本発明は、開栓確認を可能にするためのバンド部の除去が容易な容器の封止装置を提供することを目的とする。
上記目的を解決するために、本発明に係る容器の封止装置は、容器の口部を覆う蓋本体と、蓋本体の開口側に隣接して配置されるバンド部とを有する上蓋を備える容器の封止装置であって、バンド部には、蓋本体に設けたねじとは逆向きのねじが設けられ、バンド部は、開栓前に破断部を介して蓋本体と連結され、開栓時に破断部が切り離されて蓋本体から分離する。ここで、開栓とは、上蓋に設けられた破断部を切断し、容器の内容物を抽出可能にする最初の動作を意味する。
上記容器の封止装置では、開栓確認を可能にするバンド部には、蓋本体に設けたねじとは逆向きのねじが設けられているので、蓋本体を緩めるように回転させることでバンド部が締め込むように回転する。結果的に、バンド部及び蓋本体がともに回転して蓋本体がバンド部から大きく離間し、或いはバンド部が回転を停止しつつ蓋本体のみが回転することとなって、破断部の切断が達成される。特に、蓋本体とバンド部とを大きく離間させる場合、開封又は開栓の確認が明確で容易なものとなる。
本発明の具体的な側面では、上記容器の封止装置において、バンド部のねじ山と、当該バンド部のねじ山と螺合するねじ山とは、バンド部を引き抜くよりもバンド部を押し込むことを容易にするかえり形状に形成されている。上蓋を容器側に組み付ける際には、例えば蓋本体を締め込むように回転させることで、かえり形状が、ねじ山の強制的な乗り越えによってバンド部を押し込むことを許容し、バンド部の強制的な螺合によってバンド部を係合位置に固定することができる。なお、開栓に際しては、バンド部のねじ山がかえり形状によって相手のねじ山に食い込むので、バンド部の回転が迅速に停止し、破断部の切断つまりバンド部からの蓋本体の分離が簡単に達成される。
本発明の別の側面では、バンド部の内周面と、当該バンド部の内周面に対向する外周面とは、バンド部を押し込む方向に径が増加している。この場合、上蓋を容器側に組み付けてバンド部を押し込む際に、バンド部と内側の部材とが互いに締め付け合うことになり、バンド部の容器側への固定がより確実となる。
本発明のさらに別の側面では、容器の口部に取り付けられる中栓をさらに備え、中栓は、上蓋によって覆われる。この場合、蓋本体のねじ山と螺合するねじ山は、中栓の外周又は容器の口部の外周に形成することができ、バンド部のねじ山と螺合するねじ山も、中栓の外周又は容器の口部の外周に形成することができる。
本発明のさらに別の側面では、中栓は、根元側に容器の口部と嵌合する嵌合部を有し、バンド部のねじ山と螺合するねじ山は、中栓の嵌合部の外周に形成されている。この場合、上蓋を容器側に組み付けた状態でバンド部が嵌合部を周囲から保持することになり、バンド部を外すまでは、嵌合部を補強して中栓が外れることを防止できる。
本発明のさらに別の側面では、嵌合部は、外周側に破断を可能にする薄肉部を有する。この場合、容器が使用済みになった段階で、バンド部を外し、薄肉部で嵌合部を破断すれば、中栓の取り外しが容易になる。
本発明のさらに別の側面では、薄肉部は、嵌合部の外壁部を横断するとともに嵌合部の頂部の少なくとも一部に円弧状に設けられる。この場合、薄肉部のうち外壁部を横断する部分において外壁部の環を切断して開放することができるとともに、頂部の円弧状の部分により容器の口部に沿って嵌合部を破断することができる。これにより、嵌合部と容器との密着が抑制され、中栓が容器から分離しやすくなる。
本発明のさらに別の側面では、嵌合部は、薄肉部に隣接して薄肉部の破断を誘発するタブ部を有する。この場合、タブ部から薄肉部を容易に破断することができ、中栓を容器からより分離しやすくすることができる。
本発明のさらに別の側面では、タブ部は、バンド部の取り付け前において、嵌合部から外側に突出する。この場合、中栓の分離の際に、ユーザーに対して指でタブ部をつまみやすくすることができる。このタブ部は、容器の開栓前及び使用時にバンド部の支持によって嵌合部内に収納することができ、中栓を分離するまで邪魔にならない。
本発明のさらに別の側面では、タブ部は、バンド部の取り付け後において、薄肉部のうち嵌合部の外壁部の外側に形成された凹部に収納されている。この場合、タブ部を効率的に収納でき、バンド部等をより小型化できる。
図1乃至図4を参照して、本発明に係る容器の封止装置の具体的な一実施形態について説明する。
図1及び2に示すように、容器組立体200を構成する封止装置100は、容器本体1の口部1aに嵌着等によって係止される中栓10と、中栓10の抽出口10aを覆うようにして中栓10に螺着される上蓋20とによって構成されている。なお、容器本体1を容器と呼ぶ場合もある。
図1等に示すように、中栓10は、樹脂製の一体成形品であり、比較的柔軟で高い可撓性を有し、容器本体1の口部1aに密着嵌合によって係止又は固定される。中栓10は、第1筒状部11aと、第2筒状部11bと、フランジ部11cと、外壁部11dとを有する。第2筒状部11b、フランジ部11c、及び外壁部11dによって、容器本体1の口部1aと嵌合する嵌合部15が画成されている。つまり、中栓10は、根元側に容器本体1と嵌合する嵌合部15を有する。なお、外壁部11dには、その内周面に沿って線状又は環状の突起11pが形成され、容器本体1の口部1aには、その外周面に沿って環状の突起1pが形成され、これらの突起11p,1pは、相互の噛み合いによって嵌合部15の抜け止めとして機能する。
第1筒状部11aは、容器本体1の内容物を抽出する抽出口10aを有するものであり、中栓10の最も内側において中栓10の軸心AXに沿って延びる円筒状の部材である。第2筒状部11bは、第1筒状部11aの外側に設けられ、中栓10の軸心AXに沿って延びる円筒状の部材である。第2筒状部11bは、中間部内周面からテーパー状の連結部11eを介して第1筒状部11aに連結している。第1筒状部11aの上端には、外側に広がるリップ部13が形成されている。リップ部13は、容器本体1内の内容物、例えば液体を注ぎ出す際の液切れを良くする。第2筒状部11bのうちフランジ部11cより上側の部分は、後述する上蓋20の周壁部21aと螺合している。つまり、第2筒状部11bの外周面のうちフランジ部11cより上側には、上蓋20の周壁部21aに設けられた雌ねじ22と係合する雄ねじ14が形成されている。フランジ部11cは、第1筒状部11aの中間部外周面から半径方向外側に張り出す円環状の部材である。フランジ部11cとともに嵌合部15を構成する外壁部11dは、フランジ部11cの外端から下方に延びる部材である。外壁部11dは、後述する上蓋20のバンド部20bと螺合している。つまり、外壁部11dの外周面11sには、上蓋20のバンド部20bに設けられた雌ねじ24と係合する雄ねじ16が形成されている。外壁部11dの外周面11sは、中栓10の根元端19側つまり下の容器本体1側に僅かに広がるテーパーを有する。つまり、外周面11sは、バンド部20bを押し込む方向(下側)に径が増大する。外壁部11dのテーパー角は、2〜10°程度である。ここで、バンド部20bを押し込む方向とは、バンド部20bを反時計方向に回転させてねじ込む方向になっている。
上蓋20は、樹脂製の一体成形品であり、中栓10を着脱可能に覆う蓋本体20aと、蓋本体20aの開口20o側に隣接して配置されるバンド部20bとを備える。蓋本体20aは、容器本体1の口部1aを覆って、容器本体1の内部を埃、水気等の外部環境から保護する。蓋本体20aは、開栓前において、開口20oに沿って周期的に離間して形成された複数の破断部20cを介してバンド部20bと連結されている。蓋本体20aは、開栓後に破断部20cが切り離されてバンド部20bから分離する。開栓前に蓋本体20aとバンド部20bとが連結していることにより、いたずら等による開栓の有無を視認又は確認することができる。蓋本体20aは、外観を形成する円筒状の周壁部21aと、内部に当該周壁部21aと同芯での内側筒部21bとを有する。周壁部21a及び内側筒部21bは、円板状の天井壁21cによって連設されている。周壁部21aの内周面には、既述のように、中栓10の第2筒状部11bの外周面に形成された雄ねじ14と係合する雌ねじ22が形成されている。周壁部21aの下端には、その外縁から半径方向外側に張り出す円環状のフランジ部21fが設けられている。フランジ部21fは、蓋本体20aを適度に締め込んだ状態において、中栓10のフランジ部11cの少なくとも一部に当接し、蓋本体20aの回転及び締め込みを防止する。
バンド部20bは、中栓10を周囲から保持する部材である。具体的には、バンド部20bは、中栓10の嵌合部15が容器本体1の口部1aから外れることを防止するように、嵌合部15の外壁部11dを周囲から締め付けるように支持する。つまり、バンド部20bを除去するまではバンド部20bによって嵌合部15の締め付けが補強され、外力による中栓10の強制的な離脱が確実に防止される。バンド部20bの内周面20sには、既述のように、中栓10の嵌合部15の外壁部11dの外周面11sに形成された雄ねじ16と係合する雌ねじ24が形成されている。バンド部20bの内周面20sは、先端26側つまり下の容器本体1側に僅かに広がるテーパーを有する。つまり、内周面20sは、バンド部20bを押し込む方向(下側)に径が増大する。バンド部20bのテーパー角は、外壁部11dのテーパー角と同程度とできる。
以上において、上蓋20の周壁部21aに形成された雌ねじ22と、中栓10の第2筒状部11bに形成された雄ねじ14とは、蓋本体20aの中栓10に対する着脱を可能にする第1螺合部51を構成している。また、上蓋20のバンド部20bに形成された雌ねじ24と、中栓10の嵌合部15を構成する外壁部11dに形成された雄ねじ16とは、バンド部20bの中栓10に対する着脱を可能にする第2螺合部52を構成している。第1螺合部51と第2螺合部52とは、互いに逆の螺進関係にある。すなわち、蓋本体20aの周壁部21aを上側から見て反時計方向に回転させることで、第1螺合部51が緩むようにねじ戻される場合、バンド部20bも上側から見て反時計方向に回転させることになって、第2螺合部52が締め込まれる。第2螺合部52が締め込まれる場合、上蓋20のバンド部20bが中栓10の嵌合部15に対して容器本体1のある下側に移動する。この結果、バンド部20bの内周面20sと嵌合部15の外壁部11dの外周面11sとが締り嵌めに近い状態となって、第2螺合部52の締め着けによるバンド部20bの嵌合部15への固定が達成される。
図3に拡大して示すように、第2螺合部52において、中栓10の嵌合部15に設けた雄ねじ16と、これに係合又は噛合する上蓋20のバンド部20bに設けた雌ねじ24とは、バンド部20bを嵌合部15から引き抜くよりもバンド部20bを嵌合部15に押し込むことを容易にするかえり形状の突起となっている。具体的には、雄ねじ16は、軸心AXを通る断面において、先端側又は内側で中栓10の軸心AXに沿った螺進方向(下側)に偏った断面形状を有するねじ山を有する。また、雌ねじ24は、軸心AXを通る断面において、先端側又は外側で中栓10の軸心AXに沿った反螺進方向(上側)に偏った断面形状を有するねじ山を有する。雄ねじ16及び雌ねじ24は、縦断面において点対称に形成され、軸心AXの垂直面に平行に近い対向面同士が密着してねじ山の乗り上げによる通過を反螺進方向に関してのみ防止する。なお、第1螺合部51を構成する中栓10の雄ねじ14と蓋本体20aの雌ねじ22とは、かえり形状の突起を有していない。
上蓋20の内側筒部21bの外周面と、中栓10の第1筒状部11aの先端部11fの内側面とは、互いに密着している。また、第1筒状部11aのリップ部13は、天井壁21cの下面21hと当接している。これにより、最初の開栓の前後において、蓋本体20aを中栓10にねじ込んだ状態とすることで、容器本体1内を液密に保って液漏れを防止することができる。
容器本体1は、有底筒状成形品であって、図1等に示すように、上端の口部1aは、円筒状を成している。口部1aの外周面には、既述のように、中栓10の嵌合部15との締結を確実にする突起1pが形成されている。容器本体1は、ガラス、合成樹脂等によって形成されている。
以下、図2を参照して容器組立体200又は封止装置100の組み立てについて説明する。まず、中栓10を準備し、容器本体1に取り付ける。すなわち、中栓10の嵌合部15を容器本体1の口部1aに嵌着させることによって、中栓10が容器本体1に係合される。具体的には、中栓10の嵌合部15を容器本体1の口部1aに対して押し込むように打栓を行うことで、嵌合部15の突起11pが口部1aの突起1pを乗り越えて中栓10が口部1aに一定以上の力で取り外し可能に固定される。
その後、上蓋20を中栓10に取り付ける。すなわち、第1螺合部51を係合、つまり上蓋20の雌ねじ22に中栓10の雄ねじ14を係合させ、上蓋20を上蓋20側つまり上側から見て時計方向に回転させることによって、上蓋20と中栓10とが螺合される。その際、第2螺合部52を構成するバンド部20bの雌ねじ24と、中栓10の下側の雄ねじ16とは、第1螺合部51に対して逆ねじに形成されているが、両ねじ16,24は上述のように押し込みに際して変形しやすい形状に形成されているため、互いに変形しながらねじ16,24のねじ山を乗り越えて互いに噛合される。このようなバンド部20bの強制的な螺合によってバンド部20bを嵌合部15に対して係合位置に固定することができる。つまり、バンド部20bが第2螺合部52の回動動作前の初期位置(最も奥又はこれに近い奥の位置までねじ込んだ状態)となる。これにより、封止装置100が組み立てられた状態となる。この組み立て状態において、上蓋20と中栓10とは、略最も奥まで締め付けられて一体化される。本実施形態において、図2に示すように、上蓋20と中栓10とが互いに係合された状態では、上蓋20と中栓10との間隔又はねじ込み量が調整されて固定される。この場合、中栓10の第1筒状部11aの先端部11fに形成されているリップ部13は、上蓋20の天井壁21cの下面21hに当接し、かつ内側筒部21bの外周面が第1筒状部11aの内側面に密着する。
容器組立体200の組み立てについては、中栓10に対する上蓋20の組み付けを先に行うこともできる。つまり、上蓋20を中栓10と螺合させた後、上蓋20及び中栓10の組立体(封止装置100)を容器に打栓することもできる。この打栓に際しては、上蓋20を伴う中栓10の嵌合部15を容器本体1の口部1aに嵌着させることになる。
以下、封止装置100の開栓動作又は開封動作について説明する。まず、図2に示すように、上蓋20が第1螺合部51の回動動作前の初期位置(最も奥又はこれに近い奥までねじ込んだ状態)にあり、バンド部20bが上蓋20から分離されていない状態であり、容器本体1の抽出口10aが蓋本体20aによって封止された状態にある。
この状態から上蓋20を緩める方向、すなわち上蓋20側から見て反時計方向に回転させると、上蓋20の蓋本体20aの回転にともなって蓋本体20aが上方に移動するとともにバンド部20bが下方に移動する。この際、第1螺合部51は緩めるように動作するが、第2螺合部52は締め込むように動作する。結果的に、蓋本体20aとバンド部20bとが、軸心AXに沿って互いに離間するので、蓋本体20aとバンド部20bとを連結する破断部20cが切断される(図4(A)参照)。或いは、第2螺合部52を締め込むように動作させると、バンド部20bの内周面20sと嵌合部15の外壁部11dの外周面11sとが密着し、第2螺合部52の締め着けによってバンド部20bと内側の部位材である嵌合部15とが互いに締め付けあうように固定されてバンド部20bの回転が阻止されたロック状態となる。この結果、バンド部20bが中栓10の嵌合部15側に留まる抵抗力と蓋本体20aを回転させる力との作用によって上蓋20の破断部20cが切断される。
さらに、蓋本体20aを緩める方向に回転させると、上蓋20の内側筒部21bが中栓10の第1筒状部11aから抜けて蓋本体20aが中栓10から離れ、それによって容器本体1内の内容物を注ぐことができるようになる(図4(B)参照)。その際、バンド部20bは、中栓10の嵌合部15にきつく締め付けられてロック状態となっているため、離脱するおそれはない。つまり、一旦開栓が行われた後は、蓋本体20a側に固定されていたバンド部20bが中栓10側に固定されることになる。
図2を参照して開栓後について説明すると、上蓋20の雌ねじ22を中栓10の雄ねじ14に螺合させ、上蓋20を時計方向に適度に回転させると、中栓10の第1筒状部11aの先端部11fに形成されているリップ部13が上蓋20の天井壁21cの下面21hに当接し、かつ内側筒部21bの外周面が第1筒状部11aの内側面に密着する。これによって、抽出口10aのシールを図ることができる。なお、図2に明示されていないが、破断部20cは切断状態となっており、蓋本体20aの下端から大きく離れているので、一度開封したことを確認することができる。
以下、容器本体1を使用した後(例えば内容物を使いきった等)の中栓10の容器本体1からの分離について説明する。まず、上蓋20の蓋本体20aを反時計方向に回転させ、中栓10から蓋本体20aを取り外す。次に、バンド部20bを時計方向に回転させて引き抜くように移動させることで中栓10から取り外す。これにより、図5(A)に示すように、中栓10の嵌合部15が露出した状態となる。嵌合部15自体は比較的弾性変形しやすく、中栓10の第2筒状部11b等を保持して引っ張り上げることで、図5(B)に示すように、嵌合部15が弾性変形して中栓10を容器本体1の口部1aから分離することができる。つまり、中栓10を容器本体1から分別して廃棄することができる。
以上説明した容器の封止装置100では、開栓確認を可能にするバンド部20bには、蓋本体20aに設けた雌ねじ22とは逆向きの雌ねじ24が設けられているので、蓋本体20aを緩めるように回転させることでバンド部20bが締め込むように回転し、蓋本体20aがバンド部20bから大きく離間し、破断部20cの切断が達成される。このように、蓋本体20aとバンド部20bとを大きく離間させる場合、開封又は開栓の確認が明確で容易なものとなる。
以上、本実施形態に係る容器の封止装置について説明したが、本発明に係る容器の封止装置は上記のものには限られない。
図6は、変形例に係る容器の封止装置を説明する側面図である。この場合、中栓10の嵌合部15において、嵌合部15の外壁部11dの外周面11sの一箇所に第1薄部である凹部又は窪み31が形成されている。また、窪み(凹部)31に隣接してこの窪み31に埋め込むように、嵌合部15の頂部であるフランジ部11cの外周又は外壁部11dの上端から薄板状のタブ部32が延びている。タブ部32は、窪み31の破断を誘発するために設けられている。タブ部32は、嵌合部15にバンド部20bを螺合させた場合、外壁部11dと一体になって略連続する周面を形成するので、バンド部20bの滑らかな回転が確保される。また、バンド部20bを嵌合部15から外した場合、タブ部32を窪み31から引き出すことができる。
図7(A)は、図6に示す嵌合部15又はバンド部20bのうちタブ部32のない部分P1の断面構造を説明する部分断面図であり、図7(B)は、嵌合部15又はバンド部20bのうちタブ部32のある部分P2の断面構造を説明する部分断面図である。部分P2において、嵌合部15のフランジ部11cと外壁部11dとの境界の内側には、第1薄肉部TM1であるスコアー33が形成されている。スコアー(第1薄肉部)33は、図6において点線で示されているように、嵌合部15の頂部の少なくとも一部に円弧状に設けられている。スコアー33の最も薄い部分は、外壁部11dのフランジ部11cの肉厚に比較して数分の1以下に薄くなっている。また、図6に示す窪み31の図面左側の境界Eの位置又はこれに隣接した位置には、図中一点鎖線で示すように第2薄肉部TM2の一部として破断部11gが形成されている。第2薄肉部TM2を構成する窪み31や破断部11gは、外壁部11dを横断するように設けられている。特に破断部11gは、溝状に形成されており、その最も薄い部分は、図7(B)に示すように、窪み31の厚みよりもさらに薄くなっている。破断部11gは、スコアー33の開始点(図6においてスコアー33の左端)から軸心AX方向に略平行に下側に延びている。よって、タブ部32を指で引っ張れば、スコアー33の開始点から、薄肉部TM(TM1,TM2)である破断部11gやスコアー33の破断が進行し、外壁部11dの局所的な破断を可能にするので、外壁部11dのうちタブ部32に連なる帯状の部分11zを引き剥がすことができ、容器本体1の口部1aから中栓10を簡単に引き抜くことができる。
図7(B)に示すように、中栓10に周囲から外力が働かない状態で、つまり上蓋20のバンド部20bの取り付け前において、中栓10に形成されたタブ部32は、嵌合部15の頂部側を基点として上蓋20の回転軸AXに対して傾斜して突出する。つまり、タブ部32は、主にその下部において嵌合部15の外壁部11dから突出した状態となる。また、上蓋20と中栓10と組み合わせる際に、つまりバンド部20bの取り付け後において、タブ部32は折り畳まれながらバンド部20bの内面に支持され、外壁部11dの窪み31内に収納される。また、バンド部20bを取り除けば、タブ部32は、嵌合部15の外壁部11dから突出した状態に復帰する。
図8は、別の変形例に係る容器の封止装置を説明する側面図である。この場合、中栓10は、容器本体1に係止又は固定される本体部分11と、容器本体1の開栓後に中栓10から分離される分離部12とを備える。本体部分11は、図2等に示す中栓10と略同様の構造を有するので説明を省略する。本体部分11の中央に配置された分離部12は、封止体12aと、第3筒状部12bとを有する。封止体12aは、分離部12の底部に配置された円板状の部材である。分離部12は、容器本体1内の内容物が注出される抽出口10aを密封する部材である。第3筒状部12bは、封止体12aの外縁から上方に延びる円筒状の部材である。封止体12aの外縁と第3筒状部12bの下端部との外周側境界部は、環状の連結部17aを介して本体部分11に連結している。連結部17aの下面には、容器本体1の開栓時に切断される環状のV溝であるスコアー17bが形成されている。連結部17aは、開栓時に上蓋20を緩めること、具体的には反時計方向に回転させることにより切断される。第3筒状部12bは、本体部分11の第1筒状部11aの内部に同芯で離間して配置されている。第3筒状部12bの内周面には、上蓋20の小径筒部21iに設けられた雄ねじ23と螺合する雌ねじ18が形成されている。分離部12は、容器本体1の開栓後に上蓋20に保持される。これにより、分離後の分離部12が別途ごみになることを防止できる。蓋本体20aは、周壁部21aと同芯で内部に、小径筒部21iと、中径筒部21jとを有し、これらは、円板状の天井壁21cによって連設されている。小径筒部21iの外周面には、中栓10の第3筒状部12bの内周面に形成された雌ねじ18に螺合する雄ねじ23が形成されている。中栓10の第3筒状部12bの雌ねじ18と、上蓋20の小径筒部21iの雄ねじ23とは、中栓10のうち分離部12を上蓋20の小径筒部21iに締め付けて固定するための第3螺合部53を構成している。小径筒部21iは、第3螺合部53によって分離部12を捕捉して当該分離部12を中栓10から分離するための支持部として機能している。第1螺合部51と第3螺合部53とは、互いに逆の螺進関係にある。すなわち、上蓋20の周壁部21aを上側から見て反時計方向に回転させることで、第1螺合部51が緩むようにねじ戻される場合、上蓋20の小径筒部21iを上側から見て反時計方向に回転させることになって、第3螺合部53が締め込まれる。結果的に、本体部分11から分離部12が分離されるとともに、分離部12が小径筒部21iを包む状態で小径筒部21iに固定される。さらに、第3螺合部53において、中栓10の分離部12側に設けた雌ねじ18と、蓋本体20aの小径筒部21i側に設けた雄ねじ23とは、分離部12を小径筒部21iから引き抜くよりも分離部12を小径筒部21iに押し込むことを容易にするかえり形状の突起となっている。これにより、上蓋20に中栓10を予めセットする際に、第1螺合部51をねじ込むことで、第3螺合部53でかえり形状を利用してねじ山の乗り越えを生じさせ、セット完了時に雌ねじ18と雄ねじ23とが噛み合うようにできる。その後、上蓋20に中栓10を予めセットした封止装置100を、中栓10の嵌合部15を利用した嵌着によって容器本体1の口部1aに固定する。
以上の変形例に限らず、第1螺合部51を構成している雄ねじ14及び雌ねじ22のピッチ、巻き数、ねじ山の高さ等の仕様は、適宜用途に応じて変更することができる。また、第2螺合部52を構成している雄ねじ16及び雌ねじ24のピッチ、巻き数、ねじ山の高さ等の仕様も、適宜用途に応じて変更することができる。同様に、第3螺合部53を構成している雌ねじ18及び雄ねじ23のピッチ、巻き数、ねじ山の高さ等の仕様も、適宜用途に応じて変更することができる。
また、上記実施形態において、例えば第2螺合部52を構成する雄ねじ16及び雌ねじ24は、連続的に螺旋状に形成されるものに限らず、分離した複数の部分からなるものとできる。
図8に示す封止装置において、中栓10の嵌合部15を図7Bに示すような構造とできる。つまり、嵌合部15にタブ部32とこれを収納する窪み31を形成するとともに、窪み31の周りに破断部11gやスコアー33を形成することができる。
また、上記実施形態において、容器本体1の口部1aに雄ねじと、中栓10の外壁部11dに雌ねじとを設けて、中栓10を打栓で嵌着せず、螺合によって嵌着してもよい。
上蓋20において、蓋本体20aとバンド部20bとの間に破断部20cだけでなく、相対的な回転の一方を制限するラチェット機構を設けて、組み立て時に上蓋20を中栓10にネジ付ける際に、蓋本体20aからの力をバンド部20bに伝達させ、蓋本体20aとともにバンド部20bを強制的に回転させることで、破断部20cの破損を確実に防止できる。
また、図8の例では、中栓10に分離部12を設けたが、分離部12の第3螺合部53等の代わりにプルリングを形成する構成としてもよい。
また、中栓10は必須のものではない。つまり、図2等に示す実施形態については、中栓10と容器本体1とを一体化したものを成形するといった変形が可能である。この場合、容器本体1の口部1aに雄ねじ14,16を直接形成することになる。
また、上記実施形態では、バンド部20bを時計方向に回転させてねじ戻すようにして嵌合部15を上側に外すとしたが、外周面11sや内周面20sがテーパーを有しなければ、バンド部20bを反時計方向に回転させてねじ込むようにして嵌合部15を下側に外すこともできる。
図6の例では、中栓10にタブ部32を1つ設けたが、複数個設けてもよい。この場合、バンド部20bを中栓10から取り外すと、複数のタブ部32が開くことになり、容器本体1と中栓10との嵌合力が低下し、第1薄肉部TM1を設けなくても第2薄肉部TM2を切断することなく中栓10を容器本体1から取り出すことができる。