JP2018054576A - レンズ外観検査装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この装置では、面照明5の光が、液晶パネル6を通過することで、光量を調節されると共に2種類のパターンの何れかを選択した状態で、検査対象のレンズWを透過し、撮像手段4によってレンズWが撮像される([0016],図3,図9等)。
撮像データは、制御手段13で処理され、処理データ中に予め記憶してある欠陥に関する基準値を超えた部位がある場合に、当該部位が欠陥として検出され、その個数や大きさ等が欠陥データとして記憶される([0029],図7等)。
撮像は、面照明5のパターン毎に、まず撮像データA1,A2を得るように行われ、次いで、レンズWの表裏面に向けてそれぞれ設置された噴射ノズル8b,8cからエアが噴射されて、レンズWに異物が付着していたとしてもこれを除去してから、同様に撮像データB1,B2を得るように行われる([0030]〜[0031],図7等)。
そして、撮像データA1,A2からなるデータAと、撮像データB1,B2からなるデータBが比較され、良品か否かが判定される。即ち、データA,B共に欠陥がなければ良品とされ、データAで検出された欠陥がデータBでは検出されなかった場合も良品とされ、データAで検出された欠陥がデータBでも検出された場合は不良品と判定される([0032]〜[0033],図7等)
尚、エアの噴出(異物の除去)は、撮像データA1の取得前に行っても良いし、撮像データA1,A2から欠陥が検出された場合のみに行っても良い、とされている([0036]〜[0037])。
そして、レンズの表裏面に向けてエアが噴射されることで異物や埃等の付着物が吹き飛ばされるところ、静電気等の作用により付着物が再付着することがある。特にプラスチックレンズでは、帯電し易いものがあり、飛ばされた付着物が電気の作用で引き寄せられることが比較的に多い。又、レンズの形状により、エアが上手く付着物に当たらず、付着物が除去できないこともある。例えば、カーブが深いレンズの凹面に付着物が付着している場合に、凹面を上に向けた状態でエアを吹き付けても付着物がレンズの外周部を乗り越えられずレンズに留まることがあるし、更には光学的により重要なレンズ中央部の底に移動してしまうことがある。又、検査対象のレンズの形状(カーブ等)が様々である場合においてもエアを同様に当てていると、付着物が特定の形状では上手く除去されるものの、それ以外の形状では上手く除去されない、といったことが起こり得る。
更に、付着物の除去を重視してエアの吹き付けの強さを強くすると、周囲の埃が巻き上げられてレンズに付着してしまったり、レンズを当初の検査位置から移動させてしまい検査の精度を悪化させたりする可能性がある。
加えて、特許文献1のものでは、エア噴射前のデータAから欠陥が検出されず、エア噴射後のデータBから欠陥が検出された場合について触れられていないところ、データBのみであっても欠陥が存在すればキズ・カケ・ヒビ・異物混入等の発生した不良品と判定するはずであり、付着物の再付着により実際にはキズ等のない良品であるレンズが不良品と判定されてしまう。
そこで、本発明の第1の目的は、散乱光により撮像した画像において十分なコントラスト比が確保され、その画像を用いた検査の精度が良好であるレンズ外観検査装置を提供することにある。
又、本発明の第2の目的は、付着物が存在していてもキズ等と区別して検査可能であり、検査の精度が良好であるレンズ外観検査装置を提供することにある。
請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、前記制御手段は、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズの形状に沿うように配置させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記制御手段は、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズにおける前記第1異常発生箇所に対応する位置より内側に配置させ、前記第1異常発生箇所に対応する位置に対して外側へ向けて洗浄可能とすることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記制御手段は、前記検査対象レンズが凹面を有する凹レンズである場合に、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズの前記凹面における前記第1異常発生箇所に対応する位置より外側に配置させ、前記第1異常発生箇所に対応する前記凹面の位置に対して内側へ向けて洗浄可能とすることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明において、前記洗浄手段は、気体を吹き付け可能なノズルであることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明において、更に、前記検査対象レンズに対して、当該検査対象レンズの光軸を囲む囲み線の一部にそれぞれ相当する部分を占める複数の照明部分から、指向角が30°以下の光である狭角光を切替えて照射可能である狭角光照明手段を備えており、前記カメラは、前記狭角光照明手段による複数の前記照明部分における照射毎に検査用画像を撮像し、前記制御手段は、複数の前記照明部分の照射毎に撮像した前記検査用画像中の前記検査対象レンズ撮像部分における、前記照明部分が映り込んだ部分をそれぞれ消去して、複数の検査用マスク画像を生成する一部消去処理と、複数の前記検査用マスク画像を合成して検査用合成画像を生成するマスク画像合成処理と、を行って、当該検査用合成画像を、前記洗浄前検査用画像及び前記洗浄後検査用画像の少なくとも一方とすることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、上記発明において、前記狭角光照明手段における前記囲み線は、前記検査対象レンズを囲む円環であり、前記狭角光照明手段における前記照明部分は、前記円環を均等に分割した場合の前記円環の部分であり、前記制御手段の前記一部消去処理における消去対象部分は、前記検査用画像をその中心から発する放射方向の直線で均等に分割した場合の前記検査用画像の部分であることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、上記発明において、前記カメラは、前記検査対象レンズに向けられたカメラレンズを有しており、前記カメラレンズは、物体側テレセントリックレンズ又は両側テレセントリックレンズであることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、上記発明において、更に、内面が反射防止面とされている箱体を備えており、前記箱体は、孔を有しており、前記検査対象レンズを挟んで前記カメラと反対側に前記孔が位置するように配置されていることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、上記発明において、更に、前記検査対象レンズ及び前記狭角光照明手段、並びに、前記カメラを覆うエンクロージャを備えており、前記エンクロージャの内面は、前記狭角光の反射が防止される反射防止面とされていることを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、上記発明において、更に、前記検査対象レンズと前記カメラとの間の距離を調整する距離調整手段を備えていることを特徴とするものである。
又、本発明によれば、付着物が存在していてもキズ等と区別して検査可能であり、検査の精度が良好であるレンズ外観検査装置を提供することができる。
図1は、当該形態に係るレンズ外観検査装置1の斜視模式図であり、図2は、レンズ外観検査装置1の縦中央断面模式図である。
レンズ外観検査装置1は、エンクロージャ2と、水平な天板3を有しておりエンクロージャ2の内側下部に配置される箱状のステージ4(箱体)と、天板3の中央部に開けられた孔5の周囲に配置されるレンズ保持機構6と、ステージ4の天板3上に配置される狭角光照明手段7と、エンクロージャ2の内側の上部に設置されるカメラ8と、報知手段9と、気体供給装置(図示略)に接続されたノズル10(洗浄手段)と、ノズル10を移動させる移動手段としてのロボットハンド11と、これらを制御する制御手段12を備えており、眼鏡レンズLの外観を検査するものである。尚、レンズ外観検査装置1は、カーブの深い(曲率半径の小さい)ものが多く含まれる眼鏡レンズLの検査に適しているが、眼鏡レンズL以外の(カーブの深いあるいは肉厚の大きい)レンズの検査に用いられても良い。又、エンクロージャ2、レンズ保持機構6、及び報知手段9の少なくとも何れかは、省略されても良い。更に、レンズ外観検査装置は、レンズに関する他の検査を行う各種検査装置と組み合わせられても良い。加えて、以下のレンズ外観検査装置1が複数組み合わせられることでレンズ外観検査装置が構成されても良い。
ステージ4の外面は黒色とされており、ステージ4の内面は、黒色のスクリーンが貼られることで黒化処理されている。
ハウジング23の外面は、エンクロージャ2の内面と同様に、黒色とされている。
各狭角光LED24は、白色の略狭角光を発する。狭角光は、指向角が30°以下の光であり、指向角が0°である平行光を含んでいる。略狭角光は、殆ど狭角光であるものの、完全な狭角光に近づけるための微調整の余地が残されている光であり、例えば30°を僅かに超えた指向角で発散する(遠方において広がりが認められる)光や、電圧等の条件によって指向角が変化することでかような発散が見受けられる光である。尚、各狭角光LED24は、白色以外の色の略狭角光を発しても良いし、紫外線や赤外線を含む可視光以外の略狭角光を発しても良いし、これらを組合せた略狭角光を発しても良い。又、狭角光LED24は、平行光又は略平行光を発する平行光LEDであっても良い。略平行光は、殆ど平行光であるものの、完全な平行光に近づけるための微調整の余地が残されている光であり、僅かに集束する(集束点が遠方ではあるが存在する)光や、僅かに発散する(遠方において広がりが認められる)光や、電圧等の条件によって僅かな集束や発散が変化する光である。
各狭角光LED24は、発光方向がハウジング23の中央孔部22内(の中心)に向かうように設置されている。
狭角光LED24,24・・は、ハウジング23の周方向に並ぶように配置され、ここでは周方向に等間隔に、合計32個配置されている。
各照明用レンズ26は、対応する狭角光LED24の内方に配置されており、狭角光LED24から発出された略狭角光の光路を微調整して、狭角光とするものである。尚、照明用レンズ26は、略狭角光若しくは狭角光又は略平行光を平行光とするものであっても良い。又、照明用レンズ26は、狭角光LED24と一体としても良いし、複数の狭角光LED24,24・・に共通するものとしても良いし、省略しても良い。又、狭角光を発する手段は狭角光LED24と照明用レンズ26の組合せに限られず、レーザ励起体等であっても良い。
各狭角光LED24から出た略狭角光は、何れもその狭角光LED24の向きに平行であり、対応する照明用レンズ26により狭角光となって、眼鏡レンズLに向かって、大きく広がることなく、又急に集束することなく、略真っ直ぐ進む。各照明用レンズ26から出た狭角光の方向は、眼鏡レンズLの光軸に交わる方向であり、より詳しくはその光軸に直交する水平な方向である。各狭角光LED24の発光部は、所定の大きさ(例えば直径2mm(ミリメートル)の円盤)を有しており、各狭角光LED24ないし照明用レンズ26からの狭角光に係る進行方向に垂直な断面の大きさは、その発光部の大きさから指向角の分だけ広がって行く。
狭角光がレンズ保持機構6に至る場合であっても、少なくともその到達部分(各フック21の起立部分)が透光性を有するから、狭角光はレンズ保持機構6を通過する。
又、狭角光LED24,24・・は、複数の照明部分毎に独立して点消灯可能であるように、制御手段12と電気的に接続されていて、ここでは図3で示されるように上側から下方へ見たときの右上部分である第1照明部分M1,右下部分である第2照明部分M2,左下部分である第3照明部分M3あるいは左上部分である第4照明部分M4の4箇所の部分毎に、オンオフを切替可能に接続されている(部分照明,分割照明)。それら照明部分のそれぞれは、狭角光LED24,24・・を8個含んており、眼鏡レンズLを取り囲む円環全体360°のうちの四半円90°の範囲を照らす。尚、かような照明部分の数、即ちリング状に配置された狭角光LED24,24・・の分割数は、4未満であっても良いし、4を超えていても良い。又、各部分における狭角光LED24,24・・の数や配置される角度は、同一であることが好ましいが(均等分割)、一部あるいは全部において互いに相違していても良い。更に、少なくとも2つの照明部分が互いにオーバーラップしていても良い。加えて、照明部分の集合が眼鏡レンズLを360°取り囲むことが好ましいが、狭角光照明手段7が照明部分の配置されない箇所(隙間等)を有することによって、照明部分の集合が眼鏡レンズLを360°取り囲まなくても良い。又、狭角光LED24,24・・は、多角形や楕円等の、眼鏡レンズLの光軸を囲む円環以外の任意の囲み線に沿うように配置されて良く、照明部分はその一部を占めるようにされて良い。
尚、ハウジング23は、幅広肉厚円弧形状を始めとする他の形状であっても良いし、狭角光LED24,24・・や照明用レンズ26,26・・は、弧状の部分に亘り配置される等、眼鏡レンズLを囲まないように配置されても良い。又、狭角光LED24,24・・に係る略狭角光の進行方向や照明用レンズ26,26・・の光軸方向は、眼鏡レンズLの光軸に直交する方向ではなく、その光軸に90°以外の角度で交わる方向を向いていても良い。
撮像素子30やカメラレンズ36は、狭角光照明手段7や眼鏡レンズLと向かい合うように設置されている。
又、カメラレンズ36は、物体側の主光線がレンズ光軸に対して平行である物体側テレセントリックレンズである。尚、カメラレンズ36は、物体側と像側の双方において主光線がレンズ光軸に対して平行である両側テレセントリックレンズであっても良い。
カメラレンズ36は、物体側テレセントリックレンズであるため、被写界深度が比較的に深く、カーブが深かったり厚さが大きかったりする眼鏡レンズLにおいても、被写界深度はその眼鏡レンズLの全体においてピントが合うようなものとなっている。
カメラレンズ36の実視野は、狭角光のみによる撮像であることや眼鏡レンズL全体を捉えることを考慮して、比較的に広いものされており、好ましくは85mm以上とされている。
気体は、空気、アルゴンガスを始めとする各種ガス、二酸化炭素(ドライアイス)を始めとする昇華ガス、又はこれらのイオン化物や圧縮物等といったように、どのようなものであっても良いが、好ましくはイオナイザー等により静電気を除去可能とされた除電気体である。除電気体を発生するイオナイザーは、電圧を印加した針状電極によりコロナ放電を起こしてイオンを発生させ、イオン化した気体とする電圧印加式のコロナ放電タイプであっても良いし、電圧を印加せずアースに接続した針状電極と帯電気体との電位差によりコロナ放電を起こして帯電気体を除電気体とする自己放電式のコロナ放電タイプであっても良いし、軟X線や紫外線等の電離放射線の照射によりイオン化した気体とする電離放射線タイプのものであっても良い。尚、眼鏡レンズLの洗浄は、気体の吹き付けに代えて、あるいは気体の吹きつけと共に、純水やアルコール等の液体の吹き付けや、洗浄シートによる拭き取りや、これらの組合せとされても良い。
ノズル10は、ロボットハンド11により、検査位置の眼鏡レンズLに対する位置や気体吹き付け方向を任意のものとするように移動され、かような位置や角度は、制御手段12により指令される。即ち、ロボットハンド11は、制御手段12の指令に基づいて、ノズル10を、任意の位置や任意の気体吹き付け方向に移動可能である。
ノズル10やロボットハンド11は、エンクロージャ2内に配置されており、ステージ4の側面に開けられた窓38を通過して、ノズル10を検査位置の眼鏡レンズLの下側に接近させることが可能である。尚、気体供給装置はエンクロージャ2の中に配置されても良いし、外に配置されても良い。又、ロボットハンド11の一部又は全部は、エンクロージャ2の外に配置されても良い。
又、制御手段12には、眼鏡レンズLを検査位置に置いたり検査位置から取り出したりする搬送手段(図示略)が電気的に接続されており、制御手段12は、搬送手段を制御可能である。搬送手段は、例えば(ノズル移動手段と共通のあるいは別の)ロボットハンド、コンベア、若しくは眼鏡レンズLのリフト、あるいはこれらの組合せである。コンベアの場合、狭角光照明手段7について退避動作(例えば上昇)ないし復帰動作(下降)を可能とし、制御手段12は、狭角光照明手段7を退避させてコンベアにより眼鏡レンズLを検査位置に搬入し、その後狭角光照明手段7を復帰させても良い。眼鏡レンズLのリフトの場合、眼鏡レンズL載置部の退避(下降)位置で眼鏡レンズLが載置された後、当該載置部が検査位置に復帰(上昇)し、検査後に退避位置で眼鏡レンズLが取り出されても良い。尚、搬送手段は、眼鏡レンズLとレンズ保持機構6を搬送しても良い。又、レンズ外観検査装置1は外観検査前レンズ洗浄装置と組み合わせられて良く、この場合に搬送手段が外観検査前レンズ洗浄装置に眼鏡レンズLを搬送し、眼鏡レンズLが洗浄されてから、眼鏡レンズLを取り出してレンズ外観検査装置1に搬送しても良い。
記憶手段40には、レンズ外観検査プログラム50と、レンズデータベース52と、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4と、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4と、第1検査用合成画像E1(洗浄前検査用画像)と、第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4と、第2−1〜第2−4検査用マスク画像D2−1〜D2−4と、第2検査用合成画像E2(洗浄後検査用画像)と、洗浄前後合成検査用画像ECと、が記憶されている。
第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4は、眼鏡レンズLがマイナスの度数(S−10.00D(ディオプター))を有するプラスチック製のマイナスレンズ(直径70mm(ミリメートル),屈折率1.6,中心厚1mm)であって異物等が混入していない正常な場合について順に図5〜図8において例示され、眼鏡レンズLがプラスチック製のマイナスレンズ(度数や直径等は前記同様)であって異物等が混入している異常な場合について順に図9〜図12において例示され、眼鏡レンズLがプラスの度数(S+6.00D)を有するプラスチック製のプラスレンズ(直径60mm,屈折率1.6,中心厚6mm)であって異物等が混入していない正常な場合について順に図13〜図16において例示される。
又、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4は、上述の正常な場合のマイナスレンズである眼鏡レンズLについて順に図17〜図20において例示され、上述の異常な場合のマイナスレンズである眼鏡レンズLについて順に図21〜図24において例示され、上述のプラスレンズである眼鏡レンズLについて順に図25〜図28において例示される。
更に、第1検査用合成画像E1は、上述の正常なマイナスレンズについて図29において例示され、上述の異常なマイナスレンズについて図30において例示され、上述の正常なプラスレンズについて図31において例示される。
尚、上述の正常なマイナスレンズにおいて、狭角光照明手段7の狭角光LED24,24・・を全て同時に点灯したとき(第1〜第4照明部分M1〜M4を全て同時に点灯したとき)に取得され得る画像(正常マイナスレンズ全照明画像)が、参考のため図32に例示され、上述の異常なマイナスレンズにおいて、狭角光LED24,24・・を全て同時に点灯したときに取得され得る画像(異常マイナスレンズ全照明画像)が、同様に図33に例示され、上述の正常なプラスレンズにおいて、狭角光LED24,24・・を全て同時に点灯したときに取得され得る画像(正常プラスレンズ全照明画像)が、同様に図34に例示される。
第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4は、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4と同様である。又、第2−1〜第2−4検査用マスク画像D2−1〜D2−4は、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4と同様である。更に、第2検査用合成画像E2は、第1検査用合成画像E1と同様である。
洗浄前後合成検査用画像ECは、第1検査用合成画像E1と第2検査用合成画像E2が合成されたものである。
通信手段42は、各種の情報を入出力可能な手段であり、例えばハブ、各種の端子、通信コントローラ、あるいはこれらの組合せである。
尚、内側形状を調整可能なレンズ保持機構6が制御手段12に接続される場合において、制御手段12がレンズ特性値(眼鏡レンズLの直径)に応じてレンズ保持機構6の内側形状を制御するようにしても良い。
ここで、消去(マスク)は、消去対象部分を所定の背景色(例えば黒色)とするものである。消去対象部分としての第1〜第4画像部分N1〜N4は、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の中心から発する放射方向の直線(縦中心線及び横中心線)によって区分されており、それぞれ、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の丁度4分の1の大きさを有している。第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の中心は、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の中心と合致し、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の中心は、眼鏡レンズLの中心(狭角光照明手段7内の検査位置の中心)に合わせられるが、ずれていても良く、これら中心がずれている場合に、第1〜第4画像部分N1〜N4を画する放射方向の直線は、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4上の眼鏡レンズLの中心(狭角光照明手段7内の検査位置の中心)から発せられるようにしても良い。
尚、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4や第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4は、ここでは縦画素数が横画素数と同一の正方形であるが、縦画素数が横画素数と異なる長方形であっても良い。又、消去(マスク)は、対象部分を、背景色とは異なる所定のマスク色(例えば暗い灰色)に塗り潰すものであっても良いし、後述のマスク画像合成処理の対象にならない旨の情報である非合成対象情報を対象部分に埋め込むものであっても良い。
又、単画像処理は、上述された第1の一部消去処理と同様にして、第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4から第2−1〜第2−4検査用マスク画像D2−1〜D2−4を生成する、第2の一部消去処理を含んでいる。尚、第1の一部消去処理に係るプログラムと第2の一部消去処理に係るプログラムは、共通化されていても良いし、別個のものとされていても良い。
ここで、第1のマスク画像合成処理においては、第1画像部分N1,第2画像部分N2,第3画像部分N3,第4画像部分N4が消去された合計4枚の第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4を対象とする。対象となる第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の縦横の画素数は、互いに同一である。そして、それら4枚の第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4について、対応する画素位置(例えば縦位置と横位置の組合せ)の画素値(例えば256段階の輝度)が合計され、その合計値を3で割ることで平均化される。3で割るのは、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4において第1画像部分N1,第2画像部分N2,第3画像部分N3あるいは第4画像部分N4の何れかが消去されており、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の合計において1度消去部分(マスク部分)が加味されるので、その分合計枚数から引く(4−1=3)からである。第1画像部分N1,第2画像部分N2,第3画像部分N3及び第4画像部分N4は、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4を重ね合わせた場合に、互いに重複せず、第1−1検査用マスク画像D1−1等と丁度同じ大きさをカバーする。
尚、第1画像部分N1〜第4画像部分N4の少なくとも一部は、互いに重複しても良く、この場合、重複部分に対して更なる平均化等の追加の処理を施しても良い。又、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4や第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の画素値は、赤緑青(RGB)の各輝度値等であっても良い。又更に、第1検査用合成画像E1は、平均化した輝度ではなく合計値の輝度を有していても良い。更に、第1のマスク画像合成処理の対象となる第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4は、狭角光照明手段7の分割数(狭角光LED24,24・・の分割数)に応じて増減されても良いし、その分割数が4である場合に8枚とされる等、分割数より多い枚数とされても良い。
又、複画像処理は、上述された第1のマスク画像合成処理と同様にして、第2−1〜第2−4検査用マスク画像D2−1〜D2−4から第2検査用合成画像E2を生成する、第2のマスク画像合成処理を含んでいる。尚、第1のマスク画像合成処理に係るプログラムと第2のマスク画像合成処理に係るプログラムは、共通化されていても良いし、別個のものとされていても良い。
更に、複画像処理は、第1合成検査用画像E1の画素情報と第2合成検査用画像E2の画素情報を比較して、後述する異常発生箇所U1,U2の位置が相違する場合に異常発生箇所U1,U2を削除して洗浄前後合成検査用画像ECを生成する、洗浄前後画像合成処理を含んでいる。尚、洗浄前後画像合成処理は、異常発生箇所U1,U2の削除をするものではなく、画素情報の平均や合計を得るもの等であっても良い。
単画像処理や複画像処理には、2値化処理やノイズリダクション処理等の他の処理が含まれていても良い。又、施した処理の種類ないし組合せ毎に画像が別々に保存されても良い。
このようになるレンズ外観検査装置1の動作例等が、主に図4に基づいて以下説明される。
レンズ外観検査装置1は、レンズ外観検査プログラム50を実行するCPU44(制御手段12)により、例えば次の通り動作する。
搬送手段は、制御手段12の制御により、検査対象の眼鏡レンズLを狭角光照明手段7内の検査位置に搬入する(ステップS1)。
制御手段12には、通信手段42を介して、搬入に係る眼鏡レンズLのレンズ特性値が入力される。レンズ特性値は、図示されない他のコンピュータから入力されても良いし、図示されない入力手段(例えばキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、あるいはこれらの組合せ)により入力されても良い。
エンクロージャ2には、図示されない扉が設けられており、眼鏡レンズLの搬入時にその扉は開けられて眼鏡レンズLを通過可能とされ、搬入完了後、撮像までに、その扉は閉じられて、エンクロージャ2による閉塞が確保される。
狭角光は、透光性を有する眼鏡レンズLの内部を、眼鏡レンズLの光軸に交わる(直交する)状態で通過し、理想的にはそのまま水平に進んで眼鏡レンズLの外部に出る。かように水平に進んだ狭角光は、指向角が狭くその分拡散が緩やかであるから、眼鏡レンズLの上方に配置されたカメラ8には到達し難く、眼鏡レンズLの表面(空気との界面)における反射や屈折等により、ごく一部分がカメラ8に向かう。かような反射ないし屈折は、カーブの深いレンズ(眼鏡レンズL)ほど、様々な方向に向かうこととなる。又、狭角光が平行光である場合、平行光は水平に進むと集束も拡散もしないから、理想的には眼鏡レンズLの上方に配置されたカメラ8の方向には行かない。但し、実際には、上述した眼鏡レンズLの表面における反射や屈折等により、ごく一部分がカメラ8に向かう。
又、特に眼鏡レンズに多用されるカーブの深いレンズにおいては、狭角光LED24の光源形状が映り込み、カメラ8に向かう。例えば、上述の正常なマイナスレンズの眼鏡レンズLに対して、第1照明部分M1(上側から下方に見て右上の弧状部分)のみで照明を行うと、図5に示されるように、眼鏡レンズLの上側から下方に見て右上部分の中央部や周縁部に、マイナスレンズの輪郭に沿う弧に沿った点群(8点前後)あるいは濃淡帯状の映り込みR1,R2が発生する。又、上述の異常なマイナスレンズの眼鏡レンズLに対して、第1照明部分M1のみで照明を行うと、図9に示されるように、眼鏡レンズLの上側から下方に見て右上部分の中央部に、マイナスレンズの輪郭に沿う弧の上で並ぶ点群の映り込みR1が発生する。他方、プラスレンズの眼鏡レンズLに対して第1照明部分M1のみで照明を行うと、図13に示されるように、眼鏡レンズLの上側から下方に見て右上部分の周縁部に、弧状に並ぶ点群の映り込みR1が発生する。そして、他の照明部分においても、眼鏡レンズLの照明部分に近い部分に、映り込みR1,R2が同様に発生する(図5〜図16参照)。尚、参考として、上述の正常マイナスレンズ全照明画像(図32)や異常マイナスレンズ全照明画像(図33)においては、眼鏡レンズLの中央部あるいは周縁部において、円状に並ぶ点群の映り込みQ1が発生する。又、正常プラスレンズ全照明画像(図34)においては、中央部及び周縁部において円状に並ぶ点群の映り込みQ1,Q2が発生する。
他方、眼鏡レンズLに異物が付着しあるいは混入している場合、その異物に達した狭角光は散乱され、散乱光(異物による反射光)の一部がカメラ8に向かう。かような散乱光の強度は、上述の反射ないし屈折による光の強度より概して大きい。異物は、例えば、眼鏡レンズLの表面や内部に発生した塵や着色ムラ、泡、固着物、欠片若しくは眼鏡レンズLの表面に形成された膜のムラ、あるいはこれらの組合せである。
又、眼鏡レンズLにキズ・欠けや形成不良部分が発生している場合、そのキズ・欠けや形成不良部分に達した狭角光も異物の場合と同様に散乱され、一部がカメラ8に向かう。更に、眼鏡レンズLに付着物が付着している場合、その付着物も異物の場合と同様に散乱され、一部がカメラ8に向かう。以下、異物並びに欠け及び形成不良部分、更には付着物は、まとめて異物等と適宜呼ばれる。
加えて、狭角光照明手段7から発せられた狭角光は、エンクロージャ2の内面に達したとしても、その内面が反射防止面とされていることにより、その内面における反射が防止され、その内面による反射光がカメラ8に向かう事態が防止される。
ここでは、制御手段12は、自然数のループカウンタkが1〜4まで順に変わって合計4回繰り返されるループS4により、まず第1照明部分M1において照明させ、次いで第2照明部分M2,第3照明部分M3,第4照明部分M4の順で照明させる(ステップS5)。但し、制御手段は、眼鏡レンズLがプラスレンズである場合には、まず第3照明部分M3において照明させ、次いで第4照明部分M4,第1照明部分M1,第2照明部分M2の順で照明させる。尚、制御手段12は、これ以外の順番で照明させても良い。
第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4は、物体側テレセントリックレンズであるカメラレンズ36によって取得されるため、カーブの深い眼鏡レンズLや厚みの大きい眼鏡レンズLであっても、全ての部分においてピントが合う。よって、ピントが合わない部分において異物や欠け等により散乱光が発生してしまい、鮮明な画像が得られず、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4による検査に支障を来たす事態が防止される。又、非テレセントリックレンズは、異物等により広がるように発生する散乱光について視差の分だけ歪んで捉えてしまい、異物等の実際の大きさや状態が不明確となったり、異物等が複数存在する場合に一部の異物等を隠してしまったりする可能性があるところ、カメラレンズ36ではそのようなことがなく、全ての異物等について実際の大きさや状態で捉えることができる。ここで、厳密には、サイズの変化を完全に防止することは困難であるが、非テレセントリックレンズによる撮像の場合と比べ、サイズの変化は顕著に抑制され、又眼鏡レンズLの中央と外周部のように眼鏡レンズLに高低差が存在する場合において、眼鏡レンズLの撮像部分における形状の変形が抑制される。
レンズデータベース52には、眼鏡レンズLの直径及びカーブ値等に応じた撮像距離が記憶されており、検査用画像Cにおいて、眼鏡レンズLの全体においてピントが合う(眼鏡レンズLの全体が被写界深度内に収まる)ような撮像距離が予め求められ、眼鏡レンズLの直径及びカーブ値と対応付けて記憶されている。上述の通り、制御手段12は、リフト20を制御し、その撮像距離となるように、ステージ4やレンズ保持機構6を介して眼鏡レンズLを移動させる。尚、カメラレンズ36は少なくとも物体側においてテレセントリック効果を有するため、撮像距離にかかわらず実視野は一定である。
例えば、実視野が縦80mm横80mmであり、被写界深度が9mmであり、被写界深度の中心がカメラレンズ36の先端から150mmの位置にある場合において、床高が5mmのプラス強度数の眼鏡レンズL(凸レンズ)に対しては、制御手段12は床高中心(2.5mm)の位置が被写界深度の中心位置と合致するようにリフト20を作動させる。他方、同じ場合において、床高が6mmのマイナス強度数の眼鏡レンズL(凹レンズ)に対しては、制御手段12は床高中心(3mm)の位置が被写界深度の中心位置と合致するようにリフト20を作動させる。ここで、リフト20がない(撮像距離が調整されない)ときを考える。凸レンズはレンズ保持機構6の支持点から下方に位置している一方、凹レンズはレンズ保持機構6の支持点から上方に位置していることから、双方のレンズの占める合計の上下幅(床高方向の幅の合算値)は、支持点から下に5mm(凸レンズ)と上に6mm(凹レンズ)で11mmとなる。この11mmの上下幅は、9mmの被写界深度より大きく、従って、撮像距離が調整されない場合、凸レンズ及び凹レンズの少なくとも一方において部分的にピントが合わないこととなる。これに対し、レンズ外観検査装置1では、リフト20により撮像距離が調整されるため、凸レンズ及び凹レンズの双方において被写界深度内に位置させて、ピントを全体に亘り合わせることができる。
又、眼鏡レンズLは、その周縁を保持するレンズ保持機構6によって、天板3の孔5に上面視で重なる(オーバーラップする)ように保持され、カメラ8(カメラレンズ36)は、孔5と向かい合うように配置されており、孔5の内部(箱状のステージ4の内部)は、黒化処理されている。よって、カメラレンズ36と眼鏡レンズLと孔5は上下方向に並んで、孔5は眼鏡レンズLを挟んでカメラレンズ36と反対側に位置することとなり、かような配置とステージ4内面の黒化処理によって、検査用画像Cにおいて散乱光の生じない部分をより黒くすることができ、異物等による散乱光に対するコントラスト比が向上する。又、ステージ4側へ進む散乱光の反射がステージ4の内部において防止され、異物等によらない散乱光の映り込みが抑制されて、検査用画像Cにおけるコントラスト比の低下が防止される。更に、ステージ4が箱状であり、眼鏡レンズLの下方の部分(カメラレンズ36から見て眼鏡レンズLより向こう側の部分)の一部又は全部が覆われるため、エンクロージャ2内面における反射光等が眼鏡レンズLの下方に向かったとしても、ステージ4により遮断することができ、異物等によらない散乱光の映り込みが抑制されて、検査用画像Cにおけるコントラスト比の低下が防止される。
カメラ8は、このようにして取得した第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4を、制御手段12に対して送信し、制御手段12は、通信手段42において受信した第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4を、記憶手段40において記憶する。ここでは、カメラ8は、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4をそれぞれ取得した後直ちに送信するが、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の組が揃ってからこれらの一組をまとめて送信しても良い。
即ち、マイナスレンズ(図5,図9)において、第1照明部分M1(狭角光照明手段7の上から下に見て右上の部分)に係る照明により撮像した第1−1検査用画像C1−1中の眼鏡レンズL撮像部分における、第1照明部分M1が映り込んだ部分である一部照明映り込み部分(第1照明部分M1に隣接する眼鏡レンズL撮像部分の右上部分)を含む第1画像部分N1(第1−1検査用画像C1−1の右上部分)が消去される。この消去において、消去対象部分は第1画像部分N1であり、眼鏡レンズL撮像部分における一部照明映り込み部分(第1照明部分M1の照射隣接部分)を含んでいる。又、第2画像部分N2〜第4画像部分N4は、それぞれ、第1画像部分N1と同様に消去される。
他方、プラスレンズ(図13)において、第3照明部分M3に係る照明により撮像した第1−1検査用画像C1−1中の眼鏡レンズL撮像部分における、第3照明部分M3が映り込んだ部分である一部照明映り込み部分(第3照明部分M3からみて眼鏡レンズL撮像部分の中心を挟んで向こう側の右上部分)を含む第1画像部分N1が消去される。この消去において、消去対象部分は第1画像部分N1であり、眼鏡レンズL撮像部分における一部照明映り込み部分(第3照明部分M3の向こう側の部分)を含んでいる。又、第2画像部分N2〜第4画像部分N4は、それぞれ、第1画像部分N1と同様に消去される。
これらの画像部分内における眼鏡レンズL撮像部分には、点灯している狭角光LED24,24・・の光源形状に応じた映り込みが発生し得るところ(図5〜図16参照)、その映り込みが、一部消去処理により、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4において消去される。かような映り込みは、眼鏡レンズLを囲む狭角光LED24,24・・が全て点灯すると、眼鏡レンズLにおいて輪状となる(図32〜図34参照)。しかし、狭角光LED24,24・・が部分的に点灯すると、これに対応して眼鏡レンズLにおいて弧状となる。よって、映り込み部分の一部消去が可能となり、映り込み部分がなく狭角光により適切に照明された部分を残した第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の取得が可能となる。
CPU44は、ここでは第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の何れかを記憶手段40において記憶した後直ちにその検査用画像に対する一部消去処理を行って検査用マスク画像の生成を行う。尚、CPU44は、記憶手段40において第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4の組が揃ってから、これらの一組に対してそれぞれ一部消去処理を行っても良い。又、一部消去処理は、カメラ8において行われても良い。更に、一部消去処理において、CPU44は、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4に上書きして第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4を記憶しても良いし、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の記憶後に第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4を削除しても良い。加えて、一部消去処理に付随して、ノイズリダクション処理等の他の画像処理が行われても良い。
尚、第1検査用合成画像E1は、複数枚生成されても良いし、第1検査用合成画像E1の生成に付随して、2値化処理やノイズリダクション処理等の他の画像処理が行われても良い。又、照明部分と一部消去の関係は、上述のマイナスレンズないしプラスレンズに係る関係以外のものであっても良い。複雑な表面形状を有するレンズであっても、照明部分による一部照明によって、その映り込み部分はレンズないしレンズ撮像部分における一部に留まる。そして、映り込み部分が一見分からないような類型のレンズであっても、各照明部分による照射を一度以上試行すれば、一部消去処理において消去する部分に包含されるべき映り込み部分を予め把握することができ、この場合に、試行結果を記憶させて、同じ類型のレンズの検査において当該試行結果を適用することができる。更に、1個の照明部分による一部照明によって、レンズに複数の映り込み部分が生じる場合に、複数の画像部分(例えば2個の矩形部分)を消去しても良い。又、複数の照明部分を照射したうえで、その照射による映り込み部分をマスクするようにしても良い。
制御手段12は、眼鏡レンズL撮像部分において所定値以上の輝度を有する画素が所定範囲以上に亘り存在する場合、異物等による散乱光が存在して異物等が存在するものとして、第1検査用合成画像E1において異常が発生しているとの判定結果を出す。例えば、上述の正常なマイナスレンズ及びプラスレンズにおいて、第1検査用合成画像E1には異物等による散乱光は存在しておらず、外観異常は発生していないとの判定結果を出す。他方、上述の異常なマイナスレンズにおいて、第1検査用合成画像E1には異物による散乱光F,F・・が存在しており、異常が発生しているとの判定結果を出す。
第1検査用合成画像E1においては、狭角光LED24,24・・の映り込みが消去されているので、異常発生の判定において、映り込みを異物等として誤検知し、異物等が存在しないのに異常が発生しているとの判定結果を誤って出してしまう事態が防止される。又、複数枚の第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の平均化により第1検査用合成画像E1が生成されており、複数枚の第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4の情報を有する第1検査用合成画像E1を用いて異常発生判定がなされるため、判定の精度が良好である。しかも、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4は、ピント位置や撮影範囲等を変えることなく少ない枚数で取得することができ、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4は所定の部分を消去するだけで生成できるので、処理量や処理時間は少ない。
尚、第1検査用合成画像E1(異常発生判定ないしは不良品判定に用いられる検査用画像)は、上述された処理により得られるものに限られない。例えば、第1検査用合成画像E1は、第1−1〜第1−4検査用マスク画像D1−1〜D1−4を合成したものではなく、第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4を合成したものであっても良い。あるいは、洗浄前検査用画像は、カメラ8により撮像された1枚の画像であっても良く、即ち洗浄前検査用画像はカメラ8がら取得した画像そのものであっても良く、この場合であっても、洗浄前検査用画像は、制御手段12において、カメラ8からの画像より生成されるものである。照明について狭角光でなく通常の光が用いられたり、カメラレンズ36についてテレセントリックレンズが用いられずに通常のレンズが用いられたりする等、第1検査用合成画像E1や洗浄前検査用画像の撮像条件についても、様々なものとされても良い。
制御手段12は、判定結果が異常なし(外観良品)であれば(ステップS12でNo)、狭角光照明手段7に対して消灯を指令すると共に、搬送手段により眼鏡レンズLを搬出し(ステップS19)、次の検査対象としての眼鏡レンズLが存在する場合には、以上の処理を繰り返す(Return To Start)。尚、狭角光照明手段7における最初の照明に係る照明部分は、搬出時や搬入前において点灯されていても良い。
例えば、図36に模式的に示されるように、眼鏡レンズLがマイナスレンズである場合、制御手段12はレンズデータベース52の参照により異常発生箇所U1の位置(xa,ya)における厚みzaを把握し、眼鏡レンズL上面(凹面)に対しては、図36(a)に示されるように、ノズル10が(xa,ya)の隣接位置であって眼鏡レンズLのより外側の位置であり且つ(xa,ya)における厚みzaを考慮して眼鏡レンズL上面より僅かに上側に配置され、更に斜め下向きで眼鏡レンズLの内側に向かう気体吹き付け方向に配置されるような指令を出す。又、下面に対しては、図36(b)に示されるように、ノズル10が(xa,ya)の隣接位置であって眼鏡レンズLのより中心側の位置であり且つ(xa,ya)における厚みzaを考慮して眼鏡レンズL下面より僅かに下側に配置され、更に水平(僅かに上向き)で眼鏡レンズLの外側に向かう気体吹き付け方向に配置されるような指令を出す。気体吹き付け方向は、レンズの上面や下面の(xa,ya)における接線に沿う方向とされたり、当該接線を基準とした方向とされたりして良く、即ちノズル10は、眼鏡レンズLの形状に沿うように配置されても良い。
他方、図37に模式的に示されるように、眼鏡レンズLがプラスレンズである場合、制御手段12はレンズデータベース52の参照により異常発生箇所U1の位置(xa,ya)における厚みzaを把握し、眼鏡レンズL上面に対しては、図37(a)に示されるように、ノズル10が(xa,ya)の隣接位置であって眼鏡レンズLのより中心側の位置であり且つ(xa,ya)における厚みzaを考慮して眼鏡レンズL上面より僅かに上側に配置され、更に水平(僅かに下向き)で眼鏡レンズLの外側に向かう気体吹き付け方向に配置されるような指令を出す。又、下面に対しては、図37(b)に示されるように、ノズル10が(xa,ya)の隣接位置であって眼鏡レンズLのより中心側の位置であり且つ(xa,ya)における厚みzaを考慮して眼鏡レンズL下面より僅かに下側に配置され、更に水平(下面のカーブがより大きいことに鑑み上面の場合より大きい角度で僅かに上向き)で眼鏡レンズLの外側に向かう気体吹き付け方向に配置されるような指令を出す。気体吹き付け方向は、レンズの上面や下面の(xa,ya)における接線に沿う方向とされたり、当該接線を基準とした方向とされても良い。
マイナスレンズの下面(図36(b))やプラスレンズの上下面(図37(a),(b))では、異常発生箇所U1が付着物によるものであった場合、眼鏡レンズLの外側方向に移動し、そのまま眼鏡レンズLから離れて除去されるか、眼鏡レンズLの外側部分を中心とした別の箇所に再付着する。これらの面において気体吹き付け方向が外側方向であることにより、付着物は最短距離ないしこれに近い距離で眼鏡レンズL上を移動し得ることとなり、付着物が除去される可能性が増す。又、気体吹き付け方向が外側方向であっても付着物の移動(吹き付け力の作用と重力の作用)を眼鏡レンズLが妨げる可能性が低い。
他方、マイナスレンズの上面(図36(a))では、異常発生箇所U1が付着物によるものであった場合、眼鏡レンズLの内側方向に移動し、眼鏡レンズLの中心付近を通過してそのまま外側へ移動し眼鏡レンズLから離れて除去されるか、眼鏡レンズLの内側部分を中心とした別の箇所に再付着する。凹レンズ上面において気体吹き付け方向が内側方向であることにより、付着物の除去の可能性は比較的に低くなるが、付着物は眼鏡レンズLの外側部分を上に登る必要がなく、より低い内側部分に確実に移動することとなる。
これらの再付着において、従前の箇所と同一の箇所となる可能性は、極めて低い。
ここでは、ノズル10の移動ないし気体の吹き付けは、異常発生箇所U1の位置(xa,ya)の上側について行われてから、下側について行われる。
制御手段12は、異常発生箇所U1が複数存在する場合には、それぞれについて付着物の洗浄(付着物の除去又は移動)が試みられるよう、異常発生箇所U1の位置(xa,ya),(xb,yb)・・・毎に、ステップS14が繰り返される。
かような洗浄時において、眼鏡レンズLは、レンズ保持機構6により、気体(洗浄媒体)の吹き付け(による圧力)を受けても移動しないように保持される。
尚、ノズル10(及びロボットハンド11)が複数配置されても良い。又、制御手段12は、ノズル10,10を異常発生箇所U1の位置の上面上側及び下面下側にそれぞれ配置し、同時に気体の吹き付けを行っても良い。あるいは、制御手段12は、異常発生箇所U1が複数存在する場合に、上側のノズル10と下側のノズル10をそれぞれ独自の順番で移動させて気体の吹き付けを行っても良い。
かような処理の実行により、第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4が取得され(ステップS5,S6)、第2−1〜第2−4検査用マスク画像D2−1〜D2−4が生成され(ステップS7)、これらの合成により第2合成検査用画像E2が生成される(ステップS9)。
尚、第2合成検査用画像E2(洗浄後検査用画像)やその生成ないし第2のマスク画像合成処理は、第1合成検査用画像E1(洗浄前検査用画像)やその生成ないし第1のマスク画像合成処理と同様の変更例を有する。又、第2合成検査用画像E2は、第1合成検査用画像E1と異なる処理で生成されても良い。
ここでは、制御手段12は、第1合成検査用画像E1の画素情報と第2合成検査用画像E2の画素情報を比較し、第1合成検査用画像E1において異常発生箇所U2と同様の位置に異常発生箇所U1が生じていなければ(異常発生箇所U1,U2の位置が重複しておらず相違していれば)、第2合成検査用画像E2から異常発生箇所U2を削除して、洗浄前後合成検査用画像ECを生成する。即ち、制御手段12は、第2合成検査用画像E2において、異常発生箇所U1の把握と同様にして異常発生箇所U2(第2異常発生箇所)を把握し、異常発生箇所U2の中心位置(xa’,ya’)や大きさを把握して、その中心位置や大きさに対応する第1合成検査用画像E1の画素値を参照し、異常発生となっているか否かを判断して、異常発生となっていなければ、第2合成検査用画像E2における異常発生箇所U2の画素値を第1合成検査用画像E1における同位置のものに置換して(第1合成検査用画像E1における同位置の画素値を第2合成検査用画像E2の異常発生箇所U2に移植して)、第2合成検査用画像E2から異常発生箇所U2を削除し、洗浄前後合成検査用画像ECを生成する。他方、制御手段12は、同じ位置で異常発生となっていれば、異常発生箇所U2を削除(同箇所の第1合成検査用画像E1の画素値に置換)せず、洗浄前後合成検査用画像ECに反映させる。制御手段12は、異常発生箇所U2がU2a(xa1’,ya1’),U2b(xa2’,ya2’)・・・というように複数存在する場合には、第1合成検査用画像E1の参照ないし異常発生箇所U2a,U2b・・・の適宜の削除を繰り返す。
尚、制御手段12は、第2合成検査用画像E2を洗浄前後合成検査用画像ECに変換して洗浄前後合成検査用画像EC生成に当たり第2合成検査用画像E2を削除しても良いし、第2合成検査用画像E2をコピーしてそのコピーを洗浄前後合成検査用画像ECに変換しても良い。あるいは、制御手段12は、第2合成検査用画像E2において異常発生箇所U1と同様の位置に異常発生箇所U2が生じていなければ、第1合成検査用画像E1から異常発生箇所U1を削除して、洗浄前後合成検査用画像ECを生成しても良い。異常発生箇所の位置の比較(重複しているか否かの判断)は、異常発生箇所U1,U2の中心座標や大きさを比較することにより行われても良い。更に、第1合成検査用画像E1及び第2合成検査用画像E2の少なくとも一方が複数枚取得され、それぞれについて異常発生箇所の位置の比較がなされても良い。加えて、洗浄前後検査用合成画像ECの生成に付随して、2値化処理やノイズリダクション処理等の他の画像処理が行われても良い。
第1検査用合成画像E1(図38)において、眼鏡レンズL撮像部分の上部に異常発生箇所U1が存在する。又、第2検査用合成画像E2(図39)において、異常発生箇所U1と位置も含め同一の異常発生箇所は存在せず、異常発生箇所U1の形状と同様の形状を有するものの位置の異なる異常発生箇所U2が、眼鏡レンズL撮像部分中央に存在する。かような第2検査用合成画像E2における異常発生箇所U2は、異常発生箇所U1が付着物によるものであって、その異常発生箇所U1に対するノズル10を用いた気体の外側から内方へあるいは内側から外方への吹き付け(眼鏡レンズLの洗浄)により、当該付着物が移動して生じたものである。そして、第2合成検査用画像E2から異常発生箇所U2を削除した洗浄前後合成検査用画像EC(図40)において、異常発生箇所U1は存在せず、異常発生箇所U2は第1検査用合成画像E1における同じ位置の画素値に置換される形で消去されている。
他方、プラスレンズである眼鏡レンズLにおいて異常発生箇所U1がある場合における、第1検査用合成画像E1が図41に示され、第2検査用合成画像E2が図42に示され、洗浄前後合成検査用画像ECが図43に示される。
第1検査用合成画像E1(図41)において、眼鏡レンズL撮像部分の中央に異常発生箇所U1が存在する。又、第2検査用合成画像E2(図42)において、異常発生箇所U1と位置も含め同一の異常発生箇所は存在せず、異常発生箇所U1の形状と同様の形状を有するものの位置の異なる異常発生箇所U2が、眼鏡レンズL撮像部分左部に存在する。かような第2検査用合成画像E2における異常発生箇所U2は、異常発生箇所U1が付着物によるものであって、その異常発生箇所U1に対するノズル10を用いた気体の中央から外方への吹き付けにより、当該付着物が移動して生じたものである。そして、第2合成検査用画像E2から異常発生箇所U2を削除した洗浄前後合成検査用画像EC(図43)において、異常発生箇所U1は存在せず、異常発生箇所U2は第1検査用合成画像E1における同じ位置の画素値に置換される形で消去されている。
尚、図には現れていないが、例えば眼鏡レンズLにおいて左右に長いキズとこれの右部を覆う埃が存在していた場合、第1検査用合成画像E1にはキズの左部と埃が異常発生箇所U1として認識され、洗浄が試みられる。ここで、洗浄により埃がキズの左部に重なる位置に移動したとしても、第2検査用合成画像E2にはキズの右部と移動した埃が現れ、洗浄前後合成検査用画像ECでは、キズの左部及び右部を含めた全体が把握されることになる。
洗浄前後合成検査用画像ECにおいて異常発生箇所が存在するのは、異常発生箇所U1,U2が重複している場合であり、異常発生箇所U1に対して気体の吹き付け(洗浄)を施したにもかかわらず重複位置に異常発生箇所U2が存在する場合である。かような重複した異常発生箇所U1,U2は、付着物によるものではなく、眼鏡レンズLにおける異物の混入やキズ,カケ,ヒビといった洗浄不能な不具合によるものである。
制御手段12は、洗浄前後合成検査用画像ECにおける異常発生の有無について、第1検査用合成画像E1における判定の場合と変更例も含めて同様に報知することができる。例えば、制御手段12は、第1検査用合成画像E1、第2検査用合成画像E2及び洗浄前後合成検査用画像ECの少なくとも何れかを表示することができる。
制御手段12は、判定に係る洗浄前後合成検査用画像ECの生成に際し、異常発生箇所U1,U2が重複しない場合にこれらを消去ないし削除しているので、この場合において、異常発生箇所U1,U2における眼鏡レンズLの外観については異常なしと判定される。
尚、第1検査用合成画像E1における判定が異常なしであっても、気体の吹き付けや第2検査用合成画像E2の生成等の処理を行っても良い。又、第2検査用合成画像E2や洗浄前後合成検査用画像ECにおいて異常発生箇所が存在する場合に、更なる気体の吹き付けや第n検査用合成画像En(n≧3)の生成ないし第1検査用合成画像E1,第2検査用合成画像E2,第n検査用合成画像Enの合成による洗浄前後合成検査用画像ECの生成等が行われ、1つの眼鏡レンズLに対して任意の回数において繰り返されても良い。あるいは、眼鏡レンズLの搬入前に、眼鏡レンズLに対して検査前洗浄を施しても良い。検査前洗浄は、眼鏡レンズL全体に亘る気体の吹き付けや拭き取りシートによる拭き取りによるものであっても良いし、液体の入った槽への投入(ないし乾燥)によるものであっても良いし、これらの組合せであっても良い。
以上のレンズ外観検査装置1は、検査対象レンズである眼鏡レンズLが含まれる画像(第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4,第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4)を撮像可能なカメラ8と、ロボットハンド11により移動可能であるノズル10と、カメラ8からの前記画像を処理すると共に、ロボットハンド11及びノズル10を制御する制御手段12と、を備えており、制御手段12は、カメラ8から前記画像(第1−1〜第1−4検査用画像C1−1〜C1−4)を取得して第1検査用合成画像E1を生成すると共に(j=1でのステップS9)、第1検査用合成画像E1において異常発生箇所U1が存在する場合に(ステップS12でYes)、ロボットハンド11によってノズル10を眼鏡レンズLの異常発生箇所U1に対応する位置に移動させ、眼鏡レンズLの異常発生箇所U1に対応する部分をノズル10により洗浄して(ステップS14)、更にカメラ8から前記画像(第2−1〜第2−4検査用画像C2−1〜C2−4)を取得して第2検査用合成画像E2を生成し(j=2でのステップS9)、第2検査用合成画像E2において異常発生箇所U2が存在する場合であっても、異常発生箇所U2が異常発生箇所U1と重複しないとき(重複しない異常発生箇所U1,U2の削除された洗浄前後合成検査用画像ECにおいて異常がないとき)には(ステップS17)、眼鏡レンズLの異常発生箇所U1と異常発生箇所U2における外観について異常なしと判定する(ステップS18)ことを特徴とする。
よって、レンズ外観検査装置1において、異常発生箇所U1が付着物である場合にはノズル10により確実に洗浄することができ、又異常発生箇所U1,U2の位置が不一致であることにより異常発生箇所U1,U2がキズ等でなく付着物であることが確実に見極められ、付着物のみによる外観異常の発生であって付着物を除去可能であるため実質的には外観異常ではない眼鏡レンズLを外観異常と判定してしまう事態が防止されて、検査の精度が極めて良好なものとなる。
又、制御手段12は、ロボットハンド11により、ノズル10を、眼鏡レンズLの形状に沿うように配置させる。よって、眼鏡レンズLの洗浄において付着物を効率良く移動させることができるし、気体が必要以上に眼鏡レンズLの外方に作用して埃等を舞い立たせる事態が防止され、その埃等が眼鏡レンズLに付着する事態が防止される。
更に、制御手段12は、ロボットハンド11により、ノズル10を、眼鏡レンズLにおける異常発生箇所U1に対応する位置より内側に配置させ、異常発生箇所U1に対応する位置に対して外側へ向けて気体を吹き付け可能とする。よって、ノズル10は、異常発生箇所U1が付着物によるものである場合に、付着物を外側に向けて移動させることができ、比較的に短い距離で付着物を効率良く移動させることができる。
又更に、制御手段12は、眼鏡レンズLが凹面(上面)を有する凹レンズ(マイナスレンズ,図36(a))である場合に、ロボットハンド11により、ノズル10を、眼鏡レンズLの前記凹面における異常発生箇所U1に対応する位置より外側に配置させ、異常発生箇所U1に対応する前記凹面の位置に対して内側へ向けて気体を吹き付け可能とする。よって、ノズル10は、凹レンズの凹面を下るように気体を吹き付けることができ、異常発生箇所U1が付着物によるものである場合に確実に付着物を移動させることができて、外観検査の精度が更に向上する。
加えて、洗浄手段は、気体を吹き付け可能なノズル10であるから、洗浄後の乾燥が不要であるし、洗浄の媒体(気体)が取り扱い易く、洗浄の強さの調整が気体の吹き出し強度の調整により容易に行え、外観検査に適合した洗浄手段が実現する。
よって、カメラ8は、第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4の取得において、異物等のない正常な部分を眼鏡レンズLの光軸交差方向に透過する狭角光を殆ど捉えない一方、異物等のある異常な部分に達して反射された狭角光を鮮明に捉えることとなり、第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4におけるコントラストが極めて良好になって、その分異物等を発見し易くなる。又、第1〜第4照明部分M1〜M4において狭角光を切替えて照射可能である狭角光照明手段7で眼鏡レンズLが照明されることにより、コントラストを良好にするために照明強度を十分なものとしても、眼鏡レンズL中の照明光源の映り込みが部分的なものとなる。そして、制御手段12が、一部消去処理で第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4において眼鏡レンズLの映り込み部分を含む画像部分を消去して第j−1〜第j−4検査用マスク画像Dj−1〜Dj−4を生成し、これらを合成処理で合成して第j検査用合成画像Ejを生成することにより、眼鏡レンズL撮像部分における映り込みを消去しながら眼鏡レンズL全体をカバーした第j検査用合成画像Ejを取得することができて、適切に照明された部分の結集された第j検査用合成画像Ejを用いた、処理量や処理時間の比較的に少ない正確な外観検査が確保される。
特に、レンズ外観検査装置1による検査を、上述の特許文献1のもののような透過光を用いた検査と比べると、透過光の検査では、異物等に対応する部分が暗くそれ以外の部分が明るい画像を用いることとなってユーザーが異物を感じる状況に合わない検査となるし、異物等に反射された光束がうまく発散しないことでカメラに捉えられず検査の精度に影響を与える可能性があるが、レンズ外観検査装置1の検査では、異物等に対応する部分が明るくそれ以外の部分が暗い検査用画像Cを用いることとなってユーザーの状況に合った検査が行えるし、上述の通り十分なコントラスト比を確保して優れた検査精度を確保することができる。
他方、反射光を用いた直接目視による検査と比べると、直接目視では異物等の拡散光が眼鏡レンズLの作用により拡大されあるいは縮小されて誤判定の原因となるし、かような拡大や縮小の度合は眼鏡レンズLの度数によって相違することとなり、特に種々の度数が存在する眼鏡レンズLのような検査対象レンズでは、その相違が顕著であって、かような相違も誤判定の原因となるが、レンズ外観検査装置1の検査では、少なくとも物体側がテレセントリックであるレンズにより撮像された検査用画像Cにおいて、異物等の拡散光が眼鏡レンズLのどの部分にあっても同様の大きさで撮像され、又どのような度数の眼鏡レンズLであっても同様の大きさで撮像され、よって誤判定が回避されてより正確な検査が行えるものである。
更に、カメラ8は、眼鏡レンズLに向けられたカメラレンズ36を有しており、物体側テレセントリックレンズであるカメラレンズ36を通じて第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4を取得するので、肉厚やカーブ値の大きい眼鏡レンズLであっても肉厚方向(眼鏡レンズLの光軸方向)の全体に亘り鮮明な第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4を得ることができ、ピント位置の異なる複数の画像を取得する必要がないため処理量や検査時間が少なくなるし、眼鏡レンズLのどの部分に異物等が発生したとしても第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4から生成した第j検査用合成画像Ejにおいて異物等を適切な位置ないし大きさで検出することができるし、異物等により異常発生箇所Ujが複数発生したとしても第j検査用合成画像Ejにおいてそれぞれ適切な位置ないし大きさで捉えることができて、第j検査用合成画像Ejを用いた精度の高い外観検査が確保される。
図44は、レンズ外観検査装置1のようにステージ4が箱体である場合における第1検査用合成画像E1を示す写真であり、図45は、図44の第1検査用合成画像E1を2値化(輝度しきい値:暗い側から16/256段階中)した画像を示す写真であり、図46は、ステージが箱体でない(眼鏡レンズL下方の面に対する光進入防止手段がない)場合における第1検査用合成画像E1を示す写真であり、図47は、図46の第1検査用合成画像E1を同様に2値化した画像を示す写真である。
図46の写真においてもコントラスト比は良好であるものの、狭角光照明手段7のすぐ内側の右上,右下,左上,左下の各部分が、周囲より高い輝度を有する部分Pとなっている。かような部分Pの発生は、狭角光照明手段7が90°の中心角を有する弧毎に4分割で形成されており、その接合面や、接合に用いられている部品(ネジ等)から反射光が出現することによる。これら部分Pの発生は、2値化に係る図47の写真において顕著に表われ、しきい値等の設定によっては、2値化画像で高輝度部分即ち異物等存在部分を解析する場合に、接合面や部品の反射光が異物等存在部分と誤認される可能性がある。
これに対し、図44の写真においては、図46の写真に比べて更にコントラスト比が良好になっていると共に、狭角光照明手段7の構造(接合)による反射光の輝度が抑制されている。かような輝度の抑制は、2値化に係る図45の写真において、図47の写真のように2値化後においても部分Pが出現しないことからも良くみて取れる。
これらの写真から、箱体(ステージ4)の設置による、反射光(狭角光照明手段7からのものを含む)の映り込み防止の効果や、コントラスト比向上の効果がみて取れる。
又更に、レンズ外観検査装置1は、眼鏡レンズLとカメラ8との間の距離である撮像距離を調整するリフト20(ステップS2)を備えているため、互いに相違する特性値を有する眼鏡レンズLを続けて検査する場合であっても、その特性値に合うような撮像距離を確保することができ、何れの特性値に係る眼鏡レンズLにおいても全体に亘り鮮明な第j−1〜第j−4検査用画像Cj−1〜Cj−4を少ない枚数(ここでは合計4枚)において取得することができて、処理量や検査時間が少なく且つ正確である検査を実現することができる。
Claims (11)
- 検査対象レンズが含まれる画像を撮像可能なカメラと、
移動手段により移動可能である洗浄手段と、
前記カメラからの前記画像を処理すると共に、前記移動手段及び前記洗浄手段を制御する制御手段と、
を備えており、
前記制御手段は、
前記カメラから前記画像を取得して洗浄前検査用画像を生成すると共に、前記洗浄前検査用画像において第1異常発生箇所が存在する場合に、前記移動手段によって前記洗浄手段を前記検査対象レンズの前記第1異常発生箇所に対応する位置に移動させ、前記検査対象レンズの前記第1異常発生箇所に対応する部分を前記洗浄手段により洗浄して、更に前記カメラから前記画像を取得して洗浄後検査用画像を生成し、
前記洗浄後検査用画像において第2異常発生箇所が存在する場合であっても、当該第2異常発生箇所が前記第1異常発生箇所と重複しないときには、前記検査対象レンズの前記第1異常発生箇所と前記第2異常発生箇所における外観について異常なしと判定する
ことを特徴とするレンズ外観検査装置。 - 前記制御手段は、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズの形状に沿うように配置させる
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ外観検査装置。 - 前記制御手段は、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズにおける前記第1異常発生箇所に対応する位置より内側に配置させ、前記第1異常発生箇所に対応する位置に対して外側へ向けて洗浄可能とする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ外観検査装置。 - 前記制御手段は、前記検査対象レンズが凹面を有する凹レンズである場合に、前記移動手段により、前記洗浄手段を、前記検査対象レンズの前記凹面における前記第1異常発生箇所に対応する位置より外側に配置させ、前記第1異常発生箇所に対応する前記凹面の位置に対して内側へ向けて洗浄可能とする
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ外観検査装置。 - 前記洗浄手段は、気体を吹き付け可能なノズルである
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項4の何れかに記載のレンズ外観検査装置。 - 更に、前記検査対象レンズに対して、当該検査対象レンズの光軸を囲む囲み線の一部にそれぞれ相当する部分を占める複数の照明部分から、指向角が30°以下の光である狭角光を切替えて照射可能である狭角光照明手段を備えており、
前記カメラは、前記狭角光照明手段による複数の前記照明部分における照射毎に検査用画像を撮像し、
前記制御手段は、
複数の前記照明部分の照射毎に撮像した前記検査用画像中の前記検査対象レンズ撮像部分における、前記照明部分が映り込んだ部分をそれぞれ消去して、複数の検査用マスク画像を生成する一部消去処理と、
複数の前記検査用マスク画像を合成して検査用合成画像を生成するマスク画像合成処理と、
を行って、
当該検査用合成画像を、前記洗浄前検査用画像及び前記洗浄後検査用画像の少なくとも一方とする
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項5の何れかに記載のレンズ外観検査装置。 - 前記狭角光照明手段における前記囲み線は、前記検査対象レンズを囲む円環であり、
前記狭角光照明手段における前記照明部分は、前記円環を均等に分割した場合の前記円環の部分であり、
前記制御手段の前記一部消去処理における消去対象部分は、前記検査用画像をその中心から発する放射方向の直線で均等に分割した場合の前記検査用画像の部分である
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズ外観検査装置。 - 前記カメラは、前記検査対象レンズに向けられたカメラレンズを有しており、
前記カメラレンズは、物体側テレセントリックレンズ又は両側テレセントリックレンズである
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項7の何れかに記載のレンズ外観検査装置。 - 更に、内面が反射防止面とされている箱体を備えており、
前記箱体は、孔を有しており、前記検査対象レンズを挟んで前記カメラと反対側に前記孔が位置するように配置されている
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項8の何れかに記載のレンズ外観検査装置。 - 更に、前記検査対象レンズ及び前記狭角光照明手段、並びに、前記カメラを覆うエンクロージャを備えており、
前記エンクロージャの内面は、前記狭角光の反射が防止される反射防止面とされている
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項9の何れかに記載のレンズ外観検査装置。 - 更に、前記検査対象レンズと前記カメラとの間の距離を調整する距離調整手段を備えている
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項10の何れかに記載のレンズ外観検査装置。
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