以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1乃至図8は、本発明に係る粉粒体充填システム(以下、単に「充填システム」と称する)の一実施形態を示す。図1に示すように、充填システム1は、容器2を格納する保管棚3a,3bと、容器2を移動させる搬送装置4と、容器2に粉粒体を充填する充填装置5と、粉粒体が充填された容器2に蓋6a,6bを取り付ける施蓋装置7a,7bと、各装置4,5,7a,7bの制御を実行する制御盤8とを備える。
容器2は、プラスチック製のものが主に使用されるが、金属製のものであってもよい。容器2の寸法は、例えば直径が50〜200mm、高さが50mm〜300mmとされるが、これに限定されない。容器2に充填される粉粒体としては、ガラス粉末、プラスチック粉末、又は金属粉末が使用され、或いはこれらのうち少なくとも二種の粉末を混合したものが含まれる。粉粒体の粒径は、1〜4μmとされるが、これに限定されない。
図1に示すように、充填システム1は、工場等の設置スペースにおける第一の設置エリアA1に充填装置5と制御盤8とが並設され、第二の設置エリアA2に搬送装置4が配置され、第三の設置エリアA3に保管棚3a,3bと施蓋装置7a,7bとが並設されてなる。
図1に示すように、保管棚3a,3bは、粉粒体を充填する前の空の容器2を格納する第一保管棚3aと、粉粒体が充填された後の容器2を保管する第二保管棚3bとを備える。第一保管棚3aと第二保管棚3bは、同型のものが使用されるが、異なる構成のものを用いてもよい。図2に示すように、各保管棚3a,3bは、容器2を搬入又は搬出するための搬入・搬出部9と、容器2を滑動可能に支持する複数の棚板10とを備える。また、各保管棚3a,3bは、その下部にキャスタ3cを有する。
各棚板10は、複数の容器2を複行複列に整列して支持するように構成される(図1参照)。各棚板10は、上下方向において一定の間隔をおいて配置される。また、各棚板10は、各保管棚3a,3bの後側(奥側)から前側の搬入・搬出部9に向かうにつれて下方に傾斜するように配置される(図2参照)。このように棚板10を傾斜させることで、棚板10に載置される容器2は、その自重により、搬入・搬出部9に向かって滑動し易くなる。
例えば、第一保管棚3aの搬入・搬出部9から容器2を取り出すと、その後方に位置する容器2が、前方に滑動し、最前部である搬入・搬出部9に位置することになる。これにより、容器2の搬出を効率良く行うことができる。また、第二保管棚3bの搬入・搬出部9に充填済みの容器2を搬入する場合には、既に搬入・搬出部9に容器2が存在していたとしても、新たに格納すべき容器2を、既存の容器2に当接させて押し込むことにより、両者を棚板10上で滑動させて、共に棚板10に載せることができる。
上記のように、各保管棚3a,3bは、同じ位置(搬入・搬出部9)から容器2の搬入又は搬出を行うことができる。これにより、第一保管棚3a及び第二保管棚3bは、容器2の搬入用と搬出用とに共用できる。本実施形態では、第一保管棚3aを空の容器2の保管用(搬出用)とし、第二保管棚3bを充填済みの容器2の保管用(搬入用)としているが、これに限定されない。例えば第一保管棚3aのみを使用して、空の容器2と、充填済みの容器2と別々の棚板10に載置してもよい。これにより、保管棚3a,3bの数を最小化し、設置の際の省スペース化を可能にする。また、搬送装置4による容器2の搬入・搬出に係る動作をほぼ共通化できるため、その制御を簡略化して設備コストを低減できる。
図1に示すように、搬送装置4は、容器2を把持するとともに、所定の方向に移動させるロボットアーム11と、このロボットアーム11を所定の方向に案内するガイド機構12とを有する。図3に示すように、ロボットアーム11は、一対のアーム部材13a,13bを有する。各アーム部材13a,13bは、互いに接近・離反するように構成される。アーム部材13a,13bは、容器2を把持するための凹部13cを有する。ガイド機構12は、ロボットアーム11を上下方向及び水平方向に移動させ、あるいは、ロボットアーム11を鉛直方向に沿う軸心廻りに回転又は回動させるように構成される。なお、ロボットアーム11の数は特に限定されないが、設備コストを低減する観点から一個のロボットアーム11を有する搬送装置4が例示される。
上記の構成により、ロボットアーム11は、第一保管棚3aから充填装置5へ、充填装置5から施蓋装置7a,7bへ、施蓋装置7a,7bから第二保管棚3bへ、そして第二保管棚3bから第一保管棚3aへと移動するように構成される。搬送装置4は、ロボットアーム11を制御する制御部(図示せず)を有する。制御部は、制御盤8に接続されており、制御盤8からの制御信号に基づき、ロボットアーム11の動作に係る制御を実行する。
図4に示すように、充填装置5は、粉粒体を移送するスクリューフィーダ14と、容器2の重量を計測する計量器15とを備える。スクリューフィーダ14は、ホッパ16と、ホッパ16に連結される筒部17と、筒部17内に配置されるスクリュー18と、スクリュー18を回転させるモータ19と、筒部17の端部の下方位置に配置されるシャッタ20とを備える。
ホッパ16は、筒部17の上方に配置されており、内部に貯留する粉粒体を筒部17へと供給する。筒部17は水平方向に沿って配置されており、その一方の端部がホッパ16に連結されている。筒部17の他方の端部には、粉粒体の吐出口17aが形成されている。図5に示すように、吐出口17aには、網状のフィルタ17bが設けられている。フィルタ17bの材質は、鉄やステンレスが好ましいが、他の金属でもあってもよい。フィルタ17bは、粉粒体の吐出量を微調整するとともに、筒部17内の粉粒体が不測に容器2内へとこぼれ落ちることを防止する。フィルタ17bは、格子形状を呈し、複数の開口部17cを有する。開口部17cの寸法は、5〜15mm角とされるが、これに限定されず、粉粒体の種別や粒径に応じて適宜設定され得る。
スクリュー18は、螺旋状の羽根を有する。スクリュー18は、筒部17内において、当該筒部17と同心状に配置されている。スクリュー18の一端部は、モータ19の回転軸に連結されている。モータ19は、ホッパ16の一部に支持されている。モータ19は、制御盤8に接続されている。モータ19の回転数は、制御盤8からの制御信号により制御される。
シャッタ20は、支持部材21を介して所定の方向に移動可能に構成される。支持部材21は、シャッタ20を、筒部17の吐出口17aから吐出された粉粒体が容器2に入らないようにその落下を阻止する遮断位置と、吐出口17aから離れて吐出口17aからの粉粒体の落下を許容する待機位置とに移動させる。支持部材21は、アクチュエータ(図示せず)に連結されている。アクチュエータの動作は、制御盤8によって制御される。なお、シャッタ20の動作については、旋回式が採用されるが、これに限定されず、直動式であってもよい。
計量器15は、その上部に、容器2が載置される計量台15aを有する。計量器15は、スクリューフィーダ14の近傍位置に配置される支持台22に載置される。支持台22は、キャスタ22aを有しており、移動可能に構成される。計量器15は、制御盤8に接続されており、容器2の測定値(重量)を制御盤8へと随時送信する。
施蓋装置7a,7bは、容器2内に中蓋6aを挿入する中蓋施蓋装置7aと、容器2に外蓋6bを取り付ける外蓋施蓋装置7bとを含む。
図6に示すように、中蓋施蓋装置7aは、未使用の中蓋6aを積層状に格納する中蓋保管部23と、中蓋保管部23から中蓋6aを取り出して移送する中蓋取出部24と、中蓋6aを容器2内へと挿入する中蓋挿入部25と、容器2を支持する支持部26とを備える。中蓋施蓋装置7aは制御盤8に接続されており、制御盤8からの信号により、中蓋保管部23、中蓋取出部24、中蓋挿入部25の動作が制御される。なお、中蓋6aは、円形状に構成されるとともに、その周縁部に、厚さ方向に突出する環状の突出部を有する。
中蓋保管部23は、図6、図7に示すように、中蓋6aを積層した状態で収容する複数の中蓋収容部27と、中蓋6aを積層してなる積層体6Aを下側から押し上げる支持体28とを備える。
各中蓋収容部27は、基板27aに複数の棒材29を環状に立設してなり、この環の内側に中蓋6aを積層して収容する。基板27aには、当該基板27aを回転させる駆動軸27bが連結されている。駆動軸27bは、モータ等の駆動源(図示せず)に接続されており、基板27aを回転させることにより、中蓋収容部27の位置を変更する。中蓋収容部27内で積層される中蓋6aは、中蓋取出部24により、上側から一枚ずつ取り出される。
支持体28は、上下方向に移動可能に構成される。支持体28は、中蓋6aを積層してなる積層体6Aの下部に接触することにより、当該積層体6Aを支持する。支持体28は、中蓋6aが取り出される度に所定のピッチで上昇し、中蓋取出部24により最上部の中蓋6aを取り出すことができるように、積層体6Aを上方に押し上げる。
中蓋取出部24は、上下方向及び水平方向に移動可能に構成される。中蓋取出部24は、中蓋6aを保持可能なチャック機構24aを有する。中蓋取出部24は、中蓋保管部23の中蓋収容部27の上方位置に移動し、さらに下降して中蓋6aを中蓋収容部27から取り出すように構成される。また、中蓋取出部24は、中蓋収容部27から取り出した中蓋6aを保持したまま、支持部26の上方位置に移動し、支持部26に支持される容器2の上部(口部)に当該中蓋6aを載置するように構成される。
中蓋挿入部25は、上下方向に移動可能に構成される。中蓋挿入部25は、その下部に中蓋6aを押圧するためのプッシャ30を備える。プッシャ30は、中蓋6aの突出部に当接するように、円環状に構成される。中蓋挿入部25は、支持部26の上方に配置されている。中蓋挿入部25は、図6に示す待機位置と、待機位置から下降して、中蓋6aを容器2内に挿入する挿入位置とに位置変更可能に構成される。
支持部26は、上下方向に長い長尺状に構成されており、その上部に容器2を支持する支持面26aを有する。また、支持部26は、支持面26aに載置された容器2の位置決めを行う位置決め部(位置決めチャック)31を有する。位置決め部31は、容器2が支持面26aに載置された後に、当該容器2を中蓋挿入部25のプッシャ30と同軸状となるように移動させる。
図8に示すように、外蓋施蓋装置7bは、未使用の外蓋6bを積層状に保管する外蓋保管部32と、外蓋6bを保持して移動させる外蓋取出部33と、容器2を支持する支持部34と、支持部34を回転させる駆動部35とを備える。なお、外蓋6bは、平面視円形状に構成されるとともに、容器2に係合する雌ねじ部を有する。また、容器2の口部における外周面には、この雌ねじ部に係合する雄ねじ部が形成されている。
外蓋保管部32は、外蓋6bを積層状に格納する外蓋収容部36と、外蓋6bを積層してなる積層体6Bを下側から押し上げる支持体37とを備える。外蓋収容部36及び支持体37は、中蓋保管部23の中蓋収容部27及び支持体28と同じ構成である。すなわち、外蓋収容部36は、基板36a、駆動軸36b、及び複数の棒材29により構成される。
外蓋収容部36内で積層される外蓋6bは、外蓋取出部33により、上側から一枚ずつ取り出される。支持体37は、外蓋6bが取り出される度に所定のピッチで上昇し、外蓋取出部33により最上部の外蓋6bを取り出すことができるように、積層体6Bを上方に移動させる。
外蓋取出部33は、上下方向及び水平方向に移動可能に構成される。外蓋取出部33は、外蓋6bを保持可能なエアチャック33aを有する。外蓋取出部33は、外蓋保管部32の外蓋収容部36の上方に移動した後、下降して積層体6Bの上部の外蓋6bを保持する。外蓋取出部33は、外蓋6bを保持したまま、支持部34に載置された容器2の上方に移動した後、下降して当該外蓋6bを容器2の口部に接触させることができる。
支持部34は、容器2を支持する支持軸部38を備える。支持軸部38は、支持台39により回転可能に支持されている。支持軸部38は、その上端部に容器2を把持する容器把持部40を有する。容器把持部40は、容器2を把持可能なエアチャック40aと、このエアチャック40aに接続されるとともに、エアを供給するエアホース40bとを有する。また、支持軸部38は、トルクリミッタ(摩擦版)41と、トルクリミッタ41の下方に配置されるロータリジョイント42とを有する。容器把持部40のエアホース40bは、ロータリジョイント42に接続されている。
駆動部35は、支持軸部38の近傍位置に配置されるモータ43と、支持軸部38の中途部に形成されたプーリ44と、駆動ベルト45とを有する。モータ43は、その回転軸43aにプーリ43bを備える。駆動ベルト45は、支持軸部38のプーリ44と、モータ43のプーリ43bに巻き掛けられる。駆動部35は、モータ43の動力を、駆動ベルト45を介してプーリ44に伝達し、支持軸部38を回転させる。
制御盤8は、例えばCPU、ROM、RAM、HDD、モニタ、入力インタフェース等の各種ハードウェアを実装し得る。制御盤8は、CPUにより構成される演算処理部と、ROM、RAM、HDD等により構成される記憶部と、搬送装置4を制御する第一の制御部と、充填装置5を制御する第二の制御部と、施蓋装置7a,7bを制御する第三の制御部とを備える(いずれも図示せず)。制御盤8は、搬送装置4におけるロボットアーム11の移動、アーム部材13a,13bの動作、充填装置5におけるモータ19及びシャッタ20の動作、及び施蓋装置7a,7bの各部の動作に係る制御を実行する。
以下、上記構成の充填システム1を用いて容器2に粉粒体を充填する方法(粉粒体内蔵容器の製造方法)について説明する。本方法は、充填装置5により粉粒体を容器2に充填する工程(充填工程)と、各施蓋装置7a,7bにより容器2に蓋6a,6bを取り付ける工程(中蓋施蓋工程、外蓋施蓋工程)とを主に備える。また、本方法は、搬送装置4により容器2を各工程に搬送する工程(搬送工程)を備える。以下、各工程の詳細について説明する。
本方法では、まず搬送装置4のロボットアーム11により、第一保管棚3aから空の容器2を取り出し、充填装置5へと移動させる。搬送装置4は、容器2を充填装置5の計量器15(計量台15a)に載置する。このとき、シャッタ20は、遮断位置にあってスクリューフィーダ14の吐出口17aから粉粒体が容器2に落下することを防止する。制御盤8から送信される、充填開始の制御信号により、シャッタ20は待機位置へと移動する。
充填装置5は、計量器15により容器2の重量を測定しながら、モータ19によりスクリュー18を回転させる。制御盤8は、計量器15の重量に係るデータを随時受信するとともに、そのデータに応じてスクリュー18の回転数を制御する。スクリュー18の回転により、筒部17内の粉粒体が吐出口17aから押し出される。押し出された粉粒体は、吐出口17aの下方に位置する容器2内に落下する。スクリュー18は、充填開始時から充填終了間際まで高速で回転するが、充填の最終段階において低速回転に切り替えられる。
すなわち、充填装置5は、計量器15にて容器2に入った重量を測定していることから、制御盤8の制御により、その充填率が80%〜95%程度になった場合に、スクリュー18の回転を高速から低速へと切り替える。例えば、粉粒体の充填量が1000gであり、充填率が90%となったときにスクリュー18の回転速度を切り替える場合、制御盤8は、計量器15から送信される重量値が900gに達したときに、スクリュー18の回転数を高速から低速に切り替える旨の制御信号をモータ19に送信する。このようなフィードバック制御により、容器2に対して粉粒体を正確に充填することが可能になる。充填が終了すると、待機位置にあるシャッタ20は、遮断位置へと移動する。
次に、制御盤8の制御により、搬送装置4のロボットアーム11は、容器2を再び把持し、当該容器2を中蓋施蓋装置7aへと移動させる。ロボットアーム11は、中蓋施蓋装置7aにおける支持部26の支持面26aに容器2を載置し、中蓋施蓋装置7aから離れる。その後、容器2は、位置決め部31により支持面26a上の所定位置に固定される。
中蓋施蓋装置7aでは、中蓋取出部24が中蓋保管部23から中蓋6aを取り出し、支持部26に向かって移動する。中蓋取出部24は、待機位置にある中蓋挿入部25と、支持部26に支持される容器2との間の位置に移動する。この位置に移動すると、中蓋取出部24は、さらに下降して容器2に接近した後、保持している中蓋6aを離して容器2の上部に載せる。その後、中蓋取出部24は、この位置から退避する。次に、中蓋挿入部25が下降し、挿入位置へと移動する。このとき、プッシャ30は、中蓋6aの突出部に当接し、容器2内に押し込む。その後、中蓋挿入部25は待機位置へと戻る。
中蓋6aの挿入が完了すると、搬送装置4のロボットアーム11は、容器2を把持し、当該容器2を外蓋施蓋装置7bに移動させる。ロボットアーム11は、外蓋施蓋装置7bの容器把持部40に容器2を載置する。その後、制御盤8の制御により、容器把持部40は、エアチャック40aにより容器2を把持する。一方、外蓋施蓋装置7bの外蓋取出部33は、外蓋保管部32から外蓋6bを取り出して、容器2の上方位置まで移動する。
その後、外蓋取出部33は、容器2に向かって外蓋6bを下降させ、この容器2の口部に外蓋6bを接触させる。その後、駆動部35は、支持軸部38を回転させる。これに伴い、容器把持部40に保持されている容器2も回転する。これにより、容器2の口部に形成される雄ねじ部が外蓋6bの雌ねじ部に嵌め込まれる。この場合において、支持部34のトルクリミッタ41は、容器把持部40に保持される容器2に過剰なトルクが作用することを防止する。
外蓋6bの取り付けが完了すると、容器把持部40のエアチャック40aによる容器2の保持が解除される。その後、搬送装置4のロボットアーム11は、容器2を把持するとともに第二保管棚3bに当該容器2を格納する。
上記の工程を繰り返すことにより、多数の容器2に粉粒体を連続的に充填することが可能である。この場合、搬送装置4のロボットアーム11は、以下のように動作する。上記の工程のうち、最も時間を要するのは、充填装置5により粉粒体を容器2に充填する工程である。このため、充填装置5が粉粒体を容器2に充填している間、搬送装置4は、下流の工程における容器2の搬送処理を実行する。
すなわち、搬送装置4は、外蓋施蓋装置7bによって外蓋6bが取り付けられた容器2を第二保管棚3bに搬送する処理、中蓋施蓋装置7aによって中蓋6aが取り付けられた容器2を外蓋施蓋装置7bに搬送する処理をこの順に実行する。その後、搬送装置4は、充填が完了した容器2を中蓋施蓋装置7aに搬送する処理を実行し、最後に、第一保管棚3aから充填装置5へと空の容器2を搬送する処理を実行する。このように、充填工程の実行中に、下流の工程における容器2の搬送処理を順次実行することにより、充填システム1は、少数(少なくとも一個)のロボットアーム11によって効率良く作業を行うことができ、したがってタクトタイムを可及的に低減できる。
以上説明した本実施形態に係る充填システム1によれば、搬送装置4をロボットアーム11により構成することで、従来のベルトコンベア式の充填システムと比較して、システム全体の構成を小型化できる。これにより、工場等における充填システム1の省スペース化を実現できる。また、ロボットアーム11により、容器2の搬送処理の全てを行うことで、充填及び施蓋に係る一連の工程を効率良く実行するとともに、充填装置5、施蓋装置7a,7b及び保管棚3a,3bのレイアウトも自由に設定できる。
また、充填装置5は、計量器15によって容器2の重量を測定しながら、フィードバック制御により充填工程を実行することで、粉粒体を容器2に対して正確に充填できる。また、充填装置5における筒部17の吐出口17aにフィルタ17bを設けることで、吐出口17aから少量の粉粒体を吐出させることができ、吐出口17aからこぼれ落ちる粉粒体が容器2に入ることを防止できる。
図9乃至図20は、充填システムにおける中蓋施蓋装置の他の実施形態を示す。
図9及び図10に示すように、中蓋施蓋装置7aの位置決め部31は、容器2の側部を把持する第一把持部(第一チャック)31a及び第二把持部(第二チャック)31bを備える。各把持部31a,31bは、エアチャックにより構成されるが、これに限定されるものではない。各把持部31a,31bは、上下方向に間隔をおいて配置される。第一把持部31aは、容器2の側部における下側の部分を把持し、第二把持部31bは、容器2の側部における上側の部分を把持する。各把持部31a,31bは、一対のアーム部46,47を有する。アーム部46,47は、互いに接近・離反するように構成される。アーム部46,47は、その中途部が屈曲しており、容器2の複数箇所に接触するように構成される。各アーム部46,47は、容器2の側部に接触する第一接触部46a,47a,及び第二接触部46b,47bを有する。
第二把持部31bは、中蓋6aの位置決め部材48を備える。位置決め部材48は、第二把持部31bの中途部から上方に突出する金属製の板状部材であるが、合成樹脂その他の素材により形成されてもよい。本実施形態において、位置決め部材48は、板ばねにより構成されるが、この構成に限定されない。位置決め部材48は、第二把持部31bの各アーム部46,47の複数箇所(図例では四箇所)に設けられる。具体的には、位置決め部材48は、アーム部46,47の各接触部46a,46b,47a,47bに対応する位置に設けられる。位置決め部材48は、中蓋6aに接触可能なガイド部49と、第二把持部31bのアーム部46,47に取り付けられる固定部50と、ガイド部49と固定部50とを繋ぐ中間部51とを有する。
ガイド部49は、上下方向に沿う板状の部分である。ガイド部49は、中蓋6aに接触するガイド面49aを有する。固定部50は、ねじ、ボルト等の固定手段により、アーム部46,47において、各接触部46a,46b、47a,47bとは反対側の面に固定される。中間部51は、ガイド部49と固定部50とを位置決め部材48の板厚方向及び長手方向に離間する。中間部51は、ガイド部49及び固定部50の各々に対して所定の角度で傾斜した姿勢で、ガイド部49と固定部50とを連結する。上記の構成により、位置決め部材48は、容器2に接触することなく、中蓋6aのみに接触し得る。
以下、上記構成の中蓋施蓋装置7aの動作態様(中蓋施蓋工程)を説明する。充填システム1は、粉粒体の充填が完了した容器2を、中蓋施蓋装置7aへと移動させる。ロボットアーム11は、中蓋施蓋装置7aにおける支持部26の支持面26aに容器2を載置し、中蓋施蓋装置7aから離れる。
支持部26の上方において、位置決め部31(第一把持部31a,第二把持部31b)のアーム部46,47は、待機位置にある。図11及び図12に示すように、容器2は、アーム部46,47に接触しないように、一方のアーム部46と他方のアーム部47との間に配置される。
容器2が支持部26に載置されると、第一把持部31aが作動し、そのアーム部46,47を相互に接近させる。図13及び図14に示すように、各アーム部46,47は、各接触部46a,46b,47a,47bが容器2の側部の下側の部分に接触させ、当該容器2を把持する。容器2は、アーム部46,47に把持された状態で、支持面26a上において所期の位置に固定される。
一方、中蓋取出部24は、中蓋保管部23から中蓋6aを取り出し、支持部26に向かって移動する。中蓋取出部24は、待機位置にある中蓋挿入部25と、支持部26に支持される容器2との間の位置に移動した後、一時停止して待機する。
第一把持部31aによる容器2の固定が終了すると、待機していた中蓋取出部24は、容器2に向かって下降する。
位置決め部31の第二把持部31bは、中蓋取出部24の動作に連動して、そのアーム部46,47を相互に接近させる。中蓋取出部24によって保持される中蓋6aの位置が容器2の口部2aからずれている場合(図15、図16において二点鎖線で示す)、アーム部46,47が容器2に接触する前に、位置決め部材48のガイド部49(ガイド面49a)が中蓋6aの周縁部に接触する(図17、図18参照)。この動作態様に限らず、位置決め部材46は、第二把持部31bのアーム部46,47が容器2に接触するタイミングとほぼ同時に中蓋6aに接触し、且つ位置規制を行うことができる。なお、ガイド部49が中蓋6aに接触する際、中蓋6aへ過剰な押圧力が作用しないように、ガイド部49又は中間部51が弾性変形する場合がある。
第二把持部31bのアーム部46,47は、さらに相互に接近するように移動する。各アーム部46,47は、各接触部46a,46b,47a,47bが容器2の側部の上側の部分に接触させ、当該容器2を把持する。位置決め部材48は、アーム部46,47とともに、容器2に向かって移動する。これにより、中蓋6aは、容器2の直上位置へと案内される。
中蓋取出部24は、容器2の上方における所定位置で停止し、中蓋6aの保持を解除する。これにより、中蓋6aは、容器2の口部2aに正確に載置される(図19参照)。中蓋取出部24は、次の中蓋6aを保持すべく、中蓋保管部23へと移動する(図示略)。
その後、図20に示すように、中蓋挿入部25のプッシャ30が下降し、中蓋6aを容器2の口部2aへと押し込む。以上により、中蓋施蓋工程(一工程)が終了する。
以上説明した本実施形態に係る中蓋施蓋装置7aは、第二把持部31bのアーム部46,47に、中蓋6aを容器2の口部2aに案内する位置決め部材48を設けることにより、中蓋6aを精度良く口部2aへと配置できる。また、第二把持部31bは、位置決め部材48による中蓋6aの位置決めと、アーム部46,47による容器2の位置決めとの同時に行うことができる。したがって、中蓋6aの施蓋不良を可及的に低減するとともに、容器2の製造効率を一層向上させることが可能になる。
図21乃至図28は、充填システムに係る外蓋施蓋装置の他の実施形態を示す。本実施形態に係る外蓋施蓋装置7bは、図8の実施形態と同じ構成に加え、中蓋6aの施蓋不良を検出するセンサ52と、外蓋取出部33に保持される外蓋6bの姿勢を矯正する姿勢調整部53とを有する。
センサ52としては、回帰反射型光学式センサが使用されるが、これに限らず、透過型光学式センサその他の各種センサが使用され得る。また、センサ52としてレーザセンサを例示するが、光電センサその他のセンサが使用され得る。図21及び図22に示すように、センサ52は、投受光部54と、反射ミラー55とを備える。投受光部54と反射ミラー55とは、各々の間に容器2が位置するように、所定の間隔をおいて配置される。投受光部54は、レーザ光Lを反射ミラー55に投射する投光部と、反射ミラー55に反射したレーザ光Lを受光する受光部とを有する。センサ52は、制御盤8に接続されており、中蓋6aの施蓋不良を検出すると、検出信号を制御盤8に送信する。
図21及び図22に示すように、姿勢調整部53は、外蓋6bを受ける支持部材56を有する。支持部材56は、金属製で平板状に構成される。支持部材56は、水平姿勢が維持された状態で、水平方向及び上下方向に移動可能に構成される。
以下、上記構成の外蓋施蓋装置7bの動作態様(外蓋施蓋工程)について説明する。
中蓋施蓋工程終了後、中蓋6aを有する容器2は、ロボットアーム11によって搬送され、外蓋施蓋装置7bの容器把持部40に載置される。容器把持部40は、エアチャック40aによって容器2の下部を固定する。これにより容器2は、外蓋6bを施蓋可能な位置に設置される。
容器2が容器把持部40によって位置決めされると、センサ52による検査工程が実行される。検査工程では、駆動部35によって容器把持部40を回転させつつ、センサ52の投受光部54からレーザ光Lを反射ミラー55に投射する。中蓋6aが容器2の口部2aに正常に挿入されている場合、レーザ光Lは、中蓋6aの上方を通過して反射ミラー55へと到達する(図22参照)。さらにレーザ光Lは、反射ミラー55に反射して投受光部54に到達する。このように、センサ52が反射ミラー55に反射したレーザ光Lを受光する場合に、中蓋6aが正常に施蓋されていると見做される。
一方、中蓋6aが容器2の口部2aに正しく挿入されていない場合、図23に示すように、中蓋6aは、その一部が正常な位置よりも上方に浮いた状態となる。このような施蓋不良が存在する場合、投受光部54から投射されたレーザ光Lは、中蓋6aに遮られて反射ミラー55に到達しない。センサ52は、投受光部54から投射したレーザ光Lを受光しない場合に、中蓋6aの施蓋不良を検出する。センサ52は、施蓋不良に係る検出信号を制御盤8に送信する。施蓋不良とされた容器2は、外蓋6bが施蓋されることなく、制御盤8の制御されるロボットアーム11によって外蓋施蓋装置7bから排出される。
外蓋施蓋装置7bの外蓋取出部33は、外蓋保管部32から外蓋6bを取出した後、容器2の上方位置で一時停止する(図22参照)。このとき、姿勢調整部53は、支持部材56を待機位置にて待機させている。
検査工程の終了後、又は検査工程と並行して、外蓋取出部33が保持する外蓋6bの姿勢を調整する工程(姿勢調整工程)が実行される。図24に示すように、外蓋施蓋装置7bは、支持部材56を待機位置(二点鎖線で示す位置)から水平方向に移動させ、外蓋取出部33の下方位置(一点鎖線で示す位置)で一時停止させる。その後、外蓋施蓋装置7bは、支持部材56を水平移動の際の速度よりも低速で上昇させ、外蓋6bを受け取り可能な位置(実線で示す位置)で停止させる。
外蓋施蓋装置7bは、停止させていた外蓋取出部33を下方に移動させる。外蓋取出部33は、所定位置で停止するとともに、チャック33aによる外蓋6bの保持を解除する。
図25に示すように、支持部材56は、外蓋取出部33から解放された外蓋6bを受ける。支持部材56が水平姿勢を維持していることから、支持部材56に載置された外蓋6bは、水平姿勢となって当該支持部材56に支持される。その後、外蓋取出部33は、支持部材56に支持される外蓋6bを再び保持する。これにより、外蓋6bは、正常な姿勢で外蓋取出部33に保持される。その後、姿勢調整部53は、図26に示すように、支持部材56を待機位置へと移動させ、次回の動作まで待機させる。
図27に示すように、外蓋取出部33は、容器2に向かって外蓋6bを下降させ、この容器2の口部2aに外蓋6bを接触させる。駆動部35は、支持軸部38を回転させ、これに伴い、容器把持部40に保持されている容器2も回転する。これにより、容器2の口部2aに形成される雄ねじ部2bに外蓋6bの雌ねじ部6cが嵌め込まれる。
容器2の回転による施蓋が進むにつれて、外蓋6bは、徐々に下降する。外蓋取出部33は、外蓋6bの保持を維持しながら、外蓋6bに追従して下降する。
外蓋6bの施蓋が終了すると、外蓋取出部33は、チャック33aによる外蓋6bの保持を解除する(図28参照)。その後、外蓋取出部33は、次の外蓋6bを保持すべく、外蓋保管部32へと移動する。
以上説明した本実施形態に係る外蓋施蓋装置7bによれば、中蓋6aの施蓋不良を検出するセンサ52を備えることで、外蓋6bの施蓋を実行する前に中蓋6aの施蓋不良を検出することができる。また、このセンサ52による検査工程は、容器2を回転させながら行われるため、容器2の一部に存在する施蓋不良を確実に検出できる。これにより、外蓋6bを施蓋する前に施蓋不良を有する容器2を排除でき、容器2の製造効率を向上させることができる。また、外蓋施蓋装置7bは、姿勢調整部53によって外蓋6bの姿勢を正常化できることから、当該外蓋6bの施蓋不良を可及的に低減できる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記の実施形態では、中蓋施蓋装置7a及び外蓋施蓋装置7bを備えた充填システム1を例示したが、これに限定されず、充填システム1は、中蓋施蓋装置7aのみ、あるいは外蓋施蓋装置7bのみを備えるものであってもよい。
上記の実施形態では、容器2、中蓋6a及び外蓋6bを把持する手段としてエアチャックを例示したが、これに限定されず、電磁式チャック、サーボチャックその他の各種チャック機構を使用することができる。