JP2018076469A - ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法およびタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法およびタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】低燃費性を低下させることなく加工性が良好に改善されたゴム組成物、そのゴム組成物により構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ、およびそのゴム組成物の製造方法を提供すること。【解決手段】芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、所定量のシリカ、所定量のアミン系老化防止剤を含有し、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有するゴム組成物であって、アミン系老化防止剤を、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りした後に、別の混練工程にて混練りすることにより得られるゴム組成物、そのゴム組成物により構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ、およびそのゴム組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、そのゴム組成物の製造方法、およびそのゴム組成物で構成されるタイヤ部材を備えるタイヤに関する。
従来、自動車タイヤ用のゴム組成物としては、ポリブタジエンやブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系重合体と、カーボンブラックやシリカなどの充填剤とを含有するゴム組成物が用いられている。近年、環境問題への関心の高まりから、自動車に対して低燃費化の要求が強くなっており、自動車用タイヤに用いるゴム組成物に対しても、低燃費性に優れることが求められている。
低燃費性を改善する方法として、シリカに反応性の高いメルカプト基を有するシランカップリング剤(メルカプト系シランカップリング剤)の使用が検討されている。しかし、メルカプト系シランカップリング剤は、良好な低燃費性が得られる一方で、加工性が悪化する傾向がある。また、特許文献1には、シランカップリング剤として保護化メルカプトシランを用いて低燃費性、ウェットグリップ性能および操縦安定性を向上する技術が開示されているが、良好な加工性を確保する点については、特許文献2にN−メチルピロリドンで変性されたジエン系ゴム(変性ゴム)に、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤とメルカプト基を有するシランカップリング剤を別工程にて順次混練りして用いる方法が提案されている。
特開2008−101158号公報 特開2012−140508号公報
しかし、メルカプト基を有するシランカップリング剤やカルボニルチオ基を有しかつメルカプト基を有しないシランカップリング剤を用いた際の加工性の改善には、なお検討の余地がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、低燃費性を低下させることなく加工性を良好に改善したゴム組成物、そのゴム組成物の製造方法ならびにそのゴム組成物により構成されるタイヤ部材を備えるタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分と、所定量のシリカおよびアミン系老化防止剤を含有し、所定のシランカップリング剤を用いるゴム組成物において、アミン系老化防止剤をシランカップリング剤の混練工程とは別に、後の工程にて混練りすることにより、加工性の悪化が抑制され、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカを60〜200質量部、好ましくは65〜150質量部、より好ましくは70〜130質量部、アミン系老化防止剤を1.5〜5.0質量部、好ましくは2.0〜4.0質量部含有し、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有するゴム組成物であって、アミン系老化防止剤を、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りした後に、別の混練工程において混練りすることにより得られるゴム組成物、
[2]アミン系老化防止剤を混合する混練工程の排出温度が110〜140℃、好ましくは120〜135℃である上記[1]記載のゴム組成物、
[3]シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量が、シリカ100質量部に対して1〜12質量部、好ましくは4〜10質量部である上記[1]または[2]記載のゴム組成物、
[4]シランカップリング剤1を含有し、かつシランカップリング剤1が、下記式(1)で表されるシランカップリング剤である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物
Figure 2018076469
[式中、R101は、−Cl、−Br、−OR106、−O(O=)CR106、−ON=CR106107、−NR106107および−(OSiR106107h(OSiR106107108)から選択される一価の基(ここで、R106、R107およびR108は同一でも異なっていても良く、各々水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1〜4である。)であり、R102はR101、水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R103は、R101、R102または水素原子、R104は、炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R105は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である]、
[5]シランカップリング剤2を含有し、かつシランカップリング剤2が、下記式(2−1)で表される結合単位Aと下記式(2−2)で表される結合単位Bとを含むシランカップリング剤である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴム組成物
Figure 2018076469
Figure 2018076469
(式中、xは1以上の整数、yは1以上の整数であり、R201は水素、ハロゲン、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものであり、R202は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基であり、あるいはR201とR202とで環構造を形成してもよい。)、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物により構成されるタイヤ部材を備えるタイヤ、
[7]タイヤ部材がトレッドである上記[6]記載のタイヤ、ならびに
[8]芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカを60〜200質量部、好ましくは65〜150質量部、より好ましくは70〜130質量部、アミン系老化防止剤を1.5〜5.0質量部、好ましくは2.0〜4.0質量部含有し、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有するゴム組成物の製造方法であって、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りする工程1と、工程1の後にアミン系老化防止剤を混練りする工程2を含むゴム組成物の製造方法
に関する。
本発明によれば、所定のゴム成分100質量部に対し、所定量のシリカおよび所定量のアミン系老化防止剤を含有させ、所定のシランカップリング剤を用いるゴム組成物において、アミン系老化防止剤をシランカップリング剤の混練工程とは別に、後の工程にて混練りすることにより、低燃費性のみならず加工性の良好なゴム組成物を提供することができる。また、そのゴム組成物で構成される各種タイヤ部材を備えるタイヤならびにそのゴム組成物の製造方法を提供することができる。
本発明のゴム組成物は、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカを60〜200質量部、アミン系老化防止剤を1.5〜5.0質量部含有するものである。これにより、ゴム破壊強度および耐摩耗性を良好に改善することができる。また、本発明のゴム組成物はさらに、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有する。これにより、低燃費性を良好なものとすることができる。さらに、本発明のゴム組成物において、アミン系老化防止剤とシランカップリング剤の混合工程を別工程とし、アミン系老化防止剤を全部のシランカップリング剤よりも後の工程で混合することにより、低燃費性を低下させることなく、ゴム破壊強度および加工性を顕著かつ相乗的に改善でき、良好な低燃費性、ゴム破壊強度および加工性が得られる。
本発明のゴム組成物は、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られる共重合体を含むゴム成分を用いる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、モノマーの入手容易性などの実用面の観点および本発明の効果がより好適に得られるという理由からスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、モノマーの入手容易性などの実用面の観点および本発明の効果がより好適に得られるという理由から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られる共重合体は、水素添加物(水添共重合体)であってもよい。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、200,000以上が好ましく、400,000以上がより好ましい。Mwを200,000以上とすることにより、良好なゴム破壊強度および耐摩耗性が得られる傾向がある。また、共重合体のMwは、2,000,000以下が好ましく、1,000,000以下がより好ましく、700,000以下がさらに好ましい。Mwを2,000,000以下とすることにより、より良好な加工性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製のGPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値をもとに標準ポリスチレン換算により求めることができる。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上が好ましく、−40℃以上がより好ましく、−35℃以上がさらに好ましく、−30℃以上が最も好ましい。Tgを−50℃以上とすることにより、より良好なゴムの破壊強度を得ることができる傾向がある。
なお、共重合体のガラス転移温度(Tg)は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られる共重合体の全ゴム成分中の含有量は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。共重合体の全ゴム成分中の含有量を60質量%以上とすることにより、ウェットグリップ性能を十分に確保することができる傾向がある。また、共重合体の全ゴム成分中の含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。共重合体の全ゴム成分中の含有量を95質量%以下とすることにより、耐摩耗性能を担保できる傾向がある。
芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られる共重合体は、スチレンブタジエンゴム(SBR)であることが好ましい。SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)などが挙げられ、これらSBRを変性剤によって変性されたもの(変性SBR)や、これらSBRの水素添加物(水添SBR)なども使用することができる。例えば、ウェットグリップ性能と転がり抵抗性能の両立を考慮してS−SBRを使用することができる。
変性SBRとしては、それぞれ、タイヤ工業において一般的に使用されるSBRを変性剤で処理したものを使用することができる。上記変性剤としては、例えば、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記変性剤によるSBRの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、SBRと変性剤とを接触させればよく、アニオン重合によりSBRを合成した後、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加し、SBRの重合末端(活性末端)と変性剤とを反応させる方法、SBR溶液中に変性剤を添加して反応させる方法などが挙げられる。
SBRのビニル含量は、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。30質量%未満であると、低燃費性、グリップ性が悪化する傾向がある。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。90質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。なお、本発明において、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、充分な剛性が得られないおそれがある。該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。60質量%を超えると、発熱性が著しく上昇し、低燃費性が低下する傾向がある。なお、本発明において、SBRのスチレン含量は、H1−NMR測定により算出される。
上記共重合体以外に使用できるその他のゴム成分としては、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエンイソプレン共重合体ゴム、ブチルゴムなどを挙げることができる。また、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレン共重合体、エチレンオクテン共重合体なども挙げることができる。これらのゴム成分は、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分としてBRを含む場合、BRとしては特に限定されず、ハイシス1,4−ポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)、希土類系BRなどが挙げられ、これらの各種BRを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性の向上効果が高い、低燃費性が良好であるという理由から、ハイシスBRが好ましい。ハイシスBRとは、シス1,4結合含有率が90質量%以上のブタジエンゴムである。なお、本発明において、ハイシスBR、変性BR、希土類系BRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)およびシス1,4結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ハイシスブタジエンゴム(ハイシスBR)は、シス含量が90%以上のものであり、たとえば、JSR(株)製のBR730、BR51、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR710などがあげられる。ハイシスBRのなかでも、シス1,4−結合含有率が95%以上のものがさらに好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ハイシスBRを含有することで耐摩耗性を向上させること、低温でのゴム硬化を抑制することができる。
ゴム成分としてBRを含む場合、BRの全ゴム成分中の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。BRの全ゴム成分中の含有量を5質量%以上とすることにより、十分な耐摩耗性を確保できる傾向がある。また、BRの全ゴム成分中の含有量は、40質量%未満が好ましく、35質量%未満がより好ましい。BRの全ゴム成分中の含有量を35質量%未満とすることにより、加工性とウェットグリップ性能の両立を図りやすい傾向がある。
シリカとしては、特に限定されるものではなく、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、45m2/g以上が好ましく、55m2/g以上がより好ましく、60m2/g以上がさらに好ましく、100m2/g以上が特に好ましく、150m2/g以上が最も好ましい。シリカのN2SAを45m2/g以上とすることにより、十分な補強性が得られ、破壊強度、耐摩耗性をより良好なものとすることができる。また、シリカのN2SAは、350m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、270m2/g以下がさらに好ましく、220m2/g以下が特に好ましい。シリカのN2SAを350m2/g以下とすることにより、シリカの分散が容易になり、より良好な低燃費性を得ることができる。ここで、本明細書におけるシリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60質量部以上であり、65質量部以上が好ましく、70質量部以上がより好ましい。シリカの含有量が60質量部未満であると、シリカを配合した効果が十分に得られず、低燃費性、耐摩耗性が悪化する傾向がある。また、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、200質量部以下であり、150質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましく、110質量部以下がさらに好ましい。全シリカの含有量が200質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、低燃費性、加工性および耐摩耗性が悪化する傾向がある。
アミン系老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、N−フェニル−1−ナフチルアミンなどのナフチルアミン系;オクチル化ジフェニルなどのアルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミンなどのジフェニルアミン系;N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミンなどのp−フェニレンジアミン系などの芳香族第二級アミン系老化防止剤の1種または2種以上が挙げられる。
アミン系老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1.5質量部以上であり、2.0質量部以上が好ましい。アミン系老化防止剤の含有量が1.5質量部未満であると、破壊特性を向上できない恐れや、耐オゾン性が市場性を確保できない傾向がある。また、アミン系老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以下であり、4.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましい。アミン系老化防止剤の含有量が5.0質量部を超えると、老化防止剤が表面に析出し、ゴム物性が低下するおそれ、変色によりクレームとなる傾向がある。
本発明におけるゴム組成物は、上記で挙げたアミン系老化防止剤以外の老化防止剤を併せて用いることができる。これらは従来から公知のものを用いることができ、例えば、キノリン系老化防止剤、モノフェノール系、ビス、トリス、ポリフェノール系などのフェノール系老化防止剤などが挙げられる。キノリン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−アニリノ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、ポリ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。フェノール系老化防止剤に関し、モノフェノール系老化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、フェノール誘導体などが挙げられる。ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系老化防止剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。なかでも、キノリン系老化防止剤を併用することが好ましい。キノリン系老化防止剤をアミン系老化防止剤と併用することにより、アミン系老化防止剤の高い揮発性、ゴム表面での茶変色性および高tanδ、キノリン系老化防止剤の低耐オゾン性および金型汚染を補いながら、熱酸化による劣化の防止効果、オゾンクラック防止効果およびゴム成分の熱分解防止効果に優れたゴム組成物とすることができる。
本発明のゴム組成物は、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1および/またはメルカプト基(−SH)を有するシランカップリング剤2を含有する。本発明では、シランカップリング剤として、上述のシランカップリング剤1および/またはシランカップリング剤2を使用することにより、低燃費性、ゴム破壊強度および耐摩耗性を顕著かつ相乗的に改善することができる。なお、シランカップリング剤としては、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、シランカップリング剤1および2を併用することが好ましい。
カルボニルチオ基を有しかつメルカプト基を有しないシランカップリング剤1としては、下記式(1)で表されるシランカップリング剤を好適に使用することができる。
Figure 2018076469
[式中、R101は、−Cl、−Br、−OR106、−O(O=)CR106、−ON=CR106107、−NR106107および−(OSiR106107h(OSiR106107108)から選択される一価の基(ここで、R106、R107およびR108は同一でも異なっていても良く、各々水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1〜4である。)であり、R102はR101、水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R103は、R101、R102または水素原子、R104は、炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R105は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。]
上記式(1)において、R105、R106、R107およびR108は、それぞれ独立して、炭素数1〜18の直鎖、環状もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R102が炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R109は、直鎖、環状または分岐鎖のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R104は例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基およびアルケニレン基は、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基およびアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の官能基を有していてもよい。このR104としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
102、R105、R106、R107およびR108の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
109の例として、直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、分岐鎖状アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。
式(1)で表されるシランカップリング剤1の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。なかでも、加工性と低燃費性の両立の点で、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(Momentive社製のNXT)が特に好ましい。上記シランカップリング剤1は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
メルカプト基を有するシランカップリング剤2としては、下記式(2−1)で示される結合単位Aと下記式(2−2)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤を好適に使用することができる。
Figure 2018076469
Figure 2018076469
(式中、xは1以上の整数、yは1以上の整数であり、R201は水素、ハロゲン、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものであり、R202は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基であり、あるいはR201とR202とで環構造を形成してもよい。)
式(2−1)で表される結合単位Aと式(2−2)で表される結合単位Bとを含むシランカップリング剤は、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、式(2−1)で表される結合単位Aと式(2−2)で表される結合単位Bとを含むシランカップリング剤は、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C715部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
加工性の観点から、上記構造のシランカップリング剤2において、結合単位Aの含有量は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、また99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましい。また、結合単位Bの含有量は、シリカとの反応性の観点から、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、また70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2−1)、(2−2)と対応するユニットを形成していればよい。
式(2−1)および式(2−2)において、R201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などがあげられる。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜12である。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2〜12である。
式(2−1)で示される結合単位Aと式(2−2)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤2において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C715が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
式(2−1)で示される結合単位Aと式(2−2)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤2としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2は、単独で用いても、併用してもよい。
シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量は、シリカ100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量を、シリカ100質量部に対して0.5質量部以上とすることにより、十分なカップリング効果が得られ、高いシリカ分散性が得られる傾向がある。そのため良好なゴム破壊強度を得ることができる傾向がある。また、シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量は、シリカ100質量部に対して、15質量部以下が好ましく、12質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量を、シリカ100質量部に対して15質量部以下とすることにより、余分なシランカップリング剤が残存し難く、得られるゴム組成物の加工性および破壊特性が良好なものとなる傾向がある。
本発明におけるゴム組成物は、上記で挙げた以外のシランカップリング剤を併せて用いることができる。これらは従来から公知のものを用いることができ、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられる。なお、上記のシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物には、上記成分以外にも、シリカ以外の充填剤;伸展油(オイル)、滑剤などの加工助剤;ステアリン酸、酸化亜鉛などの加硫活性化剤;有機過酸化物;ワックス;硫黄などの加硫剤;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤などの従来ゴム工業で使用される配合剤を適宜配合することができ、シリカ以外の他の充填剤を含むことが好ましい。
シリカ以外の他の充填剤としては、ゴムの補強を目的にゴム組成物に配合されるものであり、例えば、炭酸カルシウム、セリサイトなどの雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタン、マイカ等の白色充填剤;カーボンブラック等が挙げられる。これらの充填剤は、2種以上組み合わせて用いてもよく、補強の面で、カーボンブラックを配合することが特に好ましい。
本発明におけるゴム組成物がシリカ以外の充填剤を含む場合、充填剤100質量%中のシリカの含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。充填剤100質量%中のシリカの含有量を80質量%以上とすることにより、本発明の効果を十分に得ることができる。また、この場合、残りの充填剤として、カーボンブラックを使用すると、ウェットグリップ性能が悪化するおそれがある。また、カーボンブラック以外の充填剤を使用すると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
本発明におけるゴム組成物がカーボンブラックを含む場合、カーボンブラックとしては、SAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、SRF、GPF、APF、FF、CF、SCFおよびECFのようなファーネスブラック(ファーネスカーボンブラック);アセチレンブラック(アセチレンカーボンブラック);FTおよびMTのようなサーマルブラック(サーマルカーボンブラック);EPC、MPCおよびCCのようなチャンネルブラック(チャンネルカーボンブラック);グラファイトなどをあげることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、通常5〜200m2/gであり、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、150m2/g以下が好ましく、120m2/g以下がより好ましい。また、カーボンブラックのジブチルフタレート(DBP)吸収量は、通常5〜300ml/100gであり、80ml/100g以上が好ましく、また180ml/100g以下が好ましい。カーボンブラックのN2SAやDBP吸収量が上記範囲の下限未満では、補強効果が小さく耐摩耗性が低下する傾向があり、上記範囲の上限を超えると、分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN2SAは、ASTM D4820−93に従って測定される値であり、該DBP吸収量は、ASTM D2414−93に従って測定される値である。
カーボンブラックを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましい。カーボンブラックの含有量を1質量部以上とすることにより、十分な補強性が得られる傾向がある。また、カーボンブラックの全ゴム成分100質量部に対する含有量は、60質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量を60質量部以下とすることにより、より良好な低燃費性が得られる傾向がある。
伸展油(オイル)としては、アロマチック系鉱物油(粘度比重恒数(V.G.C.値)0.900〜1.049)、ナフテン系鉱物油(V.G.C.値:0.850〜0.899)、パラフィン系鉱物油(V.G.C.値:0.790〜0.849)などを挙げることができる。伸展油の多環芳香族含有量は、3質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。伸展油の多環芳香族含有量は、英国石油学会346/92法に従って測定される。また、伸展油の芳香族化合物含有量(CA)は、20質量%以上が好ましい。これらの伸展油は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
オイルを含有する場合の全ゴム成分100質量部に対する含有量は、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。オイルの含有量を10質量部以上とすることにより、十分な加工性を担保でき、配合の性能を引き出すことができる傾向がある。また、オイルの全ゴム成分100質量部に対する含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。オイルの含有量を50質量部以下とすることにより、耐摩耗性を確保しやすい傾向がある。
加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドがより好ましい。また、さらにグアニジン系加硫促進剤を併用することも好ましい。加硫促進剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜4質量部がより好ましい。
加硫剤としては、特に限定されないが、硫黄を好適に使用することができる。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜5質量部が好ましく、1〜3質量部がより好ましい。これにより、本発明の効果がより好適に得られる。
ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛はいずれも、ゴム工業において一般的に用いられるものを好適に用いることができる。
本発明におけるゴム組成物は、アミン系老化防止剤を、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りして得られた混練物に別工程にて混練りする以外は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで上記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造することができる。
本発明におけるゴム組成物は、例えば、本発明のゴム成分、シリカおよび全部のシランカップリング剤と必要に応じて他の配合剤を混練りする工程1、その後、工程1で得られた混練物1に、アミン系老化防止剤を、必要に応じてシリカとあわせて混練りする工程2、工程2で得られた混練物2に、加硫剤および加硫促進剤を混練りし加硫してゴム組成物を得る仕上げ工程3により行なうことができる。また、工程1は、ゴム成分とシリカの一部およびシランカップリング剤の一部を混練りする工程1aと、工程1aで得られた混練物1aに残りのシリカと残りのシランカップリング剤とを混練りする工程1bとの2工程に分けて行うこともできる。以下、本発明のゴム組成物の製造方法について、工程1を工程1aおよび工程1bの2工程にて行う方法で例示的に説明するが、これら製造方法に限定されることを意図するものではない。
(工程1a)
ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤1および/またはシランカップリング剤2を必要に応じてオイルと共に混練りし、混練物1aを得る。混練物1aの混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。カーボンブラックなどの材料は、工程1aにおいて加えることが好ましい。
(工程1b)
工程1aで得られた混練物1a、シリカ、シランカップリング剤1および/またはシランカップリング剤2を必要に応じてオイルと共に混練りし、混練物1bを得る。混練物1bの混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。酸化亜鉛、ステアリン酸およびワックスなどの材料は、工程1aに加えるよりも、シランカップリング剤とシリカ、芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られる共重合体、例えばS−SBRなどのSBRとシリカの反応促進の点から工程1bにおいて加えることが好ましい。
工程1aおよび工程1bにおける混練温度は、140℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。混練温度を140℃以上にすることで、シランカップリング剤とシリカの反応を十分に進ませ、シリカを良好に分散させることができ、低燃費性および耐摩耗性を改善させやすくなる。また、工程1aおよび工程1bにおける混練温度は、165℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。混練温度を165℃以下にすることで、ゴム焼けを防止し、スコーチ特性、加工特性が良好となる傾向がある。さらに、工程1aおよび工程1bにおける排出温度は、カップリング剤の反応促進の点から140℃以上が好ましく、145℃以上がより好ましい。また、工程1aおよび工程1bにおける排出温度は、加工性(シート生地)や粘度上昇抑制の点から165℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。
工程1aおよび1bにおける混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。ゴム温度140〜160℃の状態での混練時間を30〜150秒確保することが好ましい。
また、工程1aおよび工程1bは、上述したように工程1として一度に行うこともできる。
(工程2)
工程1bにおいて得られた混練物1bと、アミン系老化防止剤、およびその他必要に応じて各種材料を合わせて混練りし、混練物2を得る。アミン系以外の老化防止剤や一部のシリカなども、工程1aまたは工程1bに加えるよりも、工程2において加えることが好ましい。工程2の混練方法は、特に限定されず、バンバリーミキサー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される混練機を使用することができる。工程2における混練温度や排出温度の好ましい条件を後述するが、工程2における混練温度や排出温度は、工程1と同様のものとすることもでき、特に限定されるものではない。
工程2における混練温度は、110℃以上が好ましく、115℃以上がより好ましい。混練温度を110℃以上にすることで、添加した薬品が十分に分散し、ゴム強度を確保できる傾向がある。また、工程2における混練温度は、135以下が好ましく、130℃以下がより好ましい。混練温度を135℃以下にすることで、粘度上昇を抑制することができ、生産性を向上できる傾向がある。さらに、工程2における排出温度は、薬品の分散性確保の点から110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。また、工程2における排出温度は、練ゴムのシート生地担保の点から140℃以下が好ましく、135℃以下がより好ましい。
工程2における混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。ゴム温度115〜130℃の状態での混練時間を30〜120秒確保することが好ましい。
(工程3)
工程2において得られた混練物2に、加硫剤や加硫促進剤を、たとえばオープンロールなどゴム工業において一般的な方法で練り込み、未加硫ゴム組成物を得、その後加硫する方法などにより本発明のゴム組成物を得ることができる。工程3における混練は、特に限定されず、バンバリーミキサーやニーダーなどを用いて行うことができる。
工程3における混練温度は、60℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましい。混練温度を60℃以上にすることで、薬品がゴム中に十分分散されて均質なゴムとなりスコーチを抑制できる傾向がある。また、工程3における混練温度は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。混練温度を100℃以下にすることで、ゴム焼けを防止し、スコーチ特性、加工特性が良好となる傾向がある。
工程3における混練時間は、特に限定されるものではないが、通常30秒以上であり、1〜30分間が好ましく、3〜6分間がより好ましい。ゴム温度60〜100℃の状態での混練時間を30〜120秒確保することが好ましい。
本発明におけるゴム組成物は、タイヤの各部材(トレッド、サイドウォール、カーカス、ベルト、ビード、クリンチ、チェーファー等)に使用でき、なかでも、タイヤのトレッドとして好適に用いられる。2層構造のトレッドの場合には、表面層(キャップトレッド)および内面層(ベーストレッド)から構成され、いずれにも好適に用いることができるが、キャップトレッドに用いることがより好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法により製造することができる。すなわち、本発明のゴム組成物の未加硫の段階でゴム組成物をタイヤのトレッドなどの各タイヤ部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成し、この未加硫タイヤを加硫機中で加熱および加圧することにより、本発明のタイヤを製造することができる。多層構造のトレッドは、シート状にしたものを、所定の形状に貼り合わせる方法や、2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層以上に形成する方法により作製することができる。
本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとして好適に用いられる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は、実施例のみに限定されるものではない。
実施例において用いたスチレンブタジエン共重合体(SBR)(JSR(株)製のJSR SL563)および水添SBRについて、スチレン含含有量、重量平均分子量、数平均分子量およびガラス転移温度を以下のとおり測定した。
(スチレン含有量の測定)
25℃にてJEOL JNM−A 400NMR装置を用いて1H−NMRを測定し、そのスペクトルより求めた6.5〜7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと4.9〜5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンの比からスチレン含有量を決定した。
(ビニル結合量の測定)
赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm-1付近の吸収強度により重合体のビニル結合量を求めた。
(重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)の測定)
共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121にしたがい、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することにより、ガラス転移開始温度として求めた。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
SBR:JSR(株)製のJSR SL563(S−SBR、スチレン含量:20%、ビニル結合量:55.5%、Mw:6.7×105、Mn:4.4×105、Tg:−32℃)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス1,4−含有率97%)
シリカ:エボニック・デグザ(Evonik Degussa)社製のULTRASIL(登録商標)VN3(N2SA:180m2/g)
シランカップリング剤1:モメンティブ社製のNXT(3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン)
シランカップリング剤2:モメンティブ社製のNXT−Z45(結合単位Aおよび結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)
老化防止剤1:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:住友化学(株)製のアンチゲンFR(トリメチルジヒドロキノリン)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(N2SA:96m2/g、DBP吸収量:124ml/100g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:住友化学(株)製のソクシノールCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:住友化学(株)製のソクシノールD(1,3−ジフェニルグアニジン)
実施例1〜6および比較例1〜4
<工程1a>
表1の工程1aに示す配合処方にしたがい、表1に示す条件で(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて混練りし、排出して混練物1aを得た。
<工程1b>
表1の工程1bに示す配合処方にしたがい、混練物1a、およびその他の材料を入れ、表1に示す条件で1.7Lのバンバリー型ミキサーを用いて混練りし、排出して混練物1bを得た。
<工程2>
表1の工程2に示す配合処方にしたがい、混練物1bおよびその他の材料を入れ、表1に示す条件で1.7Lのバンバリー型ミキサーを用いて混練りし、排出して混練物2を得た。なお、比較例においては、混練物1bのみで混練を行った。
<工程3>
表1の工程3に示す配合処方にしたがい、混練物2、硫黄および加硫促進剤を添加し、表1に示す条件でオープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
なお、表1に記載した条件1〜3の詳細は次のとおりである。
(条件1)混練温度:150℃、混練時間:5分間、排出温度:160℃
(条件2)混練温度:120℃、混練時間:3分間、排出温度:130℃
(条件3)混練温度:80℃、混練時間:5分間
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物について、下記試験により、ムーニー粘度(加工性指数)、低燃費性(転がり抵抗)、ゴム破壊強度の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。
<ムーニー粘度>
各未加硫ゴム組成物を用いて、JIS K6300「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じたムーニー粘度の測定方法にしたがい、130℃の温度条件にて、ムーニー粘度(ML1+4)を測定した。比較例1のムーニー粘度を100とし、各配合のムーニー粘度を指数表示した(加工性指数)。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れる。なお、104以上を性能目標値とする。
<転がり抵抗>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mmまたは2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で加硫ゴム組成物の損失正接(tanδ)を測定した。tanδの逆数の値について、比較例1を100として指数表示した(低燃費性指数)。数値が大きいほど転がり抵抗が小さく、タイヤの低燃費性に優れることを示している。
<ゴム破壊強度>
JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム引張特性の求め方」に準じ、上記加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて、25℃雰囲気下にて引張試験を行い、破断伸びを測定した。測定結果を、比較例1を100とした指数(ゴム強度指数)で示した。指数が大きいほどゴム破壊強度が大きいことを示している。
Figure 2018076469
表1の結果より、ゴム成分、シリカおよび全部のシランカップリング剤を含む混練物に、別工程にてアミン系老化防止剤を混練りすることにより、良好な低燃費性を維持し、加工性およびゴム強度に優れたゴム組成物が得られることがわかる。

Claims (8)

  1. 芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカを60〜200質量部、アミン系老化防止剤を1.5〜5.0質量部含有し、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有するゴム組成物であって、アミン系老化防止剤を、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りした後に、別の混練工程において混練りすることにより得られるゴム組成物。
  2. アミン系老化防止剤を混合する混練工程の排出温度が110〜140℃である請求項1記載のゴム組成物。
  3. シランカップリング剤1およびシランカップリング剤2の合計含有量が、シリカ100質量部に対して1〜10質量部である請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. シランカップリング剤1を含有し、かつシランカップリング剤1が、下記式(1)で表されるシランカップリング剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
    Figure 2018076469
    [式中、R101は、−Cl、−Br、−OR106、−O(O=)CR106、−ON=CR106107、−NR106107および−(OSiR106107h(OSiR106107108)から選択される一価の基(ここで、R106、R107およびR108は同一でも異なっていても良く、各々水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1〜4である。)であり、R102はR101、水素原子または炭素数1〜18の一価の炭化水素基、R103は、R101、R102または水素原子、R104は、炭素数1〜18の二価の炭化水素基、R105は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。]
  5. シランカップリング剤2を含有し、かつシランカップリング剤2が、下記式(2−1)で表される結合単位Aと下記式(2−2)で表される結合単位Bとを含むシランカップリング剤である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
    Figure 2018076469
    Figure 2018076469
    (式中、xは1以上の整数、yは1以上の整数であり、R201は水素、ハロゲン、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものであり、R202は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基であり、あるいはR201とR202とで環構造を形成してもよい。)
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物により構成されるタイヤ部材を備える空気入りタイヤ。
  7. タイヤ部材がトレッドである請求項6記載の空気入りタイヤ。
  8. 芳香族ビニル化合物および共役ジエン化合物を共重合して得られた共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、シリカを60〜200質量部、アミン系老化防止剤を1.5〜5.0質量部含有し、カルボニルチオ基(−S−C(=O)−)を有しかつメルカプト基(−SH)を有しないシランカップリング剤1およびメルカプト基を有するシランカップリング剤2からなる群より選択される少なくとも1つのシランカップリング剤を含有するゴム組成物の製造方法であって、ゴム成分と全部のシランカップリング剤とを混練りする工程1と、工程1の後にアミン系老化防止剤を混練する工程2を含むゴム組成物の製造方法。
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