JP2018068142A - 養液栽培装置および養液栽培方法 - Google Patents

養液栽培装置および養液栽培方法 Download PDF

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Abstract

【課題】幼苗の定植作業や収穫作業の効率化を行い、栽培する植物を高品質かつ、より安定的な栽培を可能とした養液栽培装置および養液栽培方法を提供する。【解決手段】定植パネル板1の植え穴10は、上部が大径円筒部であり、下部がテーパー部である。固形培地20を植え穴10に挿入すると、張出部22がテーパー部に係止され、下部が定植パネル板1から下方に突出する。定植パネル板1を栽培ベット槽50上に載置すると、固形培地20が凸条56に着底し、張出部22がテーパー部から離反し、固形培地20と植え穴10内面との間に十分な通気スペースが形成される。【選択図】図3

Description

本発明は、葉菜類などの植物を養液栽培する養液栽培装置及び栽培方法に関し、特に栽培装置に定植する作業や収穫作業の効率化を可能とした養液栽培装置および養液栽培方法に関する。
従来、養液栽培方法として、例えば湛液型栽培(DFT法)や培養液薄膜法(NFT法)などの栽培方法が行なわれている。これらの養液栽培方法は、効率よく栽培を行うため、多数の植え穴を有するパネルに幼苗の状態まで育てた植物を固形培地ごと移植し、栽培する方法が多く使用されている。
たとえば、特許文献1(実開平7−5346号公報)には、水浮上性パネルに植物担持全体を嵌着する孔を多数個設け、固形培地を嵌着させて植物を栽培する栽培方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、定植する植物を固形培地ごと完全に嵌着固定させる必要があるため、固形培地周りの通気性が悪くなり、固形培地中の環境が悪化し、藻が発生したり、根が腐ったりする問題がある。また、一つ一つのパネルに孔に固形培地を嵌着させるため、作業性が悪いという問題がある。
また、特許文献2(特開平8−205700号公報)には、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を栽培ベット槽の上に置き、植え穴から固形培地を栽培ベット内に落とし込んで設置する養液栽培薄膜法が開示されている。
この特許文献2は、定植作業も比較的容易な作業となり、また固形培地周辺の換気も確保されているため、固形培地中の環境は好ましいものとなっている。しかしながら、この方法では、定植パネルを栽培ベット槽の上に設置してから固形培地の定植作業を行うこととなるため、定植作業は、各栽培ベット槽が設置している場所で行う必要がある。このような栽培方法は、小さい規模の栽培面積における作業としては問題ないが、大きな規模の栽培面積で栽培を行う場合、作業者の移動距離が長くなり、作業が時間が長くなり効率に劣るという問題がある。
実開平7−5346号公報 特開平8−205700号公報
本発明は、幼苗の定植作業や収穫作業の効率化を行い、栽培する植物を高品質かつ、より安定的な栽培を可能とした養液栽培装置および養液栽培方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、定植パネル板の植え穴の形状や固形培地の形状を特定の形状とすることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
本発明は、次を要旨とする。
[1] 栽培ベット槽と、該栽培ベット槽上に載置された、多数の植え穴を有した定植パネル板とを備え、該植え穴に固形培地が配置される養液栽培装置であって、該固形培地は、上部から側方に張り出す張出部を備えており、該固形培地の上部の平面視形状が非円形であり、前記植え穴の内面に、該張出部が上方から係合することにより該固形培地が支持される係止部が設けられていることを特徴とする養液栽培装置。
[2] 前記張出部の平面視形状が多角形であることを特徴とする[1]に記載の養液栽培装置。
[3] 前記張出部の平面視形状が三角形ないし八角形であることを特徴とする[1]に記載の養液栽培装置。
[4] 前記係止部は、下方ほど小径となるテーパー形状であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の養液栽培装置。
[5] 前記植え穴の内面のうち該係止部よりも上側は円筒状であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の養液栽培装置。
[6] 前記植え穴の内面のうち該係止部よりも下側は円筒状であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の養液栽培装置。
[7] 前記植え穴の下方の前記栽培ベット槽の底面上に凸条が設けられており、前記定植パネル板を栽培ベット槽に載置した状態にあっては、前記固形培地が該凸条に着底し、該固形培地の張出部が前記係止レベルよりも高位に位置することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の養液栽培装置。
[8] 複数の前記凸条が平行に設けられており、該凸条同士の間は、養液が流れるように勾配を有していることを特徴とする[7]に記載の養液栽培装置。
[9] 栽培ベット槽と、該栽培ベット槽上に載置された、多数の植え穴を有した定植パネル板とを備え、該植え穴に固形培地が配置される養液栽培装置であって、該固形培地は、上部から側方に張り出す張出部を備えており、前記植え穴の内面に、該張出部が上方から係合することにより該固形培地が支持される係止部が設けられており、該張出部が、該係止部に係合する係止レベルよりも高位に位置した状態で、該植え穴の内面と固形培地の側面との間に、定植パネル板の上下を連通する通気スペースが形成されることを特徴とする養液栽培装置。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の養液栽培装置を使用して葉菜類を栽培する養液栽培方法。
[11] 前記定植パネル板の植え穴に、前記固形培地を配置した後、該定植パネル板を前記栽培ベット槽上に載置して養液栽培することを特徴とする[10]に記載の養液栽培方法。
本発明の養液栽培装置及び栽培方法にあっては、固形培地の張出部を定植パネル板の植え穴内面の係止部に係止させるようにして固形培地を植え穴に配置した後、定植パネル板を栽培ベット槽上に配置することができる。また、植物が成長した後に定植パネル板を固形培地と共に持ち上げて移動することができる。そのため、幼苗の定植作業や収穫作業を栽培ベット槽とは別の場所で行うことにより、これらの作業の効率化が可能となり、更には、栽培する植物を高品質としたり、より安定的な栽培を行ったりすることも可能となる。
なお、係止部がテーパー形状であると、係止部に異物や水などが溜ることが防止される。また、テーパー形状の係止部よりも上側を円筒状とすると、固形培地を植え穴に挿入するときに固形培地の傾きが防止される。テーパー形状の係止部よりも下側を円筒状とすると、植え穴の下縁付近における定植パネル板の強度が高くなる。
本発明の一態様では、定植パネル板を栽培ベット槽上に載置すると、固形培地が栽培ベット槽の凸条上面に着底し、張出部が係止部から上方に離反し、固形培地側面と植え穴内面との間に十分な通気スペースが形成される。これにより、固形培地中の環境が良好となる。
実施の形態に係る養液栽培装置の栽培ベット槽及び定植パネル板の斜視図である。 栽培ベット槽の凸条部分の断面図である。 栽培途中における栽培ベット槽の一部の縦断面図である。 (a)は固形培地と植え穴との係合関係を示す斜視図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 定植パネル板の平面図である。 図5のVI−VI線断面図である。 固形培地を配置した植え穴の縦断面図である。 定植パネル板の別例を示す断面図である。 (a)は定植パネル板の別例を示す断面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 養液栽培装置を説明する平面図である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の効果を奏する範囲であれば、下記実施形態に制限されるものではない。
本発明の養液栽培装置に使用する定植パネル板は、定植パネル板の上面から下面まで貫通する多数の植え穴を有する。
本発明の一態様では、植え穴の水平断面が円形であり、かつ植え穴の水平断面積は、定植パネル板の上面側が定植パネル板の底面側より大きい形状である。また、固形培地は、上部側面から側方に張り出す張出部を有しており、この張出部の平面視形状は、特に限定することはないが、好ましくは角形、例えば多角形状である。この張出部が、前記植え穴の内面の係止部で係止する構造となっている。
定植パネル板の植え穴は、上記形状であれば特に限定されることはない。
たとえば、定植パネル板の上面側から底面側に向けて漸次内径が小さくなるような構造としてもよく、定植パネル板の上面側を大きい内径の大径円筒形状とし、それよりも下側に内径が小さい小径円筒部とし、両者の境界部分の植え穴内面に段差部を設け、この段差部を係止部とする構造でもよい。また、これらを組み合わせた形状でもよい。また、定植パネル板の上面側を等径の円筒形状とし、円筒形状部の下側を、テーパー状に内径を小さくする構造でもよい。
なかでも、植え穴に設置する固形培地の係止する位置を均一にそろえることができる構造として、円筒形状の内面に係止部を設ける構造とすることが好ましい。また、前記係止部は、定植パネル板の底面側に向かって断面積が縮小するように傾斜するテーパー形状とすることが更に好ましい。係止部の形状を上記とすることで、係止部に水や汚れが溜ることが防止され、菌類が繁殖することを抑制することができ、好ましい。
本発明の一態様では、固形培地を植え穴に配置した定植パネル板を栽培ベット槽上に載置した場合、固形培地が栽培ベット槽の凸条上面に着底し、固形培地の張出部が係止部から上方に離反する。この状態において、大径円筒部の内径と固形培地の張出部とのクリアランスは2〜10mmが好ましく、3〜8mmがより好ましい。
植え穴の小径円筒部の内径と固形培地の張出部よりも下側部分とのクリアランスは5mm以下が好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
定植パネル板の植え穴の形状を上記の形状とすることで、この植え穴に固形培地を設置する際、定植パネル板の植え穴の上面側から固形培地を抵抗なく挿入するこができ、かつ植え穴に挿入した固形培地が、該植え穴から落下することなく、固形培地が植え穴の途中で係止される。また、これにより定植パネル板に固形培地を挿入した状態で、定植パネル板を移動することも可能となる。
本発明で用いる固形培地は、固形培地側面の上部に、側方に張り出す張出部を有している。固形培地の上部の平面視形状(張出部の外縁の平面視形状)は非円形であることが好ましく、特に角形、例えば多角形状であることが好ましく、具体的には、三角以上八角以下とりわけ三角以上六角以下であることが好ましい。張出部の平面視形状を上記とすることで、定植パネル板の植え穴に固形培地を挿入した際、植え穴内面の係止部に固形培地が係止され易くなり、かつ、係止した状態において、植え穴の内面と固形培地の張出部との間に空間ができ、定植パネル板の上面側と下面側との間の通気性が良好となる。この結果、固形培地中の環境が悪化して藻が発生したり、根が腐ったりすることが抑制される。
張出部の材質は、特に限定されるものではなく、固形培地と同様の材質としてもよく、異なる材質、たとえばプラスチック等で、フィルム状で成形して設けたり、射出成型等形成したリブ部としても良い。費用面や刈取り後の廃棄作業等を考慮すると固形培地と同様の材質とすることが好ましく、特に同一材料によって固形培地と一体に設けられることが好ましい。
固形培地の張出部以外の水平断面形状は、特に限定されるものではなく、円柱形状でもよく、張出部と同様に角形状であってもよい。定植パネル板の植え穴と固形培地との間の気道を確保するという観点から、固形培地の張出部よりも下側も、水平断面形状を角形状とすることが好ましい。
固形培地の材質は、特に限定されるものではなく、一般的に入手できる固形培地に使用されている材料とすることができる。たとえば、ロックウール、ピートモス、バーミキュライト、パーライト、砂、れき、ヤシ殻や、スポンジ、ウレタンなどの発泡樹脂を単独で使用することもでき、これらの材料の混合物などを使用することができる。
従来の養液栽培装置では、栽培ベット槽が設置してある場所で、栽培ベット槽に定植パネル板を配置させ、次に定植パネル板に固形培地を定植していく手順でしか定植作業を行うことができなかった。また、定植パネル板の幅の設計は、人の手が届く範囲(60〜70cm程度)に制限されることを余儀なくされていたが、本発明によると、栽培ベット槽が設置してある場所とは別の場所で定植パネル板の植え穴に固形培地を配置し、固形培地がセットされた定植パネル板ごと移動させることも可能となる。また、定植パネル板の幅の設計制限も緩和すことができ、圃場でのパネル占有率を向上できる。本発明の養液栽培用装置によれば、栽培の定植作業を自動化することも容易となる。
本発明の一態様では、栽培ベット槽は、定植パネル板の植え穴の真下に当たる箇所に凸部、例えば凸条を有している。また、この場合、栽培ベット槽の該凸条と凸条の間を養液が流れるように勾配を設けることが好ましい。
更に、前記栽培ベット槽の底面の上面側に親水性シートを配置し、葉菜類を栽培するよう構成されていることが好ましい。
前記凸条の幅は、使用される固形培地の径によって決められる。凸条の幅が固形培地の直径より小さいと、固形培地が凸条からずれ落ちて傾く虞がある。凸条の幅は、使用する固形培地の外径(円形の場合は直径、角形の場合は対角線長さ、楕円の場合は長径)よりも大きいことが好ましく、かつ過大でないこと、具体的には固形培地の外径との差が4mm以下であることがより好ましい。
この栽培ベット槽の上面を流れる養液は、栽培ベット槽の凸条同士の間の凹部を流れる。植え穴に挿入された固形培地は、凸条の上面に載置される。固形培地が養液の流れに洗われないので、固形培地が崩れたり、固形培地が流出することが抑制される。
また、本発明の養液栽培装置は、供給する養液を予め設定された温度範囲内に保持する温度調整手段と養液の濃度調整手段とを備えてもよい。
この温度調整手段により、循環する養液の温度を、年間を通して予め設定された範囲内に保持することが好ましい。この温度調整手段は、養液タンク内の温度を検出する温度センサと、養液タンク内に配置されて養液と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に熱媒体を供給する熱媒体供給ライン(温度調整ライン)と、この熱媒体供給ラインに介装されて温度センサからの検出信号により上記熱媒体の熱交換器への供給量を制御する制御弁等から構成することができる。
また、前記濃度調整手段は、互いに種類や濃度の異なる養液を貯留する複数の養液の原液タンクと、各々の原液タンク内の養液の原液をポンプによって養液タンクへ送る移送ラインと、これら移送ラインに介装された三方切換弁(開閉弁)等から構成され、循環する養液の濃度を調整することができるものが好ましい。
この栽培ベット槽を備えた養液栽培装置によると、水中で生育する水中根と、湿気中に維持され多数の根毛を有する湿気中根の2つの異なった形態・機能を持った根を発生させることができる。水中根は主に養液中の肥料と水を吸収し、湿気中根は主に湿気中から直接酸素を吸収する。
この栽培方法によれば、養液中の溶存酸素だけに頼らず植物を栽培することが可能であり、溶存酸素が不足しやすい高温期の栽培でも植物の根が酸素欠乏に陥ることがない。
この栽培ベット槽及び定植パネル板の好適な構成について図1〜7を参照して説明する。
図1〜7の通り、軽量な発泡スチロール等で成型された定植パネル板1には多数(図5では45個)の植え穴10が穿設されている。定植パネル板1の大きさは、一例を示すと幅600mm、奥行き1000mm、厚み35mmである。植え穴10の間隔は、作物栽培上適正な間隔に決める。
図4に固形培地20を示し、図5〜7に定植パネル板1及びその植え穴10の構造の詳細を示す。なお、図4は、植え穴10と係合される状態における固形培地20の斜視図、図5は定植パネル板1の平面図、図6は図5のVI−VI線断面図、図7は植え穴10と固形培地20との係合関係を示す縦断面図である。
この植え穴10は、上部が大径円筒部11となっており、該大径円筒部11よりも下側が下方に向って小径となるテーパー部12となっている。大径円筒部11の上縁内周面は面取り部13となっている。大径円筒部11の軸心線方向長さは、定植パネル板1の厚みの50〜90%特に60〜80%程度が好ましい。テーパー部12の下端の直径は、大径円筒部11の直径の55〜90%特に65〜85%程度が好ましい。
この植え穴10に配置される固形培地20は、図4の通り、直方体形の本体部21と、該本体部21の上部側面から側方に張り出す張出部22とを有する。この実施の形態では、固形培地20の上面に、播種して幼苗を生育させるための播種穴23が設けられている。
この固形培地20としては、商品名タコブロックとして日東紡株式会社より市販されているロックウール製培地を切断したものなどを好適に用いることができるが、これに限定されない。
固形培地本体部21の水平断面形状は正方形が好ましいが、正方形に近い長方形でもよい。
固形培地本体部21の底面の対角線長さは、植え穴10のテーパー部12の下端の内径よりも小さく、該内径と該対角線長さとの差は8mm以下特に0〜4mm程度が好ましい。
この固形培地20の平面視形状、すなわち張出部22の外周縁を上方から見たときの形状は正方形が好ましいが、正方形に近い長方形であってもよい。
張出部22が固形培地本体部21の側面から張り出す張り出し長さtは1〜10mm特に2〜5mm程度が好ましい。固形培地20の上面すなわち張出部22の上面の対角線長さWは、植え穴10の大径円筒部11の内径よりも2〜25mm特に4〜15mm小さく、またテーパー部12の下端内径よりも1〜15mm特に2〜10mm大きいことが好ましい。
固形培地20の寸法の一例を挙げると、張出部22上面の対角線長さ(W)32mm、固形培地本体部21底面の対角線長さ28mm、張出部22の張り出し長さ(t)1.4mm、張出部22の高さ(h)8mm、固形培地20の高さ(H)28mmである。この固形培地20を受け入れる植え穴10の寸法の一例を挙げると、定植パネル板厚さ35mm、大径円筒部11の高さ(面取り部13を含む)20mm、テーパー部12の高さ15mm、大径円筒部11の直径38mm、テーパー部12の下端の直径30mmである。
この固形培地20を、固形培地本体部21側から植え穴10内に挿入すると、図7(a)の通り、張出部22がテーパー部12の途中に係合し、固形培地本体部21の下部が定植パネル板1の下面から下方に突出した状態となる。なお、上記寸法例の場合、定植パネル板1の下面から16.5mm下方に突出する。
この植え穴10は、上部がストレートな円筒形状の大径円筒部11であるので、固形培地20を植え穴10に挿入するときに固形培地20が傾くことが防止され、スムーズに図7(a)の状態となる。後述の植え穴10A,10Bの場合も同様である。
このように固形培地20が植え穴10を通り抜けずに係止されるので、各植え穴10にそれぞれ固形培地20を配置した状態で定植パネル板1を運搬することができる。従って、定植パネル板1の植え穴10に固形培地20を挿入する作業を、栽培ベット槽50の設置箇所とは別の場所で行うことができる。また、植物が成長した後、固形培地20を備えた定植パネル板1を栽培ベット槽50から取り外して別の場所に運搬し、固形培地20を定植パネル板1から取り出すこともできる。
図7(a)のように、固形培地20の張出部22がテーパー部12に係合した状態にある定植パネル板1を栽培ベット槽50上に載置すると、図7(b)の通り、固形培地20の底面が凸条56の上面に当接(着底)し、固形培地20が上方に押し上げられて張出部22がテーパー部12から離反する。
これにより、図7(b)の通り、植え穴10の内面と固形培地20の側面との間に十分に大きな通気スペース(間隙)が形成され、固形培地20の下部にも十分に空気(酸素)が供給される。
なお、図5〜7に示した植え穴10では、大径円筒部11よりも下側はテーパー部12のみであるが、図8の植え穴10Aの通り、テーパー部12の下側に小径円筒部14を設けてもよい。この小径円筒部14は、テーパー部12の下端に連なり、定植パネル板1の下端にまで達している。小径円筒部14の直径は、テーパー部12の下端の直径に等しい。このように小径円筒部14を設けると、植え穴10Aの下縁付近の強度が高くなる。このため、固形培地20の重量が大きい場合でも固形培地20をしっかりと保持することができる。植え穴10Aのその他の構成は植え穴10と同一である。この植え穴10Aの寸法の一例を挙げると、小径円筒部14の直径28mm、小径円筒部14の高さ5mm、テーパー部12の高さ10mm、その他寸法は植え穴10と同一である。
本発明では、図9の植え穴10Bのように、植え穴10Bの下部に縦方向(植え穴10Bの軸心線と平行方向)に延在する切り欠き状の凹条15を設けてもよい。このような凹条15を設けると、定植パネル板1の上面側と下面側との通気性がさらに向上する。植え穴10Bのその他の構成は植え穴10Aと同一である。
上記した定植パネル板1,1が上面に載置される栽培ベット槽50は、図1〜3の通り、定植パネル板1と同様に、軽量な発泡スチロール等にて成型される。図示の例では、栽培ベット槽50の両側辺部に形成した段部59,59と、上面の中央に形成した受承部60とによって、2枚の定植パネル板1,1を支持している。栽培ベット槽50の大きさの1例を示すと、幅1260mm、奥行き1000mm、側壁の高さ100mmである。
定植パネル板1の植え穴10の真下に当たる栽培ベット槽50の底面箇所に、長手方向に連続する凸条56が複数列形成されている。凸条56,56間の凹条55に培養液Lが流下する。この凸条56の高さは培養液Lの液深との関係で決められ、凸条56の幅は使用される固形培地20の径によって決められる。凸条56の高さが低すぎると、凸条56の上に載置した固形培地20が培養液Lで洗われる虞が増すから好ましくなく、逆に高すぎると固形培地20と培養液Lの液面との距離が離れ過ぎて固形培地20への水分供給が不足し勝ちとなって成育を遅らせるから好ましくない。凸条56の幅が固形培地20の直径より狭いと、固形培地20が畝状凸条56からずれ落ちて傾く虞が生じる。望ましくは、凸条56の高さは培養液Lの液深よりも約2〜3mm程度高いものであり、凸条56の幅は使用する固形培地20の直径よりも大きく、固形培地20の直径に対して4mm加えた幅よりも小さいことがより好ましい。凸条56の間隔は植え穴10同士の間隔と等しい。
好ましくは、複数個の栽培ベット槽50を長手方向に連設し、約1/50〜1/200程度の勾配となるように設置する。この場合、図2に示したように、連設された栽培ベット槽50の上面全体をプラスチックシート57で被覆して各連設箇所の漏水を防止し、プラスチックシート57上に、布、紙等の親水性シート58を敷設するのが好ましい。この親水性シート58は毛管作用によって液を汲み上げるためのものである。
図3に示すように、植え穴10に固形培地20が配置された定植パネル板1を栽培ベット槽50に被せ、培養液Lを栽培ベット槽50の上流側より下流側へ向けて凹条55に流す。培養液Lの流量が栽培ベット槽当り10リッター/分のときの溝内液面高さは略1〜3mmとなる。これは凸条56高さの約半分である。定植パネル板1下面と溝内培養液Lの液面との間には高さ15mm程度の湿気空間が形成されることになる。
本発明に使用できる栽培装置は、図10に例示されるように、希釈された養液を貯める親タンク86を有し、この親タンク86から養液を供給する少なくとも1つ以上の子タンク73が配置され、子タンク73から養液が供給される少なくとも1つの栽培ベット槽50を配置していることが好ましい。
この親タンク86に、原液タンク(図示略)内の液肥原液と、水道水などの水が、供給制御弁84a,85a付き配管84,85から供給され、所定濃度の養液が調製される。親タンク86で調製された所定濃度の養液がポンプ87、配管88、三方弁89、流量計90及びボールタップ91を介して各子タンク73に分配供給される。三方弁89には、給水用配管92が接続されており、該三方弁89を切り替え操作することにより子タンク73に配管92からの水を供給できるよう構成されている。各子タンク73内の液は、ポンプ74及び配管75を介して各栽培ベット槽50に供給される。
図10では、前記栽培ベット槽50が複数個配置され、葉菜類が栽培されている。この複数の栽培ベット槽50には、前記の子タンク73を通して親タンク86で調製された養液が供給される。これにより、各栽培ベット槽50に、親タンク86で調製された均一の濃度の養液(希釈養液)を常に供給することができる。
図10では、複数の栽培ベット槽50を勾配をつけて1列に配列した栽培ベット槽列61を複数列(図示では4列)配列して栽培ベット槽群62としている。1つの栽培ベット槽群62に1個の子タンク73が付随して設置されている。
図10のように、栽培ベット槽群62毎に子タンク73を設けることで、子タンク73で栽培する養液を比較的に少量で管理することができる。収穫が終了すると、1つの栽培ベット槽群62に使用していた養液は廃棄され、新しい養液で栽培を開始することが好ましい。
これにより、前期作の栽培によって養液内に流出した、根からの分泌物(有機酸など)や、根の表皮細胞の脱落などの影響を受けることがなく、次期で栽培される野菜も、安定して栽培が可能となる。
従来の方法では、共通のタンクにより各々の栽培ベット槽に養液を供給して栽培しているため、使用している養液は、新しい養液を都度、つけ足ししながら養液を使いまわすことになり、根からの分泌物や、根の表皮細胞が蓄積され、栽培が繰り返されるにつれて自家中毒と呼ばれる生育阻害を発生させてしまう。
また、従来法の場合でも養液をすべて新しくすることはできるが、タンクと各々の栽培ベット槽のすべてを同時に養液を入れ替える作業となるため、大量の養液を同時に廃棄することが必要となり、さらにこの作業中は、すべての野菜栽培ができないことになる。
結果、この間は、野菜が出荷できず、定期的な野菜の出荷ができないという問題がある。
図10では、1つの栽培ベット槽群62で使用した養液を、配管76を介して当該栽培ベット槽群62の各栽培ベット槽50に養液を供給した子タンク73に戻して、養液を循環させる。子タンク73内には、ボールタップ91等によって親タンク86から養液が追加供給され、子タンク73内の養液は一定に保たれる。
図10では、一部の栽培ベット槽群62では栽培を続行している間に、他の栽培ベット槽群62では清掃(収穫が終了した後の清掃)を行うなど、各栽培ベット槽群62ごとに、別々に工程を進めることができる。
また、1つの栽培ベット槽群62で病原菌が発生した場合にも、他の栽培ベット槽群62への病原菌の感染を抑制することができる。即ち、親タンク86まで養液を戻さないので、養液を循環させる閉鎖回路(栽培ベット槽群62)内だけで汚染が止まる。
各子タンク73へは、給水用配管92及び三方弁89を介して水が導入可能である。各栽培ベット槽群62で栽培している葉菜類の栽培後期において、養液の供給から水の供給へ切り替えることにより、子タンク73と栽培ベット槽50を循環する養液の肥料濃度を低下させることができる。その結果、栽培後期において、植物体内の硝酸量を、徐々に削減させることが可能となり、硝酸量を減少させた状態で葉菜類の収穫を行うことができる。
植物体内の硝酸は、人体に取り込まれるとアミド態の窒素と結合して、ニトロソアミンを生成する。栽培後期に養液の肥料濃度を低くすることにより、植物体内の硝酸濃度を低減することができる。また、使用していた養液中の窒素、リン酸、カリも栽培後期において低濃度とすることにより、収穫が終了した後、養液の廃棄においても、環境への負荷を大幅に軽減することができる。
1 定植パネル板
10,10A,10B 植え穴
11 大径円筒部
12 テーパー部
14 小径円筒部
20 固形培地
21 固形培地本体部
22 張出部
50 栽培ベット槽
61 栽培ベット槽列
62 栽培ベット槽群
73 子タンク
86 親タンク
90 流量計
91 ボールタップ

Claims (11)

  1. 栽培ベット槽と、
    該栽培ベット槽上に載置された、多数の植え穴を有した定植パネル板と
    を備え、該植え穴に固形培地が配置される養液栽培装置であって、
    該固形培地は、上部から側方に張り出す張出部を備えており、該固形培地の上部の平面視形状が非円形であり、
    前記植え穴の内面に、該張出部が上方から係合することにより該固形培地が支持される係止部が設けられていることを特徴とする養液栽培装置。
  2. 前記張出部の平面視形状が多角形であることを特徴とする請求項1に記載の養液栽培装置。
  3. 前記張出部の平面視形状が三角形ないし八角形であることを特徴とする請求項1に記載の養液栽培装置。
  4. 前記係止部は、下方ほど小径となるテーパー形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の養液栽培装置。
  5. 前記植え穴の内面のうち該係止部よりも上側は円筒状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の養液栽培装置。
  6. 前記植え穴の内面のうち該係止部よりも下側は円筒状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の養液栽培装置。
  7. 前記植え穴の下方の前記栽培ベット槽の底面上に凸条が設けられており、
    前記定植パネル板を栽培ベット槽に載置した状態にあっては、前記固形培地が該凸条に着底し、該固形培地の張出部が前記係止レベルよりも高位に位置することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の養液栽培装置。
  8. 複数の前記凸条が平行に設けられており、該凸条同士の間は、養液が流れるように勾配を有していることを特徴とする請求項7に記載の養液栽培装置。
  9. 栽培ベット槽と、
    該栽培ベット槽上に載置された、多数の植え穴を有した定植パネル板と
    を備え、該植え穴に固形培地が配置される養液栽培装置であって、
    該固形培地は、上部から側方に張り出す張出部を備えており、
    前記植え穴の内面に、該張出部が上方から係合することにより該固形培地が支持される係止部が設けられており、
    該張出部が、該係止部に係合する係止レベルよりも高位に位置した状態で、該植え穴の内面と固形培地の側面との間に、定植パネル板の上下を連通する通気スペースが形成されることを特徴とする養液栽培装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の養液栽培装置を使用して葉菜類を栽培する養液栽培方法。
  11. 前記定植パネル板の植え穴に、前記固形培地を配置した後、該定植パネル板を前記栽培ベット槽上に載置して養液栽培することを特徴とする請求項10に記載の養液栽培方法。
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