JP2018045893A - スパークプラグ - Google Patents

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裕貴 徳丸
Hirotaka Tokumaru
裕貴 徳丸
坂倉 靖
Yasushi Sakakura
靖 坂倉
征信 長谷川
Masanobu Hasegawa
征信 長谷川
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Abstract

【課題】熱応力による変形や電極チップの破損を抑制できるスパークプラグを提供すること。【解決手段】チップ本体の周りに配置される中間部材は、自身と電極母材とに跨る溶融部が形成される。中間部材は、第1端部から第2端部へと延びる電極母材の軸とチップ本体の軸とを含む平面に垂直な仮想平面であって、チップ本体の軸を含む仮想平面よりも第1端部側に、自身と電極母材とに跨る溶融部とチップ本体との距離が、仮想平面よりも第2端部側全体における距離よりも短い第1部を備える。中間部材とチップ本体とに跨る溶融部は、第1部およびチップ本体に跨って形成される第1溶融部と、第1部以外の中間部材の第2部およびチップ本体に跨って形成される第2溶融部と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明はスパークプラグに関し、特に貴金属を含む電極チップを接地電極に設けたスパークプラグに関するものである。
貴金属を主体とするチップ本体の側面を取り囲む中間部材とチップ本体とが溶融部によって接合される電極チップを、接地電極の電極母材に形成された凹部に嵌め込んだスパークプラグが知られている(特許文献1及び特許文献2)。特許文献1及び特許文献2に開示される技術では、中間部材が電極母材に接合される。
特開2009−283262号公報 特開2013−143211号公報
しかし、上述した従来の技術では、チップ本体と中間部材とが溶融部によって強固に接合されると、チップ本体と電極母材との熱膨脹差に起因する熱応力によって、電極母材が変形したりチップ本体が破断したりする可能性がある。また、熱応力によって溶融部とチップ本体との界面や溶融部にクラックが発生し、そのクラックが過度に進行すると、チップ本体が中間部材から脱落する可能性がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、熱応力による変形や電極チップの破損を抑制できるスパークプラグを提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載のスパークプラグによれば、軸線に沿って延びる中心電極が、軸線に沿って形成された絶縁体の軸孔に配置される。絶縁体の外周に配置される主体金具に接地電極が接合される。接地電極の電極母材は、第1端部が主体金具に接合され第2端部が中心電極と対向する。接地電極の電極チップは、電極母材の中心電極と対向する位置に形成された凹部に少なくとも一部が嵌め込まれた状態で、電極母材に接合される。電極チップは、貴金属を主体とするチップ本体と、チップ本体の側面を取り囲む中間部材とを備え、中間部材とチップ本体とに跨る溶融部が形成される。
中間部材は、自身と電極母材とに跨る溶融部が形成される。第1端部から第2端部へと延びる電極母材の軸とチップ本体の軸とを含む平面に垂直な仮想平面であって、チップ本体の軸を含む仮想平面よりも第1端部側に中間部材の第1部は存在する。第1部と電極母材とに跨る溶融部とチップ本体との距離は、仮想平面よりも第1部以外の第2端部側全体における距離よりも短い。中間部材とチップ本体とに跨る溶融部は、第1溶融部が、第1部およびチップ本体に跨って形成され、第2溶融部が、第2部およびチップ本体に跨って形成される。
従って、第1溶融部に溶融する中間部材の量に比べて、第2溶融部に溶融する中間部材の量を相対的に多くできる。これにより、スパークプラグの使用環境における第2溶融部の線膨張係数を中間部材の線膨張係数に近づけられる一方で、第1溶融部の線膨張係数を、チップ本体の線膨張係数と中間部材の線膨張係数との間にできる。その結果、第1溶融部は中間部材とチップ本体との間で熱応力を緩和し、第1溶融部は中間部材とチップ本体とを接続する。
一方、第2溶融部はチップ本体との熱膨脹差が大きいので、第1溶融部やチップ本体が破断する前に、第2溶融部とチップ本体との界面にクラックを生じ易くできる。第2溶融部とチップ本体との界面にクラックが発生すると、溶融部の熱応力は解放される。その結果、第1溶融部やチップ本体の破断や電極母材の変形を抑制できる。よって、電極母材の変形や電極チップの破損を抑制できる効果がある。
第2溶融部とチップ本体との界面にクラックが生じても、第1端部側に存在する第1溶融部によって、主体金具からチップ本体までの導電経路を確保できる。第1溶融部が第2端部側に存在する場合に比べて、主体金具からチップ本体までの第1溶融部を経由する導電経路を短くできるので、損失や特性劣化を生じ難くできる効果がある。
請求項2記載のスパークプラグによれば、チップ本体の軸に垂直な断面において、電極チップは、チップ本体の軸が中間部材の外縁の中心よりも第1端部側にずれている。中間部材の外縁の形状やチップ本体の形状を変えずに第1部と第2部とを形成できるので、中間部材に溶融部を形成する装置や電極母材およびチップ本体の資材を従来通り使用できる。よって、請求項1の効果に加え、従来の装置や資材を大幅に変更することなく電極チップを製造できる効果がある。
請求項3記載のスパークプラグによれば、第1部は、中間部材のうち最も第1端部側に位置するので、主体金具からチップ本体までの第1溶融部を経由する導電経路を最短にできる。よって、請求項1又は2の効果に加え、損失や特性劣化をより生じ難くできる効果がある。
請求項4記載のスパークプラグによれば、チップ本体の軸に垂直な断面において、第1溶融部のうちチップ本体に形成される部分は、全体が、チップ本体の軸を通る2つの直線のなす角が90°以下の所定角度を有する第1領域内に存在する。第1溶融部の体積が制約されるので、熱応力によって第1溶融部に作用する力を抑制できる。その結果、請求項1から3のいずれかの効果に加え、スパークプラグの使用環境において第1溶融部が破断しないようにできる効果がある。また、第1溶融部による中間部材とチップ本体との接合強度が過大にならないようにできるので、電極母材が変形したりチップ本体が破断したりすることを抑制できる効果がある。
第2溶融部のうちチップ本体に形成される部分は、少なくとも一部が、第1溶融部のうちチップ本体に形成される部分に接しチップ本体の軸を通る2つの接線を、チップ本体の軸を挟んで第1溶融部とは反対側に延長して形成される第2領域内に存在する。その結果、請求項1から3のいずれかの効果に加え、第2溶融部と第1領域に存在する第1溶融部とにより、チップ本体を中間部材にバランス良く保持できる効果がある。
本発明の第1実施の形態におけるスパークプラグの片側断面図である。 接地電極の平面図である。 図2のIII−III線における接地電極の断面図である。 図3のIV−IV線における接地電極の断面図である。 第2実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。 第3実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。 第4実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。 第5実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。 第6実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。 第7実施の形態におけるスパークプラグの接地電極の断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態におけるスパークプラグ10について、軸線Oを境に外形図(紙面左側)及び軸線Oを含む面で切断した全断面図(紙面右側)を示した片側断面図である。図1では、紙面下側をスパークプラグ10の先端側、紙面上側をスパークプラグ10の後端側という。図1に示すようにスパークプラグ10は、主体金具11、接地電極12、絶縁体17及び中心電極19を備えている。
主体金具11は、内燃機関のねじ穴(図示せず)に固定される略円筒状の部材である。接地電極12は、第1端部14が主体金具11の先端に接合される金属製(例えばニッケル基合金製)の電極母材13と、電極母材13の第2端部15に接合される電極チップ16(図2、図3参照)とを備えている。電極母材13は、第1端部14に対して第2端部15側が中心電極19へ向けて屈曲する棒状の部材である。
絶縁体17は、機械的特性や高温下の絶縁性に優れるアルミナ等により形成された略円筒状の部材である。絶縁体17は、軸線Oに沿って軸孔18が貫通し、外周に主体金具11が固定される。中心電極19は、軸孔18に挿入されて軸線Oに沿って絶縁体17に保持される棒状の電極である。中心電極19は、火花ギャップを介して接地電極12と対向する。端子金具20は、高圧ケーブル(図示せず)が接続される棒状の部材であり、先端側が絶縁体17内に配置される。
スパークプラグ10は、例えば、以下のような方法によって製造される。まず、中心電極19を絶縁体17の軸孔18に挿入する。中心電極19は先端が軸孔18から外部に露出するように配置される。軸孔18に端子金具20を挿入し、端子金具20と中心電極19との導通を確保した後、予め電極母材13が接合された主体金具11を絶縁体17の外周に組み付ける。電極母材13に電極チップ16を接合した後、電極チップ16が中心電極19と軸線O方向に対向するように電極母材13を屈曲して、スパークプラグ10を得る。
図2及び図3を参照して、電極チップ16が接合された電極母材13について説明する。図2は接地電極12の平面図(スパークプラグ10の軸線O方向の後端側から見た図)であり、図3は図2のIII−III線における接地電極12の断面図である。図2及び図3では、電極母材13の第2端部15が図示されており、電極母材13の第1端部14側は図示が省略されている。図2では、中間部材26の外縁27及び凹部21の内縁(いずれも溶融前の輪郭)が破線で図示されている。
電極母材13は、Niを主体とする合金またはNiからなる部材であり、中心電極19(図1参照)の先端と対向する位置に凹部21が形成されている。凹部21(図3参照)は電極母材13に形成された有底の窪みである。図2に示すように、電極母材13は第1端部14(図1参照)側から第2端部15へと延びる軸22を有している。電極母材13の軸22は中心電極19(図1参照)の軸線Oと直交する。凹部21は、平面視において電極母材13の軸22の上に形成されている。凹部21は、電極チップ16の少なくとも一部が嵌め込まれる部位である。凹部21に嵌め込まれた電極チップ16は、火花ギャップを介して中心電極19と対向する。本実施の形態では、電極母材13はNCF600等のニッケル基合金によって形成されるが、これに限定されるものではない。
電極チップ16は、チップ本体23と、チップ本体23の側面25を取り囲む中間部材26とを備えている。チップ本体23は、溶融部(第1溶融部32及び第2溶融部33)によって中間部材26に接合されており、中間部材26は、溶融部34によって電極母材13に接合されている。溶融部34は中間部材26の外縁27の全周に亘って設けられる。本実施の形態では、溶融部34はパルス発振レーザのビームが走査されることにより連続的に形成されている。
チップ本体23は、電極母材13よりも耐火花消耗性の高い白金、イリジウム、ルテニウム、ロジウム等の貴金属または貴金属を主成分とする合金によって形成される部材である。本実施の形態では、チップ本体23は平面視が円形の板材である。また、チップ本体23は、自身の中心を通る軸24が軸線Oと一致するように配置されている。本実施の形態では、チップ本体23はイリジウムを主体とする貴金属合金によって形成されるが、これに限定されるものではない。
中間部材26は、チップ本体23の側面25を取り囲む環状の部材である。中間部材26は、電極母材13と同様にNiを主体とする合金またはNiから形成される。中間部材26と電極母材13との熱膨脹差を小さくするためである。本実施の形態では、中間部材26はNCF600等のニッケル基合金によって形成されるが、これに限定されるものではない。
中間部材26は、軸24に垂直な軸直角方向の厚さ(図2において、チップ本体23の軸24を通る直線から、外縁27と内縁28とが切り取る線分の長さ)が、中間部材26の周方向において異なる。これは、チップ本体23の軸24(中心)が、中間部材26の外縁27の中心29に対して第1端部14(図1参照)側に距離Dだけ軸22上にずれていることによる。距離Dは、チップ本体23や中間部材26の大きさにもよるが、溶融部34がチップ本体23を接合しないように0.1mm〜2mmに設定される。
電極母材13は、自身の軸22とチップ本体23の軸24とを含む平面(図2紙面に垂直で左右に延びる平面)に垂直で、チップ本体23の軸24を含む仮想平面35(図2紙面に垂直で上下に延びる平面)が設定される。中間部材26は、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側(図2左側)の軸直角方向の厚さが、仮想平面35よりも第2端部15側(図2右側)の軸直角方向の厚さより薄くなるように電極母材13に配置される。
第1部30は、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する中間部材26の一部である。第1部30は、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する溶融部34とチップ本体23の側面25との距離(中間部材26の軸直角方向の厚さ)D1が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する溶融部34とチップ本体23の側面25との距離D2のうちの最短距離よりも短い部分である。第2部31は、中間部材26の第1部30以外の部分であり、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。
図2に示された距離D2は、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側の溶融部34のうち仮想平面35に最も近い部分とチップ本体23との最短距離である。その場合にD1<D2なので、全ての溶融部34においてD1<D2が成立する。
本実施の形態では、中間部材26のうち仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側の部分は全て第1部30であり、中間部材26のうち仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側の部分は全て第2部31である。また、第1部30における距離D1は、仮想平面35から離れるにつれて次第に小さくなり(軸22と重なる部分が最小)、第2部31における距離D2は、仮想平面35から離れるにつれて次第に大きくなる(軸22と重なる部分が最大)。
図3に示すように、電極チップ16はチップ本体23が電極母材13からわずかに突出した状態で凹部21に収容される。第1溶融部32は中間部材26の第1部30とチップ本体23とに跨る溶融部である。第2溶融部33は中間部材26の第2部31とチップ本体23とに跨る溶融部である。第1溶融部32及び第2溶融部33は、形状が、中間部材26からチップ本体23の軸24へ向かうにつれて断面積が次第に小さくなる楔状(円錐状)に形成されている。第1溶融部32及び第2溶融部33は、軸24と直交する方向(図3左右方向)において、略同一の長さに設定されている。溶融部34は、チップ本体23の軸24に沿って延びる部位であり、中間部材26と電極母材13とに跨る円柱状に形成されている。
第1溶融部32及び第2溶融部33は、チップ本体23の側面25を中間部材26が取り囲んだ状態で、中間部材26の側面(外周)から軸24と直交する方向へレーザビームを照射して形成される。第1溶融部32及び第2溶融部33により、チップ本体23と中間部材26とが接合された電極チップ16が作られる。第1溶融部32及び第2溶融部33を形成するレーザとしては、例えばYAGレーザ、ディスクレーザ、ファイバーレーザ等の固体レーザを用いることができる。
溶融部34は、電極母材13の凹部21に電極チップ16を嵌め込んだ状態で、中間部材26と電極母材13との境界に向けて軸24と平行にレーザビームを照射して形成される。溶融部34を形成するためのレーザビームを照射する前に、電極チップ16と電極母材13(凹部21)とを抵抗溶接しても良い。溶融部34は、中間部材26の外周部分、第1溶融部32及び第2溶融部33の外周部分、凹部21(電極母材13)の内周部分が溶融してなるので、中間部材26、チップ本体23及び電極母材13の成分が混合されている。
溶融部34(図2参照)は、レーザビームのスポットをずらしながら重ねることにより形成される。溶接条件の設定を容易にするため、全てのスポットの直径は略同一に設定される。そのため、溶融部34の幅W(スポットの直径の部分)は、どこをとっても略同じである。一般に、中間部材26の外縁27上にスポットの中心がくるようにレーザビームが照射されるので、溶融部34は、中間部材26の中心29を中心とする幅Wの円状に形成される。従って、中間部材26の外縁27の全周が溶融部34に溶けてしまっても、溶融部34とチップ本体23との距離D1,D2に基づいて、溶かされる前の中間部材26の軸直角方向の厚さの大小をほぼ正確に推定できる。
溶融部34を作るためにレーザビームによって溶かされた中間部材26及び電極母材13の成分は、第1溶融部32及び第2溶融部33の外周部分に略均等に溶け込む。そのため、第1溶融部32及び第2溶融部33の成分は、溶融した中間部材26の体積とチップ本体23の体積との比率に依存する。中間部材26の第1部30は第2部31よりも軸直角方向の寸法が小さいので、第1溶融部32は、第2溶融部33に比べて、溶融したチップ本体23の体積の比率が高い。よって、第1溶融部32は、チップ本体23に由来する成分が第2溶融部33に比べて多く含まれ、第2溶融部33は、中間部材26に由来する成分が第1溶融部32に比べて多く含まれる。
電極母材13及び中間部材26はNiを主体とする合金またはNiからなり、チップ本体23は貴金属を主体とする合金または貴金属からなる。そのため、スパークプラグ10の使用環境におけるチップ本体23の線膨張係数は、電極母材13及び中間部材26の線膨張係数より小さい。なお、電極母材13の線膨張係数と中間部材26の線膨張係数とはほぼ等しい。
図4は図3のIV−IV線における接地電極12の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。第1溶融部32は、パルス発振レーザのビームを第1部30からチップ本体23へ向けて照射して形成された溶融部である。第1溶融部32は、中間部材26の第1部30に形成される部分36と、チップ本体23に形成される部分37とからなる。部分36と部分37との境界は、第1溶融部32が形成される前(溶融する前)のチップ本体23と中間部材26との境界である。第1溶融部32のうちチップ本体23に形成される部分37は、全体が、第1領域40内に存在する。第1領域40は、チップ本体23の軸24を通る2本の直線のなす角θが90°以下の所定角度に設定される領域である。
第2溶融部33は、パルス発振レーザのビームの3つの照射位置を周方向にずらして形成された、互いに独立した3つの溶融部である。第2溶融部33は、第2部31に形成される部分38と、チップ本体23に形成される部分39とからなる。部分38と部分39との境界は、第2溶融部33が形成される前(溶融する前)のチップ本体23と中間部材26との境界である。
第1溶融部32及び第2溶融部33は各々が略同一の大きさに形成されている。第1溶融部32に溶融したチップ本体23の割合を、各々の第2溶融部33に溶融したチップ本体23の割合より高くできるので、第2溶融部33の線膨張係数を中間部材26の線膨張係数に近づけられる一方、第1溶融部32の線膨張係数をチップ本体23の線膨張係数と中間部材26の線膨張係数との間にできる。よって、中間部材26とチップ本体23との間で第1溶融部32が熱応力を緩和するので、スパークプラグ10の使用環境においいて第1溶融部32は両者を接合する。
第1溶融部32の部分37を包含する第1領域40は、なす角θが90°以下の所定角度に設定されるので、第1溶融部32の体積を制約する。第1溶融部32が中間部材26とチップ本体23とを接続する領域が制約され、電極母材13とチップ本体23との熱膨脹差に起因して第1溶融部32に作用する力を抑制できるので、第1溶融部32の破断を抑制できる。また、第1溶融部32による中間部材26とチップ本体23との接合強度が過大になることを抑制できるので、電極母材13が変形したりチップ本体23が破断したりすることを抑制できる。
なお、熱応力によって電極母材13が変形しないようにできるので、電極チップ16と凹部21とに隙間が生じないようにでき、また、中心電極19(図1参照)とチップ本体23との火花ギャップが狭くなったり広くなったりしないようにできる。
第1領域40は、なす角θが20°以上に設定される。その場合に、チップ本体23に形成される部分37は、第1領域40に含まれる領域であってなす角θが20°に設定される領域の外にも一部が存在すると好ましい。チップ本体23を保持するだけの第1溶融部32の体積を確保するためである。その結果、第1溶融部32の強度を確保できるので、電極母材13とチップ本体23との熱膨脹差に起因して第1溶融部32に作用する力で第1溶融部32が破断しないようにできる。よって、第1溶融部32は第1部30にチップ本体23を保持できる。
第1溶融部32及び第2溶融部33は、チップ本体23の側面25の4か所に設けられている。第1溶融部32及び3つの第2溶融部33は略同一の大きさに形成されるので、レーザビームを同一の条件で照射して第1溶融部32及び第2溶融部33を形成できる。よって、レーザ溶接の条件の設定を容易にできる。第2溶融部33はチップ本体23との線膨脹差が、第1溶融部32とチップ本体23との熱膨脹差に比べて大きいので、第1溶融部32やチップ本体23が破断する前に、第2溶融部33とチップ本体23との界面にはクラックが生じ易い。
第2溶融部33とチップ本体23との界面にクラックが発生すると、第1溶融部32や第2溶融部33の熱応力は解放されるので、第1溶融部32やチップ本体23が破断しないようにできる。また、第2溶融部33に代えて、溶融部の全てを第1溶融部32にする場合に比べて、第2溶融部33によってチップ本体23との接合強度を小さくできる。その結果、熱応力の解放がされるので、電極母材13が変形したりチップ本体23が破断したりすることを抑制できる。熱応力によって電極母材13が変形しないようにできるので、電極チップ16と凹部21とに隙間が生じないようにでき、また、中心電極19(図1参照)とチップ本体23との火花ギャップが狭くなったり広くなったりしないようにできる。
なお、界面にクラックが発生した第2溶融部33は形状が楔状でありチップ本体23の側面25に食い込んでいるので(図3参照)、第2溶融部33はチップ本体23を係止する。よって、第2溶融部33とチップ本体23との界面にクラックが生じても、振動や衝撃等によってチップ本体23が中間部材26から外れたり中間部材26に対して傾いたりしないようにできる。
第1領域40は、仮想平面35(図4紙面に垂直な平面)よりも電極母材13の第1端部14(図1参照)側(図4左側)に存在する。その第1領域40に第1溶融部32が存在する。第1溶融部32は、第2溶融部33とチップ本体23との界面にクラックが生じた場合も、破断することなく中間部材26とチップ本体23とを接続するので、第1溶融部32によって電極母材13からチップ本体23までの導電経路を確保できる。
その結果、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側(図4右側)に第1領域40が存在する場合に比べて、電極母材13からチップ本体23までの第1溶融部32を経由する導電経路を短くできる。放電電流が流れる導電経路の距離を短くできるので、損失や特性劣化を生じ難くできる。よって、チップ本体23と中心電極19(図1参照)との間に火花放電が生じ難くなることを抑制できる。
第1溶融部32は、第1領域40が仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する場合に、チップ本体23の軸24方向視において、電極母材13の軸22と重なる位置に形成されている。これにより、第1溶融部32が軸22と重ならない場合に比べて、電極母材13からチップ本体23までの第1溶融部32を経由する導電経路を短くできる。導電経路の距離をさらに短くできるので、損失や特性劣化をより生じ難くできる。
第1部30は、厚さの最も小さい部分が、中間部材26のうち最も第1端部14側に位置するので、主体金具11からチップ本体23までの第1溶融部32を経由する導電経路を最短にできる。よって、損失や特性劣化をより生じ難くできる。
本実施の形態では、第2溶融部33は、全てが、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側(図4右側)に存在する。第2溶融部33とチップ本体23との界面にクラックが発生した場合には、第2溶融部33は、チップ本体23に食い込んでチップ本体23を物理的に係止する。一方、第1溶融部32はチップ本体23及び中間部材26(第1部30)を接合する。仮想平面35を挟んで両側に第2溶融部33と第1溶融部32とが存在するので、チップ本体23を中間部材26にバランス良く保持できる。
2つの接線41,42は、第1溶融部32のうちチップ本体23に形成される部分37に接しチップ本体23の軸24を通る直線である。第2溶融部33のうちチップ本体23に形成される部分39は、少なくとも一部が、2つの接線41,42をチップ本体23の軸24を挟んで第1溶融部32とは反対側に延長して形成される第2領域43内に存在する。軸24を挟んで第1溶融部32の反対側の第2領域43に部分39の少なくとも一部が存在するので、第2溶融部33とチップ本体23との界面にクラックが発生しても、チップ本体23を中間部材26にバランス良く保持できる。
チップ本体23の軸24に垂直な断面において(図4参照)、電極チップ16は、チップ本体23の軸24が中間部材26の外縁26a(中間部材26と溶融部34との境界)の中心29よりも第1端部14(図1参照)側(図4左側)に距離D(図2参照)だけずらすことで、第1部30及び第2部31が形成される。中間部材26の外形やチップ本体23の形状を変えなくても、中心29に対する軸24の位置を変えて第1部30と第2部31とを形成できる。従って、円環状の中間部材26に溶融部(第1溶融部32及び第2溶融部33)を形成する装置を従来通り使用できる。また、電極母材13やチップ本体23も従来と同じものを使用できる。よって、装置や資材を大幅に変更することなく電極チップ16を製造できる。
また、距離D(図2参照)の大きさを変えて中間部材26の軸直角方向の厚さを適宜設定することができるので、溶接条件を変更しなくても、中間部材26の軸直角方向の厚さに応じて溶融部における中間部材26の溶融量を変更できる。従って、第1溶融部32及び第2溶融部33の線膨張係数の微調整を簡易に行うことができる。
中間部材26の軸直角方向の厚さは、電極母材13の第2端部15(図1参照)から第1端部14へ向かうにつれて連続的に小さくなるので、仮想平面35に近い第2溶融部33に溶融する中間部材26の量を仮想平面35から離れた第2溶融部33に溶融する中間部材26の量より少なくできる。その結果、仮想平面35に近い第2溶融部33の線膨張係数を仮想平面35から離れた第2溶融部33の線膨張係数より小さくできる。第2溶融部33の線膨張係数を部位によって異ならせることができるので、熱応力によって第2溶融部33に作用する荷重を分散させることができる。
次に図5を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第2溶融部33と仮想平面35との距離が十分に存在する場合について説明した。第2実施の形態では、一部の第2溶融部54が、仮想平面35に近い位置に存在する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図5は第2実施の形態におけるスパークプラグ50の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。チップ本体23は、第1溶融部32及び第2溶融部51,54によって中間部材26に接合されている。第2溶融部51,54は、パルス発振レーザのビームの3つの照射位置を周方向にずらして形成された、互いに独立した3つの溶融部である。第2溶融部51は、第2部31に形成される部分52と、チップ本体23に形成される部分53とからなる。第2溶融部54は、中間部材26に形成される部分55と、チップ本体23に形成される部分56とからなる。第2溶融部54は、中間部材26に形成される部分55が仮想平面35に接近しているが、部分55,56は仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する。第2溶融部51,54は、仮想平面35より第2端部15側に全体が存在するので、第2実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
次に図6を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態および第2実施の形態では、中間部材26にレーザビームを4回照射して第1溶融部32及び第2溶融部33,51,54を形成する場合について説明した。第3実施の形態では、レーザビームの照射回数を第1及び第2実施の形態と異ならせて第1溶融部61及び第2溶融部64,67を形成する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図6は第3実施の形態におけるスパークプラグ60の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。第1溶融部61は、パルス発振レーザのビームの3つの照射位置を周方向にずらして形成された1つの溶融部である。第1溶融部61の大きさを調整し易くできる。第1溶融部61は、中間部材26に形成される部分62と、チップ本体23に形成される部分63とからなる。
第2溶融部64,67は、パルス発振レーザのビームの5つの照射位置を周方向にずらして形成された、互いに独立した5つの溶融部である。第2溶融部64,67は、それぞれ中間部材26に形成される部分65,68と、チップ本体23に形成される部分66,69とからなる。第2溶融部64,67のうちチップ本体23に形成される部分66,69は、全部が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。
2つの接線70,71は、第1溶融部61のうちチップ本体23に形成される部分63に接しチップ本体23の軸24を通る直線である。第2溶融部64,67のうちチップ本体23に形成される部分66,69は、少なくとも一部が、2つの接線70,71をチップ本体23の軸24を挟んで第1溶融部61とは反対側に延長して形成される第2領域72内に存在する。この第3実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
次に図7を参照して第4実施の形態について説明する。第1及び第2実施の形態では、パルス発振レーザのビームを第1部30に1回照射して第1溶融部32を形成する場合について説明した。第4実施の形態では、パルス発振レーザのビームを第1部30に2回照射して第1溶融部81を形成する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図7は第4実施の形態におけるスパークプラグ80の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。第1溶融部81は、パルス発振レーザのビームを第1部30に2回照射して互いに間隔をあけて形成された2つの溶融部である。第1溶融部81は、第1部30に形成される部分82と、チップ本体23に形成される部分83とからなる。第1溶融部81のうちチップ本体23に形成される部分83は、全体が、第1領域40内に存在する。
第2溶融部84は、パルス発振レーザのビームの3つの照射位置を周方向にずらして形成された、互いに独立した3つの溶融部である。第2溶融部84は、第2部31に形成される部分85と、チップ本体23に形成される部分86とからなる。第2溶融部84のうちチップ本体23に形成される部分86は、全部が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。また、部分86は、少なくとも一部が、第1溶融部81の部分83の外側の縁に接し軸24を通る2つの接線87,88を、軸24を挟んで第1溶融部81とは反対側に延長して形成される第2領域89内に存在する。この第4実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
次に図8を参照して第5実施の形態について説明する。第1実施の形態から第4実施の形態では、パルス発振レーザのビームを複数回照射して互いに独立した複数の溶融部である第2溶融部33,51,54,64,67,84を作る場合について説明した。第4実施の形態では、連続発振レーザのビームを照射して第2溶融部91を形成する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8は第5実施の形態におけるスパークプラグ90の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。
第2溶融部91は、連続発振レーザのビームを周方向に走査して形成された一連の溶融部である。第2溶融部91の大きさを簡易に大きくできる。第2溶融部91は、第2部31に形成される部分92と、チップ本体23に形成される部分93とからなる。第2溶融部91のうちチップ本体23に形成される部分93は、少なくとも一部(本実施の形態では全部)が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。また、部分93は、少なくとも一部が、第2領域43内に存在する。この第4実施の形態によれば、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
次に図9を参照して第6実施の形態について説明する。第1実施の形態から第5実施の形態では、第1溶融部と第2溶融部とが分離する場合について説明した。第6実施の形態では、第1溶融部107と第2溶融部104とが一体化した場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図9は第6実施の形態におけるスパークプラグ100の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。
第2溶融部101は、パルス発振レーザのビームの照射によって第2部31とチップ本体23とに跨って形成される溶融部であり、軸24を挟んで第1溶融部32の反対側の位置に形成されている。第2溶融部101は、第2部31に形成される部分102と、チップ本体23に形成される部分103とからなる。部分103は第2領域43内に存在する。
第2溶融部104は、連続発振レーザのビームの照射によって第2部31とチップ本体23とに跨って形成される2つの溶融部であり、軸24を挟んで互いに対向する位置に形成されている。第2溶融部104は、仮想平面35を挟んで第1溶融部107と一体化されている。第2溶融部104は、中間部材26に形成される部分105と、チップ本体23に形成される部分106とからなる。第2溶融部101,104は、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側(図9右側)に存在する。
第1溶融部107は、中間部材26の第1部30とチップ本体23とに跨って形成される溶融部であり、中間部材26(第1部30)に形成される部分108と、チップ本体23に形成される部分109とからなる。第1溶融部107は、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。第1溶融部107のうちチップ本体23に形成される部分109は、第1領域40の外に存在する。
この第6実施の形態によれば、第1溶融部の全体が第1領域40内に存在することによる作用効果を除き、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
但し、中間部材26は、仮想平面35に近づくにつれて軸直角方向における厚さが次第に厚くなり、第1溶融部107は、第1部30のうち仮想平面35に隣接する部分に形成されている。そのため、第1溶融部32に溶融した中間部材26の割合に比べて、第1溶融部107に溶融した中間部材26の割合を高くできる。また、第1溶融部107は第2溶融部104と一体化されているので、第1溶融部107に溶融した中間部材26によって、第1溶融部107の線膨張係数を、第1溶融部32の線膨張係数と第2溶融部101の線膨張係数との間にできる。その結果、第1溶融部107が第1領域40の外に存在しても、第1溶融部32,107による中間部材26とチップ本体23との接合強度が過大にならないようにできる。よって、電極母材13が変形したりチップ本体23が破断したりすることを抑制できる。
次に図10を参照して第7実施の形態について説明する。第1実施の形態から第6実施の形態では、中間部材26の中心29の位置とチップ本体23の軸24の位置とをずらして中間部材26に第1部30及び第2部31を形成する場合について説明した。第7実施の形態では、中間部材112の一部の軸直角方向の厚さを薄くして第1部116を形成する場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図10は第7実施の形態におけるスパークプラグ110の接地電極の断面図であり、チップ本体23の軸24に垂直な断面が図示されている。電極チップ111は、チップ本体23と、チップ本体23の側面25を取り囲む中間部材112とを備えている。中間部材112は、チップ本体23の側面25に対面する内縁113を備える円環状の部材である。中間部材112は、周の一部に、軸直角方向(図10紙面と平行な方向)の厚さが薄い第1部116が形成されている。
チップ本体23が中間部材112に嵌め込まれた状態で第1溶融部118及び第2溶融部121が形成され、電極チップ111が作られる。第1溶融部118は、第1部116へのレーザビームの照射によって形成され、第2溶融部121は、第1部116以外の中間部材112の外面へのレーザビームの照射によって形成される。第1溶融部118は、中間部材112に形成される部分119と、チップ本体23に形成される部分120とからなる。第2溶融部121は、中間部材112に形成される部分122と、チップ本体23に形成される部分123とからなる。
電極チップ111は、電極母材13に形成された凹部(図示せず)に嵌め込まれた状態で、第1溶融部118が、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に配置される。本実施の形態では、第1溶融部118が、電極母材13の軸22と交わる位置に配置されている。電極チップ111は、中間部材112の全周に形成された溶融部34によって電極母材13に接合される。
中間部材112の第1部116は、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側の部分であって、溶融部34とチップ本体23の側面25との距離D1が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側の全ての溶融部34とチップ本体23の側面25との距離D2よりも短い部分である。第2部117は、中間部材112の第1部116以外の部分である。第2部117は、中間部材112のうち仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する半円状の部分と、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する劣弧状の部分とからなる。
第1溶融部118は、第1部116及びチップ本体23に跨って形成され、第2溶融部121は、第2部117及びチップ本体23に跨って形成される。第1溶融部118のうちチップ本体23に形成される部分119は、全体が、第1領域40内に存在する。
2つの接線124,125は、第1溶融部118のうちチップ本体23に形成される部分120に接しチップ本体23の軸24を通る直線である。第2溶融部121のうちチップ本体23に形成される部分123は、少なくとも一部が、2つの接線124,125をチップ本体23の軸24を挟んで第1溶融部118とは反対側に延長して形成される第2領域126内に存在する。また、第2溶融部121のうちチップ本体23に形成される部分123は、少なくとも一部が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。第7実施の形態によれば、チップ本体23の軸24の位置と中間部材26の中心29の位置とが異なることによる作用効果を除き、第1実施の形態と同様の作用効果を実現できる。
本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
中間部材はニッケル合金(NCF600)製であり、寸法が内径2.5mm、外径3.3mm、軸方向の厚さ0.85mmの円環状であった。中間部材は、外径の円の中心に対して内径の円の中心を軸直角方向に0.5mmずらすことにより、軸直角方向の厚さの最小値が0.15mm、最大値が0.65mmに設定された。
チップ本体は組成が80Ir−11Ru−8Rh−1Ni(数値は質量%)の貴金属合金製であり、寸法が外径2.5mm、厚さ1mmの円板状であった。チップ本体を嵌め込んだ中間部材の外周の複数個所にパルス発振レーザのビームを照射して、第1実施の形態で説明した第1溶融部(1つの溶融部)及び第2溶融部(3つの溶融部)が形成された種々の電極チップを得た。溶融部を形成したレーザビーム(代表例)はエネルギー150W、照射速度12Hzであった。第1溶融部は、中間部材の軸直角方向の厚さが0.15mmの部分(第1部)に形成され、第2溶融部は、それ以外の部分(第2部)に形成された。
チップ本体の軸に垂直な電極チップの断面をX線透視装置によって観察し、第1溶融部が形成された第1領域の角度θを求めた。この実施例では、第1溶融部のうちチップ本体に形成される部分に接しチップ本体の軸を通る2つの接線のなす角を、第1領域の角度θとした。これにより、角度θが20°から100°までの第1溶融部をもつ電極チップを抽出した。
なお、EDXにより、第1溶融部の貴金属成分の割合(質量%)及び第2溶融部のNi成分の割合(質量%)を測定したところ、第1溶融部は貴金属成分の割合が30〜70質量%の範囲にあり、第2溶融部はNi成分の割合が80質量%以上の範囲にあった。
第1端部と第2端部とを有する断面矩形の棒状のニッケル合金(NCF600)製の電極母材を準備し、第2端部に内径3.3mm、深さ0.85mmの凹部を形成した。凹部に電極チップを嵌め込んだ後、中間部材と電極母材との境界にレーザビームを照射して中間部材と電極母材とを溶接し、種々のサンプルを得た。なお、電極チップは、第1溶融部が形成された部分を、電極母材の第1端部側に向けて凹部に嵌め込んだ。
全てのサンプルについて、第1端部を保持した電極母材の第2端部の温度が950℃になるように2分間バーナで加熱した後、1分間かけて放冷することを1サイクルとして、1000サイクルを電極母材に加える冷熱試験を行った。
冷熱試験後、チップ本体の軸に垂直な電極チップの断面を金属顕微鏡で観察して、第1溶融部及び第2溶融部(いずれもチップ本体との界面を含む)に存在する周方向のクラックの長さを測定した。第1溶融部に存在するクラックの全長(総和)が、第1溶融部の周方向の長さ(溶接前のチップ本体と中間部材との境界の長さ)の1/3以上あれば「破断した(×)」と評価し、1/3未満であれば「破断しなかった(○)」と評価した。
その結果、角度θが20〜90°の第1溶融部は破断しなかった。しかし、角度θが100°以上の第1溶融部は、第1溶融部の内部が破断した。第1溶融部の体積が増加し、中間部材とチップ本体との線膨張差に起因する力が大きくなったからであると推察される。
なお、第2溶融部は、第2溶融部とチップ本体との界面に微細なクラックが生じていた。第2溶融部は、第2溶融部とチップ本体との界面にクラックが発生することにより熱応力を解放する。第2溶融部はチップ本体の側面に食い込んでいるので、界面にクラックが生じても、第2溶融部はチップ本体を係止する。この実施例によれば、第2溶融部が熱応力を解放するので、電極母材の変形やチップ本体の破断を抑制することができ、第1溶融部によってチップ本体を中間部材に安定して保持できることが明らかである。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、第1溶融部32,61,81,107,118や第2溶融部33,51,54,64,67,84,91,101,104,121、溶融部34の形状や数などは一例であり、適宜設定できる。
上記各実施の形態では、チップ本体23の形状が円板状(円柱状)の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形状を採用することは当然可能である。他のチップ本体の形状としては、例えば円錐台状、楕円柱状、三角柱や四角柱等の多角柱等が挙げられる。
上記各実施の形態では、チップ本体23が円柱状なので、チップ本体23の側面25を取り囲む中間部材26,112が円環状の場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、当然のことながら、チップ本体の形状に応じて、中間部材は円筒状、角環状、角筒状など種々の形状を採用できる。
上記各実施の形態では、中間部材26,112が無底の円環状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。中間部材26,112はチップ本体23の側面25を取り囲むことができれば良いので、チップ本体23の底を覆う底部が設けられた有底の中間部材26,112を採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、電極母材13の断面が矩形状の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の断面形状の電極母材を採用することは当然可能である。電極母材の他の断面形状としては、例えば円形状、楕円形状、三角形状や五角形状等の多角形状等が挙げられる。
上記各実施の形態では、中間部材26,112の外周の全周に亘って溶融部34が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第1溶融部32,61,81,107,118や第2溶融部33,51,54,64,67,84,91,101,104,121と溶融部34とが混ざり合わないように、第1溶融部や第2溶融部に対して溶融部34が独立するスポット溶接にすることは当然可能である。
この場合には、電極チップ16は凹部21に嵌め込まれているので、中間部材26の側面に露出する第1溶融部および第2溶融部を凹部21に収容できる。その結果、第1溶融部および第2溶融部が外気に直接曝されないようにできる。貴金属を含む合金は、その成分中に含まれる貴金属の割合が多くなると酸化腐食を生じ易くなることが知られている。しかし、第1溶融部および第2溶融部が外気に直接曝されないようにできるので、第1溶融部および第2溶融部の酸化腐食を抑制できる。
溶融部34がスポット溶接によって形成される場合には、溶融部34の無いところで中間部材26,112の外縁の位置を識別できるので、溶融部34とチップ本体23との距離を用いて第1部30,116及び第2部31,117を特定しなくても良い。この場合、第1部30,116は、仮想平面35よりも第1端部14(図1参照)側に存在する中間部材26,112の外縁とチップ本体23の側面25との距離(中間部材26,112の軸直角方向の厚さ)D1が、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する中間部材26,112の外縁とチップ本体23の側面25との距離D2のうちの最短距離よりも短い部分である。第2部31,117は、中間部材26,112の第1部30,116以外の部分であり、仮想平面35よりも第2端部15(図1参照)側に存在する。
上記各実施の形態では、電極チップ16を電極母材13に接合する溶融部34をパルス発振レーザによるシーム溶接で形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の手段によって電極チップ16を電極母材13に接合することは当然可能である。他の手段としては、例えば連続発振レーザによるシーム溶接、アーク溶接、抵抗溶接等が挙げられる。
上記各実施の形態では、主体金具11に第1端部14が接合された電極母材13の第2端部15側が屈曲する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。屈曲した電極母材13を用いる代わりに、直線状の電極母材を用いることは当然可能である。この場合には、主体金具11の先端側を軸線O方向に延ばし、直線状の電極母材の第1端部を主体金具11に接合して、電極母材の第2端部を中心電極19と対向させる。
上記各実施の形態では、中心電極19の軸線Oとチップ本体23の軸24とを一致させ、電極チップ16,111が中心電極19と軸線O方向に対向するように電極母材13を配置する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、電極チップ16,111と中心電極19との位置関係は適宜設定できる。電極チップ16,111と中心電極19との他の位置関係としては、例えば、中心電極19の軸線Oとチップ本体23の軸24とが交差するように電極母材13を配置すること、中心電極19の側面と電極チップ16が対向するように電極母材13を配置すること、電極母材13の軸22と軸線Oとが斜めに交わるように電極母材13を配置すること等が挙げられる。
上記第5実施の形態および第6実施の形態では、連続発振レーザのビームを中間部材26の周方向に走査して第2溶融部91,104を形成する場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではなく、パルス発振レーザのビームを中間部材26の周方向に走査して、連続する第2溶融部91,104を形成することは当然可能である。
10,50,60,80,90,100,110 スパークプラグ
11 主体金具
12 接地電極
13 電極母材
14 第1端部
15 第2端部
16,111 電極チップ
17 絶縁体
18 軸孔
19 中心電極
21 凹部
22 軸
23 チップ本体
24 軸
25 側面
26,112 中間部材
26a 外縁
27 外縁
29 中心
30,116 第1部
31,117 第2部
32,61,81,107,118 第1溶融部
33,51,54,64,67,84,91,101,104,121 第2溶融部
34 溶融部
35 仮想平面
40 第1領域
41,42,70,71,87,88,124,125 接線
43,72,89,126 第2領域
D1,D2 距離
O 軸線

Claims (4)

  1. 軸線に沿って延びる中心電極と、
    前記軸線に沿って形成された軸孔に前記中心電極が配置される絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
    前記主体金具に接合される接地電極と、を備え、
    前記接地電極は、第1端部が前記主体金具に接合され第2端部が前記中心電極と対向する電極母材と、前記電極母材の前記中心電極と対向する位置に形成される凹部に少なくとも一部が嵌め込まれた状態で、前記電極母材に接合されてなる電極チップと、を備え、
    前記電極チップは、貴金属を主体とするチップ本体と、前記チップ本体の側面を取り囲む中間部材と、を備え、
    前記中間部材と前記チップ本体とに跨る溶融部を形成してなるスパークプラグであって、
    前記中間部材は、自身と前記電極母材とに跨る溶融部が形成され、
    前記第1端部から前記第2端部へと延びる前記電極母材の軸と前記チップ本体の軸とを含む平面に垂直な仮想平面であって、前記チップ本体の前記軸を含む仮想平面よりも前記第1端部側に、自身と前記電極母材とに跨る前記溶融部と前記チップ本体との距離が、前記仮想平面よりも前記第2端部側全体における前記距離よりも短い第1部を備え、
    前記中間部材と前記チップ本体とに跨る前記溶融部は、前記第1部および前記チップ本体に跨って形成される第1溶融部と、前記第1部以外の前記中間部材の第2部および前記チップ本体に跨って形成される第2溶融部と、を備えていることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記チップ本体の前記軸に垂直な断面において、前記電極チップは、前記チップ本体の前記軸が前記中間部材の外縁の中心よりも前記第1端部側にずれていることを特徴とする請求項1記載のスパークプラグ。
  3. 前記第1部は、前記中間部材のうち最も前記第1端部側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記チップ本体の前記軸に垂直な断面において、前記第1溶融部のうち前記チップ本体に形成される部分は、全体が、前記チップ本体の前記軸を通る2つの直線のなす角が90°以下の所定角度を有する第1領域内に存在し、
    前記第2溶融部のうち前記チップ本体に形成される部分は、少なくとも一部が、前記第1溶融部のうち前記チップ本体に形成される部分に接し前記チップ本体の前記軸を通る2つの接線を、前記チップ本体の前記軸を挟んで前記第1溶融部とは反対側に延長して形成される第2領域内に存在することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスパークプラグ。
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