JP2018044257A - 耐熱性湿式不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ポリフェニレンサルファイド繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、湿式抄紙法で耐熱性湿式不織布を製造する際に断紙が発生し難い耐熱性不織布を提供することである。【解決手段】ポリフェニレンサルファイド繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びポリビニルアルコール繊維を含有することを特徴とする耐熱性湿式不織布。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維を含有する耐熱性湿式不織布に関するものである。
ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維は、耐熱性、耐薬品性、耐加水分解性能、吸湿時の寸法安定性、絶縁性、難燃性、保温性に優れている高機能繊維であるため、用途が拡大している。例えば、高温のガス集塵に用いるフィルター、工業製品の乾燥工程に使用するドライヤー用カンバス、オフィス用コピー機のロール拭き取り材、電気機器の絶縁材、緩衝材(クッション材)、保温布、電池用セパレータ等の用途が挙げられる。
PPS繊維を含有してなる耐熱性不織布として、湿式抄紙法で製造された耐熱性湿式不織布が知られている。例えば、延伸PPS繊維と未延伸PPS繊維とを併用する耐熱性湿式不織布が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。湿式抄紙法で湿式不織布を製造する場合、抄紙網で製造された湿紙から搾水するウェットプレス部、湿紙を乾燥機まで搬送する工程等が存在する。延伸PPS繊維と未延伸PPS繊維とを含有してなる耐熱性湿式不織布では、ウェットプレス部や搬送工程で断紙が起こりやすいという問題があった。
特開2010−24574号公報 特開2011−106043号公報
本発明の課題は、PPS繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、湿式抄紙法で耐熱性湿式不織布を製造する際に断紙が発生し難い耐熱性不織布を提供することである。
上記課題は、下記発明によって解決することができる。
(1)ポリフェニレンサルファイド繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びポリビニルアルコール繊維を含有することを特徴とする、耐熱性湿式不織布。
(2)前記芯鞘型ポリエステル複合繊維と前記ポリビニルアルコール繊維を合わせた含有量が11質量%以上40質量%以下である上記(1)記載の耐熱性湿式不織布。
(3)前記芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が10質量%以上39質量%以下である上記(1)又は(2)記載の耐熱性湿式不織布。
(4)前記ポリビニルアルコール繊維の含有量が1質量%以上20質量%以下である上記(1)〜(3)のいずれか記載の耐熱性湿式不織布。
本発明によれば、PPS繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、湿式抄紙法で耐熱性湿式不織布を製造する際に断紙が発生し難い耐熱性不織布を提供することができる。
本発明の耐熱性湿式不織布は、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びポリビニルアルコール(PVA)繊維を含有する耐熱性湿式不織布である。
ポリフェニレンサルファイド(Polyphenylenesulfide)繊維とは、ポリマー構成単位として−(C−S)−を主要構造単位とする重合体(PPS重合体)からなる合成繊維である。PPS重合体の代表例としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリフェニレンサルファイドケトン等が挙げられる。また、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体等も挙げられる。さらに、前記重合体の混合物が挙げられる。特に好ましいPPS重合体としては、ポリマーの主要構造単位として、−(C−S)−で表されるp−フェニレン単位を、好ましくは90質量%以上含有するポリフェニレンサルファイドが挙げられる。
本発明において、PPS繊維としては、未延伸PPS繊維と延伸PPS繊維を使用する。未延伸PPS繊維は、大部分が非結晶構造であり、熱を加えることで溶融し、バインダーとして働くことができる。延伸PPS繊維は、繊維製造工程において延伸を加えられることで、繊維の単繊維強度が強く、寸法安定性に優れている。本発明においては、未延伸PPS繊維及び延伸PPS繊維を併用することで、耐熱性及び絶縁性に優れた不織布を提供することができる。
湿式抄紙法における製造効率を考慮すると、PPS繊維の繊維長は、好ましくは1〜30mmであり、より好ましくは3〜12mmである。また、PPS繊維の繊維径としては、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。なお、繊維径の下限値は、好ましくは0.1μmである。
芯鞘型ポリエステル複合繊維は、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせからなる繊維である。鞘部は、共重合ポリエステルであることが好ましい。共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分を含有し、且つ、イソフタル酸成分、アジピン酸成分、セバシン酸成分、ナフタレンジカルボン酸成分、ジエチルグリコール成分、1,4−ブタンジオール成分及び脂肪族ラクトン成分の群から選ばれる少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルが挙げられる。この共重合ポリエステルは非晶質でも良いし、結晶性でも良い。また、芯部は、主たる繰り返し単位がアルキレンテレフタレートであるポリエステルであり、耐熱性の高いポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
本発明において、芯鞘型ポリエステル複合繊維の断面形状は特に限定しないが、円形が好ましい。また、芯部と鞘部の比率は、体積比で芯/鞘=30/70〜70/30の範囲が好ましく、40/60〜60/40がより好ましい。
芯鞘型ポリエステル複合繊維の繊維径は、好ましくは1μm〜20μmであり、より好ましくは2〜17μmであり、更に好ましくは5〜15μmである。1μm未満の場合、湿式抄紙機の抄紙網から脱落してしまう場合がある。一方、20μmを超えた場合、スラリー中でのPPS繊維と芯鞘型ポリエステル複合繊維の絡み度合いが不十分になり、湿式抄紙工程での断紙の抑制効果が充分ではなく、繊維間の接点が少なくなり過ぎて、強度維持が困難になる場合がある。
芯鞘型ポリエステル複合繊維の繊維長は、好ましくは1〜20mmであり、より好ましくは2〜15mmであり、更に好ましくは3〜10mmである。1mm未満の場合、湿式抄紙時に抄紙ワイヤーから抜け落ちる場合があり、十分な強度が得られない場合がある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こす場合があり、均一な地合が得られない場合がある。
PVA繊維は、熱水可溶性バインダー繊維である。PVA繊維の断面形状については特に限定されず、円形だけでなく、T型、Y型、三角等の異形断面形状でも良い。
PVA繊維の繊度は、好ましくは1μm〜20μmであり、より好ましくは2〜17μmであり、更に好ましくは5〜15μmである。1μm未満の場合、湿式抄紙機の抄紙網から脱落してしまう場合がある。一方、20μmを超えた場合、スラリー中でのPPS繊維とPVA繊維の絡み度合いが不十分になり、湿式抄紙工程での断紙の抑制効果が充分ではなく、繊維間の接点が少なくなり過ぎて、強度維持が困難になる場合がある。
PVA繊維の繊維長は、好ましくは1〜20mmであり、より好ましくは2〜15mmであり、更に好ましくは3〜10mmである。1mm未満の場合、湿式抄紙時に抄紙ワイヤーから抜け落ちる場合があり、十分な強度が得られない場合がある。一方、20mmを超えた場合、水に分散する際にもつれ等を起こす場合があり、均一な地合が得られない場合がある。
延伸PPSと未延伸PPS繊維は、湿式抄紙法でシート化する場合に、湿紙の状態での保水性が極めて低いために、抄紙機のウェットプレス部や乾燥機に搬送する工程での断紙が起こりやすいという問題があった。本発明に用いられる繊維は、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維であり、これらの繊維を水に分散したスラリーを用いることによって、耐熱性湿式不織布を湿式抄紙法によって製造する際に、断紙が少ないという効果が得られる。より詳細に説明すると、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維と延伸PPS繊維と未延伸PPS繊維とを併用することで、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維とPPS繊維とがスラリー中でよく絡み合い、湿紙強度が強くなることで、抄紙機のウェットプレス部での繊維の剥がれや断紙が発生しにくくなる。さらに、湿紙の保水性を高めることにより、スムーズに乾燥機へと搬送することができ、断紙を抑制できる。また、乾燥後には、延伸PPS繊維と未延伸PPS繊維の交点を芯鞘型ポリエステル複合繊維の鞘部分とPVA繊維が効率よく接着するために、耐熱性湿式不織布の強度を高めることもできる。PVA繊維を含有することにより、ヤンキードライヤーで乾燥する場合、耐熱性湿式不織布の端部がヤンキードライヤーシリンダーに適度に貼りつき、皺なくシート化できる。本発明の耐熱性湿式不織布は、例えば、フィルター、緩衝材(クッション材)、保温布、電池用セパレータ等に利用することができる。これらの用途で使用される不織布は、ある程度の通気性(空隙)が必要となる。本発明の耐熱性湿式不織布は、後述するように、熱カレンダー処理が施されることが好ましいが、芯鞘型ポリエステル複合繊維を含有することにより、熱カレンダー処理後の通気性を高く維持することができる。
本発明の耐熱性湿式不織布に対して、延伸PPS繊維の含有量は、30〜70質量%が好ましく、35〜65質量%がより好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。上記範囲において、延伸PPS繊維により耐熱性を高めることができる。延伸PPS繊維の含有量が30質量%未満の場合、耐熱性が不足する恐れがある。また、70質量%を超えた場合、耐熱性湿式不織布の強度が不足する恐れがある。
本発明の耐熱性湿式不織布に対して、未延伸PPS繊維の含有量は、20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。上記範囲において、未延伸PPS繊維により、耐熱性湿式不織布の強度を高めることができる。未延伸PPS繊維の含有量が20質量%未満の場合、耐熱性湿式不織布の強度が不足する恐れがある。また、60質量%を超えた場合、耐熱性が不足する恐れがある。
本発明の耐熱性湿式不織布に対して、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量は、11〜40質量%が好ましく、17〜30質量%がより好ましい。上記範囲において、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維により、湿式抄紙法で耐熱性湿式不織布を製造する際に、湿紙強度が強くなり、抄紙機のウェットプレス部での繊維の剥がれや断紙が発生しにくくなる。また、乾燥後の強度を高めることもできる。芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が11質量%未満の場合、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が10質量%未満となることにより、熱カレンダー後の通気性が低くなり過ぎる場合がある。また、40質量%を超えた場合、熱カレンダー処理の際に加熱された金属ロールへの貼り付きが発生する恐れや、耐熱性湿式不織布の耐熱性が低下する恐れがある。
本発明の耐熱性湿式不織布に対して、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量は、10〜39質量%が好ましく、15〜28質量%がより好ましい。芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が10質量%未満の場合、熱カレンダー後の通気性が低くなり過ぎる場合がある。また、39質量%を超えた場合、熱カレンダー処理の際に加熱された金属ロールへの貼り付きが発生する恐れや、耐熱性湿式不織布の耐熱性が低下する恐れがある。
本発明の耐熱性湿式不織布に対して、PVA繊維の含有量は、1〜20質量%が好ましく、1.5〜8質量%がより好ましく、2〜4質量%が更に好ましい。PVA繊維の含有量が1質量%未満の場合、ヤンキードライヤーにて乾燥する際に、ヤンキードライヤーシリンダーへの貼りつき不足により皺が発生する恐れがある。また、20質量%を超えた場合、熱カレンダー処理の際に加熱された金属ロールへの貼り付きが発生したり、耐熱性湿式不織布の耐熱性が低下する恐れがある。
本発明では、耐熱性湿式不織布を湿式抄造法で製造する。まず、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を均一に水中に分散させ、その後、スクリーン(異物、塊等除去)等の工程を通し、スラリーを調製する。スラリーの最終繊維濃度は、好ましくは0.01〜0.50質量%である。該スラリーが、抄紙機で抄き上げられ、湿紙が得られる。工程中で、分散剤、消泡剤、親水剤、帯電防止剤、高分子粘剤、離型剤、抗菌剤、殺菌剤等の薬品を添加する場合もある。
抄紙機としては、例えば、長網、円網、傾斜ワイヤー等の抄紙網を単独で使用した抄紙機、同種又は異種の2以上の抄紙網がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機等を使用することができる。また、不織布が二層以上の多層構成の場合には、各々の抄紙機で抄き上げた湿紙を積層する抄き合わせ法や、一方の層を形成した後に、該層上に繊維を分散したスラリーを流延して積層とする流延法等で、不織布を製造することができる。繊維を分散したスラリーを流延する際に、先に形成した層は湿紙状態であっても良いし、乾燥状態であっても良い。また、2枚以上の乾燥状態の層を熱融着させて、多層構成の不織布とすることもできる。
湿式抄造法では、抄紙網で製造され、ウェットプレス部で搾水された湿紙を、ヤンキードライヤー、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラム式ドライヤー、赤外方式ドライヤー等の乾燥機で乾燥することによって、湿式不織布が得られる。湿紙の乾燥の際に、ヤンキードライヤー等の熱ロールに密着させて熱圧乾燥させることによって、密着させた面の平滑性が向上する。熱圧乾燥とは、タッチロール等で熱ロールに湿紙を押しつけて乾燥させることを言う。熱ロールの表面温度は、100〜180℃が好ましく、100〜160℃がより好ましく、110〜160℃がさらに好ましい。圧力は、好ましくは50〜1000N/cmであり、より好ましくは100〜800N/cmである。
PVA繊維は、水酸基を含有する熱水可溶性の繊維状バインダーである。PVA繊維は、適当な原料PVAを用いて適当な条件で製造した繊維であり、常温の水ではほとんど溶解しないで繊維形態を保っているが、抄紙後の水分のある湿紙状態で加熱されると、容易に溶解し始め、湿紙が熱圧乾燥されることによって、PVA繊維が繊維間にまたがって繊維状バインダーとなり、その後の脱水乾燥によって再凝固する。
本発明の耐熱性湿式不織布には、熱カレンダー処理を施すことが好ましい。熱カレンダー処理を行うことによって未延伸PPS繊維を軟化させることにより、延伸PPS繊維や芯鞘型ポリエステル複合繊維、PVA繊維との交点を密着させることができ、耐熱性湿式不織布の強度をより高めることができる。また、高温に晒された時の耐熱性湿式不織布の寸法安定性を高めることができる。耐熱性湿式不織布の熱カレンダー処理に使用されるカレンダーユニットとしては、金属ロール−金属ロール、金属ロール−弾性ロール、金属ロール−コットンロール、金属ロール−シリコンロール等のロールの組み合わせのカレンダーユニットが挙げられる。これらのカレンダーユニットは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱カレンダー処理の際に加熱された金属ロールの表面温度としては、好ましくは100〜260℃であり、より好ましくは130〜255℃であり、さらに好ましくは150〜250℃である。金属ロールの温度が100℃より低いと、未延伸PPS繊維の溶融が進まず、繊維−繊維間の結着が進まない場合がある。また、金属ロールの温度が260℃より高いと、耐熱性湿式不織布を構成する繊維が、金属ロールに貼り付き、不織布表面の均一性を損なう場合がある。
熱カレンダー処理時のニップのニップ圧力は、好ましくは190〜1800N/cmであり、より好ましくは390〜1500N/cmである。加工速度は、好ましくは5〜150m/minであり、より好ましくは10〜80m/minである。
本発明において、耐熱性湿式不織布が多層構成である場合、各層の繊維配合が同一である多層構成であっても良く、各層の繊維配合が異なっている多層構成であっても良い。多層構成である場合、各層の坪量が下がることにより、スラリーの繊維濃度を下げることができるため、耐熱性湿式不織布の地合が良くなり、その結果、耐熱性湿式不織布の地合の均一性が向上する。また、各層の地合が不均一であった場合でも、積層することで補填できる。さらに、抄紙速度を上げることができ、操業性が向上するという効果も得られる。
本発明の製造法で製造される耐熱性湿式不織布の坪量は、特に限定しないが、好ましくは10〜200g/mであり、より好ましくは15〜150g/mである。坪量が10g/m未満では、耐熱不織布の均一性、強度が不十分となる場合がある。坪量が200g/mを超えると、熱カレンダー処理時に、耐熱性湿式不織布に熱付与を均一に行うことが難しくなる場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、実施例中における部や百分率は断りのない限り、すべて質量によるものである。
(繊維)
延伸PPS繊維:繊度1.7デシテックス、繊維長5mm
未延伸PPS繊維:繊度2.2デシテックス、繊維長5mm
芯鞘型ポリエステル複合繊維(芯鞘型PET繊維):繊度1.1デシテックス、繊維長5mm
PVA繊維:繊度1.1デシテックス、繊維長3mm
<実施例1〜9、比較例1〜5>
表1記載の繊維配合(質量部)で、分散濃度0.2質量%で10分間、繊維を水に分散してスラリーを調製し、抄紙機を使って湿紙を形成し、その後、表面温度150℃のヤンキードライヤーにて熱圧乾燥し、坪量60g/mの耐熱性湿式不織布を得た。実施例1〜8及び比較例1〜5では、円網抄紙機を使用した。実施例9では、円網(坪量30g/m)と傾斜網(坪量30g/m)を有するコンビネーション抄紙機を用いて、抄き合わせ法で、耐熱性湿式不織布を製造した。
(熱カレンダー処理)
耐熱性湿式不織布に、金属ロール−金属ロールのカレンダーユニットによって、金属ロール温度230℃、加工速度10m/minで熱カレンダー処理を施した。
Figure 2018044257
実施例及び比較例の製造時の加工性に関して以下の評価を行い、結果を表2に示した。
(抄紙性)
耐熱性湿式不織布を製造する際の抄紙性を以下の指標で評価した。
「5」:抄紙機の各パートでの湿紙、耐熱性湿式不織布の走行性は安定しており、断紙は発生しなかった。増速も可能。
「4」:抄紙機の各パートでの湿紙、耐熱性湿式不織布の走行性は安定している。断紙は発生しないが、繊維剥けがわずかに見られる。
「3」:抄紙機の各パートでの湿紙、耐熱性湿式不織布の走行性は安定している。断紙は発生しないが、繊維剥けが「4」よりも多い。
「2」:プレスパートでの湿紙の強度は弱いが、「3」よりも低速であれば製造可能である。時々、ドライヤー出口で、断紙が発生することがある。
「1」:プレスパートでの湿紙の強度が弱く、断紙が頻発する。
(ヤンキードライヤー時の皺)
耐熱性湿式不織布を製造する際のヤンキードライヤーによる乾燥後の紙面の状態を以下の指標で評価した。
「5」:耐熱性湿式不織布にまったく皺が発生してない。
「4」:耐熱性湿式不織布の一部に皺の発生が見られるが、大部分には皺が発生していない。
「3」:耐熱性湿式不織布の半分程度に皺が発生している。
「2」:耐熱性湿式不織布の一部に皺が発生していない箇所も見られるが、大部分に皺が発生している。
「1」:耐熱性湿式不織布の全面に皺が頻繁に発生している。
(カレンダー加工性)
耐熱性湿式不織布に熱カレンダー処理を施す際の加工性を以下の指標で評価した。
「5」:熱カレンダー処理した際に、断紙が発生せず問題なく加工ができ、均一性に優れる。
「4」:熱カレンダー処理した際に、断紙は発生しないが、加熱された金属ロールに耐熱性湿式不織布が貼り付き気味になる。
「3」:熱カレンダー処理した際に、断紙は発生しないが、加熱された金属ロールに耐熱性湿式不織布が貼り付き、部分的に剥離が見られる。
「2」:熱カレンダー処理した際に、断紙がわずかに発生する。
「1」:熱カレンダー処理した際に、断紙が頻繁に発生する。
(耐熱湿式不織布の通気性)
熱カレンダー処理後の耐熱湿式不織布のフラジール形法による通気性を以下の指標で評価した。
「3」:1.0cm/cm・s以上
「2」:0.5cm/cm・s以上、1.0cm/cm・s未満
「1」:0.5cm/cm・s未満
(耐熱湿式不織布の耐熱性試験)
耐熱湿式不織布を200℃の乾燥機内で60時間加熱前後の引張強度の維持率(耐熱性強度維持率)を以下の指標で評価した。
(加熱後のMD方向とCD方向の引張強度平均値/加熱前のMD方向とCD方向の引張強度平均値)×100[%]
「5」:95%以上
「4」:90%以上、95%未満
「3」:80%以上、90%未満
「2」:70%以上、80%未満
「1」:70%未満
Figure 2018044257
実施例1〜9と比較例1〜3を比較することで、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を含有してなる実施例1〜9の耐熱性湿式不織布は、延伸PPS繊維及び未延伸PPS繊維を含有してなる比較例1〜3の耐熱性湿式不織布と比較すると、抄紙性が高まっていることがわかる。実施例1〜9と比較例4を比較することで、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を含有してなる実施例1〜9の耐熱性湿式不織布は、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維及び芯鞘型ポリエステル複合繊維を含有してなる比較例4の耐熱性湿式不織布と比較すると、ヤンキードライヤー時の皺が改善されていることがわかる。さらに、実施例1〜9と比較例5を比較することで、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を含有してなる実施例1〜9の耐熱性湿式不織布は、延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維及びPVA繊維を含有してなる比較例5の耐熱性湿式不織布と比較すると、カレンダー加工性、耐熱湿式不織布の通気性及び耐熱性強度維持率が改善されていることがわかる。
延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を含有してなる耐熱性湿式不織布である実施例1〜3及び実施例8を比較することで、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が35質量%である実施例2の耐熱性湿式不織布は、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が40質量%である実施例1の耐熱性湿式不織布と比較して、カレンダー加工性及び耐熱性試験の結果が良好であることがわかる。また、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が20質量%である実施例8の耐熱性湿式不織布は、芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が10質量%未満である実施例3の耐熱性湿式不織布と比較して、通気性の結果が良好であることがわかる。
延伸PPS繊維、未延伸PPS繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びPVA繊維を含有してなる耐熱性湿式不織布である実施例4〜6及び実施例8を比較することで、PVA繊維の含有量が7質量%である実施例5の耐熱性湿式不織布は、PVA繊維の含有量が8質量%を超えている実施例4の耐熱性湿式不織布と比較して、カレンダー加工性の結果が良好であることがわかる。また、PVA繊維の含有量が2質量%である実施例8の耐熱性湿式不織布は、PVA繊維の含有量が4質量%を超える実施例4及び5の耐熱性湿式不織布と比較して、耐熱性試験の結果が良好であることがわかる。さらに、PVA繊維の含有量が2質量%である実施例8の耐熱性湿式不織布は、PVA繊維の含有量が2質量%未満である実施例6の耐熱性湿式不織布と比較して、ヤンキードライヤー時の皺の結果が良好であることがわかる。
実施例3、実施例7及び実施例8を比較することで、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が22質量%である実施例8の耐熱性湿式不織布は、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が11質量%未満である実施例3の耐熱性湿式不織布と比較して、通気性が良好であることがわかる。また、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が22質量%である実施例8の耐熱性湿式不織布は、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が11質量%未満である実施例7の耐熱性湿式不織布と比較して、抄紙性とヤンキードライヤー時の皺が良好であることがわかる。また、実施例1及び2を比較することで、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が37質量%である実施例2の耐熱性湿式不織布は、芯鞘型ポリエステル複合繊維とPVA繊維を合わせた含有量が40質量%超である実施例1の耐熱性湿式不織布と比較して、カレンダー加工性及び耐熱性試験の結果が良好であることがわかる。
実施例8と実施例9の比較から、耐熱性湿式不織布が単層であっても、多層構成であっても、抄紙性、ヤンキードライヤー時の皺、カレンダー加工性、通気性、耐熱性試験の結果共に良好であることがわかる。
本発明の耐熱性湿式不織布は、高温のガス集塵に用いるフィルター、工業製品の乾燥工程に使用するドライヤー用カンバス、オフィス用コピー機のロール拭き取り材、電気機器の絶縁材、緩衝材(クッション材)、保温布、電池用セパレータ等に利用することができる。

Claims (4)

  1. ポリフェニレンサルファイド繊維を含有する耐熱性湿式不織布において、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、芯鞘型ポリエステル複合繊維及びポリビニルアルコール繊維を含有することを特徴とする耐熱性湿式不織布。
  2. 前記芯鞘型ポリエステル複合繊維と前記ポリビニルアルコール繊維を合わせた含有量が11質量%以上40質量%以下である請求項1記載の耐熱性湿式不織布。
  3. 前記芯鞘型ポリエステル複合繊維の含有量が10質量%以上39質量%以下である請求項1又は請求項2記載の耐熱性湿式不織布。
  4. 前記ポリビニルアルコール繊維の含有量が1質量%以上20質量%以下である請求項1〜3のいずれか記載の耐熱性湿式不織布。
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