JP2018070919A - 放熱部品用銅合金板 - Google Patents
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Abstract
Description
放熱部品の素材である板材は、ヘム曲げ(密着曲げ)、90°曲げ、絞り等の塑性加工を経て放熱部品に成形される。曲げ加工において、リードフレームや端子では曲げ部の幅(曲げ線の長さ)は数ミリ程度以下であるが、放熱部品においては曲げ部の幅が20mm程度以上の大きいものもある。曲げ幅が大きくなるほど、板材の曲げ加工性が急激に低下することが知られており、放熱部品用板材には端子やリードフレーム用板材と比べて、厳しい曲げ加工性が要求される。
上記銅合金板の表面に、必要に応じてめっき等により表面被覆層を形成し、耐食性を向上させることができる。表面被覆層として、Sn層、Cu−Sn合金層、Ni層又はNi−Co層のうち1層又は複数層が考えられる。
<銅合金板の組成>
銅合金の組成は、Ni:0.1〜1.0mass%、Fe:0.01〜0.3mass%、P:0.03〜0.2mass%を含み、さらに、Zn:0.05〜1.0mass%、Sn:0.01〜0.4mass%の1種又は2種を含み、残部がCu及び不可避不純物からなる。この銅合金は、必要に応じて副成分として、Co:0.04mass%以下、Al:0.04mass%以下、Mg:0.04mass%以下、Mn:0.04mass%以下、Cr:0.03mass%以下、Zr:0.03mass%以下、Ti:0.03mass%以下の1種又は2種以上を合計で0.1mass%以下含む。この組成は、特許文献1に記載された銅合金組成と主要部分で一致する。
放熱部材には、構造部材としての強度、特に変形及び落下衝撃に耐える強度が必要とされる。銅合金板の圧延平行方向の引張強度が580MPa以上、耐力が560MPa以上、かつ圧延直角方向の引張強度が600MPa以上、耐力が580MPa以上であれば、放熱部材を薄肉化しても、構造部材として必要な強度が確保できる。また、銅合金板の圧延平行方向の伸びが6%以上、かつ圧延直角方向の伸びが3%以上であれば、銅合金板から放熱部材を絞り加工や曲げ加工で成形する場合の成形加工性に特に問題が生じない。
本発明に係る銅合金板は、溶解鋳造、均質化処理、熱間圧延、冷間圧延、再結晶焼鈍、冷間圧延、複数回の時効焼鈍、及び冷間圧延の工程で製造することができる。なお、この工程は、時効焼鈍を複数回繰り返し行う点を除いて、従来の製造方法(特許文献1参照)と同じである。
均質化処理では鋳塊を900〜1000℃に0.5〜5時間加熱し、その温度で熱間圧延を開始し、熱間圧延後、直ちに20℃/秒以上の冷却速度で急冷(好ましくは水冷)し、必要に応じて両面を面削後、適宜の圧延率で冷間圧延を行う。
再結晶焼鈍後、必要に応じて冷間圧延を行う。この冷間圧延を行う場合、その加工率は、後述する仕上げ冷間圧延において所定の加工率及び製品板厚が得られるように、75%以下の範囲内で適宜設定すればよい。
仕上げ冷間圧延後、必要に応じて短時間焼鈍を行う。この短時間焼鈍の条件は、250〜450℃で20〜40秒間とする。この条件で短時間焼鈍を行うことにより、仕上げ冷間圧延で導入された歪みが除去される。また、この条件であれば材料の軟化がなく強度の低下が少ない。
銅合金板にめっき等により表面被覆層を形成することにより、放熱部材の耐食性が向上し、過酷な環境下においても放熱部材としての性能が低下するのを防止できる。
銅合金板の表面に形成する表面被覆層として、Sn層が好ましい。Sn層の厚さが0.2μm未満では、耐食性の改善が十分ではなく、5μmを超えると生産性が低下し、コストアップとなる。従って、Sn層の厚さは0.2〜5μmとする。Sn層は、Sn金属及びSn合金を含む。
厚さ0.2〜5μmのSn層の下に、Cu−Sn合金層を形成することができる。Cu−Sn合金層の厚さが3μmを超えると、曲げ加工性が低下するため、Cu−Sn合金層の厚さは3μm以下とする。この場合、Cu−Sn合金層の下に、下地層としてさらにNi層又はNi−Co合金層を形成することができる。Ni層又はNi−Co合金層の厚さが3μmを超えると、曲げ加工性が低下するため、Ni層又はNi−Co合金層の厚さは3μm以下とする。
表面被覆層として、Ni層又はNi−Co合金層のいずれか1層を形成することができる。これらの被覆層は、曲げ加工性の劣化を防止するとの観点から、いずれも3μm以下とする。
上記各被覆層は、電気めっき、リフローめっき、無電解めっき、スパッタ等により形成することができる。Cu−Sn合金層は、銅合金母材にSnめっきをし、又は銅合金母材にCuめっき及びSnめっきをした後リフロー処理等を行い、CuとSnを反応させて形成することができる(例えば特開2004−68026号公報参照)。リフロー処理の加熱条件は、230〜600℃×5〜30秒とする。
仕上げ冷間圧延後、350℃で30秒間の短時間焼鈍を行った。
各供試材から、長手方向が圧延方向に平行及び垂直となるようにJIS5号試験片を採取し、JISZ2241の規定に基づいて引張試験を行い、圧延方向に平行方向(‖)及び垂直方向(⊥)の引張強度、耐力及び伸びを測定した。
<導電率>
導電率は、JISH0505の規定に基づいて測定した。
供試材から、長さ30mm、幅10〜100mm(幅10、15、20、25・・・と5mmおきに100mm幅まで)の幅の異なる4角形の試験片(各幅ごとに3個)を作成した。試験片の長さ30mmの辺の方向が供試材の圧延方向に平行となるようにした。この試験片を用い、図1に示すV字ブロック1及び押し金具2を油圧プレスにセットし、曲げ半径Rと板厚tの比R/tを0.5とし、曲げ線(図1の紙面に垂直方向)の方向を試験片3の幅方向とし(Good Way曲げ)、90度曲げを行った。V字ブロック1及び押し金具2の幅(図1の紙面に垂直方向の厚み)は120mmとした。また、油圧プレスの荷重は、試験片の幅10mmあたり1000kgf(9800N)とした。
曲げ試験後、試験片の曲げ部外側全長を100倍の光学顕微鏡で観察し、3個の試験片の全てで1箇所も割れが観察されなかった場合を合格、それ以外を不合格と判定した。合格した試験片の最大幅を、その供試材の曲げ限界幅とした。
90度曲げ試験と同様の方法で、供試材から、長さ30mm、幅5〜50mm(幅5、10、15、20・・・と5mmおきに50mm幅まで)の幅の異なる4角形の試験片(各幅ごとに3個)を作成した。試験片の長さ30mmの辺の方向が圧延方向に平行となるようにした。この試験片を用い、曲げ半径Rと板厚tの比R/tを2.0とし、曲げ線の方向を試験片の幅方向とし(Good Way)、JISZ2248の規定に倣って、おおよそ170度まで曲げた後、密着曲げを行った。
曲げ試験後、曲げ部における割れの有無を100倍の光学顕微鏡で観察し、3個の試験片の全てで1箇所も割れが観察されなかった場合を合格、それ以外を不合格と判定した。合格した試験片の最大幅を、その供試材の曲げ限界幅とした。
No.13は、Ni含有量が不足で、強度が低い。
No.14は、Ni含有量が過剰で、Ni−P化合物が多く晶出し、熱間圧延時に割れが発生して、以後の工程が実施できなかった。
No.15は、Fe含有量が不足で、Ni−P化合物が多く晶出し、熱間圧延時に割れが発生して、以後の工程が実施できなかった。
No.16は、Fe含有量が過剰なため、導電率が低い。
No.18は、P含有量が不足で、強度が低い。
No.19〜21は、いずれも副成分の含有量が過剰で、導電率が低く、曲げ限界幅が小さい。
No.22は、Snの含有量が過剰で、導電率が低い。
No.23は、Znの含有量が過剰で、導電率が低い。
No.25〜27は、時効焼鈍を1回のみ行った従来工程材であり、曲げ限界幅が不足する。
また、市販のステンレス鋼板であるNo.28は、導電率が低く、市販のアルミニウム合金板であるNo.29は、強度が低く、導電率が低い。
<Sn層>
まず、蛍光X線膜厚計(セイコー電子工業株式会社;型式SFT3200)を用いてSn層合計厚さ(Cu−Sn合金層を含むSn層合計厚さ)を測定する。続いて下記方法でCu−Sn合金層の厚さを測定する。Sn層合計厚さからCu−Sn合金層の厚さを引くことにより、Sn層厚さを求めた。
p−ニトロフェノール及び苛性ソーダを主成分とする剥離液に10分間浸漬し、Sn層を剥離後、蛍光X線膜厚計を用いて、Cu−Sn合金層中のSn量を測定する。Cu−Sn合金層の厚さはSn換算厚さである。
<Ni層、Co層、Ni−Co合金層>
Ni層、Co層、Ni−Co合金層の厚さは、蛍光X線膜厚計を用いて測定した。
<耐食性>
耐食性は、塩水噴霧試験にて評価した。5質量%のNaClを含む99.0%脱イオン水(和光純薬工業株式会社製)を用い、試験条件は、試験温度:35℃±1℃、噴霧液PH:6.5〜7.2、噴霧圧力:0.07〜0.17MPa(0.098±0.01MPa)とし、72時間噴霧後に水洗及び乾燥した。続いて実体顕微鏡にて試験片の表面を観察し、腐食(母材腐食とめっき表面の点状腐食)の有無を観察した。
供試材から、長さ30mm、幅20mmの4角形の試験片(各幅ごとに3個)を作成した。試験片の長さ30mmの辺の方向が供試材(母材)の圧延方向に平行となるようにした。この試験片を用い、図1に示すV字ブロック1及び押し金具2を油圧プレスにセットし、曲げ半径Rと板厚tの比R/tを2.0とし、曲げ線の方向を母材の圧延方向に垂直方向に向け、90度曲げを行った。油圧プレスの荷重は、試験片の幅10mmあたり1000kgf(9800N)とした。
曲げ試験後、試験片の曲げ部外側全長を100倍の光学顕微鏡で観察し、3個の試験片の全てで1箇所も割れが観察されなかった場合を割れ無し、1箇所でも割れが観察された場合を割れ有りと判定した。
No.40は、Sn層の厚さが薄く、母材腐食が発生した。
No.41,42は、Cu−Sn合金層又はNi層の厚さが厚く、曲げ加工試験でめっきに割れが発生した。
2 押し金具
Claims (7)
- Ni:0.1〜1.0mass%、Fe:0.01〜0.3mass%、P:0.03〜0.20mass%を含み、さらに、Zn:0.05〜1.0mass%、Sn:0.01〜0.4mass%の1種又は2種を含み、残部がCu及び不可避不純物からなり、圧延平行方向の引張強度が580MPa以上、耐力が560MPa以上、伸びが6%以上、圧延直角方向の引張強度が600MPa以上、耐力が580MPa以上、伸びが3%以上であり、導電率が50%IACS以上、曲げ半径Rと板厚tの比R/tを0.5とし曲げ線の方向を圧延垂直方向とした90度曲げを行ったときの曲げ加工限界幅が70mm以上、曲げ線の方向を圧延垂直方向とした密着曲げを行ったときの曲げ加工限界幅が20mm以上であることを特徴とする放熱部品用銅合金板。
- さらに、Co:0.04mass%以下、Al:0.04mass%以下、Mg:0.04mass%以下、Mn:0.04mass%以下、Cr:0.03mass%以下、Zr:0.03mass%以下、Ti:0.03mass%以下の1種又は2種以上を合計で0.1mass%以下含むことを特徴とする請求項1に記載された放熱部品用銅合金板。
- 表面に厚さ0.2〜5μmのSn層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された放熱部品用銅合金板
- 表面に厚さ3μm以下のCu−Sn合金層と厚さ0.2〜5μmのSn層がこの順に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された放熱部品用銅合金板。
- 表面に厚さ3μm以下のNi層又はNi−Co合金層、厚さ3μm以下のCu−Sn合金層、及び厚さ0.2〜5μmのSn層がこの順に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された放熱部品用銅合金板。
- 表面に厚さ3μm以下のNi層又はNi−Co合金層、及び厚さ3μm以下のCu−Sn合金層がこの順に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された放熱部品用銅合金板。
- 表面に厚さ3μm以下のNi層又はNi−Co合金層のいずれか1層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された放熱部品用銅合板。
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WO2016158607A1 (ja) * | 2015-03-30 | 2016-10-06 | 株式会社神戸製鋼所 | 放熱部品用銅合金板及び放熱部品 |
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