JP2018043449A - 水発色シート - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、光散乱層上に塗設される透水層と非透水層の質感の差が小さく、かつ透水層は任意な色調に着色可能な意匠性の高い水発色シートを提供することを目的とする。【解決手段】基材上に、下地着色層、光散乱層、着色印刷層、非透水層がこの順で設けられていることを特徴とする水発色シートとすることで、光散乱層と非透水層の質感の差を抑制し、かつ任意な色調に着色可能な意匠性の高い水発色シートを提供することができる。【選択図】 図1
Description
本発明は水に濡れた部分が発色する水発色シートに関する。
従来から基材上に下地着色層と光散乱層を設けて、常態では下地着色層が光散乱層によって隠蔽され、水に濡れると光散乱層が透明化して下地着色層が可視化される所謂水筆紙が知られている。光散乱層は、通常、低屈折率の粉体を構成成分とする吸液性の多孔質層であり、水を吸収すると屈折率が水に近い粉体間が水で充填されて光学的界面が無くなり、光散乱層は散乱光が減少して透明化する。また、光散乱層に吸液部分と非吸液部分を設けると、水濡れにより下地着色層が可視化される部分と可視化されない部分が生じるため、これらを文字図柄として視認されるように配置して意匠性を高めた水変色性シートが各種提案されている。
特許文献1には、支持体上に下地着色層を塗設し、その上に吸液状態と非吸液状態で透明性が異なる低屈折率顔料をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層を設け、その多孔質層に撥水性樹脂から成る非吸液層を共存状態に内在させた構成の変色性積層体が開示されている。
該変色性積層体は、多孔質層に撥水性樹脂から成る非吸液層を共存状態に内在させることで部分的に非吸液層と吸液層が形成され、該吸液層の部分だけが下地着色層の色調を視認できるようにしたもので、更に繰り返しの使用によって着色層が不明瞭になることがなく、耐水性にも優れている。
特許文献2には、支持体上に下地着色層と多孔質層が順次塗設された可逆変色性筆記板において、多孔質層の上層に文字・図柄やベタ状の着色層を配設すると、水濡れにより着色層の無い部分の多孔質層のみが透明化して下地着色層が可視化され、着色層はもとの色調を保つため、多様な色調が得られることが示唆されている。
特許文献3には、支持体上に下地着色層と多孔質層が順次塗設された水変色性粘着シートにおいて、多孔質層の上層に配設された着色層は、水濡れにより色調が変わらないため、水変色シールの図柄やその輪郭線などへ使用した例が記載されている。
該変色性積層体は、多孔質層に撥水性樹脂から成る非吸液層を共存状態に内在させることで部分的に非吸液層と吸液層が形成され、該吸液層の部分だけが下地着色層の色調を視認できるようにしたもので、更に繰り返しの使用によって着色層が不明瞭になることがなく、耐水性にも優れている。
特許文献2には、支持体上に下地着色層と多孔質層が順次塗設された可逆変色性筆記板において、多孔質層の上層に文字・図柄やベタ状の着色層を配設すると、水濡れにより着色層の無い部分の多孔質層のみが透明化して下地着色層が可視化され、着色層はもとの色調を保つため、多様な色調が得られることが示唆されている。
特許文献3には、支持体上に下地着色層と多孔質層が順次塗設された水変色性粘着シートにおいて、多孔質層の上層に配設された着色層は、水濡れにより色調が変わらないため、水変色シールの図柄やその輪郭線などへ使用した例が記載されている。
特許文献1の水変色性積層体は、水に濡れることにより、下地着色層の色調が鮮明に視認できるようなるが、シリカなどを主成分とする多孔質層(吸液層)が表面に露出しているため、例えば高光沢の水変色性積層体が得られない、吸液層と撥水性樹脂を含有する非吸液層で光沢など質感が異なってしまうといった問題があった。
特許文献2の可逆変色性筆記板は、支持体上に下地着色層、多孔質層、着色層を順次塗設した場合、着色層部分は水濡れによって変色せず、多孔質層部分のみが透明化して下地着色層が可視化するため、色調変化が制限されるという問題がある。
特許文献3の水変色性粘着シートは、支持体上に下地着色層、多孔質層、着色層を順次塗設した場合、水に濡れても着色層の下層にある多孔質層が透明化せず、下地着色層が可視化されないため、着色層の色調が着色層と下地着色層の混色に変化せず、もとの色調に留まるため、多彩な色調変化が得られ難いという問題がある。
以上のように、水濡れにより表面に模様が発現する水変色性シートは、模様形成用の非吸液層が光沢差などから水濡れ前でも視認され、また、表面の意匠性を高める着色層は、水濡れにより変色しないという問題がある。
本発明は、光散乱層(多孔質層)上に塗設される透水層(吸液層)と非透水層(非吸液層)の質感の差が小さく、かつ透水層(吸液層)は任意な色調に着色可能な意匠性の高い水発色シートを提供することを目的とする。
特許文献2の可逆変色性筆記板は、支持体上に下地着色層、多孔質層、着色層を順次塗設した場合、着色層部分は水濡れによって変色せず、多孔質層部分のみが透明化して下地着色層が可視化するため、色調変化が制限されるという問題がある。
特許文献3の水変色性粘着シートは、支持体上に下地着色層、多孔質層、着色層を順次塗設した場合、水に濡れても着色層の下層にある多孔質層が透明化せず、下地着色層が可視化されないため、着色層の色調が着色層と下地着色層の混色に変化せず、もとの色調に留まるため、多彩な色調変化が得られ難いという問題がある。
以上のように、水濡れにより表面に模様が発現する水変色性シートは、模様形成用の非吸液層が光沢差などから水濡れ前でも視認され、また、表面の意匠性を高める着色層は、水濡れにより変色しないという問題がある。
本発明は、光散乱層(多孔質層)上に塗設される透水層(吸液層)と非透水層(非吸液層)の質感の差が小さく、かつ透水層(吸液層)は任意な色調に着色可能な意匠性の高い水発色シートを提供することを目的とする。
本発明は以下の(1)〜(6)を提供する。
(1)基材上に、下地着色層、光散乱層、着色印刷層、非透水層がこの順で設けられていることを特徴とする水発色シート。
(2)前記着色印刷層、及び/又は非透水層上に、図柄印刷層が設けられていることを特徴とする(1)に記載の水発色シート。
(3)前記着色印刷層が、酸化重合型の着色インキにより形成されていることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の水発色シート。
(4)前記非透水層が、紫外線硬化型の透明インキにより形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の水発色シート。
(5)前記非透水層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の水発色シート。
(6)前記図柄印刷層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする(2)〜(5)のいずれかに記載の水発色シート。
(1)基材上に、下地着色層、光散乱層、着色印刷層、非透水層がこの順で設けられていることを特徴とする水発色シート。
(2)前記着色印刷層、及び/又は非透水層上に、図柄印刷層が設けられていることを特徴とする(1)に記載の水発色シート。
(3)前記着色印刷層が、酸化重合型の着色インキにより形成されていることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の水発色シート。
(4)前記非透水層が、紫外線硬化型の透明インキにより形成されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の水発色シート。
(5)前記非透水層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の水発色シート。
(6)前記図柄印刷層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする(2)〜(5)のいずれかに記載の水発色シート。
本発明によれば、光散乱層と非透水層の質感の差を抑制し、かつ任意な色調に着色可能な意匠性の高い水発色シートを提供することができる。
本発明の水発色シートは、基材上に、下地着色層、光散乱層、着色印刷層、非透水層がこの順に設けていることを特徴としており、最大の特徴は光散乱層上に着色印刷層を設けていることである。このことにより、光沢性の低い光散乱層が水発色性シートの表面に露出しないため、着色印刷層上に設ける非透水層や図柄印刷層との光沢などの質感の差を抑制することができ、その結果として高い意匠性を有する水発色シートを提供することができる。
なお、本発明の水発色シートは、従来の基材上に下地着色層、光散乱層を設けた水発色シートや上記した特許文献1の構成と類似しているが、水に濡れることにより、透明になる光散乱層上に、一般に水の浸透性を阻害することが知られている疎水性のインキを用いて透水性のある着色印刷層を設けるといったこれまでにはなかった技術思想に基づくものである。
(基材)
本発明の基材は、一般的な紙、板紙をはじめ、これらの紙材料同士または紙材料とプラスチックフィルムや合成繊維不織布等との積層体等を使用することができる。
本発明の基材は、一般的な紙、板紙をはじめ、これらの紙材料同士または紙材料とプラスチックフィルムや合成繊維不織布等との積層体等を使用することができる。
(下地着色層)
本発明における下地着色層は、色材と結合剤から構成される。色材は、一般的な染料や顔料を使用でき、特に限定されるものではないが、油溶性染料など水不溶性のものが好ましい。また、結合剤は、耐水性の被膜を形成できる樹脂であれば、その種類は特に限定されるものでなく、SBR、MBR等のラテックス類、ポリエチレンエマルジョン、アクリル酸エステルの重合物、メタクリル酸エステルの重合物、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸エステル共重合物、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物、ニトロセルロースおよびその誘導体等を挙げることができ、これらの樹脂は塗工方式に応じて水に分散させたエマルジョンや有機溶剤に溶解した溶液の形で使用され、それぞれの塗工方式において単独あるいは何れか2種類以上を混合して用いることもできる。 本発明において、結合剤に対する色材の量は、結合剤10重量部に対して色材0.1〜8重量部の範囲が好ましく、色材が0.1重量部に満たないと着色が不十分となり、色材が8重量部を超えると紙基材への固着が不十分となる。
本発明における下地着色層は、色材と結合剤から構成される。色材は、一般的な染料や顔料を使用でき、特に限定されるものではないが、油溶性染料など水不溶性のものが好ましい。また、結合剤は、耐水性の被膜を形成できる樹脂であれば、その種類は特に限定されるものでなく、SBR、MBR等のラテックス類、ポリエチレンエマルジョン、アクリル酸エステルの重合物、メタクリル酸エステルの重合物、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸エステル共重合物、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物、ニトロセルロースおよびその誘導体等を挙げることができ、これらの樹脂は塗工方式に応じて水に分散させたエマルジョンや有機溶剤に溶解した溶液の形で使用され、それぞれの塗工方式において単独あるいは何れか2種類以上を混合して用いることもできる。 本発明において、結合剤に対する色材の量は、結合剤10重量部に対して色材0.1〜8重量部の範囲が好ましく、色材が0.1重量部に満たないと着色が不十分となり、色材が8重量部を超えると紙基材への固着が不十分となる。
本発明において下地着色層は、上記色材と結合剤に水または有機溶剤を加えた塗工液を基材に塗布・乾燥して形成される。塗布液は、使用する色材と結合剤の種類により、水分散性色材/水分散性結合剤/水の組み合わせとするか、有機溶剤分散性(又は有機溶剤可溶性)色材/有機溶剤可溶性結合剤/有機溶剤の組み合わせで調製される。下地着色層の固形分付着量は0.3〜15.0g/m2が好ましく、更に好ましくは0.5〜13.0g/m2である。固形分付着量が0.3g/m2未満では均一な下地着色層を形成することが困難である。一方、固形分付着量が15.0g/m2を超えると着色効果の向上が少なくなる一方でコストが増大するため好ましくない。
(光散乱層)
本発明における光散乱層は、白色の低屈折率顔料(以下、白色顔料ということがある。)と結合剤から構成される。着色剤を加えることもできるが、水により光散乱層が透明化した際に、下地着色層が認識されるように下地着色層に含有される色剤の色相と異なる色調、且つ淡色とすることが必要である。白色の低屈折率顔料とは、屈折率が水に近い微粒粉体であり、水と接触すると界面での光の散乱が抑えられて透明化し、水が揮散消失すると再び光散乱性が発現して不透明化し、白色を呈する特性を有するものである。
本発明における光散乱層は、白色の低屈折率顔料(以下、白色顔料ということがある。)と結合剤から構成される。着色剤を加えることもできるが、水により光散乱層が透明化した際に、下地着色層が認識されるように下地着色層に含有される色剤の色相と異なる色調、且つ淡色とすることが必要である。白色の低屈折率顔料とは、屈折率が水に近い微粒粉体であり、水と接触すると界面での光の散乱が抑えられて透明化し、水が揮散消失すると再び光散乱性が発現して不透明化し、白色を呈する特性を有するものである。
本発明において、光散乱層に含有される低屈折率(屈折率:1.8以下)を呈する白色顔料として、無定形シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等の無機顔料、プラスチックピグメント等の有機顔料が挙げられる。これらの中では、無定形シリカが好ましい。無定形シリカは、合成非晶質シリカ微粉、含水非晶質二酸化ケイ素、超微粉末含水ケイ酸などとして市販されているものが使用できる。低屈折率を呈する白色顔料は単独で用いるか、何れか2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明において、光散乱層に含有する結合剤は、水透過性、耐水性、被膜を形成し易い特性が必要である。水透過性の低い被膜を形成する結合剤を用いると、光散乱層への水の浸透が妨げられ、筆記像が迅速に発現しない。また、耐水性や被膜形成性が低い結合剤を用いた場合は、白色顔料の結合性が劣るので、筆記像のにじみや水筆像消失後の光散乱層にしみが残るなどの問題が発生する。また、結合剤に使用される樹脂の種類は特に限定されるものでなく、アクリル酸エステルの重合物、メタクリル酸エステルの重合物、ポリスチレン、スチレン・アクリル酸エステル共重合物、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合物、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ニトロセルロースおよびその誘導体等が挙げられる。これらの樹脂は、形成される被膜の水透過性と耐水性を勘案して選定し、塗工方式に応じて水に分散させたエマルジョンや有機溶剤に溶解した溶液の形で使用され、それぞれの塗工方式において単独あるいは何れか2種類以上を混合して用いることもできる。これらの中ではアクリル酸エステル系樹脂を用いることが好ましい。
本発明において、光散乱層は、上記低屈折率を呈する白色顔料と結合剤に水または有機溶剤を加えた塗工液を基材に塗設された下地着色層の上に塗布、乾燥して形成される。塗工液は、使用する白色顔料と結合剤の種類により、水分散性白色顔料/水分散性結合剤/水の組み合わせとするか、有機溶剤分散性白色顔料/有機溶剤可溶性結合剤/有機溶剤の組み合わせで調製される。光散乱層の固形分付着量は5〜26g/m2、好ましくは8〜20g/m2、更に好ましくは10〜16g/m2である。固形分付着量が5g/m2未満では下地着色層の隠蔽性が不十分となり、下地着色層の色調が透視できるため好ましくない。一方、固形分付着量が26g/m2を超えると光散乱層が厚くなり、使用時に光散乱層の亀裂、剥落が発生する。
本発明において、結合剤に対する白色顔料の量は、結合剤11重量部に対して白色顔料8〜30重量部の範囲が好ましく、白色顔料が8重量部に満たないと光散乱層の水透過性が不十分となって筆記像が迅速に発現しなくなり、白色顔料が30重量部を超えると顔料固着性が低下して脱落し易くなる。
本発明において、前記した下地着色層および光散乱層は、公知の手段、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、タンポ印刷、転写等の印刷手段、エアナイフコーター、ロッドコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ゲートロールコーター等の一般的な塗工機による塗工手段により形成できる。また、必要に応じて、各層の塗工液の特性を塗設手段に適合させるために、前記した下地着色層塗工液および光散乱層塗工液へ必要に応じて分散剤、粘度調整剤、濡れ性改善剤等を助剤として添加できる
(着色印刷層)
本発明における着色印刷層に用いる印刷インキは、着色印刷層上に付着させた水を光散乱層まで透過させる特性(透水性)を有していれば、その種類は限定されないが、その具体例として酸化重合型のインキを挙げることができる。また、着色印刷層の印刷方法はグラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等が挙げられ、これらの中ではオフセット印刷が好適である。
本発明における着色印刷層に用いる印刷インキは、着色印刷層上に付着させた水を光散乱層まで透過させる特性(透水性)を有していれば、その種類は限定されないが、その具体例として酸化重合型のインキを挙げることができる。また、着色印刷層の印刷方法はグラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等が挙げられ、これらの中ではオフセット印刷が好適である。
酸化重合型の着色インキは、顔料とビヒクルを主剤として、粘度調整剤や乾燥調整剤などの助剤が添加されている。ビヒクルは顔料を被印刷物まで運び、その表面に顔料を固着する役割を担っているもので、酸化重合型インキの場合は乾性油と合成樹脂および溶剤から構成される。乾性油は空気中の酸素と反応して重合・固化する性質があり、固化後の乾燥被膜は強靭で柔軟性に富むものとなる。代表的な乾性油としてあまに油、きり油等が挙げられる。酸化重合型インキのビヒクルの主成分である合成樹脂は、印刷方式により種類や特性が異なり、オフセット印刷用インキの場合はロジン変性フェノール樹脂やアルキド樹脂が使用され、あまに油や溶剤中に溶解して用いられる。スクリーン印刷用インキの場合は、アルキド樹脂やあまに油が金属乾燥剤とともに使用される。
印刷インキの基本構成は疎水性物質であるため、透水性を有していないと考えることが一般的であるが、酸化重合型の印刷インキ層が透水性を有し、インキ付着量を増しても非透水性とならないため、網点率100%のベタ印刷を複数層重ねても水が接触した部分は透水する。この現象に対する明確な理由は不明であるが、酸化重合型の印刷インキが酸化して重合される際に、水分子を通過させる程度の空隙が生成されるためあると推測される。
なお、この時の着色印刷層のインキ量は1〜12g/m2の範囲で透水する事を確認している。従って、着色印刷層のインキ量は、0.5〜10g/m2であることが好ましい。0.5g/m2未満であると印刷ムラなどのトラブルが発生する。一方、10g/m2を超えると透水性が低下する傾向がみられる。
なお、この時の着色印刷層のインキ量は1〜12g/m2の範囲で透水する事を確認している。従って、着色印刷層のインキ量は、0.5〜10g/m2であることが好ましい。0.5g/m2未満であると印刷ムラなどのトラブルが発生する。一方、10g/m2を超えると透水性が低下する傾向がみられる。
本発明の着色印刷層は下地着色層とは異なる任意の色調・色彩の1種類あるいは2種類以上の着色インキが使用できる。また、印刷パターンは特に限定されるものではないが、各種図柄、網点率を調整したベタ印刷などを例示することができる。これらの中では、1種類あるいは2種類以上のインキを用いて網点率100%のベタ印刷により、着色印刷層を設けることが均一な光沢と質感を付与する観点から好ましい。
(図柄印刷層)
本発明の図柄印刷層は、任意の色調・色彩の着色インキを用い、必要に応じて着色印刷層や下地着色層とは異なる色調・色彩で絵や文字、パターンなど様々な意匠性を付与する層である。印刷方法、及び使用するインキ、インキ量は特に限定されるものではないが、着色印刷層が酸化重合型のインキを用いたオフセット印刷で設けられた場合などは、着色印刷層との密着性の観点から、酸化重合型インキによるオフセット印刷を用いることが好適である。
本発明の図柄印刷層は、任意の色調・色彩の着色インキを用い、必要に応じて着色印刷層や下地着色層とは異なる色調・色彩で絵や文字、パターンなど様々な意匠性を付与する層である。印刷方法、及び使用するインキ、インキ量は特に限定されるものではないが、着色印刷層が酸化重合型のインキを用いたオフセット印刷で設けられた場合などは、着色印刷層との密着性の観点から、酸化重合型インキによるオフセット印刷を用いることが好適である。
(非透水層)
本発明の非透水層は着色印刷層上に設けられる層であり、図柄印刷層と重なっていてもよい。この非透水層は、光散乱層への水の浸透を抑制する機能を有しており、任意の文字図柄の画像や抜き柄像の形状に塗設すると、該塗設部分は水に濡れても変色しないようになる。一方、非透水層以外の部分には水が浸透して光散乱層が透明化し、下地着色層が可視化するため、下地着色層を背景にして非透水層の文字図柄画像を視認できるようになる。非透水層に用いられる材料としては非透水効果を有するものであれば特に限定するものではないが、非透水層と着色印刷層の質感を揃えるために、透明インキを用い、印刷方式で塗設することが好ましい。具体的にはOPニスと言われる表面保護を目的とした透明の印刷インキのうち、紫外線硬化型の透明インキ(以下、UVインキという)を例示することができる。 UVインキは紫外線を照射することによって瞬時に硬化乾燥するインキで、感光性樹脂を使用した、通常、無溶剤タイプのインキである。OPニス用の透明UVインキは、アクリル系プレポリマー及びモノマーと光重合開始剤を主成分としており、光重合後に形成されるポリマー層がバリヤー性に寄与していると推察される。非透水層の塗設量は3〜12g/m2、好ましくは5〜10g/m2である。3g/m2以下では非透水効果が不充分になり、12g/m2以上は非透水効果が過剰になり不経済である。
本発明の非透水層は着色印刷層上に設けられる層であり、図柄印刷層と重なっていてもよい。この非透水層は、光散乱層への水の浸透を抑制する機能を有しており、任意の文字図柄の画像や抜き柄像の形状に塗設すると、該塗設部分は水に濡れても変色しないようになる。一方、非透水層以外の部分には水が浸透して光散乱層が透明化し、下地着色層が可視化するため、下地着色層を背景にして非透水層の文字図柄画像を視認できるようになる。非透水層に用いられる材料としては非透水効果を有するものであれば特に限定するものではないが、非透水層と着色印刷層の質感を揃えるために、透明インキを用い、印刷方式で塗設することが好ましい。具体的にはOPニスと言われる表面保護を目的とした透明の印刷インキのうち、紫外線硬化型の透明インキ(以下、UVインキという)を例示することができる。 UVインキは紫外線を照射することによって瞬時に硬化乾燥するインキで、感光性樹脂を使用した、通常、無溶剤タイプのインキである。OPニス用の透明UVインキは、アクリル系プレポリマー及びモノマーと光重合開始剤を主成分としており、光重合後に形成されるポリマー層がバリヤー性に寄与していると推察される。非透水層の塗設量は3〜12g/m2、好ましくは5〜10g/m2である。3g/m2以下では非透水効果が不充分になり、12g/m2以上は非透水効果が過剰になり不経済である。
非透水層の印刷方法としては、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷等が挙げられ、これらの中ではオフセット印刷が好適である。
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されない。
(実施例1)
140g/m2の上質紙(日本製紙(株)製)を基紙に用い、バー塗工方式によりその片面にSBRラテックス/黒色顔料=2.6/1.0(固形分質量部)からなる黒色の下地着色層を塗設(付着量4g/m2)し、次いでその上面にカオリン/合成シリカ/アクリル酸エステル樹脂=8/12/16.5(固形分質量部)からなる光散乱層を塗設(付着量15g/m2)した。
該光散乱層の上面にオフセット印刷機でオフセット用酸化重合型プロセスインキ(大日本インキ化学工業((株))製、GEOS-G(N)紅)を全面に1回ベタ印刷してインキ付着量4.0g/m2の着色印刷層を設けた。次いで着色印刷層の面に同様に酸化重合型の墨インキ(大日本インキ化学工業((株))製、GEOS-G(N)墨)で星形を1回印刷してインキ付着量2.2g/m2の図柄印刷層を設けた。更にその面に透明インキとして紫外線硬化型OPニス(東洋インキ製FLASH DRY OLP 多色 OPニス)でハート型の抜き型に相当する図柄を3回重ねて印刷し、インキ付着量6.4g/m2の非透水層を設け、水発色シートを得た。
140g/m2の上質紙(日本製紙(株)製)を基紙に用い、バー塗工方式によりその片面にSBRラテックス/黒色顔料=2.6/1.0(固形分質量部)からなる黒色の下地着色層を塗設(付着量4g/m2)し、次いでその上面にカオリン/合成シリカ/アクリル酸エステル樹脂=8/12/16.5(固形分質量部)からなる光散乱層を塗設(付着量15g/m2)した。
該光散乱層の上面にオフセット印刷機でオフセット用酸化重合型プロセスインキ(大日本インキ化学工業((株))製、GEOS-G(N)紅)を全面に1回ベタ印刷してインキ付着量4.0g/m2の着色印刷層を設けた。次いで着色印刷層の面に同様に酸化重合型の墨インキ(大日本インキ化学工業((株))製、GEOS-G(N)墨)で星形を1回印刷してインキ付着量2.2g/m2の図柄印刷層を設けた。更にその面に透明インキとして紫外線硬化型OPニス(東洋インキ製FLASH DRY OLP 多色 OPニス)でハート型の抜き型に相当する図柄を3回重ねて印刷し、インキ付着量6.4g/m2の非透水層を設け、水発色シートを得た。
得られた水発色シートの赤色の印刷面全面に水を塗布したところ、非透水層が塗設されていないハート型図柄部分のみに着色印刷層を通して水が浸透し、光散乱層が透明化して下地着色層が可視化され、ハート型図柄は赤色から赤色と黒色の混色に変化した。
1.水筆紙
2.基材
3.下地着色層
4.光散乱層
5.着色印刷層
6.着色図柄印刷層
7.非透水層
2.基材
3.下地着色層
4.光散乱層
5.着色印刷層
6.着色図柄印刷層
7.非透水層
Claims (6)
- 基材上に、下地着色層、光散乱層、着色印刷層、非透水層がこの順で設けられていることを特徴とする水発色シート。
- 前記着色印刷層、及び/又は非透水層上に、図柄印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水発色シート。
- 前記着色印刷層が、酸化重合型の着色インキにより形成されていることを特徴とする請求項1〜2のいずれか一項に記載の水発色シート。
- 前記非透水層が、紫外線硬化型の透明インキにより形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水発色シート。
- 前記非透水層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水発色シート。
- 前記図柄印刷層が、文字、記号、英数字、点、線、図柄から選ばれる、いずれかの像であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の水発色シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016181085A JP2018043449A (ja) | 2016-09-16 | 2016-09-16 | 水発色シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016181085A JP2018043449A (ja) | 2016-09-16 | 2016-09-16 | 水発色シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018043449A true JP2018043449A (ja) | 2018-03-22 |
Family
ID=61694091
Family Applications (1)
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JP2016181085A Pending JP2018043449A (ja) | 2016-09-16 | 2016-09-16 | 水発色シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018043449A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2019004113A1 (ja) * | 2017-06-29 | 2019-01-03 | パイロットインキ株式会社 | 光沢性を有する変色体 |
-
2016
- 2016-09-16 JP JP2016181085A patent/JP2018043449A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019004113A1 (ja) * | 2017-06-29 | 2019-01-03 | パイロットインキ株式会社 | 光沢性を有する変色体 |
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