JP2018059901A - 医療用検査装置及び細胞検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】EpCAMを発現していないがん細胞も含め、多くのがん細胞を捕捉できる医療用検査装置及び細胞検査方法を提供する。
【解決手段】ウェル部を有する医療用検査装置であって、前記ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ前記親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている医療用検査装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液及び体液中の特定の細胞(血液・体液中に存在するがん細胞等)を捕捉できる医療用検査装置及び細胞検査方法に関する。
がん細胞が発生するとやがて、血液・体液中に出て来ることが知られており、血液中に出て来たがん細胞は、血中循環腫瘍細胞(CTC)と呼ばれている。そして、この血中循環腫瘍細胞を調べることによるがんの治療効果の確認、予後寿命、投与前の抗がん剤の効果予測、がん細胞の遺伝子解析を用いた治療方法の検討、等が期待されている。
しかしながら、血中循環腫瘍細胞は非常に数が少なく(数個〜数百個/血液1mL)、がん細胞を捕捉することが難しいという問題がある。
例えば、血中循環腫瘍細胞の捕捉技術として、Cell Searchシステムと呼ばれるものが知られているが、これは、抗原抗体反応(EpCAM抗体で捕捉)を用いる技術であるため、EpCAMを発現しているがん細胞しか捕捉できず、補足可能ながん細胞の種類に制限がある。
特表2005−523981号公報
本発明は、前記課題を解決し、EpCAMを発現していないがん細胞も含め、多くのがん細胞を捕捉できる医療用検査装置及び細胞検査方法を提供することを目的とする。
本発明は、ウェル部を有する医療用検査装置であって、前記ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ前記親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている医療用検査装置に関する。
前記親水性ポリマー層は、下記式(I)で表されるポリマー及びポリ(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性ポリマーで形成されていることが好ましい。
Figure 2018059901
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1〜5、nは繰り返し数を表す。)
前記親水性ポリマー層は、下記式(I−1)で表される化合物及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性モノマーと、他のモノマーとの共重合体で形成されていることが好ましい。
Figure 2018059901
(式中、R、R、mは前記と同様。)
前記医療用検査装置は、更に、フィブリノーゲンが吸着された部品を有することが好ましい。
本発明はまた、前述の医療用検査装置を用いて、血液又は体液中の細胞を調べる細胞検査方法に関する。
前記細胞検査方法は、医療用検査装置に導入する前に、血液又は体液をフィブリノーゲンが吸着された部品に接触させることが好ましい。
前記フィブリノーゲンが吸着された部品は、採血用注射器、採血管又は遠心分離管であることが好ましい。
前記細胞検査方法は、医療用検査装置に導入する前に、血液又は体液に遠心分離を施して上澄み及び/又は沈みを除去するものであることが好ましい。
本発明によれば、ウェル部を有する医療用検査装置であって、前記ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ前記親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている医療用検査装置であるため、EpCAMを発現していないがん細胞も含め、多くのがん細胞を捕捉できる。そのため、例えば、血液・体液中からがん細胞等の特定細胞を充分に捕捉でき、また、同時に他のタンパク質や細胞の粘着・接着も抑制できる。従って、がん細胞等を選択的に捕捉することが可能となる。
内面にフィブロネクチン吸着親水性ポリマー層が形成されたウェル部を有するマルチウェルプレート(医療用検査装置)の模式図の一例である。
本発明は、ウェル部を有する医療用検査装置であって、前記ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ前記親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている医療用検査装置である。
ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層を形成するだけでなく、更にその親水性ポリマー層にフィブロネクチンも吸着させているので、親水性ポリマーのがん細胞等の特定細胞の接着(吸着)能力を非常に顕著に向上できる。従って、がん細胞等の特定細胞の捕捉性が大きく向上すると共に、血小板等の捕捉性が低下し、たんぱく質が多い状態では到底発揮し得ない特定細胞の選択的な捕捉効果を奏する。
具体的に説明すると、血中循環腫瘍細胞(数個〜数百個/血液1mL)等の体液中にでてきた腫瘍細胞(がん細胞等)は、非常に数が少なく、検査に供するには、採取した体液中に存在する腫瘍細胞をできる限り多く捕捉することが重要である。本発明では、親水性ポリマー層に加え、腫瘍細胞の接着(吸着)を促進するフィブロネクチンを該親水性ポリマー層の表面に更に吸着させているため、これに血液等の体液を接触させることで、体液中の腫瘍細胞等が親水性ポリマー層に、より多く吸着・接着される。そして、吸着された腫瘍細胞等の特定細胞の数を測定することで、血液や体液中の特定細胞数が判り、がん治療効果の確認等を期待できる。また、捕捉した特定細胞を培養し、その培養した細胞で抗がん剤等の効き目を確認することで、抗がん剤等の投与前に、体の外で、抗がん剤等の効き目を確認できると同時に、抗がん剤等の選定にも役立つ。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例を、図を用いて説明する。
図1(a)、(b)の医療用検査装置1(マルチウェルプレート1)は、がん細胞等の特定細胞を捕捉する目的で使用される装置で、いわゆるマトリクス状にウェル11が配置されたマルチウェルプレート1である。マルチウェルプレート1は、円形に開口された複数のウェル11を有している。ウェル11は、血液、体液等注入する凹部であり、注入した血液や体液の特定細胞の有無の確認、特定細胞数の計測、特定細胞の培養、薬の効き目の確認・選定を実施できる。
図1(a)、(b)では、一例として、4行6列の24個のウェル11を有する24ウェルプレートを示しているが、マルチウェルプレート1は、ウェル11を少なくとも2つ以上有していれば良く、ウェル11の個数は任意である。24ウェルプレートの他には、ウェル11が、6個、96個、384個等の汎用マルチウェルプレートでも良い。
尚、ウェル11は、シングルウェル2(医療用検査装置2)でもよい(図1(c))。
マルチウェルプレート1、シングルウェル2の構成材料としては、細胞検査時の観察で透明性が高いものがよく、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のアクリル樹脂(ポリアクリル樹脂)、シクロオレフィン樹脂(ポリシクロオレフィン)、カーボネート樹脂(ポリカーボネート)、スチレン樹脂(ポリスチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリジメチルシロキサン及びガラス(ホウけい酸ガラス、ソーダ石灰ガラス等)等が挙げられる。親水性ポリマーのコーティングには、構成材料は親水性が高い方が良く、ポリアクリル樹脂やソーダ石灰ガラスが好ましい。
ウェル11は非貫通孔であり、マルチウェルプレート1、シングルウェル2の表面に開口されている。ウェル11には、開口から、血液や体液が注入される。また、がん細胞等の特定細胞の存在を確認した場合、特定細胞を培養するための培養液を注入することも可能である。
ウェル11の開口の直径R、深さDは、特に限定されず、通常のマルチウェルプレート1のR、Dを採用できる。図1では、マルチウェルプレート1、シングルウェル2の表面及び裏面に対して、ウェル11の内側面が略垂直であるが、ウェル11は、内側面が傾斜し、開口から底面にかけて窄まる形状でも良い。また、内側面が傾斜し、開口から底面にかけて拡がる形状でも良い。
図1では、ウェル11は円形に開口しているが、ウェル11の開口形状は任意であり、四角形等、任意の形状に開口したものでもよい。
マルチウェルプレート1は、複数のウェル11が分離可能なものを好適に使用できる。複数のウェルを有する場合、特定細胞数計測用ウェルと、特定細胞培養用ウェルとに分離使用でき、例えば、計測用ウェルでがん細胞の存在の有無を確認した上で、存在が確認された場合に培養用ウェルでがん細胞を培養し、その細胞で薬の効き目を確認できる。
マルチウェルプレート1(医療用検査装置1)、シングルウェル2(医療用検査装置2)において、ウェル11の内側面は、少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ、該親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている。図1は、ウェルの底面及び側面の一部に親水性ポリマー層21が形成され、更に該親水性ポリマー層21にフィブロネクチン31を吸着させている例を示している。
ウェル11内に、血液や体液を導入すると、これらに含まれるがん細胞等の特定細胞は、フィブロネクチン31を吸着させた親水性ポリマー層21に吸着されると共に、血小板、赤血球等の吸着が抑制される。そのため、血液や体液の導入後に所定時間保持し、次いで、洗浄することで、特定細胞を親水性ポリマー層21に吸着できる。そして、吸着された特定細胞の数を測定することで、血液や体液中のがん細胞数が判り、がん治療効果の確認等が期待される。
親水性ポリマー層21(親水性ポリマーにより形成される層)の膜厚は、好ましくは2〜200nm、より好ましくは20〜180nmである。上記範囲内に調整することで、良好なタンパク質や細胞に対する低吸着性、がん細胞に対する選択的吸着性・接着性が得られる。
親水性ポリマーは、親水性を有するものを適宜選択できる。例えば、1種又は2種以上の親水性モノマーの単独重合体及び共重合体、1種又は2種以上の親水性モノマーと他のモノマーとの共重合体等が挙げられる。前記単独重合体、共重合体としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロイルモルホリン、ポリメタクリロイルモルホリン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド等が挙げられる。
親水性モノマーは、親水性基を有する各種モノマーを使用できる。親水性基は、例えば、アミド基、硫酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基、オキシエチレン基等、公知の親水性基が挙げられる。
親水性モノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリルアミド、環状基を有する(メタ)アクリルアミド誘導体((メタ)アクリロイルモルホリン等)、などが挙げられる。
他のモノマーは、親水性ポリマーの作用効果を阻害しない範囲内で適宜選択すれば良い。例えば、スチレン等の芳香族モノマー、酢酸ビニル、温度応答性を付与できるN−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
なかでも、親水性ポリマーとしては、下記式(I)で表されるポリマー及びポリ(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
Figure 2018059901
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1〜5、nは繰り返し数を表す。)
のアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。なかでも、Rは、メチル基又はエチル基が特に好ましい。mは、1〜3が好ましい。n(繰り返し単位数)は、15〜1000が好ましく、30〜500がより好ましい。
また、親水性ポリマーとして、下記式(I−1)で表される化合物及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性モノマーと、他のモノマーとの共重合体も好適に使用できる。
Figure 2018059901
(式中、R、R、mは前記と同様。)
親水性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、がん細胞に対する選択的吸着性・接着性の観点から、好ましくは4000〜150000、より好ましくは5000〜100000、更に好ましくは8000〜50000である。なお、本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
親水性ポリマー層21上にフィブロネクチン31を吸着させるという点から、フィブロネクチン濃度を、好ましくは0.5〜500μg/ml、より好ましくは1〜250μg/mlに調整した溶液、分散液等を用いることが好適である。上記範囲内の濃度に調整することで、良好なタンパク質や細胞に対する低吸着性、がん細胞に対する選択的吸着性・接着性が得られる。
本発明の医療用検査装置は、例えば、図1の内面にフィブロネクチン31を吸着させた親水性ポリマー層21が形成されているウェル11を備えたマルチウェルプレート1又はシングルウェル2、更に必要に応じて他の部材(部品)を付加することにより、製造できる。
具体的には、親水性ポリマー層21が形成されたマルチウェルプレート1、シングルウェル2の場合、(1)親水性ポリマーを各種溶剤に溶解・分散した親水性ポリマー溶液・分散液を、ウェル11の内部に注入し、所定時間保持する方法、(2)該親水性ポリマー溶液・分散液をウェル11の内面に塗工(噴霧)する方法、等、公知の手法により、ウェル11の内面の全部又は一部に親水性ポリマー溶液・分散液をコーティングすることで、親水性ポリマーにより形成されるポリマー層が形成されたマルチウェルプレート、シングルウェルを製造できる。
溶剤、注入方法、塗工(噴霧)方法などは、従来公知の材料及び方法を適用できる。
(1)、(2)の保持時間は、ウェル11の大きさ、導入する液種、等により適宜設定すれば良いが、5分〜10時間が好ましく、10分〜5時間がより好ましく、15分〜2時間が更に好ましい。保持後、適宜、余分な親水性ポリマー溶液・分散液を排出し、乾燥してもよい。
次いで、形成された親水性ポリマー層21にフィブロネクチン31を吸着させる方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。例えば、親水性ポリマー層21にフィブロネクチン31の緩衝溶液(リン酸緩衝生理食塩水PBS等)を公知の方法で接触させ、所定温度で所定時間放置し、必要に応じて洗浄する方法、等で吸着させることができる。温度、時間は適宜設定すればよく、例えば、10〜60℃、0.1〜10時間程度で実施できる。
そして、作製されたフィブロネクチン31が吸着された親水性ポリマー層21をウェル11の内面の一部に形成したマルチウェルプレート1、シングルウェル2に、必要に応じて他の部品を追加することで、医療用検査装置を製造できる。
本発明では、他の部品として、フィブリノーゲンが吸着された部品を使用することが好ましい。検査用血液や体液を、血球細胞の接着に関係するフィブリノーゲンが吸着した部品に接触させることで、予め血球細胞数が減少し、がん細胞等の特定細胞の接着性・吸着性を向上できる。
本発明の細胞検査方法は、前述の医療用検査装置を用いて、血液又は体液中の細胞を調べる細胞検査方法である。前記のとおり、本発明の医療用検査装置は、がん細胞等の捕捉性が向上すると共に、血小板等の捕捉性が低下し、がん細胞等の選択的な捕捉効果が得られるため、これを用いて血液又は体液中の細胞を調べることで、前述のがん治療効果の確認、体の外での抗がん剤等の効き目の確認、抗がん剤等の選定、等が期待できる。
前記細胞検査方法は、予め血球細胞数を減少させ、がん細胞等の接着性・吸着性を向上できる観点から、医療用検査装置に導入(注入、滴下等)する前に、血液又は体液をフィブリノーゲンが吸着された部品に接触させる方法が好ましい。例えば、フィブリノーゲンが吸着された部品として、採血用注射器、採血管又は遠心分離管を用いることで、前記効果が顕著に得られる。
また、前記細胞検査方法は、予め血球細胞数を減少させ、がん細胞等の接着性・吸着性を向上できる観点から、医療用検査装置に導入(注入、滴下等)する前に、血液又は体液に遠心分離を施して上澄み及び/又は沈み(沈降物)を除去する方法が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(実施例1)
AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を用いて、2−メトキシエチルアクリレートを80℃で6時間熱重合し、ポリ2−メトキシエチルアクリレートを作製した(分子量Mn:約15000、Mw:約50000)。そして、得られたポリ2−メトキシエチルアクリレートの2.5W/V%メタノール溶液を作製した。
市販PMMA製プレート内に、作製したポリ2−メトキシエチルアクリレート溶液(2.5W/V%)を注入し、30分室温放置した後、液をピペットで吸出し、乾燥することで、親水性ポリマー層を作製した。
更に、ポリ2−メトキシエチルアクリレートがコーティングされた部分(親水性ポリマー層)にフィブロネクチンを吸着させた。具体的にはフィブロネクチンのPBS溶液(リン酸緩衝生理食塩水)1μl/mlを作製し、40℃1時間放置した後、PBS溶液で洗浄することで、図1のフィブロネクチン吸着親水性ポリマー層が形成されたマルチウェルプレートを有する検査装置を作製した。
(実施例2)
PBS溶液を10μl/mlに変更した以外は、実施例1と同様に検査装置を作製した。
(実施例3)
PBS溶液を100μl/mlに変更した以外は、実施例1と同様に検査装置を作製した。
(実施例4)
別に、ピペットの内面をフィブリノーゲン10μl/ml溶液でコーティングし、PBS溶液で洗浄した後、十分水分を切った状態のピペット(フィブリノーゲンが吸着された採血管)を作製した以外は、実施例2と同様に検査装置を作製した。
(実施例5)
PBS溶液を200μl/mlに変更した以外は、実施例1と同様に検査装置を作製した。
(比較例1)
ポリ2−メトキシエチルアクリレート層のみを形成した以外は、実施例1と同様に検査装置を作製した。
実施例、比較例で作製した医療用検査装置を以下の方法で評価した。なお、実施例4では、予め、作製したピペットで血液を吸い上げ、10分保持した後、ウェルに注入した以外は、同様に評価した。
〔親水性ポリマー層(コーティング層)の膜厚〕
ウェル内面の親水性ポリマー層の膜厚は、TEMを使用し、加速電圧15kV、1000倍で測定(撮影)した。
〔血小板吸着量〕
ウェルに、血漿に血小板を混合し、血小板濃度(播種密度)を4×10cells/cmに調整した液を注入し、37℃で1時間静置した。内部をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、1%グルタルアルデヒドで固定した(37℃で2時間放置)。その後、再度リン酸緩衝生理食塩水及び蒸留水で洗浄した。
このサンプルをSEMで観察し、吸着した血小板の数を数えた。なお、比較例1の数を1.0として、相対値で比較した。
〔がん細胞数の計測〕
線維肉腫(HT−1080)を剥離液を用いて懸濁させ、一部をPBS溶液に混濁させて、細胞数を血球計測管でカウントした後、この値を用いて、血液に線維肉腫(HT−1080)の入った剥離液を混濁させた。このとき、播種密度(濃度)が2850cells/cmに計算上なるように血液を混濁させた。
この血液を用いて、ウェルに1mlずつ注入し、37℃で1時間接着させた。その後、PBS溶液で未接着の細胞を洗浄した。次いで、免疫染色を行い、蛍光顕微鏡で接着したがん細胞数をカウントした。なお、比較例1の接着数を1.0として、相対値で比較した。
〔全血にがん細胞を添加したスパイク血試験〕
染色をしたヒト結腸癌由来上皮細胞(HT−29)を全血に100個/血液1mLになる様に懸濁させた(スパイク血)。これに等量の液体培地を入れて希釈した(希釈スパイク血)。次に、15mLの遠心分離管に、単核球細胞液(LymphoPrep:密度1.077±0.001g/mL)を入れて、その上に上記希釈スパイク血を入れて、800g20分の条件で遠心分離を行った。そして単核球層を分離した。分離した単核球層にリン酸バッファー(PBS)溶液を添加して、遠心分離を再度行い、濃縮を行った。遠心分離後の最下層にできた塊をFBS(ウシ胎児血清)10%添加液体培地(最初の全血量と同じ液量)で懸濁させた。この懸濁液を用いて、ウェルに1mlずつ注入し、37℃で1時間接着させた。その後、PBS溶液で未接着の細胞を洗浄した。次いで、蛍光顕微鏡で接着したがん細胞数をカウントした。なお、比較例1の接着数を1.00として、相対値で比較した。
Figure 2018059901
Figure 2018059901
フィブロネクチンを吸着させた親水性ポリマー層を形成した実施例1〜3は、親水性ポリマー層のみを形成した比較例1に比べ、がん細胞の接着量が大幅に向上した。これは、ポリ2−メトキシエチルアクリレート層上に、がん細胞の接着に関連するたんぱく質のフィブロネクチンを吸着させていたため、がん細胞が優先的に接着したものと推察された。
予め、血液を、フィブリノーゲンを表面に吸着させた容器(ピペット内面)に接触させた実施例4は、更に接着量が向上した。これは、ウェルへの滴下前に、予め、容器内面に血球細胞の接着に関係するフィブリノーゲンが吸着したピペットに血液を注入したため、血球細胞数が減り、がん細胞の接着性が更に向上したものと推察された。
また、実施例は、血小板の吸着量が少ない一方で、がん細胞の接着量が多く、選択性(がん細胞接着量/血小板吸着量)も良好であった。
表2によれば、表1でがん細胞の接着性が良好な実施例4、フィブロネクチン濃度を増加させた実施例5は、全血にがん細胞を添加したスパイク血試験でもがん細胞の接着性に優れていた。
1 医療用検査装置(マルチウェルプレート)
2 医療用検査装置(シングルウェル)
11 ウェル
21 親水性ポリマー層
31 フィブロネクチン

Claims (8)

  1. ウェル部を有する医療用検査装置であって、
    前記ウェル部の内面の少なくとも一部に親水性ポリマー層が形成され、かつ前記親水性ポリマー層にフィブロネクチンが吸着されている医療用検査装置。
  2. 親水性ポリマー層は、下記式(I)で表されるポリマー及びポリ(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性ポリマーで形成されている請求項1記載の医療用検査装置。
    Figure 2018059901
    (式中、Rは水素原子又はメチル基、Rはアルキル基を表す。mは1〜5、nは繰り返し数を表す。)
  3. 親水性ポリマー層は、下記式(I−1)で表される化合物及び(メタ)アクリロイルモルホリンからなる群より選択される少なくとも1種の親水性モノマーと、他のモノマーとの共重合体で形成されている請求項1記載の医療用検査装置。
    Figure 2018059901
    (式中、R、R、mは前記と同様。)
  4. 更に、フィブリノーゲンが吸着された部品を有する請求項1〜3のいずれかに記載の医療用検査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の医療用検査装置を用いて、血液又は体液中の細胞を調べる細胞検査方法。
  6. 医療用検査装置に導入する前に、血液又は体液をフィブリノーゲンが吸着された部品に接触させる請求項5記載の細胞検査方法。
  7. フィブリノーゲンが吸着された部品が採血用注射器、採血管又は遠心分離管である請求項6記載の細胞検査方法。
  8. 医療用検査装置に導入する前に、血液又は体液に遠心分離を施して上澄み及び/又は沈みを除去するものである請求項5〜7のいずれかに記載の細胞検査方法。
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