以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施の形態における印刷システムの構成例を示す図である。図1には、ネットワーク環境E1及びネットワーク環境E2の2つのネットワーク環境が示されている。
ネットワーク環境E1は、例えば、或る企業(以下、「企業C」という。)内におけるイントラネット等のネットワークが属する環境である。ネットワーク環境E2は、インターネット等、企業Cの外部において構築されているネットワークが属する環境である。但し、ネットワーク環境E2には、企業C内からもアクセス可能である。一方、ネットワーク環境E2からネットワーク環境E1へのアクセスは制限されている。なお、ネットワーク環境E1とネットワーク環境E2とは、物理的な空間の違いを示すものではない。例えば、企業C内において、ネットワーク環境E1とネットワーク環境E2とが混在していてもよい。
図1において、ネットワーク環境E1は、管理サーバ40、エリアA1及びA2等の複数のエリア、及びファイアウォール50等を含む。以下、各エリアを区別しない場合、「エリアA」という。
ネットワーク環境E1は、ファイアウォール50と、複数のエリアに対して一つの管理サーバ40とを含む。
ファイアウォール50は、ネットワーク環境E1の外部のネットワーク(ネットワーク環境E2等)からのアクセスを制限し、ネットワーク環境E1を保護する装置である。本実施の形態において、ファイアウォール50には、モバイル印刷制御サーバ60からネットワーク環境E1へのアクセスについては許可されるように設定されている。
各エリアAは、企業Cの規模等に応じて異なる概念であってもよい。例えば、エリアAは、企業Cの事業所や営業所等の拠点ごとに区別されてもよい。又は、企業Cの活動拠点が、一つのビル内に収まる場合、フロアごとにエリアAが区別されてもよい。
各エリアAは、印刷制御サーバ10、1以上の画像形成装置20、及び1以上のユーザ端末30等を含む。印刷制御サーバ10と、画像形成装置20とは、LAN等のネットワークを介して接続される。
画像形成装置20は、プリンタである。但し、印刷機能を有する複合機が、画像形成装置20として利用されてもよい。
ユーザ端末30は、PC(Personal Computer)等の端末である。
印刷制御サーバ10は、ネットワーク環境E2に接続しているモバイル端末80において印刷対象として指定された文書データや、同じエリアA内のユーザ端末30において印刷対象として指定された文書データに関する印刷データを記憶するコンピュータである。印刷制御サーバ10は、また、自らが記憶している印刷データの一覧情報をモバイル端末80又は画像形成装置20に送信したり、当該一覧情報の中から選択された印刷データを画像形成装置20に送信したりする。
なお、図2において、エリアA1に属する各装置の符号の末尾には「a」が付され、エリアA2に属する各装置の符号の末尾には「b」が付されている。
管理サーバ40は、各エリアAの印刷制御サーバ10とネットワークを介して接続される。管理サーバ40は、ネットワーク環境E1における印刷制御サーバ10のリストや画像形成装置20のリストを保持すると共に、各ユーザがどこの印刷制御サーバ10に印刷ジョブを蓄積したかの情報を持つ。
一方、ネットワーク環境E2は、1以上のモバイル端末80、無線AP70、及びモバイル印刷制御サーバ60等を含む。
無線AP70は、モバイル端末80をネットワーク環境E2に接続するためのアクセスポイントである。
モバイル端末80は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末等であり、例えば、表示又は編集対象とされている文書データについての印刷指示をユーザから受け付ける。モバイル端末80は、印刷指示に係る文書データを、モバイル印刷制御サーバ60に送信する。
モバイル印刷制御サーバ60は、モバイル端末80とネットワーク環境E1との間の通信を中継する1以上のコンピュータである。具体的には、印刷システム1の管理者によって、モバイル印刷制御サーバ60に対して、ネットワーク環境E1の窓口となるコンピュータとして、印刷制御サーバ10aのIPアドレスが設定される。その結果、モバイル印刷制御サーバ60は、印刷制御サーバ10aとの通信が許可される。なお、モバイル印刷制御サーバ60は、例えば、クラウドシステムとして構成されてもよい。
なお、各モバイル端末80が、ネットワーク環境E2内に、モバイル印刷制御サーバ60を識別するためのブロードキャストを送信し、当該ブロードキャストに対してモバイル印刷制御サーバ60が応答することで、各モバイル端末80に対してモバイル印刷制御サーバ60のIPアドレスが自動的に設定されてもよい。又は、各モバイル端末80に対するモバイル印刷制御サーバ60のIPアドレスの設定は、ユーザによって行われてもよい。
図2は、第1の実施の形態における印刷制御サーバのハードウェア構成例を示す図である。図2の印刷制御サーバ10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、及びインタフェース装置105等を有する。
印刷制御サーバ10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って印刷制御サーバ10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
なお、モバイル印刷制御サーバ60及び管理サーバ40も、図2に示されるハードウェア構成を有していてもよい。
図3は、第1の実施の形態における印刷システムの機能構成例を示す図である。図3において、モバイル印刷制御サーバ60は、設定受付部61及び中継部62等を有する。これら各部は、モバイル印刷制御サーバ60にインストールされた1以上のプログラムが、モバイル印刷制御サーバ60のCPUに実行させる処理により実現される。モバイル印刷制御サーバ60は、また、送信先記憶部63を利用する。送信先記憶部63は、例えば、モバイル印刷制御サーバ60の補助記憶装置、又はモバイル印刷制御サーバ60にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
設定受付部61は、モバイル端末80からの要求の送信先(転送先)とされる印刷制御サーバ10の識別情報(IPアドレス)の設定を、例えば、印刷システム1の管理者から受け付ける。すなわち、管理者は、複数の印刷制御サーバ10からいずれか一つの印刷制御サーバ10を選択し、当該印刷制御サーバ10のIPアドレスを設定受付部61に対して設定する。本実施の形態では、印刷制御サーバ10aのIPアドレスが、当該印刷制御サーバ10として選択される。設定受付部61は、設定されたIPアドレスを送信先記憶部63に記憶する。
中継部62は、モバイル端末80からの要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ転送(中継)する。中継部62は、また、当該要求に対する応答を、当該要求の送信元のモバイル端末80へ転送する。
印刷制御サーバ10は、印刷要求受信部121、保存情報送信部122、ジョブリスト要求受信部123、保存先照会部124、ジョブリスト収集部125、ジョブリスト返信部126、機器一覧照会部127、機器一覧返信部128、実行要求受信部129、及び印刷データ送信部130等を有する。これら各部は、印刷制御サーバ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。印刷制御サーバ10は、また、ジョブ情報記憶部141を利用する。ジョブ情報記憶部141は、例えば、補助記憶装置102、又は印刷制御サーバ10にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
印刷要求受信部121は、モバイル端末80から送信され、モバイル印刷制御サーバ60の中継部62によって転送される印刷要求を受信する。印刷要求には、印刷対象の印刷データと、印刷を指示したユーザの識別情報(以下、「ユーザ名」という。)とが含まれている。印刷要求受信部121は、受信された印刷要求に含まれている印刷データを補助記憶装置102等に記憶すると共に、当該印刷データの属性情報等を含む情報(以下、「ジョブ情報」という。)をジョブ情報記憶部141に記憶する。
保存情報送信部122は、印刷要求に含まれているユーザ名に係るジョブ情報が当該印刷制御サーバ10に保存されたことを示す情報(以下、「保存情報」という。)を管理サーバ40へ送信する。保存情報には、印刷要求に含まれているユーザ名と、当該印刷制御サーバ10の識別情報(以下、「サーバID」という。)とが含まれる。
ジョブリスト要求受信部123は、モバイル端末80から送信され、モバイル印刷制御サーバ60の中継部62によって転送される、ジョブリストの取得要求を受信する。ジョブリストとは、ジョブ情報の一覧をいう。保存先照会部124は、ジョブリストの取得要求に含まれているユーザ名に係るジョブ情報が保存されている印刷制御サーバ10を、管理サーバ40に問い合わせる。ジョブリスト収集部125は、保存先照会部124による問い合わせ結果に基づき、ジョブリストの取得要求に含まれているユーザ名に係るジョブ情報を収集する。ジョブリスト返信部126は、ジョブリスト収集部125によって収集されたジョブ情報の一覧であるジョブリストを、モバイル印刷制御サーバ60を介してモバイル端末80へ返信する。
機器一覧照会部127は、モバイル端末80から送信され、モバイル印刷制御サーバ60の中継部62によって転送される、機器一覧の取得要求の受信に応じ、機器一覧を管理サーバ40へ問い合わせる。機器一覧とは、ネットワーク環境E1に含まれている画像形成装置20の一覧情報をいう。機器一覧返信部128は、機器一覧照会部127による問い合わせ結果を、モバイル印刷制御サーバ60を介してモバイル端末80へ返信する。
実行要求受信部129は、モバイル端末80から送信され、モバイル印刷制御サーバ60の中継部62によって転送される、ジョブリストの中から選択されたジョブ情報に係る印刷ジョブの実行要求を受信する。当該実行要求には、選択されたジョブ情報と、機器一覧から選択された画像形成装置20の識別情報も含まれている。印刷データ送信部130は、当該ジョブ情報に係る印刷データを、当該選択された画像形成装置20へ送信する。
管理サーバ40は、保存情報受信部41、保存先応答部42、及び機器一覧管理部43等を有する。これら各部は、管理サーバ40にインストールされた1以上のプログラムが、管理サーバ40のCPUに実行させる処理により実現される。管理サーバ40は、また、保存情報記憶部44、サーバリスト記憶部45、及び機器一覧記憶部46等を利用する。これら各記憶部は、例えば、管理サーバ40の補助記憶装置、又は管理サーバ40にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
保存情報受信部41は、印刷制御サーバ10から送信される保存情報を受信し、当該保存情報を保存情報記憶部44に記憶する。したがって、保存情報記憶部44には、各ユーザのジョブ情報がいずれの印刷制御サーバ10に記憶されているのかを示す情報が記憶される。
保存先応答部42は、印刷制御サーバ10の保存先照会部124からの問い合わせに応じ、当該問い合わせに指定されているユーザ名に係るジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10のIPアドレスの一覧を返信する。当該保存先の印刷制御サーバ10のサーバIDは、保存情報記憶部44を参照して特定される。特定された印刷制御サーバ10のIPアドレスは、サーバリスト記憶部45を参照して特定される。サーバリスト記憶部45には、各印刷制御サーバ10のサーバID及びIPアドレス等が記憶されている。
機器一覧管理部43は、印刷制御サーバ10の機器一覧照会部127からの機器一覧の問い合わせに応じ、機器一覧記憶部46に記憶されている機器一覧を返信する。機器一覧記憶部46には、画像形成装置20ごとに、当該画像形成装置20の識別情報等が記憶されている。
画像形成装置20は、印刷データ受信部21及びジョブ実行部22等を有する。これら各部は、画像形成装置20にインストールされた1以上のプログラムが、画像形成装置20のCPUに実行させる処理により実現される。
印刷データ受信部21は、印刷制御サーバ10の印刷データ送信部130から送信される印刷データを受信する。ジョブ実行部22は、印刷データ受信部21によって受信された印刷データについて、印刷ジョブの実行を制御する。
図4は、第1の実施の形態においてジョブ情報の保存時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。なお、以下の各シーケンス図において、モバイル端末80が実行する処理は、例えば、モバイル端末80にインストールされたアプリケーションプログラム等がモバイル端末80に実行させる。
ステップS101において、モバイル端末80は、ユーザ(以下、「対象ユーザ」という。)によって印刷対象として指定された文書データとユーザ名とを含む印刷要求を、予め設定されているIPアドレスに基づいてモバイル印刷制御サーバ60へ送信する。文書データは、印刷対象となりうる電子データであれば、その内容は特定のものに限定されない。例えば、文書データは、図形や画像を含むデータであってもよい。また、ユーザ名は、予めモバイル端末80に設定されていてもよいし、印刷対象の指定に伴って対象ユーザによって入力されてもよい。
モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、当該印刷要求を受信すると、当該印刷要求に含まれている文書データをレンダリングして、印刷データを生成する(S102)。レンダリングは、例えば、汎用的なプリンタドライバを利用して行われてもよい。「汎用的な」とは、複数種類の画像形成装置20に対応可能であることを意味する。この時点においては、印刷先の画像形成装置20は決定されていないからである。続いて、中継部62は、受信された印刷要求に含まれていたユーザ名と、生成された印刷データとを含む印刷要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ送信する(S103)。
印刷制御サーバ10aの印刷要求受信部121は、当該印刷要求を受信すると、当該印刷要求に含まれている印刷データを補助記憶装置102に記憶すると共に、当該印刷データのジョブ情報を印刷制御サーバ10aのジョブ情報記憶部141に記憶する(S104)。
図5は、ジョブ情報記憶部の構成例を示す図である。図5において、ジョブ情報記憶部141は、印刷要求に係る印刷データごとに、ジョブID、ジョブ名、印刷設定、所有者名、及びファイルパス名等を含むジョブ情報を記憶する。
ジョブIDは、印刷データごと(印刷ジョブごと)に割り当てられる識別情報であり、例えば、ジョブ情報がジョブ情報記憶部141に記憶する際に印刷要求受信部121によって生成される。ジョブ名は、印刷データの名前である。例えば、印刷データの生成元の文書データの名前がジョブ名とされてもよい。当該名前は、印刷要求受信部121によって印刷データから抽出されてもよい。印刷設定は、印刷データに対する印刷設定情報である。印刷設定は、印刷要求受信部121によって印刷データから抽出される。所有者名は、印刷の要求元のユーザのユーザ名である。当該ユーザ名は、受信された印刷要求に含まれている。ファイルパス名は、補助記憶装置102に記憶された印刷データを格納したファイルのパス名である。
続いて、印刷制御サーバ10aの保存情報送信部122は、ジョブ情報が印刷制御サーバ10aに保存されたことを示す保存情報を、管理サーバ40へ送信する(S105)。当該保存情報には、印刷要求に含まれているユーザ名と、印刷制御サーバ10aのサーバIDとが含まれる。但し、当該印刷要求に含まれているユーザ名を含むジョブ情報が既にジョブ情報記憶部141に記憶されていた場合、ステップS105は実行されなくてよい。
管理サーバ40の保存情報受信部41は、当該保存情報を受信すると、当該保存情報を保存情報記憶部44に記憶する(S106)。
図6は、保存情報記憶部の構成例を示す図である。図6に示されるように、保存情報記憶部44は、ユーザ名ごとに、保存先IDを記憶する。保存先IDは、ユーザ名に係るユーザによって印刷が要求された印刷データのジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10のサーバIDである。
なお、第1の実施の形態では、モバイル端末80からの印刷要求に対応するジョブ情報は、常に印刷制御サーバ10aに保存される。但し、各エリアのユーザ端末30からの印刷要求に対応するジョブ情報は、当該ユーザ端末30が属するエリアの印刷制御サーバ10に保存される。ユーザ端末30からの印刷要求は、当該ユーザ端末30が属するエリアの印刷制御サーバ10に送信されるからである。したがって、図6に示されるように、一人にユーザ(例えば、「User1」)について、複数の印刷制御サーバ10にジョブ情報が保存される場合も有る。
図7は、第1の実施の形態におけるジョブリストの表示処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
ステップS201において、モバイル端末80は、ユーザによる操作指示に応じ、ジョブリストの取得要求をモバイル印刷制御サーバ60へ送信する。当該取得要求には、モバイル端末80のユーザのユーザ名(以下、「対象ユーザ名」という。)が含まれる。
モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、ジョブリストの取得要求を受信すると、当該取得要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ転送する(S202)。
印刷制御サーバ10aのジョブリスト要求受信部123が当該取得要求を受信すると、印刷制御サーバ10aの保存先照会部124は、当該取得要求に含まれている対象ユーザ名に係るジョブ情報の保存先の照会要求を管理サーバ40へ送信する(S203)。当該照会要求には、対象ユーザ名が含まれる。管理サーバ40の保存先応答部42は、対象ユーザ名に対応付けられている保存先IDを保存情報記憶部44から取得し、当該保存先IDに対応するIPアドレス(すなわち、当該ユーザ名に係るジョブ情報の保存先のIPアドレス)を、保存先照会部124へ返信する(S204)。なお、保存先応答部42は、保存先IDに対応するIPアドレスを、サーバリスト記憶部45を参照して特定する。
図8は、サーバリスト記憶部の構成例を示す図である。図8において、サーバリスト記憶部45には、印刷制御サーバ10ごとに、当該印刷制御サーバ10のサーバID、IPアドレス、及び機器ID等を含むサーバ情報が記憶されている。機器IDは、サーバIDに係る印刷制御サーバ10と同じエリアに属する(印刷制御サーバ10に対応する)画像形成装置20の識別情報である。すなわち、サーバ情報は、印刷制御サーバ10と画像形成装置20との対応関係をも示す。
したがって、保存先応答部42は、保存先IDに一致するサーバIDに対応付けられているIPアドレスをサーバリスト記憶部45から取得することで、保存先IDに対応するIPアドレスを特定することができる。
続くステップS205〜S207は、保存先応答部42から返信されたIPアドレスに、印刷制御サーバ10a以外の印刷制御サーバ10のIPアドレスが含まれている場合に実行される。例えば、保存先応答部42から返信されたIPアドレスに印刷制御サーバ10bのIPアドレスが含まれている場合、印刷制御サーバ10aのジョブリスト収集部125は、当該IPアドレスに基づいて、印刷制御サーバ10bに対してジョブリストの取得要求を送信する(S205)。当該取得要求には、対象ユーザ名が含まれる。印刷制御サーバ10bのジョブリスト収集部125は、当該取得要求に含まれている対象ユーザ名を所有者名として含むジョブ情報を、印刷制御サーバ10bのジョブ情報記憶部141から取得する(S206)。続いて、印刷制御サーバ10bのジョブリスト返信部126は、取得されたジョブ情報の一覧であるジョブリストを印刷制御サーバ10aに返信する(S207)。
続くステップS208は、保存先応答部42から返信されたIPアドレスに、印刷制御サーバ10aのIPアドレスが含まれている場合に実行される。すなわち、ステップS208において、保存先応答部42から返信されたIPアドレスに印刷制御サーバ10aのIPアドレスが含まれている場合、印刷制御サーバ10aのジョブリスト収集部125は、対象ユーザ名を所有者名として含むジョブ情報を、印刷制御サーバ10aのジョブ情報記憶部141から取得する。
続いて、印刷制御サーバ10aのジョブリスト収集部125は、ステップS207において返信されたジョブリストと、ステップS208において取得されたジョブリストとを統合する(S209)。以下、統合されたジョブリストを、単に、ジョブリストという。なお、ステップS205〜S207が実行されない場合、又はステップS208が実行されない場合には、ステップS208において取得されたジョブリスト、又はステップS207において返信されたジョブリストが、以下におけるジョブリストに相当する。
続いて、ジョブリスト返信部126は、ジョブリストをモバイル印刷制御サーバ60へ返信する(S210)。なお、返信されるジョブリストに含まれる各ジョブ情報には、当該ジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10のIPアドレスが付加される。モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、当該ジョブリストを、ジョブリストの取得要求元のモバイル端末80へ返信する(S211)。モバイル端末80は、当該ジョブリストを受信すると、当該ジョブリストを表示する(S212)。この際、当該ジョブリストに含まれる各ジョブ情報が選択可能とされる。
図9は、第1の実施の形態においてジョブリストの中から選択されたジョブ情報に係る印刷ジョブの実行時の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
モバイル端末80に表示されているジョブリストの中から、印刷対象とする1以上のジョブ情報がユーザによって選択されると(S301)、モバイル端末80は、印刷先の画像形成装置20の候補をユーザに提示するため、機器一覧の取得要求をモバイル印刷制御サーバ60へ送信する(S302)。なお、機器一覧の取得要求には、印刷先の画像形成装置20の候補を絞り込むための条件が含まれてもよい。例えば、当該条件は、画像形成装置20の機器名の一部であってもよい。当該一部は、機器名の前方の一部でもよいし、後方の一部でもよいし、中央の一部でもよい。当該条件は、例えば、印刷対象のジョブ情報の選択に伴って、ユーザに入力されてもよい。
モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、機器一覧の取得要求を受信すると、当該取得要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ転送する(S303)。印刷制御サーバ10aの機器一覧照会部127は、当該取得要求を受信すると、当該取得要求を管理サーバ40へ転送する(S304)。管理サーバ40の機器一覧管理部43は、当該取得要求を受信すると、当該取得要求に含まれている条件に合致する機器情報の一覧を機器一覧記憶部46から取得する(S305)。
図10は、機器一覧記憶部の構成例を示す図である。図10において、機器一覧記憶部46には、ネットワーク環境E1に係るネットワークに接続されている全ての画像形成装置20について、機器ID、IPアドレス、及び機器名等を含む機器情報が記憶されている。
機器IDは、画像形成装置20ごとの識別情報である。或る画像形成装置20について、機器一覧記憶部46に記憶されている機器IDと、サーバリスト記憶部45における機器IDとは同じである。IPアドレスは、機器IDに係る画像形成装置20のIPアドレスである。機器名は、機器IDに係る画像形成装置20の名前である。機器名は、ユーザが各画像形成装置20を識別可能な文字列であることが望ましい。
なお、機器情報は、次のような手順で機器一覧記憶部46に記憶されてもよい。まず、各画像形成装置20に対してユーザによって機器名が設定される。続いて、管理者が、管理サーバ40に対して、各画像形成装置20のIPアドレスを入力する。管理サーバ40の機器一覧管理部43は、設定された各IPアドレスに基づいて、各画像形成装置20からそれぞれに設定された機器名を取得する。機器一覧管理部43は、取得された機器名と、入力されたIPアドレスとを対応付けて機器一覧記憶部46に記憶する。この際、機器一覧管理部43が、各画像形成装置20に対する機器IDを生成し、当該機器IDをIPアドレス及び機器名に対応付けて機器一覧記憶部46に記憶してもよい。
続いて、機器一覧管理部43は、取得された機器情報の一覧である機器一覧を、印刷制御サーバ10aの機器一覧照会部127へ返信する(S306)。当該機器一覧照会部127によって当該機器一覧が受信されると、印刷制御サーバ10aの機器一覧返信部128は、当該機器一覧をモバイル印刷制御サーバ60へ返信する(S307)。モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、当該機器一覧を、機器一覧の取得要求元のモバイル端末80へ返信する(S308)。モバイル端末80は、当該機器一覧を受信すると、当該機器一覧を表示する(S309)。例えば、当該機器一覧に含まれる各機器情報の機器名が、選択可能な状態で表示される。
ユーザによって、表示されている機器名の一覧の中からいずれか一つの機器名が印刷先として選択されると(S310)、モバイル端末80は、ステップS301において選択された印刷ジョブ情報(以下、「対象ジョブ情報」という。)に係る印刷ジョブの実行要求をモバイル印刷制御サーバ60へ送信する(S311)。当該実行要求には、対象ジョブ情報と、ステップS310において選択された機器名に係る機器情報(以下、「対象機器情報」という。)とが含まれる。なお、ユーザは、ステップS310において、自らの傍に配置されている画像形成装置20の機器名を選択することが考えられる。
続いて、モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、当該実行要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ転送する(S312)。印刷制御サーバ10aの実行要求受信部129が当該実行要求を受信すると、対象ジョブ情報の保存先が印刷制御サーバ10aであるか否かを、当該実行要求に含まれている対象ジョブ情報に付加されているIPアドレスに基づいて判定する(S313)。
対象ジョブ情報に付加されているIPアドレスが、印刷制御サーバ10aのIPアドレスである場合、印刷制御サーバ10aの印刷データ送信部130は、対象ジョブ情報のファイルパス名に係る印刷データを、印刷制御サーバ10aの補助記憶装置102から取得し、当該印刷データを、印刷ジョブの実行要求に含まれている対象機器情報に含まれているIPアドレス宛に送信する(S314)。当該IPアドレスに係る画像形成装置20の印刷データ受信部21が当該印刷データを受信すると、当該画像形成装置20のジョブ実行部22は、当該印刷データについて印刷ジョブを実行する(S315)。その結果、当該印刷データに係る画像が印刷された用紙が当該画像形成装置20から出力される。
なお、対象ジョブ情報に付加されているIPアドレスが、印刷制御サーバ10aのIPアドレスでない場合、印刷制御サーバ10aの実行要求受信部129は、受信された印刷ジョブの実行要求を、当該IPアドレス宛に転送する。その結果、当該IPアドレスに係る印刷制御サーバ10によって、ステップS314と同じ処理が実行される。
上述したように、第1の実施の形態によれば、モバイル端末80から送信された文書データに係る印刷データを、印刷制御サーバ10aに保存することができる。すなわち、印刷対象として記憶部に記憶されるデータを外部のネットワークから入力可能とすることができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では第1の実施の形態と異なる点について説明する。したがって、特に言及されない点については、第1の実施の形態と同様でもよい。
第2の実施の形態では、図4の代わりに図11に示される処理手順が実行される。図11は、第2の実施の形態においてジョブ情報の保存時に実行される処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
例えば、対象ユーザによって印刷対象の文書データが指定されると、図9のステップS302〜S309と同様の処理が実行される(S151〜S158)。その結果、モバイル端末80には、機器一覧に含まれる各機器情報の機器名が表示される。
続いて、ユーザによって、表示されている機器名のうちのいずれか一つの機器名が選択される(S159)。ここでは、ユーザが、印刷先として想定している画像形成装置20の機器名が選択される。但し、当該画像形成装置20が印刷先として確定した訳ではない。第2の実施の形態においても、印刷ジョブの実行時において、印刷先の画像形成装置20がユーザによって改めて選択されるからである。
続いて、モバイル端末80は、印刷対象として指定された文書データと、ユーザ名と、選択された機器名に係る機器情報に含まれている機器IDとを含む印刷要求を、予め設定されているIPアドレスに基づいてモバイル印刷制御サーバ60へ送信する(S161)。モバイル印刷制御サーバ60の中継部62は、当該印刷要求を受信すると、当該印刷要求に含まれている文書データをレンダリングして、印刷データを生成する(S162)。続いて、中継部62は、受信された印刷要求に含まれていたユーザ名及び機器IDと、生成された印刷データとを含む印刷要求を、送信先記憶部63に記憶されているIPアドレスに係る印刷制御サーバ10aへ送信する(S163)。
印刷制御サーバ10aの印刷要求受信部121は、管理サーバ40のサーバリスト記憶部45(図8)に記憶されているサーバ情報の一覧(以下、「サーバリスト」という。)をネットワークを介して取得する(S164、S165)。続いて、印刷要求受信部121は、当該サーバリストに基づいて、受信された印刷要求に対応するジョブ情報の保存先を判定する(S166)。具体的には、印刷要求受信部121は、印刷要求に含まれている機器IDに係る画像形成装置20が属するエリアの印刷制御サーバ10を、当該印刷要求に対応するジョブ情報の保存先として判定する。当該画像形成装置20が属するエリアの印刷制御サーバ10は、サーバリストに基づいて特定することができる。すなわち、サーバリストに含まれているサーバ情報の中で、印刷要求に含まれている機器IDを含むサーバ情報が、ジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10のサーバ情報である。例えば、当該サーバ情報のIPアドレスが、印刷制御サーバ10aのIPアドレスである場合、以降においては、図4のステップS104以降が実行されればよい。
一方、当該サーバ情報のIPアドレスが、印刷制御サーバ10bのIPアドレスである場合、印刷要求受信部121は、受信された印刷要求を、当該IPアドレスに基づいて印刷制御サーバ10bへ転送する(S167)。但し、当該印刷要求には、機器IDは含まれなくてもよい。機器IDは、ジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10の判定に用いられる情報だからである。すなわち、ユーザによる機器名の選択は、実質的には、ジョブ情報の保存先の印刷制御サーバ10の選択を意味する。印刷制御サーバ10を直接選択させないのは、印刷制御サーバ10の存在は、ユーザにとって認識されていない可能性が高いからである。
印刷制御サーバ10bの印刷要求受信部121は、当該印刷要求を受信すると、当該印刷要求に含まれている印刷データを印刷制御サーバ10bの補助記憶装置102に記憶すると共に、当該印刷データに係るジョブ情報を印刷制御サーバ10bのジョブ情報記憶部141に記憶する(S168)。続いて、印刷制御サーバ10bの保存情報送信部122は、ジョブ情報が当該印刷制御サーバ10bに保存されたことを示す保存情報を、管理サーバ40へ送信する(S169)。当該保存情報には、印刷要求に含まれているユーザ名と、印刷制御サーバ10bのサーバIDとが含まれる。但し、当該印刷要求に含まれているユーザ名を含むジョブ情報が既にジョブ情報記憶部141に記憶されていた場合、ステップS169は実行されなくてよい。管理サーバ40の保存情報受信部41は、当該保存情報を受信すると、当該保存情報を保存情報記憶部44に記憶する(S170)。
上述したように、第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、第2の実施の形態によれば、ユーザが印刷先とする可能性の高い画像形成装置20に対応する印刷制御サーバ10に、印刷データ及びジョブ情報を保存することができる。その結果、モバイル端末80からの印刷要求に係る印刷データ及びジョブ情報が、印刷制御サーバ10aに集中し、印刷制御サーバ10aの記憶容量が圧迫されるのを回避することができる。
なお、上記各実施の形態において、印刷制御サーバ10及びモバイル印刷制御サーバ60は、情報処理システムの一例である。印刷制御サーバ10は、第1の情報処理装置の一例である。モバイル印刷制御サーバ60は、第2の情報処理装置の一例である。ネットワーク環境E1は、第1のネットワークの一例である。ネットワーク環境E2は、第2のネットワークの一例である。中継部62は、第1の送信部、第2の送信部、返信部、第4の送信部の一例である。ジョブリスト返信部126は、第3の送信部の一例である。印刷データ送信部130は、第5の送信部の一例である。印刷要求受信部121は、特定部及び第6の送信部の一例である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。