JP2018073594A - イオン源及び蒸着装置 - Google Patents

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賢治 田所
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Abstract

【課題】イオンの照射領域を拡大し、照射領域におけるイオンの分布を均一化する。【解決手段】イオン源105は、放電室201と、放電室201からイオンを引き出す、平板状の電極211,212と、を備えている。電極211は、複数の貫通孔221を有し、電極212は、複数の貫通孔221を有する。複数の貫通孔222は、電極211の面に垂直なZ方向から見て貫通孔221と一部が重なり、かつ貫通孔221に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含む。【選択図】図2

Description

本発明は、イオンを照射するイオン源、およびイオン源を備えた蒸着装置に関する。
放電室にガスを導入し、放電室内においてガスを励起してイオン化させ、そのイオンを複数の引出し電極間に電圧を印加することによってイオンビームとして引き出すイオン源が知られている。
イオン源は、光学薄膜を光学素子表面に形成する蒸着装置に用いられる。イオン源は、イオンをワークに照射することにより、ワークに蒸着させる薄膜の緻密性及び密着性を高める効果がある。また、半導体分野においては、イオン源は、薄膜をエッチングする用途にも用いられる。
近年、蒸着装置において、1サイクルで複数のワークに薄膜を形成する要望が高まっている。それを実現するためにイオンの照射面積の拡大化と照射エネルギー分布の均一化が求められている。
特許文献1には、イオンを引き出す電極を湾曲した形状にすることで、イオンの照射面積を拡大し、照射領域におけるイオンの分布を均一化するイオン源が開示されている。特許文献2には、イオンを引き出す電極の貫通孔の割合を電極の中心からの距離に応じて変化させるイオン源が開示されている。
特開平2−278633号公報 特開平8−129982号公報
しかしながら、電極に用いられる材料はモリブデンなど耐腐食性に優れたものを用いるのが一般的であるため、特許文献1に記載のように、電極を湾曲するように加工するのは難しく、加工費が高くなるという問題があった。また電極は通常2〜3枚で構成されるのが一般的であるが、湾曲状の電極と平板状の電極とを用いると相対する貫通孔の中心軸を正確に一致させることは困難であり、ワークに照射されるイオンの分布が部分的に不均一となる問題があった。
また、特許文献2においては、電極の貫通孔の割合を中心からの距離に応じて変化させることでイオンの分布を均一化しようとしている。しかし、電極の貫通孔を通過するイオンの大部分は、偏向せずに直進するため、イオンの照射領域が狭いという問題があった。
そこで、本発明は、イオンの照射領域を拡大し、照射領域におけるイオンの分布を均一化することを目的とする。
本発明のイオン源は、放電室と、前記放電室からイオンを引き出す、平板状の第1の電極、及び前記第1の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された平板状の第2の電極と、を備え、前記第1の電極は、複数の第1の貫通孔を有し、前記第2の電極は、複数の第2の貫通孔を有し、前記複数の第2の貫通孔は、前記第1の電極の平板面に垂直な方向から見て前記第1の貫通孔と一部が重なり、かつ前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含むことを特徴とする。
本発明によれば、第1の電極及び第2の電極を平板状としたため、加工が容易となり、安価に電極を製作することが可能となる。また、第1の貫通孔と第2の貫通孔との中心軸がずれていることで、電界レンズの効果によるイオンの偏向が可能となり、広範囲かつ均一にイオンを照射することが可能となる。
第1実施形態に係るイオン源を備えた蒸着装置を示す模式図である。 第1実施形態に係るイオン源の断面模式図である。 第1実施形態に係るイオン源の第2の電極を示す平面図である。 第1実施形態に係るイオン源の第1〜第3の電極の一部の断面模式図である。 第2実施形態に係るイオン源の第1〜第3の電極の一部の断面模式図である。 実施例及び比較例のイオン源を評価する評価装置を示す模式図である。 実施例及び比較例のイオン源について、計測した電流密度分布を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るイオン源を備えた蒸着装置を示す模式図である。第1実施形態では蒸着対象物としてのワークWはレンズ基板である。蒸着装置100により、レンズ基板であるワークWの表面に反射防止膜等の薄膜を形成する。この結果、レンズ又はレンズの中間品が製造される。
蒸着装置100は、チャンバとしての金属製の真空容器101と、ワークWを保持するホルダ102と、ヒータ103と、蒸発源104と、イオン源105と、電子発生装置106と、を備えている。ホルダ102、ヒータ103、蒸発源104、イオン源105及び電子発生装置106は、真空容器101内に配置されている。
ホルダ102は、傘状の部材であり、ワークWを複数保持するよう構成され、不図示のモータによって回転駆動される。ホルダ102の中心部には、モニタ基板107が配置され、モニタ基板107の表面には、ワークWと同様に薄膜が形成される。真空容器101に設けられた光学式膜厚計109は、モニタ基板107に形成された薄膜に光を照射し、その反射光を検出することでモニタ基板107に形成される薄膜の膜厚を計測する。
ヒータ103は、ホルダ102の近傍に配置され、ホルダ102に保持されたワークWを加熱する。蒸発源104は、ホルダ102に対向して配置されている。蒸発源104は、蒸着材料Mを保持する坩堝104Aと、坩堝104A内の蒸着材料Mを加熱して蒸発させる電子銃104Bとを有している。蒸発源104の近傍には、成膜時間を制御するためのシャッタ110と、蒸着材料Mの蒸発量を計測する水晶式膜厚計111と、が設けられている。
イオン源105は、ホルダ102に対向して配置されている。イオン源105には、放電用ガス、即ちイオン化するガス、例えば酸素(O)ガスを供給するガス供給ライン120が接続されている。ガス供給ライン120には、ガスボンベ121及び流量制御装置122が設けられており、ガスボンベ121からイオン源105に供給する酸素ガスの流量を流量制御装置122により制御する。また、イオン源105には、高周波電源であるRF電源131と整合器132が接続されている。
電子発生装置106は、電子を発生し、発生した電子を放出する装置であり、イオン源105にてプラズマPを生成する際の着火源である。電子発生装置106には、ガス、例えば酸素(O)ガスを供給するガス供給ライン140が接続されている。ガス供給ライン140には、ガスボンベ141及び流量制御装置142が設けられており、ガスボンベ141から電子発生装置106に供給する酸素ガスの流量を流量制御装置142により制御する。また、電子発生装置106には、高周波電源であるRF電源151と整合器152が接続されている。
真空容器101には、主排気系161及び補助排気系162が接続されており、真空容器101内を、真空圧、例えば6.6×10−4[Pa]以下に減圧することができる。
図2は、第1実施形態に係るイオン源105の断面模式図である。イオン源105は、ガス供給ライン120が接続された放電室201と、放電室201の周囲に配置された高周波コイルであるRFコイル202と、を備えている。
放電室201は、石英やセラミックなどの誘電体で構成された円筒形状の容器であり、円筒の一対の端面のうち一方が開口部であり、他方にはガス供給ライン120が接続されている。これにより、放電室201内には、ガス供給ライン120を通じて放電用ガスである酸素ガスが供給される。
RFコイル202は、放電室201の他方の端面側に設けられた、スパイラル状のコイルであり、RF電源131及び整合器132により、高周波の電力が印加される。これにより、放電室201内のガスがプラズマPとなる。プラズマPは、イオンと電子に電離した状態である。プラズマPに含まれるイオンは、陽イオン、例えばO である。なお、RFコイル202は、放電室201の側面側に設けられた、ヘリカル状のコイルであってもよい。また、RFコイル202は、高周波電力の印加時に流れる電流により発熱するのを低減するため、RFコイル202内に冷却水を流すようにしてもよい。
また、イオン源105は、放電室201の開口部側に設けられた、放電室201からイオンを引き出す複数(3つ)の電極211,212,213を備えている。放電室201から遠ざかる方向に向かって第1の電極である電極211、第2の電極である電極212、及び第3の電極である電極213が順に配置されている。イオン源105は、放電室201、RFコイル202及び電極211〜213が収容されるケース203を備えている。ケース203は、複数の電極211〜213のうち最外側に配置された電極213をケース203の外部に露出させる開口部を有する。つまり、複数の電極211〜213は、放電室201の開口部とケース203の開口部との間に配置されている。
電極211,212,213は、平板状、具体的には円板状の導体である。電極211,212,213は、モリブデンなどの耐腐食性に優れていた材料を用いるのが好ましい。電極211〜213を平板状としたことにより、湾曲した形状にするよりも加工が容易となり、電極211〜213を安価に製作することができ、ひいてはイオン源105を安価に製作することができる。
ここで、電極211は、放電室201に最も近い位置に配置され、電極211よりも放電室201から遠い位置に電極212が配置され、電極212よりも放電室201から遠い位置に電極213が配置されている。電極211と電極212、電極212と電極213は所定の間隔をあけて配置されている。
放電室201と電極211との間、電極211と電極212との間、電極212と電極213との間、及び電極213とケース203との間には、それぞれ円環状の絶縁部材251,252,253,254が配置されている。具体的には、絶縁部材252は電極211の外周部と電極212の外周部との間に配置され、絶縁部材253は電極212の外周部と電極213の外周部との間に配置されている。絶縁部材251は電極211の外周部と放電室201の開口部の周囲との間に配置され、絶縁部材254は電極213の外周部とケース203の開口部の周囲との間に配置されている。絶縁部材251〜254は、例えば石英などの材料で構成されている。
絶縁部材251〜254により、放電室201内の中性ガスがケース203内に漏れるのを防止している。よって、RFコイル202に中性ガスが流れ込むのを防止することができ、ケース203内で放電するのを防止することができる。また、絶縁部材252,253により電極211と電極212、電極212と電極213の絶縁性を高めることができる。
複数の電極211〜213は、図2に示すように、中心が軸線C0に一致している。つまり、電極211〜213の中心は軸線C0である。図2中、電極211〜213の平板面に垂直な方向、つまり平板面の法線方向は、Z方向である。電極211〜213は、平板面同士が互いに平行となるようにZ方向に並設されている。
電極211は、第1の貫通孔である貫通孔221を複数有する。電極212は、第2の貫通孔である貫通孔222を複数有する。電極213は、第3の貫通孔である貫通孔223を複数有する。貫通孔222および貫通孔223は、貫通孔221と同じ数存在する。
複数の貫通孔222の各々は、Z方向から見て、複数の貫通孔221の各々に一部又は全部が重なっている。つまり、貫通孔221と、この貫通孔221に相対する貫通孔222とは、Z方向から見て、一部又は全部が重なっている。また、貫通孔222と、この貫通孔222に相対する貫通孔223とは、Z方向から見て、一部又は全部が重なっている。これにより相対する貫通孔221,222,223は、イオンが通過するようにZ方向に連通している。放電室201内のイオンは、貫通孔221,222,223を通過することにより、イオンビームとなってホルダ102に保持されたワークWに照射される。貫通孔221〜223は、いかなる形状であってもよいが、Z方向から見て丸形状、つまり丸孔であるのが好ましい。各貫通孔221は、同一の大きさである。また、各貫通孔222は、同一の大きさである。また、各貫通孔223は、同一の大きさである。貫通孔221〜223同士も同一の大きさである。
第1実施形態では、電極211と電極213は貫通孔の配置が同じであり、電極211,213と電極212は貫通孔の配置が異なる。Z方向から見て複数の貫通孔223の各々は、複数の貫通孔221の各々と中心軸が一致して配置されている。これにより、複数の貫通孔223の各々は、相対する貫通孔221と全部が重なっている。なお、複数の貫通孔223の各々は、Z方向から見て相対する貫通孔222と一部又は全部と重なっている。
電極211には、電源装置261により、イオンの電荷と同じ極性の第1の電位である正電位が印加され、電極212には、電源装置262により、イオンの電荷と逆の極性の第2の電位である負電位が印加される。電極213は、接地されることにより、グラウンド電位となっている。
電極211は、正電位が印加されることにより、放電室201から引き出されるイオンにエネルギーを与える。電極212は、負電位が印加されることにより、イオンを引き寄せて加速させる。電極213は、接地されることにより、真空容器101との電位差をなくす。
図3は、第1実施形態に係るイオン源105の第2の電極である電極212を示す平面図である。図4は、第1実施形態に係るイオン源105の電極211〜213の一部の断面模式図である。
電極212の複数の貫通孔222は、Z方向から見て電極211の貫通孔221と一部が重なり、かつ電極211の貫通孔221に対して中心軸がずれて配置された貫通孔222Aを複数含んでいる。また、電極212の複数の貫通孔222は、電極211の貫通孔221と中心軸が一致して配置された貫通孔222Bを含んでいる。貫通孔222Bは、相対する貫通孔221と全部が重なっている。具体的に説明すると、貫通孔221の中心軸C1と貫通孔222Aの中心軸C21とがずれており、貫通孔221の中心軸C1と貫通孔222Bの中心軸C22とが一致している。なお、貫通孔221の中心軸C1と貫通孔223の中心軸C3とは一致している。貫通孔222Bは1つでもよいが、第1実施形態では複数存在する。即ち、複数の貫通孔222は、複数の貫通孔222Aと複数の貫通孔222Bとからなる。なお、複数の貫通孔222のうち、過半数が貫通孔222Aである。また、貫通孔222Aは、Z方向から見て相対する貫通孔223と一部が重なり、貫通孔222Bは、Z方向から見て相対する貫通孔223と全部が重なる。換言すると、複数の貫通孔223の各々は、Z方向から見て、相対する貫通孔222と一部又は全部が重なる。
貫通孔222Aが貫通孔221に対してずれて配置されることにより、電界レンズの効果で、貫通孔221,222Aを通過するイオンを偏向することができる。これにより、広範囲かつ均一にイオンを照射することが可能となる。即ち、イオンの照射領域を拡大し、照射領域におけるイオンの分布を均一化することが可能となる。
貫通孔221に対する貫通孔222Aのずれ量及びずれ方向は、各電極における貫通孔の数及び位置に応じて設定すればよい。即ち、貫通孔222Aのずれ量及びずれ方向は、ホルダ102に保持された複数のワークWの全てにイオンが照射される照射領域となり、かつ照射領域内の各ワークWに均一にイオンが照射されるように設定すればよい。
第1実施形態では、電界レンズを効果的に発現させるため、貫通孔221に対する貫通孔222Aのずれ量は、貫通孔221の半径以下としている。即ち、貫通孔221の中心軸C1に対する貫通孔222Aの中心軸C21のずれ量ΔDは、貫通孔221の半径以下である。第1実施形態では、各貫通孔222Aのずれ量ΔDは一定としている。
貫通孔222Bは、貫通孔222Aよりも電極212の中心C0の近くに配置されている。換言すると、貫通孔222Aは、貫通孔222Bよりも電極212の外周の近くに配置されている。中心C0に近い貫通孔222Bを通過するイオンは、ほとんど偏向せずZ方向に直進し、中心C0から遠い貫通孔222Aを通過するイオンは、Z方向に交差する方向に偏向する。電極212の外周側の貫通孔222Bを通過するイオンが偏向されるため、効果的にイオンの照射領域を拡大することができる。
第1実施形態では、貫通孔221に対する貫通孔222Aのずれ方向は、中心C0から遠ざかる方向、即ち図3及び図4中、R方向である。これにより、貫通孔221,222Aを通過するイオンは、R方向に偏向され、よりイオンの照射領域を拡大することができる。
また、Z方向から見て、複数の貫通孔222Bの総面積が、複数の貫通孔222Aの総面積よりも小さい。第1実施形態では、各貫通孔222A,222Bの開口面積が同一であるため、貫通孔222Bの数が、貫通孔222Aの数よりも少ない。よって、電極212の中心C0に近い貫通孔222Bを通過してワークWに到達するイオンの密度である電流密度が、貫通孔222Aを通過してワークWに到達するイオンの密度である電流密度よりも高くなるのを防止することができる。これにより、より効果的にホルダ102に保持された複数のワークWに均一にイオンを照射することができる。つまり、照射領域内に配置された複数のワークWに照射するイオンビームの電流密度分布をより均一にすることができる。
なお、貫通孔222Bの総面積を、貫通孔222Aの総面積よりも小さくする構成として、各貫通孔222Bの開口面積を、各貫通孔222Aの開口面積よりも小さくしてもよい。この場合、貫通孔222Bに相対する貫通孔221の開口面積も、貫通孔222Aに相対する貫通孔221の開口面積よりも小さくすればよい。
また、第1実施形態では、電極212に印加する負電位の絶対値が、電極211に印加する正電位の絶対値よりも大きい。これにより、電界レンズの効果を大きくすることができ、より広範囲にイオンを偏向させることが可能となる。
また、各電極211〜213を平板状としたことにより、電極を湾曲させた場合のように電極間に余分な空間ができるのを防止することができ、RFコイル202に投入する高周波電力の効率を上げることが可能となる。
以上、第1実施形態によれば、電界レンズ効果によりイオンビームの偏向が可能であり、広範囲にイオンビームを照射することが可能となる。また、イオンビームの電流密度分布を均一化することが可能となり、結果として、均一な膜質の薄膜を各ワークWに形成することができる。
なお、第1実施形態では、図4に示すように、相対する貫通孔221と中心軸が一致する貫通孔222Bが存在しているが、貫通孔222Bが存在していなくてもよい。つまり、電極212の貫通孔の全てが、貫通孔221に対してずれて配置された貫通孔222Aであってもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るイオン源について説明する。図5は、第2実施形態に係るイオン源の第1〜第3の電極の一部の断面模式図である。なお、第2実施形態のイオン源において、第1実施形態のイオン源と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。第2実施形態においても、イオン源は、第1の電極である電極211、第2の電極である電極212、第3の電極である電極213を備えている。
第2実施形態では、図5に示すように、貫通孔221に対してずれて配置された貫通孔222Aは、電極212の中心C0に近いほどずれ量が小さい。即ち、中心C0に近いほどずれ量がΔD>ΔD>ΔDと小さくなる。これにより、より効果的に広範囲かつ均一にイオンを照射することが可能となる。
なお、第2実施形態では、図5に示すように、相対する貫通孔221と中心軸が一致する貫通孔222Bが存在しているが、貫通孔222Bが存在していなくてもよい。つまり、電極212の貫通孔の全てが、貫通孔221に対してずれて配置された貫通孔222Aであってもよい。
[実施例]
次に、上述したイオン源の実施例について説明する。本実施例のイオン源は、第1実施形態のイオン源の一例である。本実施例のイオン源において、電極211、電極212及び電極213の材料はモリブデンとした。各電極211,212,213の厚みを0.5[mm]、直径をφ70〜φ120[mm]とした。各電極211,212,213には、直径φ2[mm]、ピッチ距離2[mm]で貫通孔を加工した。
電極212には、電極211,213に対して孔加工位置を0.5[mm]ずらして形成した。即ち、3つの電極211〜213を組み付けた際に、電極212の貫通孔222Aの中心軸が、電極211,213の貫通孔221,223の中心軸に対して0.5[mm]ずれるように形成した。
電極211には、+300〜+600[V]の正電位を印加する電源装置261を接続した。電極212には、−800〜−1000[V]の負電位を印加する電源装置262を接続した。電極213は接地した。絶縁部材251〜254は、それぞれ内径φ120[mm]、外径φ160[mm]程度の石英リングとした。
ガス供給ライン120から放電用ガスとして酸素を供給する流量制御装置122は、10〜100[sccm]で酸素の流量を制御可能なものとした。RFコイル202は、3ターンのスパイラル状に線状の導体を巻いて構成した。RFコイル202に印加する高周波電力の周波数は13.56[MHz]とし、高周波電力の出力は200〜1000[W]の範囲とした。ここで、高周波電力の出力は、所望とするプラズマ密度に応じて調整した。
なお、比較例のイオン源も用意した。比較例のイオン源においては、3つの電極の全てを実施例の電極211と同じ構成とし、電極間の貫通孔同士の中心軸が一致するように3つの電極を配置した。
図6は、実施例及び比較例のイオン源を評価する評価装置300を示す模式図である。上記のように構成された実施例又は比較例のイオン源を、図6の評価装置300に搭載した。評価装置300は、電流を測定することでイオンビームの電流密度分布を把握可能に構成されている。
評価装置300は、真空容器101と、真空容器101の内部に配置された測定用治具311とを備えている。測定用治具311は、外径φ900[mm]の傘状の部材を有する。傘状の部材の中心から半径方向に50[mm]、100[mm]、150[mm]、200[m]、250[mm]、300[mm]、350[mm]、400[mm]の箇所には、電流を測定可能な不図示の測定プローブがそれぞれ設置されている。
以上の構成の評価装置300を用いて実験を行った。まず、補助排気系162により、真空容器101内の圧力が大気圧から100[Pa]程度になるまで排気を行った。次に主排気系161により、真空容器101内の圧力が2.0×10−2[Pa]以下となるまで排気を行った。
次にガス供給ライン120から放電室201内に50[sccm]の酸素を導入し、RFコイル202に高周波電力を印加することで、イオン源の放電室201内に、プラズマPを生成した。プラズマPが生成された後、電極211に+450[V]、電極212に−1000[V]の電位を印加し、測定用治具311にイオンビームを照射した。RFコイル202に印加した高周波電力の初期値は400[W]とした。プラズマPを生成後は、所望のイオン電流量となるようにRFコイル202に印加する電力量を調整した。
図7は、実施例及び比較例のイオン源について、測定用治具311を用いて計測した電流密度分布を示すグラフである。電流密度分布の計測では、測定用治具311に照射される電流を測定し、断面積から電流密度分布を算出した。図7において、横軸は、測定用治具311の傘中心からの距離である。縦軸は、測定用治具311における電流密度分布(割合)である。なお、縦軸の基準(0%)は、測定用治具311の傘中心から50[mm]、100[mm]、150[mm]、200[mm]、250[mm]、300[mm]、350[mm]、400[mm]の位置での電流密度の最大値と最小値との中間値とした。図7に示すように、実施例のイオン源が比較例のイオン源に対して電流密度分布の均一性が改善することが確認できた。
次に、実施例と比較例のイオン源を蒸着装置100に搭載して成膜実験を行った結果について説明する。
ホルダ102は傘状の部材であり、ホルダ102の傘中心から50[mm]、100[mm]、150[mm]、200[mm]、250[mm]、300[mm]、350[mm]、400[mm]の位置にそれぞれワークWを配置した。
まず、蒸着装置100(図1参照)において、補助排気系162により真空容器101内の圧力が大気圧から100[Pa]程度になるまで荒引き排気を行った。次に主排気系161により真空容器101内の圧力を6.6×10−4[Pa]以下となるまで排気を行った。
次にヒータ103を250[℃]程度まで昇温させた。次に、電子発生装置106を起動し、電子発生装置106から電子を放出させ、RFコイル202に高周波を印加することで、放電室201内にプラズマPを生成した。放電室201内には50[sccm]の酸素を導入した。プラズマPの生成後、電極211に+450[V]、電極212に−1000[V]を印加した。またRFコイル202に印加した高周波電力の初期値は400[W]とした。プラズマPを生成後は、所望のイオン電流量となるようにRFコイル202に印加する電力量を調整した。
次にプロセスガスとして酸素を供給し、真空容器101内の圧力を2.0×10−2[Pa]に維持した。次に電子銃104Bにより蒸着材料Mを加熱した。蒸着材料Mが溶けて気化される状態まで加熱された後、シャッタ110を、不図示の機構により蒸着材料Mの直上より十分に離れた位置に移動させ、ワークW及びモニタ基板107に蒸着材料Mを堆積させた。ワークW及びモニタ基板107に蒸着材料Mを堆積させているときの蒸着レートは、水晶式膜厚計111によって計測され、所望の蒸着レートになるように電子銃104Bの電力供給量を制御した。
ワークWに堆積された蒸着材料Mの膜厚は光学式膜厚計109によって計測され、所望の膜厚に達したとき、シャッタ110を不図示の機構により蒸着材料Mの直上まで移動させ、電子銃104Bの電力供給を停止した。
実施例のイオン源を適用した蒸着装置で形成された薄膜と、比較例のイオン源を適用した蒸着装置で形成された薄膜とを評価した。表1は、実施例及び比較例において形成された薄膜が所望の膜質を満たすか否かを示す表である。表1において、「○」は所望の膜質を満たしていることを示し、「×」は所望の膜質を満たしていないことを示す。
Figure 2018073594
表1に示すように、本実施例のイオン源を用いることで、広範囲のワークWに対して所望の膜質が得られることを確認した。
なお、本発明は、以上説明した実施形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。また、実施形態及び実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態及び実施例に記載されたものに限定されない。
上述した実施形態及び実施例では、イオン源を蒸着装置に適用した場合について説明したが、イオン源を適用する装置を蒸着装置に限定するものではない。イオン源を例えば薄膜をエッチングするエッチング装置に適用してもよい。
また、上述した実施形態及び実施例では、第1の電極の平板面に垂直な方向から見て、複数の第1の貫通孔と複数の第2の貫通孔とが全て重なる場合について説明したが、これに限定するものではない。第1の電極の平板面に垂直な方向から見て、複数の第1の貫通孔のうち、第2の貫通孔と重ならない貫通孔が存在していてもよいし、複数の第2の貫通孔のうち、第1の貫通孔と重ならない貫通孔が存在していてもよい。また、第1の貫通孔と第2の貫通孔とが同数である場合について説明したが、異なる数であってもよい。
同様に、上述した実施形態及び実施例では、第1の電極の平板面に垂直な方向から見て、複数の第2の貫通孔と複数の第3の貫通孔とが全て重なる場合について説明したが、これに限定するものではない。第1の電極の平板面に垂直な方向から見て、複数の第2の貫通孔のうち、第3の貫通孔と重ならない貫通孔が存在していてもよいし、複数の第3の貫通孔のうち、第2の貫通孔と重ならない貫通孔が存在していてもよい。また、第2の貫通孔と第3の貫通孔とが同数である場合について説明したが、異なる数であってもよい。
また、上述した実施形態及び実施例では、複数の第3の貫通孔のうち、全てが第1の貫通孔と中心軸が一致する場合について説明したが、これに限定するものではない。複数の第3の貫通孔のうち、第1の貫通孔と中心軸が一致しない貫通孔が一部存在していてもよい。即ち、複数の第1の貫通孔のうち、第3の貫通孔と中心軸が一致しない貫通孔が一部存在していてもよい。また、第1の貫通孔と第3の貫通孔とが同数である場合について説明したが、異なる数であってもよい。
100…蒸着装置、101…真空容器(チャンバ)、102…ホルダ、104…蒸発源、105…イオン源、201…放電室、211…電極(第1の電極)、212…電極(第2の電極)、213…電極(第3の電極)、221…貫通孔(第1の貫通孔)、222…貫通孔(第2の貫通孔)、222A…貫通孔(第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔)、222B…貫通孔(第1の貫通孔と中心軸が一致して配置された貫通孔)、223…貫通孔(第3の貫通孔)

Claims (13)

  1. 放電室と、
    前記放電室からイオンを引き出す、平板状の第1の電極、及び前記第1の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された平板状の第2の電極と、を備え、
    前記第1の電極は、複数の第1の貫通孔を有し、
    前記第2の電極は、複数の第2の貫通孔を有し、
    前記複数の第2の貫通孔は、前記第1の電極の平板面に垂直な方向から見て前記第1の貫通孔と一部が重なり、かつ前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔を複数含むことを特徴とするイオン源。
  2. 前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔のずれ量が、前記第1の貫通孔の半径以下であることを特徴とする請求項1に記載のイオン源。
  3. 前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔が前記第2の電極の中心に近いほど、前記ずれ量が小さいことを特徴とする請求項2に記載のイオン源。
  4. 前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔のずれ方向が、前記第2の電極の中心から遠ざかる方向であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のイオン源。
  5. 前記複数の第2の貫通孔は、前記第1の貫通孔と中心軸が一致して配置された貫通孔を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のイオン源。
  6. 前記第1の貫通孔と中心軸が一致して配置された貫通孔は、前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔よりも前記第2の電極の中心の近くに配置されていることを特徴とする請求項5に記載のイオン源。
  7. 前記平板面に垂直な方向から見て、前記第1の貫通孔と中心軸が一致して配置された貫通孔の総面積が、前記第1の貫通孔に対して中心軸がずれて配置された貫通孔の総面積よりも小さいことを特徴とする請求項5又は6に記載のイオン源。
  8. 前記第2の電極よりも前記放電室から遠い位置に配置された平板状の第3の電極を更に備え、
    前記第3の電極は、複数の第3の貫通孔を有し、
    前記複数の第3の貫通孔は、前記第1の電極の平板面に垂直な方向から見て前記第2の貫通孔と一部又は全部が重なり、かつ前記第1の貫通孔と中心軸が一致して配置された貫通孔を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のイオン源。
  9. 前記第1の電極には、前記イオンの電荷と同じ極性の第1の電位、前記第2の電極には、前記イオンの電荷と逆の極性の第2の電位を印加し、前記第3の電極を接地して、前記放電室から前記イオンを引き出すことを特徴とする請求項8に記載のイオン源。
  10. 前記第2の電位の絶対値が、前記第1の電位の絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項9に記載のイオン源。
  11. 前記イオンが陽イオンであり、
    前記第1の電位が正電位、前記第2の電位が負電位であることを特徴とする請求項9又は10に記載のイオン源。
  12. 前記第1の電極の外周部と前記第2の電極の外周部との間、及び前記第2の電極の外周部と前記第3の電極の外周部との間にそれぞれ配置された絶縁部材を更に備えたことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載のイオン源。
  13. チャンバと、
    前記チャンバの内部に配置され、ワークを保持するホルダと、
    前記ホルダに対向して配置された蒸発源と、
    前記ホルダに対向して配置された請求項1乃至12のいずれか1項に記載のイオン源と、を備えたことを特徴とする蒸着装置。
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