JP2018065068A - 吸着剤及びその製造方法、二酸化炭素の除去方法、並びに、空調装置 - Google Patents

吸着剤及びその製造方法、二酸化炭素の除去方法、並びに、空調装置 Download PDF

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晃平 吉川
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Abstract

【課題】二酸化炭素の吸着量を向上させることが可能な吸着剤の製造方法を提供する。
【解決手段】二酸化炭素を含有する処理対象ガスから二酸化炭素を除去するために用いられ、セリウム酸化物を含有する吸着剤の製造方法であって、4価セリウムを含有するセリウム溶液からなる第1の液相と、塩基性溶液からなる第2の液相と、第1の液相及び第2の液相を互いに隔てる中間相とを含む反応液を準備する準備工程と、第1の液相においてセリウム酸化物を生成させる工程と、を備える、吸着剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸着剤及びその製造方法、二酸化炭素の除去方法、並びに、空調装置に関する。
近年、温室効果ガスの排出による地球温暖化が世界的な問題となっている。温室効果ガスとしては、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、フロン類(CFCs等)などが挙げられる。温室効果ガスの中でも二酸化炭素の影響が最も大きく、二酸化炭素(例えば、火力発電所、製鉄所等から排出される二酸化炭素)の除去方法の構築が求められている。
また、二酸化炭素は人体に影響を与えることが知られており、例えば、二酸化炭素を高濃度に含むガスを吸引した場合には、眠気、健康被害等を引き起こす。人の密度が高い空間(ビル、車輛等)においては、人の呼気により室内の二酸化炭素濃度(以下、場合により「CO濃度」という)が上昇しやすく、換気することでCO濃度を調整する場合がある。
室内空気と外気とを素早く換気するためには、ブロア等の送風装置を稼働させる必要がある。また、外から取り込む空気(外気)は温度及び湿度が調整されていないため、夏季には冷房を稼働させ、冬季には暖房を稼働させる必要がある。これらの理由から、室内のCO濃度上昇は、空調に伴う消費電力の増加の要因となっている。
換気による室内の二酸化炭素の減少量(CO減少量)は、下記式で表される。下記式において、左辺のCO減少量が、人の呼気によるCO増加量と同等であればCO濃度を一定に保つことができる。
CO減少量=(室内のCO濃度−外気のCO濃度)×換気量
しかしながら、近年では、外気のCO濃度が増加しているため、室内とのCO濃度差が小さくなっている。そのため、CO濃度を調整するために必要な換気量も増加している。今後、外気のCO濃度が更に増加した場合、換気によるCO濃度の調整では消費電力が増加すると考えられる。
前記課題は、外気との換気により生じるものである。そのため、換気以外の方法を用いて二酸化炭素を選択的に除去できれば、換気量を低減でき、結果として、空調に伴う消費電力を低減できる可能性がある。
また、空気の存在する外気から遮蔽された空間(宇宙ステーション、潜水艇等)においては、外気と室内空気との換気が困難であるため、換気以外の方法により二酸化炭素を選択的に除去する必要がある。
前記課題の解決策としては、例えば、化学吸収法、物理吸収法、膜分離法、吸着分離法、深冷分離法等により二酸化炭素を除去する方法が挙げられる。例えば、CO吸着剤(以下、単に「吸着剤」という。)を用いて二酸化炭素を分離及び回収する方法(CO分離回収法)が挙げられる。吸着剤としては、例えば、ゼオライトが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2000−140549号公報
ところで、吸着剤を用いた二酸化炭素の除去方法に対しては、二酸化炭素の除去効率を向上させる観点から、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることが求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素の吸着量を向上させることが可能な吸着剤及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記吸着剤を用いた二酸化炭素の除去方法及び空調装置を提供することを目的とする。
本発明に係る吸着剤の製造方法は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスから二酸化炭素を除去するために用いられる吸着剤の製造方法であって、4価セリウムを含有するセリウム溶液からなる第1の液相と、塩基性溶液からなる第2の液相と、第1の液相及び第2の液相を互いに隔てる中間相と、を含む反応液を準備する準備工程と、第1の液相においてセリウム酸化物を生成させる工程と、を備える。
本発明に係る吸着剤の製造方法によれば、二酸化炭素の吸着量を向上させることが可能な吸着剤を得ることができる。すなわち、本発明に係る吸着剤は、上記の製造方法により得られた吸着剤である。このような吸着剤は、CO吸着性(二酸化炭素の吸着性、二酸化炭素の捕捉能)に優れている。
ところで、ゼオライト等の従来の吸着剤を用いる方法では、処理対象ガスのCO濃度が低い場合において、二酸化炭素の除去効率が低下する傾向がある。一方、本発明によれば、処理対象ガスのCO濃度が低い場合において、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。このような本発明によれば、処理対象ガスのCO濃度が低い場合において、効率的に二酸化炭素を除去することができる。
上記の製造方法では、準備工程において、セリウム溶液と塩基性溶液とを互いに接触させて中間相を形成することにより反応液を準備することが好ましい。
セリウム溶液は、好ましくは、水酸化セリウム(IV)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び硫酸アンモニウムセリウム(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶液である。
塩基性溶液は、好ましくはアンモニア水溶液である。
本発明に係る二酸化炭素の除去方法は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスを上記の吸着剤に接触させて二酸化炭素を吸着剤に吸着させる工程を備える。
本発明に係る二酸化炭素の除去方法によれば、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることが可能であり、二酸化炭素の除去効率を向上させることができる。
本発明に係る空調装置は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスを含む空調対象空間に用いられる空調装置であって、空調対象空間に接続された流路を備え、処理対象ガスに含まれる二酸化炭素を除去する除去部が流路に配置されており、上記の吸着剤が除去部に配置されており、吸着剤が処理対象ガスに接触して二酸化炭素が吸着剤に吸着する。本発明に係る空調装置によれば、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることが可能であり、二酸化炭素の除去効率を向上させることができる。
処理対象ガスのCO濃度は、5000ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよい。
本発明によれば、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。特に、本発明によれば、処理対象ガスのCO濃度が低い場合において、吸着剤に対する二酸化炭素の吸着量を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空調装置を示す模式図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る空調システムを示す模式図である。 図3は、本発明に係る吸着剤の製造方法の一実施例を示す模式図である。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<吸着剤の製造方法>
本実施形態に係る吸着剤の製造方法は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスから二酸化炭素を除去(例えば回収)するために用いられる吸着剤の製造方法である。
本実施形態に係る吸着剤の製造方法では、まず、4価セリウムを含有するセリウム溶液からなる第1の液相と、塩基性溶液からなる第2の液相と、第1の液相及び第2の液相を互いに隔てる中間相と、を含む反応液を準備する(準備工程)。この反応液は、4価セリウムを含有するセリウム溶液からなるセリウム溶液層と、塩基性溶液からなる塩基性溶液層と、セリウム溶液層及び塩基性溶液層を互いに隔てる中間膜とを含む多層構造を有している、ということもできる。
4価セリウムは、例えば4価セリウムイオンであってよい。セリウム溶液は、例えば4価セリウムを含む化合物を溶媒に溶解させた溶液である。4価セリウムを含む化合物としては、酸化セリウム(IV)、水酸化セリウム(IV)、硝酸セリウム(IV)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)、硫酸アンモニウムセリウム(IV)、これらの水和物等が挙げられる。4価セリウムを含む化合物としては、セリウム酸化物を含む反応生成物が得られやすい観点から、水酸化セリウム(IV)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び硫酸アンモニウムセリウム(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
溶媒は、水(例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水)、エタノール、メタノール等のアルコール、ジメチルホルムアミドなどであってよく、好ましくは水である。セリウム溶液は、得られる吸着剤の比表面積を向上させる観点から、好ましくは、水酸化セリウム(IV)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び硫酸アンモニウムセリウム(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶液である。4価セリウムを含む化合物の含有量は、セリウム溶液の全質量基準で、例えば0.01〜20質量%であってよい。
塩基性溶液は、例えば塩基性成分を溶媒に溶解させた溶液である。塩基性成分は、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等であってよく、好ましくはアンモニアである。溶媒は、水(例えば、蒸留水、イオン交換水等の精製水)、エタノール、メタノール等のアルコール、ジメチルホルムアミドなどであってよく、好ましくは水である。塩基性溶液は、後続の工程において揮発させることにより比較的容易に除去できる観点から、好ましくはアンモニア水溶液である。
塩基性成分の含有量は、塩基性溶液の全質量基準で、例えば0.1〜50質量%であってよい。塩基性溶液のpHは、例えば9〜14であってよく、pHの上昇速度を抑制する観点から、好ましくは10〜13、より好ましくは11〜13である。
準備工程では、例えば、セリウム溶液と塩基性溶液とを互いに接触させて反応液を準備する。具体的には、準備工程では、セリウム溶液に塩基性溶液を加えて反応液を準備してもよく、塩基性溶液にセリウム溶液を加えて反応液を準備してもよいが、セリウム溶液は一般に比重が大きく容器の下部にたまりやすいため、対流による攪拌を抑制する観点から、好ましくは、セリウム溶液に塩基性溶液を加えて反応液を準備する。
このとき、セリウム溶液と塩基性溶液とが互いに反応することで生成する中間相が、セリウム溶液と塩基性溶液との界面に膜(中間膜)を形成するように、セリウム溶液と塩基性溶液とを互いに接触させる(セリウム溶液及び塩基性溶液の一方を他方に加える)。これにより、反応液中で、セリウム溶液からなる第1の液相と塩基性溶液からなる第2の液相とが、中間相により互いに隔てられた状態で存在する。このような反応液を得るためには、例えば、セリウム溶液及び塩基性溶液の一方を他方に加える速度(例えば、滴下して加える場合には滴下速度)等を調整すればよい。
準備工程において形成される中間相は、後述する生成工程において、塩基性溶液中の塩基性成分(塩基性成分のイオン)が中間相を通過して第2の液相から第1の液相へ徐々に移動することを可能にする相(膜)であればよく、例えばセリウム溶液と塩基性溶液とが互いに反応することで生成する水酸化セリウムを含んでいてよい。
本実施形態に係る吸着剤の製造方法では、続いて、第1の液相においてセリウム酸化物を生成させる(生成工程)。
生成工程では、例えば、準備工程で準備した反応液を静置することにより、第1の液相においてセリウム酸化物を生成させることができる。より具体的には、反応液を静置すると、塩基性溶液中の塩基性成分(塩基性成分のイオン)が、中間相を通過して、第2の液相から第1の液相へ徐々に移動する。これにより、セリウム溶液のpHが徐々に上昇していき、所定のpHにまで到達すると、第1の液相においてセリウム酸化物が生成する。
セリウム溶液のpH(例えば、生成工程を経て反応液が平衡状態に達したときのpH)は、セリウム酸化物が生成しやすい観点から、好ましくは4以上、より好ましくは5以上である。セリウム溶液のpHは、セリウム酸化物が生成しやすい観点から、好ましくは9以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは7未満、特に好ましくは6以下である。このセリウム溶液のpHは、塩基性溶液のpH、塩基性成分の種類、静置する環境の温度等を適宜選択することによって調整することができる。
生成工程において反応液を静置する環境の温度は、例えば0〜70℃であってよい。生成工程において反応液を静置する時間は、例えば1〜200時間であってよい。
生成工程後は、例えば、第1の液相中のセリウム酸化物を、吸引ろ過、遠心分離等の方法で分離した後、水洗及び乾燥することで、吸着剤として用いられるセリウム酸化物を得ることができる。得られたセリウム酸化物を焼成(例えば200〜300℃)してもよい。
以上説明した本実施形態に係る吸着剤の製造方法によれば、優れたCO吸着性を有する吸着剤が得られる。このような効果が得られる原因は明らかではないが、本発明者らは以下のとおりであると推察している。すなわち、本実施形態に係る吸着剤の製造方法では、準備工程で準備する反応液において、第1の液相と第2の液相とが中間相により互いに隔てられている。そのため、塩基性成分(塩基性成分のイオン)が第2の液相から第1の液相へ徐々に移動することにより、セリウム溶液のpHも緩やかに上昇する。したがって、第1の液相において均一で微細なセリウム酸化物が生成するため、COの捕捉に有利な細孔を有する吸着剤が得られると推察される。本実施形態に係る吸着剤の製造方法によれば、特に、処理対象ガスのCO濃度が低い場合において優れたCO吸着性を有する吸着剤が得られる。
<吸着剤>
本実施形態に係る吸着剤は、上述した吸着剤の製造方法により得られる。本実施形態に係る吸着剤(二酸化炭素捕捉剤)は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスから二酸化炭素を除去するために用いられる。
本実施形態に係る吸着剤は、セリウム酸化物(酸化セリウム)を含有している。セリウム酸化物としては、CeOx(x=1.5〜2.0)等が挙げられ、具体的には、CeO、Ce等が挙げられる。吸着剤は、希土類元素を更に含有してもよい。希土類元素は、例えば、酸化物、水酸化物等として吸着剤に含有されていてもよい。
吸着剤は、化学処理されていてもよく、例えば、フィラー(アルミナ、シリカ等)をバインダーとして混合することなどによって高比表面積化されていてもよい。
吸着剤におけるセリウム酸化物の含有量は、吸着剤の全質量基準で、30質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。吸着剤は、セリウム酸化物からなる態様(セリウム酸化物の含有量が吸着剤の全質量基準で実質的に100質量%である態様)であってもよい。セリウム酸化物の前記含有量が多いほど、二酸化炭素の吸着量を更に向上させることができる。
吸着剤の形状としては、粉状、ペレット状、粒状、ハニカム状等が挙げられる。吸着剤の形状は、必要となる反応速度、圧力損失、吸着剤の吸着量、吸着剤に吸着されるガス(吸着ガス)の純度(CO純度)等を勘案して決定すればよい。
<二酸化炭素の除去方法>
本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、本実施形態に係る吸着剤を、二酸化炭素を含有する処理対象ガスに接触させて二酸化炭素を当該吸着剤に吸着させる吸着工程を備える。
処理対象ガスにおけるCO濃度は、処理対象ガスの全体積基準で5000ppm以下(0.5体積%以下)であってもよい。本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法によれば、CO濃度が5000ppm以下である場合において、効率的に二酸化炭素を除去することができる。このような効果が奏される理由は、明らかでないが、以下のとおりであると本発明者らは推察している。吸着工程では、二酸化炭素がセリウム酸化物の表面に物理吸着するのではなく、二酸化炭素がセリウム酸化物の表面と化学結合することにより二酸化炭素が吸着剤に吸着されると考えられる。この場合、本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法では、吸着剤への吸着における二酸化炭素の分圧依存性が小さく、処理対象ガスのCO濃度が5000ppm以下であっても、効率的に二酸化炭素を除去することが可能であると推察される。
CO濃度は、CO濃度が低い場合であっても効率的に二酸化炭素を除去する効果が確認されやすい観点から、処理対象ガスの全体積基準で、2000ppm以下であってもよく、1500ppm以下であってもよく、1000ppm以下であってもよく、750ppm以下であってもよく、500ppm以下であってもよい。CO濃度は、二酸化炭素の除去量が多くなりやすい観点から、処理対象ガスの全体積基準で、100ppm以上であってもよく、200ppm以上であってもよく、400ppm以上であってもよい。これらの観点から、CO濃度は、処理対象ガスの全体積基準で、100〜5000ppmであってもよく、100〜2000ppmであってもよく、100〜1500ppmであってもよく、100〜1000ppmであってもよく、200〜1000ppmであってもよく、400〜1000ppmであってもよく、400〜750ppmであってもよく、400〜500ppmであってもよい。なお、労働安全衛生法の事務所衛生基準規則において室内のCO濃度は5000ppm以下に調整されるべきことが規定されている。また、CO濃度が1000ppmを超える場合には眠気を誘発することが知られており、建築物環境衛生管理基準においてCO濃度は1000ppm以下に調整されるべきことが規定されている。そのため、CO濃度が5000ppm又は1000ppmを超過しないように換気することでCO濃度を調整する場合がある。処理対象ガスにおけるCO濃度は、前記範囲に限られず、500〜5000ppmであってもよく、750〜5000ppmであってもよい。
処理対象ガスは、二酸化炭素を含有するガスであれば特に限定されず、二酸化炭素以外のガス成分を含有していてもよい。二酸化炭素以外のガス成分としては、水(水蒸気、HO)、酸素(O)、窒素(N)、一酸化炭素(CO)、SOx、NOx、揮発性有機物(VOC)等が挙げられる。処理対象ガスの具体例としては、例えば、ビル、車輛等の室内における空気が挙げられる。吸着工程において、処理対象ガスが水、一酸化炭素、SOx、NOx、揮発性有機物等を含有する場合、これらのガス成分は吸着剤に吸着される場合がある。
ところで、ゼオライト等の従来の吸着剤では、処理対象ガスが水を含有する場合にCO吸着性が大幅に低下する傾向がある。そのため、従来の吸着剤を用いる方法において吸着剤のCO吸着性を向上させるためには、処理対象ガスを吸着剤に接触させる前に処理対象ガスから水分を取り除く除湿工程を行う必要がある。除湿工程は、例えば、除湿装置を用いて行われるため、設備の増加及びエネルギー消費量の増加につながる。一方、本実施形態に係る吸着剤は、処理対象ガスが水を含有する場合であっても、従来の吸着剤と比較して優れたCO吸着性を有する。そのため、本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法では、除湿工程が不要であり、処理対象ガスが水を含有する場合であっても効率的に二酸化炭素を除去することができる。
処理対象ガスの露点は、0℃以上であってもよい。処理対象ガスの相対湿度は、30%以上であってもよく、50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。
吸着工程において処理対象ガスを吸着剤に接触させる際の吸着剤の温度Tを調整することにより、二酸化炭素の吸着量を調整することができる。温度Tが高いほど吸着剤のCO吸着量が少なくなる傾向がある。温度Tは、−20〜100℃であってもよく、10〜40℃であってもよい。
吸着剤の温度Tは、吸着剤を加熱又は冷却することにより調整されてもよく、加熱及び冷却を併用してもよい。また、処理対象ガスを加熱又は冷却することにより間接的に吸着剤の温度Tを調整してもよい。吸着剤を加熱する方法としては、熱媒(例えば、加熱されたガス又は液体)を直接吸着剤に接触させる方法;伝熱管等に熱媒(例えば、加熱されたガス又は液体)を流通させ、伝熱面からの熱伝導により吸着剤を加熱する方法;電気的に発熱させた電気炉等により吸着剤を加熱する方法などが挙げられる。吸着剤を冷却する方法としては、冷媒(例えば、冷却されたガス又は液体)を直接吸着剤に接触させる方法;伝熱管等に冷媒(例えば、冷却されたガス又は液体)を流通させ、伝熱面からの熱伝導により冷却する方法などが挙げられる。
吸着工程において、吸着剤の存在する雰囲気の全圧(例えば、吸着剤を含む容器内の全圧)を調整することにより、二酸化炭素の吸着量を調整することができる。全圧が高いほど吸着剤のCO吸着量が多くなる傾向がある。全圧は、二酸化炭素の除去効率が更に向上する観点から、1気圧以上が好ましい。全圧は、省エネルギーの観点から、10気圧以下であってもよく、2気圧以下であってもよく、1.3気圧以下であってもよい。全圧は、5気圧以上であってもよい。
吸着剤の存在する雰囲気の全圧は、加圧又は減圧することにより調整されてもよく、加圧及び減圧を併用してもよい。全圧を調整する方法としては、ポンプ、コンプレッサー等により機械的に圧力を調整する方法;吸着剤の周辺雰囲気の圧力とは異なる圧力を有するガスを導入する方法などが挙げられる。
本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法では、吸着剤をハニカム状の基材に担持して用いてもよく、吸着剤を容器に充填して用いてもよい。吸着剤の使用方法は、必要となる反応速度、圧力損失、吸着剤の吸着量、吸着剤に吸着されるガス(吸着ガス)の純度(CO純度)等を勘案して決定すればよい。
吸着剤を容器に充填して用いる場合、吸着ガス中の二酸化炭素の純度を高める場合には、空隙率が小さいほど好ましい。この場合、空隙内に残留する二酸化炭素以外のガス量が少なくなるため、吸着ガス中の二酸化炭素の純度を高めることができる。一方、圧力損失を小さくする場合には、空隙率が大きいほど好ましい。
本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、前記吸着工程後に、二酸化炭素を吸着剤から脱着(脱離)させる脱着工程を更に備えていてもよい。
二酸化炭素を吸着剤から脱着させる方法としては、吸着量の温度依存性を利用する方法(温度スイング法。温度変化に伴う吸着剤の吸着量差を利用する方法);吸着量の圧力依存性を利用する方法(圧力スイング法。圧力変化に伴う吸着材の吸着量差を利用する方法)等が挙げられ、これらの方法を併用してもよい(温度・圧力スイング法)。
吸着量の温度依存性を利用する方法では、例えば、脱着工程における吸着剤の温度を吸着工程よりも高くする。吸着剤を加熱する方法としては、上述した吸着工程において吸着剤を加熱する方法と同様の方法;周辺の排熱を利用する方法等が挙げられる。加熱に要するエネルギーを抑える観点からは、周辺の排熱を利用することが好ましい。
吸着工程における吸着剤の温度Tと、脱着工程における吸着剤の温度Tとの温度差(T−T)は、省エネルギーの観点から、200℃以下であってもよく、100℃以下であってもよく、50℃以下であってもよい。温度差(T−T)は、吸着剤に吸着した二酸化炭素を脱着しやすい観点から、10℃以上であってもよく、20℃以上であってもよく、30℃以上であってもよい。脱着工程における吸着剤の温度Tは、例えば、40〜300℃であってもよく、50〜200℃であってもよく、80〜120℃であってもよい。
吸着量の圧力依存性を利用する方法では、吸着剤の存在する雰囲気の全圧(例えば、吸着剤を含む容器内の全圧)が高いほどCO吸着量が多くなることから、吸着工程の全圧よりも脱着工程の全圧が低圧となるように変化させることが好ましい。全圧は、加圧又は減圧することにより調整されてもよく、加圧及び減圧を併用してもよい。全圧を調整する方法としては、例えば、上述した吸着工程と同様の方法が挙げられる。脱着工程における全圧は、CO脱離量が多くなる観点から、周辺大気の圧力(例えば1気圧)であってもよく、1気圧未満であってもよい。
脱着工程により脱着して回収された二酸化炭素は、そのまま外気に排出してもよいが、二酸化炭素を利用する分野において再利用してもよい。例えば、温室栽培向けハウス等では、CO濃度を高めることで植物の成長が促進されることから、CO濃度を1000ppmレベルに高める場合があるため、回収された二酸化炭素を、CO濃度を高めることに再利用してもよい。
吸着剤にSOx、NOx、煤塵等が吸着した場合、吸着工程における吸着剤のCO吸着性が低下する可能性があるため、処理対象ガスはSOx、NOx、煤塵等を含有しないことが好ましい。処理対象ガスがSOx、NOx、煤塵等を含有する場合(例えば、処理対象ガスが、石炭火力発電所等から排出される排ガスである場合)、本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、吸着剤のCO吸着性を保持しやすい観点から、吸着工程の前に、処理対象ガスからSOx、NOx、煤塵等の不純物を除去する不純物除去工程を更に備えることが好ましい。不純物除去工程では、吸着剤を加熱することにより、吸着剤に吸着した不純物を除去することができる。また、不純物除去工程は、脱硝装置、脱硫装置、脱塵装置等の除去装置を用いて行うことが可能であり、これらの装置の下流側において、処理対象ガスを吸着剤に接触させることができる。
脱着工程後の吸着剤は、再度、吸着工程に用いることができる。本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法では、脱着工程後、吸着工程及び脱着工程を繰り返し行ってもよい。脱着工程において吸着剤を加熱した場合、上述の方法により吸着剤を冷却して吸着工程に用いてもよい。二酸化炭素を含有するガス(例えば、二酸化炭素を含有する処理対象ガス)を吸着剤に接触させることにより吸着剤を冷却してもよい。
本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、CO濃度の管理が必要な密閉された空間において好適に実施することができる。CO濃度の管理が必要な空間としては、例えば、ビル;車輛;自動車;宇宙ステーション;潜水艇;食品又は化学製品の製造プラント等が挙げられる。本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、特に、CO濃度が5000ppm以下に制限される空間(例えば、ビル、車輛等の人の密度が高い空間)において好適に実施することができる。また、食品又は化学製品等の製造時において二酸化炭素が悪影響を与える可能性があることから、本実施形態に係る二酸化炭素の除去方法は、食品又は化学製品の製造プラント等において好適に実施することができる。
<空調装置及び空調システム>
本実施形態に係る空調装置は、二酸化炭素を含有する処理対象ガスを含む空調対象空間に用いられる空調装置である。本実施形態に係る空調装置は、空調対象空間に接続された流路を備え、処理対象ガスに含まれる二酸化炭素を除去する除去部(二酸化炭素除去部)が流路に配置されている。本実施形態に係る空調装置において、本実施形態に係る吸着剤が除去部に配置されており、吸着剤が処理対象ガスに接触して二酸化炭素が吸着剤に吸着する。本実施形態によれば、空調対象空間の処理対象ガスを吸着剤に接触させて二酸化炭素を吸着剤に吸着させる吸着工程を備える空調方法が提供される。なお、二酸化炭素を含有する処理対象ガスの詳細は、上述した二酸化炭素の除去方法における処理対象ガスと同様である。以下、図1を用いて、空調装置の一例について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る空調装置100は、流路10と、排気ファン(排気手段)20と、濃度測定器(濃度測定部)30と、電気炉(温度制御手段)40と、コンプレッサー(圧力制御手段)50と、制御装置(制御部)60と、を備えている。
流路10は、二酸化炭素を含有する処理対象ガス(室内ガス)を含む空調対象空間Rに接続されている。流路10は、流路部10aと、流路部10bと、除去部(流路部。二酸化炭素除去部)10cと、流路部10dと、流路部(循環流路)10eと、流路部(排気流路)10fとを有しており、除去部10cは、流路10に配置されている。流路10には、除去部10cにおける処理対象ガスの流入の有無を調整するバルブ70aと、処理対象ガスの流れ方向を調整するバルブ70bとが配置されている。
流路部10aの上流端は、空調対象空間Rに接続されており、流路部10aの下流端は、バルブ70aを介して流路部10bの上流端に接続されている。除去部10cの上流端は、流路部10bの下流端に接続されている。除去部10cの下流端は、流路部10dの上流端に接続されている。流路10における流路部10dより下流側は、流路部10e及び流路部10fに分岐している。流路部10dの下流端は、バルブ70bを介して流路部10eの上流端及び流路部10fの上流端に接続されている。流路部10eの下流端は、空調対象空間Rに接続されている。流路部10fの下流端は、外気に接続されている。
除去部10cには、本実施形態に係る吸着剤である吸着剤80が配置されている。吸着剤80は、除去部10cの中央部に充填されている。除去部10cには、吸着剤80を介して2つの空間が形成されており、除去部10cは、上流側の空間S1と、吸着剤80が充填された中央部S2と、下流側の空間S3とを有している。空間S1は、流路部10a,10b及びバルブ70aを介して空調対象空間Rに接続されており、二酸化炭素を含有する処理対象ガスが空調対象空間Rから除去部10cの空間S1に供給される。除去部10cに供給された処理対象ガスは、中央部S2を経由して空間S1から空間S3へ移動した後、除去部10cから排出される。
空調対象空間Rから排出された処理対象ガスは、除去部10cにおいて二酸化炭素の少なくとも一部が除去される。二酸化炭素が除去された処理対象ガスは、バルブ70bを調整することにより、空調対象空間Rに戻されてもよく、空調装置100の外部における外気へ排出されてもよい。例えば、空調対象空間Rから排出された処理対象ガスは、上流から下流にかけて、流路部10a、流路部10b、除去部10c、流路部10d及び流路部10eを経由して空調対象空間Rに流入することができる。また、空調対象空間Rから排出された処理対象ガスは、上流から下流にかけて、流路部10a、流路部10b、除去部10c、流路部10d及び流路部10fを経由して外気に排出されてもよい。
排気ファン20は、空調対象空間Rにおける処理対象ガスの排出位置に配置されている。排気ファン20は、処理対象ガスを空調対象空間Rから排出して除去部10cへ供給する。
濃度測定器30は、空調対象空間Rの二酸化炭素濃度を測定する。濃度測定器30は、空調対象空間R内に配置されている。
電気炉40は、空調装置100の除去部10cの外部に配置されており、吸着剤80の温度を昇温させることができる。コンプレッサー50は、空調装置100の除去部10cに接続されており、除去部10c内の圧力を調整することができる。
制御装置60は、空調装置100の運転制御を行うことが可能であり、例えば、濃度測定器30で測定される二酸化炭素濃度に基づいて、除去部10cにおける処理対象ガスの流入の有無を制御することができる。具体的には、呼気等により空調対象空間R内の二酸化炭素濃度が上昇して所定濃度に達したことが濃度測定器30により検出された場合、濃度測定器30から制御装置60に濃度情報が送信される。濃度情報を受信した制御装置60は、バルブ70aを開放すると共に、除去部10cから排出されるガスが流路部10d及び流路部10eを介して空調対象空間Rに流入するように調整する。そして、制御装置60は、排気ファン20を稼働させて、空調対象空間Rから処理対象ガスを除去部10cへ供給する。さらに、制御装置60は、必要に応じて、電気炉40及び/又はコンプレッサー50を稼働させて、吸着剤80の温度、除去部10c内の圧力等を調整する。
除去部10cに供給された処理対象ガスが中央部S2を経由して空間S1から空間S3へ移動するに際して、処理対象ガスが吸着剤80に接触し、処理対象ガス中の二酸化炭素が吸着剤80に吸着する。これにより、処理対象ガスから二酸化炭素が除去される。この場合、二酸化炭素が除去されたガスは、流路部10d及び流路部10eを介して空調対象空間Rに供給される。
吸着剤80に吸着した二酸化炭素は、吸着剤80から脱着させることなく、吸着剤80に吸着した状態で回収されてもよく、吸着剤80から脱着させて回収してもよい。脱着工程においては、電気炉40及び/又はコンプレッサー50を稼働させて吸着剤80の温度、除去部10c内の圧力等を調整することにより、上述した温度スイング法、圧力スイング法等により、吸着剤80から二酸化炭素を脱着させることができる。この場合、例えば、バルブ70bは、除去部10cから排出されるガス(脱着した二酸化炭素を含有するガス)が流路部10fを介して外気に排出されるように調整されており、必要に応じて、排出される二酸化炭素を回収することができる。
本実施形態に係る空調システムは、本実施形態に係る空調装置を複数備える。本実施形態に係る空調システムは、複数の空調装置の空調運転を制御する制御部を備えていてもよい。例えば、本実施形態に係る空調システムは、複数の空調装置の空調運転を統括的に制御する。
例えば、図2に示すように、本実施形態に係る空調システム1は、第1の空調装置100aと、第2の空調装置100bと、制御装置(制御部)62と、を備えている。制御装置62は、第1の空調装置100a及び第2の空調装置100bにおける上述の制御装置60を制御することにより、第1の空調装置100a及び第2の空調装置100bの空調運転を制御する。例えば、制御装置62は、第1の空調装置100a及び第2の空調装置100bの空調運転を同条件で行うように調整してもよく、第1の空調装置100a及び第2の空調装置100bの空調運転を異なる条件で行うように調整してもよい。制御装置62は、除去部10cにおける処理対象ガスの流入の有無等に関する情報を制御装置60に送信することができる。
空調装置及び空調システムは、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。例えば、吸着剤は、除去部に配置されていればよく、除去部の中央部に充填されることなく、内壁面の一部に配置されている態様であってもよい。空調装置の制御部の制御内容は、除去部における処理対象ガスの流入の有無を制御することに限られず、制御部は、除去部における処理対象ガスの流入量を調整してもよい。
空調装置において、排気ファンに代えて送風機を用いて処理対象ガスを二酸化炭素除去部へ供給してもよく、自然対流により処理対象ガスが二酸化炭素除去部へ供給される場合には、排気手段を用いなくてもよい。また、温度制御手段及び圧力制御手段は、電気炉及びコンプレッサーに限定されるものでなく、吸着工程及び脱着工程において上述した各種の手段を用いることができる。温度制御手段は、加熱手段に限られず、冷却手段であってもよい。
空調装置において、空調対象空間、二酸化炭素除去部、排気手段、温度制御手段、圧力制御手段、濃度測定部、制御装置等のそれぞれは、一つに限られるものではなく、複数配置されていてもよい。空調装置は、処理対象ガスの露点及び相対湿度を調整するための調湿器;空調対象空間の湿度を測定する湿度測定器;脱硝装置、脱硫装置、脱塵装置等の除去装置などを備えていてもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<吸着剤の準備>
(実施例1)
図3は、実施例1の吸着剤の製造方法を示す模式図である。以下、図3を適宜参照しながら説明する。
まず、硝酸アンモニウムセリウム10.96gを精製水360gに溶解させ、セリウム溶液を調製した。また、28重量%アンモニア水を精製水90gで10倍に希釈して、塩基性溶液を調製した。次いで、図3(a)に示すように、ビーカー11にセリウム溶液12を入れ、そこに塩基性溶液13を滴下ロート14から滴下した。このとき、ビーカー11の内壁面をつたわせながら塩基性溶液13を少量ずつ滴下したところ、セリウム溶液12と塩基性溶液13との界面に白色の中間相15が形成された。
塩基性溶液13の滴下を続けたところ、図3(b)に示すように、ビーカー11中の塩基性溶液13の液面がビーカー11の内壁面に沿って盛り上がった。塩基性溶液13の滴下を更に続けると、図3(c)に示すように、ビーカー11の内壁面に沿って盛り上がっていた塩基性溶液13がセリウム溶液12の液面へ流れ出し、それに伴って、セリウム溶液12と流れ出た塩基性溶液13との界面に中間相15が更に形成された。
そして、塩基性溶液13の滴下を更に続けたところ、図3(d)に示すように、塩基性溶液13がセリウム溶液12の液面全面を覆い、それに伴って、セリウム溶液12の液面全面において、塩基性溶液13との界面に中間相15が形成された。すなわち、セリウム溶液(第1の液相)12と、塩基性溶液(第2の液相)13と、セリウム溶液(第1の液相)12及び塩基性溶液(第2の液相)13を互いに隔てる中間相15とを含む反応液16が得られた。
得られた反応液を25℃で7日間静置したところ、第1の液相が黄白色に濁った。このセリウム溶液を取り出し、ろ過・洗浄することで黄色半透明のゾル状物質(セリウム酸化物を含有する吸着剤)を得た。
(比較例1)
次の手順によりシュウ酸セリウム(Ce(C)15gを空気中で焼成した。まず、電気炉にて120℃まで5℃/分で昇温した後、120℃で1時間温度を保持した。その後、300℃まで5℃/分で昇温した後、300℃で1時間温度を保持した。これにより、黄白色の粉末(セリウム酸化物を含有する吸着剤)を得た。
(比較例2)
シュウ酸セリウムに代えて水酸化セリウム(Ce(OH))を用いたこと以外は比較例1と同様にして黄白色の粉末(セリウム酸化物を含有する吸着剤)を得た。
<二酸化炭素の吸着量の測定>
まず、直径40mmの金型を使用して、吸着剤をプレス機により200kgfでペレット化した。次いで、ペレットを破砕した後、篩を用いて粒状(粒径:0.5〜1.0mm)に整粒した。その後、メスシリンダーを用いて吸着剤1.0mLを量りとり、石英ガラス製の反応管中に固定した。
次いで、前処理として、反応管に150mL/分でヘリウム(He)を流通させながら、電気炉を用いて吸着剤の温度を200℃まで昇温させた後、200℃で1時間保持した。これにより、不純物、及び、吸着剤に吸着したガスを除去した。
次いで、吸着剤の温度が50℃になるまで冷却した後、電気炉で吸着剤の温度を50℃に保ちながら、COパルス吸着試験によりCO吸着量を測定した。COパルス吸着試験は、具体的には、下記方法により行った。結果を表1に示す。
[COパルス吸着試験]
サンプルガスとして、12体積%のCOと88体積%のHeとを含む混合ガス10mLを用いた。当該サンプルガスをパルス状で4分おきに2分間導入した。この際、反応管内の全圧を1気圧に調整した。次いで、反応管の出口のCO濃度をガスクロマトグラフ(キャリアガス:He)により測定した。反応管の出口で測定されるCO濃度が飽和するまでサンプルガスの導入を継続した。CO濃度が飽和するまでに吸着した二酸化炭素量(単位:g)からCO吸着量(単位:g/L)を求めた。
Figure 2018065068
1…空調システム、10…流路、10a,10b,10d,10e,10f…流路部、10c…除去部、20…排気ファン、30…濃度測定器(濃度測定部)、40…電気炉、50…コンプレッサー、60,62…制御装置(制御部)、70a,70b…バルブ、80…吸着剤、100,100a,100b…空調装置、R…空調対象空間、S1,S3…空間、S2…中央部。

Claims (11)

  1. 二酸化炭素を含有する処理対象ガスから二酸化炭素を除去するために用いられる吸着剤の製造方法であって、
    4価セリウムを含有するセリウム溶液からなる第1の液相と、塩基性溶液からなる第2の液相と、前記第1の液相及び前記第2の液相を互いに隔てる中間相と、を含む反応液を準備する準備工程と、
    前記第1の液相においてセリウム酸化物を生成させる工程と、を備える、吸着剤の製造方法。
  2. 前記準備工程において、前記セリウム溶液と前記塩基性溶液とを互いに接触させて前記中間相を形成することにより前記反応液を準備する、請求項1に記載の吸着剤の製造方法。
  3. 前記セリウム溶液が、水酸化セリウム(IV)、硝酸アンモニウムセリウム(IV)及び硫酸アンモニウムセリウム(IV)からなる群より選ばれる少なくとも一種の水溶液である、請求項1又は2に記載の吸着剤の製造方法。
  4. 前記塩基性溶液がアンモニア水溶液である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸着剤の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸着剤の製造方法により得られた、吸着剤。
  6. 二酸化炭素を含有する処理対象ガスを請求項5に記載の吸着剤に接触させて前記二酸化炭素を前記吸着剤に吸着させる工程を備える、二酸化炭素の除去方法。
  7. 前記処理対象ガスの二酸化炭素濃度が5000ppm以下である、請求項6に記載の二酸化炭素の除去方法。
  8. 前記処理対象ガスの二酸化炭素濃度が1000ppm以下である、請求項6に記載の二酸化炭素の除去方法。
  9. 二酸化炭素を含有する処理対象ガスを含む空調対象空間に用いられる空調装置であって、
    前記空調対象空間に接続された流路を備え、
    前記処理対象ガスに含まれる二酸化炭素を除去する除去部が前記流路に配置されており、
    請求項5に記載の吸着剤が前記除去部に配置されており、
    前記吸着剤が前記処理対象ガスに接触して前記二酸化炭素が前記吸着剤に吸着する、空調装置。
  10. 前記処理対象ガスの二酸化炭素濃度が5000ppm以下である、請求項9に記載の空調装置。
  11. 前記処理対象ガスの二酸化炭素濃度が1000ppm以下である、請求項9に記載の空調装置。
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