり、ライフサイクルコストの低減を図ることができる。
また、本実施の形態では、防滑材に着色トナーを混ぜて吹付け等により塗布することで着色層5を容易に形成することができる。防滑層3が複数の層から形成される場合であっても、それら複数層の任意の位置に着色層5を設けることができる。
また、防滑層3の厚さ方向で中間部に着色層5があるので、防滑層3のうち着色層5よりも上層部分が摩耗により損傷すると、着色層5が現れてメンテナンスサインとなる。また、着色層5が摩耗して損傷しても、さらに着色層5より下層にも防滑層3(非着色層3A〜3C)があるので、防水層2への摩耗の影響を小さくすることができる。
上述のように本実施の形態によるメンテナンスサインを備えた防水床構造では、摩耗によって防水層2が損傷する前に補修時期を確認することで防水層2の補修を抑制することが可能となるとともに、防水床1の補修時期や補修部位を目視により容易に判断することができるので、補修にかかる時間やコストの低減を図ることができる。
以上、本発明によるメンテナンスサインを備えた防水床構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、着色層5が防滑層3の一部であって、防滑層3の厚さ方向の中間部分に設けられているが、このような位置であることに制限されることはない。また、本実施の形態の防水床1では、屋上駐車場の全体にわたって同一の積層構造となっているが、これに限定されることはない。要は、防滑層3が防滑層3の少なくとも一部が、他の層とは異なる色で層状に形成された着色層を有していればよいのである。
例えば、図4〜図6に示すように、防滑層3の積層数を屋上駐車場の使用用途や自動車の走行状況(走行頻度)に応じて、屋上駐車場のうち自動車の走行範囲における着色層5よりも上の厚さ寸法を、他の部分よりも厚くなるように設定することも可能である。図4は、屋上駐車場のうち駐車スペースにおける第1防水床1Aを示している。この第1防水床1Aは、防滑層3が1層のみであり、この1層の防滑層3全体を着色層5とした構成となっている。この場合、トップコート層4の下面側に着色層5が位置するので、そのトップコート層4が摩耗により削れると、直ぐに防滑層3、すなわちグリーンの着色層5が露出することになる。
ここで、屋上駐車場には、2種類の車路が設けられている。
図5は、屋上駐車場のうち第1車路における第2防水床1Bを示している。この第2防水床1Bは、防滑層3が2層あり、この2層の防滑層3のうち下側の層のみを着色層5とし、上側の層を非着色層3Aとした構成となっている。この場合、トップコート層4の下面側に1層の非着色(ここではグレー)の非着色層3Aが位置するので、トップコート層4及び非着色層3Aが摩耗により削れたときに、グリーンの着色層5が露出することになる。
図6は、屋上駐車場のうち第2車路における第3防水床1Cを示している。この第3防水床1Cは、防滑層3が3層あり、この3層の防滑層3のうち最下層のみを着色層5とし、その上側の2層を非着色層3A、3Bとした構成となっている。この場合、トップコート層4の下面側に2層の非着色(ここではグレー)の非着色層3A、3Bが位置するので、トップコート層4及び非着色層3A、3Bが摩耗により削れたときに、グリーンの着色層5が露出することになる。
このように、屋上駐車場のうち防水床1の摩耗による損傷の大きな自動車の走行部分となる車路(第1車路、第2車路)は、駐車スペース(他の部分)よりも着色層5上の厚さ寸法が厚く形成されているので、着色層が現れるメンテナンスサインが出るまでの期間を長く延ばすことができる。
また、図4〜図6に示す防水床1A〜1Cの場合には、着色層5の直下に防水層2が位置していることから、この着色層5が現れたときが速やかに補修を行う時期であることを確認することができる。
また、本実施の形態では、着色層5の色として、最も色の変色が少ないグリーンを採用し、着色層5でない他の層の色をグレーとしているが、このような色の組み合わせであることに制限されることはなく、任意の色の組み合わせに設定することができる。要は、着色層の色の変色が少なく、且つ他の部分との色の違いが明確であれば良いのである。
さらに、本実施の形態では、1層の着色層5のみが防滑層3に介挿されているが、複数の着色層5を配置することも可能である。そして、複数の着色層5の色をそれぞれ変えるようにしてもよい。例えば、防滑層3の厚さ方向の中間部に第1着色層を配し、さらに最下層に第1着色層とは異なる色の第2着色層を配する構成とすることができる。あるいは、それぞれ色の異なる複数の着色層を上下に連続的に積層した構成でも良い。このように複数の着色層を設けることで、例えば上側の着色層が現れたときには摩耗の初期段階であることを確認し、下側の着色層が現れたときには補修のタイミングであることを確認する等、防水床の摩耗状態を段階的に判別することができる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1、1A〜1C 防水床
2 防水層
3 防滑層
3A〜3F 非着色層
4 トップコート層
5 着色層
6 プライマー層
M 摩耗部
R スラブ

Claims (3)

  1. 屋上駐車場のスラブ上に設けられる防水層と、該防水層の上層に設けられる防滑層と、該防滑層の表面を保護するトップコート層と、を有する積層構造をなすメンテナンスサインを備えた防水床構造であって、
    前記防滑層は、当該防滑層の少なくとも一部が、前記積層構造のうち他の部分とは異なる色で層状に形成された着色層を有しており、
    前記着色層が緑色に着色され、
    前記防滑層のうち前記着色層より上層に位置する他の層は、グレーに着色され、
    前記防滑層のうち前記着色層より上層及び下層が複数層からなることを特徴とするメンテナンスサインを備えた防水床構造。
  2. 前記着色層は、防滑材に着色トナーを混ぜて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスサインを備えた防水床構造。
  3. 前記着色層は、前記屋上駐車場のうち自動車の走行範囲は、前記着色層よりも上の厚さ寸法が他の部分よりも厚いことを特徴とする請求項1又は2に記載のメンテナンスサインを備えた防水床構造。
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