JP2018048667A - 軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法 - Google Patents

軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法 Download PDF

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吉晃 岡村
Yoshiaki Okamura
吉晃 岡村
鈴木 大輔
Daisuke Suzuki
大輔 鈴木
貴史 永友
Takashi Nagatomo
貴史 永友
松尾 誠
Makoto Matsuo
誠 松尾
喜直 岩本
Yoshinao Iwamoto
喜直 岩本
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Abstract

【課題】第1の部材と第2の部材の間に発生する摩耗を耐摩耗性に優れた簡単な表面処理加工によって防止することができる軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法を提供する。
【解決手段】摩耗防止部12は、軸受3と後蓋8との間でこれらの摩耗を防止する。摩耗防止部12は、複数の分割片12aによって分割された状態で、後蓋8の端面8aに並べて形成されている。摩耗防止部12は、各分割片12aによって分割されたセグメント構造を備えているために、後蓋8が弾性変形したときに後蓋8から剥離するのを防ぎ後蓋8の弾性変形に追従可能である摩耗防止部12は、高硬度、高耐摩耗性及び低摩擦係数のダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)の膜が好ましい。摩耗防止部12は、後蓋8の端面8aに目的とする物質の薄膜を気相中で堆積する気相堆積法によって形成されている。
【選択図】図3

Description

この発明は、第1の部材と第2の部材との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部によって防止する軸受の摩耗防止構造及び軸受の摩耗防止方法に関する。
従来の車軸軸受装置(以下、従来技術1という)は、軸受の内輪の内径以上でこの内輪の内径の1.2倍以下の範囲に、軸受のつば部端面と後蓋との接触面を設け、この接触面に面取りを形成するとともにこの接触面の外方にOリングを設けている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、軸受の内輪のつば部端面と後蓋との接触面の面取りによって摩耗の発生を減少させるとともに、摩耗粉が軸受内部に侵入するのをOリングによって防いでいる。
従来の鉄道車両用軸受装置(以下、従来技術2という)は、軸受の内輪と後蓋とが直接接触しないように、軸受の内輪と後蓋との間に環状スペーサを嵌合させている(例えば、特許文献2参照)。この従来技術2では、軸受の内輪と後蓋との間に環状スペーサを挿入することによって、軸受の内輪と後蓋とが接触してフレッチング摩耗粉が発生するのを抑制している。
従来の鉄道車両用軸受装置(以下、従来技術3という)は、軸受の内輪と後蓋との当接部の外側に溝部を設け、この溝部に弾性体を取り付けている(例えば、特許文献3参照)。この従来技術3では、溝部に弾性体が嵌め込まれており、軸受の内輪と後蓋との間の摩耗によって発生する摩耗粉が溝部から外側に移動するのをこの弾性体によって阻止している。
従来の軸受ユニット(以下、従来技術4という)は、軸受の内輪と接触する後蓋の端面に応力変動を吸収する高硬度層を形成している(例えば、特許文献4参照)。この従来技術4では、軸受の内輪と後蓋との間の応力変動の影響を高硬度層によって低減している。
従来の軸受装置(以下、従来技術5という)は、軸受の内輪と接触する後蓋の端面にクロム層を形成し、このクロム層の表面にダイヤモンドライクカーボン層を形成している(例えば、特許文献5参照)。この従来技術5では、軸受の内輪と後蓋との当接面に発生するフレッチング摩耗の発生をクロム層及びダイヤモンドライクカーボン層によって抑制している。
特開2001-254735号公報
特開2004-332905号公報
特開平11-336774号公報
特開平09-072344号公報
特開2003-254340号公報
従来技術1では、軸受のつば部端面と後蓋との接触面に面取りを形成しこの面取りの外方にOリングを配置している。従来技術2では、軸受の内輪と後蓋との間にこれらとは別部材の環状スペーサを嵌合させている。従来技術3では、軸受の内輪と後蓋との当接部に溝部を設け、この溝部に弾性体を取り付けている。このため、従来技術1〜3では、鉄道車両用軸受装置を構成する構成部品の点数が増加し、組立に手間がかかり製造コストが高くなってしまう問題点がある。また、従来技術1〜3は、フレッチング摩耗が発生した場合にフレッチング摩耗粉が軸受内部に侵入するのを防止するなどの対策を施したものであり、フレッチング摩耗の発生自体を抑制することについて着眼されておらず、フレッチング摩耗の根本的な解決には至っていない。
従来技術4,5は、軸受の内輪と接触する後蓋の接触面に硬質被膜によって被覆することによって、軸受の内輪と後蓋との接触によって発生するフレッチング摩耗の発生を防止させるなどの対策を施したものである。しかし、従来技術4,5では、基材となる後蓋の変形に硬質被膜が追従することができず割れてしまう問題があり、必ずしもフレッチング摩耗の発生を防止できるとは言えない。
この発明の課題は、第1の部材と第2の部材との間に発生する摩耗を耐摩耗性に優れた簡単な表面処理加工によって防止することができる軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図3〜図5、図8、図10及び図12〜図14に示すように、第1の部材(3)と第2の部材(8)との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部(12)によって防止する軸受の摩耗防止構造であって、前記摩耗防止部は、複数の分割片(12a)によって分割された状態で、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に並べて形成されていることを特徴とする軸受の摩耗防止構造(11)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の軸受の摩耗防止構造において、図3〜図5、図10及び図13に示すように、前記摩耗防止部は、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層(12b)を備えることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の軸受の摩耗防止構造において、図10に示すように、前記摩耗防止部は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面と前記硬質層(12b)との間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層(12c)を備えることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の軸受の摩耗防止構造において、図3〜図5に示すように、前記摩耗防止部は、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層(12b)を備えることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、前記摩耗防止部は、気相堆積法によって形成されていることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5でのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、図12及び図13に示すように、隣り合う前記分割片間の隙間と対応する位置で、前記第1及び/又は前記第2の部材を撓ませる可撓部(13)を備えることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項7の発明は、請求項6に記載の軸受の摩耗防止構造において、前記可撓部は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に形成された所定深さの溝部であることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、図1、図3及び図5に示すように、前記第1の部材は、軸受(3)であり、前記第2の部材は、前記軸受を所定の位置に位置決めする後蓋(8)であることを特徴とする軸受の摩耗防止構造である。
請求項9の発明は、図3〜図5及び図8〜図15に示すように、第1の部材(3)と第2の部材(8)との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部(12)によって防止する軸受の摩耗防止方法であって、前記摩耗防止部が複数の分割片(12a)によって分割された状態で、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に並べて形成する摩耗防止部形成工程(#110;#110A,110B)を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法(#100)である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の軸受の摩耗防止構方法において、図3〜図5、図10及び図13に示すように、前記摩耗防止部形成工程は、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層(12b)を形成する工程を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
請求項11の発明は、請求項9に記載の軸受の摩耗防止方法において、図10に示すように、前記摩耗防止部形成工程は、前記第1及び/又は前記第2部材の表面と前記硬質層(12a)との間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層(12c)を形成する工程を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
請求項12の発明は、請求項9に記載の軸受の摩耗防止方法において、図3〜図5に示すように、前記摩耗防止部形成工程は、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層(12b)を形成する工程を含むことを特徴としている軸受の摩耗防止方法である。
請求項13の発明は、請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、前記摩耗防止部形成工程は、前記摩耗防止部を気相堆積法によって形成する工程を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
請求項14の発明は、請求項9から請求項13でのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、図12〜図15に示すように、隣り合う前記分割片間の隙間と対応する位置に、前記第1及び/又は前記第2の部材を撓ませる可撓部(13)を形成する可撓部形成工程を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
請求項15の発明は、請求項14に記載の軸受の摩耗防止方法において、前記可撓部形成工程は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に所定深さの溝部を形成する工程を含むことを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
請求項16の発明は、請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、図1、図3及び図5に示すように、前記第1の部材は、軸受(3)であり、前記第2の部材は、前記軸受を所定の位置に位置決めする後蓋(8)であることを特徴とする軸受の摩耗防止方法である。
この発明によると、第1の部材と第2の部材との間に発生する摩耗を耐摩耗性に優れた簡単な表面処理加工によって防止することができる。
この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える軸受組立体を概略的に示す縦断面図である。 この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋の外観図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のII-IIB線で切断した状態を示す断面図である。 図1のIII部分を模式的に拡大して示す断面図である。 図2(A)のIV部分を模式的に拡大して示す平面図である。 図2(B)のV部分を模式的に拡大して示す断面図である。 この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋が圧入される車軸が撓んだ状態を模式的に示す縦断面図であり、(A)は摩耗防止構造が存在する場合の縦断面図であり、(B)は摩耗防止構造が存在しない場合の縦断面図である。 この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋を所定位置よりも反軸端側に圧入した状態を模式的に示す縦断面図であり、(A)は摩耗防止構造が存在する場合の縦断面図であり、(B)は摩耗防止構造が存在しない場合の縦断面図である。 この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋が弾性変形したときの状態を模式的に示す縦断面図であり、(A)は後蓋が凸状に弾性変形した状態を模式的に示す縦断面図であり、(B)は後蓋が凹状に弾性変形した状態を模式的に示す縦断面図である。 この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止方法の工程図である。 この発明の第2実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋を模式的に拡大して示す縦断面図である。 この発明の第2実施形態に係る軸受の摩耗防止方法の工程図である。 この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋を模式的に拡大して示す平面図である。 この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋を模式的に拡大して示す縦断面図である。 この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止構造を備える後蓋が弾性変形したときの状態を模式的に示す縦断面図であり、(A)は後蓋が凸状に弾性変形した状態を模式的に示す縦断面図であり、(B)は後蓋が凹状に弾性変形した状態を模式的に示す縦断面図である。 この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止方法の工程図であり、(A)は摩耗防止部形成工程の前に可撓部形成工程を実施する場合の工程図であり、(B)は摩耗防止部形成工程の後に可撓部形成工程を実施する場合の工程図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1に示す車軸1は、中心軸Oを中心として回転する部材である。車軸1は、例えば、鉄道車両の左右一対の車輪がこの車軸1の両端部側に圧入され取り付けられており、この車輪と一体となって回転する。車軸1は、図1に示すように、ジャーナル部1aと後ぶた座1bなどを備えている。ジャーナル部1aは、軸受3によって支持される部分であり、鉄道車両の車体荷重を支持する。ジャーナル部1aは、このジャーナル部1aの外周面に軸受3の内輪3dの内周面が嵌め込まれている。後ぶた座1bは、後蓋8が装着される部分である。後ぶた座1bは、この後ぶた座1bの外周面に後蓋8の内周面が嵌め込まれている。
軸受組立体2は、軸受3の主要構成部分を組み立てた部材である。軸受組立体2は、例えば、鉄道車両の軸箱に収容された状態で、台車の台車枠の所定の位置に保持されている。軸受組立体2は、図1に示すように、軸受3と、前蓋4と、固定ボルト5と、密封構造6と、摩耗防止構造11などを備えている。軸受組立体2は、例えば、グリースなどの潤滑剤が内部に充填された状態で密封されている。
軸受3は、車軸を回転自在に支持する部材であり、車軸1の両端部を回転自在に支持する転がり軸受である。軸受3は、図1に示すように、転動体3aと、保持器3bと、外輪3cと、内輪3dと、大つば3eと、小つば3fと、間座3gと、端面(表面)3hなどを備えている。転動体3aは、外輪3cと内輪3dとの間で転がる部材である。保持器3bは、転動体3aを等間隔に保持する部材である。外輪3cは、固定部材側に固定される部材である。内輪3dは、車軸1と一体となって回転する部材である。大つば3eは、内輪3dの外側端部に一体に形成されてアキシアル荷重を受ける部分であり、小つば3fは内輪3dの内側端部に一体に形成されてアキシアル荷重を受ける部分である。間座3gは、左右の内輪3d間に挿入されてこれらの隙間及び与圧を調整する部材である。端面3hは、摩耗防止部12の表面(接触面)と接触する部分である。端面3hは、後蓋8側の端面8aと対向する側の表面(大つば3eの表面)に円周方向に沿って平坦に形成されている。軸受3は、例えば、内輪3dの材質が高炭素クロム軸受鋼又は浸炭はだ焼鋼であり、間座3gの材質が機械構造用炭素鋼である。図1に示す軸受3は、転動体3aとして円すいころを2列配置した複列円すいころ軸受であり、車軸1のジャーナル部1aの外周面に嵌め合わされている。図1に示す軸受3は、例えば、軸方向のアキシアル荷重を内輪3dのつばで受ける複列円すいころ軸受である。
前蓋4は、軸受3及び油切り7を後蓋8との間に挟み込むことによってこの軸受3を所定の位置に位置決めし固定する部材である。前蓋4は、外観が円環状の金属製の部材であり、車軸1の端部に着脱自在に装着されている。
固定ボルト5は、前蓋4を固定する部材である。固定ボルト5は、例えば、車軸1の端部に形成された雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部を先端部に有する六角ボルトである。固定ボルト5は、前蓋4の貫通孔に挿入して車軸1に装着されることによって、前蓋4を車軸1の端部に固定し前蓋4の脱出を阻止する。
密封構造6は、軸受組立体2内に潤滑剤を密封する構造である。密封構造6は、軸受組立体2の内部に軸受3を収容した状態でこの軸受組立体2の内部を密封している。密封構造6は、油切り7と、後蓋8と、シールケース9A,9Bと、オイルシール10A,10Bなどを備えている。密封構造6は、油切り7、後蓋8、シールケース9A,9B及びオイルシール10A,10Bなどの各構成部材と組み合わせることによって、軸受3内の潤滑剤が外部に漏れ出すのを防止する。
油切り7は、軸受3内の潤滑剤が外部に漏れ出すのを防止する密封構造6の構成部材である。油切り7は、外観が円筒状の金属製の部材である。油切り7は、例えば、材質が機械構造用炭素鋼である。油切り7は、この油切り7の内周面が車軸1のジャーナル部1aの外周面に圧入されており、前蓋4と軸受3の内輪3dとの間に挟み込まれている。
後蓋8は、軸受3内の潤滑剤が外部に漏れ出すのを防止するする密封構造6の構成部材である。後蓋8は、外観が円筒状の金属製の部材である。後蓋8は、例えば、材質が機械構造用炭素鋼である。後蓋8は、この後蓋8の内周面が車軸1の後ぶた座1bの外周面に圧入されており、油切り7との間で軸受3の内輪3dを挟み込むことによって、軸受3を所定の位置に位置決めするとともに軸受3に与圧を作用させる。後蓋8は、軸受3と接触する接触部材である。後蓋8は、図2に示すように、端面(表面)8aと嵌合面8bなどを備えている。端面8aは、軸受3側の端面3hと対向する部分である。端面8aは、内輪3d側の端面3hと同様に、この端面3hと対向する後蓋8の表面が円周方向に沿って平坦に形成されている。嵌合面8bは、車軸1の後ぶた座1bの外周面と嵌合する部分であり、後蓋8の内周面に形成されている。
シールケース9A,9Bは、軸受3内の潤滑剤が外部に漏れ出すのを防止する密封構造6の構成部材である。シールケース9A,9Bは、外観が円筒状の金属製の薄肉部材である。シールケース9Aは、軸受3の外輪3cと前蓋4との間に装着されている。シールケース9Aは、このシールケース9Aの一方の端部の外周面が外輪3cの内周面と密着し、このシールケース9Aの他方の端部の内周面がオイルシール10Aの外周面と密着している。シールケース9Bは、軸受3の外輪3cと後蓋8との間に装着されている。シールケース9Bは、このシールケース9Bの一方の端部の外周面が外輪3cの内周面と密着し、このシールケース9Bの他方の端部の内周面がオイルシール10Bの外周面と密着している。
オイルシール10Aは、油切り7とシールケース9Aとの間を密封するする密封構造6の構成部材であり、オイルシール10Bは後蓋8とシールケース9Bとの間を密封する部材である。オイルシール10Aは、油切り7の外周面とシールケース9Aの内周面との間に挟み込まれており、オイルシール10Bは後蓋8の外周面とシールケース9Bの内周面との間に挟み込まれている。オイルシール10A,10Bは、軸受組立体2の内部から外部に潤滑剤が漏れ出すのを防止するとともに、軸受組立体2の外部から内部に塵埃が侵入するのを防止する。
図1〜図5に示す摩耗防止構造11は、軸受3と後蓋8との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部12によって防止する構造である。摩耗防止構造11は、内輪3d側の端面3hと後蓋8側の端面8aとを直接接触させずに、これらの間に摩耗防止部12を介在させることによって、これらの端面3h,8aから摩耗粉(フレッチング摩耗粉)が発生するのを抑制する。摩耗防止構造11は、摩耗防止部12などを備えている。
摩耗防止部12は、軸受3と後蓋8との間でこれらの摩耗を防止する部分である。摩耗防止部12は、基材である後蓋8の端面8aに形成されており、軸受3と後蓋8との間に発生する摩耗を防止する。摩耗防止部12は、軸受3の端面3h及び後蓋8の端面8aを保護する保護層として機能する。摩耗防止部12は、図3〜図5に示すように、複数の分割片12aによって分割された状態で、後蓋8の端面8aに並べて形成されている。摩耗防止部12は、図3及び図5に示すように、単層構造であり、図3〜図5に示すように後蓋8の端面8a上に各分割片12aが面方向に所定の間隔を開けて形成されている。摩耗防止部12は、各分割片12aによって分割されたセグメント構造を備えており、後蓋8が弾性変形したときに後蓋8の弾性変形に分割片12aを追従させて、後蓋8から分割片12aが剥離するのを抑制する。
摩耗防止部12は、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12bを備えている。摩耗防止部12は、ダイヤモンドのsp3結合とグラファイトのsp2結合の両者を炭素原子の骨格構造としたアモルファス炭素膜である高硬度、高耐摩耗性及び低摩擦係数のダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン(Diamond-Like Carbon(DLC)))の膜が好ましい。摩耗防止部12は、例えば、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する膜として、TiN,TiAlN,SiN,CrN,TiAlBN,W2N,WNなどの窒化物又はTiC,SiC,CrC,WCなどの炭化物、又はこれらを複合化した膜などである。摩耗防止部12は、目的とする物質の薄膜を後蓋8の端面8aに気相中で堆積する気相堆積法によって形成されている。摩耗防止部12は、例えば、目的とする物質の薄膜を気相内の化学反応によって物質の表面に堆積する化学気相成長(Chemical Vapor Deposition(CVD))、又は目的とする物質の薄膜を気相内の物理的手法によって物質の表面に堆積する物理気相成長(Physical Vapor Deposition(PDV))などの気相堆積法によって形成される。化学気相成長は、例えば、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを反応装置内に供給し、直流、交流又は高周波などを電源としてこの反応装置内の一対の電極間にプラズマを発生させて、物質の表面に薄膜を堆積するプラズマCVDなどである。物理気相成長は、例えば、目的とする薄膜の成分を含む固体原料を熱又はプラズマのエネルギーによって反応装置内で気化し、物質の表面に薄膜を堆積するマグネトロンスパッタリング又はイオンビームスパッタリングなどである。摩耗防止部12は、表面粗度が小さく比較的平滑な表面によって低摩擦特性を発揮可能な化学気相成長によって形成することが好ましい。
摩耗防止部12は、膜厚が1nmを下回ると軸受3との摺動によって摩耗してしまう問題点があり、膜厚が200μmを超えると基材である後蓋8の変形に追従できずに剥離する問題点があるため、膜厚が1nm〜200μmの範囲内であることが好ましい。摩耗防止部12は、平面形状が略四角形であり、一辺が1μmを下回ると密着性の問題点があり、一辺が1mmを超えると基材である後蓋8の変形に追従できずに剥離する問題点があるため、一辺が1μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。摩耗防止部12は、隣り合う分割片間の隙間が0.1μmを下回ると車軸1が撓んだ際に隣り合う分割片12aと接触する問題点があり、この隙間が200μmを超えると摩耗防止部12の接触面圧が大きくなって硬質膜12bが剥離する問題点があるため、この間隔が1μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。摩耗防止部12は、ヤング率が60GPaを下回ると耐摩耗性や低摩擦係数が得られなくなる問題点があるため、ヤング率が60GPa以上であることが好ましく、200GPa以上であることが特に好ましい。
次に、この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造の作用を説明する。
図6(B)に示すように、後蓋8に摩耗防止構造11が存在しない場合には、車両が軌道上を走行して車軸1に曲げモーメントMが作用すると、車軸1の軸端側が撓む。このため、車軸1と一体となって後蓋8が回転してこの後蓋8の外周面側の縁部が下方に位置すると、後蓋8の端面8aと軸受3側の端面3hとが下縁部で部分的に偏って接触する。その結果、後蓋8の端面8aと軸受3側の端面3hとの下縁部に繰り返し応力が作用して、軸受3と後蓋8との摩耗によってフレッチング摩耗粉のような異物が発生する。また、図7(B)に示すように、後蓋8に摩耗防止構造11が存在しない場合には、後蓋8を車軸1に圧入すると後蓋8の反軸端側が変形して、後蓋8の端面8aが反った状態で車軸1に後蓋8が装着される。このため、後蓋8の端面8aの外周面側の縁部が軸受3側の端面3hと部分的に偏って接触し、これらの端面3h,8aの摩耗によってフレッチング摩耗粉のような異物が発生する。
一方、図6(A)に示すように、後蓋8に摩耗防止構造11が存在する場合には、車軸1の軸端側が撓むと後蓋8の端面8aと軸受3側の端面3hとが下縁部で部分的に偏って接触しようとするが、後蓋8側の端面8aに形成された摩耗防止部12の表面が軸受3の端面3hと接触しこれらの間の摩擦を緩和する。また、図7(A)に示すように、後蓋8に摩耗防止構造11が存在する場合には、後蓋8を車軸1に圧入すると後蓋8の端面8aの外周面側の縁部が軸受3側の端面3hと部分的に偏って接触しようとするが、後蓋8側の端面8aに形成された摩耗防止部12の表面が軸受3の端面3hと接触しこれらの間の摩擦を緩和する。その結果、後蓋8側の端面8aと軸受3側の端面3hとの摩耗によって異物が発生するのが防止される。
図5(A)に示すように車軸1の軸端側が撓んだり、図6(A)に示すように後蓋8を車軸1に圧入したりすると、図8(A)(B)に示すように後蓋8が凸状又は凹状に弾性変形する。図3〜図5に示すように、後蓋8の端面8aに摩耗防止部12がセグメント状に分割して形成されているため、図8に示すように後蓋8の凸状又は凹状の弾性変形に摩耗防止部12が追従する。このため、後蓋8が弾性変形したときに発生する歪みが摩耗防止部12に集中するのが低減される。その結果、各分割片12aに作用するせん断応力が低減して、摩耗防止部12の割れが防止されるとともに、軸受3の端面3hからの摩耗防止部12の剥離が防止される。摩耗防止部12の表面と軸受3の端面3hとが接触して摩耗防止部12の分割片12aが剥離しても、隣り合う分割片12aが分離しているため隣接する分割片12aには影響がない。また、隣り合う分割片12a間の隙間にフレッチング摩耗粉のような異物が保持されるため、摩耗防止部12の表面と軸受3の端面3hとの間の摩耗が抑制されて、摩擦係数が安定化するとともに相手攻撃性が低減される。さらに、隣り合う分割片12a間の隙間を軸受3内の潤滑剤の液溜めとして利用することによって、耐摩耗性が長期間維持されるとともに低摩擦係数が長期間維持される。
次に、この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止方法について説明する。
図9に示す摩耗防止方法#100は、軸受3と後蓋8との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部12によって防止する方法である。摩耗防止方法#100は、摩耗防止部形成工程#110などを含む。摩耗防止部形成工程#110は、図3〜図5に示すように、摩耗防止部12が複数の分割片12aによって分割された状態で、後蓋8の端面8aにこの分割片12aを並べて形成する工程である。摩耗防止部形成工程#110は、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層12bや、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12bを形成する工程を含み、摩耗防止部12を気相堆積法によって形成する工程を含む。
摩耗防止部形成工程#110において、反応炉内に後蓋8が設置されてこの後蓋8の端面8aをマスキングするようにタングステン製のメッシュワイヤが配置される。このときに、例えば、摩耗防止部12の分割片12aの平面形状と同じ格子寸法(メッシュ粗さ)であり、隣り合う分割片12a間の隙間と同じ線径(ワイヤ太さ)であるタングステン製のメッシュワイヤが使用される。次に、摩耗防止部形成工程#110において、化学気相成長又は物理気相成長などの気相堆積法によって反応炉内の後蓋8の端面8aに硬質層12bが堆積される。その後に、摩耗防止部形成工程#110において、硬質層12bの表面からメッシュワイヤが除去されて、後蓋8の端面8aに摩耗防止部12が形成される。
この発明の第1実施形態に係る軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、摩耗防止部12が複数の分割片12aによって分割された状態で、後蓋8の端面8aに並べて形成されている。また、この第1実施形態では、摩耗防止部形成工程#110において、摩耗防止部12が複数の分割片12aによって分割された状態で、後蓋8の端面8aに並べて形成する。このため、耐摩耗性に優れた表面処理加工によって軸受3と後蓋8との間に発生する摩耗を抑制することができる。また、例えば、摩耗防止部12が複数の分割片12aによって分割されていない場合には、後蓋8が弾性変形すると摩耗防止部12が割れて後蓋8の端面8aから摩耗防止部12が剥離するおそれがある。この第1実施形態では、摩耗防止部12が複数の分割片12aによるセグメント構造を備えるため、後蓋8が弾性変形しても摩耗防止部12が後蓋8の端面8aから剥離するのを抑制することができる。
(2) この第1実施形態では、ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12bを摩耗防止部12が備えている。また、この第1実施形態では、摩耗防止部形成工程#110がダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12bを形成する工程を含む。このため、耐摩耗特性に優れた表面処理加工によって高硬度及び低摩擦係数の硬質層12bを軸受3と後蓋8との間に簡単に形成することができる。その結果、軸受3の内輪3dと後蓋8の端面8aとを直接接触面で接触させたときに、これらの間に発生するフレッチング摩耗などを抑制することができる。
(3) この第1実施形態では、摩耗防止部12が気相堆積法によって形成されている。また、この第1実施形態では、摩耗防止部形成工程#110が摩耗防止部12を気相堆積法によって形成する工程を含む。このため、従来、軸受3の内輪3d側の接触面と直接接触していた後蓋8の端面8a側の接触面にセグメント構造を有する硬質層12bを簡単にコーティングすることができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示す摩耗防止部12は、図3及び図5に示す摩耗防止部12とは異なり二層構造であり、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層12bと、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cとを備えている。摩耗防止部12は、図10に示すように、後蓋8の端面8aと硬質層12bとの間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cを備えている。摩耗防止部12は、例えば、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cとして、TiN,TiAlN,SiN,CrN,TiAlBN,W2N,WNなどの窒化物又はTiC,SiC,CrC,WCなどの炭化物、又はこれらを複合化した膜などである。摩耗防止部12は、後蓋8の端面8aを保護する保護層として下層(中間層)の硬質層12cが機能するとともに、この端面8a及びこの硬質層12cを保護する保護層として上層の硬質層12bが機能する。
次に、この発明の第2実施形態に係る軸受の摩耗防止方法について説明する。
図11に示す摩耗防止方法#100は、図10に示すチタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cを後蓋8の端面8aに形成する摩耗防止部形成工程#110Aと、図10に示すこの硬質層12cの表面にダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層12bを形成する摩耗防止部形成工程#110Bとを含む。摩耗防止部形成工程#110Aにおいて、反応炉内に後蓋8が設置されて、この後蓋8の端面8aをマスキングするようにタングステン製のメッシュワイヤが配置される。次に、摩耗防止部形成工程#110Aにおいて、化学気相成長又は物理気相成長などの気相堆積法によって反応炉内の後蓋8の端面8aに硬質層12cが堆積される。次に、摩耗防止部形成工程#110Bにおいて、硬質層12cの表面にメッシュワイヤを残存させた状態で、化学気相成長又は物理気相成長などの気相堆積法によって反応炉内の硬質層12cの表面に硬質層12bが堆積された後に、硬質層12bの表面からメッシュワイヤが除去される。その結果、図10に示すように、後蓋8の端面8aに硬質層12b,12cが積層されて、摩耗防止部12が形成される。
この発明の第2実施形態に係る軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、後蓋8の端面8aと硬質層12bとの間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cを摩耗防止部12が備えている。また、この第2実施形態では、後蓋8の端面8aと硬質層12bとの間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層12cを形成する工程を摩耗防止部形成工程#110が含む。このため、硬質層12cを中間層として機能させることによって、後蓋8の端面8aに硬質層12bを強固に付着させて硬質層12bの剥離をより一層抑制することができる。また、硬質層12bが摩耗した後に硬質層12cによってフレッチング摩耗などの発生を長期間抑制することができる。
(第3実施形態)
図12及び図13に示す摩耗防止構造11は、摩耗防止部12と可撓部13などを備えている。可撓部13は、図13及び図14に示すように、隣り合う分割片12a間の隙間と対応する位置で、後蓋8を撓ませる部分である。可撓部13は、後蓋8の端面8aに形成された所定深さの溝部であり、後蓋8の剛性を部分的に低下させる。可撓部13は、図13及び図14に示すように断面形状が略U字状に形成されており、図12に示すように平面形状が略格子状に形成されている。可撓部13は、図12に示すように、後蓋8の端面8aに縦方向及び横方向に直線状に形成されており、この端面8aから露出した部分(分割片12aによって被覆されていない部分)に分割片12aの周囲を囲むように形成されている。可撓部13は、幅が0.1μmを下回ると車軸1が撓んだ際に隣り合う分割片12aと接触する問題点があり、この幅が1mmを超えると摩耗防止部12の接触面圧が大きくなって硬質膜12bが剥離する問題点があるため、この間隔が0.1μm〜1mmの範囲内であることが好ましい。
次に、この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止方法について説明する。
図15に示す摩耗防止方法#100は、摩耗防止部形成工程#100と可撓部形成工程#120とを含む。可撓部形成工程#120は、隣り合う分割片12a間の隙間と対向する位置に、後蓋8の端面8aを撓ませる可撓部13を形成する工程を含み、この後蓋8の端面8aに所定深さの溝部を形成する工程を含む。可撓部形成工程#120では、図15(A)に示すように、後蓋8の端面8aに硬質層12bを形成する摩耗防止部形成工程#110の後に、可撓部13を予め機械加工などによって形成したり、図15(B)に示すように後蓋8の端面8aに硬質層12bを形成する摩耗防止部形成工程#110の前に、可撓部13を予め機械加工などによって形成したりする。
この発明の第3実施形態に係る軸受の摩耗防止構造とその摩耗防止方法には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、隣り合う分割片12a間の隙間と対応する位置で、後蓋8を可撓部13が撓ませる。また、この第3実施形態では、隣り合う分割片12a間の隙間と対応する位置に、後蓋8を撓ませる可撓部13を形成する工程を摩耗防止部形成工程#110が含む。このため、第1実施形態及び第2実施形態に比べて、後蓋8の端面8aが弾性変形したときに摩耗防止部12がこの端面8aから剥離するのを可撓部13によってより一層抑制することができる。
(2) この第3実施形態では、可撓部13が後蓋8の端面8aに形成された所定深さの溝部である。また、この第3実施形態では、可撓部形成工程#120において、後蓋8の端面8aに所定深さの溝部を形成する。このため、後蓋8の端面8aに摩耗防止部12を形成する前又は形成した後に、簡単な機械加工などによってこの端面8aに可撓部13を短時間に形成することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両の軸受3の摩耗防止構造11を例に挙げて説明したが、鉄道車両の軸受3にこの発明を限定するものではない。例えば、発電所のタービンなどの回転軸を支持する軸受の摩耗防止構造や、車軸1を駆動する主電動機の軸受の摩耗防止構造についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、軸受3がころ軸受である場合について説明したが、軸受3が玉軸受である場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、軸受3が複列円すいころ軸受である場合を例に挙げて説明したが、複列円筒ころ軸受又は球面ころ軸受などについてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、軸受3と後蓋8との間に摩耗防止部12を配置する場合を例に挙げて説明したが、これらの間に摩耗防止部12を配置する場合にこの発明を限定するものではない。例えば、後ぶた座1bの外周面に圧入される油切り又はフリンガ(スリンガ)と軸受3との間、ジャーナル部1aの外周面に圧入される油切り7と軸受3との間などに摩耗防止部12を配置する場合についてもこの発明を適用することができる。同様に、ジャーナル部1aの外周面に圧入される間座3gと軸受3の内輪3dとの間、ジャーナル部1aの外周面に圧入される小つば3fと軸受3の間座3gとの間などに摩耗防止部12を配置する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、後蓋8側の端面8aのみに摩耗防止部12を形成する場合を例に挙げて説明したが、軸受3側の端面3h及び後蓋8側の端面8aの双方に摩耗防止部12を形成したり、軸受3側の端面3hのみに摩耗防止部12を形成したりすることもできる。同様に、隣り合う部材間に発生する摩耗を摩耗防止部12によって防止する場合に、一方又は双方の部材の表面に摩耗防止部12を形成することもできる。
(3) この実施形態では、分割片12aの平面形状が略四角形である場合を例に挙げて説明したが、分割片12aが三角形、円形、三角形及び四角形以外の多角形である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、油切り7を抑える前蓋4を車軸1の端部に固定ボルト5によって固定する軸受組立体を例に挙げて説明したが、車軸1の端部の雄ねじ部と噛み合う軸端ナットによって油切りを抑える軸受組立体2についてもこの発明を適用することができる。
(4) この第2実施形態では、摩耗防止部形成工程#110A,110Bにおいて、メッシュワイヤを連続的に使用して硬化層12b,12cを形成する場合を例に挙げて説明したが、このような工程に限定するものではない。例えば、摩耗防止部形成工程#110Aにおいて、後蓋8の端面8aに硬質層12cが堆積された後にメッシュワイヤを除去することもできる。この場合には、摩耗防止部形成工程#110Bにおいて、隣り合う硬質層12c間の隙間と対向する位置にメッシュワイヤを配置し、硬質層12cの表面に硬質層12bが堆積された後にこの硬質層12bの表面からメッシュワイヤを除去することもできる。また、この第3実施形態では、後蓋8側の端面8aのみに可撓部13を形成する場合を例に挙げて説明したが、軸受3側の端面3h及び後蓋8側の端面8aの双方に可撓部13を形成したり、軸受3側の端面3hのみに可撓部13を形成したりすることもできる。同様に、隣り合う部材間の一方又は双方の部材の表面に可撓部13を形成することもできる。さらに、この第3実施形態では、摩耗防止部12が硬質層12bの単層構造である場合を例に挙げて説明したが、摩耗防止部12が硬質層12b,12cの二層構造である場合についてもこの発明を適用することができる。
1 車軸
2 軸受組立体
3 軸受(第1の部材)
3d 内輪
3h 端面
4 前蓋
5 固定ボルト
6 密封構造
7 油切り
8 後蓋(第2の部材)
8a 端面
9A,9B シールケース
10A,10B オイルシール
11 摩耗防止構造
12 摩耗防止部
12a 分割片
12b,12c 硬質層
13 可撓部
O 中心軸

Claims (16)

  1. 第1の部材と第2の部材との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部によって防止する軸受の摩耗防止構造であって、
    前記摩耗防止部は、複数の分割片によって分割された状態で、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に並べて形成されていること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  2. 請求項1に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記摩耗防止部は、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層を備えること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  3. 請求項2に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記摩耗防止部は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面と前記硬質層との間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層を備えること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  4. 請求項1に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記摩耗防止部は、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層を備えること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記摩耗防止部は、気相堆積法によって形成されていること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  6. 請求項1から請求項5でのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    隣り合う前記分割片間の隙間と対応する位置で、前記第1及び/又は前記第2の部材を撓ませる可撓部を備えること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  7. 請求項6に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記可撓部は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に形成された所定深さの溝部であること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止構造において、
    前記第1の部材は、軸受であり、
    前記第2の部材は、前記軸受を所定の位置に位置決めする後蓋であること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止構造。
  9. 第1の部材と第2の部材との間に発生する摩耗をこれらの間の摩耗防止部によって防止する軸受の摩耗防止方法であって、
    前記摩耗防止部が複数の分割片によって分割された状態で、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に並べて形成する摩耗防止部形成工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  10. 請求項9に記載の軸受の摩耗防止構方法において、
    前記摩耗防止部形成工程は、ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質層を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  11. 請求項9に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    前記摩耗防止部形成工程は、前記第1及び/又は前記第2部材の表面と前記硬質層との間に、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  12. 請求項9に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    前記摩耗防止部形成工程は、チタン、ケイ素、クロム又はタングステンを含有する硬質層を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  13. 請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    前記摩耗防止部形成工程は、前記摩耗防止部を気相堆積法によって形成する工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  14. 請求項9から請求項13でのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    隣り合う前記分割片間の隙間と対応する位置に、前記第1及び/又は前記第2の部材を撓ませる可撓部を形成する可撓部形成工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  15. 請求項14に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    前記可撓部形成工程は、前記第1及び/又は前記第2の部材の表面に所定深さの溝部を形成する工程を含むこと、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
  16. 請求項9から請求項15までのいずれか1項に記載の軸受の摩耗防止方法において、
    前記第1の部材は、軸受であり、
    前記第2の部材は、前記軸受を所定の位置に位置決めする後蓋であること、
    を特徴とする軸受の摩耗防止方法。
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