JP2018055509A - 複合有限要素のプリ処理方法、複合材料の解析方法、解析サービスシステムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

複合有限要素のプリ処理方法、複合材料の解析方法、解析サービスシステムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】解析対象の材料が複合材料であっても初心者にもベテランにも使い易い、複合有限要素のプリ処理方法、複合材料の解析方法、解析サービスシステムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。【解決手段】解析領域を構造格子および/または非構造格子の単位骨格要素に分割する単位骨格要素生成工程と、該単位骨格要素を形成するように単数または複数の母材要素を生成する母材要素生成工程と、該単位骨格要素に属する複数の節点を角節点とする単数または複数の第二相材要素を生成する第二相材要素生成工程からなる複合有限要素のプリ処理方法であって、任意の該単位骨格要素の該母材要素と該第二相材要素に関する体積分率および寸法と形状の幾何パターンを指定するとともに、該第二相材要素を所望の方向に配置しながら、該母材要素および該第二相材要素を指定に基づき生成することにより、該単位骨格要素を該複合有限要素に変換する。【選択図】図1

Description

本発明は、解析対象の材料が複合材料であっても初心者にもベテランにも使い易い、複合有限要素のプリ処理方法、複合材料の解析方法、解析サービスシステムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体の提供に関する。
<省エネ・環境負荷低減>
地球規模の温暖化防止対策として輸送機器などの軽量化によるエネルギー消費の低減と地球温暖化ガスの排出量削減が進められており、軽量化材料として複相金属材料やfrp(fiber reinforced plastic、繊維強化複合材料)の使用が有望視されている。
特にfrpは、第二相の高強度材料の体積含有率やその配設(配向)、形態、寸法サイズを製造プロセスの工夫により人工的に制御できる特徴があるので、最終製品の用途に合せた材料開発と同時に製造工程の最適化を図れば、従来の金属、セラミックス、樹脂を単独で使用する場合に比べて、優れた機能や特性を有する新材料の開発も夢ではない。
<繊維強化複合材料>
例えば、frpの場合、第二相の高強度材料としてガラスやカーボンファイバー(炭素繊維、グラファイト繊維)の微細繊維を長さ数mm以下に切断して樹脂などの母材に混練配合した短繊維強化複合材料が、射出成形工程用に比較的早い時期から利用されてきた。この材料は成形体の繊維の配向が比較的ランダムになるので、等方性に近い特性が得られるため、設計や製造に際して樹脂単独の場合の技術が活用し易く、手軽に利用されてきた。長繊維強化複合材料とは長さが比較的長い短繊維強化複合材料を意味することが多いが、連続繊維強化複合材料にも使われることがあり、混乱しないよう注意が必要である。
<連続繊維強化複合材料>
一方、近年はカーボンファイバーのような高強度で微細な連続繊維を束ねて糸、織物、編物として積層し、これに樹脂などを含浸・固化させた連続繊維強化複合材料が実用化されている。この材料は繊維の長手方向引張りや圧縮に高い強度を示すが、負荷方向が長手方向から外れると強度が極端に低下するため、設計の最適化が難しい。即ち、強度に関する異方性材料であり、製品の利用環境で負荷の高い方向を予測して繊維を配向することが重要である。
一般に材料メーカーがガラスやカーボンのファイバーを束ねて糸、織物、編物に成形、これに生のエポキシ樹脂を含浸させて板状(シート状)のプリプレグと呼称される中間製品を供給する。ユーザー(顧客)は素材プリプレグを製品形状に加工して、オートクレーブなどの加熱炉で樹脂を加熱することでエポキシ樹脂の化学反応によりこれを固化させ一体化して製品を得る。その際、製品の使用時の想定負荷に対する必要強度となるプリプレグの積層枚数および予想負荷の方向に応じて各プリプレグの繊維方向を決めて、最適積層構造(Optimum Stacking Sequence)を設計できる。
従って、最終的な製品の機械的特性を安定的に得るためには、素材メーカーとユーザーの各工程で欠陥発生を防止して、確実な化学反応を完了することが必要である。現在ではオートクレーブ法がこの条件を満足しやすいのて、航空機用材料など高信頼性の用途にはこの方法が採用されている。また、オートクレーブ法の生産性の低さや高コストの装置などの欠点を改善する新工程の開発も活発化している。
従来、最適積層構造の決定には、実機に近い模擬試験を実施して、素材の繊維と樹脂の寸法・形状や繊維の製造工程などの組合せ、中間素材の形態や製品への組立工程など、多くの条件因子の中から、主に実験により最適化が行われてきた。最大限に製品の機能・特性による高付加価値を引き出すためには、多くの時間、労力と費用が必要であるため、実験条件を出来るだけ省略して最適に近い条件を短時間で得る効率的な開発方法が重要である。
従って、合理的な最適積層構造の決定方法に関する技術は、素材メーカーおよびユーザーの共通の関心事であり、誰にも理解できるスタンダードな技術として提供されねばならないが、現状はその模索段階の印象である。以下に、関連する文献情報の一部を記述する。
<材料力学>
材料の力学特性に関する標準は材料力学である。非特許文献1はfrpに関する文献であり、材料力学を適用した異方性frpシートの面内引っ張り・圧縮試験の応力およびひずみの予測式が記載されている。これによれば、中間素材であるプリプレグの力学特性を直感的に把握できるだけでなく、定量的にも予測できるため、機械的試験方法として便利である。
但し、実際の複合材料は種々の製法があり、またパラメータが多いので、上記の式では個別対応が困難であり、実用的ではない。従がって、近年はコンピュータを利用した数値解析が盛んにトライされている。材料力学は明治期と現在の平成期の教科書の内容が大略同じであり、少なくとも1世紀前には完成しているが、frpはその後に登場したので、対応が困難と理解できる。従って、広義の材料力学として、数値解析などによるシミュレーションを便利に使えるように、発展させることが重要である。
<航空機の構造材料>
一般にプリプレグは複数のシートを交互に繊維方向を変化させつつ積層・接着して製品の強度を確保するため、製品表面を垂直に打撃するような衝撃負荷が作用すると、接着面近傍の樹脂層が破壊・分離して欠陥を生じ易い性質があった。積層構造はプリプレグの接合面近傍に作用する板厚方向の引張り応力に対して、これを補強する高強度材糸が存在しない構造なので、この部分が選択的に最弱リンクとして作用するためである。所謂弁慶の脛であり、そのため、人命の損失などに直結し易い航空機などの一次構造材料への適用は、比較的最近まで実現しなかった。
非特許文献2はcfrp(carbon fiber reinforced plastic、炭素繊維強化複合材料)に関する文献であり、cfrpの開発の歴史や技術の概要および主なブレークスルーのポイントが文章と図解で簡潔に記されている。
また、特許文献1および特許文献2は関連の前記接着面近傍の樹脂層破壊を防止する樹脂材料の製品特許およびその製造工程の方法特許に関する。
通常、高強度が要求される構造材には高延伸したpan(ポリアクリロニトリル - Polyacrylonitrile)系繊維を高温(最高温度3000度)でグラファイト化処理した高強度カーボンファイバーとエポキシ樹脂の組合せによるプリプレグが適用されるが、硬化したエポキシ樹脂はガラス転移点の温度Tgが200度程度と高いため、常温では硬くて脆い性質である。そこで、ガラス転移点の温度Tgが室温よりもかなり低い、サブμmの直径のエラストマー粒子をエポキシ樹脂中に微細分散させることにより、強度と靭性を兼ね備えた特殊なエポキシ樹脂が開発された。
また、ベンゼン環を骨格とする低分子のエポキシ樹脂を加熱により重合させて高分子化する際に、結合の手に適正な官能基、水素基、ハロゲン基を適度に配合することでガラス転移点の温度Tgを低減するとともに、難燃性を付与する。
更に、繊維と樹脂の界面近傍にもガラス転移点の温度Tgが低い粉末樹脂粒子を局部的に集合させることにより、強度と靭性を兼ね備えた樹脂膜を形成する。これにより、繊維の幅方向や厚さ方向の強度と靭性が向上するので、前記の接着界面近傍の樹脂の破壊強度が向上して、航空機の1次構造材料に適合するようになった。
特許文献3は、frp製構造体を成形する際に用いられるrtm(resin transfer molding)成形方法の改良に関する方法特許であり、とくに、成形されるfrp成形体の繊維体積含有率(以下、fと略称することもある。)を向上させ、より強度、軽量性に優れた成形体を得ることが可能なrtm成形方法に関する。
この方法の特徴は、高強度繊維のプリカーサを予め型内で成形し、これに樹脂を注入して含浸・固化により一体化させてfrp製構造体を成形する。そのため、プリプレグを積層する方法に比べて、製品の形状の自由度が高く、自動化により生産性にも優れる特徴があり、総合コストの低減が期待されている。
<振動、伝熱、電気、磁気、耐湿度、耐温度>
一般に樹脂は金属材料に比べて振動、熱、電気、磁気、温度や湿度の環境耐性がかなり異なるため、金属材料からcfrpに変更する際には、これらの特性を製品特性として高付加価値化に活かす設計が重要である。例えば航空機の構造部材の場合には、cfrpの持つ振動減衰効果により不快な振動と騒音の低減で快適性が向上する。また、湿度に弱い金属では制限されていた加湿がcfrpの耐湿性により適用可能となり、更にcfrpの強度向上による機内の与圧向上で耳鼓膜の圧迫が軽減され更に快適性が向上する。
一方、アルミニウム合金は熱、電気の良導体であるため局部的に加熱されても熱が一箇所にこもらず、適温を維持し易い。また、雷などもシールドして落雷の際にも危険が少ない。そのため、cfrpに材料変更をする際に、樹脂が熱と電気の不良導体である特性を改善する必要性がある。cfrpの高強度材カーボンファイバーの成分はグラファイトなので高良導体であり、cfrpの採用により体積比で50%以上部分が高良導体の網目構造に置き換わるので、樹脂中に導電性微粉末を添加するなどで、実用に必要なレベルに改善された。
<最適積層構造による次世代cfrp構造の提案>
非特許文献13はアメリカ航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration, NASA)の次世代航空機胴体に関する最適積層構造およびその製造工程の提案に関する最近の学術論文である。航空機の最適積層構造はベストプラクティスが存在し、特許や技術資料も多く、準スタンダードが存在する印象である。これに対して、新たにテープフィラメントワインディングによる繊維巻き付け方向制御とその製造設備を新規設計したのは、技術的な発展の余地があるとの判断に基づくと推察される。
但し、最適積層構造の探索は、非特許文献13に開示の実験的アプローチでは投資が膨大になる上に、開発時間の短縮も限界がある。その解決策として、繊維の連続性に着目した力学解析により、有望な積層構造に絞り込むことが考えられる。非特許文献13およびその続報でも肝心の試作材の機械的特性が殆ど開示されていない。従って、力学解析による機械的特性の予測システムを開発してスタンダード化すれば、最適積層構造による新製品の可能性がある。
<素材コスト>
非特許文献2によると、航空機用cfrpは一方向配向性のグラファイト化のため2000度から3000度の超高温熱処理が必要である。従がって、繊維は高価であり、また単位体積当たりの電気エネルギー消費量は電池のように高い。従がって、省エネ・環境負荷低減の目的では、この初期の製造エネルギーの負債を早期に回収できる用途でなければ、目的の達成は困難になる。航空機の場合、燃料の消費量が極めて多く、回収期間が短いので有理である。
<自動車>
自動車は航空機に比べて燃料消費量が相対的に少ないので、回収期間が長くなる。従がって、LCAではリサイクルなどで長期間使用する場合でなければ目的の実現は困難化する。また、素材のグレードなどを低下することでイニシャルコストを低減しなければ、大衆車への適用が制限されるリスクがある。
しかし、自動車は航空機に比べて生産台数が圧倒的に多いため、少しの改善が大きな改善につながる可能性がある。そのため、自動車メーカーとcfrpの素材メーカーが共同でエコカーの開発に着手した。
現状は、世界の大手自動車メーカーの高級車で試行錯誤の段階のようであるが、大衆車用途までは多くの実験データの蓄積とかなりの時間が必要となるかもしれない。特に、自動車は安全性の規則が厳しい上に、リサイクルとコスト低減など、国や地域の法律や文化への依存性も多く、また、強度は勿論のこと、振動、伝熱、電気、磁気、耐湿度、耐温度なども安全や快適性の設計目標が多い。
<スポーツ用品・産業用途>
非特許文献2には、cfrpの代表的な適用例として、開発初期のスポーツ用品、特に釣竿、テニスラケット、ゴルフクラブや、最近の自転車車体フレームなどブームを巻き起こし、市場を確立した高負荷価値製品をあげている。また、大型望遠鏡、ロケットや人工衛星の不可欠な材料としてニッチ市場や、水素タンク、燃料電池などエコカーの材料として将来の有望市場が予測された。
今後は、産業用途が急速に展開され、市場が拡大し続けるとの予測である。従がって、各種の製品要求特性のバランスを素材選択、成形方法の選択、プロセス条件の最適化により対応できるfrpは、その適用製品の種類に応じて製造工程が多様化する。産業用途の展開は、素材メーカーと部品や製品の組立メーカーで最適条件の設計への需要が増大することを意味し、これを一般の技術者が短期に低コストで行うシステムの可否が市場拡大のキーテクの一つである。航空機のように着想から実用に半世紀も要するのであれば、大衆自動車などのコモディティー化は絶望的であり、市場拡大は減退する。
<最適設計のための実験代替手法の必要性>
上記したように、複合材料などの人造材料はエコ材料として注目されているが、実用化のためには、具体的な適用製品に必要な付加価値を実現するために個別的な応用開発が必要になる。ところが、従来は適用効果が高い有望製品の分野でも半世紀近い長期間にわたる地道な研究開発が必要であり、多くの企業が開発に失敗した。今後の製品開発では、多くの因子を効率的に最適化するために、強度だけでなく、振動、伝熱、電気、磁気、耐湿度、耐温度などの各種物理的特性を総合的に考慮した最適設計および、その効率的な手法の開発が重要になる。
特に、物理的特性の異方性が顕著である複合材料では、素材の繊維と樹脂を製品形状に成型するための製造工程で、材料開発者と機械設計者など多分野の技術者が共同で技術開発を行う機会が増加し、異分野の境界技術がブレークスルーに繋がる可能性も高い。従がって、最適化手法は入門者でも容易に利用できることが重要である。
<材料力学の複合則>
複合材料の補強材料(高強度材料)の体積分率(体積含有率)が指定された場合に、母材マトリックスと補強材料の物性から複合則を用いて複合材としての物性の実効パラメータの上下限を予測する方法(上限:Voigt 則、下限:Reuss 則)が公知である。一般に複合材は最も大きな負荷が作用する方向に最適化されて配設(配向)されるので、実効パラメータの上限値が重要である。これは、プリプレグを積層したシートに対して繊維方向に負荷することに対応しており、設計において重要なパラメータであることが判る。
但し、実際の設計では任意の方向の負荷にも対応しなければならないので、そのために以下のコンピュータによるシミュレーションが実施されている。
<シミュレーションによる実験の代替>
特許文献4は、代表的な汎用シミュレーションの手法である有限要素法(以下、FEMと略称することもある)に関する技術である。これによるとFEMを次のように位置付けている。
物理現象を表現する偏微分方程式の初期値、境界値問題を数値的に解くための代表的な離散化方法の一つとしてFEMがある。FEMでは、解析モデルの物体や空間にメッシュを生成して有限要素に分割し、有限要素の中での変数分布として一次式等の単純な変数分布を仮定することにより、問題を線形方程式の求解に帰着させる。この線形方程式の近似解を行列計算により求め、解析モデルの複雑な変数分布を数値シミュレーションすることができる。
FEMを用いたシミュレーションシステムは、解析モデルの形状、メッシュ、材料特性、境界条件等のデータを入力する入力部と、入力部に入力されるデータに基づいてFEMによる解析を行う解析部と、解析部による解析結果を目的に応じた形式で可視化するなどして出力する出力部と、から構成される。シミュレーションシステムにおける計算コストの大部分は、線形方程式の求解に係る行列計算に費やされ、解析モデルの規模の増大に伴って行列計算の計算コストは指数的に増大する。そのため、行列計算を高速化するための種々の技術が開発されている。例えば、解に近づくベクトルを逐次計算する反復法による非対称行列の解法、反復法によるスパース行列の解法の収束性を改善する技術が開発されている。
特許文献5は、有限要素解析用インターフェースとして、塑性加工工程の大ひずみ、非線形変形挙動を効率良く解析するためのFEMを対象にしている。この場合、特許文献4とは異なり、対称行列の直接解法を適用するため、反復法に比べて記憶する行列の変数が格段に増加する。従がって、特許文献4に開示の技術が利用できない問題点があった。そのため、変数の数を低減するために有限要素によるメッシュ生成の際に節点の番号付けの工夫を行っており、通常のプレ処理が適用できないため専用のインターフェースが開発された。
<frpの積層体の構造解析とFEM>
ユーザーは市販のプリプレグを積層・固化一体成形して所望の部品を製造する。薄いシート状のプリプレグを積層して得られる代表的な製品は耐震補強材、航空機や自動車のモノコックボディー用構造材にみられるように、板、シートやシェルである。市販のFEM解析ソフトには、構造系の有限要素としてプレートやシェルなど薄肉材料の構造解析に適した要素が整備されている。通常は単層のプリプレグの肉厚と要素の肉厚を一致させて曲げや引張、せん断の解析を行う。
工業的に複合材料が成功をおさめて、最適積層構造の設計により従来の金属材料を部分的に凌駕することが認知されたことから、有限要素の肉厚をプリプレグの積層体(製品)の肉厚と一致させて、積層構造を有する板、シートやシェルの専用有限要素が開発された。即ち、First Order Shear Deformation Theory(FSDT)に基づく Laminate Modelの登場である。これは、従来の金属材料の構造解析で実用されたFEM解析システムを流用して、有限要素の種類を変更することで複合材料の解析ができることから、広く普及している。例えば、非特許文献12の第13章には理論とプログラムのソースコードおよび解析例が開示されており、正に教科書レベルの技術である。
しかしながら、このモデルは樹脂と繊維などが完全に一体化して欠陥がない理想条件を仮定するので、実際の欠陥を有する材料の強度特性を模擬できない。そのため、素材メーカーの材料開発には適さないこと、また、ユーザーの欠陥を考慮した最適積層構造の設計でも使い難いことから、その代替方法が種々検討されてきた。
<frpの積層体の構造解析と欠陥の影響のFEM>
欠陥の存在のもとに最適積層構造の設計を支援するFEM解析の成功例として、特許文献6は、スポーツメーカーと複数の大学によるもので、カーボンファイバーを強度材とする母材樹脂のプリプレグを8層程度積層した板材の各種材料強度試験とその有限要素法によるシミュレーション技術が開示された。繊維、樹脂および接着剤からなる一体構造を各材料の物性や寸法形状および繊維配向を考慮しつつ、剥離欠陥の寸法形状や位置を考慮して、実用的な解析時間で処理できるように、有限要素メッシュモデル化を工夫して、数%程度の誤差で評価する方法を開示した。
即ち、特許文献6の目的は、限られたCPUパフォーマンス下において比較的短時間で三次元変形挙動を精度良くシミュレートすることができる擬三次元化モデルを提供すること、およびその擬三次元化モデルを用いて複合材料積層板の解析を行う方法を提供することである。
即ち、複合材料積層板中に存在する繊維と樹脂とをそれぞれ独立して把え、繊維部を繊維配向角による強度異方性を考慮したシェル要素で、樹脂部をビーム要素でモデル化し、ビーム要素でシェル要素を拘束するように組み合わせることにより擬三次元化モデルを作成する。この擬三次元化モデルを用い、複合材料積層板の引張解析、曲げ解析、固有振動解析、引張損傷解析または残留強度解析を行う。
特許文献7は、プリプレグ等の材料のトップメーカーによるもので、上記の擬三次元化モデルを用いた複合材料積層板の解析モデルを改良して、解析の予測精度の向上が図られた。従がって、特許文献6および特許文献7に開示の解析技術が、frp製品を製造する当業者の標準的なFEM解析手法として実用されている。
但し、特許文献6および特許文献7に開示の技術では、破壊が発生し易いプリプレグの積層界面近傍をビーム(梁)要素でモデル化するので、材料開発に重要な破壊の起点に関する微視的な情報が得られない。また、積層するシェルのメッシュ分割が各シェルで全く同じでなければ、利用できない。即ち、プリ処理の改善が必要であるが、放置されたまま現在に至っている。
特許文献1および2に開示のように、積層プリプレグの弱点を克服するには、微視的な破壊力学に基づく合理的な樹脂アロイ技術の開発が検討されてきた。そのためには、特許文献6および特許文献7を改良して、力学的に微視的な応力やひずみの集中を予測する解析手法の開発が重要である。
<frpの積層体の構造解析に必要な多機能界面の要求特性>
非特許文献15は、特許文献6および特許文献7に開示の方法を各積層材の有限要素メッシュ分割が異なる一般的な場合に拡張するために、積層材間を結合する多機能界面の要求特性(モデルの仕様)が開示された。
隣合うプリプレグ(積層材)の有限要素メッシュが異なると樹脂(母材)ビームによる接続が困難化し対策が必要になる。また、cfrp製品の衝撃試験では各プリプレグの接合界面にき裂を生じて繊維(第二相材)から樹脂が剥がれ落ち、圧縮時の繊維の座屈が容易に生じるため曲げモーメントを負荷出来なくなる。従がって、破壊力学解析からは樹脂・樹脂界面(合わせ面)にき裂を導入して、き裂の伝播可否を予測したい。
また、釣竿製品などでは数十プライ積層することが一般的なので、破壊の起点にならないプリプレグ群を縮退化して解析の未知数を低減したい。
更に、可変配向の繊維に沿う滑らかなFEメッシュ生成を可能にして、解析精度を向上したい。などなど個別の利用目的に適合するためのプレ処理の合理化が必要であり、これらを要求特性とするとの考察がなされた。
<複合材料の等価な異方性材料モデルへの近似とパラメータの同定>
代表的な複合材料としてcfrpを例に、解析に用いる材料物性について、その入手方法と課題を検討する。cfrpを構成する主な材料は高強度材としての炭素繊維(グラファイト繊維)と母材マトリックスの樹脂である。前者の機械的な材料特性はcfrpの利用環境の影響、特に温度の影響は微小であり、また、基本的に弾性範囲の利用が主である。一方、樹脂は使用環境、特に温度に敏感であり、またボイドやき裂など内部欠陥を有するとともに、塑性変形域を含めて利用される。ヤング率は炭素繊維の1%程度と極端に低剛性なので、ひずみが集中しやすく破壊の発生源になりやすい。しかも、内部欠陥が最も生じやすい樹脂・樹脂合せ面(接合面)近傍は、局部的に樹脂100%の部分であり、cfrpの最弱部である。
高強度材と母材マトリックスの機械的材料特性が既知とする。これらを用いて、本質的に非均質な複合材料製品としての平均的な機械的材料特性を得るには、材料力学の複合則を使うしかない。ところが、経験的にcfrpに対して材料力学の複合則で予測しても実験に合わない。従って、実際に用いる予定のcfrpを試作して、機械試験により異方性材料のパラメータ(多数)を求める必要性、即ちパラメータの同定処理が必要である。ところが、ユーザーがcfrpの積層構造を設計するため、同定処理もユーザー責任となり、金属材料のようにメーカーのカタログだけで使えない問題があった。
<frpの物性同定のためのFEM>
その一例として、特許文献8は、電器通信会社によるもので、特許文献9のタイヤメーカーの開示したマルチスケールモデルによるフィラー複合材料としてのタイヤの構造解析などの解析精度向上に有用な未知の材料定数推定システムが開示された。ラジアルタイヤなど複合材料製品は顕微鏡的な観察では観察位置により柔軟なゴムや硬いフィラーなど種々だが、タイヤの肉眼観察ではゴムやフィラーの平均的な硬さで機能する。マルチスケールモデルは平均的な材料特性による巨視的な製品の有限要素メッシュによる巨視解析と、ゴムやフィラーからなる代表的な単位構造の有限要素メッシュによる微視解析を連成または非連成でシミュレーションする。特許文献8は微視解析に必要だが、一般に不明の材料定数を効率良く予測する。
即ち、第1材料と第2材料とを含む複合材料に対して実行される材料試験の負荷条件を提供する負荷条件提供部と、負荷条件に基づいて複合材料の試験を制御し、試験結果を出力する試験制御部と、第1材料の未知である物性を表す第1材料定数として仮に設定された第1仮材料定数と、第2材料の既知である物性を表す第2材料定数とを提供する材料定数提供部と、負荷条件、第1仮材料定数、及び第2材料定数に基づいて、複合材料のモデルに対して応力解析を実行し、解析結果を出力する応力解析部と、試験結果と解析結果との誤差が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する誤差判定部とを具備する。誤差判定部は、誤差が許容範囲内の場合、第1仮材料定数を第1材料定数に決定する。
特許文献8は難解であり、とても材料力学だけで理解出来ない印象である。抜本的な解決策はこの材料パラメータの同定処理を廃止して、メーカーのカタログで既知の高強度材と母材マトリックスの機械的材料特性をそのまま解析に用いることである。そのような方法として、高強度材と母材マトリックスを別々の有限要素にメッシュ分割して、解析の中で平均的な材料パラメータの同定処理を行う種々の方法が提案されている。高強度材と母材マトリックスを区別できるモデルサイズはメソスケールであり、一方製品の変形はマクロスケールなので、両スケールでモデル化して両者を連成解析することになる。これをマルチスケール解析と総称しよう。以下はマルチスケール解析に関する記述である。
<frpの巨視特性と微視特性の関係によるFEM>
非特許文献3および図22はカーボンファイバーと熱可塑性樹脂によるプリプレグ積層板の大変形機構を調査した市販のFEMソフトを用いたマルチスケール解析による、微視解析の単位構造(2本の繊維を含む)の三次元有限要素メッシュが開示され、8節点六面体要素(25x25x20=12500要素)、ソルバーは動的陽解法であった。マルチスケール解析は材料の巨視的な挙動と微視的な挙動の関係を、夫々の寸法による解析モデルとして作成し、両モデルを交互に解析、情報交換することで、両者を擬似連成する手法の総称である。
frpの場合に巨視特性は顕著な異方性を示すが、高強度材糸の直径程度の微視特性は、等方的な樹脂と糸の組合せでモデル化できるので、初歩的な等方性のFEM解析で処理できる。特に非特許文献3ではfrpの糸による升目構造が直方体の周期構造で近似できることに着目して、均質化法を適用したので、両モデルの連成解析を市販のソフトで実施できた。
一般的にマルチスケール解析は計算量が膨大になるので、計算時間とコストが増大する問題点があり、最近の高性能計算機の利用および均質化法の適用で実用の目処が立つとともに、注目されてきた。上記の航空機用途では数μm程度の直径の繊維や同程度の接合界面の剥離欠陥の挙動を予測する潜在ニーズが強いことから、欠陥発生が予測される着目部位の微視解析を精度良く解析する技術は有用である。その観点から、マルチスケール解析と実験の比較による予測の信頼性検証が重要である。
<重合メッシュ法による複合FEM解析>
マルチスケール解析と関連が深い、非特許文献4は、材料の一部に欠陥や特性の異なる異種材が存在する場合のグローバルメッシュとローカルメッシュを用いるFEM解析に関する。プリプレグに穴を開けて切り欠き材として強度試験を実施する際に切り欠きを欠陥としてローカルメッシュでモデル化できるので、プリ処理が単純である特徴がある。但し、専用のソルバーの作成が必要である。
<複合メッシュによるコードとその複合体のFEM解析>
メソスケールとマクロスケールがほぼ同じスケールの例として、特許文献10と図21はコードの撚りによって発生するねじりトルクを考慮して有限要素法解析をすることができるようにした有限要素モデルの作成方法の提供に関する。即ち図21において、コードAを、コードAの実体を形成するソリッド要素1と、コードAに作用する張力に対してコードAの長手方向の伸び量を調整する軸トラス要素2aと、コードAの長手方向に対してコードAの円周方向に傾斜する螺旋状のトラス要素2であって、コードAに作用する張力に対してコードAの外表面上の節点3にコードAの円周方向の分力を生じさせる螺旋トラス要素2bとに分けて、モデル化する。
複合体とは荷重を伝達するコードと形状を形成するエラストマーからなるベルトである。ベルト全体をエラストマーとして5面体立体要素でメッシュ分割し、コードは三次元のトラス要素でメッシュ分割する。両方のメッシュを重ね合わせて一体のメッシュとしてFEM解析を実施するので、重合メッシュ法と同様にプリ処理が単純化される特徴がある。
但し、開示された図面ではビーム要素が異なる5面体立体要素の節点に接合されているため、エラストマーの剛性行列の非零配列変数の構造からはみだすため、ソルバーの処理が複雑化する。また、エラストマーとコードの二つのメッシュ分割を実施するので、プリ処理の作業が増加する問題があった。また、引張方向からトラスの長手方向が外れる程、変形荷重が過大になるので、両者が一致するような場合に適用すべきである。
特許文献11と図21は(A)のように円柱状の補強コードを複数ゴム板材の中央に有するタイヤのモデルに対して、(B)に示すように補強コードを異方性の強度特性を有する膜要素に置き換えて、コードが無いゴム板のソリッド要素の間に挟んで、近似モデルとした。膜要素とは面内の力のみ、すなわち、引張、圧縮、面に沿った方向のせん断のみを伝える要素であり、本例では四辺形膜要素を例示している。
特許文献10、特許文献11の複合メッシュでは、母材と補強材のメッシュを別々に生成して管理するので、両者の整合性をとるために管理が必要になる。自動化などの対応では、特に、プログラムのプリ処理の管理にコストと時間が必要である。
<広義の材料力学>
全ての技術において、開発された技術を何処が持つ(担保する)かは、企業として最もプリミティブは選択である。cfrpやgfrpなどfrp複合材料では、材料メーカーの中間製品開発と顧客メーカーのファブリケーション設計が同時に適正である場合に、所望の特性が得られた。従って、frp複合材料の構造解析の技術は両者で担保することが必要であり、企業規模から独自開発が困難な顧客メーカーで担保できる技術が重要である。
通常は材料力学を担保すればよいのだが、登場して高々半世紀のfrp複合材料では、材料力学の複合則が妥当しない。スタンダードな材料力学を補完・補強するものとして、広義の材料力学がある。例えば、金属材料の引張試験は材料力学だが、frp複合材料のそれは広義の材料力学と認識される。同様に、複合則は材料力学だが、FEM解析は広義の材料力学とみなされる。ところが、引張試験と理論解析では実際に担保されているところが全く異なり、前者は産学とも普及しているが、理論解析は学(教育機関)と一部の大企業に偏在している。これは、市販の汎用FEM解析ソフトの導入箇所と良い相関関係があり、汎用FEM解析ソフトを使えないか使わない小企業は蚊帳の外であった。実際、学術論文はFEM解析が必須条件のようにして利用・報告されるので、学術論文を作成する箇所に技術が偏在して担保される。学術論文に無縁な小企業には担保できない技術の印象である。
<複合有限要素による広義の材料力学>
非特許文献14と非特許文献15は材料力学の複合則を補完・補強するために提案されたfrp複合材料専用の複合有限要素解析モデルに関する講演予稿である。非特許文献14では先ず、非特許文献9に開示のcfrp積層シートの金型プレス成形(但し、樹脂は射出成形用)により発生した非対称変形と繊維のキンクの欠陥発生機構を説明する。これは繊維の連続性と樹脂が溶融状態での皺押さえの状態を考慮すれば、欠陥発生の素過程を科学的・合理的に説明する概念モデルであった。材料力学的な考察で当業者が容易に到達する概念のはずだが、教科書にないので広義の材料力学に属すると推察される。これを有限要素法、とりわけマルチスケール解析と区別するために有限初等材料力学(Finite Elementary Material Mechanics, FEM2)と呼称された。
非特許文献14では、広義の材料力学として、最も有望な特許文献6および特許文献7をベースに有限初等材料力学が提案された。先ず、特許文献6は異方性構成式のシェル有限要素に基づくので、ユーザーがcfrpの積層構造を設計するためには、異方性構成式のパラメータの同定処理もユーザー責任となり、金属材料のようにメーカーのカタログだけで使えない問題があった。その対策として、母材の樹脂と第二相材の繊維を有限要素で区別して、それぞれ別物として生成された。
一般にプリプレグは構造格子メッシュの要素境界に繊維を配設する構造なので、母材のメッシュを構造格子で生成した後、各母材の有限要素を親要素とし要素内に第二相材の有限要素を子要素として生成する。これにより、メッシュ生成を合理化して、第二相材の有限要素を完全自動化で生成できる。そこで親子要素を一体の要素として複合有限要素と呼称された。非特許文献11において5種類の積層体の均一引張試験が実施されたので、非特許文献14では複合有限要素による試作プログラムの解析結果(1個の複合有限要素)との比較がなされ、定性的にも定量的にも解析の妥当性が検証された。
非特許文献15は顧客の製品設計の最適化に適用するために必要な積層体の解析モデルが検討された。積層体モデルに関しては、製品である積層体の欠陥発生の定量評価に結び付けなければ、製品設計に反映できないため、種々の提案がなされている。(1)First Order Shear Deformation Theory(FSDT)に基づく Laminate Modelは欠陥を取り扱えないため特許文献6の当業者により敬遠された。また、(2)学術的な方向性のマルチスケール解析は、方向性が広義の材料力学から離れる印象なので、有限初等材料力学には使えない。そこで(3)特許文献6および特許文献7をベースに、積層モデルが検討された。
即ち、非特許文献15では、非特許文献14に開示の複合有限要素によるプリプレグのモデルを積層して、その界面を接合する方針であり、接合に必要な多機能界面の要求特性が検討された。但し、要求特性だけで、実際の多機能界面のモデルが未開示であった。従って、広義の材料力学として有限初等材料力学は未完成であった。
国際公開番号WO2009−119467号公報 国際公開番号WO2012−102201号公報 特許第4104413号公報 特許第4973957号公報 特開2006−164219号公報 特開平6−305105号公報 特開2008−108242号公報 国際公開番号WO2011−108468号公報 特許番号4093994号公報 特開2007−34728号公報 特開2003-094916号公報 特開2015-032295号公報
宮入裕夫,後藤卒土民:強化プラスチック材入門 (2007),日刊工業新聞社. 平松徹:炭素繊維の本(2012),日刊工業新聞社. 神谷隆太,大塚哲朗:第66回塑性加工連合講演会論文集(2015),57. 鈴木克幸、ほか3名:応用力学論文集Vol.7(2004),pp.383-389. 堀辺忠志:やさしい有限要素法の基礎(2008),森北出版. 立野大地、米山猛ほか4名:第66回塑性加工連合講演会論文集(2015),53. 瓜屋裕、大家哲朗、柳本潤:第66回塑性加工連合講演会論文集(2015),55. 瓜屋裕、柳本潤:平成26年度塑性加工春季講演会論文集(2014),207-208. Ferreira. A. J. M: Matlab codes for finite element analysis. Portugal, Springer publication. K. Wu, et.al.:"Design and Manufacturing of Tow-Steered Composite Shells Using Fiber Placement", Structural Dynamics, and Materials Conference(2009) AIAA 2009-2700. 吉田忠継:CAMP-ISIJ,Vol.29(2016) , 263〜265 (3 連報). 吉田忠継:CAMP-ISIJ,Vol.29(2016) , 695〜697 (3 連報).
解決しようとする問題点は、frp製品の最適積層構造を求めるための適当な材料力学的手法が存在しないことであり、これを代替してユーザー(顧客)の設計を容易化する広義の材料力学においても信頼できる方法やシステムが不明な点にある。換言すれば、信頼できる材料力学や入門レベルの数値解析を組み合わせて広義の材料力学として解決できるか否かが不明な点である。
即ち、cfrp製品などの特性向上や高付加価値化のための開発に際して、個々の分野で要求される高度な専門性のため分業的、プロジェクト的な開発体制が一般化するなか、最も基本的な分野共通の製品強度の予測技術が入門者には理解し難いことである。従来利用されてきた伝統的な材料力学などの初等解析では、複合材料の持つ強い巨視的な異方性と、強度限界の微視的な破壊挙動を合理的に結びつけることが困難化したため、コンピュータによるマルチスケール解析など代替の有限要素解析が提案されている。しかし、マルチスケール解析は金属材料など非均質性の少ない場合に適用され、frpのような複相・複合材料に対して実績が少ないので、入門者だけでなくベテラン当業者にも容易に理解できないまたは利用できないという致命的な問題点があった。
一方、開発対象の製品が一部のスポーツ用品などニッチな高価格帯製品であった初期の頃に比べて、今後はコモディティーと称される低価格帯の大衆製品に拡張適用が広がると予想され、材料、設計、製造、利用、リサイクルなどの製品LCA(ライフサイクルアセスメント)的視点から総合的な最適化システムの確立が重要視されている。特に、今日の世界的な大競争時代では、価格競争力が重視され、狙った仕様の製品を短時間に安価に安定的に適時に開発、供給できなければ市場は拡大しない。
従がって、製品を企画する段階で大略の設計可否を評価・判断することが重要である。そのためには、実験だけに頼らずに、理論とコンピュータシミュレーションを援用することが合理的であり、特に、材料強度、熱、流体、電気・磁気、振動、物理、化学、などの所謂マルチサイエンスによる総合的な最適化システムの確立が重要な課題である。しかし、マルチサイエンス解析は入門者だけでなくベテラン当業者にも容易に理解できないという致命的な問題点があった。
近年は、主に海外製の商用FEM解析ソフトの利用が一般化しており、産学官の研究開発機関でも便利なツールとして認識されている。そして、上記のマルチスケール解析やマルチサイエンス解析への対応も行われていることから、複合材料への適用が試行されてきた。
但し、一般的に異なる材質の母材と高強度材を独立に扱える複合有限要素が、市販製品の解析ソフトに登録されておらず、そのため、特許文献10、特許文献11、特許文献12に開示のように、母材の材質を付与された要素と高強度材の材質を付与された要素を場当たり的に別々に生成して、解析の途中で両者を組み合わせるなど、思い付きでメッシュの適用がなされている印象である。
材料力学や広義の材料力学では、コンピュータに頼らずとも概念モデルや数式で理解し易いため、各社での経験が蓄積されて準スタンダード化し、次の開発に適用される。ところが、思い付きの数値計算ではこのような好循環が期待できない。このような環境では、高性能なコンピュータを有する機関が、異常に大規模なモデルを作成してリアルそうな結果を論文で公開する。コンピュータの操作技術に集中するので、肝心の理論、取り分け広義の材料力学に好適な物理モデルが発展しない悪循環が生じる。
そのため、複合材料の解析では単一の材料の解析に比べて大規模解析、難解な解析になる傾向であり、例えば、マルチスケール解析でも種々の方法が過剰に乱立して、ユーザーはどれを使うべきかに困り、結局は商用FEM解析ソフトのベンダーにモデリングを委託する場合もある。従がって、この場合の課題は製品ソフトに複合材料用の専用要素を定義して計算処理を単純化し、大規模解析を回避することである。しかしながら、市販の製品ソフトには、このような複合材料の解析に特化された専用複合有限要素は見当たらない。
以上の問題的を解決するために、非特許文献14に開示の複合有限要素が提案された、メソスコピックなモデルとして、均一引張試験に適用する方法が開示された。マクロスケール解析に適用された実績がないため、開示の技術では顧客の製品の解析に適用できない問題があった。
また、メソスコピックなfrpのユニットセルを母材マトリックスのソリッド要素(面積や体積のある中実要素)とみなして生成し、この要素を親要素として第二相材要素をその内部に生成するため、母材マトリックスの要素のモデル化が厳しく制限され、(1)限られたソリッド要素しか利用できない、(2)第二相材のように複数の要素を組み合わせた母材要素を使えない。(3)特に、三次元積層体の曲げを伴う場合に拡張するには母材要素を難解なプレートやシェルの構造解析系要素に変換しなければならず、難易度が高いため広義の材料力学には相応しくない、など問題があった。
また、既に指摘したように、(4)積層体の解析に必要な高機能界面モデルが未開示のため、製品の積層体の解析が困難であった。従って、均一引張条件しか解析できない問題があった。更に、(5)製品機能の観点から孔(穴)や切り欠きおよびこれらのローカルな補強を簡便に解析する潜在的なニーズがあるが、その対応が不明であった。
また、材料力学など初等解析に代わる方法として、複合有限要素を用いた解析方法を確立するためには、マルチスケール解析など従来の計算機室で解析処理をするのではなく、電卓のように工場や事務所など場所や時間に制限されずに手軽に利用できることが工場などの現場では重要である。その対策として、スマートフォンなどの優れたユーザーインターフェースを有するコンピュータと通信装置を兼ねるツールで解析処理を実施できるシステムの開発が重要な課題である。
特に、所謂マルチスケール解析ではマクロモデルとミクロモデルを作成するため、プリ処理が煩雑で自動化処理には不向きであった。従って、(6)複合有限要素の特性を活かしたプリ処理の自動化とスマートフォン(携帯端末)などの移動体通信との融合が重要な課題であった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、初心者にも利用し易い、複合有限要素のプリ処理方法、複合材料の解析方法、解析サービスシステムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、(1)複合材料を高強度材のネットワーク構造を模した糸または繊維の束と樹脂のサンドイッチモデルと見なして、(2)材料力学のように多少の矛盾は許容しつつ、両材料の組み合わせによる新開発の複合材料専用の複合有限要素で高強度材と母材の自動メッシュ生成を図った点、および(3)これらのモデルを積層してマクロスコピックな製品段階のモデルを生成する点を主要な特徴とする。
即ち、第1の発明は、解析領域を構造格子および/または非構造格子の単位骨格要素に分割する単位骨格要素生成工程と、該単位骨格要素を形成するように単数または複数の母材要素を生成する母材要素生成工程と、該単位骨格要素に属する複数の節点を角節点とする単数または複数の第二相材要素を生成する第二相材要素生成工程からなる複合有限要素のプリ処理方法であって、任意の該単位骨格要素の該母材要素と該第二相材要素に関する体積分率および寸法と形状の幾何パターンを指定するとともに、該第二相材要素を所望の方向に配置しながら、該母材要素および該第二相材要素を指定に基づき生成することにより、該単位骨格要素を該複合有限要素に変換することを特徴とする。
また、第2の発明は、複合材料積層板中の任意の単層板を該単位骨格要素、該複合材料積層板中に存在する第二相材を該第二相材要素、母材をマトリックス要素および該接着要素および所望により母材と母材の合せ面要素としてそれぞれ独立にとらえ、該第二相材要素をビーム要素、該マトリックス要素をシェル要素または膜要素またはビーム要素、該接着要素をビーム要素、該合せ面要素をシェル要素または膜要素またはビーム要素でモデル化し、該接着要素で該第二相材要素同士または該第二相材要素と該合せ面要素を拘束するように組み合わせることにより請求項1に記載の複合有限要素によるモデルを積層して擬三次元化モデルを作成することを特徴とする。
また、第3の発明は、メソスコピックな単位セルに基づき該複合有限要素の該母材要素および該第二相材要素のメッシュを設定するとともに、所望の寸法の解析領域を所望の寸法の該複合有限要素によるメッシュ分割によりモデル化する。
更に、第4の発明は、汎用解析ソフトの有限要素を該第二相材要素および/または該母材要素に流用することにより該複合有限要素の生成および解析処理を実施することを特徴とする。
また、第5の発明は、請求項1乃至4のプリ処理で生成されたモデルを用いて、複合材料の引張解析、曲げ解析、固有振動解析、引張損傷解析、残留強度解析、構造解析、熱伝導解析、電磁気解析、音響解析、振動解析、衝撃解析、エイジング解析、塑性加工解析、物理解析、化学解析、連成解析、マルチスケール解析、マルチサイエンス解析を行うことを特徴とする。
更に、第6の発明は、コンピュータが、請求項1乃至5の方法で生成された処理データの一部または全部をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に有限要素データファイルとして記録する記録手段と、コンピュータが、該記録媒体から該有限要素データファイルを入力して識別名を付した電子メールに添付するとともに、インターネットを介してサーバーに送信および登録する登録処理手段と、コンピュータがインターネットを介して該サーバーに登録の電子メールを検索して該登録の電子メールに添付された該有限要素データファイルを管理する管理手段と、コンピュータが、送信先のメールアドレスおよび/または該有限要素データファイルおよび/または該登録の電子メールの識別名を記録した配信計画ファイルを読み込んで該管理手段により該有限要素データファイルを添付した該登録の電子メールを検索するとともに、該電子メールを該配信計画ファイルの対応する該送信先のメールアドレスに送信する送信手段と、該送信先のユーザーが送信された該電子メールに添付の該有限要素データファイルを請求項5に記載の有限要素解析方法に基づく有限要素法解析装置に入力して、該有限要素解析装置が解析を行う解析手段、とからなることを特徴とする。
また、第7の発明は、請求項1乃至5に記載の複合有限要素のプリ処理方法または複合材料の解析方法に関する有限要素法解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
本発明の対象とする複合材料の有限要素解析では、主に比強度特性が優れる点が着目されるので、強度に関する構造解析が検討される。従がって、以下の説明では力学解析を対象に説明するが、近年はガラーキン法による定式で工学系一般の諸解析も可能であるから、本発明の複合有限要素によるプレ処理で生成された有限要素メッシュは、伝熱学、振動学、電気伝導など、少なくとも第5の発明に開示の種々の解析にも流用できる。
先ず、第1の発明について、図1の有限要素解析の工程に関する説明図を用いて説明する。図1は一般的な有限要素法による構造解析の各工程を示しており、(1)データ入力工程、(2)複合有限要素のメッシュ生成工程(これはプリ処理とも呼称される)、(3)全体剛性行列の生成工程、(4)境界条件の設定工程、(5)求解工程、(6)結果の出力工程からなる。これは入門用の有限要素法と大略同じであり、市販の解析ソフトには標準添付される。従って、当該発明の着眼ポイントは、既存の有限要素を如何に組み合わせて複合有限要素を作成し、如何に複合材料の特性を再現するかである。
第1の発明の複合有限要素のプリ処理方法は主に図1の第二の工程に関係しており、図1の(1)データ入力工程を説明した後に、第1の発明について詳細に説明する。
工程(1)はデータ入力工程である。市販のFEMソフトは、解析に必要な、解析モデルの形状の定義、有限要素の種類の選択、メッシュ分割条件、要素の諸物性値と寸法、境界条件、ソルバー条件、結果の出力条件および解析条件に関する解析データを入力できる。データ入力工程では、有限要素のメッシュを生成するために必要なデータを中心に各工程で必要になるデータをコンピュータに読み込む。従って、使用する有限要素により必要なデータが異なることに注意が必要である。
非特許文献14に開示の複合有限要素は母材マトリックス単体の解析領域に対する通常の有限要素法による構造解析をベースにしており、これに第二相材の有限要素を組み合わせて生成する。後者は母材マトリックスの有限要素メッシュを流用して生成するので、ベースの解析に追加されるのは、第二相材の物性、体積含有率、配設パターンに関する入力と第二相材の剛性行列の生成工程である。母材も第二相材も市販の解析ソフトに標準添付の要素を利用するので、実質的には有限要素解析の入門用解析と大差ない平易な解析方法である。但し、複合有限要素の構成は解析対象の複合材料のユニットセル(メソスケールの代表的な単位構造)に近似するので、プリ処理の工夫が重要である。
一般にfrpは母材マトリックスの強度と剛性が小なので補強材料として曲げ剛性を考慮した梁要素(ビーム要素)の採用が、計算の安定のために有理である。また、frpの中間製品であるプリプレグは碁盤目状に第二相材が配置されるので、非特許文献14にように碁盤目状のメッシュ分割を採用することにより、代表的な複合要素の構成を1個の要素で定義すれば、この構成を各碁盤目状の升目に存在する個々の有限要素に複写することで、自動メッシュが容易化でき好都合である。即ち、複合有限要素の構造格子メッシュでは入力データを最小限にできるため、データを記入したデータファイルをコンパクトに管理できる。非特許文献14に開示の複合有限要素がこれらの条件を満足したため、図2に示すように高々1要素を用いた解析で引張試験結果と良い一致をみた所以である。
一方、製品には孔(穴)や切り欠きが製品機能の観点で不可避的に導入されるので、その場合の補強構造など碁盤目状の構造格子メッシュで表現できないことも多い。理想的な均一引張試験と異なって、実際の製品の構造は単純ではない。そのため、苦肉の策として切り欠きや孔(穴)をモデル化するために四角形要素で分割困難な部分を、三角形要素などの非構造格子メッシュで分割も考えられる。
プリプレグを代表とするfrp複合材料の中間製品は、第二相材の繊維の構造から構造格子メッシュと良好な親和性があり、これをベースに開口部や補強部が設定されるので、非構造格子の複合有限要素の適用部位やその構造パターンも限られる。そこで、少ないパターンを前提として構造格子の場合と同様に、体積分率と幾何的パターンにより第二相材の有限要素を自動生成すれば、コンパクトなデータファイルを生成・管理できる。
非構造格子のメッシュ分割に関して、解析のモデルが複雑な場合でも、市販のCADソフトによりモデルの形状を作図してCADデータとし、これを変換ソフトなどで最終的に有限要素データとして入力ファイルに付加できる。その際、CADソフトで境界条件データを指定する場合もあるが、これも最終的には入力ファイルに付加・管理できる。また、複合材料では、少なくとも母材マトリックス(樹脂)と第二相材(高強度材糸)の複数の物性値を入力する必要があるので、これも入力ファイルとして読み込むことができる。
即ち、データ入力工程では、解析領域を単位骨格要素で大略のメッシュ分割した後に、母材マトリックス要素と第二相材要素に再分割(リメッシュ)または置換するので、非特許文献14に開示の母材マトリックスで直接メッシュ分割する方法では困難と思われる孔(穴)や切り欠きなどを合理的に処理できそうである。また、再分割後の要素は市販ソフトに標準添付される要素なので、市販ソフトの利用が容易という特徴がある。
また、単位骨格要素の大略のメッシュ分割にプリプレグ特有の構造格子を、特別な部分に非構造格子メッシュを適用するので、入力ファイルがコンパクトになり、広義の材料力学として見通しが良い。
工程(2)は複合有限要素のメッシュ生成工程である。その最終的な目的は通常の構造解析と同様であり、母材のメッシュデータに基づき二次元問題では二次元メッシュ、三次元問題では三次元メッシュを選択された有限要素に基づき生成する。ここでは全体節点番号と要素番号を生成し、節点に関しては各節点座標、要素に関しては各要素に属する節点の全体節点番号(コネクティビティー)を求める。
第1の発明に開示の複合有限要素のメッシュ生成工程では、これらを(S1)単位骨格要素生成工程、(S2)母材要素生成工程および(S3)第二相材要素生成工程の三つのサブ工程で順番に実施することに特徴がある。
(S1)単位骨格要素生成工程:解析領域を構造格子または非構造格子の単位骨格要素(図3参照)に分割することにより単位骨格要素を生成する。ここで、単位骨格要素とは、所望の複合有限要素を生成するためのテンプレートであり、通常のプリプレグであれば簡単な構造格子メッシュ生成サブルーチンによる四角形要素を生成すれば十分であるが、加工したプリプレグや少し複雑な解析領域の場合にはCADや市販FEMソフトの自動メッシュ分割で生成される非構造格子メッシュを用いる必要性があり、多くの場合は三角形要素などが適用される。各単位骨格要素には属性として体積分率と幾何的パターンが付与されるので、この情報により通常のプレ処理であれば、非特許文献14のように解析領域を構造格子状メッシュの有限要素に分割することで、メッシュ生成を完了する。
一方、幾何的パターンで孔(穴)や切り欠きを有する場合は、単位骨格要素の節点を極力維持しながら、標準化された単数または複数の複合有限要素に再分割または置換する。再分割では、極力非特許文献14のように母材マトリックスの要素中に第二相材を生成することで、両者が緊密に結合される状態を反映できる。尚、切り欠きには局部的な補強が施工されるので、これを幾何パターンとして再現することで、自動プレ処理と複雑形状の両立を図る。
図3は通常のプリプレグの一部が加工された場合の単位骨格要素を濃い諧調で示しており、図4は当該単位骨格要素に生成する複合有限要素と対応する幾何パラメータを例示した。幾何パラメータ0(図4(0)参照)は単位骨格要素を母材(マトリックス)要素として、非特許文献14のように母材要素の任意の二節点を結ぶ線分に梁要素を生成する。
幾何パラメータ1(図4(1)参照)は四角形の穴を有する複合要素を生成する。幾何パラメータ2(図4(2)参照)は母材(マトリックス)要素を6個の梁からなる擬似等方性有限要素とし、第二相材の要素は非特許文献14のように任意の二節点を結ぶ線分に梁要素を生成する。
尚、図4に開示の幾何パラメータに関するルールは一例であり、ユーザーが所望により任意に設定することも可能である。また、幾何パラメータを複数個にして、母材と第二相材の設定条件を独立にするなど、ユーザーが所望により選択すればよい。
(S2)母材要素生成工程:単位骨格要素を形成するように単数または複数の母材要素を生成する。基本的には、単位骨格要素の有する節点は母材要素に引き継ぐものとし、幾何パラメータが0、1はソリッド要素、2の場合は梁要素で単位骨格要素をカバー(被覆)する。但し、幾何パラメータが1の場合は、孔(穴)を再現するために要素数が増加する。尚、単位骨格要素の選択で、単位要素の節点数が多くなると再分割のメッシュパターンが増加するので、所望により単位骨格要素の選択を変更できる。
(S3)第二相材要素生成工程:単位骨格要素に属する複数の節点を角節点とする単数または複数の第二相材要素を生成する。幾何パラメータに応じて、ユーザーが所望により設定することができる。図4の太線が第二相材要素の配置の候補を示しており、題意に応じて繊維の連続性を考慮しながら設定すれば良い。
次に、プレ処理の自動化に関して、工程(1)の入力データとして、任意の単位骨格要素の母材要素および第二相材要素に関する体積分率および寸法と形状の幾何パターンを読み込んでいる。また、(S1)単位骨格要素生成工程または(S2)母材要素生成工程で母材の占める面積または体積が既知なので、幾何パターンのルールを所望に設定することで、体積含有率から第二相材の体積が既知になる。
(S3)第二相材要素生成工程において、第二相材を梁要素とすればその母材要素内の全長から梁の横断面積が得られ、円断面なら直径が求まる。この処理は指定された、幾何パターンにより、自動メッシュ生成で実施することができる。
S1からS3の工程で生成された複合有限要素が、第二相材の配向の影響を良好に模擬するためには、第二相材の繊維としての連続性の維持と各第二相材要素の配向を極力素材プリプレグの配向と一致させることである。
これは、単位骨格要素生成工程で生成する単位骨格要素メッシュでほぼ決定され、その後の再分割で一部が修正される。プリプレグの構造から構造格子状メッシュを極力適用すれば、非特許文献14と同様にメッシュと第二相材の方向が一致する。一方、単位骨格要素生成工程を採用するので非構造格子状のメッシュが発生し、生成された第二相材要素の配向を制御する必要性が生じる。
単位骨格要素を非構造格子で生成する際に、第二相材を繊維の連続性と繊維の配向を維持した状態で所望の密度(間隔)の曲線として作図する。この曲線が単位骨格要素の辺に一致するように単位骨格要素を生成すれば良い。ここで重要なのは、全体で大略この条件になるように、材料力学的なセンスで曲線や要素配置を簡素化することである。これによりプリ処理のプログラムが簡素化され、また結果の解釈も明確になる。
市販ソフトなどの自動メッシュにより 単位骨格要素を生成してその辺を第二相材の連続性と配向の条件に極力一致させれば便利である。自動メッシュの場合に、予め節点となる点を解析領域内に配置して、これを三角形要素の節点として要素分割する方法がデーローニ法として公知である。そこで、前記のように第二相材の曲線上にこの節点を所望の密度で生成し、これを固定点として領域内に設定すればよい。更に好ましいのはこれを要素の辺となるように、デーローニ法で拘束して有限要素を生成する方法である。
以上の処理により、単位骨格要素を複合有限要素に変換することが出来る。これにより、単層のプリプレグの複合有限要素モデルを生成できる。図5は図1に開示の方法により、市販の解析ソフトを改造する際の追加・変更箇所の割合を各四角枠の右端に四角枠で示した。市販の解析ソフトによる複合有限要素解析は容易であることが推察される。
次に、第2の発明について、図6〜図10を参照しながら、説明する。第1の発明では、非特許文献14と同様に単層のプリプレグのプレ処理に関している。しかしながら、通常、中間製品であるプリプレグは複数枚を適正な方向に配置して積層体とし、加熱・固化一体化した積層体製品として使用される。従って、第1の発明の複合有限要素モデルも、これを積層して一体化した積層体の複合有限要素モデルに拡張しなければ実用に供し難い。
第2の発明に関して複合有限要素のプリ処理方法を組み込んだ有限要素解析の工程に関する図6の説明図を用いて説明する。図6は一般的な有限要素法による構造解析の各工程を示しており、(1)データ入力工程、(2)複合有限要素のメッシュ生成工程(これはプリ処理とも呼称される)、(3)全体剛性行列の生成工程、(4)境界条件の設定工程、(5)求解工程、(6)結果の出力工程からなる。図1との主な相違点は(2)複合有限要素のメッシュ生成工程に更に(S4)(S5)のサブ工程が追加されたことである。この点に関して、以下に説明する。
非特許文献6および非特許文献7に開示のモデルでは、四角形要素で各単層高強度材を同じ構造格子状メッシュ分割したシェルモデルとし、これを積層して隣り合うシェルの対向節点対を肉厚方向のビーム要素で三次元的に弾性拘束することで、擬似三次元化モデルを生成した。ここで、肉厚方向のビーム要素とは、有限要素法で一般的に使用されるばねの拘束をビーム(梁)要素で実現したものに他ならない。三次元のビーム要素は一般に1節点に変位3個、回転3個の変形の自由度が計6個あり、2節点ビーム要素では1要素当たり12自由度が存在する。非特許文献6では回転の自由度を無視して、変位の自由度のみをモデル化した。
非特許文献15は、非特許文献14に開示の単層モデルを積層して非特許文献6に開示の解析モデルと同様の構造解析を実施するために、隣り合う単層モデル同士を結合する多機能界面を提案して、多機能界面モデルの仕様を検討した。しかしながら、具体的な多機能界面モデルが未開示であったために、実用化できない問題点があった。
第2の発明は、複合材料積層板中の任意の単層板を抽出して、これを第1の発明による単層板の複合有限要素によるモデルとみなす。即ち、単層板を単位骨格要素でメッシュ分割し、これを母材のマトリックス要素と第二相材を第二相材要素に再分割または置換する。
また、母材の一部は接着要素とユーザーの所望により母材と母材の合せ面要素に再分割または置換される。ここで、接着要素とは、非特許文献6に開示の樹脂のビーム要素であり、一般的には有限要素の節点間に配置される拘束用のばねである。そして、仮に積層体の各単層板の複合有限要素モデルが同一の有限要素メッシュ分割であれば、非特許文献6と同様に正規の有限要素メッシュによる積層体モデルが生成可能である(図7参照)。従って、非特許文献15に開示の複合有限要素に於ける多機能界面モデルとしても採用できる。但し、積層体の各単層板の複合有限要素モデルが同一である前提条件が成立しないとき、例えば特定の積層体に孔(穴)や切り欠きが存在して有限要素メッシュが他の積層体と異なる場合には、このモデルは成立しない。思考実験として、接着要素による接合の過程をその両側の節点対からそれぞれ独立に接着要素が成長して両者が1本の直線上に位置する場合にこれが結合一体化し、1個の接着要素に変換したとする。前提条件は直線上に接着要素が位置することを保証するためのものであった。
ところが、一般的には拘束する節点対が上記の前提条件を満たすことは稀であり、実用的なモデルが生成できない。この場合には、母材と母材の合せ面要素を生成して各積層体間に挿入する(図8参照)。拘束対象の各節点から合わせ面に対して垂線を降ろし、これが垂線の足として合わせ面と交わる交点に新たに有限要素節点を生成する(図9参照)。frp複合材料の場合任意の節点から降ろした垂線は必ず合わせ面と交点を持つので、この処理により新たに積層体と同じ数の有限要素節点が生成され、同時に接着要素が定義される。接着要素の剛性行列を生成して全体剛性行列に組み込むことができる。
一方、任意の合わせ面は隣合う積層体の間に挿入されるので、合わせ面の表裏面でそれぞれ上記の処理が実施されるため、新たに生成する有限要素節点は隣り合う積層体の節点の和と同じになる(図9参照)。但し、上記の前提条件、即ち接着要素が1個になる場合は、1個の節点位置を共有するので、この場合は同一の節点として未知数を低減することもできる。
この処理で合わせ面には有限要素節点が多数存在するが、有限要素は存在しない。それは、各有限要素に属する節点番号のリスト、即ちコネクティビティーが決まっていないからである。そこで、デーローニ法を代表とする理論やこれを基に作成された変換ソフトなどによりコネクティビティーを生成するとともに有限要素メッシュを作成する。この有限要素に母材の物性を付与すれば、剛性行列を生成して全体剛性行列に組み込むことができる。
以上の処理で、非特許文献6に開示の有限要素メッシュの前提条件に反する実用上一般的な条件であっても、所望の力学解析や構造解析が可能になる。また、第2の発明のプレ処理により非特許文献15に開示された高機能界面の仕様が大略満足されることが理解できる。
図10は、図6の(2)複合有限要素のメッシュ生成工程を改造して、3つのサブ工程の単位積層構造の剛性行列を生成する度に引張解析を行って各積層構造単体の変形特性を求めることを特徴とする。最終的に清掃構造として組み込まれた各単位積層の変位を前記の単独の変位で除して無次元化することで、積層による力学的な影響を抽出できて便利である。
次に、第3の発明に関して、図11と図12を参照しながら説明する。第1および第2の発明に開示の複合有限要素は、非特許文献14に開示の複合有限要素と本質的に同じである。従って、非特許文献14で複合有限要素を複合材料のユニットセル(メソスケールの基本単位構造)と等価として導入されたので、複合有限要素の解析対象はメソスケールとみなされていた。しかしながら、航空機部品や風車の羽などの場合は代表寸法が数mから数十mに及ぶこともあり、高々数mm四方のユニットセルでは、解析に必要な有限要素が天文学的な数になり、これらの実用部品や製品を解析できない問題があった。
第3の発明は、これを解決して本発明に開示の複合有限要素で任意寸法の製品の解析を可能にする。即ち、メソスコピックな単位セルに基づき複合有限要素の母材要素および第二相材要素のメッシュを設定する。これは、非特許文献14に開示の処理と全く同様であるので、均一引張試験のような特別な場合にしか利用できない。
そこで、思考実験として、図11に示すように、第1の発明により複合有限要素を解析対象のfrp複合材料のユニットセルと同じ寸法で生成した場合、ユニットセルの3倍、ユニットセルの6倍、ユニットセルの12倍として生成した場合、各複合有限要素をfrp複合材料の繊維中心を示す構造格子の上に配置した。当然ながら、ユニットセルよりも大の複合有限要素は寸法の倍数の二乗倍でユニットセルを被覆して隠すので、複合有限要素は隠されたユニットセルの領域を代表することが判る。また、第1の発明により、第二相材である高強度材繊維も体積含有率と幾何パターンから自動生成され、複合有限要素は大略ユニットセルと同材質で相似形状である。このような場合、材料力学では相似則から予測されるひずみ、応力はほぼ等しいことが保証されるので、この点に関して複合有限要素も例外でなく、相似則が成立する。
一方、正規の手続きによる有限要素の特徴として、有限要素メッシュ分割を細かくして、要素密度を増加すると、得られる解が正解に漸近することが知られている。ここで正規の手続きとは連続条件などを満たす要素を使うことなどであり、少なくとも入門レベルの構造解析で用いる有限要素ではこの条件を満足する。従って、これらの要素を複合する第1及び第2の発明で用いる複合有限要素は、通常の有限要素と同じ使い方ができ、メソスケールからマクロスケールまで所望寸法の解析対象の部品や製品に適用できる。
図12はこの性質を利用して、構造格子状のメッシュの任意の有限要素を細分割する方法を示す。このような十字状の分割は比較的容易なので、製品の最弱部の欠陥などを考慮する際に、極めて有効な方法である。
次に第4の発明に関して、説明する。第1から第3の発明に用いられる複合有限要素は、市販の解析ソフトに標準で添付される要素を複合して作成される。従って、当業者であれば本発明を市販の解析ソフトを用いて容易に実施できることは明白である。また、当業者でなくても利用できるように、市販の解析ソフトは企画されている。このことから、解析に興味を持つ小企業や各種の学校の学生にも、比較的容易に発明を実施できることが期待される。即ち、汎用解析ソフトの有限要素を第二相材要素と母材要素のそれぞれに流用することで、複合有限要素を利用することが可能になる。
デファクトスタンダードの解析ソフトが世界中で利用されており、これらをベースに複合有限要素による解析のシステムを構築すれば、デファクトスタンダードの複合材料の解析が広がり、便利である。また、そのような環境では、ユーザーの知見が蓄積されて優れた利用方法などが公知となるので、広義の材料力学としても有用性が増す。
次に第5の発明に関して、説明する。航空機用のcfrp構造部材はバードストライクテストなどの過酷な材料採用基準をクリアするために、材料強度の面での改善が進められてきた。また、機体設計などにも構造解析が重要であることはいうまでもない。
一方、航空機を購入して運行するエアラインでは、実際に搭乗する乗客やスタッフのフライトの安全性や快適性を重視する。例えば、ジェットエンジンの振動や騒音がキャビンに伝わるのを防止できないかや、気圧、湿度、温度を地上と同様に維持できないかなどが重要である。また、雷が機体に落ちたとき、これを機体でシールドできるかなど、局部的に発生するジュール熱を周囲に迅速に伝導で拡散して破壊を防止できるかは、安全基準との兼ね合いでクリアされねばならない。
第5の発明は、これらの検討を市販の解析ソフトで実施する際に、複合材料の引張解析、曲げ解析、固有振動解析、引張損傷解析、残留強度解析、構造解析、熱伝導解析、電磁気解析、音響解析、振動解析、衝撃解析、エイジング解析、塑性加工解析、物理解析、化学解析、連成解析、マルチスケール解析、マルチサイエンス解析に複合有限要素を適用するものである。
図13は図6に開示の部品や製品の積層体の構造解析と他の物理モデルとの連成解析方法を示す説明図である。連成解析とは、構造解析結果が物理モデルの特性に影響し、物理モデルの結果が構造解析に影響する場合に、両モデルを同時または交互に解析しながら、実際の現象を再現する手法である。
思考実験として、雷がcfrp製の航空機の胴体に落ちたと仮定すると、大気中放電が集中する部分にジュール熱が発生し、cfrpの母材樹脂の分解温度を越えると、局部的に低強度になるため破壊の起点となり易い。この場合、cfrpを低熱伝導性の母材樹脂の要素と高熱伝導性の第二相材繊維の要素からなる複合要素としてモデル化し、伝熱解析を実施する。一定間隔の時間で素材の温度分布が既知になるのでその際の材料の力学特性も既知になり、これを第1および第2の発明で説明した複合要素による構造解析の要素の物性に適用する。その結果、柔らかい部分が変形して熱伝導の経路が変化するので、これを考慮した有限要素メッシュで伝熱解析を行い正確な温度分布と材料の強度を予測する。これを交互に繰り返すことで温度と強度の擬似連成解析を実施し、信頼性の高い解析結果を提供する。
市販の解析ソフトには、このような連成解析を実施する機能が備わったものが多くあり、複合有限要素によるモデル化で、容易に解析が可能になる。即ち、複合有限要素の適用により従来困難であった複合材料の各種解析を容易に実施できる。
次に、第6の発明について、図14および図15を参照しながら説明する。
手段(1)は記録手段であり、図1や図6に示す有限要素解析方法の各工程で処理したデータを主にテキストデータとして、有限要素データファイルとして書き出す。例えば、市販の解析ソフトであれば、計算の途中から再開できるようにリスタートファイルを生成することができる。
(2)登録処理手段は有限要素データファイルを入力して識別名を付した電子メールに添付するとともに、インターネットを介してメールサーバーに送信および登録する。このようにすれば、サーバーに有限要素データが蓄積されるので、セキュリティーや停電、などからデータを保護できる。また、クラウドコンピューティングでは、データの安全性は高まるので、その利用が好ましい。尚、識別名は日時やデータの内容およびユーザーなど後の管理に適した方法に統一する。
(3)管理手段は、はインターネットを介してメールサーバーに登録の電子メールを検索して登録の電子メールに添付された有限要素データファイルを管理する。ここで管理とは不用なデータは削除し、重要なデータはバックアップするなどの処理である。検索を高速化するためにインデックスなども重要である。尚、一般に記憶できる容量が制限されるので、この範囲でプライオリティーをつけて管理する。
(4)送信手段は送信先のメールアドレスおよび/または有限要素データファイルおよび/または登録の電子メールの識別名を記録した配信計画ファイルを読み込んで管理手段により有限要素データファイルを添付した登録の電子メールを検索するとともに、電子メールを配信計画ファイルの対応する送信先のメールアドレスに送信する。この場合の送信先はインターネットサーバーに登録したメールアドレスである。
(5)解析手段は、送信先のユーザーが送信された電子メールに添付の有限要素データファイルを請求項5に記載の有限要素解析装置に入力して、有限要素解析装置が解析を行う。尚、ユーザーが有限要素解析装置を設定するには、第1の発明の有限要素法解析法プロ不ラムのファイルをダウンロードなどで入手して、これをパソコンなどにインストールする。
複合有限要素では、要素単体でfrpの力学特性を表現することができる。複合有限要素の1個当たりの節点は、母材の有限要素のものと同じであるから、高強度材をトラス要素で近似した場合は両者は同じ未知数、梁で近似した場合は曲げの自由度が追加される。しかし、1万要素以上も三次元メッシュ分割する均質化法などと全体の未知数を比較すると、ゴミみたいなものなので、メールで配信しても負担をかけることは少ない。
図15は第6の発明を実施するための、システムの例を示す。これに関しては実施例で詳細に説明する。
次に、第7の発明について、説明する。有限要素法解析法プロ不ラムはパソコンなどのコンピュータを使わなければ利用できない。そのために、コンピュータで読込み可能な電子ファイルとして、記録媒体に格納して配布することが出来る。
第1の発明の複合有限要素のプリ処理方法は、先ず単位骨格要素生成工程を実施した後に、母材要素生成工程と第二相材要素生成工程で単位骨格要素を実際の有限要素に再分割または置換するので、非特許文献14に開示の従来技術では困難だった、構造格子状有限要素メッシュと非構造格子状有限要素メッシュを所望に配置・生成して、前者のコンパクトな特性と後者のフレキシブルな特性を兼ね備えた複合有限要素モデルを生成できるので、実用に近い解析が可能になる利点があった。
第2の発明の複合有限要素のプリ処理方法は、第1の発明で生成した単独の積層材の複合有限要素モデルを、多機能界面により張り合わせることで積層体モデルを生成できるので、より実用に近い解析が可能になる利点があった。また、解析対象の問題に適した多機能界面の要求特性を考慮できるので、非特許文献14や非特許文献15で困難だった種々の積層体構造の解析を容易に実現するという利点が得られた。
第3の発明の複合有限要素のプリ処理方法は、非特許文献14や非特許文献15で不明であった複合有限要素によるメソスコピックからマクロスコピックまでの解析を同じ構造の複合有限要素によりシームレスに可能にしたので、従来法では均一引張試験にしか適用されなかった解析を、実用の部品や製品の解析に拡張適用する利点が得られた。
第4の発明の複合有限要素のプリ処理方法は、第1から第3の発明に利用する複合有限要素を、市販の解析ソフトに標準添付の要素を複合して作成できる利点があった。
第5の発明の複合材料の解析方法は、第1から第4の発明に利用する複合有限要素を市販の解析ソフトに添付された各種有限要素により複合して作成できるだけでなく、解析ソフトのマルチスケール解析やマルチサイエンス解析など各種連成解析手法を適用できるので、より実用的な解析を実行できる利点があった。
第6の発明の解析サービスシステムは、複合有限要素による有限要素解析で利用した各種データをインターネットのメールサーバーに登録、管理、配信できるので、ユーザーはスマートフォン(携帯端末)やインターネットに接続されたパソコンなどから必要なデータを受信して複合有限要素法による解析を実行できるという利点がある。そのため、教育用途やコンサルティング用途などに適用できるため、解析技術の普及に役立つ。
第7の発明の有限要素法解析プログラムを記録した記録媒体は、第5の発明の解析サービスシステムを利用して、プログラムとデータをユーザーに配信できるので、手軽に利用できるという利点がある。
図1は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図2は有限要素法解析方法の解析結果と実験結果を比較した説明図である。 図3は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図4は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図5は有限要素法解析方法の市販の解析ソフトに移植する際の説明図である。 図6は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図7は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図8は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図9は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図10は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図11は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図12は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図13は有限要素法解析方法の実施方法を示した説明図である。 図14は解析サービスシステムの実施方法を示した説明図である。 図15は解析サービスシステムの実施方法を示した説明図である。 図16は有限要素法解析方法の実施例を示した説明図である。 図17は有限要素法解析方法の実施例を示した説明図である。 図18は有限要素法解析方法の実施例を示した説明図である。 図19は有限要素法解析方法の実施例に関する説明図である。 図20は有限要素法解析方法の実施例を示した説明図である。 図21は公知の従来技術の実施方法を示した説明図である。コードAを、コードAの実体を形成するソリッド要素と、コードAに作用する張力に対してコードAの長手方向の伸び量を調整する軸トラス要素2aと、コードAの長手方向に対してコードAの円周方向に傾斜する螺旋状のトラス要素2であって、コードAに作用する張力に対してコードAの外表面上の節点3にコードAの円周方向の分力を生じさせる螺旋トラス要素2bとに分けて、モデル化する。 図22は公知の従来技術の実施方法を示した説明図である。マルチスケール有限要素解析のミクロモデルであり、推定で約12500個の有限要素から構成される。
主にfrp複合材料の最適積層構造のシミュレーションに関して、課題をその最上流の発生源で対策するために複合有限要素を考案し、これを産業上の利用性の観点から市販のFEMソフトでの利用が可能な有限要素法解析方法とした。構造格子状有限要素分割に親和性のあるfrpの特徴を利用しながら、非構造格子状有限要素分割も処理するために、単位骨格要素生成工程を導入し、その後母材要素生成工程と第二相材要素生成工程で複合要素を体積含有率と幾何パターンに従って複合有限要素を自動的処理により生成する。また、これらの処理を積層構造体に拡張適用したので、部品や製品における高強度材の連続性と配向を再現することができるので、信頼性の高い解析を可能にする。
<糸の個別引っ張りによる長繊維材の力学特性>
複合有限要素を利用した重要な利点は物理的なイメージが明確な点である。長手方向と幅方向に繊維を配向した矩形平板状の複合材の両側部を固定し、他の端部で個別に積層糸端部を糸方向に引っ張る。母材を極端に軟化させるとその糸は引っ張り方向に剛体変位し、糸の両側の要素が集中的に面内せん断される。これは非特許文献9に開示のプレス実験で観察の特定糸の剛体変位と近傍横糸のキンク発生の機構を説明する。また、母材シート単体の引張り試験で端部に均一応力と合力零の擾乱応力を負荷した場合に、端部幅と同寸法距離以上離れた位置に発生する応力は擾乱応力の影響を受けず均一応力となる。一方長繊維複合材料の場合、糸の剛体変位の効果でサンブナン原理が妥当し難いことが予測され、経験的にも適合する。
これは、二次元複合有限要素や三次元複合有限要素が材料力学的なモデルとして機能することを示唆する。材料力学はこの1世紀の間に殆ど変化はなく、従がって、直近の複合材料などを記述することができない。一方、複合有限要素は単独親要素内の任意の2節点を結ぶサイト(場所)が既知であるから、どのサイトに高強度材を配置するかパターン的に分類できる。また、未知数や負荷は有限要素法で規定されるから、これもパターン的に把握しやすい。そもそも、空間的な重複による誤差を無視して複合要素を採用すること自体が材料力学的なモデリングである。従がって、cfrpのように母材の剛性率が高強度材の百分の一という極端な場合は、材料力学的に高精度の近似が予測される。
また、キンク発生のように負荷による変形のため正規の構造格子状(碁盤目状)の有限要素メッシュ分割が困難な場合も、多機能界面の仕様による限要素メッシュ分割により、解析が可能である。
<パターン選択によるプレ処理>
平織りのクロスを例に、繊維方法の引っ張りパターン、±45度方向の引張りパターンのFEメッシュを検討する。前者は負荷前の糸が緊張状態と同じ直線で高負荷なのに対し、後者は糸の略剛体回転と母材の引っ張り方向伸び変位および直角方向収縮変位を許容するので低負荷を維持し、これらは非特許文献10に開示の実験結果とも整合する。また、キンク生成やサンブナン原理検証なども、複合有限要素モデルで解析できる。
高強度材を円柱状の梁に置換し、梁の直径が一定であると仮定すると、高強度材の配置パターンとその体積分率を指定すれば、簡単な体積の数式から全ての幾何学的な条件が既知となる。これは、例えば配置パターン毎に体積分率と直径の関係が記述されるので、便利である。特に、構造格子状のメッシュでは、公式にすることも可能である。
また、従来困難であった孔の開いた試験体を、孔の部分の単位骨格要素に孔の開いた幾何パターンを指定することで、有孔試験体をモデル化できる。
<ネットワーク構造モデルによる高強度材料および母材の変形形状の予測>
実材料の変形場を支配するのは主に高強度材であり、母材はこれに追従すると仮定すると、メソスコピックなユニットセルの構造を模したマクロスコピックな巨視的モデルやユニットセルの一部を高精度に抽出したミクロスコピックな詳細モデルに関してもこの仮定が成立する。従って、マクロ、メソ、ミクロの各モデルで高強度材の変形予測精度の向上に留意すれば、高強度材のネットワークに着目してマルチスケール解析を実施できる。
即ち、メソスコピックなユニットセルを単位骨格要素の複合要素構造として模擬し、同一の複合要素構造でメソからマクロの有限要素メッシュ分割を可能にした。図12はこのプレ処理を用いて生成した複合有限要素メッシュの例である。十字状の交差する部分の要素密度を増加して詳細な解析を可能にするので、便利である。また、得られて第二相材(高強度材の繊維)の中心線位置が同じになるようにミクロ構造のユニットセルの第二相材位置を合せることにより、これに追従して変形する母材の局所変形を予測することが可能と考えられる。提案のネットワーク構造モデルによる詳細解析では高強度材の変形に追従して母材が力学的・合理的に変形し、母材の変形誤差が高強度材のそれに収まることで高性能化の可能性が期待される。
図16は、同一の複合要素構造でメソからマクロの有限要素メッシュ分割が妥当であることを示唆する結果を示す。二次元構造格子状に複合有限要素を生成し、上下の境界を固定し右側の境界に横方向の一様引張力を負荷した際の上下対称面上の節点変位を母材単独の場合の引張変位で無次元化した変位を縦軸に、横軸に対称面上の引張方向の節点座標を取り、高強度材の配置パターン毎に、要素分割数をパラメータとして示す。各パターンとも要素分割数が増加すると一定の曲線に漸近する傾向が判明した。これは、複合有限要素が正規の有限要素と同様に取り扱えることを示唆する。
<複合材料の各種物性による連成解析>
成形負荷や素材の変形特性は素材温度に依存するので、力学解析と熱応力解析の連成解析が予想され、本発明は計算処理量低減に寄与する。また、航空機の構造部材に求められる熱や電気および磁気の良導体として、親要素と子要素の各種物性を変化させて連成解析が有望である。
図13は複合有限要素モデルによる構造解析とその他の物理モデルとの連成解析の流れ図を示す。これは、実施例2のようにプリプレグを積層する構造の一般的な用途に対して、複合有限要素を自動生成できるので、市販ソフトではその有限要素の対象とする微分方程式の種類を選択するだけで、力学以外のマルチサイエンスが可能である。例えば、航空機は耐雷性が要求されるが、cfrpの場合にはグラファイト繊維は高良導体なので、少しの樹脂の改善で規格に適合させることができる。その改善効果を複合有限要素で概算することは、作業効率化に寄与する。同様に、グラファイト繊維は熱伝導性も良好なので、熱が一部に蓄積することが無く、伝熱設計などの最適化に複合有限要素に利用が好ましい。
図15は、本発明システムの1実施例の説明図であって、解析サービスシステムの装置構成を示す。サーバー62、63、64は典型的なインターネットサービスのコンピュータ構成であり、メールサーバー(アプリケーションサーバー)に機能を実現するとともに、セキュリティーの設定も考慮できる。尚、サーバーはクラウドコンピューティングによるものであっても良い。65は事業所内に設置されたLANであり、これを利用して各サーバーは繋がっている。66はインターネットまたはインターネットに接続されるLANであり、セキュリティーの関係から62のインターネットサーバーのみが接続される。また、インターネット66にはユーザー60の操作するクライアントコンピュータ61が複数繋がっており、61と62は地球の反対側であっても瞬時に情報交換が可能であり、ユーザーは所望の場所や時間に解析サービスを利用できるため、利便性が高い。
図2は、横軸に各試験番号、縦軸に条件1番の値で無次元化した応力ひずみ線図の勾配をとり、濃い諧調で非特許文献11の実験結果、薄い諧調で複合要素を1個だけ用いてパターン指定で各番号の条件を繊維体積含有率と境界条件から自動計算した結果である。線形と仮定すれば、解析結果は合理的であるが、非特許文献11に開示の実験では破断荷重まで負荷するから樹脂の破壊の影響が非線形性を生じた可能性がある。
この結果から、通常の積層構造の複合材料には、発明の複合要素の利用が極めて便利であることから、材料力学の教科書に当該複合有限要素モデルを採用することで、工業高校、高専や小企業などにおける、最新の航空機、風車翼や鮎竿、ゴルフシャフト、マウンテンバイクなどの材料設計やその演習などに好適である。
尚、図2の解析は 非特許文献12の平面応力と平面梁のプログラムをサブルーチンとして、利用することで実施したので、簡潔で見通し良く短時間に作成できた。また、同様の三次元複合要素も作成し、二次元複合要素の結果図2と同じ結果を得ることが出来た。何れのプログラムも高強度材(繊維)のパターンと体積分率を入力することで、プリ処理の自動化を図ったので、工業高校の数学的知識があれば十分使いこなすことが可能である。
一様引張試験では、積層体の部品や製品の複雑な形状および複雑な負荷の影響を調査できない。そこで、多機能界面の仕様に基づく複合有限要素の積層モデルにより、非特許文献6に開示の擬似等方性材料の引っ張り試験モデルを作成、同様に負荷による単独のプリプレグの変位で無次元化した無次元変位を求めた(図10参照)。図17はその結果を示す説明図であり、横軸に未知数の番号、縦軸にその無次元変位をとり、擬似等方性材料および±45°配向の積層体(何れも8層)について調べた。擬似等方性材料では負荷方向に配向した層が他の層の負荷を肩代わりするので、単層の負荷の場合に比べて3倍弱の変形が発生している。但し、等方性に近い変形パターンなので、使い易い印象である。±45°配向の積層体は異方性が強く残るので、使い方に工夫が必要である。
基本的に、複合有限要素はプリ処理による要素分割を工夫することで、単純な一様引張試験の要素を用いて、実用的な積層体の部品や製品の解析が可能になる。
プリ処理として、図18に示す二次元複合要素の場合、子要素として三角形要素を選択することができる。この場合、母材の親要素の物性、特に伝導パラメータを小に、子要素のそれを大に設定すると、各種の伝達量が子要素に集中するため簡易的に異方性を操作できる。また、三次元複合要素の場合は、三角形要素、四角形要素、四面体要素などの子要素が選択できるので、異方性の操作の種類が格段に増加する。
これまでの説明では親要素や子要素に等方性としてきたように思われるが、請求項にはそのような制限はなく、当然ながら異方性要素を採用することができる。この場合、上記のように子要素を種々変化させることで、異方性の設定を複雑多様化できる。
特に、母材を金属材料、第二相材量を硬い介在物として複合有限要素による欠陥の構造解析が有望である(図18参照)。この場合は、母材と第二相材のヤング率が近いので、第二相材に付与するヤング率を第二相材の値から母材の値を差し引いた補正値にする。母材の有限要素はセレンディピティー系列やラフランジェ系列が豊富に提案されている。従って、節点の多い要素を選択すれば、第二相材の配置のサイトが多数選択できるため、介在物のモルフォロジーの影響などを比較的容易に調査できる。
更に、マルチスケール解析として簡素なズーミング法を解説したが、複合有限要素を周期配置することで均質化法も容易に利用できる。均質化法はミクロ構造の応力ひずみ関係をマクロ解析の有限要素の積分点に配置することができるので、要素内の平均的な特性を表現しやすい。一方、マクロ解析の積分点が連続繊維の特性を表現しやすいマクロ要素の境界から大きく外れるので、この場合は、繊維は要素毎に切断された状況である。これを、複合有限要素法と組み合わせることにより、連続繊維の力学特性を付与する。複合有限要素の積分点は母材要素の内部(ガウス点)と節点を結ぶ連続繊維の直上なので、繊維の連続性を厳密に表現できる特徴がある。
誤って母材樹脂の弾性定数を繊維と同程度にしたが、この場合はデータ入力の段階でEs/E=1なのでモデルの近似精度が悪いという警告がでたため、無駄な解析を実施しなくてすんだ。cfrp複合材料の場合、繊維のヤング率は樹脂の約100倍であり、繊維の体積含有率を70%とすると樹脂は30%である。複合則から剛性に対する樹脂の寄与は0.5%程度と無視できることになる。一方、実施例7に開示の金属と介在物の場合、介在物のヤング率が金属の高々数倍程度なので、無視できない。このような場合に複合有限要素の利用は慎重にならざるを得ない。
mainのm-fileに入力用パラメータを直接変数に代入するコマンドを挿入して、実行した直後に記憶変数をsave file_nameで結果のテキストファイルとして出力した。そこでmainのm-fileと結果のテキストファイルをe-maileの添付ファイルとして、クラウドサービスのメールサーバーに自分宛で件名がわかるようにして蓄積した。m-fileはスマートフォンの専用アプリで処理できるので、wifiが繋がる場所でメールを呼び出して添付ファイルを実行することにより、簡単な解析が可能であった。
パソコンがオフィスから家庭に広がった頃にマルチメディアという概念が喧伝された。インターネットが高速化したころweb2.0という総称でインターネットアプリケーションサービス(検索、ソーシャルネットワーク)が拡大した。現在は、高速の移動体通信網が世界的に整備されてコンピュータと携帯電話を兼備したスマートフォン(携帯端末)が標準的なインターフェースとして普及し、従来のインターネットサービスをこれに移行するとともに、専用回線の高いセキュリティー特性を活かした高付加価値アプリケーションが多数開発されている。公共輸送機関を利用すると、乗客の半数近くは携帯端末の操作に余念がない状況である。
このような状況下で、インターネットが登場した頃から不変なのが電子メールである。これは、携帯端末の運営会社などでも高付加価値のサービスとして定着しており、人間が介在するシーンでのコミュニケーションツールとして優れているので、今後も発展することが予測される。解析ソフトの分野でも計算機と計算機のクラウドコンピューティングを円滑に利用するために電子メールが利用される。従って、複合有限要素によるコンパクトなデータサービスは利便性が高い。
知人から解析を試してみたいとの希望があったので、m-fileの動作する専用アプリを紹介するとともに、蓄積したメールを転送して対応することができた。また、市販ソフトを有する機関から解析の仕方を問い合わせてきたので、上記と同様にm-fileの動作する専用アプリを紹介するとともに、蓄積したメールを転送して試行してもらった。プログラムのフローが判明したので、同じ問題をベンチマークテストとして、市販ソフトの入力データを工夫することにより、同じ解を再現できた。
コンパクトな複合有限要素なので、プログラムも単純明快であり、利便性が高い例である。
高強度材の体積含有率が小でかつ子要素にトラス要素を適用した場合、合理的な変形であったので、体積含有率を大幅に増加させたら物理的に不合理な異常な変形が生じた。そこで、梁要素に変更したところ、合理的な解が得られた。このことから、四角形枠のようなトラス構造は三角形枠のものに比べてせん断変形を負荷し難いため不安定となりやすく、曲げの自由度の増加という不利な面もあるが、梁要素を常に採用すれば安心である。特に高強度材の体積含有率が50%以上のfrp材では梁要素が不可欠といっても過言でない。
非特許文献13に開示の次世代航空機用胴体のcfrpによる最適積層構造(図19参照)とその製造工程は、実施例1の概念モデルから極端な異方性を局所的な最弱部を生成すると予測された。そこで、実施例6の末尾に開示した積層体の解析モデルを発展させて、非特許文献13に開示の最適積層構造体板の面内引張試験を構造解析で求めた(図10参照)。図20は図17と同様の単層プリプレグの引張変位で除して得た積層体の無次元変位である。最適積層構造体板とは名ばかりで、単純な図?の構造体に比べて非均質かつ最弱部が局在するので、実用化は困難(メリットがない)と判断される。
非特許文献13の最適積層構造体は実際にプロジェクトとして試作され、その試作材の特性も報告されているが、図20に開示のデータが全く開示されなかった。このことから、プロジェクト開始時に図20の予備調査(パソコンで数秒の計算)で試作結果を予測すれば、この構造は棄却され、文字通り最適な構造が提案されたと考えられる。
繊維強化複合材料frpは強い異方性を示すために、材料力学による強度評価では信頼性のある結果が得難かったが、本発明により複合材料に好適な複合有限要素による市販FEM解析ソフトを利用できるので、入門者にも使い易いやすいため、設計者や素材開発者にも製品の強度解析が可能になる。
A コード
2a 軸トラス要素
2b 螺旋トラス要素
3 コードAの外表面上の節点
60 ユーザー
61 クライアントのコンピュータまたはスマートフォン
62 インターネットサーバー(62,63,64でメールサーバーの機能、クラウドコンピューティングやレンタルサーバーでも良い)
63 アプリケーションサーバー
64 データベースサーバー
65 ローカルエリアネットワーク
66 インターネット

Claims (7)

  1. 解析領域を構造格子および/または非構造格子の単位骨格要素に分割する単位骨格要素生成工程と、該単位骨格要素を形成するように単数または複数の母材要素を生成する母材要素生成工程と、該単位骨格要素に属する複数の節点を角節点とする単数または複数の第二相材要素を生成する第二相材要素生成工程からなる複合有限要素のプリ処理方法であって、任意の該単位骨格要素の該母材要素と該第二相材要素に関する体積分率および寸法と形状の幾何パターンを指定するとともに、該第二相材要素を所望の方向に配置しながら、該母材要素および該第二相材要素を指定に基づき生成することにより、該単位骨格要素を該複合有限要素に変換することを特徴とする複合有限要素のプリ処理方法。
  2. 複合材料積層板中の任意の単層板を該単位骨格要素、該複合材料積層板中に存在する第二相材を該第二相材要素、母材をマトリックス要素および該接着要素および所望により母材と母材の合せ面要素としてそれぞれ独立にとらえ、該第二相材要素をビーム要素、該マトリックス要素をシェル要素または膜要素またはビーム要素、該接着要素をビーム要素、該合せ面要素をシェル要素または膜要素またはビーム要素でモデル化し、該接着要素で該第二相材要素同士または該第二相材要素と該合せ面要素を拘束するように組み合わせることにより請求項1に記載の複合有限要素によるモデルを積層して擬三次元化モデルを作成することを特徴とする複合有限要素のプリ処理方法。
  3. メソスコピックな単位セルに基づき該複合有限要素の該母材要素および該第二相材要素のメッシュを設定するとともに、所望の寸法の解析領域を所望の寸法の該複合有限要素によるメッシュ分割によりモデル化することを特徴とする請求項1および2に記載の複合有限要素のプリ処理方法。
  4. 汎用解析ソフトの有限要素を該第二相材要素および/または該母材要素に流用することにより該複合有限要素の生成および解析処理を実施することを特徴とする、請求項1乃至3に記載の複合有限要素のプリ処理方法。
  5. 請求項1乃至4のプリ処理で生成されたモデルを用いて、複合材料の引張解析、曲げ解析、固有振動解析、引張損傷解析、残留強度解析、構造解析、熱伝導解析、電磁気解析、音響解析、振動解析、衝撃解析、エイジング解析、塑性加工解析、物理解析、化学解析、連成解析、マルチスケール解析、マルチサイエンス解析を行うことを特徴とする複合材料の解析方法。
  6. コンピュータが、請求項1乃至5の方法で生成された処理データの一部または全部をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に有限要素データファイルとして記録する記録手段と、コンピュータが、該記録媒体から該有限要素データファイルを入力して識別名を付した電子メールに添付するとともに、インターネットを介してサーバーに送信および登録する登録処理手段と、コンピュータがインターネットを介して該サーバーに登録の電子メールを検索して該登録の電子メールに添付された該有限要素データファイルを管理する管理手段と、コンピュータが、送信先のメールアドレスおよび/または該有限要素データファイルおよび/または該登録の電子メールの識別名を記録した配信計画ファイルを読み込んで該管理手段により該有限要素データファイルを添付した該登録の電子メールを検索するとともに、該電子メールを該配信計画ファイルの対応する該送信先のメールアドレスに送信する送信手段と、該送信先のユーザーが送信された該電子メールに添付の該有限要素データファイルを請求項5に記載の有限要素解析方法に基づく有限要素法解析装置に入力して、該有限要素解析装置が解析を行う解析手段、とからなることを特徴とする解析サービスシステム。
  7. 請求項1乃至5に記載の複合有限要素のプリ処理方法または複合材料の解析方法に関する有限要素法解析プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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