以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1及び図2はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置を示す構成図である。図1は画像形成装置の全体の概要を示し、図2は画像形成装置における要部(画像出力装置など)を示している。
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。この画像形成装置1は、図1に示されるように、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナーを用いて画像を形成する画像出力装置2と、記録媒体の一例としての連続紙(ウェブ)5を供給する給紙装置3と、画像出力装置2によって画像が形成された連続紙5を排出して収容する図示しない排紙装置とを備えている。なお、図示例の画像形成装置1は、給紙装置3及び排紙装置(図示せず)を画像出力装置2の外部に別体として配置したものであるが、画像形成装置1は、画像出力装置2と給紙装置3及び図示しない排紙装置の少なくとも一部を一体的に配置しても良い。
画像出力装置2は、画像データに基づいて連続紙5に画像を形成する画像形成手段の一例としての電子写真方式による画像形成部106を備えている。この画像形成部106は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に連続紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の連続紙5を搬送する搬送装置60と、中間転写装置20で二次転写された連続紙5上のトナー像を定着させる定着手段の一例としての定着装置40等を備えている。
この画像出力装置2は、例えば、連続紙5に形成すべき原稿画像を入力する図示しない画像読取部としての画像読取装置を追加して装備させた場合にはカラー複写機として構成することができる。
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。これら4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、図示しない画像出力装置本体の内部空間において水平方向に沿って1列に並べた状態となるよう配置されている。
各作像装置10は、図2に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16等である。
感光体ドラム11は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム11は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転するように支持されている。
帯電装置12は、感光体ドラム11に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置12には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置14が反転現像を行うものである場合、その現像装置14から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。なお、帯電装置12としては、感光体ドラム11の表面に非接触状態で配置されるスコロトロン等の非接触型の帯電装置を用いても良い。
露光装置13は、画像出力装置2に入力される画像の情報に応じて構成される光LBを、帯電された後の感光体ドラム11の周面に対して照射して静電潜像を形成するものである。露光装置13には、潜像形成時になると画像出力装置2に任意の手段で入力され、図示しない画像処理部で画像処理された画像の情報(信号)が送信される。
現像装置14はいずれも、図2に示されるように、開口部と現像剤4の収容室が形成された筐体140の内部に、現像剤4を保持して感光体ドラム11と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール141と、現像剤4を撹拌しながら現像ロールに供給するよう搬送する2つのスクリューオーガー等の撹拌搬送部材142,143と、現像ロール141に保持される現像剤の量(層厚)を規制する図示しない層厚規制部材などを配置して構成されたものである。現像装置14には、その現像ロール141と感光体ドラム11の間に現像用のバイアス電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール141や撹拌搬送部材142,143は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。現像剤4としては、例えば、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。
一次転写装置15は、感光体ドラム11の周面に中間転写ベルト21を介して接触して回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧が図示しない電源装置から供給される。
ドラム清掃装置16は、一部が開口する容器状の本体と、一次転写後の感光体ドラム11の周面に所要の圧力で接触するように配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃板と、清掃板により取り除かれた付着物を回収する回収装置等で構成されている。
中間転写装置20は、図2に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するよう配置される。中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内周から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜26と、ベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を連続紙5に二次転写させる二次転写装置30と、二次転写装置30を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するブレード状の清掃部材などを備えたベルト清掃装置27とで構成されている。
中間転写ベルト21としては、例えばポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂にカーボンブラック等の抵抗調整剤などを分散させた材料で製作される無端状のベルトが使用される。また、ベルト支持ロール22は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール23は中間転写ベルト21の走行位置を規定する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール24は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール25は二次転写のバックアップロールとして構成され、ベルト支持ロール26はベルト清掃装置27の背面を支持する支持ロールとして構成されている。
二次転写装置30は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール25に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。二次転写ロール30は、所要のタイミングで中間転写ベルト21から接離可能に構成されている。また、二次転写ロール30又は中間転写装置20のベルト支持ロール25には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
定着装置40は、図1に示されるように、表面温度が予め定められた温度(約150℃〜190℃)に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が連続紙5を加熱する加熱工程を含む所要の定着処理(加熱及び加圧)を行うニップ部Nとなる。なお、定着装置40の構成については、後に詳述する。
給紙装置3は、記録媒体として連続した長尺な連続紙5をロール状に巻き付けたロール紙31を備え、ロール紙31から連続紙5を供給する。また、給紙装置3は、ロール紙31を交換することにより種々の材質、サイズの連続紙5を供給することができる。給紙装置3は、画像出力装置2の連続紙5の搬送方向に沿った最上流側に別体として配置されている。連続紙5としては、例えば、図3に示されるように、一般的には基層(台紙)としての役割を持ち使用時に廃棄されるグラシン紙等からなる剥離紙51上に、糊等の粘着剤又は接着剤からなる中間層としての粘着層52を介して最上層に設けられ、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂製のシート或いは上質紙やコート紙等の紙からなる画像形成層53が粘着された所謂ラベル紙が用いられる。ラベル紙5は、図3(c)に示されるように、各層を構成する材料の吸湿に伴う伸縮率等の差異により、剥離紙51上に粘着層52が露出する場合がある。尚、符号5は連続紙以外に、連続紙の一例としてのラベル紙を示す符号としても使用する。ラベル紙5は、画像形成層53の表面に図柄や文字が印刷された後、所要のサイズに裁断されて使用に供される。このラベル紙5は、その用途にもよるが、例えば、画像形成層53側が表面(外周面)に位置するようにロール状に巻かれたロール紙31として供給される。
ラベル紙5は、その用途に応じて搬送方向と交差する方向の寸法である幅が、63mm、83mm、88mm、95mm、118mmなど種々のサイズのものが用意されている。
搬送装置60は、図1に示されるように、給紙装置3から供給される連続紙5の搬送方向を切り替えて搬送する2つの搬送ロール61,62と、連続紙5に張力を付与するため互いに圧接される直径の異なる2つのロール63a,63bからなる張力付与ロール対63と、2つの搬送ロール64a,64bの間に配置され、連続紙5の蛇行を制御する蛇行制御装置65と、蛇行が制御された連続紙5を画像出力装置2の二次転写位置へ搬送する搬送ロール66〜68と、二次転写位置を通過した連続紙5の搬送方向を規定する搬送ロール69とを備えている。張力付与ロール対63のうち、直径の大きな張力付与ロール63aは、図示しない駆動装置によって所要の回転速度で回転駆動され、当該張力付与ロール63aにニップする他方の張力付与ロール63bとともに、連続紙5に所要の張力を付与する。また、他の搬送ロール61,62,64〜69は、連続紙5の走行に伴って従動して回転する。
搬送装置60は、画像形成時に、画像出力装置2の二次転写位置へ搬送されるトナー像と同期した状態で連続紙5を搬送する。また、給紙装置3は、連続紙5を巻き取る機能を備えていても良く、この場合には、搬送装置60は、張力付与ロール対63の逆回転により連続紙5を逆方向に搬送して、連続紙5の画像形成開始位置などを調整する。
搬送装置60と定着装置40との間には、トナー像(画像)が二次転写された連続紙5を裏面側から予備的に加熱する予備加熱手段の一例として板状の予備加熱装置70が設けられている。
予備加熱装置70は、図4に示されるように、連続紙5との密着性を向上させるため表面が上方に向けて凸状に湾曲した形状に形成された金属又は耐熱性合成樹脂等からなる板状の予備加熱装置本体71を備える。予備加熱装置本体71の裏面には、ヒーター線等を内蔵した面状発熱体72が設けられている。なお、面状発熱体72は、予備加熱装置本体71に内蔵させても良い。予備加熱装置70は、面状発熱体72への通電を図示しない制御装置により制御することで、予備加熱装置本体71の表面を所要の温度(50〜80℃程度)に加熱する。
定着装置40の連続紙5の搬送方向に沿った下流側には、図1に示されるように、定着装置40によって定着処理が施された連続紙5を冷却するための冷却装置80が配置されている。冷却装置80は、連続紙5の表面及び裏面に送風する送風ファン81,82を備えている。冷却装置80は、連続紙5に対して表面及び裏面から送風ファン81,82により送風することで連続紙5を冷却する。
冷却装置80の連続紙5の搬送方向に沿った下流側には、連続紙5を図示しない排紙装置へ搬送する排出装置90が設けられている。排出装置90は、連続紙5に張力を付与するため互いに押圧される直径の異なる2つのロール91a,91bからなる張力付与ロール対91と、連続紙5の搬送方向を切り替えて図示しない排紙装置へと搬送する搬送ロール92,93とを備えている。なお、排出装置90の出口部には、必要に応じて連続紙5を裁断する図示しない裁断装置を配置しても良い。
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置の画像出力装置による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、画像出力装置2の4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。なお、画像出力装置2の4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のうちいずれか1色以上のトナー像を形成するときの画像形成動作も同様である。
画像出力装置2は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置30、定着装置40等が始動する。
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光体ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光体ドラム11の表面に対し、画像出力装置2に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光体ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置16が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置3からは、作像動作に先立って画像出力装置2の内部に連続紙の一例としてのラベル紙5が導入される。ラベル紙5は、搬送装置60の搬送ロール61〜69、予備加熱装置70、更には定着装置40及び冷却装置80を介して排出装置90により画像出力装置2の外部に導出され、当該ラベル紙5の先端が排紙装置の図示しない巻取ロールに巻き付けられる。画像形成時、給紙装置3から給紙されたラベル紙5は、画像出力装置2の内部を所要の搬送速度で搬送されて画像が形成された後、図示しない排紙装置に収容される。
二次転写位置においては、二次転写装置30が、中間転写ベルト21上のトナー像をラベル紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写されたラベル紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール30から剥離された後に予備加熱装置70まで搬送される。予備加熱装置70では、ラベル紙5が定着装置40の定着温度よりも低い予備加熱温度(80℃程度)に予め加熱される。その後、ラベル紙5は、定着装置40へと搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像Tをラベル紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後のラベル紙5は、冷却装置80で送風ファン81,82による送風を受けて冷却された後、排出装置90により画像出力装置2の外部に排出され、図示しない排紙装置の内部に設けられた巻取ロール(図示せず)によって巻き取られる。
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が形成されたラベル紙5が出力される。
<画像形成装置の特徴部分の構成>
図5はこの実施の形態1に係る定着装置を予備加熱装置とともに示す構成図である。
この定着装置40は、大別して、記録用紙5を加熱する加熱用回転体としての定着ベルトモジュール41と、定着ベルトモジュール41に対して接触又は離間可能に配置された加圧用回転体としての加圧ロール42とで構成されている。定着ベルトモジュール41と加圧ロール42との間には、未定着トナー像Tを保持したラベル紙5を加熱加圧し、未定着トナー像Tをラベル紙5に定着させる定着処理部としてのニップ部Nが形成されている。
定着ベルトモジュール41は、無端ベルト状に形成されたベルト部材の一例としての定着ベルト43と、定着ベルト43の内周面に接触するように固定した状態で配置され、定着ベルト43を内側から加圧ロール42に圧接させる定着ロール44と、定着ベルト43を張架した状態で回転可能に支持する複数の支持ロール45〜48とを備えて構成されている。なお、この実施の形態では、複数の支持ロール45〜48のうち一部の支持ロールが定着ベルト43を加熱する加熱手段としての加熱ロールを兼ねている。
複数の支持ロール45〜48は、定着ベルト43を張架した状態で定着ベルト43を内側から加熱する内部加熱ロール45と、定着ベルト43を張架した状態で定着ベルト43を外側から加熱する外部加熱ロール46と、定着ロール44のニップ部Nの上流側に配置され、定着ベルト43を所望の状態に保持する第1の従動ロール(ニップ前ロール)47と、定着ロール44と外部加熱ロール46との間に配置され、ニップ部Nを通過した定着ベルト43を所望の状態に保持する第2の従動ロール(ニップ後ロール)48とから構成されている。
定着ベルト43は、図6に示されるように、可撓性を有する無端状ベルトからなり、例えば、厚さ50μm程度のポリイミド樹脂で形成されたベース層431と、ベース層431の表面側(外周面側)に積層された厚さ250〜300μm程度のシリコーンゴム等からなる弾性体層432と、この弾性体層432の表面に被覆された厚さ50μm程度のPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)等からなる離型層433とを備える。定着ベルト43の構成は、使用目的や使用条件等の定着装置40に要求される条件に応じて、材質や厚さ、あるいは硬度等を適宜選択することができる。この実施の形態では、カラー画像の画質を向上させる目的で、ベース層431の表面側に弾性体層432を設けている。定着ベルトモジュール41と加圧ロール42が圧接する圧接領域であるニップ部Nは、粉体からなる各色のトナーが積層された連続紙5が通過するため、連続紙5上のトナー像に合わせて定着ベルト43の弾性体層432が変形することにより、トナー像の全体に熱を供給することが可能となる。なお、定着ベルト43としては、厚さ50μm程度のポリイミド樹脂で形成されたベース層431と、厚さ50μm程度のPFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)等からなる離型層433から構成したものを用いても良い。
定着ロール44は、図5に示されるように、例えば、アルミニウムやステンレスあるいは鉄等で形成された芯金441の外周に、耐熱性を有する弾性体層442を被覆した円筒状ロールである。定着ロール44の内部には、加熱源として例えば単数又は複数本のハロゲンヒータ443が配置されており、その表面が予め定められた温度(例えば、190℃)に加熱される。定着ロール44は、定着ベルト43を介して加圧ロール42に予め定められた幅領域(例えば、5〜20mm)にわたって予め定められた荷重(例えば、3.0〜6.0kgf/cm2)で均一に押圧するように配置され、定着ベルト43を介して加圧ロール42に圧接されるニップ部Nを形成している。
加熱手段の一例としての内部加熱ロール45は、例えば、アルミニウムやステンレス等からなる芯金451の外周に、耐熱性を有する弾性体層452を被覆した円筒状ロールである。内部加熱ロール45の内部には、加熱源として例えば単数又は複数本のハロゲンヒータ453が配置されており、その表面が予め定められた温度(例えば、190℃)に加熱される。また、内部加熱ロール45は、定着ベルト43の幅方向に沿った位置を制御することにより、ニップNにおいて定着ベルト43に圧接されるラベル紙5を当該ラベル紙5の搬送(移動)方向と交差する幅方向に沿って往復移動させる移動手段を構成している。内部加熱ロール45は、図7(a)に示されるように、一端部の回転軸454aが揺動支点として固定され、他端部の回転軸454bが軸方向と交差する方向、例えばラベル紙5の移動方向に沿って所要量だけ変位可能に構成されている。
更に説明すると、内部加熱ロール45及び外部加熱ロール46は、図7(a)に示されるように、その回転軸454a,454b及び回転軸465a,465bが定着装置40のフレーム49に回転自在に支持されている。また、内部加熱ロール45は、一端部に位置する回転軸454bを回転自在に支持する軸受部材BEを備えている。軸受部材BEは、定着装置40のフレーム49に設けられた長孔490に連続紙5の移動方向に沿って変位(スライド)自在に装着されている。また、定着装置40のフレーム49には、図示しない駆動モータにより回転駆動され、軸受部材BEを連続紙5の移動方向に沿って往復移動させる偏心カムCが回転自在に取り付けられている。また、軸受部材BEは、一端部がフレーム49に固定されたコイルスプリング等からなる弾性部材Sによって偏心カムCに押圧されている。
そして、内部加熱ロール45は、図示しない駆動モータ等によって偏心カムCを回転駆動することにより、軸受部材BEが連続紙5の移動方向に沿って往復移動する。これに伴い、内部加熱ロール45は、一端部454bが連続紙5の移動方向に沿って所要量だけ変位することにより、当該内部加熱ロール45に張架されている定着ベルト43も連続紙5の移動方向に沿って変位する。いま、内部加熱ロール45は、図5に示されるように、一端部454bが連続紙5の移動方向に沿った上流側に変位すると、当該一端部454b側の定着ベルト43の張力が他方に比較して低下し、定着ベルト43が内部加熱ロール45の一端部454b側に移動する。また、内部加熱ロール45は、一端部454bが連続紙5の移動方向に沿った下流側に変位すると、当該一端部454b側の定着ベルト43の張力が他方に比較して増加し、定着ベルト43が内部加熱ロール45の他端部454a側に移動する。なお、内部加熱ロール45の回転軸454bの変位量は、例えば、2〜5mm程度に設定される。
また、内部加熱ロール45は、当該内部加熱ロール45に張架された定着ベルト43の幅方向に沿った端部の位置を検知する図示しない検知手段(端部センサ)を備えている。そして、検知手段によって検知された定着ベルト43の端部位置の情報に基づいて偏心カムCの回転方向及び回転量を制御し、内部加熱ロール45の軸方向に沿った一方の端部454bを軸方向と交差する連続紙5の移動方向に沿って往復移動させ、定着ベルト43をラベル紙5の幅方向に往復移動させるものである。
また、加熱手段の一例としての外部加熱ロール46は、例えば、アルミニウムやステンレス等からなる芯金461の外周に、耐熱性を有する弾性体層462を被覆した円筒状ロールである。外部加熱ロール46の表面には、フッ素樹脂からなる離型層463が形成されている。そして、内部に配置された加熱源としての例えば単数又は複数本のハロゲンヒータ464により、外部加熱ロール46は、その表面が予め定められた温度(例えば、190℃)に加熱される。また、外部加熱ロール46の軸方向に沿った両端部には、定着ベルト43を内側に押圧する図示しないバネ部材が配置され、定着ベルト43全体の張力を例えば15kgf程度に設定している。
このように、定着ベルト43は、無端ベルト状に形成された部材であり、ロール状の定着部材に比べて熱容量が小さく、内部加熱ロール45及び外部加熱ロール46を通過する間にその表面温度が予め定められた温度まで加熱される。そのため、ラベル紙5の搬送速度が速い高速機においても、定着ベルト43が1周する間に当該定着ベルト43の温度を定着温度まで復帰させることが可能となる。また、内部加熱ロール45及び外部加熱ロール46は、定着ベルト43と広い面積で接触するように配置されており、定着ベルト43の内周面及び外周面は、効率良く加熱される。
加圧ロール42は、図5に示されるように、例えば、アルミニウムやステンレスあるいは鉄等からなる円筒状又は円柱状ロールを基体として、基体の外周面にシリコーンゴムからなる図示しない弾性体層を被覆し、弾性体層の表面にPFAチューブからなる図示しない離型層を被覆して構成されている。加圧ロール42は、定着ベルトモジュール41に対して図示しない移動手段によって接触及び離間する方向に移動可能に配置されているとともに、図示しない駆動手段により矢印方向に沿って所要の速度で回転駆動される。そして、定着ベルト43は、ニップ部Nにおいて加圧ロール42が圧接されることにより、加圧ロール42の回転に伴って矢印方向に従動回転する。
定着装置40では、定着ロール44と加圧ロール42との間に定着ベルト43を介して構成されるニップ部Nを未定着トナー像Tが転写されたラベル紙5が通過する。その間、ニップ部Nを通過するラベル紙5は、主に定着ベルト43から供給される熱と、定着ロール44と加圧ロール42との間に作用する熱及び圧力とで未定着トナー像Tが定着される。
<画像形成装置の特徴部分の作用>
ところで、 画像形成装置1では、図3に示されるように、連続紙として中間層に粘着層52を有するラベル紙5を使用すると、ラベル紙5が予備加熱装置70を通過する際に、当該予備加熱装置70によって所要の温度(80℃程度)に予備的に加熱される。そのため、ラベル紙5は、図8に示されるように、予備加熱装置70を通過する際に中間の粘着層52が軟化し易く、軟化した粘着層52を構成する粘着剤521がラベル紙5の幅方向に沿った端部から漏れ出す虞れを有している。ラベル紙5の端部から漏れ出した粘着剤521は、図9に示されるように、予備加熱装置70表面のラベル紙5の幅方向に沿った両端部に付着して堆積する。
画像形成装置1では、所要のラベル紙5に連続して画像形成を行った後に、当該ラベル紙5よりも幅の広いラベル紙5などに交換して画像を形成する場合がある。すると、相対的に幅の広いラベル紙5を給紙して当該ラベル紙5に画像を形成する際に、予備加熱装置70の表面に不均一に付着した粘着剤521が幅の広いラベル紙5を搬送する際の搬送負荷となり、幅の広いラベル紙5に皴が発生したり、幅の広いラベル紙5の搬送性低下を招く虞れを有している。
かかる事態を回避するためには、画像形成装置1において幅の広いラベル紙5に画像を形成する前に、予備加熱装置70の表面を清掃して付着している粘着剤521を除去することも考えられる。しかし、この場合には、画像形成装置1の画像形成動作を予備加熱装置70の清掃に要する時間だけ停止させなければならず、画像形成装置1の生産性が低下するとともに、ユーザが予備加熱装置70の清掃作業を行う必要があるため作業性の低下を招く。
そこで、この実施の形態では、画像形成装置1に幅の広いラベル紙5を装着して画像形成動作を開始する際、又は画像形成動作を開始する前に、幅の広いラベル紙5を搬送するとともに、定着装置40における内部加熱ロール45の軸方向に沿った一端部454bを、偏心カムCを回転駆動することでラベル紙5の搬送方向に沿って往復移動させる。この実施の形態では、画像形成動作と同時に、内部加熱ロール45の軸方向に沿った一端部454bを、ラベル紙5の搬送方向に沿って往復移動させている。
すると、定着装置40では、内部加熱ロール45のラベル紙5の搬送方向に沿った往復移動に伴って、定着ベルト43がラベル紙5の搬送方向と交差する方向に沿って往復移動する。
そのため、予備加熱装置70の表面に付着した粘着剤521は、図10に示されるように、幅の広いラベル紙5の搬送方向と交差する方向に沿った往復移動に伴い、幅の広いラベル紙5の裏面に位置する剥離紙51に僅かずつ転移して回収除去される。このとき、幅の広いラベル紙5の剥離紙51に付着する粘着剤521の量は、極僅かであるため、剥離紙51が粘着剤521によって汚れたり、剥離紙51に付着して回収されたる粘着剤521が他の部材等に付着することによる不具合も発生しない。
このように、予備加熱装置70の表面に付着した粘着剤521は、幅の広いラベル紙5を往復移動させることにより回収され、予備加熱装置70の表面に付着した粘着剤521が幅の広いラベル紙5を搬送する際の負荷となり、幅の広いラベル紙5に皴が発生したり、幅の広いラベル紙5の搬送性の低下を招く虞れが回避乃至抑制される。
また、定着装置40は、画像出力装置2の二次転写位置に対し予備加熱装置70を介して配置されており、画像出力装置2の二次転写位置から離間されているため、ラベル紙5の往復移動が二次転写位置の転写画像に影響することが回避される。
[実施の形態2]
図11はこの発明の実施の形態2に係る定着装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態2に係る定着装置は、図11に示されるように、予備加熱装置70が平板状ではなく、ロール状に形成されている。画像出力装置2の二次転写位置を通過したラベル紙5は、搬送ロール69に巻き付けられて搬送方向が斜め上方に変更された後、ロール状の予備加熱装置70に巻き掛けられている。予備加熱装置70は、内部に加熱源として例えば単数又は複数本のハロゲンヒータ73を有している。
このように、ロール状の予備加熱装置70を用いた場合には、当該予備加熱装置70を含む定着装置40の小型化が図られる。
[実施の形態3]
この発明の実施の形態3に係る画像形成装置では、定着装置40の定着ベルト43を往復移動させるのではなく、予備加熱装置70そのものを連続紙5の移動方向と交差する幅方向に沿って往復移動させるように構成されている。
このように、予備加熱装置70そのものを連続紙5の移動方向と交差する幅方向に沿って往復移動させることによっても、上述した実施の形態1と同様に、予備加熱装置70の表面に付着した粘着剤をラベル紙5の裏面に転移させることにより除去することができる。予備加熱装置70そのものを連続紙5の移動方向と交差する幅方向に沿って往復移動させる機構としては、図7(b)に示されるように、偏心カムCと予備加熱装置70を押圧する弾性部材Sとを組み合わせたもの等が用いられる。
なお、前記実施の形態1では、相対的に幅の狭いラベル紙5に画像を形成した後に、相対的に幅の広いラベル紙5に画像を形成する場合について説明したが、ラベル紙5を交換する際、同一幅のラベル紙5に新たに画像を形成する場合においても、本発明は有効である。
また、前記実施の形態では、画像形成装置としてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像を形成するフルカラー画像形成装置について説明したが、モノクロの画像形成装置にも同様に適用することができることは勿論である。