JP2018064414A - コイル固定装置、コイル固定方法及び回転電機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コイル固定装置20は、ボルトを挿通させる挿通孔が形成されるとともにコイル15を収容するスロット12の両側壁に形成された案内溝16に両端23,23を係止させてスロット12の開口部を閉蓋する蓋部材25と、ボルトの先端部を螺合させる雌螺子が形成されるとともにコイル15に直接又は間接的に当接する当接面を有する当接部材28と、波型形状の頂点の各々が蓋部材25と当接部材28に当接しボルトを螺入することで圧縮され、蓋部材の両端23,23が案内溝16に係止された状態でボルト21を取り外すことでコイル15に付勢力を与える板バネ30と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
全含浸絶縁方式では、束ねられた複数の絶縁被覆導線の周囲にテープやシートを巻回し、樹脂が未含浸状態のハーフターン型、亀甲型のコイルを、まず製作する。
そして、この未含浸コイルを鉄心スロット部に収容し、コイル毎の結線やその他の処理をした後に、全体に樹脂を含浸させ硬化させて、コイルと鉄心を互いに一体化する。
鉄心スロットに対するコイルの固定が不十分であると、これら電磁力によりコイルが振動し、コイルと鉄心の間で放電が発生したり、コイルが鉄心に擦れて導電層や絶縁層が損傷して絶縁破壊したりして、運転中の回転電機が停止に至る場合がある。このためコイルは、電磁力に対して動かないように確実に固定されることが要求される。
したがって、コイルは、前述の通り半径方向や周方向に対して確実に固定されつつ、その伸縮に対する許容度の高いことが望まれる。
上述の全含浸絶縁方式ではコイルと鉄心が含浸樹脂で一体化しているので、鉄心長が長くなると、鉄心−コイル間での剥離発生の可能性が高くなる。単体コイル固定方式ではコイル−鉄心間が接着されていないため、コイルの固定確実性と伸縮許容性との両立が可能である。
このために、コイルや固定材が、定期点検の対象となる場合があり、現地で交換される場合も想定される。
したがって、コイル等の取り出しや挿入が簡便に行える回転電機であることが、工期短縮の観点から要望されている。
図1(A)は、回転子(図示略)の回転軸を図面直交方向にとった場合、回転電機10における固定子11の断面を示している。この固定子11には、回転軸に沿う方向にコイル15を収容するためのスロット12が複数条形成されている。図1(B)は、コイル15の配置されたスロット12を拡大した断面を示している。
回転電機としては、電気エネルギーを回転運動に変換する電動機や、その反対の変換を行う発電機、あるいはその両方の組み合わせた発電電動機が挙げられる。
そしてスロット12には、径方向外側と内側にコイル15(15a,15b)が配置されている。各コイル15は、それぞれ複数の素線を束ねてなる導体と、絶縁層から主に形成されている。
さらにスロット12には、上側と下側のコイル間に各種スペーサ17と、コイル固定装置20の付勢力とは直交方向に付勢力を発現させる付勢部材18とが配置されている。
なお実施形態においてスロット12は、固定子11に設けられている場合を示しているが、回転子(図示略)に設けられる場合もある。
図2(A)(B)に示すように、第1実施形態に係るコイル固定装置20Aは、ボルト21を挿通させる挿通孔22が形成されるとともにコイル15(図1)を収容するスロット12の両側壁に形成された案内溝16(図1(B))に両端23,23を係止させてスロット12の開口部を閉蓋する蓋部材25と、ボルト21の先端部を螺合させる雌螺子26が形成されるとともにコイル15に直接又は間接的に当接する当接面27を有する当接部材28と、波型形状の頂点の各々が蓋部材25と当接部材28に当接しボルト21を螺入することで圧縮され(図3参照)、蓋部材の両端23,23が案内溝16に係止された状態でボルト21を取り外すことでコイル15に付勢力を与える板バネ30と、を備えている。
そしてコイル固定装置20Aを、スロット12の開口部に装着する作業は、固定子11の一方の端面に形成される案内溝16の始端に、蓋部材25の両端23を挿入させることにより行う。
そして、コイル固定装置20Aがスロット12の開口部の所定の位置に着いたところで、ボルト21を取り外すと、板バネ30が圧縮状態から反発して、隙間を解消する方向に当接部材28が変位する。
そして、この当接部材28の当接面27がコイル15に当接して、板バネ30から付勢力がコイル15に付与される。また、この付勢力に対するコイル15からの反力が、両端23から案内溝16に付与されて、蓋部材25の動きも固定される。
なお、当接部材28とコイル15との間には、スペーサ17が配置される場合もあるために、板バネ30の付勢力はコイル15に対して直接的に又は間接的に付与される。
このスペーサ17の厚みは、コイル15に付与される付勢力が適正になるように、ボルト21を取り外したときの板バネ30の変形量が、設定値になるように決定される。コイル15は、公差範囲内の寸法バラツキを有するために、スペーサ17の厚み調整により、板バネ30の変形量を設定値に合わせることができる。
この蓋部材25の二面の側壁からは、案内溝16の反転形状を示す係止片が延出し、蓋部材25の両端23,23を形成している。この蓋部材25の側壁から延出する一対の係止片は、図面上方向に向かうに従い両端23,23の間隔を縮幅するテーパ形状を有している。
そして、この当接部材28に形成される雌螺子26は、当接部材28を貫通するように形成されている。これにより、ボルト21を取り外した後に、挿通孔22からデプスゲージ等を挿入して、蓋部材25の上面と当接面27との距離を把握することで、板バネ30の変形量(=付勢力)を認識することができる。そしてこの板バネ30の変形量が設定範囲に納まるように、スペーサ17の厚みが再調整される。
そして第1実施形態のコイル固定装置20Aの板バネ30Aは、挿通孔22及び雌螺子26で挟む位置に、ボルト21を貫通させる貫通孔31が設けられている連続体である。なおこの貫通孔31は、板バネが圧縮されて長手方向に伸長する際に、圧縮を妨げないように余裕を持った孔径とすることもできる。
また、蓋部材25及び当接部材28に対する板バネ30Aの波形頂点の当接領域は、複数の線状で形成されている。このために板バネ30Aの弾性力は、蓋部材25及び当接部材28の全面に対し分散して略均等に付勢されるため、当接領域の摩耗が抑制される。
つまり、電流が流れることで電磁力が作用してもコイル15がスロット幅方向および高さ方向に動かないために、コイルが振動することがなく、種々のトラブルから回転電機を保護することができる。
これにより、ボルト21の取り外し時にバリ等が発生しても絶縁性であるため、短絡などの事故の発生可能性を大幅に低下させることができる。
図4は、第2実施形態におけるコイル固定装置20Bを示す構成図である。なお、図4において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。第2実施形態のコイル固定装置20Bにおいて、板バネ30Bは、挿通孔22と雌螺子26とで挟む位置が、分割されている分割体である。
なお図4において、板バネ30Bは、ボルト21の通過点を分割線がクロスするように6分割されているものが例示されているが、この分割数に特に限定はない。
これにより、当接部材28の変位量に対する付勢力の変動が少なくなり、コイル組立時のスペーサ17による厚さ調整が容易になる他、運転時におけるコイル15とスペーサ17の馴染みによる固定力の低下も抑制することができる。
まず固定子11のスロット12にコイル15(15a,15b)及びスペーサ17を収容する(S11)。次に、ボルト21を螺入して一体化したコイル固定装置20をスロット12の案内溝16に挿入し(S12)、指定した位置に配置する(S13)。
そして、スロット12の開口部が全て閉蓋されたところでコイルの装着作業が終了する(S17 Yes END)。
Claims (8)
- ボルトを挿通させる挿通孔が形成されるとともにコイルを収容するスロットの両側壁に形成された案内溝に両端を係止させてスロットの開口部を閉蓋する蓋部材と、
前記ボルトの先端部を螺合させる雌螺子が形成されるとともに前記コイルに直接又は間接的に当接する当接面を有する当接部材と、
波型形状の頂点の各々が前記蓋部材と前記当接部材に当接し前記ボルトを螺入することで圧縮され、前記蓋部材の両端が前記案内溝に係止された状態で前記ボルトを取り外すことで前記コイルに付勢力を与える板バネと、を備えることを特徴とするコイル固定装置。 - 請求項1に記載のコイル固定装置において、
前記板バネは、前記挿通孔及び前記雌螺子で挟む位置に、前記ボルトを貫通させる貫通孔が設けられている連続体であることを特徴とするコイル固定装置。 - 請求項1に記載のコイル固定装置において、
前記板バネは、前記挿通孔と前記雌螺子とで挟む位置が、分割されている分割体であることを特徴とするコイル固定装置。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコイル固定装置において、
前記雌螺子は、前記当接部材を貫通するように形成されていることを特徴とするコイル固定装置。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコイル固定装置において、
前記蓋部材、前記当接部材、前記ボルト及び前記板バネのうち少なくとも一つは電気絶縁性を示す繊維強化樹脂(FRP)で構成されていることを特徴とするコイル固定装置。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル固定装置に対し、前記ボルトを螺入して前記蓋部材及び前記当接部材で挟まれた前記板バネを圧縮するステップと、
前記蓋部材の両端を前記案内溝に案内させて、指定した位置に係止させるステップと、
前記ボルトを取り外して前記当接部材を当接させて前記コイルに付勢力を与えるステップと、を含むことを特徴とするコイル固定方法。 - 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコイル固定装置が前記スロットの開口部に装着され、前記ボルトが取り外された状態で、前記付勢力の付与された前記コイルが前記スロットに収容されていることを特徴とする回転電機。
- 請求項7に記載の回転電機において、
前記コイル固定装置に配置される前記板バネとは別に、前記コイルの上下方向に少なくとも一つ以上の波状板バネが配置されることを特徴とする回転電機。
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JP2016202424A JP2018064414A (ja) | 2016-10-14 | 2016-10-14 | コイル固定装置、コイル固定方法及び回転電機 |
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2016
- 2016-10-14 JP JP2016202424A patent/JP2018064414A/ja active Pending
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