JP2018044717A - 粉砕プラントにおけるプロセス制御方法、粉砕プラントにおけるプロセス制御装置、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
PCIプラントでは、まず、燃料ガスと燃焼エアとを熱ガス発生装置に供給し、熱ガス発生装置において、熱風を排ガスとして発生させる。排ガスは、原料の粉砕を行う粉砕機の内部に供給される。粉砕機で粉砕された原料(粉体)は、排ガスと共にバグフィルター(濾布(繊布や不織布))に供給され、バグフィルターで捕集される。
尚、PCIプラントには、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントと、1パス方式のPCIプラントがある。負圧式・排ガス循環系のPCIプラントでは、熱風(排ガス)は、循環ファンで昇圧されて循環ガスとして再び熱ガス発生装置に供給される。一方、1パス方式のPCIプラントでは、熱風(排ガス)は、循環されずにそのまま煙突から大気中に放散される。
図1は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成の一例を示す図である。図1において、各構成要素を繋ぐ実線は配管を示し、破線は信号の伝達経路を示す。また、矢印線は、配管内のガスや石炭の進行方向を示す。尚、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成は、例えば、特許文献2に記載の技術等の公知の技術で実現できるので、ここでは、各構成について簡単に説明し、詳細な説明を省略する。
給炭機108は、チェーンコンベアを有し、バンカー107内に貯蔵されている石炭をチェーンコンベアにより切り出してミル109に投入する。
ミル109は、給炭機108から投入された石炭を粉砕する粉砕機である。ミル109の入側の位置における圧力が大気圧に対して負圧に保たれるようにすることにより、ミル109の内部の圧力は負圧に保たれる。ミル109は、例えば、ロールミル109aと粉砕テーブル109bとを有する。ミル109の上部から投入された石炭をロールミル109aと粉砕テーブル109bとの間に供給する。回転している粉砕テーブル109bに対してロールミル109aを押し付けながら回転させることにより、石炭は押し潰されて粉砕される。粉砕された石炭は、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れにのって、ミル109の上部に供給され、分級機で分級された後、外部に放出される。
以下の説明では、「ミル109から外部に放出された粉砕後の石炭」を必要に応じて「微粉炭」と称する。尚、シールエアは、エア(空気)であることが好ましいが、エア以外のガス(例えば不活性ガス)であってもよい。
流量計116は、バグフィルター112を通過した排ガスの体積流量を測定する。流量計116は、例えば、ベンチュリ管を用いることにより実現される。
ダンパー117は、バグフィルター112を通過した排ガスの流量を調整する。
循環ファン118は、ダンパー117を通過した排ガスを熱ガス発生装置101に循環させることができるように、排ガスを昇圧する。
循環ファン118により昇圧された排ガスの一部は、煙突119を介して大気中に放出される。放散系圧力調整弁120は、煙突119を介して大気中に放出される排ガスの圧力を調整する。流量計121は、煙突119を介して大気中に放出される排ガスの体積流量を測定する。流量計121は、例えば、オリフィス流量計を用いることにより実現される。尚、以下の説明では、煙突119を介して大気中に放出される排ガスを必要に応じて「放散ガス」と称する。
図2は、粉砕プロセス制御装置200の機能的な構成の一例を示す図である。粉砕プロセス制御装置200は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)またはCPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置を用いることにより実現することができる。
ガスカロリー推定部210は、燃料ガス(BFG)のカロリーと、直接的に測定できない石炭の水分量および経路内に進入するエアの体積流量とを導出する。制御部220は、これらの導出した値を用いて、ミル出口温度の目標値に対する偏差が0(ゼロ)に近づくようなバーナーの負荷を導出する。
(a) 熱の収支のバランスとガスの収支のバランスとの双方について、非定常的なバランスを無視し、定常的なバランスのみを表現する。
(b) 原料である石炭に含まれる水分の相変化に必要な熱量を、石炭から発生する水蒸気量を生成するのに必要な潜熱により計算する。
(c) 燃料ガス(BFG)の燃焼により発生する排ガスの体積流量を、簡単のため、燃料ガス(BFG)の体積流量と燃焼エアの体積流量との和とする。
(d) 循環ファン118による昇温効果は、循環ガスにのみ寄与すると単純化し、放散ガスの温度は、ミル出口温度と同じであると仮定する。
(e) 負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの系内の温度は、ミル出口温度と同じになると仮定する。
(f) 燃料ガス(BFG)は完全燃焼するものとし、過剰な燃焼エアはそのまま残るものとする。
(g) バグ出口酸素濃度(バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の酸素ガスの濃度)は、希釈エアの流量の制御により、一定値に維持されるものとする。
(h) バグ出口排ガス流量(バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の排ガスの体積流量)は、流量制御により、一定量に維持されるものとする。
まず、ガスカロリー推定部210について説明する。
ガスカロリー推定部210は、水蒸気流量・不可観測エア流量導出部211と、石炭水分量導出部212と、燃料ガスカロリー導出部213とを有する。
水蒸気流量・不可観測エア流量導出部211は、放散ガス流量収支モデルと、酸素濃度収支モデルとを用いて、石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcv[Nm3/hr]と、進入エアの体積流量Fbair[Nm3/hr]と、シールエアの体積流量Fsair[Nm3/hr]とを導出する。進入エアは、ミル109の内部とバグフィルター112の圧力が負圧に保たれていることによりバンカー107等からミル109に進入する空気である。また、シールエアは、ミル109の内部(粉砕テーブル109bの軸受部)の隙間から外部に放出されようとする微粉炭を、熱ガス発生装置101から供給された排ガスの流れに押し戻すために粉砕テーブル109bの下部から吹きこまれる空気である。
Fexh=Fbfg+Fcair+Fcv+Fsair+Fbair+Fpair ・・・(1)
O2濃度={(Fpair+Fbair+Fsair+Fcair×0.1)/Fexh}×21 ・・・(2)
ここで、Fexhは、放散ガスの体積流量[Nm3/hr]であり、流量計121により測定される。O2濃度は、バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の排ガスの酸素濃度[%]であり、バグ出口O2濃度計115により測定される。
Fbfgは、燃料ガス(BFG)の体積流量[Nm3/hr]であり、流量計103により測定される。Fcairは、燃焼エアの体積流量[Nm3/hr]であり、流量計105により測定される。Fpairは、希釈エアの体積流量[Nm3/hr]であり、流量計124により測定される。前述したようにFcv、Fsair、Fbairは、それぞれ、石炭に由来する水蒸気の体積流量、シールエアの体積流量、進入エアの体積流量であり、何れも直接的に測定することができない。尚、(2)式の右辺において、「Fcair×0.1」は、燃焼反応で余ったエアの体積流量である。また、前述した体積流量やO2濃度の測定値としては、例えば、所定時間における平均値を用いることができる。
水蒸気として存在する水の単位時間当たりの重量WV[kg/hr]は、以下の(3)式および(4)式で表される。
WV=Fcv×22.4/18 ・・・(3)
WV=給炭量×1000×{石炭の水分量/(100−石炭の水分量)−製品の水分量/(100−製品の水分量)} ・・・(4)
以上のように(3)式と(4)式により、未知量である石炭の水分量[質量%]を計算することができる。石炭水分量導出部212は、このようにして、石炭の水分量を導出する。尚、ここで導出される石炭の水分量は、粉砕前の石炭の水分量である。
負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに与えられる熱量と消費される熱量とが等しくなると、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントにおける熱収支のバランスがとれるので、以下の(5)式が、熱収支モデルとして得られる。
ΔQHGG+ΔQFAN=ΣΔQGAS(i)+ΔQCOAL+ΔQ(顕熱)+ΔQ(潜熱) ・・・(5)
(5)式において、右辺は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントで消費する熱量の合計であり、左辺は、負圧式・排ガス循環系のPCIプラントに与えられる熱量の合計である。
ΔQHGG=燃料ガス(BFG)のカロリー×Fbfg ・・・(6)
Fbfgは、前述したように、燃料ガス(BFG)の体積流量[Nm3/hr]であり、流量計103により測定される。
ΔQFAN=循環ガスの体積流量×ΔT×ガスの比熱 ・・・(7)
ガスの比熱[kcal/kg・℃]は、環境条件として予め与えられる。ΔTは、循環ファン118における断熱圧縮に起因する循環ガスの温度上昇分[℃]であり、環境条件として予め与えられる。循環ガスの体積流量[Nm3/hr]は、以下の(8)式で表される。
バグ出口の排ガスの体積流量[Nm3/hr]は、バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の排ガスの体積流量であり、流量計116により測定される。Fexhは、前述したように、放散ガスの体積流量[Nm3/hr]であり、流量計121により測定される。
ΣΔQGAS(i)=Σ[ガス(i)の比熱×ガス(i)の体積流量×(ミル出口温度−ガス(i)の注入温度)] ・・・(9)
ガス(i)は、燃料ガス(BFG)、燃焼エア、希釈エア、進入エア、およびシールエアである。前述したようにここでは、進入エアおよびシールエアの流量を不可観測エアの流量として一括りの流量として取り扱う。各ガスの比熱と注入温度は、環境条件として予め与えられる。また、ミル出口温度は、ミル出口温度計111により測定される。燃料ガス(BFG)の体積流量Fbfg、燃焼エアの体積流量Fcair、希釈エアの体積流量Fpairは、それぞれ、流量計103、105、124により測定される。不可観測エアの体積流量Fsair+Fbairは、水蒸気流量・不可観測エア流量導出部211により導出される。
ΔQCOAL=原料の比熱×給炭量×1000×(ミル出口温度−外気温) ・・・(10)
給炭量[ton/hr]は、操業条件として与えられる。また、原料の比熱[kcal/kg・℃]と原料の温度[℃]は、環境条件として予め与えられる。ミル出口温度は、ミル出口温度計111により測定される。また、外気温としては測定値が用いられる。
ΔQ(顕熱)=水の比熱×WM×(ミル出口温度−外気温) ・・・(11)
水の比熱[kcal/kg・℃]は、環境条件として予め与えられる。
また、WMは、石炭に含まれる水の単位時間当たりの重量[kg/hr]であり、以下の(12)式で表される。
WM=給炭量×1000×石炭の水分量/(100−石炭の水分量) ・・・(12)
給炭量[ton/hr]は、操業条件として予め与えられる。石炭の水分量[質量%]は、石炭水分量導出部212により導出される。
ΔQ(潜熱)=水の潜熱×WV ・・・(13)
水の潜熱[kcal/kg]は、環境条件として予め与えられる。また、WVは、前述した(3)式または(4)式で表される。
前述したように、(4)式において、給炭量[ton/hr]は、操業条件として与えられ、製品の水分量[質量%]は、環境条件として予め与えられる。また、石炭の水分量[質量%]は、石炭水分量導出部212により導出される。また、(3)式において、石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcvは、水蒸気流量・不可観測エア流量導出部211により導出される。
燃料ガス(BFG)のカロリー=(ΣΔQGAS(i)+ΔQCOAL+ΔQ(顕熱)+ΔQ(潜熱)−ΔQFAN)/Fbfg ・・・(14)
(7)式〜(13)式を参照しながら説明したように、(14)式の右辺の値を求めることができるので、(14)式により、未知量である燃料ガス(BFG)のカロリー[kcal/Nm3]を計算することができる。燃料ガスカロリー導出部213は、このようにして、燃料ガス(BFG)のカロリーを導出する。
次に、制御部220について説明する。
制御部220は、ミル出口温度偏差導出部221と、FB制御部222と、FF制御部223と、バーナー負荷導出部224と、バーナー負荷出力部225とを有する。
[ミル出口温度偏差導出部221]
ミル出口温度偏差導出部221は、ミル出口温度計111で測定されたミル出口温度から、粉砕時のミル出口温度の目標値を減算して、ミル出口温度の測定値の目標値に対する偏差を導出する。
FB制御部222は、ミル出口温度の測定値の目標値に対する偏差を入力として、比例動作、積分動作、および微分動作を行い、操作量としてバーナーの負荷[%]を導出してバーナー負荷導出部224に出力することを繰り返して、ミル出口温度の測定値を目標値に近づける制御(すなわちPID制御)を行う。尚、FB制御部222における制御は、PID制御に限定されない。FB制御部222は、FB制御部222における制御として、例えば、PI制御を行うようにしてもよい。また、バーナーの負荷は、以下の(15)式のように表される。
バーナーの負荷=(燃料ガス(BFG)の体積流量/バーナーに供給できる燃料ガス(BFG)の体積流量の最大値)×100 ・・・(15)
FF制御部223は、給炭量の目標値に応じたバーナーの負荷(の修正量)を操作量として導出する。燃料ガス(BFG)の体積流量Fbfgは、(14)式より、以下の(16)式のように表される。
Fbfg=(ΣΔQGAS(i)+ΔQCOAL+ΔQ(顕熱)+ΔQ(潜熱)−ΔQFAN)/燃料ガス(BFG)のカロリー ・・・(16)
O2濃度={(Fpair+Fbair+Fsair+Fcair×0.1)/Fexh}×21=O2濃度の目標値 ・・・(17)
Fexh=Fbfg+Fcair+Fcv+Fsair+Fbair+Fpair ・・・(18)
(17)式は、(2)式に対応する式であり、(17)式のO2濃度は、バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の排ガスの酸素濃度[%]である。(18)式は、(1)式に対応する式である。
Fcair=Fbfg×理論空気量×過剰空気量 ・・・(19)
理論空気量[−]と過剰空気量[−]は環境条件として予め与えられる。このように、燃焼エアの体積流量Fcairは、決定変数(燃料ガス(BFG)の体積流量Fbfg)により定まる従属変数である。
また、バグ出口の排ガスの体積流量は、操業条件として予め与えられる。
FFゲイン={(Δ給炭量/ΔFbfg)/バーナーに供給できる燃料ガス(BFG)の体積流量の最大値}×100 ・・・(20)
バーナー負荷導出部224は、FB制御部222で導出されたバーナー負荷に、FF制御部223で導出されたバーナー負荷の修正量(FFゲイン)を加算して最終的なバーナーの負荷を導出する。
バーナー負荷出力部225は、バーナー負荷導出部224で導出されたバーナーの負荷を熱ガス発生装置(HGG)101に出力する。
熱ガス発生装置(HGG)101は、バーナーに供給されている燃料ガスおよび燃焼エアの体積流量の測定値が、バーナー負荷出力部225により出力されたバーナーの負荷から得られる目標値に近づくように、燃料ガス流量調節弁102およびエア流量調節弁104の開度を調整するフィードバック制御を行い、その結果に基づいて、燃料ガス流量調節弁102およびエア流量調節弁104の開度の変更量を導出する。そして、熱ガス発生装置(HGG)101は、導出した変更量だけ開度が変更されるように、燃料ガス流量調節弁102およびエア流量調節弁104を動作させる。
次に、図3のフローチャートを参照しながら、粉砕プロセス制御装置200の動作の一例を説明する。
まず、ステップS301において、水蒸気流量・不可観測エア流量導出部211は、(1)式と(2)式により、石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcvおよび不可観測エアの体積流量Fsair+Fbairを導出する。
次に、ステップS303において、燃料ガスカロリー導出部213は、(14)式により、燃料ガス(BFG)のカロリーを導出する。
次に、ステップS304において、FF制御部223は、(16)式、(17)式および(18)式により、単位時間における給炭量の変化量(=Δ給炭量)に対する、単位時間における燃料ガス(BFG)の体積流量Fbfgの変化量(=ΔFbfg)の比(=ΔFbfg/Δ給炭量)を導出する。
次に、ステップS306において、ミル出口温度偏差導出部221は、ミル出口温度計111で測定されたミル出口温度から、粉砕時のミル出口温度の目標値を減算して、ミル出口温度の測定値の目標値に対する偏差を導出する。
尚、ステップS306、S307を行うタイミングは、ステップS305の後に限定されず、ステップS305の前のタイミングであってよい。ステップS306、S307を行うタイミングを、例えば、ステップS301の前のタイミングまたはステップS303、S304の間のタイミングにすることができる。
最後に、ステップS309において、バーナー負荷出力部225は、ステップS308で導出されたバーナーの負荷を熱ガス発生装置(HGG)101に出力する。熱ガス発生装置(HGG)101は、このバーナーの負荷を用いて、バーナーの空燃比制御を実行する。
以上のように本実施形態では、燃料ガス(BFG)の体積流量Fbfg、燃焼エアの体積流量Fcair、希釈エアの体積流量Fpair、放散ガスの体積流量Fexh、バグフィルターの出側のO2濃度を用いて、放散ガス流量収支モデルおよび酸素濃度収支モデルにより、石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcvと不可観測エアの体積流量Fsair+Fbairとを導出する。石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcvと、操業条件として予め与えられる給炭量と、環境条件として予め与えられる製品の水分量とに基づいて、石炭の水分量を導出する。そして、石炭に由来する水蒸気の体積流量Fcvと不可観測エアの体積流量Fsair+Fbairと石炭の水分量とを用いて、熱収支モデルにより、燃料ガス(BFG)のカロリーを導出する。従って、ガス分析計のような専用の測定機器を用いなくても、燃料ガス(BFG)のカロリーをリアルタイムに推定することが可能になる。その結果、バーナーの負荷を適切に調節することができる。その一例として本実施形態では、ミル出口温度が目標値に近づくようにバーナーの負荷を調節する制御を行う際に、フィードバック制御により得られるバーナーの負荷に対する修正量として、給炭量の変化に応じたバーナーの負荷の修正量を高精度にフィードフォワードゲインとして導出することができる。これにより、ミル出口温度が目標値から大きく外れることを抑制することができ、粉塵爆発や経路内の水蒸気の液相化を抑制することができる。
本実施形態では、給炭量の変化に応じてミル出口温度をフィードフォワード制御する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、バーナー負荷を調節する方法は、このような方法に限定されない。例えば、燃料ガス(BFG)のカロリーが低下してエアリッチになりバーナーにおいて失火すると、結果としてPCIプラント全体の運転を停止することになる。そこで、本実施形態の手法で推定した燃料ガス(BFG)のカロリーにより、燃料ガス(BFG)のカロリーの変動を監視し、この変動に基づいて、バーナーの負荷(空燃比)を調節すれば、バーナーの負荷を適切に維持することができ、バーナーの最適な燃焼制御を継続することができる。
図4は、1パス方式のPCIプラントの構成の一例を示す図である。図4において、図1に示した負圧式・排ガス循環系のPCIプラントの構成と同じ部分については、図1に付した符号と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図4でも、図1と同様に、各構成要素を繋ぐ実線は配管を示し、破線は信号の伝達経路を示す。また、矢印線は、配管内のガスや石炭の進行方向を示す。
供給ファン136は、ダンパー135を通過した排ガスをミル109に供給させるために排ガスを昇圧するファンである。
負圧式・排ガス循環系のPCIプラントでは、ミル109とバグフィルター112の内部の圧力は負圧に保たれているが、1パス方式のPCIプラントでは、ミル109とバグフィルター112の内部の圧力は大気圧である。
バグフィルター112を通過した排ガスは、そのまま煙突137を介して大気中に放出される。流量計138は、煙突137を介して大気中に放出される排ガスの体積流量を測定する。流量計138は、例えば、オリフィス流量計を用いることにより実現される。
以上のようにすれば、1パス方式のPCIプラントにおいても、本実施形態と同様にして燃料ガスのカロリーを導出することができ、前述した効果を得ることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
熱ガス発生装置は、例えば、熱ガス発生装置101または131を用いることにより実現される。
燃料ガス流量測定手段は、例えば、流量計103を用いることにより実現される。
燃焼エア流量測定手段は、例えば、流量計105を用いることにより実現される。
ガス流量測定手段は、例えば、流量計124または132を用いることにより実現される。
熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスは、例えば、希釈エアまたは調整エアにより実現される。
粉砕機は、例えば、ミル109を用いることにより実現される。
供給手段は、例えば、シールエアファン110を用いることにより実現される。
粉砕機出側温度は、例えば、ミル出口温度により実現される。
温度測定手段は、例えば、ミル出口温度計111を用いることにより実現される。
捕集機は、例えば、バグフィルター112を用いることにより実現される。
酸素濃度測定手段は、例えば、バグ出口O2濃度計115を用いることにより実現される。
捕集機出側酸素濃度は、例えば、バグフィルター112の出側の所定の位置における配管内の排ガスの酸素濃度により実現される。
捕集機出側排ガス流量測定手段は、例えば、流量計116または138を用いることにより実現される。
煙突は、例えば、煙突119または137を用いることにより実現される。
放散ガス流量測定手段は、例えば、流量計121または138を用いることにより実現される。
昇圧手段は、例えば、循環ファン118または供給ファン136を用いることにより実現される。
第1の導出工程は、例えば、ステップS301の処理により実現される。
不可観測ガスは、例えば、不可観測エアにより実現される。
原料由来水蒸気は、例えば、石炭に由来する水蒸気により実現される。
第2の導出工程は、例えば、ステップS302の処理により実現される。
粉砕前の原料の水分量は、例えば、(4)式における石炭の水分量により実現される。
粉砕後の原料の水分量は、例えば、(4)式における製品の水分量により実現される。
第3の導出工程は、例えば、ステップS303の処理により実現される。
第4の導出工程は、例えば、ステップS304〜S308により実現される。
動作工程は、例えば、ステップS309で出力されたバーナー負荷に基づいて熱ガス発生装置(HGG)101が、バーナーの空燃比制御を実行することにより実現される。
放散ガスの体積流量が、粉砕プラントに注入されるガスの体積流量の合計値および粉砕プラントで発生するガスの体積流量の合計値との和で表されることを示す計算式は、例えば、(1)式により実現される。
捕集機の出側の所定の位置における排ガスの酸素濃度が、粉砕プラントに注入されるガスの配管内を流れる体積流量の合計値を、粉砕プラントに注入されるガスの体積流量および粉砕プラントで発生するガスの体積流量の合計値で割った値に、空気中の酸素の割合を掛けた値で表されることを示す計算式は、例えば、(2)式により実現される。
燃料ガスのカロリーが、粉砕プラントで消費される熱量の合計値から、昇圧手段で排ガスの圧力を昇圧させる際に発生する熱量を減算した値を、燃料ガスの体積流量で割った値で表される計算式は、例えば、(14)式により実現される。
Claims (6)
- バーナーを用いて熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、
前記熱ガス発生装置に供給される燃料ガスの体積流量を測定する燃料ガス流量測定手段と、
前記熱ガス発生装置に供給される燃焼エアの体積流量を測定する燃焼エア流量測定手段と、
前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量を測定するガス流量測定手段と、
原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、
前記粉砕後の原料を前記排ガスの流れに乗せるために前記粉砕機の内部にガスを供給する供給手段と、
前記粉砕機の出側の所定の位置における粉砕後の前記原料の温度である粉砕機出側温度を測定する温度測定手段と、
前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、
前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの酸素濃度である捕集機出側酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、
前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの体積流量を測定する捕集機出側排ガス流量測定手段と、
前記捕集機を通過した後の前記排ガスを外部に放出するための煙突と、
前記煙突を介して外部に放出される前記排ガスである放散ガスの体積流量を測定する放散ガス流量測定手段と、
前記排ガスの経路となる配管と、
前記配管を流れる前記排ガスの圧力を昇圧させる昇圧手段と、を有する粉砕プラントにおけるプロセス制御方法であって、
前記燃料ガスの体積流量の測定値と、前記燃焼エアの体積流量の測定値と、前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量の測定値と、前記放散ガスの体積流量の測定値と、前記捕集機出側酸素濃度の測定値とを用いて、前記粉砕プラントに注入されるガスおよび前記粉砕プラントで発生するガスのうち、測定できないガスである不可観測ガスの体積流量と、前記原料に由来して前記粉砕プラントで発生する水蒸気である原料由来水蒸気の体積流量とを導出する第1の導出工程と、
前記第1の導出工程により導出された原料由来水蒸気の体積流量と、予め設定される前記原料の単位時間当たりの供給量と、予め設定される粉砕後の前記原料の水分量とを用いて、粉砕前の前記原料の水分量を導出する第2の導出工程と、
前記第1の導出工程により導出された前記不可観測ガスの体積流量と、前記第2の導出工程で導出された前記粉砕前の原料の水分量と、前記燃料ガスの体積流量の測定値と、前記燃焼エアの体積流量の測定値と、前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量の測定値と、前記放散ガスの体積流量の測定値と、前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの体積流量の測定値と、前記粉砕機出側温度の測定値とを用いて、前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量を導出する第3の導出工程と、
前記第3の導出工程により導出された前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量を用いて、前記バーナーの空燃比を導出する第4の導出工程と、
前記第4の導出工程により導出された空燃比に基づいて前記バーナーを動作させる動作工程と、を有することを特徴とする粉砕プラントにおけるプロセス制御方法。 - 前記第1の導出工程は、
前記放散ガスの体積流量が、前記粉砕プラントに注入されるガスの体積流量の合計値および前記粉砕プラントで発生するガスの体積流量の合計値の和で表されることを示す計算式と、
前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの酸素濃度が、前記粉砕プラントに注入されるガスの前記配管内を流れる体積流量の合計値を、前記粉砕プラントに注入されるガスの体積流量および前記粉砕プラントで発生するガスの体積流量の合計値で割った値に、空気中の酸素の割合を掛けた値で表されることを示す計算式と、
による計算を行うことにより、前記不可観測ガスの体積流量と、前記原料由来水蒸気の体積流量とを導出することを特徴とする請求項1に記載の粉砕プラントにおけるプロセス制御方法。 - 前記第3の導出工程は、
前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量が、前記粉砕プラントで消費される熱量の合計値から、前記昇圧手段で前記排ガスの圧力を昇圧させる際に発生する熱量を減算した値を、前記燃料ガスの体積流量で割った値で表されることを示す計算式による計算を行うことにより、前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量を導出することを特徴とする請求項1または2に記載の粉砕プラントにおけるプロセス制御方法。 - 前記配管は、前記熱ガス発生装置、前記粉砕機、前記捕集機、および前記煙突を経由して前記熱ガス発生装置に戻る経路に配置され、
前記粉砕機と前記捕集機の内部は、大気圧に対して負圧に保たれ、
前記昇圧手段は、前記捕集機と前記煙突との間の位置において前記配管を流れる前記排ガスの圧力を昇圧し、
前記ガス流量測定手段は、前記熱ガス発生装置の内部に供給されるエアである希釈エアの体積流量を測定し、
前記粉砕プラントは、負圧式・排ガス循環系の粉砕プラントとして構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の粉砕プラントにおけるプロセス制御方法。 - バーナーを用いて熱風を排ガスとして発生する熱ガス発生装置と、
前記熱ガス発生装置に供給される燃料ガスの体積流量を測定する燃料ガス流量測定手段と、
前記熱ガス発生装置に供給される燃焼エアの体積流量を測定する燃焼エア流量測定手段と、
前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量を測定するガス流量測定手段と、
原料を粉砕し、粉砕後の原料を、前記排ガスの流れに乗せて外部に放出する粉砕機と、
前記粉砕後の原料を前記排ガスの流れに乗せるために前記粉砕機の内部にガスを供給する供給手段と、
前記粉砕機の出側の所定の位置における粉砕後の前記原料の温度である粉砕機出側温度を測定する温度測定手段と、
前記粉砕機から前記排ガスの流れに乗って放出された粉砕後の原料を捕集する捕集機と、
前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの酸素濃度である捕集機出側酸素濃度を測定する酸素濃度測定手段と、
前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの体積流量を測定する捕集機出側排ガス流量測定手段と、
前記捕集機を通過した後の前記排ガスを外部に放出するための煙突と、
前記煙突を介して外部に放出される前記排ガスである放散ガスの体積流量を測定する放散ガス流量測定手段と、
前記排ガスの経路となる配管と、
前記配管を流れる前記排ガスの圧力を昇圧させる昇圧手段と、を有する粉砕プラントにおけるプロセス制御装置であって、
前記燃料ガスの体積流量の測定値と、前記燃焼エアの体積流量の測定値と、前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量の測定値と、前記放散ガスの体積流量の測定値と、前記捕集機出側酸素濃度の測定値とを用いて、前記粉砕プラントに注入されるガスおよび前記粉砕プラントで発生するガスのうち、測定できないガスである不可観測ガスの体積流量と、前記原料に由来して前記粉砕プラントで発生する水蒸気である原料由来水蒸気の体積流量とを導出する第1の導出手段と、
前記第1の導出手段により導出された原料由来水蒸気の体積流量と、予め設定される前記原料の単位時間当たりの供給量と、予め設定される粉砕後の前記原料の水分量とを用いて、粉砕前の前記原料の水分量を導出する第2の導出手段と、
前記第1の導出手段により導出された前記不可観測ガスの体積流量と、前記第2の導出手段で導出された前記粉砕前の原料の水分量と、前記燃料ガスの体積流量の測定値と、前記燃焼エアの体積流量の測定値と、前記熱ガス発生装置の内部または出側の所定の位置に供給されるガスの体積流量の測定値と、前記放散ガスの体積流量の測定値と、前記捕集機の出側の所定の位置における前記排ガスの体積流量の測定値と、前記粉砕機出側温度の測定値とを用いて、前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量を導出する第3の導出手段と、を有し、
前記バーナーは、前記第3の導出手段により導出された前記燃料ガスの単位体積流量あたりの熱量に基づいて動作することを特徴とする粉砕プラントにおけるプロセス制御装置。 - 請求項5に記載の粉砕プラントにおけるプロセス制御装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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