以下、実施形態に係るモータ駆動制御装置について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10(図2参照)により駆動制御されるモータ5を含む電子機器1の内部構成の一例を示す断面図である。図1の例に示すように、第1の実施形態に係る電子機器1は、筐体2、複数のユニット3、複数のファンモータ4を備える。なお、電子機器1は、図1では図示しないが、後述するモータ駆動制御装置10(図2参照)も備える。
ユニット3は、短冊状の基板3aと、1つ以上の電子デバイス3bとを有する。基板3aには、電子デバイス3bが実装されている。筐体2内には複数のユニット3が配置されている。例えば、複数のユニット3は、基板3aの厚み方向に、互いに所定の距離を隔てて、基板3aの電子デバイス3bを実装する面が平行となるように配置されている。
複数のファンモータ4は、基板3aの長手方向における両端のうち一端側の筐体2の側面に対向して配置され、複数のユニット3へ冷却風を導入する。ファンモータ4は、羽根4aとモータ5とを有する。モータ5の回転軸には羽根4aが取り付けられている。モータ5が回転することにより羽根4aが回転し、ユニット3へ冷却風を導入する。すなわち、電子デバイス3bは、羽根4aが回転されることにより冷却される。
図2は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10の一例を示すブロック図である。図2に示すように、モータ駆動制御装置10は、第1の電力供給ライン11、入力信号処理回路50(駆動回路および検知対象回路の一例)、インバータ回路16(駆動回路および検知対象回路の一例)、制御部17(検知対象回路の一例)及び第2の電力供給ライン24を有する。なお、検知対象回路とは、モータ5の回転駆動ができなくなる故障の検知対象となる回路である。入力信号処理回路50は、メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14、平滑回路15を有する。制御部17は、第1の制御部19、第2の制御部18を有する。また、モータ駆動制御装置10は、モータ5及びホールセンサ6に接続されている。
本実施形態では、電源90により供給される電力は、2つの系統に分かれて供給される。2つの系統は、電源90に接続された第1の電力供給ライン11を介して供給される系統と、第1の電力供給ライン11とは異なる第2の電力供給ライン24を介して供給される系統である。
第1の電力供給ライン11は、入力信号処理回路50を経て電力供給ライン11a及び電力供給ライン11bに分岐されている。電力供給ライン11aと電力供給ライン11bの一端は、平滑回路15に接続されている。また、電力供給ライン11aの他端は、インバータ回路16に接続され、電力供給ライン11bの他端は、制御部17の第1の制御部19に接続されている。また、電力供給ライン11上には、入力信号処理回路50に含まれるメインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14、平滑回路15が設けられている。
電源90は、直流電源である。電源90は、第1の電力供給ライン11及び第2の電力供給ライン24を介して電力を供給する。例えば、電源90は、第1の電力供給ライン11及び第2の電力供給ライン24に直流電圧である第1の電圧V1(例えば、12Vの直流電圧)を印加する。以下、電源90が12Vの第1の電圧V1を印加するものとして説明するが、電源90が印加する第1の電圧V1の電圧値はこれに限られない。この結果、電源90により、メインヒューズ12に第1の電圧V1が印加される。これにより、第1の電力供給ライン11を介して、メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14、平滑回路15に、電力が供給される。インバータ回路16は、電力供給ライン11aを介して印加される第2の電圧V2により動作する。また、第1の制御部19は、電力供給ライン11bを介して印加される第2の電圧V2により動作する。
メインヒューズ12の一端は、電源90に接続され、他端は、逆接続保護回路13に接続される。メインヒューズ12は、大きな過電流が流れると断線し、電源90からの過電流が後段の回路に流れ込むことを防止する。本実施形態では、メインヒューズ12が断線したことを、メインヒューズ12に故障が発生したものとして扱う。すなわち、メインヒューズ12に故障が発生した場合には、第1の電力供給ライン11において逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15に電圧が印加されなくなり、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15は動作を停止する。
逆接続保護回路13の一端は、メインヒューズ12に接続され、他端は、突入電流防止回路14に接続される。逆接続保護回路13は、電源90の逆接続に対してインバータ回路16や第1の制御部19などを保護する回路である。逆接続保護回路13に故障が発生した場合には、第1の電力供給ライン11において突入電流防止回路14及び平滑回路15に電圧が印加されなくなり、突入電流防止回路14及び平滑回路15は動作を停止する。
突入電流防止回路14の一端は、逆接続保護回路13に接続され、他端は、平滑回路15に接続される。突入電流防止回路14は、電源90が投入される際の突入電流を防止する回路である。突入電流防止回路14に故障が発生した場合には、第1の電力供給ライン11において平滑回路15に電圧が印加されなくなり、平滑回路15は動作を停止する。
電力供給ライン11における平滑回路15の一端は、突入電流防止回路14に接続され、他端は、電力供給ライン11aを介してインバータ回路16に接続される。また、平滑回路15は、電力供給ライン11bを介して第1の制御部19に接続される。平滑回路15は、電源90により電力供給ライン11に印加された第1の電圧V1を平滑化する回路である。平滑回路15に故障が発生した場合には、インバータ回路16及び第1の制御部19に第2の電圧V2が印加されなくなり、インバータ回路16及び第1の制御部19は動作を停止する。
以上のことから、メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15を有する入力信号処理回路50は、第1の電力供給ライン11上の電源90とインバータ回路16,第1の制御部19との間に設けられ、電源90から後段の回路(例えば、インバータ回路16)へ供給される電力を中継する。メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15のいずれかにモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合には、第1の電力供給ライン11において故障が発生した回路より後段の回路に電圧が印加されなくなるため、電力供給ライン11bを介して第1の制御部19に印加される第2の電圧V2は0Vとなる。すなわち、この場合には、電力供給ライン11bと、信号線69とを接続する接続点(接続ノード)60における電圧は0Vとなる。この場合、第1の制御部19は、動作を停止する。
一方、入力信号処理回路50内のいずれの回路も故障していない場合には、第1の制御部19に印加される第2の電圧V2は、第1の制御部19が動作可能な電圧値を有する電圧となる。例えば、第1の制御部19が動作可能な電圧値が12Vである場合には、第1の制御部19には第2の電圧V2として、12Vが印加される。したがって、この場合には、第1の制御部19は、動作可能となる。
以上のことから、入力信号処理回路50は、電源90により印加される第1の電圧V1をもとに生成した第2の電圧V2をインバータ回路16及び制御部17(例えば制御部17の第1の制御部19)に印加する。
インバータ回路16は、第1の制御部19が動作可能な場合、第1の制御部19による制御を受けて、モータ5を回転駆動させる。また、インバータ回路16は、第1の制御部19が動作を停止した場合、制動回路20による制御を受けて、モータ5の短絡制動(ショートブレーキ)を行う。すなわち、インバータ回路16は、モータ5を短絡制動させる。
インバータ回路16は、電力供給ライン11aを介して第2の電圧V2が印加されると、動作する。インバータ回路16は、検知対象回路の一例である。インバータ回路16は、4個のスイッチング素子16a、16b、16d、16eを有する。図3は、実施形態に係るインバータ回路及びモータを説明するための図である。図3に示すように、スイッチング素子16a、16bは、p型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。スイッチング素子16d、16eは、n型MOSFETである。インバータ回路16は、スイッチングレグ16adと、スイッチングレグ16beとを含む。
スイッチングレグ16adは、上アーム側のスイッチング素子16aと、下アーム側のスイッチング素子16dとを備える。スイッチング素子16aのソースは、入力信号処理回路50の出力端(平滑回路15の他端。図2参照)に接続されている。スイッチング素子16aのドレインは、スイッチング素子16dのドレインに接続されている。スイッチング素子16dのソースは、抵抗61を介してグランド(グランド端子)に接続されている。すなわち、スイッチング素子16dのソースは、接地されている。スイッチング素子16aのゲートに、第1の制御部19(図2参照)が接続されている。第1の制御部19からスイッチング素子16aのゲートに、駆動信号が出力される。スイッチング素子16dのゲートに、第1の制御部19が接続されている。第1の制御部19から、スイッチング素子16dのゲートに、駆動信号が出力される。また、本実施形態では、スイッチング素子16dのゲートに、後述する分路30aが接続される。
スイッチングレグ16beは、上アーム側のスイッチング素子16bと、下アーム側のスイッチング素子16eとを備える。スイッチング素子16bのソースは、入力信号処理回路50の出力端(平滑回路の他端。図2参照)に接続されている。スイッチング素子16bのドレインは、スイッチング素子16eのドレインに接続されている。スイッチング素子16eのソースは、抵抗61を介してグランドに接続されている。スイッチング素子16bのゲートに、第1の制御部19(図2参照)が接続されている。第1の制御部19からスイッチング素子16bのゲートに、駆動信号が出力される。スイッチング素子16eのゲートに、第1の制御部19が接続されている。第1の制御部19から、スイッチング素子16eのゲートに、駆動信号が出力される。また、本実施形態では、スイッチング素子16eのゲートに、後述する分路30bが接続される。
すなわち、インバータ回路16は、モータ5の電機子コイル5aと入力信号処理回路50の出力端との間に接続された上アーム側のスイッチング素子16a、16bと、電機子コイル5aと電源90のグランド端子との間に接続された下アーム側のスイッチング素子16d、16eとを有する。このように、インバータ回路16は、モータ5と所定電位(0V)を有する所定部位(グランド端子)との間に設けられ、かつ、モータ5と所定部位との電気的な接続状態を、モータ5と所定部位とを導通させる導通状態及びモータ5と所定部位とを非導通とする非導通状態のいずれかの状態とする2つのスイッチング素子16d、16eを有する。
インバータ回路16は、入力信号処理回路50から第2の電圧V2が印加され、駆動信号が入力されると、駆動信号に応じた向きの電流を電機子コイル5aに流す。これにより、モータ5は、回転駆動される。
モータ5は、単相モータである。モータ5は、電機子コイル5aを備える。電機子コイル5aの一端は、スイッチング素子16aのドレインとスイッチング素子16dのドレインとの間の接続点62aに接続される。電機子コイル5aの他端は、スイッチング素子16bのドレインとスイッチング素子16eのドレインとの間の接続点62bに接続される。すなわち、インバータ回路16は、上アーム側のスイッチング素子16aと下アーム側のスイッチング素子16dとが直列接続されたスイッチングレグ16adを有し、上アーム側のスイッチング素子16aと下アーム側のスイッチング素子16dとの接続点62aが電機子コイル5aの一端に接続されている。また、インバータ回路16は、上アーム側のスイッチング素子16bと下アーム側のスイッチング素子16eとが直列接続されたスイッチングレグ16beを有し、上アーム側のスイッチング素子16bと下アーム側のスイッチング素子16eとの接続点62bが電機子コイル5aの他端に接続されている。また、スイッチングレグ16adとスイッチングレグ16beは、並列に接続されている。すなわち、インバータ回路16は、2つのスイッチングレグ16ad,16beを有し、2つのスイッチングレグ16ad,16beは、並列に接続されるとともに、それぞれの上アーム側のスイッチング素子16a,16bと下アーム側のスイッチング素子16d,16eの接続点が電機子コイル5aの両端の一方に分かれて接続される。モータ5は、インバータ回路16から駆動信号に応じた向きの電流が入力されることにより、回転駆動する。
また、図3に示すように、本実施形態では、電機子コイル5aの所定部分と、スイッチ回路20aと後述する分路30c(図2参照)との接続点(スイッチ回路20aと後述する2つの分路30a,30bとの接続点)との間に、スイッチ回路55(第2のスイッチ回路の一例)が配置されている。スイッチ回路55は、スイッチング素子55a、ダイオード55b、抵抗55c、55dを有する。
ダイオード55bのアノードは、電機子コイル5aの略中央部分(中点)5dに設けられた中間タップに接続され、カソードは、スイッチング素子55aのドレインに接続されている。スイッチング素子55aは、例えば、n型MOSFETである。スイッチング素子55aのソースは、グランドに接続(接地)されている。スイッチング素子55aのゲートは、抵抗55dを介して後述する分路30c(分路30cと、分路30a、分路30bおよびスイッチ回路20aとの接続点;図2参照)に接続されている。
抵抗55cの一端は接地され、他端はスイッチング素子55aのゲートに接続されている。抵抗55dの一端は、スイッチング素子55aのゲートに接続され、他端は、後述する分路30cに接続されている。
すなわち、スイッチング素子55aは、電機子コイル5aの所定部分(略中央部分5d)に設けられた中間タップと、第1の所定電位(0V)を有する所定部位(グランド)との間に設けられ、かつ、電機子コイル5aの所定部分(略中央部分5d)の中間タップと所定部位(グランド)との電気的な接続状態を、電機子コイル5aの所定部分に設けられた中間タップと所定部位とを導通させる(所定部分を接地させる)導通状態、及び、電機子コイル5aの所定部分に設けられた中間タップと所定部位とを非導通とする(非接地とする)非導通状態のいずれかの状態に設定する。したがって、このようなスイッチング素子55aを有するスイッチ回路55は、電機子コイル5aの所定部分を接地可能である。
図2の説明に戻り、モータ駆動制御装置10は、更に、出力端子22、速度指令入力端子23を有する。
速度指令入力端子23には、モータ駆動制御装置10の外部からの速度指令が入力される。ここで、本実施形態では、速度指令とは、モータ5の目標回転速度(目標回転数)に対応するPWM(パルス幅変調)信号である。なお、速度指令は、モータ5の目標回転速度に対応する周波数のクロック信号であってもよい。
第2の制御部18は、コンパレータ18aと短絡制動判定部18bとを備える。第2の制御部18は、例えば、マイクロコンピュータであり、各種の制御を行う。例えば、第2の制御部18は、コンパレータ18aと短絡制動判定部18bとにより制動回路20を制御する(詳細は後述する)。また、第2の制御部18は、速度指令入力端子23に入力された速度指令に応じたPWM信号を第1の制御部19のPWM受信部19cに出力する。また、第2の制御部18は、第1の制御部19から出力されたFG信号が示すモータ5の回転速度(回転数)情報を出力端子22へ出力することで、回転速度情報が出力端子22から外部の装置に出力される。第2の制御部18による制動回路20の制御については後述する。
第1の制御部19は、例えば、汎用IC(Integrated Circuit)であり、各種の制御を行う。例えば、第1の制御部19は、インバータ回路16の動作を制御してモータ5を回転駆動させる。第1の制御部19は、定電圧生成部19a、FG出力部19b及びPWM受信部19cを有する。
定電圧生成部19aは、電力供給ライン11bより印加された第2の電圧V2を用いて定電圧、例えば、5Vの電圧を生成し、生成した5Vの電圧を分圧して第2の制御部18に印加する。例えば、図2に示すように、定電圧生成部19aは、抵抗65及び抵抗64により分圧された電圧を第2の制御部18に印加する。
ここで、抵抗64の一端はグランドに接続(接地)され、他端は抵抗63及び抵抗65の間の接続点68に接続されている。信号線69には、抵抗63が設けられ、抵抗63の一端は、接続点60に接続され、他端は、接続点68に接続されている。また、抵抗65の一端は接続点68に接続され、他端は、定電圧生成部19aに接続されている。また、信号線70の一端は接続点68に接続され、他端は、第2の制御部18のコンパレータ18aの反転入力端子に接続されている。
FG出力部19bは、モータ5に配置されたホールセンサ6の検出信号(ホール信号)に基づいて、モータ5の回転速度(回転数)情報を示すFG信号を生成し、第2の制御部18に出力する。
また、PWM受信部19cは、第2の制御部18から出力される速度指令であるPWM信号を受信する。
第1の制御部19は、PWM信号が示す目標回転速度とFG信号が示す回転速度が一致するように、駆動信号をインバータ回路16に出力する。
第2の電力供給ライン24の一端は、電源90に接続され、他端は、電源補助回路21(電源回路の一例)のレギュレータ21a及び制動回路20のスイッチ回路20a(第1のスイッチ回路の一例)に接続されている。なお、第2の電力供給ライン24上には、電源90が投入されて多大な突入電流が流れ込んだ場合に、制動回路20や電源補助回路21を保護するヒューズ66が設けられている。
電源補助回路21は、レギュレータ21a及び抵抗21bを有する。抵抗21bの一端は、レギュレータ21aに接続され、他端はスイッチ回路20aに接続されている。レギュレータ21aは、第2の電力供給ライン24を介して電源90により印加された12Vの第1の電圧V1から定電圧、例えば、5Vの電圧を生成し、生成した5Vの電圧をスイッチ回路20aに印加する。また、レギュレータ21aは、第1の電圧V1をもとに生成した電圧を、ヒューズ67を介して第2の制御部18に印加する。すなわち、レギュレータ21aは、第2の電力供給ライン24を介して電源90により印加された第1の電圧V1から定電圧である第3の電圧V3を生成し、生成した第3の電圧V3を制動回路20に印加して制動回路20を動作させる。すなわち、レギュレータ21aは、第1の電圧V1をもとに生成した第3の電圧V3を制動回路20に印加して制動回路20を動作させる。また、電源補助回路21は、上述したように、第2の制御部18にも、第1の電圧V1をもとに生成した電圧を印加して、第2の制御部18を動作させる。
制動回路20は、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合に、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる回路である。本実施形態では、制動回路20は、第1の電力供給ライン11上に設けられた入力信号処理回路50に故障が発生して、入力信号処理回路50から電圧が出力されない状態であっても、制動回路20は、第2の電力供給ライン24に接続された電源補助回路21により電圧が印加され、動作可能となる。したがって、制動回路20は、第1の電力供給ライン11上に設けられた入力信号処理回路50に故障が発生した場合であっても、動作可能であるため、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させることができる。
制動回路20は、スイッチ回路20a、及び、3つの分路30a、30b、30cを有する。分路30aは、ヒューズ抵抗31a及びダイオード32aを有する。分路30bは、ヒューズ抵抗31b及びダイオード32bを有する。すなわち、ヒューズ抵抗31aは、分路30aに設けられ、ヒューズ抵抗31bは、分路30bに設けられる。ヒューズ抵抗31aは、所定量以上の電流が流れた場合に、スイッチ回路20aと、スイッチング素子16dとの電気的な接続を遮断する。同様に、ヒューズ抵抗31bは、所定量以上の電流が流れた場合に、スイッチ回路20aと、スイッチング素子16eとの電気的な接続を遮断する。なお、ヒューズ抵抗31a、31bに代えて、ヒューズ及び抵抗を用いてもよい。
ダイオード32aのアノードは、ヒューズ抵抗31aの一端に接続され、カソードは、スイッチング素子16dのゲートに接続されている。ダイオード32bのアノードは、ヒューズ抵抗31bの一端に接続され、カソードは、スイッチング素子16eのゲートに接続されている。すなわち、分路30aは、スイッチング素子16dに接続され、分路30bは、スイッチング素子16eに接続される。このように、2つの分路30a,30bは、2つのスイッチングレグ16ad,16beのそれぞれの下アーム側のスイッチング素子16d,16eのそれぞれに接続される。また、分路30cは、抵抗55d(図3参照)を介して、スイッチング素子55aに接続される。
スイッチ回路20aは、ヒューズ66を介して電源90とヒューズ抵抗31a、31bとの間に設けられる。すなわち、スイッチ回路20aは、電源90と2つの分路30a,30bとの間に設けられ、2つの分路30a,30bに接続される。スイッチ回路20aは、電源90とヒューズ抵抗31a、31b(分路30a,30b)との電気的な接続状態を、電源90とヒューズ抵抗31a、31b(分路30a,30b)とを導通させる導通状態、及び、電源90とヒューズ抵抗31a、31b(分路30a,30b)とを非導通とする非導通状態のいずれかの状態に設定する。
本実施形態では、制動回路20は、分路として、分路30cをさらに有しており、スイッチ回路20aは、電源90と分路30cとの電気的な接続状態を、電源90と分路30cとを導通させる導通状態、及び、電源90と分路30cとを非導通とする非導通状態のいずれかの状態に設定する。
スイッチ回路20aは、第2の制御部18からの制御信号を受信していない場合には、導通状態に設定する。なお、第2の制御部18が故障した場合には、第2の制御部18から制御信号は出力されなくなる。導通状態の場合には、下アーム側のスイッチング素子16d、16eのゲートに、電源90により印加される第1の電圧V1をもとにした電圧が印加されるため、スイッチング素子16d、16eはオンとなる。なお、スイッチング素子16d、16eをオンにさせることを、スイッチング素子16d、16eを導通状態に設定するともいう。また、スイッチ回路20aが導通状態である場合には、スイッチ回路55のスイッチング素子55aのゲートに、電源90により印加される第1の電圧V1をもとにした電圧が印加されるため、スイッチング素子55aはオンとなる。スイッチング素子55aがオンになると、電機子コイル5aの所定部分(略中央部分5d)は、接地される。したがって、スイッチ回路20aが導通状態である場合、モータ5は、短絡制動される。すなわち、スイッチ回路20aは、検知対象回路に故障が発生した場合に、導通状態に設定することにより、2つのスイッチングレグ16ad,16beの下アーム側のスイッチング素子16d,16eを導通状態に設定してモータ5を短絡制動させる。
また、スイッチ回路20aは、第2の制御部18からの制御信号がハイ(high)レベル(ON)である場合にも、導通状態に設定する。したがって、この場合にも、モータ5が短絡制動される。なお、第2の制御部18は、故障を検知した場合に、ハイレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力する。
一方、スイッチ回路20aは、第2の制御部18からの制御信号がロー(low)レベル(OFF)である場合には、非導通状態に設定する。この場合には、下アーム側のスイッチング素子16d、16eのゲートに電源90に基づく電圧が印加されないため、第1の制御部19が出力する駆動信号に応じて、モータ5が回転する。なお、第2の制御部18は、故障を検知していない場合に、ローレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力する。
上述したように、スイッチ回路20aは、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合に、電源90と2つの分路30a,30bとの接続状態を導通状態に設定することにより、下アーム側のスイッチング素子16d、16eを導通状態に設定する(スイッチング素子16d、16eを導通させる)とともに、電機子コイル5aの所定部分(略中央部分5d)が接地されるように、スイッチ回路55を制御して、モータ5を短絡制動させる。
ここで、例えば、下アーム側のスイッチング素子16d、16eのうち、いずれかのスイッチング素子のゲートとソースとの間がショート(短絡)した場合には、ヒューズ抵抗31a、31bのうち、ショートしたスイッチング素子に接続されているヒューズ抵抗に、所定量以上の電流が流れるため、ショートしたスイッチング素子とスイッチ回路20aとの電気的な接続が遮断され、スイッチ回路20aに多大な電流が流れることを防止することができる。
なお、下アーム側のスイッチング素子16d、16e及びスイッチング素子55aのうち、少なくとも2つのスイッチング素子が正常に動作を行うことができれば、インバータ回路16は、モータ5を短絡制動させることができる。すなわち、本実施形態によれば、スイッチング素子16d、16eのうちいずれかのスイッチング素子が故障したとしても、スイッチ回路55のスイッチング素子55aが故障していなければ、インバータ回路16は、モータ5を短絡制動させることができる。
図4は、制動回路の一例を説明するための図である。図4の例に示すように、制動回路20は、スイッチ回路20a、ヒューズ抵抗31a及びダイオード32aを有する分路30a、並びに、ヒューズ抵抗31b及びダイオード32bを有する分路30bを有する。
スイッチ回路20aは、抵抗33、34、スイッチング素子35、抵抗36、37、スイッチング素子38を含む。スイッチング素子35は、トランジスタであり、スイッチング素子38は、p型MOSFETである。抵抗33の一端は、電源補助回路21の抵抗21bに接続され、他端は、スイッチング素子35のベースに接続されている。抵抗34の一端は、スイッチング素子35のベースに接続され、他端は、接地されている。スイッチング素子35のエミッタは接地され、コレクタは抵抗36の一端に接続されている。抵抗36の他端は、スイッチング素子38のゲートに接続されている。抵抗37の一端は、スイッチング素子38のゲートに接続され、他端は、スイッチング素子38のソースに接続されている。スイッチング素子38のソースは、ヒューズ66を介して電源90に接続され、ドレインは、分路30a〜30c(ヒューズ抵抗31a、31b)に接続されている。
まず、第2の制御部18が、スイッチ回路20aに制御信号を出力していない場合について説明する。なお、第2の制御部18は、図2、図4のそれぞれで記号fで示される接続点、及び、抵抗33を介してスイッチング素子35のベースに接続されている。制御信号を出力していない場合、レギュレータ21aは、定電圧、例えば、5Vの電圧を生成し、生成した5Vの電圧をスイッチング素子35のベースに印加する。これにより、スイッチング素子35がオンになる。スイッチング素子35がオンになると、スイッチング素子38のゲート電圧が低くなり、スイッチング素子38がオンになる。すなわち、スイッチ回路20aは、上述した導通状態となる。このため、モータ5は、短絡制動される。
次に、第2の制御部18が、スイッチ回路20aにハイレベルの制御信号を出力した場合について説明する。この場合には、図4に示すように、ハイレベルの制御信号がスイッチング素子35のベースに出力され、スイッチング素子35がオンになり、スイッチング素子38もオンになる。これにより、スイッチ回路20aが、上述した導通状態となり、モータ5が、短絡制動される。
次に、第2の制御部18が、スイッチ回路20aにローレベルの制御信号を出力した場合について説明する。この場合には、図4に示すように、ローレベルの制御信号がスイッチング素子35のベースに出力され、スイッチング素子35がオフとなり、スイッチング素子38もオフになる。これにより、スイッチ回路20aが、上述した非導通状態となり、モータ5は、短絡制動されない。
次に、第2の制御部18による制動回路20の制御について説明する。
図2に示すように、コンパレータ18aの非反転入力端子に、電源18cが接続され、反転入力端子に、抵抗63と抵抗64との間(抵抗65と抵抗64との間)の接続点68が信号線70を介して接続される。すなわち、コンパレータ18aの反転入力端子に、接続点60における電圧(第2の電圧V2)が抵抗63及び抵抗64により分圧された電圧と、定電圧生成部19aが生成した定電圧、例えば、5Vが抵抗65及び抵抗64により分圧された電圧との合成電圧である第4の電圧V4が入力される。すなわち、第4の電圧V4は、第2の電圧V2、及び、第1の制御部19の定電圧生成部19aにより第2の電圧V2に基づいて生成された電圧に基づく電圧である。
電源18cがコンパレータ18aの非反転入力端子に印加する電圧の電圧値は、例えば、入力信号処理回路50のメインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15のうちいずれかの回路に故障が発生した場合の接続点68における電圧よりも大きく、メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14及び平滑回路15に故障が発生していない場合の接続点68における電圧よりも小さいという条件を満たす。すなわち、いずれかの回路が故障している場合と、全ての回路が故障していない場合とを判別できるような電圧値が用いられる。
更に、電源18cがコンパレータ18aの非反転入力端子に印加する電圧の電圧値は、例えば、第1の制御部19に故障が発生した場合の接続点68における電圧よりも大きく、第1の制御部19に故障が発生していない場合の接続点68における電圧よりも小さいという条件も満たす。すなわち、第1の制御部19が故障している場合と故障していない場合とを判別できるような電圧値が用いられる。
コンパレータ18aの出力端子は、図2、図4のそれぞれで記号fで示される接続点を介して、スイッチ回路20aに接続されている。具体的には、コンパレータ18aの出力端子は、図4に示すように、電源補助回路21の抵抗21bとスイッチ回路20aの抵抗33との接続点に接続されている。コンパレータ18aは、反転入力端子に印加された第4の電圧V4の電圧値が、非反転入力端子に印加された電圧値よりも大きい場合には、ローレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力する。したがって、入力信号処理回路50の全ての回路が故障しておらず、また、第1の制御部19が故障していない場合には、コンパレータ18aの出力端子は、ローレベルの信号をスイッチ回路20a(図2の記号fで示される接続点)に出力する。この場合、モータ5は、短絡制動されない。
一方、コンパレータ18aは、反転入力端子に印加された第4の電圧V4の電圧値が、非反転入力端子に印加された電圧値よりも小さい場合には、ハイレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力する。したがって、入力信号処理回路50のいずれかの回路が故障しているか、または、第1の制御部19が故障している場合には、コンパレータ18aの出力端子は、ハイレベルの信号をスイッチ回路20aに出力する。この場合、モータ5は、短絡制動される。
すなわち、第2の制御部18のコンパレータ18aは、第4の電圧V4と所定の閾値とを比較することにより、入力信号処理回路50と第1の制御部19の少なくともどちらかの故障の有無を検知する。そして、第2の制御部18のコンパレータ18aは、故障を検知した場合には、制動回路20を制御してインバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。
短絡制動判定部18bは、FG出力部19bから出力されたFG信号と、速度指令入力端子23に入力されたPWM信号とを用いて、短絡制動を行わせるか否かの判定を行う短絡制動判定処理を実行する。
図5は、実施形態に係る短絡制動判定部18bが実行する短絡制動判定処理のフローチャートである。図5の例に示すように、短絡制動判定部18bは、FG信号が示すモータ5の回転速度と、PWM信号が示すモータ5の目標回転速度との差が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS101)。
モータ5の回転速度と、モータ5の目標回転速度との差が所定の閾値未満である場合(ステップS101;No)には、インバータ回路16が故障していないと考えられるため、短絡制動判定部18bは、ローレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力し(ステップS102)、ステップS101に戻る。
一方、モータ5の回転速度と、モータ5の目標回転速度との差が所定の閾値以上である場合(ステップS101;Yes)には、インバータ回路16が故障していると考えられるため、短絡制動判定部18bは、ハイレベルの制御信号をスイッチ回路20aに出力し(ステップS103)、ステップS101に戻る。
第2の制御部18の短絡制動判定部18bは、短絡制動判定処理を実行することで、インバータ回路16が故障していると考えられる場合に、モータ5を短絡制動させることができる。すなわち、第2の制御部18の短絡制動判定部18bは、モータ5の目標回転速度と、モータ5の回転速度とを比較することにより、インバータ回路16の故障の有無を検知する。そして、第2の制御部18の短絡制動判定部18bは、インバータ回路16の故障を検知した場合には、制動回路20を制御してインバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。なお、上述したように、スイッチング素子16d、16eのうちいずれかのスイッチング素子が故障したとしても、インバータ回路16は、スイッチング素子55aが故障していなければ、モータ5を短絡制動させることができる。
ここで、第2の制御部18に故障が発生した場合について説明する。動作中は制動回路20を制御する制御信号を出力する第2の制御部18に故障が発生すると、第2の制御部18から制御信号がスイッチ回路20aに出力されなくなる。このため、上述したように、制動回路20は、第2の制御部18からの制御信号の出力が途絶えた場合に、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。したがって、第2の制御部18が故障した場合であっても、モータ5を短絡制動させることができる。
すなわち、第1の実施形態では、駆動回路(入力信号処理回路50、インバータ回路16)、制御部17(第1の制御部19、第2の制御部18)のいずれかが故障した場合には、モータ5を短絡制動させて、故障発生後、モータ5をロックさせ続ける。
図6は、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10の動作を示すタイミングチャートである。図6は、メインヒューズ12が故障した場合のタイミングチャートである。
図6に示すように、時刻T1において、電源90から第1の電圧V1として、12Vの直流電圧が印加されると、第2の制御部18は、起動に時間を要する所定の期間(時刻T1〜T2)は、制御信号を出力しない(すなわち、OPENとなる)。したがって、時刻T1においてモータ5の短絡制御が開始(ON)される。
そして、時刻T2になると、接続点60における電圧(第2の電圧V2)が12Vとなり、第1の制御部19が起動する(ON)。また、時刻T2で、第2の制御部18が起動する(ON)。ただし、この時点では、第2の制御部18は、ハイレベル(ON)の制御信号を出力するのか、ローレベル(OFF)の制御信号を出力するのかを決定していないため、制御信号は出力しないままである。したがって、時刻T2においてもモータ5の短絡制御が維持(ON)される。
そして、時刻T3になると、第2の制御部18は、駆動回路(入力信号処理回路50、インバータ回路16)及び第1の制御部19のいずれも故障していないため、ローレベル(OFF)の制御信号を出力する。これにより、モータ5の短絡制御が解除(OFF)される。
そして、時刻T4において、メインヒューズ12が故障すると、接続点60における電圧が0Vに下がるため、第2の制御部18は、ハイレベル(ON)の制御信号を出力する。これにより、モータ5の短絡制御が再び開始(ON)される。なお、時刻T4において、メインヒューズ12が故障したことにより、第1の制御部19に電圧が印加されなくなるため、第1の制御部19は動作不能(OFF)となる。
以上、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10、ファンモータ4、電子機器1について説明した。第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10、ファンモータ4、電子機器1によれば、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合に、制動回路20は、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。したがって、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10、ファンモータ4、電子機器1によれば、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合であっても、モータ5の回転をロックさせることができる。
この結果、複数のファンモータ4のうち、一部のファンモータ4が故障することにより起こるバックフロー(逆流)現象による電子機器1の冷却性能低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。第2の実施形態に係る第2の制御部18dは、第1の実施形態に係る第2の制御部18よりも、ピン数が少ない。
図7は、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置の一例を示すブロック図である。図7に示すように、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置10aの制御部17aは、抵抗63〜65を有さない。また、本実施形態の第2の制御部18dは、第1の実施形態に係るコンパレータ18a、電源18cを有さない。また、本実施形態では、定電圧生成部19aが定電圧、例えば、5Vの直流電圧を第5の電圧V5として、第2の制御部18dに印加する。すなわち、定電圧生成部19aは、第2の電圧V2をもとに第5の電圧V5を生成し、生成した第5の電圧V5を第2の制御部18dに印加する。第2の制御部18dは、印加される第5の電圧V5により動作する。一方、入力信号処理回路50及び第1の制御部19のいずれかの回路に故障が発生した場合、第2の制御部18dは、第5の電圧V5が印加されない(0Vの電圧が印加される)ため、動作しない。この場合、第2の制御部18dは、制動回路20に制御信号を出力しないので、制動回路20は、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。以上のことから、第2の制御部18dは、第5の電圧の大きさにより検知対象回路の一例である入力信号処理回路50及び第1の制御部19の故障の有無を検知する。そして、第2の制御部18dは、入力信号処理回路50及び第1の制御部19の故障を検知した場合には、インバータ回路16を制御してインバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。
図7に示す第2の制御部18dと、図2に示す第2の制御部18とを比較すると、レギュレータ21aから第3の電圧V3が印加されるピン、及び、コンパレータ18aの出力端子から出力される制御信号をスイッチ回路20aに出力するピンの2つのピンだけ第2の制御部18dのほうが少ない。したがって、マイクロコンピュータである第2の制御部18dの小型化、及び低価格化を図ることができる。
また、本実施形態の制御部17aは、第1の実施形態の制御部17と比較すると、抵抗63〜65等の部品を有さないため、より少ない部品で制御部17aを製造することができる。また、部品の数が少ないため、制御部17aのほうが、回路の簡素化、及び、低価格化につながる。
第2の実施形態に係る第1の制御部19は、第1の実施形態と同様に、第1の電力供給ライン11を介して電源90により印加される第1の電圧V1をもとに生成された第2の電圧V2が電力供給ライン11bを介して印加されることにより動作し、インバータ回路16を制御してモータ5を回転駆動させる。また、第2の実施形態に係る第1の制御部19の定電圧生成部19aは、電力供給ライン11bを介して印加される第2の電圧V2から生成した第5の電圧V5を第2の制御部18dに印加する。
また、第2の実施形態に係る第2の制御部18dの短絡制動判定部18bは、第1の実施形態と同様に、モータ5の目標回転速度と、モータ5の回転速度とを比較することにより、インバータ回路16の故障の有無を検知する。そして、第2の実施形態に係る第2の制御部18dの短絡制動判定部18bは、インバータ回路16の故障を検知した場合には、制動回路20を制御してインバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。
なお、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態に係る第2の制御部18dが故障した場合には、制動回路20は、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。
以上、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置10aについて説明した。第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置10aによれば、第1の実施形態に係るモータ駆動制御装置10と同様に、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合に、制動回路20が、インバータ回路16にモータ5を短絡制動させる。したがって、第2の実施形態に係るモータ駆動制御装置10aによれば、検知対象回路にモータ5の回転駆動ができなくなる故障が発生した場合であっても、モータ5の回転をロックさせることができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図8は、第3の実施形態に係るモータ駆動制御装置10bの一例を示すブロック図である。図8に示すように、第3の実施形態に係るモータ駆動制御装置10bは、制御部17bに第1の制御部19及び第2の制御部80(第3のスイッチ回路の一例)を有する。
第2の制御部80は、スイッチング素子80a、抵抗80b、80cを有する。スイッチング素子80aは、トランジスタである。抵抗80bの一端は、定電圧生成部19aに接続され、他端は、スイッチング素子80aのベースに接続される。抵抗80cの一端は、スイッチング素子80aのベースに接続され、他端は、接地される。スイッチング素子80aのエミッタは、接地され、コレクタは、スイッチ回路20a(具体的には、図4に示す電源補助回路21の抵抗21bとスイッチ回路20aの抵抗33との接続点)に接続される。
第3の実施形態に係る第1の制御部19の定電圧生成部19aは、第1の制御部19に第2の電圧V2が印加されて第1の制御部19が動作可能な状態である場合に、第2の電圧V2を用いて定電圧、例えば、5Vの電圧を生成し、生成した5Vの電圧を、第6の電圧V6として第2の制御部18のスイッチング素子80aのベースに印加する。
スイッチング素子80aは、制動回路20と第2の所定電位(0V)を有する第2の所定部位(グランド)との間に設けられ、定電圧生成部19aにより、所定の電圧値(例えば、5V)以上の第6の電圧V6が印加された場合には、制動回路20とグランドとを導通させて、スイッチ回路20aをオフさせる。すなわち、スイッチング素子80aは、定電圧生成部19aにより導通電圧以上の第6の電圧V6が印加された場合には、制動回路20に、インバータ回路16によるモータ5の短絡制動を停止させる信号を出力する。一方、スイッチング素子80aは、定電圧生成部19aにより所定の電圧値(5V)よりも低い電圧値の第6の電圧V6が印加された場合(例えば、0Vが印加された場合)には、制動回路20とグランドとを非導通として、スイッチ回路20aをオンさせる。すなわち、スイッチング素子80aは、制動回路20に、インバータ回路16によるモータ5の短絡制動を実施させる信号を出力する。
図9は、第3の実施形態に係るモータ駆動制御装置10bの動作を示すタイミングチャートである。図9は、メインヒューズ12が故障した場合のタイミングチャートである。
図9に示すように、時刻T6において、電源90から第1の電圧V1として、12Vの直流電圧が印加されると、第1の制御部19は、起動に時間を要する所定の期間(時刻T6〜T7)は、導通電圧を第2の制御部80に印加しない。これにより、第2の制御部80から出力される信号は、OPENとなる。したがって、時刻T6においてモータ5の短絡制御が開始(ON)される。
そして、時刻T7になると、第1の制御部19への12Vの直流電圧(駆動電圧;第2の電圧V2)の印加が開始され、第1の制御部19が起動する(ON)。
そして、時刻T8になると、第1の制御部19は、入力信号処理回路50(メインヒューズ12、逆接続保護回路13、突入電流防止回路14、平滑回路15)、インバータ回路16及び第1の制御部19のいずれも故障していないため、導通電圧以上の第6の電圧V6を第2の制御部80に印加する。これにより、第2の制御部80は、ローレベル(OFF)の制御信号を制動回路20に出力するので、モータ5の短絡制御が解除(OFF)される。
そして、時刻T9において、メインヒューズ12が故障すると、第1の制御部19に印加される第2の電圧V2の電圧値が0Vに下がるため、第2の制御部80は、ハイレベル(ON)の制御信号を制動回路20に出力する。これにより、モータ5の短絡制御が再び開始(ON)される。
第3の実施形態に係るモータ駆動制御装置10bによれば、第2の制御部80として、高価なマイクロコンピュータではなく、安価なスイッチング素子80aを含む第3のスイッチ回路を用いる。また、モータ駆動制御装置10bと、モータ駆動制御装置10とを比較すると、モータ駆動制御装置10bのほうが、抵抗63〜65や信号線69等の部品を有さないため、より少ない部品で製造することができる。したがって、モータ駆動制御装置10bによれば、回路の簡素化、及び、低価格化を実現することができる。
(変形例)
第1〜第3の実施形態の変形例について説明する。第1〜第3の実施形態において、汎用ICにより実現される第1の制御部19が、モータ5を短絡制動させるために、下アーム側のスイッチング素子16d、16eのゲート端子に、電圧を印加しても、汎用ICの内部回路を通して電流が流出してしまい、スイッチング素子16d、16eの駆動電圧の低下や制動回路20の損失が増加する場合がある。
この対策として、スイッチング素子16d、16eのゲート抵抗の抵抗値を高くすることが考えられる。しかしながら、抵抗値を高くすると、スイッチングスピードが遅くなり、スイッチング素子16d、16eの損失増加による発熱、効率低下が問題となる。
そこで、第1〜第3の実施形態の変形例では、通常時(短絡制動ではないモータ5の駆動制御時)のスイッチング素子16d、16eの駆動(スイッチングのオン/オフのスピード)を遅くせずに、制動回路20を動作させてモータ5の短絡制動を行う際(短絡制動時)に、汎用ICにより実現される第1の制御部19内に流れ込む電流を抑える損失抑制回路を、第1の制御部19とスイッチング素子16dとの間、及び、第1の制御部19とスイッチング素子16eとの間に設ける。
図10を参照して、損失抑制回路の一例について説明する。なお、以下、スイッチング素子16dと第1の制御部19との間に設けられた損失抑制回路について説明するが、スイッチング素子16eと第1の制御部19との間にも同様の損失抑制回路が設けられている。
図10は、変形例に係る損失抑制回路の一例を示す図である。図10の例に示すように、損失抑制回路85は、スイッチング素子16dと第1の制御部19との間に設けられている。損失抑制回路85は、抵抗85a、85bと、コンデンサ85cとを備えている。
損失抑制回路85は、抵抗(第1の抵抗)85bとコンデンサ85cとの並列回路に抵抗(第2の抵抗)85aが直列に接続された回路である。抵抗85bの抵抗値は、例えば、1000[Ω]であり、抵抗85aの抵抗値は、例えば、100[Ω]である。
損失抑制回路85のコンデンサ85cの効果により、スイッチング素子16dの通常時のスイッチングのオン/オフのスピードが、抵抗85bが存在しない場合と略同等の特性となり、損失がほとんど増加しない。
また、短絡制動時には、抵抗85aが抵抗85bに直列に挿入されるのと同等の特性となり、第1の制御部19内に流れ込む電流を抑制することができる。
以上、変形例に係る損失抑制回路85について説明した。損失抑制回路85によれば、通常時のスイッチング素子16d、16eの駆動を遅くせずに、短絡制動時に、第1の制御部19内に流れ込む電流を抑えることができる。
また、短絡制動時に、第1の制御部19内に流れ込む電流を抑えられるため、制動回路20の損失が抑制され、制動回路20の消費電力を抑えることができる。
以上、実施形態及び実施形態の変形例について説明したが、上記実施の形態及び上記変形例により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、入力信号処理回路50の回路構成は、上記の実施形態に限定されず、適宜、一部の回路が削除され、あるいは、新たな回路が追加されてもよい。また、実施形態及び実施形態の変形例においては、ヒューズ66、67は、必須の構成ではない。また、制動回路20の第3の分路30c、スイッチ回路55は、本発明の必須の構成ではない。