JP2018053150A - 樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難い樹脂成形体、及びこの樹脂成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】
ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂成形体であって、前記ブロック共重合体水素化物が、特定の構造を有するトリブロック構造の重合体であり、前記樹脂成形体に、コバルト60を線源とするγ線を25kGy照射したときに、下記式(II)で算出されるΔα値が、0.5パーセントポイント以下であることを特徴とする樹脂成形体と、その製造方法。
【数1】
Figure 2018053150

(αは、ガンマ線照射前の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表し、αは、ガンマ線照射後の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難い樹脂成形体、及びこの樹脂成形体の製造方法に関する。
近年、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロック[A]と、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロック[B]とを有する[A]−[B]−[A]型のブロック共重合体は、透明性及び機械強度に優れることから、各種樹脂成形体の成形材料として用いられてきている。
例えば、特許文献1には、2個以上の、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック[A]と、1個以上の、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を含有する重合体ブロック[B]とを有するブロック共重合体であって、前記重合体ブロック[A]の中で、重量平均分子量が最大の重合体ブロックを重合体ブロック[A]としたときの該重合体ブロック[A]の重量平均分子量をMw(A)とし、重量平均分子量が最小の重合体ブロックを重合体ブロック[A]としたときの該重合体ブロック[A]の重量平均分子量をMw(A)としたときに、該Mw(A)とMw(A)との比(Mw(A)/Mw(A))が、1.5以上であることを特徴とするブロック共重合体が記載されている。
WO2003/018656号
特許文献1等に記載のブロック共重合体は、成形時の流動性や打ち抜き加工時の機械強度に優れるものである。
しかしながら、このようなブロック共重合体を含有する成形材料を用いて樹脂成形体を製造すると、樹脂成形体にボイドが発生することがあった。
また、樹脂成形体の用途によっては、滅菌処理のためにガンマ線を照射することがあるが、特許文献1等に記載のブロック共重合体を含有する樹脂成形体にガンマ線を照射すると、樹脂成形体が変色することがあった。
医療用器具等においては、ボイドが少なく、また、ガンマ線を照射したときに変色し難いことが求められる。したがって、特許文献1等に記載のブロック共重合体を含有する成形材料を用いて医療用器具等を製造する場合、さらなる改良が必要であるというのが実情であった。
本発明は、上記した従来技術に鑑みてなされたものであり、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難い樹脂成形体、及びこの樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、前記[A]−[B]−[A]型のブロック共重合体を含有する樹脂成形体について鋭意検討した。その結果、特定の構造を有するブロック共重合体水素化物を含有し、十分に乾燥した成形材料を用いることで、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難い樹脂成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕及び〔2〕の樹脂成形体、並びに〔3〕の樹脂成形体の製造方法が提供される。
〔1〕ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂成形体であって、
前記ブロック共重合体水素化物が、下記式(I)
Figure 2018053150
([A]、[A]は、それぞれ独立に、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[B]は、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[A]、[A]、[B]で表される重合体ブロックの、ブロック共重合体水素化物全体に占める重量分率を、それぞれ、wA、wA、wBと表し、wAとwAの合計をwAと表したときに、wAは、wA以上であり、wAとwBの割合(wA:wB)が、72:28〜88:12である。)
で示されるトリブロック構造の重合体であり、
前記樹脂成形体に、コバルト60を線源とするガンマ線を25kGy照射したときに、下記式(II)
Figure 2018053150
(αは、ガンマ線照射前の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表し、αは、ガンマ線照射後の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表す。)
で算出されるΔα値が、0.5パーセントポイント以下であることを特徴とする樹脂成形体。
〔2〕wAとwAの割合(wA:wA)が、50:50〜99:1である、〔1〕に記載の樹脂成形体。
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂成形体の製造方法であって、前記ブロック共重合体水素化物を含有する成形材料に対して、80〜120℃、かつ、3〜24時間の条件で乾燥処理を施した後、この成形材料を用いて成形処理を行うことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
本発明によれば、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難い樹脂成形体、及びこの樹脂成形体の製造方法が提供される。
本発明の樹脂成形体は、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難いものであるため、医薬品容器や医療用器具等として好適に用いられる。
本発明の樹脂成形体は、ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂成形体であって、前記ブロック共重合体水素化物が、下記式(I)
Figure 2018053150
([A]、[A]は、それぞれ独立に、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[B]は、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[A]、[A]、[B]で表される重合体ブロックの、ブロック共重合体水素化物全体に占める重量分率を、それぞれ、wA、wA、wBと表し、wAとwAの合計をwAと表したときに、wAは、wA以上であり、wAとwBの割合(wA:wB)が、72:28〜88:12である。)
で示されるトリブロック構造の重合体であり、
前記樹脂成形体に、コバルト60を線源とするガンマ線を25kGy照射したときに、下記式(II)
Figure 2018053150
(αは、ガンマ線照射前の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表し、αは、ガンマ線照射後の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表す。)
で算出されるΔα値が、0.5パーセントポイント以下であることを特徴とする。
〔ブロック共重合体水素化物〕
本発明の樹脂成形体を構成するブロック共重合体水素化物は、上記式(I)で示されるトリブロック構造の重合体である。このブロック共重合体水素化物は、後述するように、芳香族ビニル単量体と共役ジエン単量体を重合させて得られたトリブロック構造の共重合体(以下、「ブロック共重合体(i)」ということがある。)を水素化することにより得ることができる。
なお、本明細書において、製造中間体であるブロック共重合体(i)を、[A’]−[B’]−[A’]と表すことがある。
式(I)中、[A]、[A]は、それぞれ独立に、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表し、[B]は、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。
本発明において、「主構成成分」とは、その重合体ブロック内で、50重量%以上を占める繰り返し単位をいう。
[A]、[A]で表される重合体ブロック(以下、「[X]で表される重合体ブロック」を、「重合体ブロック[X]」ということがある。)は芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とするものである。
重合体ブロック[A]や重合体ブロック[A]に含まれる芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位の量は、各重合体ブロック中、70〜100重量%が好ましく、80〜100重量がより好ましく、90〜100重量%がさらに好ましい。
芳香族ビニル単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン等のアルキル置換スチレン系単量体;2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、2,4−ジブロモスチレン等のハロゲン置換スチレン系単量体;2−メチル−4,6−ジクロロスチレン等の置換基としてハロゲン原子及びアルキル基を有するスチレン系単量体;ビニルナフタレン;等が挙げられる。これらの芳香族ビニル単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、スチレン、アルキル置換スチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
重合体ブロック[A]や重合体ブロック[A]に含まれていてもよい、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、エチレン由来の繰り返し単位;プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン由来の繰り返し単位;共役ジエン単量体由来の繰り返し単位;等が挙げられる。
重合体ブロック[A]、[A]の、ブロック共重合体水素化物全体に占める重量分率を、それぞれ、wA、wAと表したときに、wAは、wA以上である。
wAとwAの割合(wA:wA)は、通常、50:50〜99:1、好ましくは60:40〜95:5、より好ましくは70:30〜90:10である。
wAとwAの割合が上記範囲内であることで、耐衝撃性により優れる樹脂成形体が得られ易くなる。
wAやwAは、例えば、以下の方法により求めることができる。
重合体ブロック[A’]、重合体ブロック[B’]、次いで重合体ブロック[A’]の順に重合体鎖を形成してブロック共重合体(i)を得た後、このブロック共重合体(i)を水素化してブロック共重合体水素化物を合成する場合、各重合反応を終えた後の反応液の一部を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、重合体ブロック[A’]のみの重合体の重量平均分子量、[A’]−[B’]の構造の重合体の重量平均分子量、[A’]−[B’]−[A’]の構造の重合体〔ブロック共重合体(i)〕の重量平均分子量を測定し、得られた重量平均分子量の差を計算することで、重合体ブロック[A’]の重量平均分子量(以下、「Mw(A’)」ということがある。)、重合体ブロック[B’]の重量平均分子量(以下、「Mw(B’)」ということがある。)、重合体ブロック[A’]の重量平均分子量(以下、「Mw(A’)」ということがある。)が得られる。
水素化反応の前後で、各重合体ブロックの、重合体全体に占める重量分率はほぼ同じ(すなわち、wA’の値とwAの値、wB’の値とwBの値、wA’の値とwAの値が、それぞれほぼ同じ)であると考えられることから、Mw(A’)、Mw(B’)、Mw(A’)から、wAやwAを算出することができる。
重合体ブロック[B]は共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とするものである。
重合体ブロック[B]に含まれる共役ジエン単量体由来の繰り返し単位の量は、重合体ブロック[B]中、70〜100重量%が好ましく、80〜100重量がより好ましく、90〜100重量%がさらに好ましい。
共役ジエン単量体としては、イソブチレン;1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらの単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂成形体が得られ易いことから、イソプレンが好ましい。
重合体ブロック[B]に含まれていてもよい、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、エチレン由来の繰り返し単位;プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン由来の繰り返し単位;芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位;等が挙げられる。
重合体ブロック[B]の、ブロック共重合体水素化物全体に占める重量分率をwBと表し、wAとwAの合計をwAと表したときに、wAとwBの割合(wA:wB)は、72:28〜88:12、好ましくは75:25〜87:13である。
wAが小さ過ぎると成形時に離型不良が発生し易くなる。一方、wAが大き過ぎると樹脂成形体にクラックが生じ易くなる。
wBは、wAやwAの算出方法と同様の方法により、求めることができる。
ブロック共重合体水素化物は、各重合体ブロックに対応する単量体を用いて重合反応を行ってブロック共重合体(i)を得、次いで、ブロック共重合体(i)を水素化することにより得ることができる。
重合反応は、ブロック共重合体(i)を合成できるものであれば特に限定されない。重合反応としては、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応、配位アニオン重合反応、配位カチオン重合反応等が挙げられる。
これらの中でも、リビングアニオン重合反応が好ましい。
リビングアニオン重合反応は、不活性溶媒中、開始剤を用いて単量体を重合させることにより行うことができる。
不活性溶媒としては、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、塩化ブチル、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの溶媒の使用量は、単量体100重量部に対して、通常200〜2000重量部である。
リビングアニオン重合反応の開始剤としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム等のモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物;等が挙げられる。
重合温度は、特に限定されないが、通常0〜150℃、好ましくは10〜100℃、より好ましくは20〜80℃である。重合時間は、重合条件により適宜選択されるが、通常30分から20時間、好ましくは1〜10時間である。
ブロック共重合体(i)の水素化反応は、常法に従って、水素化触媒の存在下に、ブロック共重合体(i)を水素と接触させることにより行うことができる。
水素化触媒は、均一系触媒であっても、不均一触媒であってもよい。
均一系触媒は、水素化反応液中で分散しやすいため、触媒の添加量を抑えることができる。また、高温高圧にしなくても十分な活性を有するため、ブロック共重合体(i)やその水素化物の分解やゲル化が起こりにくい。このため、費用面や生成物の品質の観点からは、均一系触媒を用いることが好ましい。
一方、不均一触媒は、高温高圧下において特に優れた活性を示すため、短時間でブロック共重合体(i)を水素化することができる。また、水素化反応後に、触媒残渣を効率よく除去することができる。
均一系触媒としては、ウィルキンソン錯体〔クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)〕;酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の、遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせからなる触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、Ni、Pd、Pt、Ru、Rh等の金属を担体に担持させたものが挙げられる。特に、得られるブロック共重合体水素化物中の不純物量を低下させる場合は、担体として、アルミナや珪藻土等の吸着剤を用いることが好ましい。
水素化反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、水素化反応に不活性なものであれば格別な制限はない。有機溶媒としては、生成するブロック共重合体水素化物を溶解し易いことから、通常は炭化水素系溶媒が用いられる。炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロノナン等の脂環族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、通常は、ブロック共重合体(i)を製造する際に用いた溶媒は、水素化反応の溶媒としても適するため、重合反応液に水素化触媒を添加した後、それを水素化反応に供することができる。
ブロック共重合体水素化物の水素化率は、通常、99.0〜100%、好ましくは99.5〜100%である。
ブロック共重合体水素化物の水素化率とは、ブロック共重合体(i)の、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位に含まれる芳香環の炭素−炭素不飽和結合及び共役ジエン単量体由来の繰り返し単位に含まれる炭素−炭素不飽和結合の合計に対する、水素化された炭素−炭素結合の割合である。
ブロック共重合体水素化物の水素化率は、実施例に記載の方法に従って求めることができる。
水素化触媒の種類や反応温度によって水素化率は変化する。従って、水素化触媒の選択や反応温度の調整等により、芳香族環の残存率を制御することができる。例えば、芳香族環の不飽和結合をある程度以上残存させるためには、反応温度を低くしたり、水素圧力を下げたり、反応時間を短くする等の制御を行えばよい。
水素化反応終了後、遠心分離、濾過等の処理を行うことで、触媒残渣を除去することができる。また、必要に応じて、水やアルコール等の触媒不活性化剤を利用したり、活性白土やアルミナ等の吸着剤を添加したりしてもよい。
得られたブロック共重合体水素化物を含有する溶液を濃縮することで、ブロック共重合体水素化物を単離することができる。
また、ブロック共重合体水素化物に加えて、その他の成分を含有する樹脂成形体を製造する場合は、ブロック共重合体水素化物を含有する溶液を、後述する樹脂組成物の調製方法における原料として使用することができる。
ブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは20,000〜300,000、より好ましくは30,000〜200,000、さらに好ましくは50,000〜150,000である。
ブロック共重合体水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内のブロック共重合体水素化物は、機械強度や耐熱性により優れたものとなる。
ブロック共重合体水素化物や、その製造中間体の重量平均分子量(Mw)や分子量分布は、実施例に記載の方法によりゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
〔その他の成分〕
本発明の樹脂成形体は、本発明の効果を阻害しない範囲において、ブロック共重合体水素化物以外の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、ブロック共重合体水素化物以外の樹脂成分や添加剤が挙げられる。
ブロック共重合体水素化物以外の樹脂成分としては、直鎖状高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ポリブテン、1,2−ポリブタジエン、ポリ4−メチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、HIPS、AS、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸グリシジルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−フマル酸共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリアリーレンスルフィド;ポリ−4−フッ化エチレン(PTFE)等のフッ素化ポリエチレン系樹脂;ノルボルネン系単量体とオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体及びその水素化物等の脂環構造含有樹脂;等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体が、ブロック共重合体水素化物以外の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、ブロック共重合体水素化物100重量部に対して、通常、1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、酸補足剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、α−トコフェノール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、〔ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]〕等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジターシャリーブチルフェニル)4,4’−ビフェニルジホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベゾエート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、金属錯体系紫外線吸収剤等が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
近赤外線吸収剤としては、シアニン系近赤外線吸収剤;ピリリウム系赤外線吸収剤;スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤;アズレニウム系近赤外線吸収剤;フタロシアニン系近赤外線吸収剤;ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤;ナフトキノン系近赤外線吸収剤;アントラキノン系近赤外線吸収剤;インドフェノール系近赤外線吸収剤;アジ系近赤外線吸収剤;等が挙げられる。
可塑剤としては、燐酸トリエステル系可塑剤、脂肪酸一塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤等が挙げられる。
帯電防止剤としては、多価アルコールの脂肪酸エステル等が挙げられる。
酸補足剤としては、酸化マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
本発明の樹脂成形体が、これらの添加剤を含有する場合、その含有量は、ブロック共重合体水素化物100重量部に対して、通常、0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
本発明の樹脂成形体は、前記ブロック共重合体水素化物を含有する成形材料を十分に乾燥した後、この成形材料を用いて成形処理を行うことにより効率よく製造することができる。
成形材料のガラス転移温度(Tg)は、通常、120〜150℃、好ましくは125〜150℃である。ガラス転移温度が上記範囲内であることで、滅菌による形状変化を小さくすることができる。
前記ブロック共重合体水素化物を含有する成形材料は、ブロック共重合体水素化物、又は、ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物である。
成形材料の形状は特に限定されないが、通常はペレット状である。
前記樹脂組成物は、常法に従って、各成分を混合することにより得ることができる。混合方法としては、各成分を適当な溶媒中で混合する方法や、溶融状態で混錬する方法が挙げられる。
混練は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダー等の溶融混練機を用いて行うことができる。混練温度は、好ましくは200〜400℃、より好ましくは240〜350℃の範囲である。混練に際し、各成分を一括添加して混練してもよいし、数回に分けて添加しながら混練してもよい。
混錬後は、常法に従って、棒状に押出し、ストランドカッターで適当な長さに切ることで、ペレット化することができる。
成形材料を乾燥する方法は特に限定されず、公知の乾燥機を用いて成形材料を乾燥することができる。乾燥器としては、例えば、箱型乾燥機(常圧、真空)、トンネル及びバンド乾燥機、回転及び通気回転乾燥機、溝型撹拌乾燥機、流動層乾燥機、多段円盤乾燥機、噴霧乾燥機、気流乾燥機、赤外線乾燥機、高周波乾燥機等が挙げられる。
乾燥条件は、好ましくは、80〜120℃で3〜24時間、より好ましくは、90〜110℃で4〜12時間である。
成形材料の乾燥が十分でない場合、樹脂成形体中にボイドが生じたり、樹脂成形体の機械強度が低下したり、樹脂成形体にガンマ線を照射したときに、樹脂成形体が変色し易くなったりする傾向がある。
本発明の樹脂成形体を製造する際の成形処理は特に限定されず、射出成形法、プレス成形法、押出成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
成形時の溶融温度は、用いる成形材料によっても異なるが、通常200〜400℃、好ましくは210〜350℃である。金型を使用する場合の金型温度は、成形材料のガラス転移温度をTgとすると、通常、20℃から(Tg+15)℃、好ましくは(Tg−70)℃から(Tg+10)℃、より好ましくは(Tg−50)℃から(Tg+5)℃の温度である。
本発明の樹脂成形体は、ガンマ線を照射したときに色が変化し難いものである。
具体的には、本発明の樹脂成形体に、コバルト60を線源とするγ線を25kGy照射したときに、下記式(II)で算出されるΔα値が、0.5パーセントポイント以下であり、0.3パーセントポイント以下がより好ましい。
Figure 2018053150
式(II)中、αは、ガンマ線照射前の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表し、αは、ガンマ線照射後の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表す。
樹脂成形体の厚みが1.8mmを超えるときは、切削加工等を行って光路長が1.8mmの測定試料を得てもよいし、そのまま測定した後、光路長が1.8mmのときの光線透過率を算出してもよい。
樹脂成形体の厚みが1.8mm未満のときは、複数の樹脂成形体を重ねて光路長が1.8mmの測定試料を得てもよいし、そのまま測定した後、光路長が1.8mmのときの光線透過率を算出してもよい。
また、樹脂成形体が、シリンジ等の円筒状の形状を有する場合、その厚みが0.9mmのものであれば、光路長が0.9mm×2となるように設置して、その状態で測定してもよい。
本発明の樹脂成形体は、ボイドが少なく、機械強度に優れ、かつ、ガンマ線を照射したときに変色し難いものである。したがって、本発明の樹脂成形体は、医療分野等において好ましく用いられる。
本発明の樹脂成形体としては、医薬品容器、化粧品容器、食品用容器等の容器類;ディスポーザブルシリンジ、プレフィルドシリンジ、バイアル、点眼薬容器、医療用検査セル、輸液バッグ、メス、鉗子、送液管等の医療用器具;シャーレ、培養容器、ディスポーザブルピペット等の実験器具;等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。以下において、「部」および「%」は特に断りのない限り、重量基準である。
製造例、実施例、及び比較例における、各種物性の測定法は次のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ブロック共重合体(i)、ブロック共重合体(i)の製造中間体(重合体ブロック[A’]のみの重合体、[A’]−[B’]の構造の重合体)、及びブロック共重合体水素化物の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、東ソー社製、HLC8020GPCを用いて、テトラヒドロフラン(THF)を溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を38℃で行い、標準ポリスチレン換算値として求めた。
(2)水素化率
ブロック共重合体水素化物の水素化率は、以下のようにして求めた。
水素化率が99%以下の領域は、H−NMRスペクトルを測定して算出した。また、水素化率が99%を超える領域は、GPC分析により、UV検出器とRI検出器によるピーク面積の比率から算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
ブロック共重合体水素化物を含有する成形材料のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析計(ナノテクノロジー社製、DSC6220SII)を用いて、JISK6911に基づいて測定した。
[製造例1]ブロック共重合体(i−1)の製造
攪拌装置を備え、内部が十分に窒素置換された反応器に、脱水シクロヘキサン270部、脱水スチレン70部及びジブチルエーテル7.0部を入れた。全容を60℃で攪拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)5.6部を加えて重合を開始させた。引続き全容を60℃で60分間攪拌した。
この時点(重合第1段階)で反応液をガスクロマトグラフィー(GC)及びGPCにより分析した結果、重合転化率は99.4%、重量平均分子量(Mw)は60,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.20であった。
次に、反応液に、脱水イソプレン20部を40分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分間攪拌を続けた。
この時点(重合第2段階)で、反応液をGC及びGPCにより分析した結果、重合転化率は99.8%、重量平均分子量(Mw)は78,500、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。
その後、更に、反応液に脱水スチレン10部を、30分間に亘って連続的に添加し、添加終了後そのまま30分攪拌した。
この時点(重合第3段階)で、反応液をGC及びGPCにより分析した結果、重合転化率はほぼ100%、重量平均分子量(Mw)は83,400、分子量分布(Mw/Mn)は1.32であった。
次いで、イソプロピルアルコール1.0部を加えて反応を停止させることによって、[A’]−[B’]−[A’]の構造のブロック共重合体(i−1)を含む重合体溶液を得た。
得られたブロック共重合体(i−1)及び各重合体ブロックの重量平均分子量等を第1表に示す。
[製造例2]ブロック共重合体(i−2)の製造
重合第1段階で、スチレンの量を75部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の量を7.6部に変え、重合第2段階で、イソプレンの量を15部に変えたこと以外は、製造例1と同様にして、[A’]−[B’]−[A’]の構造のブロック共重合体(i−2)を含む重合体溶液を得た。
得られたブロック共重合体(i−2)及び各重合体ブロックについての重量平均分子量等を第1表に示す。
[製造例3]ブロック共重合体(i−3)の製造
重合第1段階で、スチレンの量を60部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の量を5.8部に変え、重合第2段階で、イソプレンの量を30部に変えたこと以外は、製造例1と同様にして、[A’]−[B’]−[A’]の構造のブロック共重合体(i−3)を含む重合体溶液を得た。
得られたブロック共重合体(i−3)及び各重合体ブロックについての重量平均分子量等を第1表に示す。
[製造例4]ブロック共重合体(i−4)の製造
重合第1段階で、スチレンの量を80部、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)の量を8.2部に変え、重合第2段階で、イソプレンの量を10部に変えたこと以外は、製造例1と同様にして、[A’]−[B’]−[A’]の構造のブロック共重合体(i−4)を含む重合体溶液を得た。
得られたブロック共重合体(i−4)及び各重合体ブロックについての重量平均分子量等を第1表に示す。
Figure 2018053150
[製造例5]成形材料(1)の製造
製造例1で得られたブロック共重合体(i−1)を含む重合体溶液を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、水素化触媒として、珪藻土担持型ニッケル触媒(日揮触媒化成社製、製品名「E22U」、ニッケル担持量60%)4.0部、及び脱水シクロヘキサン30部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行った。
水素化反応終了後、反応溶液を濾過して水素化触媒を除去した後、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](ADEKA社製、製品名「AO60」)0.3部を溶解したキシレン溶液2.0部を添加して溶解させた。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製、製品名「コントロ」)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下の条件で、溶液からシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去するとともに、樹脂成分を溶融した。溶融樹脂をダイからストランド状に押出し、これを冷却した後、ペレタイザーを用いて所定の大きさに切断し、ブロック共重合体水素化物(1)を含有する成形材料(1)95部を得た。
ブロック共重合体水素化物(1)及び成形材料(1)について各種測定を行った。結果を第2表に示す。
[製造例6]成形材料(2)の製造
製造例2で得られたブロック共重合体(i−2)を含む重合体溶液を使用したこと以外は、製造例5と同様にして、ブロック共重合体水素化物(2)を含有する成形材料(2)94部を得た。
ブロック共重合体水素化物(2)及び成形材料(2)について各種測定を行った。結果を第2表に示す。
[製造例7]成形材料(3)の製造
製造例3で得られたブロック共重合体(i−3)を含む重合体溶液を使用したこと以外は、製造例5と同様にして、ブロック共重合体水素化物(3)を含有する成形材料(3)94部を得た。
ブロック共重合体水素化物(3)及び成形材料(3)について各種測定を行った。結果を第2表に示す。
[製造例8]成形材料(4)の製造
製造例4で得られたブロック共重合体(i−4)を含む重合体溶液を使用したこと以外は、製造例5と同様にして、ブロック共重合体水素化物(4)を含有する成形材料(4)94部を得た。
ブロック共重合体水素化物(4)及び成形材料(4)について各種測定を行った。結果を第2表に示す。
Figure 2018053150
[実施例1]
製造例5で得られたブロック共重合体水素化物(1)のペレットを、熱風式乾燥機を用いて100℃、4時間で乾燥した後、シリンジ成形品(シリンジサイズ:ISO規格11040−6の1mL−Longに準拠)の金型を搭載した射出成形機(ファナック社製、ROBOSHOT αS―50iA)を用いて、以下の条件で射出成形を行い、樹脂成形体(シリンジ成形品)を製造した。
シリンダ温度:280℃、金型温度:100℃、射出速度:180mm/sec、冷却時間:20秒、射出圧力(保圧):110MPa、保圧時間:5秒
[実施例2]
製造例6で得られたブロック共重合体水素化物(2)のペレットを使用したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、樹脂成形体を製造した。
[比較例1]
製造例7で得られたブロック共重合体水素化物(3)のペレットを使用したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行った。しかしながら、成形時に離型不良が発生した。
[比較例2]
製造例8で得られたブロック共重合体水素化物(4)のペレットを使用したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行った。しかしながら、成形時にクラックが発生した。
[比較例3]
ペレットの乾燥条件を、70℃で2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、樹脂成形体を製造した。
[比較例4]
ペレットの乾燥条件を、100℃で2時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、樹脂成形体を製造した。
[比較例5]
ペレットの乾燥条件を、70℃で4時間に変更したこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、樹脂成形体を製造した。
[比較例6]
ペレットの乾燥処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして射出成形を行い、樹脂成形体を製造した。
実施例及び比較例で得られた樹脂成形体について、以下の評価を行った。
[成形性の評価]
実施例及び比較例の製造工程において、シリンジ成形品を金型から取り出す段階の作業性に基づいて、以下の基準で成形性を評価した。評価結果を第3表に示す。
金型から問題無く離型できた場合:「良好」
金型側へシリンジ成形品が取られてしまった場合:「離型不良」
離型時にシリンジ成形品にワレが発生した場合:「クラック発生」
[ボイドの評価]
実施例及び比較例で得られたシリンジ成形品を観察した。観察結果を第3表に示す。第3表中、シリンジ成形品にボイドが認められない場合を(○)とし、シリンジ成形品中にボイドが認められた場合を(×)とした。
[強度の評価]
オートグラフ(SHIMADZU社製 AGS−X 10kN)と注射器押出し力試験治具を用いて、φ5.0mmの押し込み棒をシリンジ成形品中に挿入してシリンジ成形品を破断させ、破断時の力を測定した。測定結果を第3表に示す。
[ガンマ線照射による光線透過率の変化]
分光光度計(日本分光社製 V−670)および積分球ユニット(ISN−723)を用いて、シリンジ成形品の、波長400nmの光の光線透過率(%)を測定した。光が透過する部分のシリンジ成形品の厚みは、0.9mmであり、光路長は合計で1.8mmである。
次いで、シリンジ成形品に、コバルト60を線源とするガンマ線を25kGy照射した。
ガンマ線照射後のシリンジ成形品について、前記と同様にして波長400nmの光の光線透過率(%)を測定した。
光線透過率、及び前記式(II)に基づいて算出したΔα値を第3表に示す。
Figure 2018053150
第3表から以下のことが分かる。
実施例1、2で得られたシリンジ成形品は、成形性及び機械強度に優れ、ボイドがない。さらに、ガンマ線の照射前後で、波長が400nmの光の光線透過率に変化がなく、ガンマ線の照射による変色は認められなかった。
一方、比較例1では、重合体ブロック[B]が全体に占める割合が高過ぎるため、離型不良が発生し、比較例2では、重合体ブロック[B]が全体に占める割合が低過ぎるため、クラックが発生した。
また、比較例3〜6で用いた成形材料は、いずれも乾燥が不十分であった。このため、得られた樹脂成形体は、ボイドを有し、強度に劣り、ガンマ線照射により変色するものであった。

Claims (3)

  1. ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂成形体であって、
    前記ブロック共重合体水素化物が、下記式(I)
    Figure 2018053150
    ([A]、[A]は、それぞれ独立に、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[B]は、共役ジエン単量体由来の繰り返し単位を主構成成分とする重合体ブロックを表す。[A]、[A]、[B]で表される重合体ブロックの、ブロック共重合体水素化物全体に占める重量分率を、それぞれ、wA、wA、wBと表し、wAとwAの合計をwAと表したときに、wAは、wA以上であり、wAとwBの割合(wA:wB)が、72:28〜88:12である。)
    で示されるトリブロック構造の重合体であり、
    前記樹脂成形体に、コバルト60を線源とするガンマ線を25kGy照射したときに、下記式(II)
    Figure 2018053150
    (αは、ガンマ線照射前の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表し、αは、ガンマ線照射後の樹脂成形体の、波長400nmの光の光線透過率(%)(光路長は1.8mm)を表す。)
    で算出されるΔα値が、0.5パーセントポイント以下であることを特徴とする樹脂成形体。
  2. wAとwAの割合(wA:wA)が、50:50〜99:1である、請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂成形体の製造方法であって、前記ブロック共重合体水素化物を含有する成形材料に対して、80〜120℃、かつ、3〜24時間の条件で乾燥処理を施した後、この成形材料を用いて成形処理を行うことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
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