JP2018044232A - 耐摩耗性鉄基焼結合金、耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法、及びバルブシート - Google Patents
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Abstract
【課題】基地として鉄が使用されている焼結合金の耐摩耗性を充分に確保しつつ、該焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを可能にした耐摩耗性鉄基焼結合金、耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法、及びバルブシートを提供すること。【解決手段】質量%で、全体を100%としたとき全体成分がMo:4〜35%、C:0.2〜3%、Mn:0.5〜8%、Co:3〜40%、残部が不可避不純物とFeからなり、基地を100%としたとき基地成分がC:0.2〜5%、Mn:0.1〜10%、残部が不可避不純物とFeからなり、硬質粒子を100%としたとき硬質粒子成分がMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなり、硬質粒子が基地中に面積比で10〜60%分散し、質量%で、全体を100%としたとき添加成分がCu:1〜6%又はFeP:0.5〜2%の耐摩耗性鉄基焼結合金。【選択図】なし
Description
本発明は、硬質粒子を含有した耐摩耗性鉄基焼結合金、該耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法、及び該耐摩耗性鉄基焼結合金で形成されたバルブシートに関するものである。
従来から、バルブシートには、鉄を基地とした焼結合金が適用される。そのような焼結合金では、基地とした鉄に酸化膜が形成されることによって耐摩耗性を持たせているが、耐摩耗性をさらに向上させるために、硬質粒子を含有させている。硬質粒子を含有させている場合には、硬質粒子の粉末を、低合金鋼の組成をもつ粉末に混入し、この混合粉末で圧粉成形体を形成し、その後、圧粉成形体を焼結して焼結合金とする。
この点、硬質粒子としては、例えば、質量%でMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなる硬質粒子が提案されている。この硬質粒子が鉄の基地中に面積比で10〜60%程度分散している焼結合金を製造した場合には、硬質粒子の残部が鉄ではなく、Coとなる。Coのマトリックスは、鉄をマトリックスとした場合と比較して、その硬質粒子を混合した焼結合金の耐摩耗性が優れたものとなることが確認されている(特許文献1参照)。
このとき、硬質粒子の固さを、500〜1600Hv程度にすることができる。
また、バルブシートは、焼結合金が内燃機関のシリンダヘッドに圧入後に加工されることによって形成される。このようにして、焼結合金が圧入後に加工されることによって形成されたバルブシートは、バルブの開閉によるシリンダヘッドの摩耗を防ぎ、バルブ着座面としての密封性を確保している。
しかしながら、焼結合金に含有された硬質粒子は、一種又は数種の金属間化合物・炭化物・珪化物・硼化物・窒化物等を含むことで硬さを得ている一方、これらの含有物は焼結合金の基地として使用されている鉄との密着性が低い。そのため、焼結合金がバルブシートに加工される際には、焼結合金の表面から硬質粒子が脱落することがあった。
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、基地として鉄が使用されている焼結合金の耐摩耗性を充分に確保しつつ、該焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを可能にした耐摩耗性鉄基焼結合金、耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法、及びバルブシートを提供することを課題とする。
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、質量%で、全体を100%としたとき全体成分がMo:4〜35%、C:0.2〜3%、Mn:0.5〜8%、Co:3〜40%、残部が不可避不純物とFeからなり、基地を100%としたとき基地成分がC:0.2〜5%、Mn:0.1〜10%、残部が不可避不純物とFeからなり、硬質粒子を100%としたとき硬質粒子成分がMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなり、硬質粒子が基地中に面積比で10〜60%分散している耐摩耗性鉄基焼結合金であって、質量%で、全体を100%としたとき添加成分がCu:1〜6%からなることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法であって、請求項1に記載の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末又は低合金鋼粉末と請求項1に記載のCu粉末とを混合した混合材料を用意し、前記混合材料を成形して圧粉成形体を形成し、前記圧粉成形体を焼結して請求項1に記載の組成をもつ焼結合金とすることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、質量%で、全体を100%としたとき全体成分がMo:4〜35%、C:0.2〜3%、Mn:0.5〜8%、Co:3〜40%、残部が不可避不純物とFeからなり、基地を100%としたとき基地成分がC:0.2〜5%、Mn:0.1〜10%、残部が不可避不純物とFeからなり、硬質粒子を100%としたとき硬質粒子成分がMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなり、硬質粒子が基地中に面積比で10〜60%分散している耐摩耗性鉄基焼結合金であって、質量%で、全体を100%としたとき添加成分がFeP:0.5〜2%からなることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法であって、請求項3に記載の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末又は低合金鋼粉末と請求項3に記載のFeP粉末とを混合した混合材料を用意し、前記混合材料を成形して圧粉成形体を形成し、前記圧粉成形体を焼結して請求項3に記載の組成をもつ焼結合金とすることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、バルブシートであって、請求項1又は請求項3に記載の耐摩耗性鉄基焼結合金で形成されていることを特徴とする。
本発明では、圧粉成形体の焼結時において、添加成分であるCu又はFePの液相が生成される。その生成された液相のCu又はFePは、鉄が使用されている基地と硬質粒子との間に入り込む。これにより、焼結された圧粉成形体は、鉄が使用されている基地の中で硬質粒子の拡散が促進された耐摩耗性鉄基焼結合金となる。そのため、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地として使用されている鉄と硬質粒子の密着性が高められるので、該耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを可能にする。
この点、添加成分がCuである場合、その質量%が1%未満であるときは、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地として使用されている鉄に酸化膜が形成し易いため、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性が最も良い。しかしながら、添加成分であるCuの質量%が1%未満である場合には、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することが不充分である。
そこで、添加成分であるCuの質量%を1%以上に増加させることで、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性の低下を許容範囲に収めつつ、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを向上させる。
つまり、添加成分であるCuの質量%を次第に増加させると、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性が次第に低下する。具体的には、添加成分であるCuの質量%が2〜6%の場合には、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地として使用されている鉄にCuが固溶して、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地として使用されている鉄に酸化膜が形成し難くなるため、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性がやや低下するものの、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制させる。
一方、添加成分であるCuの質量%が6%より多い場合には、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性が急激に低下する。これは、添加成分であるCuの質量%が6%を超えると、単相で析出し始めたCuが、該耐摩耗性鉄基焼結合金の摩耗相手に凝着するためである。
以上より、添加成分であるCuの質量%は1〜6%が適量である。
これに対して、添加成分であるFePの場合、その質量%が0.5%未満である場合には、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することが不充分である。そこで、添加成分であるFePの質量%を0.5%以上に増加させることで、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性の低下を許容範囲に収めつつ、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを向上させる。
もっとも、添加成分であるFePの質量%が2%より多い場合には、該耐摩耗性鉄基焼結合金内の空孔が増加するため、むしろ、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを低下させる。
以上より、添加成分であるFePの質量%は0.5〜2%が適量である。
尚、本発明による硬質粒子は、溶湯を噴霧化するアトマイズ処理で製造されたものでもよいし、溶湯を凝固させた凝固体を機械的粉砕で粉末化したものでもよい。アトマイズ処理としては、非酸化性雰囲気(窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気や真空中)でアトマイズ処理したものを採用できる。
また、本発明による硬質粒子の平均粒径としては、該耐摩耗性鉄基焼結合金の用途、種類などに応じて適宜選択できるが、一般的には、20〜250μm程度、30〜200μm程度、40〜180μm程度にすることができる。ただし、これに限定されるものではない。硬質粒子の硬さは、Mo炭化物等の量にもよるが、一般的にはHv350〜750程度、Hv450〜700程度にすることができる。
また、Fe粉末又は低合金鋼粉末は、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地を構成するものである。低合金鋼粉末はFe−C系粉末を採用することができ、例えば、低合金鋼粉末を100%としたとき、C:0.2〜5%、残部が不可避不純物とFeからなる組成をもつものを採用することができる。焼結温度としては、1050〜1250℃程度、殊に1100〜1150℃程度を採用できる。上記した焼結温度における焼結時間としては、30分〜120分、殊に45〜90分を採用できる。焼結雰囲気としては、不活性ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気が好ましい。非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴンガス雰囲気、真空雰囲気があげられる。
また、該耐摩耗性鉄基焼結合金で形成されているバルブシートを使用すれば、バルブシートの加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを低下させることができると共に、バルブシートの耐摩耗性を充分に確保できる。
すなわち、本発明においては、適量のCu又はFePが添加されて焼結された圧粉成形体は、鉄が使用されている基地の中で硬質粒子の拡散が促進された耐摩耗性鉄基焼結合金となり、該耐摩耗性鉄基焼結合金の基地として使用されている鉄と硬質粒子の密着性が高められるので、該耐摩耗性鉄基焼結合金の耐摩耗性を充分に確保しつつも、該耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを可能にする。
[1.硬質粒子]
質量%で、Mo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなる合金粉末を、不活性ガス(窒素ガス)を用いたガスアトマイズにより製造した。これらを45μm〜180μmの範囲に分級し、硬質粒子の粉末とした。
質量%で、Mo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなる合金粉末を、不活性ガス(窒素ガス)を用いたガスアトマイズにより製造した。これらを45μm〜180μmの範囲に分級し、硬質粒子の粉末とした。
[2−1.Cu無添加の混合材料とCu添加の混合材料]
上記の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末と、その全体を100%としたときのCu粉末を0〜12.5%と、を混合機により混合し、Cu無添加の混合材料とCu添加の混合材料とした。
上記の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末と、その全体を100%としたときのCu粉末を0〜12.5%と、を混合機により混合し、Cu無添加の混合材料とCu添加の混合材料とした。
[2−2.Cu無添加の圧粉成形体とCu添加の圧粉成形体]
そして、成形型を用い、混合材料を78.4×107Pa(8tonf/cm2)の加圧力でリング形状をなす試験片を圧縮成形し、圧粉成形体を形成した。試験片はバルブシート形状をもつ。
そして、成形型を用い、混合材料を78.4×107Pa(8tonf/cm2)の加圧力でリング形状をなす試験片を圧縮成形し、圧粉成形体を形成した。試験片はバルブシート形状をもつ。
[2−3.Cu無添加の試験片(バルブシート)とCu添加の試験片(バルブシート)]
その後、圧粉成形体を1120℃の不活性雰囲気(窒素ガス雰囲気)中で60分間、焼結し、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)を形成した。
その後、圧粉成形体を1120℃の不活性雰囲気(窒素ガス雰囲気)中で60分間、焼結し、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)を形成した。
[2−4.摩耗試験]
次に、図3の試験機3を用いて、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。この摩耗試験では、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金のバルブシート2とバルブ3のバルブフェースとの摺動部を300℃に熱制御した。その熱制御では、バルブ3のバルブフェースの温度を熱電対4で計測した。そして、モータ駆動軸5を駆動源としてカム6を3250rpmで回転させることにより、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金のバルブシート2とバルブ3のバルブフェースとを接触させ、8時間の摩耗試験を行った。尚、バルブ3のバルブフェースの材質はSUH35である。
次に、図3の試験機3を用いて、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。この摩耗試験では、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金のバルブシート2とバルブ3のバルブフェースとの摺動部を300℃に熱制御した。その熱制御では、バルブ3のバルブフェースの温度を熱電対4で計測した。そして、モータ駆動軸5を駆動源としてカム6を3250rpmで回転させることにより、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金のバルブシート2とバルブ3のバルブフェースとを接触させ、8時間の摩耗試験を行った。尚、バルブ3のバルブフェースの材質はSUH35である。
図1は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験の結果を表した図である。図1に表されたように、Cu粉末が無添加の試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の耐摩耗性は、最も良い。また、質量%で2〜6%のCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の耐摩耗性は、やや低下する(つまり、図1では、摩耗量がやや上昇する)。一方、質量%で6%を超えるCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の耐摩耗性は、急激に低下する(つまり、図1では、摩耗量が急激に上昇する)。
[2−5.光学顕微鏡写真]
図4乃至図8は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表している。
図4乃至図8は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表している。
図4は、Cu粉末が無添加の試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図5は、質量%で1%のCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図6は、質量%で3%のCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図7は、質量%で5%のCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図8は、質量%で10%のCu粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。
図4においては、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金から硬質粒子が脱落した部位が例示されている。図4乃至図8の各図においては、丸みを帯びた黒色部分が、硬質粒子の脱落部位である。これらを比較すると、図4の試験片、つまり、Cu粉末が無添加の試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)には、硬質粒子の脱落部位が多くあり、耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)から硬質粒子が脱落することを抑制することが不充分である。
[3−1.FeP無添加の混合材料とFeP添加の混合材料]
上記の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末と、その全体を100%としたときのFeP粉末を0〜4%と、を混合機により混合し、FeP無添加の混合材料とFeP添加の混合材料とした。
上記の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末と、その全体を100%としたときのFeP粉末を0〜4%と、を混合機により混合し、FeP無添加の混合材料とFeP添加の混合材料とした。
[3−2.FeP無添加の圧粉成形体とFeP添加の圧粉成形体]
そして、成形型を用い、混合材料を78.4×107Pa(8tonf/cm2)の加圧力でリング形状をなす試験片を圧縮成形し、圧粉成形体を形成した。試験片はバルブシート形状をもつ。
そして、成形型を用い、混合材料を78.4×107Pa(8tonf/cm2)の加圧力でリング形状をなす試験片を圧縮成形し、圧粉成形体を形成した。試験片はバルブシート形状をもつ。
[3−3.FeP無添加の試験片(バルブシート)とFeP添加の試験片(バルブシート)]
その後、圧粉成形体を1120℃の不活性雰囲気(窒素ガス雰囲気)中で60分間、焼結し、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)を形成した。
その後、圧粉成形体を1120℃の不活性雰囲気(窒素ガス雰囲気)中で60分間、焼結し、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)を形成した。
[3−4.摩耗試験]
次に、図3の試験機3を用いて、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。この摩耗試験は、上述した[2−4.摩耗試験]と同様にして行われた。
次に、図3の試験機3を用いて、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験を行い、耐摩耗性を評価した。この摩耗試験は、上述した[2−4.摩耗試験]と同様にして行われた。
図2は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の摩耗試験の結果を表した図である。図2に表されたように、FeP粉末が無添加の試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の耐摩耗性は、最も良い。また、質量%で1.5〜4%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の耐摩耗性は、やや低下するが殆ど変わらない(つまり、図2では、摩耗量がやや上昇するが殆ど変わらない)。
[3−5.光学顕微鏡写真]
図9乃至図12は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表している。
[3−5.光学顕微鏡写真]
図9乃至図12は、試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表している。
図9は、質量%で0.5%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図10は、質量%で1.0%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図11は、質量%で2.0%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。図12は、質量%で2.5%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)の光学顕微鏡写真(倍率:60倍)を表した図である。
図9乃至図12の各図においては、丸みを帯びた黒色部分が、硬質粒子の脱落部位である。これらを比較すると、図9の試験片、つまり、質量%で0.5%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)には、硬質粒子の脱落部位が多くあり、耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)から硬質粒子が脱落することを抑制することが不充分である。また、質量%で2.5%のFeP粉末が添加された試験片に係る耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)には、耐摩耗性鉄基焼結合金(バルブシート)内の空孔が増加するため、むしろ、耐摩耗性鉄基焼結合金の加工面から硬質粒子が脱落することを抑制することを低下させる。
[4.その他]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
2 バルブシート
Claims (5)
- 質量%で、全体を100%としたとき全体成分がMo:4〜35%、C:0.2〜3%、Mn:0.5〜8%、Co:3〜40%、残部が不可避不純物とFeからなり、基地を100%としたとき基地成分がC:0.2〜5%、Mn:0.1〜10%、残部が不可避不純物とFeからなり、硬質粒子を100%としたとき硬質粒子成分がMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなり、硬質粒子が基地中に面積比で10〜60%分散している耐摩耗性鉄基焼結合金であって、
質量%で、全体を100%としたとき添加成分がCu:1〜6%からなることを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。 - 請求項1に記載の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末又は低合金鋼粉末と請求項1に記載のCu粉末とを混合した混合材料を用意し、前記混合材料を成形して圧粉成形体を形成し、前記圧粉成形体を焼結して請求項1に記載の組成をもつ焼結合金とすることを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法。
- 質量%で、全体を100%としたとき全体成分がMo:4〜35%、C:0.2〜3%、Mn:0.5〜8%、Co:3〜40%、残部が不可避不純物とFeからなり、基地を100%としたとき基地成分がC:0.2〜5%、Mn:0.1〜10%、残部が不可避不純物とFeからなり、硬質粒子を100%としたとき硬質粒子成分がMo:20〜70%、C:0.2〜3%、Mn:1〜15%、残部が不可避不純物とCoからなり、硬質粒子が基地中に面積比で10〜60%分散している耐摩耗性鉄基焼結合金であって、
質量%で、全体を100%としたとき添加成分がFeP:0.5〜2%からなることを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金。 - 請求項3に記載の硬質粒子の粉末を質量%で10〜60%と、炭素粉末0.2〜2%と、残部となる純Fe粉末又は低合金鋼粉末と請求項3に記載のFeP粉末とを混合した混合材料を用意し、前記混合材料を成形して圧粉成形体を形成し、前記圧粉成形体を焼結して請求項3に記載の組成をもつ焼結合金とすることを特徴とする耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法。
- 請求項1又は請求項3に記載の耐摩耗性鉄基焼結合金で形成されていることを特徴とするバルブシート。
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