JP2018071969A - 水素ガス検知用部材とその製造方法及び水素ガス検知システム - Google Patents

水素ガス検知用部材とその製造方法及び水素ガス検知システム Download PDF

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Abstract

【課題】解決しようとする課題は、水素ガス濃度に対する光透過率や色相の変化巾が大きく、高い検出感度を有する水素ガス検知用部材とその製造方法及びそれを具備した水素ガス検知システムを提供することにある。
【解決手段】上記課題は、水素ガス濃度変化に応じて、光吸収特性が変化する水素ガス検知用部材であって、酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を含み、酸化セリウム含有層と酸化タングステン含有層が隣接して配置され、触媒金属元素含有層が、酸化タングステン含有層の、酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置されている水素ガス検出材によって解決される。
【選択図】図2

Description

本発明は、水素ガス検知用部材とその製造方法及び水素ガス検知システムに関する。より詳しくは、水素ガス検知用ガスクロミック材料を用いた水素ガス検知用部材とその製造方法及び水素ガス検知システムに関する。
近年、環境汚染問題や石油資源の枯渇問題についての関心の高まりから、水素エネルギーは大きな注目を集めている。水素は、燃焼させても水が生成されるのみで、二酸化炭素や有害な硫化物、窒化物が排出されないクリーンなエネルギー源であり、また、種々の方法で製造することができる。そのため、近い将来、水素ガスが、重要なエネルギー源として家庭や施設に供給されることが予想される。しかしながら、クリーンエネルギー源の水素は、酸素が存在する雰囲気中で爆発する危険性を持ち、例えば、空気中では水素ガスは濃度が約4体積%(容量百分率)以上で爆発する可能性があるとされている。したがって、その製造、貯蔵、輸送、あるいは消費の過程で、水素の燃焼・爆発による事故を未然に防ぐためには、水素ガスが供給される供給先や供給過程の経路において、水素ガスの漏えいを阻止することに加えて、水素ガスが雰囲気中に漏出した場合に、爆発する下限の濃度よりも低い濃度で水素ガスを検知できるようにすることも重要であり、このような観点から、水素ガス漏れ検知器及びこの検知器により水素ガスが検知された場合に、水素ガスの供給を停止させる水素ガス漏れ制御装置が必要とされている。
従来、水素ガスの検知に用いられる水素ガスセンサーとしては、半導体式センサー、固体電解質センサー、接触熱変換方式センサー、熱伝導式センサー、光検知式センサーなど点センサーや、光学導波路や光ファイバのクラッドに光学的に水素検知を行う検知膜を有する面センサーがあるが、水素を含むガス漏えい箇所の発見は困難である。例えば、酸化スズを用いた半導体センサーのような水素センサーは、元来、雰囲気中の水素濃度を定量的に測定するためのセンサーであり、水素ガスの漏えい個所を見つける用途には適しておらず、しかも、構造が複雑で、価格も高いという問題がある。
また、特開2004−53540号公報には、マグネシウム薄膜の表面に触媒金属元素含有層が形成された水素センサー材料であって、水素と反応して電気抵抗又は光学的性質が変化することに基づいて水素を検知する水素センサー材料が開示されている。
しかし、この水素センサー材料を用いて水素を検知する場合も、例えば、電気抵抗を測定する場合は水素センサーの電気抵抗を測定する抵抗検出器や、抵抗検出器の検知結果に基づいて水素濃度を導出する演算処理装置が必要となり、例えば光学的性質を測定する場合は、半導体レーザやフォトダイオードを用いた測定システムが必要となり、構造が複雑となる。
又、漏えいする微量の水素を安全に検出する安価なセンサーの開発が、水素社会を実現する上での最重要課題の一つとなっている。これまで実用化された水素センサーは、水素吸着による半導体表面の電気抵抗変化を検出に用いていたが、爆発の着火源となりうる電源回路を伴うため安全性に問題があった。
そこで安全性の高い水素センサーとして、水素ガス吸着により着色するガスクロミック特性を有する遷移金属酸化物(WO、MoO、TiOなど)を用いた光検出式水素センサーが、例えば、特公平3−67218号公報に提案されている。表面に白金又はプラチナが触媒金属として堆積されている酸化タングステン(HxWO)薄膜は、室温(20℃付近)で水素を含んだ雰囲気に触れると、着色するガスクロミック特性を有する。酸化タングステン薄膜の水素吸着による着色率は、波長630nmの可視光線(赤色光)に対して50%以上である。したがって、酸化タングステン薄膜の水素吸着による光学的な透過率の変化を利用することにより、水素の検出が可能となり、酸化タングステン薄膜は酸化スズの代替材料になると期待される。
しかし、上記の酸化タングステン薄膜からなる水素検出材料は、空気中に放置すると触媒金属層の表面に有機物等が付着することにより、水素検出性能が著しく低下する問題がる。
上記問題に対し、燃料ガスを扱う構造体の表面に塗布され、漏えいする燃料ガスに接触すると変色する塗膜であって、顔料として金属酸化物粉体を、バインダーとしてアルコキシシランを、触媒として塩酸を、溶媒としてエチルアルコール、水及びイソプロピルアルコールを用いた燃料ガス漏えい検知塗膜が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載されている方法は、常温近傍環境における水素ガスの漏えいに対する検出感度が低く、かつ水素ガスの検出に対する応答速度が非常に遅いという問題がある。
上記問題である水素ガスの検出感度及び応答速度を向上させる方法として、ガス配管等の表面に塗設して、水素ガスを解離して生成されるプロトンが注入されて還元されると、色相変化する水素ガス検知用塗膜顔料が知られている。当該顔料は、酸化タングステンを主成分とする結晶微粒子の集合体で構成され、前記結晶微粒子酸化タングステンの表面に酸化状態の触媒金属を含有する水素ガス検知用塗膜顔料とそれを適用した水素ガス検知テープが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献2に記載されている方法でも、実用化という点では、水素ガスの漏えいに対する検出感度が未だ不十分であり、より高い検出感度が求められている。
特開2000−044840号公報 特開2005−345338号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、水素ガス濃度に対する光透過率変化や色相変化が大きく、高い検出感度を有する水素ガス検知用部材とその製造方法及びそれを具備した水素ガス検知システムを提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を備え、前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが隣接して配置され、前記触媒金属元素含有層が、前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置され、水素ガス濃度変化に応じて、光吸収特性が変化する水素ガス検知用部材により、水素ガス濃度に対する光透過率変化や色相変化が大きく、高い検出感度を有する水素ガス検知用部材を提供することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を備え、
前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが隣接して配置され、前記触媒金属元素含有層が、前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置され、
水素ガス濃度変化に応じて、光吸収特性が変化することを特徴とする水素ガス検知用部材。
2.前記触媒金属元素含有層が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる金属元素を含有することを特徴とする第1項に記載の水素ガス検知用部材。
3.前記触媒金属元素含有層が、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、又は銅を含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の水素ガス検知用部材。
4.前記酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層より構成される水素ガス検知用部材が、薄膜シート状であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材。
5.前記酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層より構成される水素ガス検知用部材が、粒子状であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材。
6.前記粒子状の水素ガス検知用部材が、3層よりなるコア・シェル構造を有し、コア部が酸化セリウム含有層で構成され、シェル部が酸化タングステン含有層及び触媒金属元素含有層で構成され、前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが接触している構造を有していることを特徴とする第5項に記載の水素ガス検知用部材。
7.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材を製造する水素ガス検知用部材の製造方法であって、
酸化セリウム含有層と酸化タングステン含有層とを隣接して配置し、
前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に、
触媒金属元素含有層を配置する、
ことを特徴とする水素ガス検知用部材の製造方法。
8.第5項又は第6項に記載の水素ガス検知用部材を製造する水素ガス検知用部材の製造方法であって、
酸化セリウムを含有するコア粒子を形成し、
前記コア粒子上に、酸化タングステンを含有する第1のシェル部を形成し、
前記第1のシェル部上に触媒金属元素を含む第2のシェル部を形成する、
ことを特徴とする水素ガス検知用部材の製造方法。
9.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材と、
当該水素ガス検知用部材に特定の波長を照射する光源部と、
前記水素ガス検知用部材を通過した光を測定する光学測定装置と、
前記光学測定装置で測定した光吸収特性が規定値を超えるか否かを検知する検知装置と、
前記検知装置が検知する情報に基づき警報を発する警報装置と、
を備えることを特徴とする水素ガス検知システム。
10.前記検知装置の検出する情報に基づき、水素ガスの供給を遮断するガス供給制御部をさらに備ええることを特徴とする第9項に記載の水素ガス検知システム。
本発明の上記構成を採用することにより、水素ガス濃度に対する光透過率変化や色相変化が大きく、高い検出感度を有する水素ガス検知用部材とその製造方法及びそれを具備した水素ガス検知システムを提供することができる。
なお、上記効果の発現機構・作用機構は、明確にはなっていないが、以下のように推察される。
酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層と触媒金属元素含有層で構成される部材で、酸化タングステン含有層と、酸化セリウム含有層と隣接した配置とすることにより、水素ガスが、触媒(例えば、パラジウム、白金等)により、プロトンと電子に分解した後、酸化タングステン(HWO、xは0.5以上、0.8未満。)を含む層に侵入して、無色〜淡黄色の酸化タングステン(HWO)が、青色の酸化タングステン(HWO、yは0.8以上、1.0以下。)に変換することにより、色相や光透過率の変化を生じることになる。この時、プロトンの侵入により酸化タングステンの結晶構造が変化していると考えられるが、酸素吸引性を有する酸化セリウムを、酸化タングステンとの結晶粒界に存在させることにより、酸化タングステンの酸素原子が、セリウムに強くひきつけられ、酸化タングステンの結晶構造が不安定なものとなり、層表面より侵入してくる水素がトリガーとなって、酸化タングステンの結晶構造が速やかな変化を発現することにより、水素ガス濃度に対する光透過率変化や色相変化が大きくなり、検出感度を飛躍的に高めることができると推測される。
また、本発明の水素ガス検知用部材を含む塗布液を準備し、水素ガスを含むタンク、ボンベ、使用機器、ポンプ、バルブ、配管、あるいは保管容器に塗布して水素ガス検知用塗膜を形成することにより、水素ガス漏えい時に、当該水素ガス検知用塗膜の光吸収スペクトル(光吸収特性)が大きく変化するため、目視あるいは光学的な検視手段(例えば、カメラ、分光光度計等)で水素ガスの速やかに検知し、水素ガス漏えいに対し、迅速な処置を取りことができる。
水素ガス検知用部材の構成の一例を示す概略断面図 水素ガス検知用部材の構成の他の一例を示す概略断面図 コア・シェル型の水素ガス検知用粒子の製造フローの一例を示す図 コア・シェル型の水素ガス検知用粒子の製造工程の一例を示す図 水素ガス検知システムの基本構成の一例を示す概略図 水素ガス検知用部材を用いた水素ガス検知システムの一例を示す概略図
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《水素ガス検知用部材の概要と基本構成》
本実施形態の水素ガス検知用部材は、酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を備え、前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層が隣接して配置され、前記触媒金属元素含有層が、前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置され、水素ガス濃度変化に応じて、光吸収特性が変化することを特徴とする。
一般に、水素に反応するガスクロミック材料を用いた水素ガス検知方式としては、大別して、
1)水素化触媒と金属酸化物との組み合わせで、水素ガスと反応した際に、金属酸化物の透過率の変化や色の濃淡を検知する方法、
2)水素化触媒と金属合金との組み合わせで、水素ガスと反応した際に、金属合金の透過率の変化により検知する方法、
3)水素化触媒と有機色素との組み合わせで、水素ガスと反応した際に、有機色素の吸収波長のシフト(色相の変化)により検知する方法、
が挙げられるが、本実施形態の水素ガス検知用部材は、上記1)項に記載の水素化触媒と金属酸化物との組み合わせた方法である。
1)において、触媒と、金属酸化物として酸化タングステン(HWO)により構成する水素ガス検知方式では、水素ガス検知用部材の表面に水素ガスが接触されると、触媒金属により水素ガスを構成する水素原子からプロトン(H+ )および電子(e- )が生成され、このプロトン(H+)および電子(e- )が触媒金属によるスピルオーバー効果によって、その下部に配置されている酸化タングステン含有層中に供給され、酸化タングステンが、通常状態における6価の状態から、プロトン(H+)が挿入された、いわゆるタングステンブロンズ構造と呼ばれる5価の状態に変化する。
この6価の状態と5価の状態との間を遷移する電子による原子価間移動吸収によって、水素ガス検知用部材が、波長域600〜800nmの可視光が吸収される特定の低い光透過率を有する呈色状態に変化する。このとき、通常状態においては無色透明であった酸化タングステン含有層は青色(タングステンブロンズ)を呈する状態となる。
一方、水素ガスの導入が停止されて、例えば、水素ガス検知用部材が大気に曝されると、酸化タングステン含有層において、タングステンブロンズ構造の三酸化タングステンからプロトン(H+ )が脱離されることによって、呈色状態から通常状態に復帰し、酸化タングステン含有層は、青色から無色透明な状態に回復する。
上記のようなメカニズムでガスクロミック特性を発現する水素ガス検知用部材において、酸化タングステン含有層に隣接した下部に酸化セリウム含有層を配置することにより、水素ガス導入時に、酸化タングステンの酸素原子が、隣接する層に存在するセリウム原子にひきつけられやすくなり、構造が不安定化し、容易に、結晶構造として、無色の酸化タングステン(HWO)から青色の酸化タングステン(HWO)に変化しやすくなり、水素ガスの検知感度が大幅に上昇したものと推測している。ここで、xは0.5以上、0.8未満の範囲内の数値であり、yは0.8以上、1.0以下の数値の範囲内である。
本実施形態の水素ガス検知用部材は、酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を含み、前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが隣接して配置され、前記触媒金属元素含有層が、前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置されていることを特徴とする。更に、水素ガス検知用部材の好ましい形態は、粒子状又は薄膜シート状の部材である。
図1は、薄膜シート状の従来型の水素ガス検知用部材と、本実施形態の水素ガス検知用部材の構成の一例を示す概略断面図である。
図1の(a)に示す薄膜シート状の水素ガス検知用部材(1A)は、従来型の水素ガス検知用部材であり、基板(2)上に、水素ガスを検知する酸化タングステン含有層(4)と触媒金属元素含有層(5)が積層されている構成であるが、このような構成の水素ガス検知用部材では、漏えいした水素ガス濃度に対する検知感度が低いという問題があった。
これに対し、図1の(b)に示す薄膜シート状の水素ガス検知用部材(1B)は、基板(2)上に、酸化タングステン含有層(4)のガスクロミック効果を増大させ、検知感度を高めるための酸化セリウム含有層(3)が配置され、その上に、水素ガスを検知する酸化タングステン含有層(4)と触媒金属元素含有層(5)が積層されている構成である。このような酸化セリウム含有層(3)を設ける構成の水素ガス検知用部材とすることにより、水素ガスを検知した際の酸化タングステン含有層(4)におけるHWO(淡黄色)からHWO(青色)への色相変化速度を増大させることができ、その結果、水素ガス濃度に対する検知感度を高めることができた。本実施形態の水素ガス検知用部材(1B)においては、上記のような効果を発現させるためには、酸化セリウム含有層(3)と酸化タングステン含有層(4)が隣接し、結晶粒界(Gb)を形成していることが特徴である。
図2は、水素ガス検知用部材の構成の他の一例で、コア・シェル構造を有する粒子状の水素ガス検知用部材の概略断面図である。
図2に示す水素ガス検知用部材(1P)では、コア部に酸化セリウム含有層(3)を形成し、その表面部に、第1のシェル部として、酸化タングステン含有層(4)を被覆し、更にその表面部に、第2のシェル部として、触媒金属元素含有層(5)を担持させて、コア・シェル型構造の粒子を構成する。
図2示す水素ガス検知用部材(1P)においても、酸化セリウム含有層(3)と酸化タングステン含有層(4)とが隣接して配置され、結晶粒界(Gb)を形成していることが重要である。
《水素ガス検知用部材の構成要素及び水素ガス検知用部材の製造方法》
水素ガス検知用部材の形態としては、特に制限はないが、上記図1の(b)で示したような薄膜シート状の水素ガス検知用部材、あるいは、図2で示したようなコア・シェル型構造を有する粒子状であることが好ましい。また、水素ガス検知用部材の製造方法は、以下に説明するように、酸化セリウム含有層と酸化タングステン層とを隣接して配置する工程と、酸化タングステン含有層の、酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に、触媒金属元素含有層を配置する工程とを含んでいる。
以下、代表例として、薄膜シート状及びコア・シェル型構造を有する粒子状の水素ガス検知用部材について、その詳細を説明する。
[薄膜シート状の水素ガス検知用部材]
薄膜シート状の水素ガス検知用部材は、図1の(b)で示すように、基板(2)上に、酸化セリウム含有層(3)、水素ガスを検知する酸化タングステン含有層(4)、及び触媒金属元素含有層(5)が、この順で積層された構成である。
〔基板〕
適用可能な基板としては、特に制限はない。
基板としては、上面に形成する酸化セリウム含有層(3)、酸化タングステン含有層(4)及び触媒金属元素含有層(5)を形成する環境、例えば、処理時の温度等に対する耐久性を有している基板であることが望ましく、このような基板としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、シリコン樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、セルロース誘導体、ポリオレフィンなどの高分子のフィルムや板状基板、石英ガラス等のガラス基板などが好ましく用いられる。
〔酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層及び触媒金属元素含有層の形成方法〕
本実施態様の水素ガス検知用部材において、酸化セリウム含有層と酸化タングステン含有層の厚さとしては、それぞれ25〜500nmの範囲内の薄膜であることが好ましい。特に、酸化タングステン含有層の厚さが25nm以上であれば、水素ガスに接触した際の透過率の変化や色相の変化を確実に検知することができる。また、それぞれの厚さが500nm以下であれば、酸化セリウム含有層及び酸化タングステン含有層の層間剥離の発生を防止することができる。
また、堆積させる触媒金属元素含有層の厚さは1〜20nmの範囲内であることが好ましい。触媒金属元素含有層の厚さが20nm以下であれば、触媒自身による入射光の遮蔽を抑制することができ、透過光強度の変化の判別を阻害することがない。また、触媒金属元素含有層の厚さが1nm以上であれば、目視により容易に判別が可能な透過光強度の変化が得られ、水素ガスの検知が可能となる。
水素ガス検知用部材において、酸化セリウム含有層、及び酸化タングステン含有層の形成方法としては、特に制限はなく、実施例は、スパッタリング法を用いたが、高周波スパッタリング法、直流スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、化学気相蒸着法、パルスレーザーデポジション法(PLD法)、めっき法、ゾルゲル法等を採用してもかまわない。
例えば、酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層及び触媒金属元素含有層の形成をスパッタリング法で行う場合には、酸化セリウム、タングステン、触媒金属をそれぞれスパッタリングターゲットとしてスパッタリングして、基板の表面上に、酸化セリウム薄膜、酸化タングステン薄膜を形成し、次いで、酸化タングステン薄膜の表面上に触媒金属を堆積することにより形成することができる。
スパッタリングはアルゴンと酸素の混合雰囲気であることが好ましい。スパッタリングを行う際の基板温度は、好ましくは室温(20℃)である。視覚的な色の変化により水素漏えいを検知することから、水素ガス検知用部材に求められる光吸収特性として、水素吸着により透過率が50%以上変化することが好ましい。該光吸収特性を達成するためには、例えば、投入スパッタリング電力が50W、基板とターゲットとの間の距離が10cmで、アルゴンと酸素の混合雰囲気でスパッタリングを行う場合、酸素ガス圧は14〜80mPa、アルゴンガス圧は130〜170mPaとすることが好ましい。更に好ましくは、酸素ガス圧は15〜40mPa、アルゴンガス圧は140〜160mPaである。スパッタリングをアルゴンと酸素の混合雰囲気で行う場合、水素吸着による透過率の変化が50%以上を達成するためには、厳密には他のスパッタリング条件にも依存するが、酸素ガスの比率は、全ガス圧(酸素ガス圧とアルゴンガス圧の和)の10〜30%の範囲内に制御すればよい。
触媒金属の堆積は、パルスレーザーデポジション法、高周波スパッタリング法、直流スパッタリング法、分子線エピタキシー法、又は真空蒸着法により行うことができ、基板の耐熱温度以下にて堆積できるものであればいずれの方法でもよい。例えば、高周波スパッタリング法により触媒金属を堆積する場合は、堆積条件として、スパッタリング電力は25W〜50W、基板は室温で、アルゴンガス圧が130〜170mPaである雰囲気中で行うことが好ましい。
触媒金属を形成する金属元素としては、貴金属元素(具体的には、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウム)、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる金属元素であることが好ましく、更には、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、又は銅を用いることが、より効果的に水素ガス検知を行うことができる観点から好ましい。これらのうち、複数種類の金属元素を用いてもよい。
なお、薄膜シート状の水素ガス検知用部材の形成方法の詳細については、特開2005−345338号公報、特開2007−71866号公報、特開2007−155436号公報、特開2007−278744号公報等に記載されている内容を参考にすることができる。
[コア・シェル構造粒子状の水素ガス検知用部材]
コア・シェル構造を有する粒子状の水素ガス検知用部材の調製方法としては、水溶液環境下で、順次粒子成長を行い、コア・シェル構造を有する粒子を形成する方法が好ましい。
具体的には、図3及び図4に記載の製造工程フローに従って、調製することができる。
主要な製造工程としては、図3に示すように、酸化セリウムを含有するコア粒子を形成し、コア粒子上に酸化タングステンを含有する第1のシェル部を形成し、第1のシェル部上に触媒金属元素を含む第2のシェル部を形成する工程を備えている。詳しくは、
(a)硝酸セリウム、硝酸、アンモニア等を用いて、水溶液中で酸化セリウムの微結晶の晶出及び成長を行い、酸化セリウムから構成されるコア粒子(コア部)を形成する工程、
(b)上記調製した酸化セリウムのコア粒子を含有する懸濁液を用いて、タングステン酸ナトリウム及び硝酸等を用いて、コア粒子表面にタングステン酸(HWO)から構成される第1のシェル部を形成する工程。
(c)上記調製した酸化セリウム/タングステン酸(HWO)から構成されるコア・シェル粒子を含む懸濁液に、触媒金属塩を含む水溶液を添加して、コア・シェル粒子表面に、金属触媒を堆積、担持させて、第2のシェル部として、触媒金属元素含有層を形成する工程、
(d)以上により調製したコア・シェル粒子を含む懸濁液(粒子分散液)を、濃縮、固液分離、及び洗浄を行い、不要の塩類等を除去した後、乾燥する。
(e)最後に、焼成処理を行って、タングステン酸(HWO)を酸化タングステン(HWO)に酸化して、薄黄緑色のコア・シェル粒子状の水素ガス検知用部材を調製する。
次いで、コア・シェル粒子状の水素ガス検知用部材の調製方法について説明する。
(コア粒子の調製)
第1段階は、セリウム(III)塩の溶液である開始溶液を調製する。セリウム(III)塩として、例えば、硝酸セリウム(III)、塩化セリウム(III)、硫酸セリウム(III)、炭酸セリウム(III)及びこれらの塩の混合物(硝酸塩/塩化物の混合物等)を使用することができるが、硝酸セリウム(III)を用いることが好ましい。
以下、セリウム(III)塩の代表例として、硝酸セリウムを用いる方法について説明する。
硝酸セリウムを含む開始溶液は、セリウムが溶液中において安定した状態で存在させるため酸性度を調整することが好ましく、例えば、硝酸を用いて、開始溶液である混合液のpHを制御する。
この第1段階で調製した混合液は、不活性ガスを通気することにより、事前に脱ガス処理を施すことができる。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴンガスを適用することができる。
次いで、の第2段階では、混合溶液と塩基水溶液とを反応させる。塩基水溶液としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物、及びアンモニア水を挙げることができる。また、第2級アミン、第3級アミン又は第4級アミンも使用でき得る。上記の中でも、アミン又はアンモニア水が好ましい。これは、アミン及びアンモニア水を用いることにより、アルカリ金属カチオン又はアルカリ土類金属カチオンによる汚染のリスクが軽減される。この塩基溶液(例えば、アンモニア水)に、上記調製した混合溶液を撹拌しながら添加する。この時も、不活性ガスを用いて通気することにより、脱ガス処理することができる。
上記の第2段階は、閉鎖反応装置又は半閉鎖反応装置のいずれかにおいて、不活性ガスによるスイープを行いながら、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。接触は、一般に、攪拌反応装置内で行われる。
この第2段階は、一般に、周囲温度(20〜25℃)又は最高50℃の温度にて行われる。
第3段階は、上記調製した酸化セリウム懸濁液に対し熱処理を行う。この熱処理は、おおむね60〜95℃の範囲で温度を維持しながら、1〜5時間程度の熱処理を行う。
この処理の継続時間は、数分から数時間になり得る。また、この熱処理も、不活性雰囲気下で行われる。
最後の段階で、酸性化処理及び洗浄処理を行う。
酸性化は、一般に、第3段階の最後で得られた懸濁液を冷却した後に、酸の添加によって行われる。酸としては無機酸又は有機酸のいずれも使用することができるが、硝酸を用いることが好ましい。添加される酸の量は、酸性化後の懸濁液のpHが2〜4の範囲内となる条件で添加する。この作業は、通常の大気環境下で行うことができる。
酸性化に続いて、洗浄が行われる。その目的は、懸濁液から可溶性種、原則的に塩を除去することにあり、固体/液体を分離して又は分離することなく、様々なやり方で行うことができる。
(タングステン酸シェルの形成)
第1段階としては、上記調製した酸化セリウムにより構成されるコア粒子を含む懸濁液に対し、タングステン酸塩を含む水溶液を添加して、懸濁液を調製する。
次いで、酸化セリウムコア粒子とタングステン酸塩を含む懸濁液に、酸を添加する。この時、使用する酸としては、無機酸又は有機酸のいずれも使用することができるが、硝酸を用いることが好ましい。添加される酸の量は、酸性化後の懸濁液のpHが1以下となる条件で添加する。酸の添加は、室温下で撹拌しながら20〜60分かけてゆっくり添加し、酸化セリウムコア粒子の表面に、タングステン酸(HWO)の第1のシェル層を形成する。
次いで、遠心分離による粒子の沈降、デカンテーションによる上澄み液の排液、洗浄用の純水の添加の工程を4〜10回程度繰り返して行い、不要な塩類の除去を行い、コア層が酸化セリウムで、第1のシェル層がタングステン酸(HWO)より構成されるコア・シェル粒子Aを含む懸濁液を調製する。
(触媒金属元素層の形成)
次いで、上記酸化セリウム/タングステン酸(HWO)より構成されるコア・シェル粒子Aを含む懸濁液に対し、触媒金属元素を含む化合物、例えば、HPtCl/6HO、PdCl、Co(NO、Ni(NO、Cu(NO等を含む水溶液を、ゆっくりと添加し、この状態を3〜10時間維持させて、タングステン酸(HWO)層表面に、触媒金属元素を担持させた第2のシェル層を形成して、コア層が酸化セリウムで、第1のシェル層がタングステン酸(HWO)、第2のシェル層が触媒金属元素により構成されるコア・シェル粒子Bを含む懸濁液を調製する。
(焼成処理によるタングステン酸(HWO)の酸化タングステン(HWO)への変換)
上記調製したコア・シェル粒子Bを含む懸濁液を、エバポレーター等を用いて水分を除いた後、得られたコア・シェル粒子Bを80〜150℃で、1〜5時間乾燥させた後、150〜400℃の温度範囲で、30分〜3時間の焼成処理を施すことにより、タングステン酸(HWO)層を、酸化タングステン(HWO)層に変化させることにより、コア・シェル構造の水素ガス検知用部材を得ることができる。
このコア・シェル構造の水素ガス検知用部材では、前述のように、無色の酸化タングステン(HWO)が水素ガスと反応し、酸化タングステン(HWO)に変化することにより、青色への色相変化や透過率の変化を検知することにより、水素ガスを検知する。
コアを構成する酸化セリウム粒子の直径としては、50〜200nmの範囲内であり、酸化タングステン層の厚さは、25〜100nmの範囲内であり、触媒金属元素層の厚さは、1〜20nmの範囲内とすることが好ましい。
次いで、図4を用いて、コア・シェル粒子状の水素ガス検知用粒子の具体的な製造例について説明する。
図4は、コア・シェル粒子状の水素ガス検知用粒子の製造工程の具体的なフローを示す図である。
(酸化セリウム含有層より構成するコア粒子の形成:工程a及び工程a1)
はじめに、図4に記載の反応釜(101)を有する工程a及び添加剤の調製釜(105)を有する工程a1を用いて、酸化セリウムより構成されるコア粒子を調製する。
例えば、工程a1の調製釜(105)に、硝酸セリウム水溶液と硝酸水溶液を添加し、攪拌機(107)で撹拌しながら混合液(106)を調製し、Nガスで通気しながら、撹拌する。
一方、反応釜(101)に、母液(102)としてアンモニア水溶液を添加し、Nガスで通気しながら、攪拌機(103)で撹拌する。
次いで、反応釜(101)のアンモニア水溶液中に、送液ポンプ(110)を用いて、調製釜(105)より硝酸セリウム水溶液と硝酸水溶液の混合液(106)を、Nガス雰囲気下で撹拌しながら添加して、懸濁液を調製する。
次いで、Nガスを通気撹拌しながら、懸濁液を60〜90℃程度まで昇温し、その状態を一定時間維持する。
次いで、懸濁液を室温程度まで降温した後、硝酸を添加してpHを2.0まで下げたのち、Nガスの通気を停止して、酸化セリウム粒子(コア粒子)を含む懸濁液(104)を調製する。
(タングステン酸によるシェル部の形成:工程b及び工程b1)
次いで、図4に記載の反応釜(111)を有する工程b及び添加剤調製釜(115)を有する工程b1を用いて、工程aで調製した酸化セリウムより構成されるコア粒子表面に、シェル層としてタングステン酸を被覆して、コア・シェル型粒子を調製する。
はじめに、調製釜(115)に、タングステン酸ナトリウム水溶液(116)を準備する。また、他方の調製釜(115)には、硝酸水溶液(116)を準備する。
反応釜(111)に上記調製した酸化セリウム粒子(コア粒子)を含む懸濁液(104)を母液として貯留し、当該懸濁液(104)を撹拌しながら、調製釜(115)よりタングステン酸ナトリウム水溶液を添加する。
次いで、同懸濁液(104)に他方の調製釜(115)より硝酸水溶液を添加してpHを1.0程度まで低下させ、この状態で一定時間維持して、酸化セリウム(CeO)がコア粒子で、その表面にタングステン酸(HWO)のシェルを形成したコア・シェル粒子を含む懸濁液(112、CeO/HWO懸濁液)を調製する。
(最表面に触媒金属元素含有層の形成:工程c及び工程c1)
次いで、図4に記載の反応釜(121)を有する工程c及び調製釜(125)を有する工程c1を用いて、上記調製したコア・シェル型粒子の表面に触媒金属元素含有層を担持させて、最終的なコア・シェル型粒子を調製する。
調製釜(125)に、例えば、触媒金属元素含有化合物としてHPtCl・6HO水溶液を準備する。
一方、反応釜(121)に、上記調製したCeO/HWO懸濁液(112)を準備する。
次いで、反応釜(121)のCeO/HWO懸濁液(111)に、送液ポンプ(128)を用いて、調製釜(125)よりHPtCl・6HO水溶液(126)を、撹拌しながら、所定時間を要して添加し、タングステン酸(HWO)層上に触媒として白金を含む触媒金属元素含有層を担持したCeO/HWO/Pt懸濁液(127)を調製する。
コア・シェル型粒子においても、触媒金属を形成する金属元素としては、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる金属元素であることが好ましく、更には、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、又は銅を用いることが、より効果的に水素ガス検知を行うことができる観点から好ましい。これらのうち、複数種類の金属元素を用いてもよい。
(乾燥及び焼成処理)
上記調製したCeO/HWO/Pt懸濁液(127)を、濾過・洗浄工程(工程d)で、遠心分離、デカンデーション法による上澄み液の排液、純水の添加の操作を繰り返して、洗浄処理を行う。
次いで、焼成工程(工程e)で水分を除いた紛体を、焼成装置(141)を用いて加熱乾燥した後、150〜400℃の温度範囲で焼成処理を施して、HWOをHWOに変換して、CeO/HWO/Ptから構成されるコア・シェル型粒子である水素ガス検知用部材を調製する。ここで、xは0.5以上、0.8未満の数値を取る。
《水素ガス検知システムの基本構成》
図5に、水素ガス検知用部材を用いた水素ガス検知システムの基本構成の一例を示す。
図5の(a)に示した水素ガス検知測定装置(50)は、光透過型の水素ガス検知用部材(1)を用いた際の水素ガス検知システムの一例を示すものであり、中央に、光透過性の基板(2)、酸化セリウム含有層(3)、酸化タングステン含有層(4)及び触媒金属元素含有層(5)から構成される水素ガス検知用部材(1)を配置し、左側に光源部(51)を配置し、右側には、水素ガス検知用部材(1)を通過してきた光量(透過光)を測定する分光光度計(52)を配置する。この時、分光光度計(52)による測定波長としては、酸化タングステン含有層の変化の検出に感度の高い600nmの波長の光を用いることが好ましい。
はじめに、基準として、水素ガスを除去した空気をガス流入口(54)より水素ガス検知測定装置(50)内に流入させ、ガス流出口(55)より流出させながら、光源部(51)より、可視光線(L)を照射し、波長600nmの光における空気雰囲気下での光透過率TP1(全照射光に対する光透過光の比率(%))を測定する。
次いで、水素ガス検知測定装置(50)内に流入するガスを、1体積%の水素ガスを含む空気に変更して、同様に1体積%水素ガスに暴露した時の波長600nmの光における光透過率TP2を測定し、下式(1)に従い、水素ガス濃度に対する各水素ガス検知用部材の光透過率変化(%)を測定し、これを水素ガス検知用部材の水素ガス検知能の尺度として求める。
式(1)
光透過率変化(%)=TP2/TP1×100
図5の(b)で示した水素ガス検知測定装置(50)は、上記図5の(a)で示した構成とは異なり、反射型の水素ガス検知用部材(1)を用いた際の水素ガス検知システムの一例を示すものであり、基材(2a)が光不透過性の材料で構成され、反射光を分光光度計(52)で測定して求める方法である。
《水素ガス検知システム》
図6に、水素ガス検知用部材を用いた水素ガス検知システムの一例を示す。
図6に示すように、水素ガスを使用している機器、例えば、水素ガスボンベ(C)や水素ガスタンク(D)が配置されている環境下で、水素ガス検知用部材は有効に使用することができる。
水素ガス検知用部材が薄膜シート状の形態であれば、室内の壁面(B)や、水素ガスボンベ(C)表面、水素ガスタンク(D)表面の一部又は全面に貼り付けて配置することができる。
また、本発明の水素ガス検知用部材がコア・シェル型粒子の形態であれば、バインダーに分散させて塗料として調製した後、室内の天井(A)や壁面(B)、水素ガスボンベ(C)や水素ガスタンク(D)の外壁、水素ガスタンク(D)の配管(E)、バルブ(F)、ポンプ(G)等に塗装して設けることができる。
本実施形態の水素ガス検知システムは、水素ガス容器設置室(61)に設置された水素ガス検知用部材の光透過率や色相の変化を検知するための光学測定装置(62)と、光学測定装置で入手した色相変化を監視する検知装置(63)と、警報装置(64)と、バルブ(F)やポンプ(G)を制御するための水素ガス供給制御部(65)と、を備えている。本システムは、各所に設置した水素ガス検知用部材が検知した水素ガスの漏えいを、光学測定装置(62)及び検知装置(63)によって検知する。具体的には、光学測定装置(62)を用いて反射光を受光することにより、水素ガス検知用部材の色相の変化を測定し、検知装置(63)によって、反射光の色調や反射光量が事前に規定している閾値(規定値)を外れた場合に、水素ガスの漏えいが発生したと判定する。警報装置(63)が漏えいありと判定した場合、検知装置(63)から送信される情報に基づいて、警報手段(64)が警報を発するとともに、水素ガス漏れの発生源であるバルブ(F)の遮断やポンプ(G)の駆動を停止させる制御信号(66)を、ガス供給制御部(65)より送信する。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示が用いられるが、特に断りが無い限り「質量部」又は「質量%」を表す。なお、以下の説明で、各構成要素の後に括弧で表示している数字は、関連する図に表示している各構成部材の番号を示してある。
実施例1
《薄膜シート状の水素ガス検知用部材の作製》
以下の方法に従って、薄膜シート状の水素ガス検知用部材1〜6を作製した。
〔水素ガス検知用部材1の作製〕
下記の方法に従って、図1の(b)に相当する構成を有する薄膜シート状の水素ガス検知用部材1(1S)を作製した。
(基板(2)の準備)
基板(2)として、10mm×10mm、厚さ1mmの石英基板を用いた。
(酸化セリウム含有層の形成)
ターゲットとして酸化セリウム(CeO)を用い、スパッタリングにより、上記基板上に、層厚が100nmの酸化セリウム含有層(3)を堆積させて形成した。
スパッタリングは、Arガス分圧を120mPa、酸素ガス分圧を50mPaとし、室温(25℃)下、50Wの電力で、層厚100nmとなるように酸化セリウム(CeO)をDCパルススパッタした。ターゲット−基板間距離は、100mmであった。
(酸化タングステン含有層の形成)
次いで、上記形成した酸化セリウム含有層(3)上に、上記と同様のスパッタリングにより、ターゲットとして金属タングステン(W)を用い、層厚が100nmの酸化タングステン含有層(4、HWO)を堆積した。Arガス分圧を130mPa、酸素ガス分圧を30mPaで行った。
(触媒金属元素含有層の形成)
次いで、上記形成した酸化タングステン含有層(4)上に、上記と同様のスパッタリングにより、ターゲットとして白金(Pt)を用い、層厚が10nmのPtから構成される触媒金属元素含有層(5)を堆積して、水素ガス検知用部材1を作製した。Arガス分圧を170mPaで行った。
〔水素ガス検知用部材2及び3の作製〕
上記水素ガス検知用部材1の作製において、触媒金属元素含有層の形成金属を、白金(Pt)に代えて、それぞれパラジウム(Pd)、コバルト(Co)を用いた以外は同様にして、水素ガス検知用部材2及び3を作製した。
〔水素ガス検知用部材4〜6の作製〕
上記水素ガス検知用部材1〜3の作製において、酸化セリウム含有層(3)の形成を除いた以外は同様にして、水素ガス検知用部材4〜6を作製した。
《水素ガス検知用部材の評価》
下記の方法に従って、各水素ガス検知用部材の水素ガス検知能の評価を行った。
図5に記載の水素ガス検知測定装置(50)を用いて、光透過率変化(%)を測定した。
図5に記載の水素ガス検知測定装置(50)内に、上記作製した各水素ガス検知用部材(1)を、光源部(51)側が基板(2)面となるように設置、固定した。
はじめに、空気をガス流入口(54)より水素ガス検知測定装置(50)内に流入させ、ガス流出口(55)より流出させながら、光源部(51)より、可視光線(L)を照射し、波長600nmの光における空気雰囲気下での光透過率TP1(全照射光に対する光透過光の比率(%))を、分光光度計(52)で測定した。
次いで、水素ガス検知測定装置(50)内に流入するガスを、1体積%の水素ガスを含む空気に変更させた以外は同様にして、1体積%水素ガスに暴露した時の波長600nmの光における光透過率TP2を、同じく分光光度計(52)で測定し、上述した式(1)に従い、水素ガス濃度に対する各水素ガス検知用部材の光透過率変化(%)を測定し、これを水素ガス検知能の尺度とした。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2018071969
表1に記載の結果より明らかなように、酸化セリウム含有層を酸化タングステン含有層の下に設け、酸化セリウムと酸化タングステンが接触する構成とした水素ガス検知用部材は、比較例に対し、水素ガスに曝された際の色変化、具体的には、淡い黄緑色の酸化タングステン(HWO)から濃い青色(タングステンブロンズ)の酸化タングステン(HWO)への変化に伴う可視光領域における光透過率の低下が大きく、水素ガスの検知感度が高いことが分かる。同一の触媒種で比較すると、Pt系では、水素ガス検知用部材4が40%であるのに対し、水素ガス検知用部材1は19%まで低下し、同様に、Pd系では、水素ガス検知用部材5が39%であるのに対し、水素ガス検知用部材2は21%まで低下し、Co系では、水素ガス検知用部材6が65%であるのに対し、水素ガス検知用部材3は37%まで低下し、いずれの触媒系においても、酸化セリウム含有層を設けることにより、水素ガス検知能が大きく向上していることが分かる。
実施例2
《コア・シェル型粒子の水素ガス検知用部材の作製》
以下の方法に従って、コア・シェル型粒子の水素ガス検知用部材11〜15を作製した。
〔水素ガス検知用部材11の作製〕
図4に記載のコア・シェル粒子の製造工程フロー(100)に従って、コア・シェル型粒子より構成される水素ガス検知用部材11を作製した。なお、反応釜及び調整釜の符号と工程名は、図4に記載したもに対応している。
(酸化セリウム含有層より構成するコア粒子の形成)
はじめに、反応釜(101)を用いる工程a及び添加剤の調製釜(105)を用いる工程a1に従って、酸化セリウムより構成されるコア粒子を調製した。
具体的には、まず、工程a1の調製釜(105)に、0.4モル/Lの硝酸セリウム水溶液の50mLと、0.4モル/Lの硝酸水溶液の50mLとを添加し、攪拌機(107)で撹拌しながら混合液(106)を調製し、Nガスで通気しながら、2時間撹拌した。
一方、反応釜(101)に、母液(102)として、0.5モル/Lのアンモニア水溶液の300mLを添加し、Nガスで通気しながら、攪拌機(103)で2時間撹拌した。
次いで、反応釜(101)のアンモニア水溶液中に、送液ポンプ(110)を用いて、調製釜(105)より硝酸セリウム水溶液と硝酸セリウム水溶液の混合液(106)を、Nガス雰囲気下で撹拌しながら、25分かけて、4mL/minの添加速度で添加して、懸濁液を調製した。
次いで、Nガスを通気撹拌しながら、懸濁液を80℃まで昇温し、その状態を3時間維持した。
次いで、懸濁液を25℃まで降温した後、0.4モル/Lの硝酸を添加してpHを2.0まで下げたのち、Nガスの通気を停止して、平均粒子径が50nmの酸化セリウム粒子(コア粒子)を含む懸濁液(104)を調製した。
(タングステン酸によるシェル部の形成)
次いで、反応釜(111)を用いる工程b及び添加剤用の2つの調製釜(115A及び115B)を用いる工程b1に従って、上記調製した酸化セリウムより構成されるコア粒子表面に、シェル層としてタングステン酸を被覆して、コア・シェル型粒子を調製した。
具体的には、まず、調製釜(115A)に、3.2モル/Lのタングステン酸ナトリウム水溶液(116A)50mLを準備した。また、他方の調製釜(115B)には、3モル/Lの硝酸水溶液(116B)を25mL準備した。
反応釜(111)に上記調製した酸化セリウム粒子(コア粒子)を含む懸濁液(104)を母液として貯留し、当該懸濁液(104)を撹拌しながら、調製釜(115A)よりタングステン酸ナトリウム水溶液(116A)を添加した。
次いで、同懸濁液(104)に調製釜(115B)より硝酸水溶液(116B)を、25分かけて添加し、pHを1.0まで下げて、この状態で、25分で30分間撹拌して、酸化セリウム(CeO)がコア粒子で、その表面にタングステン酸(HWO)のシェルを形成した平均粒子径が110nmの粒子を含む懸濁液(112、CeO/HWO懸濁液)を調製した。
次いで懸濁液を、遠心分離、デカンデーション法による上澄み液の排液、純水の添加の操作を5回繰り返して、洗浄処理を行った。
次いで、洗浄済みの懸濁液(112)に純水を添加し、5質量%に仕上げた。
(最表面に触媒金属元素含有層の形成)
次いで、反応釜(121)を用いる工程c及び調製釜(125)を用いる工程c1に従って、上記調製したコア・シェル型粒子の表面に触媒金属元素含有層を担持させて、コア・シェル型粒子を調製した。
調製釜(125)に、100ミリモル/LのHPtCl・6HO水溶液(126)の300mLを準備した。
一方、反応釜(121)に、上記調製した5質量%のCeO/HWO懸濁液(112)を準備した。
次いで、反応釜(121)の5質量%のCeO/HWO懸濁液(112)に、送液ポンプ(128)を用いて、調製釜(125)より300mLのHPtCl・6HO水溶液(126)を、撹拌しながら、30分かけて添加し、HWO層上に触媒として白金を含む触媒金属元素含有層を厚さ2nmで担持し、CeO/HWO/Pt懸濁液(127)を5時間撹拌して調製した。
(乾燥及び焼成処理)
上記調製したCeO/HWO/Pt懸濁液(127)を、エバポレーターで水を蒸発させた。
次いで、水分を除いた紛体を、100℃で3時間乾燥させた後、200℃で1時間の焼成処理を施して、CeO/HWO/Ptから構成される平均粒子径が112nmのコア・シェル型粒子である水素ガス検知用部材11を調製した。
〔水素ガス検知用部材12の作製〕
上記水素ガス検知用部材11の作製の最表面に触媒金属元素含有層の形成において、触媒材料として、100ミリモル/LのHPtCl・6HO水溶液に代えて、100ミリモル/LのPdCl水溶液に変更した以外は同様にして、水素ガス検知用部材12を作製した。
〔水素ガス検知用部材13の作製〕
上記水素ガス検知用部材11の作製の最表面に触媒金属元素含有層の形成において、触媒材料として、100ミリモル/LのHPtCl・6HO水溶液に代えて、100ミリモル/LのCo(NO水溶液に変更した以外は同様にして、水素ガス検知用部材13を作製した。
〔水素ガス検知用部材14の作製〕
上記水素ガス検知用部材11の作製の最表面に触媒金属元素含有層の形成において、触媒材料として、100ミリモル/LのHPtCl・6HO水溶液に代えて、100ミリモル/LのNi(NO水溶液に変更した以外は同様にして、水素ガス検知用部材14を作製した。
〔水素ガス検知用部材15の作製〕
上記水素ガス検知用部材11の作製の最表面に触媒金属元素含有層の形成において、触媒材料として、100ミリモル/LのHPtCl・6HO水溶液に代えて、100ミリモル/LのCu(NO水溶液に変更した以外は同様にして、水素ガス検知用部材15を作製した。
《コア・シェル型粒子の水素ガス検知用部材の評価》
上記作製した粉末状のコア・シェル型粒子の水素ガス検知用部材を、1体積%の水素ガスを含む空気雰囲気下に暴露した結果、全ての粒子が、速やかに薄黄緑色から濃青色(タングステンブロンズ)に色相変化を生じ、水素ガス検知感度が極めて高いことを確認することができた。
実施例3
図6に記載したのと同様の構成を備える水素ガス容器設置室を用いて、水素ガス漏えいに対する水素ガス検知用部材による水素ガス検知効果を実証した。
図6に示したのと同様に、水素ガス容器設置室内に、水素ガス源として、水素ガスボンベ及び水素ガスタンクを配置した。
そして、実施例1で作製した薄膜シート状の水素ガス検知用部材を、試験室の壁面、水素ガスボンベ表面、水素ガスタンク表面に貼り付けて設置した(それぞれ、図6の(B)、(C)、(D)に相当する。)
また、実施例2で作製したコア・シェル型粒子の水素ガス検知用部材については、バインダーを分散させて塗料とした後、水素ガス容器設置室内部の天井、水素ガスタンクの配管、バルブ、ポンプに塗装した(それぞれ、図6の(A)、(E)、(F)に相当する。)。さらに、試験室内に、水素ガス検知用部材の色相変化を測定するための光学測定装置と、光学測定装置で入手した色相変化を監視する検知装置、光学測定装置で測定した水素ガスの漏えいによる水素ガス検知用部材の色相の変化幅が、事前に規定している閾値を超えた場合に警報を発する警報装置と、水素ガス漏れの発生源であるバルブの遮断やポンプの駆動を停止させる制御信号を送信する水素ガス供給制御部を備える水素ガス検知システムを設置した。
上記水素ガス検知システムにより、試験室内に、1体積%の水素ガスを含む空気雰囲気を流入させて、各水素ガス検知用部材の色相変化を観察した結果、全ての水素ガス検知用部材が速やかに薄黄緑色から濃青色(タングステンブロンズ)に色相変化と光透過率の低下を生じ、この光透過率変化や色相変化を光学測定手段である光学測定装置で検知し、瞬時にバルブの遮断やポンプの駆動停止を行うことができた。
1A、1B、1P 水素ガス検知用部材
2、2a 基板
3 酸化セリウム含有層
4 酸化タングステン含有層
5 触媒金属元素含有層
50 水素ガス検知測定装置
51 光源部
52 分光光度計
54 ガス流入口
55 ガス流出口
61 水素ガス容器設置室
62 光学測定装置
63 検知装置
64 警報装置
65 水素ガス供給制御部
66 制御信号
100 コア・シェル粒子の製造工程
101、111、121 反応釜
102 母液
103、107 撹拌機
104、112、127 懸濁液
105、115、125 調製釜
106 混合液
108 送液ポンプ
131 濾過・洗浄装置
141 焼成装置
A 天井
B 壁面
C 水素ガスボンベ
D 水素ガスタンク
E 配管
F バルブ
G ポンプ
Gb 結晶粒界
L 可視光線

Claims (10)

  1. 酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層を備え、
    前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが隣接して配置され、前記触媒金属元素含有層が、前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に配置され、
    水素ガス濃度変化に応じて、光吸収特性が変化することを特徴とする水素ガス検知用部材。
  2. 前記触媒金属元素含有層が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ニッケル及び銅から選ばれる金属元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の水素ガス検知用部材。
  3. 前記触媒金属元素含有層が、白金、パラジウム、コバルト、ニッケル、又は銅を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水素ガス検知用部材。
  4. 前記酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層より構成される水素ガス検知用部材が、薄膜シート状であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材。
  5. 前記酸化セリウム含有層、酸化タングステン含有層、及び触媒金属元素含有層より構成される水素ガス検知用部材が、粒子状であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材。
  6. 前記粒子状の水素ガス検知用部材が、3層よりなるコア・シェル構造を有し、コア部が酸化セリウム含有層で構成され、シェル部が酸化タングステン含有層及び触媒金属元素含有層で構成され、前記酸化セリウム含有層と前記酸化タングステン含有層とが接触している構造を有していることを特徴とする請求項5に記載の水素ガス検知用部材。
  7. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材を製造する水素ガス検知用部材の製造方法であって、
    酸化セリウム含有層と酸化タングステン含有層とを隣接して配置し、
    前記酸化タングステン含有層の、前記酸化セリウム含有層に対向する面とは反対側に、
    触媒金属元素含有層を配置する、
    ことを特徴とする水素ガス検知用部材の製造方法。
  8. 請求項5又は請求項6に記載の水素ガス検知用部材を製造する水素ガス検知用部材の製造方法であって、
    酸化セリウムを含有するコア粒子を形成し、
    前記コア粒子上に、酸化タングステンを含有する第1のシェル部を形成し、
    前記第1のシェル部上に触媒金属元素を含む第2のシェル部を形成する、
    ことを特徴とする水素ガス検知用部材の製造方法。
  9. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の水素ガス検知用部材と、
    当該水素ガス検知用部材に特定の波長を照射する光源部と、
    前記水素ガス検知用部材を通過した光を測定する光学測定装置と、
    前記光学測定装置で測定した光吸収特性が規定値を超えるか否かを検知する検知装置と、
    前記検知装置が検知する情報に基づき警報を発する警報装置と、
    を備えることを特徴とする水素ガス検知システム。
  10. 前記検知装置の検出する情報に基づき、水素ガスの供給を遮断するガス供給制御部をさらに備ええることを特徴とする請求項9に記載の水素ガス検知システム。
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