JP2018043552A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作限界位置付近においてより適切な操舵感を運転者に付与できる車両制御装置を提供すること。【解決手段】切り替え制御部86は電流センサにより検出される実電流I1および閾値設定部にて演算される反力トルク閾値Txを取り込む。反力トルク閾値Txは反力モータの最大反力トルク近傍且つクラッチが頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。切り替え制御部86は反力トルク変換部86aおよび判定部86bを有する。反力トルク変換部86aは実電流I1に基づき反力モータの実操舵反力Tmを演算する。判定部86bは反力トルク閾値Txおよび実操舵反力Tmを取り込み、クラッチを締結すべきか、開放すべきかの判定を行う。判定部86bはその判定結果に応じてクラッチを締結させる旨の指令またはクラッチを開放させる旨の指令として電気信号Scを生成し、その電気信号Scをクラッチへ供給する。【選択図】図3
Description
本発明は、車両制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載されるように、ステアリングホイールと転舵輪とが機械的に分離されているステアバイワイヤ(以後、SBWという。)が知られている。
一般的にSBWは、ステアリングホイールに付与される操舵反力の発生源である反力モータと、転舵輪を転舵させる転舵力の発生源である転舵モータと、制御装置とを有している。車両走行時、制御装置は、クラッチを開放させてステアリングホイールと転舵輪との間を機械的に分離した状態に維持する。そのため、転舵輪が転舵の限界位置(ラックエンド位置)にあるとしても、運転者は端当て感を得られない。そのため、運転者は転舵輪がそれ以上転舵できない方向にステアリングホイールを操作してしまうおそれがある。
一般的にSBWは、ステアリングホイールに付与される操舵反力の発生源である反力モータと、転舵輪を転舵させる転舵力の発生源である転舵モータと、制御装置とを有している。車両走行時、制御装置は、クラッチを開放させてステアリングホイールと転舵輪との間を機械的に分離した状態に維持する。そのため、転舵輪が転舵の限界位置(ラックエンド位置)にあるとしても、運転者は端当て感を得られない。そのため、運転者は転舵輪がそれ以上転舵できない方向にステアリングホイールを操作してしまうおそれがある。
そこで、特許文献1に記載されるSBWの制御装置は、転舵輪が最大転舵角まで転舵されているのにもかかわらず、転舵輪がそれ以上転舵できない方向にステアリングホイールが操作されようとする場合、運転者がステアリングホイールを操作するために加える通常の力よりも大きな力に設定された最大反力(操舵阻止反力)を反力アクチュエータから発生させることにより、転舵輪のロック状態を運転者に知らせている。
しかし、反力アクチュエータから発生する最大反力よりも大きい操舵トルクがステアリングホイールに付与された場合、転舵輪が最大転舵角まで転舵されているのにもかかわらず、ステアリングホイールが操作されてしまうため、運転者の操舵感に違和感を与えてしまうおそれがある。
本発明の目的は、操作限界位置付近において、より適切な操舵感を運転者に付与できる車両制御装置を提供することである。
上記目的を達成し得る車両制御装置は、ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達経路を断続するクラッチと、前記動力伝達経路における前記ステアリングホイール側に付与される操舵方向と反対方向のトルクである操舵反力を発生させる反力モータと、前記動力伝達経路における前記転舵輪側に転舵力を付与する転舵モータと、前記クラッチ、前記反力モータ、および前記転舵モータに対する給電を制御する制御部と、を備える車両制御装置を前提としている。
前記制御部は、前記車両に設けられる複数種のセンサにより検出される状態量に基づき前記ステアリングホイールおよび前記転舵輪の操作限界位置近傍において前記動力伝達経路に付与する前記操舵反力を増加させる反力処理部と、前記状態量に基づき前記反力モータへの入力値の限界値および前記反力モータの出力値の限界値を演算する限界値演算部と、前記クラッチの状態を開放状態と締結状態との間で切り替える切り替え制御部と、を有し、前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータの入力値の限界値近傍にあるか否か、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値近傍にあるか否かに基づき前記クラッチを開放させるべきか締結させるべきかを判定し、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値近傍である、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値近傍である旨が判定されるとき、前記クラッチを開放状態から締結状態へ切り替える。
動力伝達経路がクラッチにより機械的に分離された状態において、ステアリングホイールおよび転舵輪の少なくとも一方が操作限界位置近傍に至った場合、反力モータから動力伝達経路に対してステアリングホイールの操作に抗する操舵反力を増加させることにより、仮想的にステアリングの操作限界における操舵感を運転者に与えることができる。しかし、運転者のステアリングホイールに付与する力が操舵反力を上回る懸念がある。そのとき、運転者はステアリングホイールおよび転舵輪の少なくとも一方が操作限界位置近傍にあったとしても、ステアリングホイールをそれ以上操作できない方向に操作できてしまい、運転者の操舵感に違和感を与えてしまうおそれがある。
その点、上記構成によれば、反力モータへの入力値が限界値演算部にて演算される反力モータへの入力値の限界値近傍にあるか否か、または反力モータの出力値が限界値演算部にて演算される反力モータの出力値の限界値近傍にあるか否かに基づき切り替え制御部にてクラッチの断続を判定する。反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値近傍にある、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値近傍にある場合、ステアリングホイールおよび転舵輪の少なくとも一方は操作限界位置近傍に至っている。そのため、切り替え制御部は、反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値近傍にある、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値近傍にあると判定したとき、運転者がステアリングホイールをそれ以上操作できない方向に操作してしまう前に、クラッチを締結させることで運転者に操作限界位置近傍における操舵感をより適切に付与することができる。
上記の車両制御装置において、前記制御部は、前記限界値に基づき前記限界値未満の値であって、前記クラッチを開放させるべきか締結させるべきかを判定するときの基準となる閾値を設定する閾値設定部を有し、前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値以上、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値以上となる場合、前記クラッチを締結させ、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値未満、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値未満となる場合、前記クラッチを開放させることが好ましい。
反力モータへの入力値または反力モータからの出力値が限界値である場合、ステアリングホイールおよび転舵輪の少なくとも一方は操作限界位置近傍となっているおそれがある。その状態において、運転者がステアリングホイールに付与する力が反力モータの操舵反力を上回ってしまうことで、運転者がステアリングをそれ以上操作できない方向に操作できてしまうおそれがある。
その点、上記構成によれば、反力モータの限界値未満かつ限界値近傍の閾値を設定している。そのため、反力モータへの入力値が限界値となる前または反力モータからの出力値が限界値となる前、すなわち、運転者がステアリングホイールに付与する力が反力モータからの出力値の限界値以上となり、ステアリングホイールがそれ以上操作できない方向に操作される前に、反力モータへの入力値が閾値以上となる状態、または反力モータの出力値が閾値以上となる状態とすることができる。したがって、ステアリングホイールに付与される力が反力モータの出力値の限界値以上となる前にクラッチを締結することができる。
上記の車両制御装置において、前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値以上、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、前記クラッチを締結させることが好ましい。
反力モータの入力値が閾値以上となる状態または反力モータの出力値が閾値以上となる状態は、運転者のステアリングホイールの操作が操作限界位置近傍であるときである。その場合、運転者のステアリングホイールの操作のなりゆきによって一時的に反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値から設定される閾値以上、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値から設定される閾値以上となる場合がある。その場合、クラッチを締結してしまうと運転者の操舵感に違和感を与えてしまうおそれがある。
その点、上記構成によれば、反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値から設定される閾値以上、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値から設定される閾値以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、クラッチを締結させる。この場合、運転者のステアリングホイール操作のなりゆきによって一時的に反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値から設定される閾値以上、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値から設定される閾値以上なる場合を除き、例えば、運転者が意図的にステアリングを操作限界位置近傍で維持している状態においてのみクラッチを締結することができる。
上記の車両制御装置において、前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値と前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値との差が大きくなるほど、または前記反力モータの出力値と前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値との差が大きくなるほど、前記判定時間をより短くすることが好ましい。
反力モータへの入力値が反力モータへの入力値の限界値から設定される閾値以上、または反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値から設定される閾値以上となる場合、反力モータの入力値と反力モータの入力値の限界値から設定される閾値との差が大きい、または反力モータの出力値と反力モータの出力値の限界値から設定される閾値との差が大きいということは、反力モータの出力値が反力モータの出力値の限界値近傍にあることを示している。反力モータの出力値が反力モータの限界値に近いほど、運転者のステアリングに付与する力が反力モータの出力値の限界値以上になり、ひいては運転者がステアリングホイールをそれ以上操作できない方向に操作できてしまうおそれがある。
その点、上記構成によれば、反力モータへの入力値と反力モータの入力値の限界値から設定される閾値との差が大きいほど、または反力モータの出力値と反力モータの出力値の限界値から設定される閾値との差が大きいほど、クラッチを締結するまで判定時間をより短くする。したがって、ステアリングホイールが操作限界以上に操作される前にクラッチを締結することができる。
上記の車両制御装置において、前記限界値演算部は、前記状態量としての前記反力モータまたは前記制御部の内部温度に基づき、前記反力モータへの入力値の限界値としての電流の上限値を演算する電流制限部を有することが好ましい。
本発明の車両制御装置によれば、操作限界位置付近において、より適切な操舵感を運転者に付与できる。
以下、車両制御装置をステアバイワイヤ式の操舵装置を有する車両制御装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1に示すように、操舵装置は、反力アクチュエータ20、転舵アクチュエータ40、クラッチ12、スパイラルケーブル装置60、及び制御装置80を備えている。
図1に示すように、操舵装置は、反力アクチュエータ20、転舵アクチュエータ40、クラッチ12、スパイラルケーブル装置60、及び制御装置80を備えている。
反力アクチュエータ20は、ステアリングシャフト22、反力側減速機構24、回転軸26aを有する反力モータ26、反力側インバータ28、トルクセンサ94、及び温度センサ95を備える。
反力モータ26としては、例えば3相ブラシレスモータが採用される。反力モータ26の回転軸26aは反力側減速機構24を介してステアリングシャフト22に直結されている。反力モータ26は、反力側インバータ28を介してバッテリに接続されている。反力側インバータ28はバッテリの直流電力を3相の交流電力に変換する。反力モータ26には、反力側インバータ28から供給される実電流I1を検出する電流センサ35が設けられている。反力モータ26には、反力モータ26の状態量としての内部温度Tmpを検出する温度センサ95が設けられている。また、反力モータ26には、回転軸26aの回転角度θ1を検出する回転角センサ92が設けられている。回転角センサ92により検出される反力モータ26の回転角度θ1は、ステアリングホイール10の操舵角θsを演算するために使用される。反力モータ26の回転軸26aとステアリングシャフト22とは反力側減速機構24を介して連動する。このため、回転軸26aの回転角度θ1をステアリングシャフト22の回転角度、ひいてはステアリングホイール10の回転角度である操舵角θsとの間には相関がある。したがって、反力モータ26の回転角度θ1に基づき操舵角θsを求めることができる。
ステアリングシャフト22におけるステアリングホイール10と反力側減速機構24との間の部分にはトルクセンサ94が設けられている。トルクセンサ94は、ステアリングホイール10の操作に応じた操舵トルクTrqsを検出する。
転舵アクチュエータ40は、第1ラックアンドピニオン機構48、第2ラックアンドピニオン機構52、転舵側減速機54、回転軸56aを有する転舵モータ56、および転舵側インバータ58を有している。
第1ラックアンドピニオン機構48は、互いに交差して設けられたラック軸46とピニオン軸42とを備えている。ラック軸46に形成された第1ラック歯46aとピニオン軸42に形成されたピニオン歯42aとは、互いに噛合されている。
第2ラックアンドピニオン機構52は、互いに交差して設けられたラック軸46とピニオン軸50とを備えている。ラック軸46に形成された第2ラック歯46bとピニオン軸50に形成されたピニオン歯50aとは、互いに噛合されている。ピニオン軸50は、転舵側減速機54を介して、転舵モータ56の回転軸56aに直結されている。
転舵モータ56としては、例えば3相のブラシレスモータが採用される。転舵モータ56は転舵側インバータ58を介してバッテリに接続されている。転舵側インバータ58は、バッテリの直流電力を3相の交流電力に変換する。転舵モータ56には、転舵側インバータ58から供給される実電流I2を検出する電流センサ55が設けられている。また、転舵モータ56には、回転軸56aの回転角度θ2を検出する回転角センサ90が設けられている。回転角センサ90により検出される転舵モータ56の回転角度θ2は、転舵輪の転舵角θtを演算するために使用される。
転舵モータ56の回転軸56a及び転舵輪30,30は転舵側減速機54、ピニオン軸50、およびラック軸46を介して連動する。このため、回転軸56aの回転角度θ2と転舵角θtとの間には相関がある。したがって、転舵モータ56の回転角度θ2に基づき転舵角θtを求めることができる。
尚、ラック軸46は、ラックハウジング44に収容されており、その両端にはタイロッドを介して転舵輪30,30が連結されている。
クラッチ12は、ステアリングシャフト22とピニオン軸42との間に設けられている。クラッチ12としては例えば図示しない励磁コイルに対する通電の断続を通じてステアリングシャフト22とピニオン軸42との間の動力伝達の断続を行う電磁クラッチが採用される。クラッチ12が切断されるとき、ステアリングホイール10と転舵輪30,30との間の動力伝達経路が機械的に切断される。クラッチ12が接続されるとき、ステアリングホイール10と転舵輪30,30との間が機械的に連結されることにより動力伝達がなされる。クラッチ12は、励磁コイルに通電された場合に、ステアリングシャフト22とピニオン軸42との間の動力伝達を機械的に切断する開放状態に維持される。
クラッチ12は、ステアリングシャフト22とピニオン軸42との間に設けられている。クラッチ12としては例えば図示しない励磁コイルに対する通電の断続を通じてステアリングシャフト22とピニオン軸42との間の動力伝達の断続を行う電磁クラッチが採用される。クラッチ12が切断されるとき、ステアリングホイール10と転舵輪30,30との間の動力伝達経路が機械的に切断される。クラッチ12が接続されるとき、ステアリングホイール10と転舵輪30,30との間が機械的に連結されることにより動力伝達がなされる。クラッチ12は、励磁コイルに通電された場合に、ステアリングシャフト22とピニオン軸42との間の動力伝達を機械的に切断する開放状態に維持される。
スパイラルケーブル装置60は、ステアリングホイール10に連結されている。スパイラルケーブル装置60は、ステアリングホイール10に固定された第1ハウジング62と、車体に固定された第2ハウジング64とを有している。第1ハウジング62及び第2ハウジング64によって区画された空間には筒状部材66が収容されている。筒状部材66は、第2ハウジング64に固定され、その内部をステアリングシャフト22が貫通している。筒状部材66には、スパイラルケーブル68が巻きつけられている。スパイラルケーブル68は、ステアリングホイール10に固定されたホーン70と、車体に固定されたバッテリ等とを接続する電気配線である。
制御装置80は、ステアリングホイール10の操作に応じた操舵反力を発生させるように反力モータ26を制御する(反力制御)。また、制御装置80は、ステアリングホイール10の操作に応じて転舵輪30,30を転舵させるように転舵モータ56を制御する(転舵制御)。制御装置80は、CPU82とメモリ84を有している。CPU82は、メモリ84に記憶されたプログラムを実行することにより、反力モータ26および転舵モータ56の制御を行う。
CPU82は、回転角センサ92により検出される反力モータ26の回転軸26aの回転角度θ1、トルクセンサ94により検出される操舵トルクTrqs、車両に搭載された車速センサ96により検出される車速V、電流センサ35により検出される実電流I1、及び温度センサ95により検出される反力モータ26の内部温度Tmpを取り込む。CPU82は、回転角度θ1、操舵トルクTrqs、車速V、実電流I1、及び内部温度Tmpに基づき反力モータ26を制御する。また、CPU82は、回転角センサ90により検出される転舵モータ56の回転軸56aの回転角度θ2および電流センサ55により検出される実電流I2を取り込む。CPU82は、回転角度θ2、操舵トルクTrqs、及び実電流I2に基づき転舵モータ56を制御する。
次にCPU82について詳細に説明する。
図2に示すように、CPU82は、操舵角演算部83、転舵角演算部85、切り替え制御部86、閾値設定部87、反力制御部88、転舵制御部89、限界値演算部M20、舵角比可変処理部M26、第2の加算処理部M28、および最大値選択処理部M36を有する。
図2に示すように、CPU82は、操舵角演算部83、転舵角演算部85、切り替え制御部86、閾値設定部87、反力制御部88、転舵制御部89、限界値演算部M20、舵角比可変処理部M26、第2の加算処理部M28、および最大値選択処理部M36を有する。
操舵角演算部83には、回転角センサ92により検出される反力モータ26の回転角度θ1からステアリングホイール10の操舵角θsを演算するための操舵角換算係数が記憶されている。操舵角換算係数は、反力側減速機構24と反力モータ26の回転軸26aとの回転速度比に応じて定められている。操舵角演算部83は、回転角センサ92により検出される反力モータ26の回転角度θ1を取り込む。操舵角演算部83は、取り込んだ回転角度θ1に操舵角換算係数を乗算することにより、ステアリングホイール10の操舵角θsを演算する。
転舵角演算部85には、回転角センサ90により検出される転舵モータ56の回転角度θ2から転舵輪30,30の転舵角θtを演算するための転舵角換算係数が記憶されている。転舵角換算係数は、転舵側減速機54と転舵モータ56の回転軸56aとの回転速度比、およびピニオン軸50とピニオン軸42との回転速度比に応じて定められている。転舵角演算部85は、回転角センサ90により検出される転舵モータ56の回転角度θ2を取り込む。転舵角演算部85は、取り込んだ回転角度θ2に転舵角換算係数を乗算することにより、転舵輪30,30の転舵角θtを演算する。
限界値演算部M20は、電流制限部M20aおよび最大反力演算部M20bを有する。電流制限部M20aは、反力モータ26への入力値の限界値としての実電流I1の上限値Imaxと、反力モータ26の内部温度Tmpとの関係を定めたマップを備えている。電流制限部M20aは、温度センサ95により検出される内部温度Tmpを入力とし、反力モータ26供給される実電流I1の上限値Imaxを所定の周期でマップ演算する。マップは入力される内部温度Tmpに対して多段階の閾値を設けている。これら閾値は、反力モータ26の過熱抑制の観点から反力モータ26に供給される実電流I1の上限値を制限しはじめるタイミングとして設定されている。電流制限部M20aは、入力される内部温度Tmpが多段階に設定された閾値を越えるたびに、反力モータ26に供給できる実電流I1の上限値Imaxをより小さくなるように制限する。
最大反力演算部M20bには、電流を反力モータ26の反力トルクに換算するための定数が記憶されている。最大反力演算部M20bは、電流制限部M20aによりマップ演算された反力モータ26に供給できる実電流I1の上限値Imaxを読み込み、記憶されている定数を実電流I1の上限値Imaxに乗算することで、反力モータ26の出力値の限界値である最大反力トルクTmaxを演算する。
反力制御部88は、トルクセンサ94により検出される操舵トルクTrqsに基づき、反力モータ26への給電を、反力側インバータ28を介して制御する。
反力制御部88は、反力処理部88a、目標操舵角設定部88b、目標反力トルク設定部88c、および第1の駆動信号生成部88dを有する。
反力制御部88は、反力処理部88a、目標操舵角設定部88b、目標反力トルク設定部88c、および第1の駆動信号生成部88dを有する。
反力処理部88aは、第1の加算処理部M8、反力設定部M9、および制限用反力設定処理部M10を有する。反力設定部M9は、トルクセンサ94により検出される操舵トルクTrqsに基づき、反力トルクTrqs*を演算する。反力トルクTrqs*は、操舵トルクTrqsが大きいほど大きい値に演算される。
制限用反力設定処理部M10は、後述する目標操舵角θs*および目標転舵角θt*のうち大きい方の絶対値である最大値θeに基づき、制限用反力Fieを設定する。制限用反力Fieは、ラック軸46が軸方向に変位してラック軸46の端部がラックハウジング44に接触する直前と、ステアリングホイール10がスパイラルケーブル68から定まる上限値まで回転する直前との双方において、ステアリングホイール10に、操舵角θsの増加に抗する力を増加制御するために設定される。制限用反力設定処理部M10は、最大値θeと制限用反力Fieとの関係を定めたマップを有している。マップは入力される最大値θeに対して閾値θenを設けている。閾値θenは、上限値に達する直前の操舵角θs、および上限値に達する直前の転舵角θtに基づき設定されている。すなわち、閾値θenはステアリングホイール10および転舵輪30,30の操作限界位置近傍の角度である。また、閾値θenは、操舵角θsおよび転舵角θtの共通の閾値である。これは、操舵角演算部83および転舵角演算部85による操舵角θsおよび転舵角θtの設定によって実現したものである。すなわち、操舵角θsをステアリングホイール10の回転角度とし、転舵角θtを後述する目標動作角θa*を「0」と仮定したときのステアリングホイール10の回転角度とすることにより、操舵角θsの上限値と転舵角θtの上限値とがほぼ等しい値となる。そのため、閾値θenを操舵角θsおよび転舵角θtの共通の閾値とすることができる。制限用反力設定処理部M10は、最大値θeの大きさが閾値θen未満となる場合、制限用反力Fieを「0」とする。制限用反力設定処理部M10は、最大値θeの大きさが閾値θen以上であるとき、操舵角θsまたは転舵角θtの増大に対して、制限用反力Fieを急激に増大させる。制限用反力Fieとは、人の力では発生させることが困難となる程度の操舵トルクTrqs以上の値まで増大される。
第1の加算処理部M8は、トルクセンサ94により検出される操舵トルクTrqs、反力設定部M9により演算される反力トルクTrqs*、および制限用反力設定処理部M10により演算される制限用反力Fieを加算することで操舵反力Trqa*を演算する。
目標操舵角設定部88bは、第1の加算処理部M8により演算された操舵反力Trqa*および車速センサ96により検出される車速Vを取り込む。目標操舵角設定部88bには、第1の加算処理部M8により演算される操舵反力Trqa*と、ステアリングホイール10の回転角度の目標値である目標操舵角θs*とを関係づける車両モデル式が記憶されている。車両モデル式は、粘性係数および慣性係数等の係数を含み、この係数は車速Vに基づき変更して設定される。目標操舵角設定部88bは、第1の加算処理部M8により演算された操舵反力Trqa*および車速センサ96により検出される車速Vを車両モデル式に適用し、目標操舵角θs*を演算する。
目標反力トルク設定部88cは、目標操舵角設定部88bにより演算される目標操舵角θs*、操舵角演算部83により演算される操舵角θs、および限界値演算部M20により演算される反力モータ26に供給できる実電流I1の上限値Imaxを取り込む。目標反力トルク設定部88cは、操舵角演算部83により演算される操舵角θsを目標操舵角θs*に一致させるための操作量として、後述する反力モータ26の出力値として、実際に発生する反力トルクである実操舵反力Tmの目標値である目標反力トルクを演算する。目標反力トルク設定部88cは、目標反力トルクに基づき、反力モータ26がその目標反力トルクを発生させるために必要とされる電流指令値を演算する。目標反力トルク設定部88cは、目標操舵角θs*および操舵角θsに基づき演算した電流指令値と、限界値演算部M20により演算される反力モータ26に供給できる実電流I1の上限値Imaxと、を比較する。目標反力トルク設定部88cは、目標操舵角θs*および操舵角θsに基づき演算される電流指令値が上限値Imaxよりも大きい場合、上限値Imaxを電流指令値I1*とし、目標操舵角θs*および操舵角θsに基づき演算される電流指令値が上限値Imaxよりも小さい場合、その電流指令値を電流指令値I1*とする。このようにすることで、反力モータ26の過熱抑制の観点において、反力モータ26の内部温度Tmpに応じて反力モータ26に供給される実電流I1の上限値が制限される。
第1の駆動信号生成部88dは、目標反力トルク設定部88cにより演算された電流指令値I1*、および電流センサ35により検出される実電流I1を取り込む。第1の駆動信号生成部88dは、電流センサ35により検出される実電流I1を電流指令値I1*に一致させるように反力モータ26を駆動するための駆動信号S1を生成する。反力側インバータ28は、第1の駆動信号生成部88dにより生成される駆動信号S1に基づき動作する。反力モータ26は、反力側インバータ28を通じて給電されることにより、電流指令値I1*に応じたトルクを発生させる。ステアリングシャフト22には、反力モータ26が発生させるトルクに応じた実操舵反力Tmが付与される。
舵角比可変処理部M26は、目標操舵角設定部88bにより演算される目標操舵角θs*に基づき、操舵角θsと転舵角θtとの比である舵角比を設定するための目標動作角θa*を設定する。第2の加算処理部M28は、目標操舵角θs*に目標動作角θa*を加算することにより、目標転舵角θt*を演算する。
最大値選択処理部M36は、目標操舵角設定部88bにより演算される目標操舵角θs*および第2の加算処理部M28により演算される目標転舵角θt*を取り込み、これら目標操舵角θs*および目標転舵角θt*のうち大きい方の値を最大値θeとして制限用反力設定処理部M10に出力する。
転舵制御部89は、転舵モータ56の駆動制御を通じて転舵輪30,30を操舵状態に応じて転舵させる転舵制御を実行する。転舵制御部89は、目標転舵トルク設定部89aおよび第2の駆動信号生成部89bを有する。
目標転舵トルク設定部89aは、転舵角演算部85により演算される転舵角θtおよび第2の加算処理部M28により演算される目標転舵角θt*を取り込む。目標転舵トルク設定部89aは、転舵角演算部85により演算される転舵角θtを目標転舵角θt*に一致させるための操作量として、転舵モータ56が発生させる転舵トルクの目標値である目標転舵トルクを演算する。目標転舵トルク設定部89aは、目標転舵トルクに基づき、転舵モータ56がその目標転舵トルクを発生させるために必要とされる電流指令値I2*を演算する。
第2の駆動信号生成部89bは、目標転舵トルク設定部89aにより演算される電流指令値I2*および電流センサ55により検出される実電流I2を取り込む。第2の駆動信号生成部89bは、電流センサ55により検出される実電流I2を電流指令値I2*に一致させるように駆動信号S2を生成する。転舵側インバータ58は、第2の駆動信号生成部89bにより生成された駆動信号S2に基づき動作する。転舵モータ56は、転舵側インバータ58を通じて給電されることにより、電流指令値I2*に応じたトルクを発生させる。転舵モータ56が発生させるトルクは、第2ラックアンドピニオン機構52により、ラック軸46の軸方向に向けた力に変換される。この軸方向に向けた力がラック軸46に付与されることにより、ラック軸46はその軸方向に移動する。このラック軸46の移動によって転舵輪30,30は転舵する。
閾値設定部87は、限界値演算部M20の最大反力演算部M20bにより演算される最大反力トルクTmaxを取り込む。閾値設定部87は、取り込んだ最大反力トルクTmaxに基づき、所定の周期で反力トルク閾値Txを演算する。反力トルク閾値Txは、反力モータ26に、その許容される最大のトルクを発生させない観点で設定されている。反力トルク閾値Txは、最大反力トルクTmaxよりも小さい値に設定されている。
切り替え制御部86は、閾値設定部87により演算された反力トルク閾値Txおよび電流センサ35により検出される実電流I1に基づき、クラッチ12の断続を切り替える断続制御を実行する。切り替え制御部86は、取り込んだ反力トルク閾値Txおよび実電流I1に基づき、クラッチ12を開放させる旨の指令、またはクラッチ12を締結させる旨の指令としての電気信号Scを生成する。
図3に示すように、切り替え制御部86は、反力トルク変換部86aおよび判定部86bを有する。反力トルク変換部86aは、反力モータ26に供給される実電流I1を反力モータ26により発生される実操舵反力Tmに換算するための定数が記憶されている。反力トルク変換部86aは、電流センサ35により検出される実電流I1を読み込み、記憶されている定数を実電流I1に乗算することで、反力モータ26の出力値である実操舵反力Tmを演算する。尚、反力トルク変換部86aに記憶されている定数は、最大反力演算部M20bに記憶されている所定の定数と同等のものである。
判定部86bは、反力トルク変換部86aにより演算される実操舵反力Tmおよび閾値設定部87により演算される反力トルク閾値Txを取り込む。判定部86bは、実操舵反力Tmおよび反力トルク閾値Txに基づきクラッチ12の断続を判定する。具体的には、判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上である状態が定められた判定時間だけ継続した場合、クラッチ12を締結させる旨の判定をする。また、判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx未満である場合、クラッチ12を開放させる旨の判定をする。判定時間は、運転者がステアリングホイール10をなりゆきにより一時的に操作限界位置付近まで操作しているのか、または意図的にステアリングホイール10を操作限界位置付近まで操作しているのかを判定する観点で設定されている。ここで、なりゆきとは、運転者の意図に関わらず、ステアリングホイール10の操作の勢いにより、ステアリングホイール10の操作状態が移り変わることを示している。判定部86bは、クラッチ12を締結させる旨の指令およびクラッチ12を開放させる旨の指令としての電気信号Scを生成する。クラッチ12は電気信号Scに基づき、締結動作または開放動作を行う。また、判定部86bは、実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差を監視している。判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態において、実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差が大きくなるほど、判定部86bがクラッチ12を締結させるか、または開放させるかを判定をするための判定時間を短くする。この理由は、実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差が大きくなることは、実操舵反力Tmがより最大反力トルクTmaxの近傍にあることを示しているからである。すなわち、実操舵反力Tmが最大反力トルクTmaxに近いほど、クラッチ12が締結する前にステアリングホイール10が操作限界位置以上に操作されてしまう蓋然性が高くなるためである。
ここで、反力トルク閾値Txの設定について説明する。
反力トルク閾値Txは、最大反力トルクTmaxよりも小さい値に設定されるが、反力トルク閾値Txを小さくするにしても限度がある。例えば、目標反力トルク設定部88cから出力される電流指令値I1*が、目標操舵角θs*および操舵角θsに基づき演算される電流指令値であり、実電流I1の上限値Imaxと比較して十分に余裕のある状態であるときを考える。すなわち、反力モータ26により発生される実操舵反力Tmが反力モータ26の出力できる最大反力トルクTmaxと比較して十分に余裕のある状態を考える。この状態において、閾値設定部87が反力トルク閾値Txを、実操舵反力Tmの近傍もしくは実操舵反力Tm以下の小さな値に設定してしまった場合、実操舵反力Tmは最大反力トルクTmaxまで十分に余裕がある。しかし、切り替え制御部86の判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上であると判定し、ひいては運転者がステアリングホイール10の操舵中にクラッチ12が頻繁に開放および締結を繰り返してしまうおそれがある。そのため、反力トルク閾値Txは、最大反力トルクTmaxの近傍に設定することが好ましい。しかし、反力トルク閾値Txを、最大反力トルクTmaxに近づけるとしても限界がある。例えば、反力トルク閾値Txを、最大反力トルクTmaxとほぼ同等の値に設定する場合を考える。その場合、反力モータ26が発生させることのできる最大反力トルクTmaxを上回る操舵トルクTrqsがステアリングホイール10に付与されているとしても、判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態を定められた判定時間だけ継続しない限り、クラッチ12を締結させる旨の判定をしない。すなわち、判定部86bが、クラッチ12を締結させる前にステアリングホイール10が操作限界位置以上に操作されてしまうおそれがある。したがって、反力トルク閾値Txは、反力モータ26の出力値の限界値である最大反力トルクTmaxの近傍であり、且つクラッチ12が頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。
反力トルク閾値Txは、最大反力トルクTmaxよりも小さい値に設定されるが、反力トルク閾値Txを小さくするにしても限度がある。例えば、目標反力トルク設定部88cから出力される電流指令値I1*が、目標操舵角θs*および操舵角θsに基づき演算される電流指令値であり、実電流I1の上限値Imaxと比較して十分に余裕のある状態であるときを考える。すなわち、反力モータ26により発生される実操舵反力Tmが反力モータ26の出力できる最大反力トルクTmaxと比較して十分に余裕のある状態を考える。この状態において、閾値設定部87が反力トルク閾値Txを、実操舵反力Tmの近傍もしくは実操舵反力Tm以下の小さな値に設定してしまった場合、実操舵反力Tmは最大反力トルクTmaxまで十分に余裕がある。しかし、切り替え制御部86の判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上であると判定し、ひいては運転者がステアリングホイール10の操舵中にクラッチ12が頻繁に開放および締結を繰り返してしまうおそれがある。そのため、反力トルク閾値Txは、最大反力トルクTmaxの近傍に設定することが好ましい。しかし、反力トルク閾値Txを、最大反力トルクTmaxに近づけるとしても限界がある。例えば、反力トルク閾値Txを、最大反力トルクTmaxとほぼ同等の値に設定する場合を考える。その場合、反力モータ26が発生させることのできる最大反力トルクTmaxを上回る操舵トルクTrqsがステアリングホイール10に付与されているとしても、判定部86bは、実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態を定められた判定時間だけ継続しない限り、クラッチ12を締結させる旨の判定をしない。すなわち、判定部86bが、クラッチ12を締結させる前にステアリングホイール10が操作限界位置以上に操作されてしまうおそれがある。したがって、反力トルク閾値Txは、反力モータ26の出力値の限界値である最大反力トルクTmaxの近傍であり、且つクラッチ12が頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、次の作用および効果が得られる。
(1)反力トルク閾値Txおよび反力モータ26の実操舵反力Tmに基づき判定部86bにてクラッチ12を締結すべきかどうかが判定される。反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上である場合、ステアリングホイール10および転舵輪30,30の少なくとも一方は操作限界位置近傍に至っている。そのため、判定部86bは、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上であると判定したとき、運転者がステアリングホイール10をそれ以上操作できない方向に操作してしまう前に、クラッチ12を締結させる。これにより、運転者に操作限界位置近傍における操舵感をより適切に付与することができる。
(1)反力トルク閾値Txおよび反力モータ26の実操舵反力Tmに基づき判定部86bにてクラッチ12を締結すべきかどうかが判定される。反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上である場合、ステアリングホイール10および転舵輪30,30の少なくとも一方は操作限界位置近傍に至っている。そのため、判定部86bは、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上であると判定したとき、運転者がステアリングホイール10をそれ以上操作できない方向に操作してしまう前に、クラッチ12を締結させる。これにより、運転者に操作限界位置近傍における操舵感をより適切に付与することができる。
(2)反力モータ26が最大反力トルクTmaxを発生させた場合、ステアリングホイール10および転舵輪30,30の少なくとも一方は操作限界位置近傍に至っているおそれがある。その状態において、運転者がステアリングホイール10に付与する操舵トルクTrqsが反力モータ26の最大反力トルクTmaxを上回ってしまうおそれがある。すなわち、運転者がステアリングをそれ以上操作できない方向に操作できてしまうおそれがある。
その点、反力トルク閾値Txは、反力モータ26の最大反力トルクTmaxよりも小さく、加えて最大反力トルクTmaxの近傍であり、且つクラッチ12が頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。そのため、反力モータ26が最大反力トルクTmaxを発生させる前、すなわち運転者がステアリングホイール10に付与する操舵トルクTrqsが反力モータ26の最大反力トルクTmaxを上回り、ステアリングホイール10がそれ以上操作できない方向に操作される前に、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態とすることができる。このため、ステアリングホイール10に付与される操舵トルクTrqsが反力モータ26の最大反力トルクTmaxを上回る前にクラッチ12を締結することができる。したがって、操作限界位置において、より適切な操舵感を運転者に付与できる。
(3)反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態は、運転者のステアリングホイール10の操作が操作限界位置近傍であるときである。その場合、運転者のステアリングホイール10の操作のなりゆきによって一時的に反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となっているとき、クラッチ12を締結してしまうと運転者の操舵感に違和感を与えてしまうおそれがある。
その点、切り替え制御部86の判定部86bは、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、クラッチ12を締結させる。この場合、運転者のステアリングホイール10の操作のなりゆきによって一時的に反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上なる場合を除き、例えば運転者が意図的にステアリングホイール10を操作限界位置近傍で維持している状態においてのみクラッチ12を締結することができる。
(4)反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる場合、反力モータ26の実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差が大きいということは、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力モータ26の最大反力トルクTmaxの近傍にあることを示している。反力モータ26の実操舵反力Tmが反力モータ26の最大反力トルクTmaxに近いほど、運転者のステアリングホイール10に付与する操舵トルクTrqsが反力モータ26の最大反力トルクTmaxを上回りやすくなる。
その点、切り替え制御部86の判定部86bは、反力トルク閾値Txと反力モータ26の実操舵反力Tmとの差が大きいほど、クラッチ12を締結すべきかどうかの判定時間をより短くする。したがって、ステアリングホイール10が操作限界以上に操作される前にクラッチ12を締結することができる。
尚、本実施の形態は、技術的に矛盾が生じない範囲で以下のように変更してもよい。
・本実施の形態において、判定部86bは、反力トルク閾値Txと、反力モータ26の実操舵反力Tmと、を比較することでクラッチ12を締結すべきかどうかを判定していたが、これに限らない。例えば、反力モータ26への入力値の限界値としての実電流I1の上限値Imaxから設定される電流閾値と、反力モータの入力値としての実電流I1と、を比較することで、クラッチ12を締結すべきかどうかを判定してもよい。この場合、閾値設定部87は、最大反力トルクTmaxに基づき、反力トルク閾値Txを演算していたが、実電流I1の上限値Imaxに基づき、新たに電流閾値を設定するように変更する。電流閾値は、実電流I1の上限値Imaxよりも小さく設定され、本実施の形態と同様に上限値Imaxの近傍であり、且つクラッチ12が頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。判定部86bは、実電流I1が電流閾値以上となる場合、クラッチ12を締結させる旨の判定をし、実電流I1が電流閾値未満となる場合、クラッチ12を開放させる旨の判定をする。判定部86bは、その判定結果に応じてクラッチ12を締結させる旨の指令またはクラッチ12を開放させる旨の指令としての電気信号Scをクラッチ12に供給する。尚、このとき、最大反力演算部M20b及び反力トルク変換部86aを割愛してもよい。
・本実施の形態において、判定部86bは、反力トルク閾値Txと、反力モータ26の実操舵反力Tmと、を比較することでクラッチ12を締結すべきかどうかを判定していたが、これに限らない。例えば、反力モータ26への入力値の限界値としての実電流I1の上限値Imaxから設定される電流閾値と、反力モータの入力値としての実電流I1と、を比較することで、クラッチ12を締結すべきかどうかを判定してもよい。この場合、閾値設定部87は、最大反力トルクTmaxに基づき、反力トルク閾値Txを演算していたが、実電流I1の上限値Imaxに基づき、新たに電流閾値を設定するように変更する。電流閾値は、実電流I1の上限値Imaxよりも小さく設定され、本実施の形態と同様に上限値Imaxの近傍であり、且つクラッチ12が頻繁に締結しない程度の範囲を実験的に検証したうえで設定される。判定部86bは、実電流I1が電流閾値以上となる場合、クラッチ12を締結させる旨の判定をし、実電流I1が電流閾値未満となる場合、クラッチ12を開放させる旨の判定をする。判定部86bは、その判定結果に応じてクラッチ12を締結させる旨の指令またはクラッチ12を開放させる旨の指令としての電気信号Scをクラッチ12に供給する。尚、このとき、最大反力演算部M20b及び反力トルク変換部86aを割愛してもよい。
・また、本実施の形態において、反力モータ26の実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、クラッチ12を締結させているが、これに限らない。たとえば、反力モータ26に供給する実電流I1が電流閾値以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、クラッチ12を締結させてもよい。
・また、本実施の形態において、切り替え制御部86の判定部86bは、実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差を監視している。実操舵反力Tmが反力トルク閾値Tx以上となる状態において、実操舵反力Tmと反力トルク閾値Txとの差が大きくなるほど、判定部86bがクラッチ12を締結させるか、または開放させるかを判定するための判定時間を短くしているが、これに限らない。たとえば、切り替え制御部86の判定部86bが、実電流I1と電流閾値との差を監視し、実電流I1が電流閾値以上となる状態において、実電流I1と電流閾値との差が大きくなるほど、判定部86bがクラッチ12を締結させるか、開放させるかを判定するための判定時間を短くしてもよい。尚、判定時間の設定の観点は本実施の形態と同様である。
・本実施の形態において、反力モータ26の内部温度を温度センサ95により検出していたが、これに限らない。例えば、電流センサ35から検出される実電流I1から反力モータ26の内部温度Tmpを推定するようにしてもよい。この場合、温度センサ95を割愛し、電流センサ35により検出される実電流I1から反力モータ26の内部温度を推定する演算部を設けるよ。
・また、本実施の形態において、温度センサ95により検出される反力モータ26の内部温度Tmpに基づき、電流制限部M20aは反力モータ26に供給される実電流I1の上限値Imaxをマップ演算していたが、これに限らない。例えば、制御装置80の内部温度に基づき、反力モータ26の出力できる実電流I1の上限値Imaxを演算してもよい。この場合、制御装置80に温度検出部を設け、制御装置80に設けられる発熱素子(例えば、電源IC等)における発熱量と、周囲温度とを検出してもよい。ここで温度検出部は、発熱素子の発熱量を検出するセンサと、発熱素子の周辺の空気層に配置する熱電対等を有していることが好ましい。制御装置80の内部温度を演算する場合は、例えば、発熱素子に実装されている放熱板に設置されたセンサにより発熱量を検出し、周囲温度は発熱素子の周囲の空気層に配置した熱電対から周囲温度を検出する。制御装置80の内部温度は、発熱素子全体の熱抵抗にセンサにより検出された発熱量を乗算することで得られる温度上昇に対して、熱電対から検出される周囲温度を加算することで演算される。
・本実施の形態において、制限用反力設定処理部M10は、最大値θeに基づき制限用反力Fieをマップ演算していたが、これに限らない。例えば、操舵角演算部83により演算される操舵角θsおよび転舵角演算部85により演算される転舵角θtの少なくとも一方に基づき、制限用反力Fieを演算してもよい。具体的に、例えば操舵角θsおよび転舵角θtの両方を、最大値選択処理部M36に取り込み、操舵角θsおよび転舵角θtのうち大きい方の値を最大値θeとして制限用反力設定処理部M10に出力してもよい。また、操舵角θsまたは転舵角θtのいずれか一方に基づき制限用反力Fieを演算してもよい。その場合、制限用反力設定処理部M10のマップは、最大値θeと制限用反力Fieとの関係を定めたものではなく、操舵角θsと制限用反力Fieとの関係を定めたもの、または転舵角θtと制限用反力Fieとの関係を定めたものに変更する。ただし、操舵角θsおよび転舵角θtの少なくとも一方に基づき、制限用反力Fieをマップ演算する場合の閾値θenは、適宜変更することが好ましい。
・また、舵角比可変処理部M26において、目標操舵角θs*に基づき目標動作角θa*を演算し、第2の加算処理部M28にて目標操舵角θs*と目標動作角θa*を加算することにより目標転舵角θt*を演算していたが、これに限らない。例えば、目標操舵角設定部88bにより演算された目標操舵角θs*を目標転舵角θt*としてもよい。この場合、舵角比可変処理部M26および最大値選択処理部M36を割愛できる。
・本実施の形態において、制御装置80は、反力モータ26および転舵モータ56の両者を制御していたが、これに限らない。たとえば、クラッチ12を締結状態にした場合、反力モータ26および転舵モータ56の何れか一方を使用して操舵装置に動力を付与してもよい。
・本実施の形態においては、各種センサおよび制御装置80をそれぞれ用途によって1つずつ使用していたが、これに限らない。例えば、センサおよびECUをそれぞれ二重化してもよい。このような構成とすることで、一方の系統が故障した場合、他方の系統で動作させることで車両制御装置の安全性が向上できる。尚、各種センサおよび制御装置80を3つ以上に多重化してもよい。
10…ステアリングホイール、12…クラッチ、26…反力モータ、30…転舵輪、56…転舵モータ、80…制御装置、82…CPU、86…切り替え制御部、86b…判定部、87…閾値設定部、88a…反力処理部、Trqa*…操舵反力、S1,S2…駆動信号、M20…限界値演算部、M20a…電流制限部、Tmax…最大反力トルク、Tx…反力トルク閾値、Tm…実操舵反力、Tmp…内部温度、Imax…上限値。
Claims (5)
- ステアリングホイールと転舵輪との間の動力伝達経路を断続するクラッチと、
前記動力伝達経路における前記ステアリングホイール側に付与される操舵方向と反対方向のトルクである操舵反力を発生させる反力モータと、
前記動力伝達経路における前記転舵輪側に転舵力を付与する転舵モータと、
前記クラッチ、前記反力モータ、および前記転舵モータに対する給電を制御する制御部と、を備える車両制御装置において、
前記制御部は、車両に設けられる複数種のセンサにより検出される状態量に基づき前記ステアリングホイールおよび前記転舵輪の操作限界位置近傍において前記動力伝達経路に付与する前記操舵反力を増加させる反力処理部と、前記状態量に基づき前記反力モータへの入力値の限界値および前記反力モータの出力値の限界値を演算する限界値演算部と、前記クラッチの状態を開放状態と締結状態との間で切り替える切り替え制御部と、を有し、
前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値近傍にあるか否か、または前記反力モータの出力値が前記反力モータからの出力値の限界値近傍にあるか否かに基づき前記クラッチを開放させるべきか締結させるべきかを判定し、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値近傍である、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値近傍である旨が判定されるとき、前記クラッチを開放状態から締結状態へ切り替える車両制御装置。 - 前記制御部は、前記限界値に基づき前記限界値未満の値であって、前記クラッチを開放させるべきか締結させるべきかを判定するときの基準となる閾値を設定する閾値設定部を有し、
前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値以上、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値以上となる場合、前記クラッチを締結させ、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値未満、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値から設定された閾値未満となる場合、前記クラッチを開放させる請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値が前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値以上、または前記反力モータの出力値が前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値以上となる状態が定められた判定時間だけ継続した場合、前記クラッチを締結させる請求項2に記載の車両制御装置。
- 前記切り替え制御部は、前記反力モータへの入力値と前記反力モータへの入力値の限界値から設定された閾値との差が大きくなるほど、または前記反力モータの出力値と前記反力モータの出力値の限界値から設定された閾値との差が大きくなるほど、前記判定時間をより短くする請求項3に記載の車両制御装置。
- 前記限界値演算部は、前記状態量としての前記反力モータまたは前記制御部の内部温度に基づき、前記反力モータへの入力値の限界値としての電流の上限値を演算する電流制限部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両制御装置。
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-
2016
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