JP2018053172A - 捺染インクジェットインク組成物及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る捺染インクジェットインク組成物の一態様は、
樹脂分散体と保湿剤とを含有し、
前記樹脂分散体が、架橋性基を含有するウレタン樹脂を含有し、
前記保湿剤が、標準沸点が280℃以上である有機溶剤と、常温固体の多価アルコール又はベタインの少なくともいずれかとを含有する。
上記適用例において、
前記常温固体の多価アルコール又はベタインと、前記標準沸点280℃以上である有機溶剤の含有量比が、1:2〜1:5であることができる。
上記適用例において、
前記常温固体の多価アルコール又はベタインと、前記架橋性基を含有するウレタン樹脂の含有量比が、1:1〜1:2であることができる。
上記適用例において、
さらに顔料を含有することができる。
上記適用例において、
前記常温固体の多価アルコールが、トリメチロールプロパンを含有することができる。
上記適用例において、
前記架橋性基を含有するウレタン樹脂の固形分濃度が、3.0質量%以上6.0質量%以下であることができる。
上記適用例において、
前記標準沸点280℃以上である有機溶剤の濃度が、6.0質量%以上20.0質量%以下であることができる。
上記適用例において、
前記常温固体の多価アルコール又はベタインの濃度が、2.5質量%以上9.0質量%以下であることができる。
上記適用例において、
前記架橋性基を含有するウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ウレタン樹脂又はポリエーテル系ウレタン樹脂であることができる。
本発明に係る記録方法の一態様は、
適用例1ないし適用例9のいずれか1例に記載の捺染インクジェットインク組成物を布帛へ付着させて記録する。
上記適用例において、
加温を行わずに行うことができる。
するため、加温を行わなくても吐出が安定し、目詰まりが起こりにくく、吐出安定性に優れ、更には摩擦堅牢性に優れた捺染物が得られる記録方法が得られる。
上記適用例において、
15℃以上35℃以下の温度域で記録を行うことができる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、樹脂分散体と保湿剤とを含有し、前記樹脂分散体が、架橋性基を含有するウレタン樹脂を含有し、前記保湿剤が、標準沸点が280℃以上である有機溶剤と、常温固体の多価アルコール又はベタインの少なくともいずれかとを含有する。この捺染インクジェットインク組成物は、加温を行わずに、布帛へ付着させて記録する記録方法に用いられる。以下、捺染インクジェットインク組成物(以下、単に「捺染インク組成物」、「インク組成物」または「インク」ともいう。)について説明する。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、樹脂分散体を含有する。樹脂分散体に含まれる樹脂は、樹脂被膜を形成することで、インク組成物により形成される画像の定着性を向上させる機能を備え、画像の洗濯堅牢性や摩擦堅牢性を向上させることができる。なお、樹脂分散体としては、エマルション状態および溶液状態としたものをいずれも用いることができるが、インクの粘度上昇を抑えるという点から、エマルション状態としたものを使用することが好ましい。
基がブロック剤によってブロックされた潜在イソシアネート基を含有し、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ブロック剤とを反応させることにより得ることができる。
ミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン(解離温度140℃)、ジシクロヘキシルアミン(解離温度130℃)、ビス(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン(解離温度130℃)、t−ブチルメチルアミン、t−ブチルエチルアミン(解離温度120℃)、t−ブチルプロピルアミン、t−ブチルブチルアミン、t−ブチルベンジルアミン(解離温度120℃)、t−ブチルフェニルアミン、2,2,6−トリメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(解離温度80℃)、(ジメチルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン、6−メチル−2−ピペリジン、6−アミノカプロン酸等が挙げられる。
イサト酸、テトラブチルホスホニウム・アセタート等のその他のブロック剤も挙げられる。
クス870、800、150、420、460、470、610、700(第一工業製薬社製商品名、ウレタン系樹脂エマルション)、パーマリンUA−150(三洋化成工業株式会社製、ウレタン系樹脂エマルション)、サンキュアー2710(日本ルーブリゾール社製、ウレタン系樹脂エマルション)、NeoRez R−9660、R−9637、R−940(楠本化成株式会社製、ウレタン系樹脂エマルション)、アデカボンタイター HUX−380,290K(株式会社ADEKA製、ウレタン系樹脂エマルション)、等を例示することができる。
本実施形態に係る捺染インクジェットインク組成物は、保湿剤を含有する。インクが保湿剤を含有することにより、常温(例えば、23℃前後の温度)におけるインクのインクジェット法による吐出を安定させることができ、インクを低粘度化させるための加温が不要となる。また、長期放置時によるインクジェットヘッドからの水分蒸発を効果的に抑制することができる。
ル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のグリコール類が挙げられる。
有量比が1以上であることにより、低温時の吐出安定性を担保することができる。
常温固体の多価アルコール又はベタインに対する架橋性基を含有するウレタン樹脂の含有量比が2以下であることにより、増粘が抑制され、高温時の吐出安定性を担保することができ、また目詰まりのリスクを抑制することができる。
1.3.1.顔料
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、顔料を含有してもよい。係る顔料が布帛に付着されることにより、布帛が捺染され、捺染物(印捺物)が形成される。
1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(以上、キャボット社製)、Color
Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ社製)等が挙げられる。
亜鉛)、5(硫化亜鉛と硫酸バリウムの混合物)、6(酸化チタン),6:1(他の金属酸化物を含有する酸化チタン)、7(硫化亜鉛)、18(炭酸カルシウム),19(クレー)、20(雲母チタン)、21(硫酸バリウム)、22(天然硫酸バリウム)、23(グロスホワイト)、24(アルミナホワイト)、25(石膏)、26(酸化マグネシウム・酸化ケイ素)、27(シリカ)、28(無水ケイ酸カルシウム)等が挙げられる。
これらのうち、樹脂分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン
−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体等及びこれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に疎水性官能基を有するモノマーと親水性官能基を有するモノマーとの共重合体、疎水性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。また、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、水を含んでもよい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加等によって滅菌した水を用いると、捺染インクジェットインク組成物を長期保存する場合に細菌類や真菌類の発生を防止することができる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、無機アルカリ化合物(無機塩基化合物)を含むことが好ましい。無機アルカリ化合物は、捺染インクジェットインク組成物のpHを高める性質を有している。また、無機アルカリ化合物は、架橋性基を有するウレタン系樹脂の分散安定性を高める機能、及び/又は、架橋性基を有するウレタン系樹脂の再分散性を向上させる機能を少なくとも有している。
の炭酸塩としては、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使用することができ、さらにこれらは併用してもよい。界面活性剤は、捺染インクジェットインク組成物の界面張力を低下させ、布帛への浸透性を高めることができる。ただし、カチオン系界面活性剤については、捺染インクジェットインク組成物の成分を凝集させる可能性があるため、微量とするか、他の種の界面活性剤を用いることがより好ましい。
K−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
具体的には、I/O値は、藤田穆著、「系統的有機定性分析混合物編」、風間書房、1974年;黒木宣彦著、「染色理論化学」、槙書店、1966年;井上博夫著、「有機化
合物分離法」、裳華房、1990年、の各文献に基づいて算出することができる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、キレート剤を含んでもよい。キレート剤は、イオンを捕獲する性質を有する。そのようなキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)や、エチレンジアミンのニトリロトリ酢酸塩、ヘキサメタリン酸塩、ピロリン酸塩、又はメタリン酸塩等が挙げられる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、防腐剤を含有してもよい。防腐剤を含有することにより、カビや細菌の増殖を抑制することができ、インク組成物の保存性がより良好となる。これにより、例えば、捺染インクジェットインク組成物を、長期的にプリンターを使用せず保守する際のメンテナンス液として使用しやすくなる。防腐剤の好ましい例としては、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルIB、又はプロキセルTN等を挙げることができる。
本実施形態の捺染インクジェットインク組成物は、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤を含有することにより、例えば、インク流路を形成する部材からの不純物の溶出を抑制したり、促進したりすることができ、捺染インクジェットインク組成物の洗浄性を調節することができる。pH調整剤としては、例えば、モルホリン類、ピペラジン類、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類、を例示できる。
本実施形態に係る捺染インクジェットインク組成物は、上記保湿剤で用いた以外の樹脂エマルション(架橋性基を有しないウレタン系樹脂等)を含有してもよく、さらに、粘度調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防黴剤等の、種々の添加剤を適宜含有することができる。
本実施形態で用いられる捺染インクジェットインク組成物は、前述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
本実施形態に係る捺染インクジェットインク組成物は、インクジェット法によって布帛に付与される。そのため、捺染インクジェットインク組成物は、記録品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、25℃における表面張力が10mN/m以上40mN/m以下であることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、25℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係る記録方法は、加温を行わずに、上記本実施形態に係る捺染インクジェットインク組成物を布帛へ付着させて記録することを特徴とする。以下、本実施形態に係る記録方法について、布帛、記録方法の順に説明する。
本実施形態に係る記録方法は、布帛を用いて行われる。布帛を構成する素材としては、特に限定されず、例えば、綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、アセテート、トリアセテート、ポリアミド、ポリウレタン等の合成繊維、ポリ乳酸等の生分解性繊維等が挙げられ、これらの混紡繊維であってもよい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。本実施形態で使用する布帛は、これらのうち綿、麻等のセルロースを含む繊維で形成されたものがより好ましい。このような布帛を用いることで、顔料のよりすぐれた定着性を得ることができる。
次に、本実施形態に係る記録方法について工程毎に説明する。
インク付着工程は、インクジェットヘッドのノズルより捺染インクジェットインク組成物を布帛へ付着させて記録する工程であり、この工程でインクの液滴を布帛に付着させることにより、布帛に画像を記録するものである。これにより、布帛にインク組成物からなる画像が記録された記録物(印捺物、捺染物)が得られる。
することができる。
本実施形態に係る記録方法は、布帛に付与したインク組成物(画像)を加熱する加熱工程を含んでもよい。
であることがより好ましい。ただし、加熱温度(到達温度)は、少なくとも上述した架橋性基を有するウレタン系樹脂の架橋性基が活性化される温度以上の温度である。係る架橋性基は、化学的に保護されており(キャッピングあるいはブロッキング)、熱が加えられることにより脱保護されて活性化し、結合(例えばウレタン結合、尿素結合、アロファネート結合等)を形成することになる。また、架橋性基を有するウレタン系樹脂の架橋性基は、1分子に3つ以上設けられているため、架橋性基の反応により、架橋構造が形成される。
本実施形態に係る記録方法は、インク付着工程の前に、前処理液を布帛に付着させる工程を有してもよい。前処理液を布帛に付着させる工程は、布帛の少なくとも一部の領域に、前処理液を付与する工程である。
てもよいが、乾燥速度の向上という観点から、加熱を伴う乾燥であることが好ましい。前処理液の乾燥工程において加熱を伴う場合に、その加熱方法は特に限定されるものではないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、及びサーモフィックス法が挙げられる。また、加熱の熱源としては、以下に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)が挙げられる。
本実施形態の記録方法によれば、インクの乾燥性や粘度が適度に調整された上記捺染インクジェットインク組成物を用いて記録するため、インクの低粘度化させるための加温の必要がなく、加温を行わなくても吐出が安定し、目詰まりが起こりにくくなる。このため、本実施形態に係る記録方法では、目詰まりが起こりにくく、吐出安定性に優れ、摩擦堅牢性に優れた捺染物が得られる記録方法が得られる。さらに、上記捺染インクジェットインク組成物の保湿剤が特定の含有量比で含有されている場合には、広範囲の温度域において、目詰まりが起こりにくく、吐出安定性に優れ、特に、15℃以上35℃以下の温度域において、より目詰まりが起こりにくく、吐出安定性に優れる記録方法となる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1の組成になるように各成分を容器に入れて、マグネチックスターラーで2時間混合及び攪拌した後、さらに、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミルにて分散処理を行うことにより十分に混合した。1時間攪拌してから、5μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて濾過することで、各捺染インクジェットインク組成物を得た。表1中の数値は、質量%を示し、純水(イオン交換水)は各捺染インクジェットインク組成物の質量がそれぞれ100質量%となるように添加した。
をスチレン−アクリル酸系分散樹脂であるジョンクリル611(商品名:BASFジャパン株式会社製)35部、水酸化カリウム1.70部、イオン交換法と逆浸透法により精製した超純水250部を混合して、ジルコニアビーズによるボールミルにて10時間分散を行い、ガラス繊維ろ紙GA−100(商品名:アドバンテック東洋社製)で濾過して粗大粒子を除き、顔料濃度が15質量%となるように調整したものを用い、捺染インクジェットインク組成物における顔料の濃度が4.5質量%となるように量を調整した。
・タケラックWS−6021(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製、架橋性基としてブロックドイソシアネートを含有する、ポリエーテル系ウレタン樹脂)
・タケラックWS−5100(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製、架橋性基としてブロックドイソシアネートを含有する、ポリカーボネート系ウレタン樹脂)
・タケラックWS−6110(商品名、三井化学ポリウレタン株式会社製、架橋性基としてブロックドイソシアネートを含有しないウレタン樹脂)
3.2.1.印捺物の作成
プリンターとして、SC−F2000(セイコーエプソン株式会社製)の改造機を用意した。布帛支持部(プラテン)にヒーターを取りつけ、インク付着時(印刷時)の布帛表面温度を表1の吐出信頼性の括弧内の値に制御可能とした。つまり、布帛表面の温度とは、布帛搬送方向におけるヘッドと対向する位置にある布帛の表面温度を非接触温度計(商品名「IT2−80」、株式会社キーエンス製)で測定したものであり、表面温度が、狙いとする温度(表1の吐出信頼性温度)になるようにプラテンヒーターを調整した。なお、25℃(常温)以下では、ヒーターによる加熱は行っていない。20℃、15℃の場合は、適宜室温を低下させることにより温度調節を行った。
各例の印捺物に対してISO−105 X12に規定の方法に従い、I型(クロックメーター)試験機を用いて摩擦に対する染色堅牢度試験を実施した。乾摩擦はISO−105 X12に規定される乾燥試験に則って試験し、汚染グレースケールを用いて評価した。評価基準は以下の通りとし、結果を表1に記載した。
◎:摩擦堅牢性が4級以上である。
○:摩擦堅牢性が3級以上4級未満である。
△:摩擦堅牢性が2級以上3級未満である。
×:摩擦堅牢性が2級未満である。
表1に記載の各捺染インクジェットインク組成物について、布帛表面温度25℃(常温)の条件下で、上記の印刷を1時間連続して行い、終了後、1ノズル列(360個ノズル)の吐出異常(不吐出)を検査した。なお、記録開始前は全ノズル正常な状態で開始し、下記の基準に基づいて評価した。
◎:吐出異常ノズル数が0ノズル。
○:吐出異常ノズル数が1〜2ノズル。
△:吐出異常ノズル数が3〜5ノズル。
×:吐出異常ノズル数が5ノズル以上。
表1に記載の温度条件において得られた印捺物の印捺面を目視で観察し、下記の基準に基づいて評価した。
◎:ドット抜けや着弾位置のズレが全く観察されない。吐出信頼性に優れる。
○:着弾位置のズレが認められるが、自然に回復する。吐出信頼性良好。
△:着弾位置のズレが認められる。実用上問題なし。
×:ドット抜けが発生。実用不可。
各例の印捺物に対して、JIS L 0844(洗濯に対する染色堅ろう度試験方法)のA−2法に準拠して、洗濯堅ろう性試験を実施した。具体的には、洗濯処理を施し、すすぎ、脱水、乾燥した後に、試験片における捺染部の変退色を判定した。変退色は、JIS L0804:2004(ISO 105−A02:1993)の変退色グレースケールに従って、退色の程度を下記の基準に基づいて評価した。
◎:摩擦堅牢性が4級以上である。
○:摩擦堅牢性が3級以上4級未満である。
△:摩擦堅牢性が2級以上3級未満である。
×:摩擦堅牢性が2級未満である。
樹脂分散体が、架橋性基を含有するウレタン樹脂を含み、保湿剤としてグリセリンと常温固体の多価アルコール又はベタインとを含有する実施例では、いずれも摩擦堅牢性と洗濯堅牢性と常温での吐出信頼性に優れた結果となった。特に、GL/Tが2〜5の範囲にあり、ウレタン樹脂/Tが1〜2の範囲にある例では、目詰まりも起こりにくく、また、15〜35℃の広範囲における吐出信頼性に優れた結果となった。
施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
Claims (12)
- 樹脂分散体と保湿剤とを含有し、
前記樹脂分散体が、架橋性基を含有するウレタン樹脂を含有し、
前記保湿剤が、標準沸点が280℃以上である有機溶剤と、常温固体の多価アルコール又はベタインの少なくともいずれかとを含有する、捺染インクジェットインク組成物。 - 前記常温固体の多価アルコール又はベタインと、前記標準沸点280℃以上である有機溶剤の含有量比が、1:2〜1:5である、請求項1に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記常温固体の多価アルコール又はベタインと、前記架橋性基を含有するウレタン樹脂の含有量比が、1:1〜1:2である、請求項1又は請求項2に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- さらに顔料を含有する、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記常温固体の多価アルコールが、トリメチロールプロパンを含有する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記架橋性基を含有するウレタン樹脂の固形分濃度が、インク組成物の総質量に対して、3.0質量%以上6.0質量%以下である、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記標準沸点280℃以上である有機溶剤の濃度が、インク組成物の総質量に対して、6.0質量%以上20.0質量%以下である、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記常温固体の多価アルコール又はベタインの濃度が、インク組成物の総質量に対して、2.5質量%以上9.0質量%以下である、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 前記架橋性基を含有するウレタン樹脂が、ポリカーボネート系ウレタン樹脂又はポリエーテル系ウレタン樹脂である、請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の捺染インクジェットインク組成物を布帛へ付着させて記録する、記録方法。
- 加温を行わずに記録を行う、請求項10に記載の記録方法。
- 15℃以上35℃以下の温度域で記録を行う、請求項10又は請求項11に記載の記録方法。
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