JP2018073852A - 電気機器用エアシェルター - Google Patents

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Abstract

【課題】エアシェルターにおいて、電気機器と電力源をつなぐ電線を保護するための電線管から空気が漏れ出すことを完全に防止すること及び電気機器と電力源とを、容易かつ確実に電気的に接続できるようにすること。
【解決手段】カバー体7でポンプ5及びモーター6を覆うとともに、防爆コネクタ14と電力源を接続する電線15は、カバー体7の内部においてはフレキシブル電線管17で保護せず、ベース3の側壁に設けた電線管コネクタ16より外側でのみフレキシブル電線管17で保護する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大雨、洪水又は津波などによる冠水時にモーター等の電気機器が水没することを防止する電気機器用エアシェルターに関する。
出願人は、機器の水没を防止できるとともに、機器からの発熱や油の蒸気を逃がすことができる、機器の水没防止構造についての特許を取得した(特許第5951020号公報)。
この特許は、密閉ボックス(60)の底面部や側面部下方にのみ開口部(61)を設けているので、密閉ボックス内は常時は外気と通じており、ポンプ(20)等の機器からの発熱や油の蒸気を逃がすことができ、また、密閉ボックス(60)が水没したとしても、密閉ボックス内には空気溜まりが形成され、その空気溜まりとなる領域に機器を配置することで機器の水没を防止できるという優れた効果を奏するものである。
しかし、密閉ボックス内に空気溜まりが形成された時、機器と電力源をつなぐ電線を保護するための電線管を通して空気溜まりから空気が外部に漏れ出し、機器が水没してしまう現象の発生が確認された。
その後、特許文献2(特許第5760598号公報)に、ケーブル外被と電気線とを有する外線ケーブルからケース内の空気が少しずつ外部に漏れることを防止するために、ケーブル外被と電気線との隙間を樹脂で埋める技術が提案されていることを知り、電線管と電線との隙間を樹脂で埋める実験を行った。
ところが、隙間を樹脂で埋めることで、ある程度の期間は空気の漏れを防止できるが、隙間を樹脂で埋めてから長い期間が経過して樹脂が劣化してしまうと、空気の漏れを生じてしまうこと、また、水没深さが深い場合は、同樹脂部にかなりの水圧が掛かることになり、僅かな樹脂の劣化によっても同水圧によって樹脂が破損して隙間が生じ、空気の漏れが生じてしまうことが分かった。
特許第5951020号公報 特許第5760598号公報
本発明が解決しようとする課題は、水没防止設備(エアシェルター)において、電気機器と電力源をつなぐ電線を保護するための電線管から空気が漏れ出すことを完全に防止することを第1の課題とする。
また、電線管からの空気の漏れ出しを完全に防止しつつ、電気機器と電力源とを、容易かつ確実に電気的に接続できるようにすることを第2の課題とする。
上記の課題を解決するための請求項1に係る発明は、電力によって作動する機器と、該機器の水没を防止するために前記機器の周囲に設けられているカバー体と、前記機器に電力を供給する電線と、該電線を保護する電線管を備えている電気機器用エアシェルターにおいて、
前記カバー体は、少なくとも天井部、側面部及び底面部を有するとともに、前記底面部の一部若しくは全部又は前記側面部の前記機器が配置されている位置より下方に開口部を有し、その他は密閉構造となっており、
前記電線は、前記機器から前記カバー体の側面部の下端近傍又は底面部を通過して電力源に接続されており、
前記電線管は、前記カバー体の内部又は下方の前記機器が配置されている位置より下方に末端部、不連続部分又は通気性のある部分を有していることを特徴としている。
上記の課題を解決するための請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明の電気機器用エアシェルターにおいて、前記電線管の端部又は前記電線管の端部に接続される部材が水密に充填されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するための請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明の電気機器用エアシェルターにおいて、前記カバー体の側面部の下端近傍又は底面部の近傍に、前記電線管の末端部を接続する電線管コネクタを備えていることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、電力によって作動する機器と、機器の水没を防止するために機器の周囲に設けられているカバー体と、機器に電力を供給する電線と、電線を保護する電線管を備えている電気機器用エアシェルターにおいて、
カバー体は、少なくとも天井部、側面部及び底面部を有するとともに、底面部の一部若しくは全部又は側面部の機器が配置されている位置より下方に開口部を有し、その他は密閉構造となっており、
電線は、機器からカバー体の側面部の下端近傍又は底面部を通過して電力源に接続されており、
電線管は、カバー体の内部又は下方の機器が配置されている位置より下方に末端部、不連続部分又は通気性のある部分を有しているので、カバー体の機器が配置されている位置より下方が水没して機器の周囲に形成される空気溜まりの気圧が上がり外気圧との間に気圧差が生じた時に、空気溜まりから電線管を通して空気が外部に漏れ出し、機器が水没してしまうことがない。
請求項2に係る発明によれば、請求項1に係る発明による効果に加え、電線管の端部又は電線管の端部に接続される部材が水密に充填されており、電線管が水没した時その内部に水が浸入しないので、電線管内部における電線の劣化を防ぐことができる。
請求項3に係る発明によれば、請求項1又は2に係る発明による効果に加え、カバー体の側面部の下端近傍又は底面部の近傍に、前記電線管の末端部を接続する電線管コネクタを備えているので、電線管及び電線の設置を容易に行うことができる。
実施例1に係る電気機器用エアシェルターの正面図。 実施例1に係る電気機器用エアシェルターの平面図。 実施例2に係る電気機器用エアシェルターの正面図。 実施例2に係る電気機器用エアシェルターの平面図。 実施例3に係る電気機器用エアシェルターの正面図。 実施例3に係る電気機器用エアシェルターの平面図。
以下、実施例によって本発明の実施形態を説明する。
実施例1に係る電気機器用エアシェルターの正面図を図1に、同平面図を図2に示す。
図1、2は、電気機器用エアシェルターの全体構成を示しており、4本のベース架台1の上には矩形で梁2を有するベース3が設置され、梁2の上にポンプ架台4が設置され、ポンプ架台4の上面にポンプ5及びモーター6が載置されており、モーター6等を洪水等の時に水没させないようにするため、ポンプ架台4、ポンプ5及びモーター6を覆うカバー体7がベース3の上に開閉自在に固定されている。
カバー体7は、平面視がベース3の外周部とほぼ同じ大きさの長方形で、天井部8、側面部9及び底面部10を有しており、外形は角錐台形状となっている。
また、天井部8と側面部9は空気が透過することのない素材(金属板等)でなり、継ぎ目から空気が抜けないように接合され、底面部10はほぼ全面が開口している。
そして、底面部10の一辺の下には、ヒンジ(図示せず)により接続された遮蔽フロート11が設けてある。
そのため、通常時においては、遮蔽フロート11は自重により下方に位置しているので、カバー体7の内部は外部と通じているが、水位が上がった時は浮力により底面部10を閉塞する方向に移動し、開口から浸入する水の勢いを低減する。
ただし、遮蔽フロート11は開口を完全に閉鎖するものではないため、水位が底面部10を超えると徐々にカバー体7の内部に水が浸入するが、水位が上がるほどカバー体7の内部形成される空気溜まりは内圧が上がり、モーター6等を冠水から守ることができる。
特に、実施例1のようにカバー体7の内部空間が上方に向けて順次狭くなるようにすれば、空気溜まりの高さ寸法を大きく確保することができ、かつ、津波や洪水等による横方向からの水流の力を受け流すことができる。
さらに、カバー体7は底面部10の一辺がベース3の一辺とヒンジ(図示せず)により接続されているので、ポンプ5やモーター6を保守や点検を行う際には、ヒンジを中心に回動させて開放できる。
ポンプ5はモーター6により駆動され、その上流側と下流側に配管12を有している。
そして、配管12の入口と出口には導入管や排出管(図示せず)と接続するためのフランジ13が設けてある。
また、モーター6は防爆コネクタ14を備え、モーター6に電力を供給するために防爆コネクタ14と電力源(図示せず)が電線15で接続されている。
そして、カバー体7の内部及び下方においては電線15に電線管を取り付けず、ベース3の側壁の1箇所に設けた穴及び電線管コネクタ16を通過した後は、電線15がフレキシブル電線管17で保護されるようにしている。
このように構成することによって、電線管を通して空気溜まりから空気が外部に漏れ出し、機器が水没してしまうことを完全に防止することができる。
実施例2に係る電気機器用エアシェルターの正面図を図3に、同平面図を図4に示す。
なお、実施例1と異なっているのは、水位が電線管コネクタ16を超えた時、フレキシブル電線管17の内部に水が浸入しないように工夫した点だけであるので、以下の説明においては、実施例1と同じ箇所について実施例1と同じ番号を用いるとともに図3及び図4には図1及び図2と同じ番号を付してある。
そして、実施例2の特徴は、電線管コネクタ16が設けられているベース3の内側において、電線管コネクタ16の端部を粘土18で覆い、その周囲にコーキングボックス19を設けるとともに、コーキングボックス19内にコーキング材20を流し込んで、フレキシブル電線管17内部への水の浸入を防いでいる点である。
実施例3に係る電気機器用エアシェルターの正面図を図5に、同平面図を図6に示す。
なお、実施例1と異なっているのは、水位が電線管コネクタ16を超えた時、フレキシブル電線管17の内部に水が浸入しないように工夫した点だけであるので、以下の説明においては、実施例1と同じ箇所について実施例1と同じ番号を用いるとともに図5及び図6には図1及び図2と同じ番号を付してある。
そして、実施例3の特徴は、電線管コネクタ16と電線15を水密に保護するシーリングフィッチング21とを接続するカップリング22をベース3の側壁に設けて、電線管コネクタ16を設置し易くするとともに、電線15が通過するシーリングフィッチング21の内部にコンパウンド23を流し込み、さらに両側に粘土18で塞ぎ、ブッシング24で粘土18を押さえることによって、フレキシブル電線管17内部への水の浸入を防いでいる点である。
実施例1〜3の電気機器用エアシェルターに関する変形例を列記する。
(1)実施例1〜3においては、モーター6の冠水防止を目的としていたが、モーターに限らず冠水すると動作停止や故障するおそれのある電気機器の設置に際して有効である。
(2)実施例1〜3においては、カバー体7をベース3の上に開閉自在に固定したが、開閉可能でなくても良い。
その場合、ポンプ5やモーター6の保守及び点検のため、天井部8又は側面部9に開閉又は取り外し可能な蓋又は出入り口を設けた方が良い。
(3)実施例1〜3においては、カバー体7は天井部8及び側面部9からなる角錐台形状であるが、角錐形状、角柱形状、円柱形状又は半円柱形状等どのような形状でも良い。
(4)実施例1〜3においては、底面部10の下に遮蔽フロート11が設けてあったが、遮蔽フロート11はなくても空気溜まりは形成されるので、設けなくても良い。
(5)実施例1〜3においては、底面部10のほぼ全面が開口していたが、底面部10の一部が開口していても良く、側面部のモーター6が配置されている位置より下方の一部が開口していても良い。
(6)実施例1〜3においては、電線15がベース3の側壁の1箇所に設けた穴及び電線管コネクタ16を通過して電力源に接続されていたが、カバー体7の側面部9の下端近傍又は底面部10を通過した上で電力源に接続されていれば良い。
(7)実施例1〜3においては、電線15の防爆コネクタ14側は電線管で保護しなかったが、防爆コネクタ14とフレキシブル電線管17との間を、少なくとも一部に切れ目又は通気性のある電線管で保護しても良い。
ただし、切れ目又は通気性のある部分はカバー体7の内部又は下方のモーター6が配置されている位置より下方でなくてはならず、通常は空気溜まりができ外気圧との差がそれほど大きくならない底面部10上方の位置より下方であった方が良い。
(8)実施例1〜3においては、フレキシブル電線管17の末端部はベース3の上縁付近に設けた電線管コネクタ16に接続され、そこから防爆コネクタ14までは電線15だけが延びるようになっていたが、フレキシブル電線管17は上記(7)と同じ理由により、カバー体7の内部又は下方のモーター6が配置されている位置より下方までは延びていても良い。
要するに、フレキシブル電線管17は、カバー体7の内部又は下方のモーター6が配置されている位置より下方に末端部、不連続部分又は通気性のある部分を有していれば良い。
(9)実施例1〜3においては、電線管コネクタ16をベース3の側面部又は側面部の近くに設けたが、カバー体7の側面部9の下端近傍や底面部10の近傍など、フレキシブル電線管17を接続し易い箇所であれば、どこに設置しても良い
(10)実施例1〜3においては、防爆コネクタ14と電力源が電線15で接続されていたが、モーター6と電力源は防爆コネクタ14を介さずに接続されていても良く、また、電力源から電気が供給されない事態に備えて、ポンプ架台4の上に発電機を設置し、発電機からモーター6に電力を供給できるようにしても良い。
(11)実施例2においては、電線管コネクタ16の端部を粘土18で覆い、その周囲にコーキングボックス19を設けるとともに、コーキングボックス19内にコーキング材20を流し込むことにより、また、実施例3においては、シーリングフィッチング21の内部にコンパウンド23を流し込み、さらに両側に粘土18で塞ぎ、ブッシング24で粘土18を押さえることにより、フレキシブル電線管17内部への水の浸入を防いでいたが、このような構造に限らず、フレキシブル電線管17の端部又はフレキシブル電線管17の端部に接続される部材が水密に充填されていれば良い。
1 ベース架台 2 梁 3 ベース 4 ポンプ架台 5 ポンプ
6 モーター 7 カバー体 8 天井部 9 側面部
10 底面部 11 遮蔽フロート 12 配管 13 フランジ
14 防爆コネクタ 15 電線 16 電線管コネクタ
17 フレキシブル電線管 18 粘土 19 コーキングボックス
20 コーキング材 21 シーリングフィッチング 22 カップリング
23 コンパウンド 24 ブッシング

Claims (3)

  1. 電力によって作動する機器と、該機器の水没を防止するために前記機器の周囲に設けられているカバー体と、前記機器に電力を供給する電線と、該電線を保護する電線管を備えている電気機器用エアシェルターにおいて、
    前記カバー体は、少なくとも天井部、側面部及び底面部を有するとともに、前記底面部の一部若しくは全部又は前記側面部の前記機器が配置されている位置より下方に開口部を有し、その他は密閉構造となっており、
    前記電線は、前記機器から前記カバー体の側面部の下端近傍又は底面部を通過して電力源に接続されており、
    前記電線管は、前記カバー体の内部又は下方の前記機器が配置されている位置より下方に末端部、不連続部分又は通気性のある部分を有している
    ことを特徴とする電気機器用エアシェルター。
  2. 前記電線管の端部又は前記電線管の端部に接続される部材が、水密に充填されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器用エアシェルター。
  3. 前記カバー体の側面部の下端近傍又は底面部の近傍に、前記電線管の末端部を接続する電線管コネクタを備えている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気機器用エアシェルター。
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