JP2018067620A - 電気二重層キャパシタ用添加剤及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用添加剤及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】電気二重層キャパシタの寿命特性を向上し得る電気二重層キャパシタ用添加剤及びそれを用いた電気二重層キャパシタを提供する。【解決手段】アルミニウムケイ酸塩と、前記アルミニウムケイ酸塩の表面に配置される炭素と、を有し、水分吸着率が0質量%〜15質量%であり、BET比表面積が0.1m2/g〜100m2/gであるアルミニウムケイ酸塩複合体を含む、電気二重層キャパシタ用添加剤。【選択図】なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用添加剤及び電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、電解液中にセパレータを介して、1対の電極を対向することにより構成される。充放電はセルに電圧を印加することにより、電解液中のイオンが電極表面に電気的吸脱着をすることにより行われる。このように、電気二重層キャパシタは電極と電解液の間で化学的な反応が伴わないため、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池等の他の二次電池と比較して、高い出力、高い寿命、さらには高い安全性を有することが特徴である。
電気二重層キャパシタは半導体メモリのバックアップ電源として実用化され、次いで、高容量化と共に太陽電池と組み合わせた道路標識、照明等に使用されるようになった。近年注目されている電気二重層キャパシタの利用分野は、車載用電源と瞬時停電用電源である。特に車載用途は、自動車の電子制御化及びハイブリッド化とともに、電源への信頼性、寿命及び出力特性に対する要求が高まっており、これらの特性に優れる電気二重層キャパシタの開発が待たれている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
ところで、近年、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を向上させるべく、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出可能な材料を負極に用いたハイブリッドキャパシタが提案されている。ハイブリッドキャパシタは、電気化学反応による蓄電に加え、酸化還元反応によってもエネルギーを蓄える。
特開2002−033249号公報 特開2001−118753号公報
ハイブリッドキャパシタにおいて、正極電位を高くしすぎると、正極塗布層の内部又は近傍で、電解質に含まれるアニオン(例えば、LiPFに含まれるPF )から、負極の電気容量(蓄電容量)を低下させるHF(フッ化水素)等の負極活性阻害物質が生成するという問題が指摘されている。
上記状況を鑑み、本発明は、電気二重層キャパシタの寿命特性を向上し得る電気二重層キャパシタ用添加剤及びそれを用いた電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>アルミニウムケイ酸塩と、前記アルミニウムケイ酸塩の表面に配置される炭素と、を有するアルミニウムケイ酸塩複合体を含む、電気二重層キャパシタ用添加剤。
<2>前記アルミニウムケイ酸塩複合体の炭素含有率が、前記アルミニウムケイ酸塩複合体全体の0.1質量%〜50質量%である、<1>に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
<3>前記アルミニウムケイ酸塩複合体のラマンスペクトル解析から得られるR値が0.1〜5.0である、<1>又は<2>に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
<4>前記アルミニウムケイ酸塩複合体のアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alが0.1〜500である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
<5>前記アルミニウムケイ酸塩複合体の水分吸着率が0質量%〜15質量%である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
<6>前記アルミニウムケイ酸塩複合体のBET比表面積が0.1m/g〜500m/gである、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
<7><1>〜<6>のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤を含む、電気二重層キャパシタ。
本発明によれば、電気二重層キャパシタの寿命特性を向上し得る電気二重層キャパシタ用添加剤及びそれを用いた電気二重層キャパシタを提供することができる。
本実施形態の一例である、アルミニウムケイ酸塩複合体の構成を示す概略断面図である。 本実施形態の他の例である、アルミニウムケイ酸塩複合体の構成を示す概略断面図である。 本実施形態の他の例である、アルミニウムケイ酸塩複合体の構成を示す概略断面図である。 本実施形態の他の例である、アルミニウムケイ酸塩複合体の構成を示す概略断面図である。 本実施形態の他の例である、アルミニウムケイ酸塩複合体の構成を示す概略断面図である。 実施例で作製したアルミニウムケイ酸塩の粉末X線回折(XRD)の測定結果を示すチャートである。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率又は含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
<電気二重層キャパシタ用添加剤>
本実施形態の電気二重層キャパシタ用添加剤は、アルミニウムケイ酸塩と、前記アルミニウムケイ酸塩の表面に配置される炭素と、を有するアルミニウムケイ酸塩複合体を含む。
本発明者らの検討の結果、アルミニウムケイ酸塩はHFに対して高い吸着能を示すことがわかった。本実施形態の電気二重層キャパシタ用添加剤は、HF吸着能に優れるアルミニウムケイ酸塩を含むため、これを電気二重層キャパシタの添加剤として用いることで、電気二重層キャパシタの内部で発生するHFが吸着されて電気二重層キャパシタの寿命特性が向上する。
さらに本実施形態では、アルミニウムケイ酸塩複合体は、アルミニウムケイ酸塩と、アルミニウムケイ酸塩の表面に配置される炭素と、を有する。このような構成とすることにより、炭素を表面に有しないアルミニウムケイ酸塩と比較して、水分吸着率を低くすることができる。
アルミニウムケイ酸塩複合体は、非水系溶媒又は有機溶媒への分散性の観点から、水分吸着率が0質量%〜15質量%であることが好ましく、0質量%〜10質量%であることがより好ましく、0質量%〜5質量%であることがさらに好ましく、0質量%〜3質量%であることがさらにより好ましい。
アルミニウムケイ酸塩複合体の水分吸着率(質量%)は、アルミニウムケイ酸塩複合体を、130℃にて3時間真空乾燥させた後の質量Aと、その後に温度20℃、湿度90%〜99%の条件下で24時間静置した後の質量Bを測定して、下記式により求めた値とする。
水分吸着率(質量%)=(B−A)/A×100
アルミニウムケイ酸塩複合体は、溶媒と接触した際の副反応を抑制する観点から、BET比表面積が0.1m/g〜500m/gであることが好ましく、0.3m/g〜400m/gであることがより好ましく、0.5m/g〜300m/gであることがさらに好ましい。
アルミニウムケイ酸塩複合体のBET比表面積は、JIS Z 8830(2001年)に準じて窒素吸着能から測定する。評価装置としては、窒素吸着測定装置(AUTOSORB−1、QUANTACHROME社)等を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行う。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
アルミニウムケイ酸塩複合体におけるアルミニウムケイ酸塩は、アルミニウム(Al)とケイ素(Si)とを含む酸化物塩である。SiとAlとではその価数が異なるため、SiとAlとの酸化物塩にはOH基が多く存在し、これがイオン交換能を有している。これにより、アルミニウムケイ酸塩は、単位質量あたりに多くのHFの吸着サイトを持ち、高比表面積でHFを吸着する。
上述したようなアルミニウムケイ酸塩複合体の中でも、HFの吸着能の点で、アルミニウムケイ酸塩複合体におけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alが0.1〜500であることが好ましく、元素モル比Si/Alが0.2〜300であることがより好ましく、元素モル比Si/Alが0.3〜100であることが更に好ましい。
なお、元素モル比Si/AlはICP発光分光分析により、例えば、株式会社日立製作所のICP発光分析装置「P−4010」を用いて常法によりSi及びAlそれぞれの原子濃度を求めて、得られた原子濃度から算出される。以下、元素モル比の測定方法は同様である。
アルミニウムケイ酸塩複合体におけるアルミニウムケイ酸塩は無機酸化物であるため、熱安定性、及び溶剤中での安定性に優れている。このため、使用中に温度が上昇する環境で電気二重層キャパシタが使用される場合であっても安定した特性が維持される傾向にある。
[アルミニウムケイ酸塩]
本実施形態におけるアルミニウムケイ酸塩は、アルミニウムとケイ素とを含む酸化物塩であれば、特に制限はなく、他の金属元素を含むものであってもよい。本実施形態におけるアルミニウムケイ酸塩としては、例えば、アロフェン、カオリン、ゼオライト、サポナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト及びイモゴライトが挙げられる。アルミニウムケイ酸塩は合成したものを用いても、市販品を購入して用いてもよい。
アルミニウムケイ酸塩の体積基準の平均粒子径は、最終的な所望のアルミニウムケイ酸塩複合体の大きさに合わせて、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜50μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることが更に好ましい。アルミニウムケイ酸塩の体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所の「SALD3000J」)を用いて行うことができる。具体的には、アルミニウムケイ酸塩を、水等の分散媒に分散させて分散液を調製する。この分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径として求める。
(アロフェン)
本実施形態におけるアロフェンとは、元素モル比Si/Alが0.1〜1.0である非晶質のアルミニウムケイ酸塩であって、中空球の構造体を形成すると言われているアルミニウムケイ酸塩を意味する。このようなアロフェンとしては、例えば、nSiO・Al・mHO[n=1〜2、m=2.5〜3]で示される組成を有するものが挙げられる。
アロフェンにおけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alは、0.2〜1.0であることが好ましく、0.5〜1.0であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能が高まる。
本実施形態におけるアロフェンは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。アロフェンの市販品としては、製品名「セカード」(品川化成株式会社)等が挙げられる。
(カオリン)
本実施形態におけるカオリンとは、層状構造をとるアルミニウムケイ酸塩であって、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト等の1種又は2種以上から形成されるアルミニウムケイ酸塩を意味する。このようなカオリンとしては、例えば、AlSiO・(HO)・nHO[n=0〜5]で示される組成を有するものが挙げられる。
カオリンにおけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alは、0.1〜2.0であることが好ましく、0.5〜1.5であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能がより高まる傾向にある。
本実施形態におけるカオリンは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。カオリンの市販品としては、製品名「ASP−200」(林化成株式会社)等が挙げられる。
(ゼオライト)
本実施形態におけるゼオライトとは、アルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alが1〜500であるアルミニウムケイ酸塩であり、塩としてアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含み、沸石とも称される物質を意味する。このようなゼオライトとしては、例えば、X2/nO・Al・ySiO・zHO[X=Na、K、Li等の金属カチオン、n=金属Xの原子価、y=2〜200、z=0以上]で示される組成を有するものが挙げられる。
ゼオライトの元素モル比Si/Alは、1〜100であることが好ましく、1〜50であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能がより高まる傾向にある。
本実施形態におけるゼオライトは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。ゼオライトの市販品としては、製品名「SP#600」(日東粉化工業株式会社)、製品名「モレキュラーシーブス4A」(和光純薬工業株式会社)、製品名「モレキュラーシーブス13X」(和光純薬工業株式会社)等が挙げられる。
(サポナイト)
本実施形態におけるサポナイトとは、構造中にMg、Ca等の金属カチオンを含むスメクタイト族(3八面体型スメクタイト)の層状粘土化合物であるアルミニウムケイ酸塩を意味する。このようなサポナイトとしては、例えば、X0.33(Mg)(Al0.33Si3.67)O10(OH)・nHO[X=Mg、Ca、Na、K、Li等の金属カチオン、n=0以上]で示される組成を有するものが挙げられる。
サポナイトにおけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alは、2〜50であることが好ましく、5〜30であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能がより高まる傾向にある。
本実施形態におけるサポナイトは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。サポナイトの市販品としては、製品名「スメクトン」(クニミネ工業株式会社)等が挙げられる。
(モンモリロナイト)
本実施形態におけるモンモリロナイトとは、構造中にMg、Ca等の金属カチオンを含むスメクタイト族(2八面体型スメクタイト)の層状粘土化合物であるアルミニウムケイ酸塩を意味する。このようなモンモリロナイトとしては、例えば、(Na、Ca)0.33(Al1.67,Mg0.33)Si10(OH):nHOで示される組成を有するものが挙げられる。
モンモリロナイトにおけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alは、2〜50であることが好ましく、5〜30であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能がより高まる傾向にある。
本実施形態におけるモンモリロナイトは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。モンモリロナイトの市販品としては、製品名「クニピア」(クニミネ工業株式会社)等が挙げられる。
(アタパルジャイト)
本実施形態におけるアタパルジャイトとは、パリゴルスカイトとも称される、繊維状の結晶構造を有するアルミニウムケイ酸塩を意味する。このようなアタパルジャイトとしては、例えば、Mg(Al0.5〜1Fe0〜0.5)Si10(OH)・4HOで示される組成を有するものが挙げられる。
アタパルジャイトにおけるアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alは、2〜50であることが好ましく、4〜30であることがより好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上述したイオン交換能がより高まる傾向にある。
本実施形態におけるアタパルジャイトは、合成したものであってもよく、市販品を購入して用いてもよい。アタパルジャイトの市販品としては、製品名「アタゲル」(林化成株式会社)等が挙げられる。
(イモゴライト)
本実施形態におけるイモゴライトとは、アルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alが0.3〜1.0のアルミニウムケイ酸塩であって、上記以外のものを意味する。このようなイモゴライトは、例えば、nSiO・Al・mHO[n=0.6〜2.0、m=0以上]で示される組成を有するものが挙げられる。
HFの吸着能の観点から、イモゴライトとしては、元素モル比Si/Alが0.3以上1.0以下であることが好ましい。
元素モル比Si/Alを0.3以上とすることにより、HF吸着能の向上に寄与しないAlの量が過剰となることを回避しやすくなり、単位質量あたりのHF吸着能が低下しにくくなる傾向がある。また元素モル比Si/Alを1.0以下とすることにより、HF吸着能の向上に寄与しないSiの量が過剰となることを回避しやすくなり、単位質量あたりのHF吸着能が低下しにくくなる傾向がある。
イモゴライトの元素モル比Si/Alは、0.4〜0.6であることがより好ましく、0.45〜0.55であることが更に好ましい。この範囲の元素モル比Si/Alとすることにより、上記の傾向が更に高まる。
イモゴライトは、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26.9°及び40.3°近辺にピークを有することが好ましい。また例えば、X線回折装置として株式会社リガクの「Geigerflex RAD−2X」(製品名)を用いることができる。
イモゴライトは、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=20°及び35°近辺の幅広なピークを有さなくてもよい。2θ=20°及び35°近辺のピークは、低結晶性の層状の粘土鉱物のhk0面の反射に起因するピークと考えられる。
ここで、2θ=20°及び35°近辺のピークを有しないとは、2θ=20°及び35°近辺におけるベースラインからの変位がノイズレベル以下であることを意味し、具体的にはベースラインからの変位がノイズ幅の100%以下であることを意味する。
更に、製造例1に係るイモゴライトのように、イモゴライトは、2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺にピークを有してもよい。2θ=18.8°、20.3°、27.8°、40.6°及び53.3°近辺のピークは、副生物である水酸化アルミニウムに由来するピークと推定される。
また、イモゴライトは、2θ=4.8°、9.7°及び14.0°近辺にピークを有してもよい。更に、2θ=18.3°近辺にピークを有していてもよい。2θ=4.8°、9.7°、14.0°及び18.3°近辺のピークは、管状のイモゴライトの単繊維が互いに沿って凝集して束状構造をとっていることに由来するピークと推定される。
(無定形アルミニウムケイ酸塩)
無定形アルミニウムケイ酸塩は、アルミニウムとケイ素とを含む酸化物塩であって、規則的な構造を有しないか、規則的な構造に加えて粘土構造及び非晶質構造のいずれか一方を有するものを意味する。
無定形アルミニウムケイ酸塩は、X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて、ムライト構造を示すピークが観測されず、2θ=24°近辺にブロードなピークを有する。粉末X線回折装置としては、例えば、株式会社リガクの「Geigerflex RAD−2X」を使用することができる。具体的な測定条件は以下の通りである。
−測定条件−
・X線源:CuKα線
・発散スリット:1°
・散乱スリット:1°
・受光スリット:0.30mm
・X線出力:40kV、40mA
無定形アルミニウムケイ酸塩の体積平均粒子径は、最終的な所望の無定形アルミニウムケイ酸塩複合体の大きさに合わせて、0.1μm〜100μmであってもよく、0.5μm〜50μmであってもよく、1μm〜30μmであってもよい。
なお、無定形アルミニウムケイ酸塩の体積平均粒子径は、レーザー回折法を用いて測定される。レーザー回折法は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作の「SALD3000J」)を用いて行うことができる。具体的には、無定形アルミニウムケイ酸塩を、水等の分散媒に分散させて分散液を調製する。この分散液について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となる粒子径(D50)を体積平均粒子径として求める。
無定形アルミニウムケイ酸塩の製造方法は、例えば、(a)ケイ酸イオンを含む溶液及びアルミニウムイオンを含む溶液を混合して反応生成物を得る工程(反応工程)と、(b)工程(a)で得られた反応生成物を、脱塩及び固体分離する工程(第一洗浄工程)と、(c)工程(b)で得られた固体分離物を、水性媒体中、熱処理する工程(合成工程)と、(d)工程(c)で熱処理して得られた生成物を、脱塩及び固体分離する工程(第二洗浄工程)と、を有し、必要に応じてその他の工程を有していてもよい。
なお、第一洗浄工程及び第二洗浄工程は、必要に応じていずれか一方を省略してもよい。例えば、必要に応じて第一洗浄工程を省略してもよい。
以下、この好ましい製造方法に従って、無定形アルミニウムケイ酸塩の製造方法を説明する。
(a)反応工程
反応工程では、ケイ酸イオンを含む溶液とアルミニウムイオンを含む溶液とを混合して、無定形アルミニウムケイ酸塩及び共存イオンを含む反応生成物を含有する混合溶液を得る。
(a−1)ケイ酸イオン及びアルミニウムイオン
無定形アルミニウムケイ酸塩を製造する際、原料には、ケイ酸イオン及びアルミニウムイオンが必要となる。ケイ酸イオンを含む溶液(以下、「ケイ酸溶液」ともいう。)を構成するケイ酸源としては、溶媒和した際にケイ酸イオンが生じるものであれば特に制限されない。ケイ酸源としては、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、アルミニウムイオンを含む溶液(以下、「アルミニウム溶液」ともいう。)を構成するアルミニウム源は、溶媒和した際にアルミニウムイオンが生じるものであれば特に制限されない。アルミニウム源としては、塩化アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムsec−ブトキシド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
溶媒としては、原料であるケイ酸源及びアルミニウム源と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができる。溶媒としては、具体的には、水、エタノール等を使用することができる。熱処理する際における溶液中の共存イオンの低減、及び取り扱いの容易さから、溶媒としては、水を用いてもよい。
(a−2)混合比及び溶液の濃度
これらの原料をそれぞれ溶媒に溶解させて原料溶液(ケイ酸溶液及びアルミニウム溶液)を調製した後、原料溶液を互いに混合して混合溶液を得る。このとき、特定の元素モル比Si/Alを有する無定形アルミニウムケイ酸塩を得るため無定形アルミニウムケイ酸塩における元素モル比Si/Alに合わせて、混合溶液中のSi及びAlの元素モル比Si/Alが好ましくは0.1〜500、より好ましくは0.2〜300、更に好ましくは0.3:100となるように調整する。
また、原料溶液の混合の際には、アルミニウム溶液に対してケイ酸溶液を徐々に加えることが好ましい。このようにすることで、所望の無定形アルミニウムケイ酸塩の形成阻害要因となり得る、ケイ酸の重合をより抑えることができる。
ケイ酸溶液のケイ素原子濃度は、特に制限されるものではなく、例えば、1mmol/L〜5000mmol/Lとすることができる。ケイ酸溶液のケイ素原子濃度が1mmol/L以上であると、生産性がより向上し、効率よく所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を製造することができる傾向にある。ケイ酸溶液のケイ素原子濃度が1000mmol/L以下であると、ケイ素原子濃度に応じて生産性がより向上する傾向にある。
アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度は、特に制限されるものではなく、例えば、100mmol/L〜5000mmol/Lとすることができる。アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度が100mmol/L以上であると、生産性がより向上し、効率よく無定形アルミニウムケイ酸塩を製造することができる傾向にある。アルミニウム溶液のアルミニウム原子濃度が1000mmol/L以下であると、アルミニウム原子濃度に応じて生産性がより向上する傾向にある。
(b)第一洗浄工程(脱塩及び固体分離)
ケイ酸溶液とアルミニウム溶液とを混合して得られた混合溶液に、共存イオンを含む無定形アルミニウムケイ酸塩を反応生成物として生成させた後、生成した共存イオンを含む無定形アルミニウムケイ酸塩を脱塩及び固体分離する第一洗浄工程を行う。第一洗浄工程では、混合溶液中から共存イオンの少なくとも一部を除去して混合溶液中の共存イオン濃度を低下させる。第一洗浄工程を行うことで、合成工程において所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を形成し易くなる。
第一洗浄工程で脱塩及び固体分離する方法は、ケイ酸源及びアルミニウム源に由来するケイ酸イオン以外のアニオン(塩化物イオン、硝酸イオン等)及びアルミニウムイオン以外のカチオン(ナトリウムイオン等)のうちの少なくとも一部を除去(脱塩)して固体分離できればよく、特に制限されるものではない。第一洗浄工程としては、例えば、遠心分離を用いる方法、透析膜を用いる方法、及びイオン交換樹脂を用いる方法が挙げられる。
第一洗浄工程は、共存イオンの濃度が所定の濃度以下になるように行うことが好ましい。ここで共存イオンの濃度としては、例えば、第一洗浄工程で得られる固体分離物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合、500mmol/L以下とすることができる。このような共存イオン濃度とするには、具体的には例えば、第一洗浄工程で得られる固体分離物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合に、その分散液の電気伝導率が4.0S/m以下となるように洗浄を行ってもよく、1.0mS/m〜3.0S/mとなるように洗浄を行ってもよく、1.0mS/m〜2.0S/mとなるように洗浄を行ってもよい。分散液の電気伝導率が4.0S/m以下であると、より優れた金属イオン吸着能を有する無定形アルミニウムケイ酸塩が得られ易くなる傾向にある。
なお、電気伝導率は、株式会社堀場製作所:F−55及び同社の一般的な電気伝導率セル:9382−10Dを用いて、常温(25℃)で測定される。
第一洗浄工程を、遠心分離を用いて行う場合、例えば、以下のようにして行うことができる。共存イオンを含む無定形アルミニウムケイ酸塩を溶媒に分散して分散物を得る。分散物にアルカリ等を加えてpHを5〜8に調整する。pHを調整した後の分散物を遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として固体分離する。固体分離されたものを溶媒に再分散させる。その際、分散物の容積を、遠心分離前と同じ容積に戻してもよい。再分散させた分散液を同様にして遠心分離して脱塩及び固体分離する操作を繰り返すことで、共存イオンの濃度を所定の濃度以下にすることができる。
第一洗浄工程においては、分散物のpHを例えば5〜8に調整してもよく、5.5〜6.8に調整してもよく、5.8〜6.5に調整してもよい。pH調整に用いるアルカリは特に制限されない。pHの調整に用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム及びアンモニアが挙げられる。
第一洗浄工程における溶媒としては、原料と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、溶媒としては、具体的には、水、エタノール等を使用することができる。溶媒としては、共存イオンの低減、及び取り扱いの容易さから、水を用いてもよく、純水を用いてもよい。なお、繰り返し複数回の洗浄を行う際は、混合溶液のpHの調整を省略してもよい。
pHを調整する際のpH測定は、一般的なガラス電極を用いたpHメータによって測定できる。具体的には、例えば、株式会社堀場製作所の製品名「MODEL(F−51)」を使用することができる。
(c)合成工程
合成工程では、水性媒体中、第一洗浄工程で得られた固体分離物の熱処理を行う。
第一洗浄工程により得られた、共存イオンの濃度を低減させたアルミニウムケイ酸塩を含む溶液(分散液)を、熱処理することで、所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を形成することができる。
熱処理の温度は特に制限されない。所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を効率よく得る観点から、熱処理の温度は80℃〜250℃とすることができる。熱処理の温度が250℃以下であると、ベーマイト(水酸化アルミニウム)が析出することをより抑制することができる傾向にある。熱処理の温度が80℃以上であると、所望の無定形アルミニウムケイ酸塩の合成速度が向上し、より効率よく所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を製造できる傾向にある。
熱処理の時間は特に制限されるものではない。所望の構造を有する無定形アルミニウムケイ酸塩をより効率的に得る観点から、熱処理の時間は、96時間(4日)以内とすることができる。熱処理の時間が96時間以下であると、より効率的に所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を製造することができる傾向にある。
(d)第二洗浄工程(脱塩及び固体分離)
合成工程において熱処理して得られた生成物は、第二洗浄工程において脱塩及び固体分離に供される。これにより優れた金属イオン吸着能を有する無定形アルミニウムケイ酸塩を得ることができる傾向にある。これは、例えば、以下のように考えることができる。すなわち、合成工程において熱処理して得られた生成物は、無定形アルミニウムケイ酸塩の吸着サイトが共存イオンで塞がれている場合があり、期待する程の金属イオン吸着能が得られない場合がある。そのため、合成工程で得られた生成物としての無定形アルミニウムケイ酸塩から共存イオンの少なくとも一部を、脱塩及び固体分離することにより除去する第二洗浄工程を行うことにより、優れた金属イオン吸着能を有する所望の無定形アルミニウムケイ酸塩を得ることができると考えることができる。
第二洗浄工程では、洗浄(脱塩及び固体分離)処理により、ケイ酸イオン以外のアニオン及びアルミニウムイオン以外のカチオンの少なくとも一部を除去できればよい。第二洗浄工程で適用される洗浄処理としては、合成工程前の第一洗浄工程と同様の操作であってもよく、異なる操作であってもよい。
第二洗浄工程は、共存イオンの濃度が所定の濃度以下になるように行うことが好ましい。ここで共存イオンの濃度としては、例えば、第二洗浄工程で得られる固体分離物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合、500mmol/L以下とすることができる。このような共存イオン濃度とするには、具体的には例えば、第二洗浄工程で得られる固体分離物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散させた場合に、その分散液の電気伝導率が4.0S/m以下となるように洗浄を行ってもよく、1.0mS/m〜3.0S/mとなるように洗浄を行ってもよく、1.0mS/m〜2.0S/mとなるように洗浄を行ってもよい。分散液の電気伝導率が4.0S/m以下であると、より優れた金属イオン吸着能を有する無定形アルミニウムケイ酸塩が得られ易くなる傾向にある。
第二洗浄工程を、遠心分離を用いて行う場合、例えば、以下のようにして行うことができる。熱処理後に得られた生成物に溶媒を添加して混合溶液を得る。混合溶液にアルカリ等を加えてpHを5〜10に調整する。pHを調整した混合溶液を遠心分離した後、上澄み溶液を排出してゲル状沈殿物として固体分離する。次いで、固体分離物を溶媒に再分散させる。その際、分散液の容積を、遠心分離前と同じ容積に戻してもよい。再分散させた分散液を同様にして遠心分離して脱塩及び固体分離する操作を繰り返すことで、共存イオンの濃度を所定の濃度以下、例えば、3質量%以下にすることができる。
第二洗浄工程においては、混合溶液のpHを例えば5〜10に調整してもよく、8〜10に調整してもよい。pHの調整に用いるアルカリは特に制限されない。pHの調整に用いるアルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム及びアンモニアが挙げられる。
第二洗浄工程における溶媒としては、熱処理後の生成物と溶媒和し易いものを適宜選択して使用することができ、溶媒としては、具体的には、水、エタノール等を使用することができる。溶媒としては、共存イオンの低減、及び取り扱いの容易さから、水を用いてもよく、純水を用いてもよい。なお、繰り返し複数回の洗浄を行う際は、混合溶液のpHの調整を省略してもよい。
第二洗浄工程で得られた固体分離物(無定形アルミニウムケイ酸塩を含む沈殿物)を熱処理して乾燥することにより、無定形アルミニウムケイ酸塩粉末が得られる。熱処理温度は、30℃〜180℃であってもよく、40℃〜150℃であってもよく、50℃〜140℃であってもよい。
[炭素被覆]
本実施形態に係るアルミニウムケイ酸塩複合体では、アルミニウムケイ酸塩の表面の一部又は全部に、炭素が配置される。炭素は、アルミニウムケイ酸塩の表面に配置されていればよい。
図1〜図5は、本実施形態に係るアルミニウムケイ酸塩複合体の構成の例を示す概略断面図である。図1では、炭素40がアルミニウムケイ酸塩50の表面全体を被覆している。図2では、炭素40がアルミニウムケイ酸塩50の表面全体を被覆しているが、炭素40の厚みにばらつきがある。また、図3では、炭素40がアルミニウムケイ酸塩50の表面に部分的に存在し、アルミニウムケイ酸塩50の表面には、炭素40で覆われていない部分がある。図4では、アルミニウムケイ酸塩50の表面に、アルミニウムケイ酸塩50よりも小さい粒径を有する炭素40の粒子が存在している。図5は、図4の変形例であり、炭素40の粒子形状が鱗片状となっている。なお、図1〜図5では、アルミニウムケイ酸塩50の形状は、模式的に球状(断面形状としては円)で表されているが、球状、ブロック状、鱗片状、断面形状が多角形の形状(角のある形状)等のいずれであってもよい。
なお、アルミニウムケイ酸塩が複数の管状物により構成される場合、微視的には管状物の外壁の少なくとも一部又は全部に炭素が配置されていればよく、内壁の少なくとも一部又は全部に炭素が配置されていてもよい。
また、微細なアルミニウムケイ酸塩が集合、結合又は凝集して粒子を形成している場合、粒子表面の少なくとも一部又は全部に炭素が配置されていればよく、集合、結合又凝集によって粒子内部に細孔を有する場合、細孔内の一部又は全部に炭素が配置されていてもよい。
アルミニウムケイ酸塩の内部(アルミニウムケイ酸塩が複数の管状物により構成される場合の管状物の内壁、アルミニウムケイ酸塩が集合、結合又は凝集して形成された粒子内部に細孔を有する場合の細孔内等の、アルミニウムケイ酸塩の外観に現れない部分)に炭素が配置されているか否かは、以下の方法によって確認することができる。
すなわち、アルミニウムケイ酸塩の内部の状態は、試料を熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)に埋め込み硬化して成形加工した後、機械的に研磨することでアルミニウムケイ酸塩の内部を露出させ、内部にあたる部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで確認することができる。アルミニウムケイ酸塩の内部に炭素が配置されているか否かは、上記のSEMから、エネルギー分散型X線分光法(EDX)にて確認することができる。
[アルミニウムケイ酸塩複合体の特性]
アルミニウムケイ酸塩複合体における炭素含有率は、アルミニウムケイ酸塩複合体全体の0.1質量%〜50質量%であることが好ましい。炭素含有率が0.1質量%以上であれば、アルミニウムケイ酸塩複合体の吸着水量が低減する傾向があり、50質量%以下であれば、アルミニウムケイ酸塩複合体のHF吸着能をより有効に活用できる傾向がある。アルミニウムケイ酸塩複合体における炭素含有率は、アルミニウムケイ酸塩複合体全体の0.5質量%〜40質量%であることがより好ましく、1質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
アルミニウムケイ酸塩複合体における炭素含有率は、示差熱−熱重量分析装置(TG−DTA)を用いて、20℃/分の昇温速度で、800℃、20分保持での質量減少率にて測定される。
アルミニウムケイ酸塩複合体について励起波長532nmのレーザーラマン分光測定により求めたプロファイルの中で、1360cm−1付近に現れるピークの強度をId、1580cm−1付近に現れるピークの強度をIgとし、その両ピークの強度比Id/Ig(D/G)をR値とした際、そのR値が、0.1〜5.0であることが好ましく、0.3〜3.0であることがより好ましく、0.5〜1.5であることが更に好ましい。R値が0.1以上であると、非晶質炭素による表面被覆効果が優れる傾向があり、5.0以下であると表面被覆炭素量が過剰となるのを防ぐ傾向がある。
ここで、1360cm−1付近に現れるピークとは、通常、炭素の非晶質構造に対応すると同定されるピークであり、例えば、1300cm−1〜1400cm−1に観測されるピークを意味する。また1580cm−1付近に現れるピークとは、通常、炭素の結晶構造に対応すると同定されるピークであり、例えば、1530cm−1〜1630cm−1に観測されるピークを意味する。
なお、R値は、ラマンスペクトル測定装置(例えば、日本分光株式会社、NSR−1000型、励起波長532nm)を用い、測定範囲(830cm−1〜1940cm−1)全体をベースラインとして求めることができる。
アルミニウムケイ酸塩複合体の体積基準の平均粒子径は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、0.5μm〜50μmであることがより好ましく、1μm〜30μmであることが更に好ましい。アルミニウムケイ酸塩複合体の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、粉体のハンドリング性が向上する傾向があり、100μm以下であると、アルミニウムケイ酸塩複合体を含む分散液を用いて塗膜を形成する等の場合に、均質な膜が得られる傾向がある。
アルミニウムケイ酸塩複合体の体積平均粒子径は、アルミニウムケイ酸塩の体積平均粒子径と同様にして測定される。
本実施形態のアルミニウムケイ酸塩複合体は、炭素を表面に有しないアルミニウムケイ酸塩と比較して水分吸着率が低減したものである。アルミニウムケイ酸塩複合体の水分吸着率は、例えば、表面に配置される炭素の種類及び量によって異なりうる。
アルミニウムケイ酸塩複合体におけるアルミニウムケイ酸塩は、HF吸着能の観点から、イモゴライト、アロフェン、カオリン、サポナイト、ゼオライト、モンモリロナイト及びアタパルジャイトからなる群より選択された少なくとも1つであることが好ましい。
上記の内でもイモゴライトとしては、HF吸着能の観点から、更に元素モル比Si/Alが0.3〜1.0(好ましくは1.0未満)であって、且つ、以下の(1)〜(5)のいずれか1つ又はこれらの2つ以上の特性を有するものがより好ましい。
(1)27Al−NMRスペクトルにおいて3ppm近辺にピークを有する。
(2)29Si−NMRスペクトルにおいて−78ppm近辺及び−85ppm近辺にピークを有する。
(3)X線源としてCuKα線を用いた粉末X線回折スペクトルにおいて2θ=26.9°及び40.3°近辺にピークを有し、2θ=20°及び35°近辺のピークを有しない。
(4)29Si−NMRスペクトルにおける前記−78ppm近辺のピークAに対する前記−85ppm近辺のピークBの面積比率(ピークB/ピークA)が、2.0以上9.0以下である。
[アルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法]
アルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法は、アルミニウムケイ酸塩を得る工程と、得られたアルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与する炭素付与工程とを含み、必要に応じて他の工程を含む。
(アルミニウムケイ酸塩を得る工程)
アルミニウムケイ酸塩を得る工程は、炭素を付与する対象となるアルミニウムケイ酸塩を得ることができればよく、アルミニウムケイ酸塩を準備することを含む工程であってもよく、ケイ酸源とアルミニウム源とからアルミニウムケイ酸塩を製造することを含む工程であってもよい。アルミニウムケイ酸塩を製造する方法については、各種アルミニウムケイ酸塩に関して既述した方法を適用し得る。アルミニウムケイ酸塩を準備することとしては、市販品等を入手してそのまま用いることが挙げられる。
(炭素付与工程)
炭素付与工程では、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与する。これにより、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素が配置される。アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与する方法としては、特に制限はなく、湿式混合法、乾式混合法、化学蒸着法等の方法が挙げられる。アルミニウムケイ酸塩の表面に付与される炭素の厚みを揃えやすく、かつ反応系の制御が容易で、大気圧下での処理が可能であるという点から、湿式混合法(「湿式法」ということがある)又は乾式混合法(「気相法」ということがある)が好ましい。
湿式混合法の場合は、例えば、アルミニウムケイ酸塩と、炭素源を溶媒に溶解させた溶液と、を混合し、炭素源の溶液をアルミニウムケイ酸塩表面に付着させ、必要に応じて溶媒を除去し、その後、不活性雰囲気下で熱処理することにより炭素源を炭素化させて炭素を付与することができる。なお、炭素源が溶媒に溶解しない等の場合は、炭素源を分散媒中に分散させた分散液とすることもできる。
炭素源の溶液又は分散液における炭素源の含有率は、分散のし易さの観点から0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが更に好ましい。アルミニウムケイ酸塩と炭素源との混合比(アルミニウムケイ酸塩:炭素源)としては、HF吸着能と、より低い水分吸着率との両立の観点から、質量比で100:1〜100:500であることが好ましく、100:5〜100:300であることがより好ましい。
乾式混合法の場合は、例えば、アルミニウムケイ酸塩と炭素源とを固体同士で混合して混合物とし、この混合物を不活性雰囲気下で熱処理することにより炭素源を炭素化させて、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与することができる。なお、アルミニウムケイ酸塩と炭素源とを混合する際、力学的エネルギーを加える処理(例えば、メカノケミカル処理)を施してもよい。
アルミニウムケイ酸塩と炭素源とを固体同士で混合する際のアルミニウムケイ酸塩と炭素源との混合比(アルミニウムケイ酸塩:炭素源)としては、HF吸着能と、より低い水分吸着率との両立の観点から、質量比で100:1〜100:500であることが好ましく、100:5〜100:300であることがより好ましい。
化学蒸着法の場合は、公知の方法が適用でき、例えば、炭素源を気化させたガスを含む雰囲気中でアルミニウムケイ酸塩を熱処理することで、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与することができる。
湿式混合法又は乾式混合法によってアルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与する場合、前記炭素源としては、特に制限はないが、熱処理により炭素を残し得る化合物であればよく、具体的には、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリブチラール等の高分子化合物;エチレンヘビーエンドピッチ、石炭ピッチ、石油ピッチ、コールタールピッチ、アスファルト分解ピッチ、ポリ塩化ビニル(PVC)等を熱分解して生成するPVCピッチ、ナフタレン等を超強酸存在下で重合させて作製されるナフタレンピッチ等のピッチ類;デンプン、セルロース等の多糖類;などが挙げられる。これら炭素源は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化学蒸着法によって炭素を付与する場合、炭素源としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素等のうち、気体状又は容易に気体化可能な化合物を用いることが好ましい。具体的には、メタン、エタン、プロパン、トルエン、ベンゼン、キシレン、スチレン、ナフタレン、アントラセン等の炭化水素、クレゾール等のこれらの炭化水素の誘導体などが挙げられる。これらの炭素源は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
炭素源を炭素化するための熱処理温度は、炭素源が炭素化する温度であれば特に制限されず、500℃以上であることが好ましく、600℃以上であることがより好ましく、700℃以上であることが更に好ましい。また、炭素を低結晶性とする観点からは、1300℃以下であることが好ましく、1200℃以下であることがより好ましく、1100℃以下であることが更に好ましい。
熱処理時間は、用いる炭素源の種類又はその付与量によって適宜選択され、例えば、0.1時間〜10時間が好ましく、0.5時間〜5時間がより好ましい。
なお、熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理装置は、加熱機構を有する反応装置であれば特に限定されず、連続法、回分法等での処理が可能な加熱装置などが挙げられる。具体的には、流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉等をその目的に応じ適宜選択することができる。
熱処理により得られた熱処理物は個々の粒子が凝集している場合があるため、解砕処理することが好ましい。また、所望の平均粒子径への調整が必要な場合は更に粉砕処理を行ってもよい。
また、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与する別の方法としては、例えば、アルミニウムケイ酸塩の表面に付与する炭素として、ソフトカーボン、ハードカーボン等の非晶質炭素、黒鉛などの炭素質物質を用いる方法が挙げられる。この方法によれば、図10及び図11に示すような、炭素40が粒子としてアルミニウムケイ酸塩50の表面に存在する形状のアルミニウムケイ酸塩複合体を作製することもできる。前記炭素質物質を用いる方法としては、上述した湿式混合法又は前記乾式混合法を応用することができる。
湿式混合法を応用する場合は、炭素質物質の粒子と、分散媒とを混合して分散液とし、この分散液とアルミニウムケイ酸塩とを更に混合することにより、アルミニウムケイ酸塩の表面に分散液を付着させ、それを乾燥後に熱処理することで作製される。また、結着剤を用いる場合には、炭素質物質の粒子と、結着剤となる有機化合物(熱処理により炭素を残し得る化合物)と分散媒とを混合して混合物とし、この混合物とアルミニウムケイ酸塩とを更に混合することにより、アルミニウムケイ酸塩の表面に混合物を付着させ、それを乾燥後に熱処理することで、アルミニウムケイ酸塩の表面に炭素を付与することもできる。前記有機化合物としては、熱処理により炭素を残し得る化合物であれば特に制限はない。また、湿式混合法を応用する場合の熱処理条件は、前記炭素源を炭素化するための熱処理条件を適用することができる。
乾式混合法を応用する場合は、炭素質物質の粒子と、アルミニウムケイ酸塩とを固体同士で混合して混合物とし、この混合物に必要に応じて力学的エネルギーを加える処理(例えば、メカノケミカル処理)を行うことで作製される。なお、乾式混合法を応用する場合においても、アルミニウムケイ酸塩中にケイ素の結晶子を生成させるために、熱処理を行うことが好ましい。乾式混合法を応用する場合の熱処理条件は、前記炭素源を炭素化するための熱処理条件を適用することができる。
アルミニウムケイ酸塩を製造により得る場合には、アルミニウムケイ酸塩複合体の製造方法は、アルミニウムケイ酸塩を得る工程のいずれかの段階で炭素源を供給して、アルミニウムケイ酸塩を得る際に表面に炭素を配置させて、アルミニウムケイ酸塩複合体を得る製造方法であってもよい。この製造方法では、合成又は脱塩後のアルミニウムケイ酸塩の分散液に炭素源を供給し、得られた炭素源を含有するアルミニウムケイ酸塩分散液を、炭素源を炭素化するための熱処理に供することができる。炭素源含有分散液を熱処理することにより、表面に炭素を有するアルミニウムケイ酸塩複合体が得られる。
アルミニウムケイ酸塩の分散液に炭素源を供給する場合、分散液中の炭素源の含有率は、0.005質量%〜5質量%であることが好ましく、0.01質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜1.5質量%であることが更に好ましい。炭素源の含有率を0.005質量%以上とすることにより、アルミニウムケイ酸塩複合体の導電性が向上する傾向があり、5質量%以下とすることにより、アルミニウムケイ酸塩複合体のHF吸着能をより有効に活用できる傾向がある。
次に、実施例により本実施形態を説明するが、本実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)アルミニウムケイ酸塩の作製
Al濃度:1.0mol/Lの硫酸アルミニウム水溶液(500mL)に、Si濃度:2.0mol/Lのオルトケイ酸ナトリウム水溶液(500mL)を加え、30分間撹拌した。
次に、この溶液を乾燥器に入れ、98℃で5時間加熱した。
加熱後の溶液に、濃度:2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を160mL添加し、pHを9に調整した。pHの調整を行うことにより溶液中のアルミニウムケイ酸塩を凝集させ、遠心分離装置として株式会社トミー精工の「Suprema23」及びスタンダードロータ「NA−16」を用い、回転速度:3,000回転/分で、5分間の遠心分離を行った。この遠心分離によって得られた凝集体を沈殿させ、次いで上澄み液を排出した。上澄み液を排出した後の沈殿物に純水を添加して遠心分離前と同じ容積に戻した。以上の脱塩処理を合計で3回行った。
3回目の脱塩処理の上澄み排出後に得られたゲル状沈殿物を、濃度が60g/Lとなるように純水に分散した。株式会社堀場製作所の「F−55」及び電気伝導率セル「9382−10D」を用いて、常温(25℃)で電気伝導率を測定したところ、1.4S/mであった。
溶液中のゲル状沈殿物のケイ素原子濃度及びアルミニウム原子濃度を、株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」を用いて、常法により測定したところ、ケイ素原子の濃度は1.22mol/Lであり、アルミニウム原子の濃度は0.61mol/Lであった。
脱塩処理3回目の上澄み排出後に得たゲル状沈殿物を、110℃で16時間乾燥して30gの粉末を得た。粉末X線回折により確認した結果、無定形アルミニウムケイ酸塩であることが確認された。図12に粉末X線回折の測定結果のチャートを示す。
常法のICP発光分光分析により、株式会社日立製作所のICP発光分光装置「P−4010」を用いて求めたSi及びAlの元素モル比Si/Alは、2.0であった。
(2)アルミニウムケイ酸塩の炭素被覆
作製したアルミニウムケイ酸塩の粒子とポリビニルアルコール粉末(和光純薬工業株式会社)とを100:80の質量比で混合し、窒素雰囲気下、1000℃で1時間熱処理して、アルミニウムケイ酸塩の粒子の表面の少なくとも一部に炭素が配置されたアルミニウムケイ酸塩複合体を得た。また、得られたアルミニウムケイ酸塩複合体のR値を日本分光株式会社のラマンスペクトル測定装置(NSR−1000型、励起波長532nm)を用いて、測定範囲(830cm−1〜1940cm−1)全体をベースラインとして算出したところ、1.0であった。
得られたアルミニウムケイ酸塩複合体について上述した方法で測定したBET比表面積は20m/gであり、水分吸着率は1.4質量%であった。
[電極材の作製]
水酸化カリウム賦活活性炭に対し、アルミニウムケイ酸塩複合体を質量比(水酸化カリウム賦活活性炭:アルミニウムケイ酸塩複合体)が95:5となるように加えたものを正極用電極材とした。また、水酸化カリウム賦活活性炭のみ用いたものを負極用電極材とした。
[電極の作製]
正極用又は負極用の電極材100質量部と、導電助剤(デンカ株式会社の「HS100」)10質量部と、カルボキシメチルセルロース(株式会社ダイセルの「DN−10L」)2質量%水溶液200質量部と、60質量%ポリテトラフルオロエチレン水分散液(ダイキン工業株式会社の「M−390」)5質量部を混合し、水を加えてスラリーを作製した。このスラリーをアルミニウムエッチング箔(宝泉株式会社、膜厚20μm)に、乾燥後の電極材層とアルミニウムエッチング箔の合計の厚みが70μmとなるように塗布した。これを乾燥機にて80℃で5時間、次いで120℃で3時間乾燥した後、直径16mmの円形に打ち抜き、電極を作製した。電極は、正極用と負極用として2枚作製した。
[セルの作製]
作製した2枚の電極と、紙セパレータ(ニッポン高度紙工業株式会社の「TF40」)と、SUS製のコインセル上下蓋と、アルミスペーサーを真空乾燥機を用いて120℃で3時間真空乾燥した。乾燥後、アルゴン置換グローブボックス内にて、コイン型のセルを作製した。セルは、紙セパレータを介して2枚の電極を対向させた後、セル内の空間を埋めるためアルミスペーサーを入れた状態でコインセル上下蓋で挟み、電解液を約0.03ml入れた後、サイドボックス内で10torr以下の減圧度で10分間減圧含浸処理を行ってから密封した。電解液としては、エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:ジエチルカーボネートの体積比が1:1:1の混合溶媒に対して、ヘキサフルオロリン酸リチウムを1mol/L溶解したものを用いた。
[セルの寿命特性の評価]
作製したセルを充放電試験機(東洋システム株式会社の「TOSCAT」)に接続し、25℃の恒温槽にて充放電を繰り返すサイクル試験を行って寿命特性を評価した。サイクル試験における充電電流は2mA、充電電圧は2Vとした。また、充電時間は2時間とした。放電電流は2mAとし、電圧が0Vとなるまで放電した。充電と放電を1サイクルとし、これを1000サイクル行い、以下の式によりサイクル特性を算出した。結果は90%であった。
サイクル特性(%)=(1000サイクル後の放電容量/1サイクル後の放電容量)×100
<比較例1>
正極用電極材として、負極用電極材(アルミニウムケイ酸塩複合体を含まない)を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン型のセルを作製し、実施例1と同様にしてサイクル試験による寿命特性の評価を行った。結果は80%であった。
以上の結果から、アルミニウムケイ酸塩複合体を電極材に用いることで、セルの寿命特性が向上することがわかった。これは、電解液中のフッ化水素(HF)が電極材中のアルミニウムケイ酸塩複合体により吸着されることで、充放電による容量低下が抑制されるためと推測される。
40 炭素
50 アルミニウムケイ酸塩

Claims (7)

  1. アルミニウムケイ酸塩と、前記アルミニウムケイ酸塩の表面に配置される炭素と、を有するアルミニウムケイ酸塩複合体を含む、電気二重層キャパシタ用添加剤。
  2. 前記アルミニウムケイ酸塩複合体の炭素含有率が、前記アルミニウムケイ酸塩複合体全体の0.1質量%〜50質量%である、請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
  3. 前記アルミニウムケイ酸塩複合体のラマンスペクトル解析から得られるR値が0.1〜5.0である、請求項1又は請求項2に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
  4. 前記アルミニウムケイ酸塩複合体のアルミニウム(Al)に対するケイ素(Si)の元素モル比Si/Alが0.1〜500である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
  5. 前記アルミニウムケイ酸塩複合体の水分吸着率が0質量%〜15質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
  6. 前記アルミニウムケイ酸塩複合体のBET比表面積が0.1m/g〜500m/gである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用添加剤を含む、電気二重層キャパシタ。
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JP2020176016A (ja) * 2019-04-15 2020-10-29 国立研究開発法人産業技術総合研究所 サポナイト型粘土鉱物の合成方法

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