JP2018042513A - 固化培土及びその製造装置及び製造方法並びに該固化培土を伴った苗 - Google Patents

固化培土及びその製造装置及び製造方法並びに該固化培土を伴った苗 Download PDF

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Abstract

【課題】化学物質を含む固化剤を用いることなく、移植用苗の移植時、移送時、加工時等に、その根を被覆する固化培土が崩壊又は脱落するのを防止することを可能にする手段を提供する。【解決手段】移植用苗Sの根1を被覆する固化培土Nは、所定の形状と、移植時、移送時、加工時等にこの形状が崩壊しない形状保持性ないしは固形性とを有している。そして、この固化培土Nは、移植用苗Sを育成する土4と、土4に混合された多数の細長いテングサ片5と、土4の粒子の間隙に存在する水と、土4の粒子の間隙に存在する、テングサ片5から離脱したゲル状又は固体状の寒天とを含んでいる。固化培土Nの形状保持性は、テングサ片5及び寒天によって生じる。【選択図】図1

Description

本発明は、育苗施設等で育成され栽培地に移植すべき野菜、果物等の栽培植物の苗の根を被覆する固化培土及びその製造装置及び製造方法並びに該固化培土を伴った苗に関するものである。
近年、野菜、果物等の栽培植物の栽培には、発芽してある程度成長した幼苗を、生育環境を自在に調節することが可能な育苗施設等で育成し、所定の程度まで成長させた上で、畑等の栽培地に移植するといった手法が広く用いられている。このように栽培地に移植すべき栽培植物の苗(以下「移植用苗」という。)は、一般に、その根を被覆する培土(培養土)を伴っている。そして、移植用苗を保持したり移送したりする際に培土が崩壊又は脱落するのを防止するために、移植用苗の根の被覆には、通常、培土に固化剤が添加されてなる所定の形状(例えば、下方に狭まる円錐台状又は角錐状)を有する固化培土が用いられる。
固化培土を生成するために培土に添加する固化剤としては、例えば、アルカリ金属炭酸塩及び陰イオン界面活性剤等を含む固化剤(例えば、特許文献1参照。)、カルボン酸アルカリ金属塩基を有する重合体とカルボン酸塩とからなる固化剤(例えば、特許文献2参照。)、アクリルアミドを主成分とする重合体ないしは水溶性高分子化合物を含む固化剤(例えば、特許文献3、4参照。)などが用いられている。
特開2000−324944号公報 特開2006−136320号公報 特開2011−200222号公報 特開2012−055275号公報
しかしながら、例えば特許文献1〜4に開示された固化剤は、工業的に製造された化学物質を含むものであり、該化学物質が栽培地の土質を低下させる可能性があり、また該栽培地で収穫される野菜等に該化学物質が吸収されて残留する可能性がある。また、このような化学物質を含む固化剤が混ざった栽培地で収穫された野菜等に対して、消費者がその安全性について漠然とした不安感をもち、その購入を差し控える可能性もある。さらに、化学物質を含む固化剤を用いて栽培された野菜等は、「有機食品」、すなわち農薬や化学肥料などの化学物質に頼らず自然界の力で生産された食品として販売しようとする場合、有機食品のJAS規格に適合せず、有機食品として認められない可能性もある。
本発明は、前記従来の問題を解決するためになされたものであって、工業的に製造された化学物質を含む固化剤を用いることなく、移植用苗の移植時、保持時、移送時、加工時等において移植用苗の根を被覆している固化培土の形状が崩壊し、あるいは固化培土を形成している培土が脱落するのを防止することを可能にする手段を提供することを解決すべき課題とする。
前記課題を解決するためになされた本発明に係る移植用苗(すなわち、育苗施設で育成され栽培地に移植されるべき栽培植物の苗)の根を被覆して該移植用苗を育成する固化培土(固化培養土)は、所定の形状と、移植時、保持時(把持時)、移送時又は加工時(例えば、接ぎ木時)等にこの形状を保持する(すなわち、この形状が崩壊しない)形状保持性ないしは固形性とを有している。そして、この固化培土は、移植用苗を育成する培土と、培土に混合された複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状(例えば、せん切り状)のテングサ片と、培土の粒子の間隙に存在する水と、培土の粒子の間隙に存在する、テングサ片から離脱したゲル状の寒天(テングサ片から離脱して培土の粒子の間隙にゲル状態で存在する寒天)又は固体状の寒天(ゲル状の寒天から水分が失われ固体化した寒天)とを含んでいる。
ここで、固化培土の所定の形状は、円柱状(横断面が長円であるものを含む)、角柱状又は下方に狭まる円錐状、円錐台状、角錐状もしくは角錐台状であってもよい。また、テングサ片の長さは0.5〜5cmの範囲内であるのが好ましく、テングサ片の幅(最大径又は太さ)は0.5〜3mmの範囲内であるのが好ましい。固化培土は、その上面に、苗の種子を収容する凹状部が形成されているのが好ましい。本発明に係る固化培土において、培土はピートモスを含むものであってもよく、この場合固化培土は籾殻(稲の籾殻)又は籾殻の破砕片ないしは粉砕片(以下「籾殻片」という。)を含んでいるのが好ましい。ここで、固化培土中の籾殻又は籾殻片の含有率は、20〜50質量%(より好ましくは、40〜50質量%)の範囲内であるのが好ましい。
本発明に係る固化培土を製造するための本発明に係る固化培土製造装置は、培土混合生成機と、加熱装置と、成形装置と、培土混合物輸送装置とを備えている。ここで、培土混合生成機は、培土と、水と、複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状のテングサ片とを混合して培土混合物を生成する。加熱装置は、培土混合生成機内に収容されている培土混合物を加熱する。成形装置は、固化培土の形状に対応する相補形状(凸形状と凹形状とが嵌り合う形状)を備えた培土収容部を有し、培土混合生成機内で加熱された培土混合物を受け入れて前記形状に成形した上で冷却し、固化培土を生成する。培土混合物輸送装置は、培土混合生成機内で加熱された培土混合物を成形装置に輸送(圧送)する。
本発明に係る成形装置は、固化培土の形状に対応する相補形状を有し培土混合物を収容するトレーと、トレーを保持するとともに加熱された培土混合物をトレー内に注入する下型と、トレーの上側に配置されトレー内の培土混合物の上面を成形する上型とを備えているのが好ましい。
本発明に係る固化培土を製造するための本発明に係る固化培土製造方法は、下記の各工程を有している。
(1) 培土と、水と、複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状(例えば、せん切り状)のテングサ片とを混合して培土混合物を生成する第1工程。
(2) 培土混合物を加熱して、テングサ片に含まれている寒天を水に溶解した形態で培土の粒子の間隙に離脱させる(染み出させる)第2工程。
(3) 加熱された培土混合物を、固化培土の形状に対応する相補形状を備えた培土収容部を有する成形装置に供給する第3工程。
(4) 成形装置内の培土混合物を冷却して培土の粒子の間隙に存在する寒天をゲル化又は固化させ、培土混合物に形状保持性を生じさせる第4工程。
(5) 成形装置から培土混合物を離脱させて固化培土とする第5工程。
本発明に係る移植用苗は、本発明に係る固化培土によって根が被覆されていることを特徴とする。なお、このような移植用苗は、本発明に係る固化培土の上面に該移植用苗の種をまき、又は固化培土の上面に凹状部を形成し、この凹状部に移植用苗種をまき、これらの種を発芽させることにより作成することができる。
本発明に係る固化培土においては、培土の粒子の間隙に存在するゲル化又は固体化した寒天により、移植時、保持時、移送時又は加工時に該固化培土の形状が崩壊しない形状保持性が付与される。さらに、培土に埋め込まれている細長いテングサ片によって培土の粒子同士の移動が制約されて結合が強化され、固化培土の形状保持性がより高められる。また、この固化培土は、培土と、水と、天然植物であるテングサ片と、このテングサ片から生じた寒天とで構成され、工業的に製造された化学物質を含まないので、該固化培土を伴った移植用苗を栽培地に移植しても、栽培地の土質を損なうことはなく、また収穫される栽培植物に、固化培土の使用に起因して化学物質が残留することもない。さらに、収穫される栽培植物を、有機食品のJAS規格に適合させることが容易となる。
つまり、本発明に係る固化培土によれば、工業的に製造された化学物質を含む固化剤を用いることなく、移植用苗の根ないしは茎を被覆する固化培土が崩壊し、あるいは固化培土を形成している培土が脱落するのを効果的に防止することができる。なお、固化培土が籾殻又は籾殻片を含む場合は、籾殻又は籾殻片によって固化培土の形状保持性が一層高められる。また、籾殻又は籾殻片は空気又は水を保持することができる容器状の形状をもつので、固化培土に多くの空気あるいは水が保持され、移植用苗の成長が促進される。
本発明に係る固化培土製造装置によれば、培土混合生成機と、加熱装置と、成形装置と、培土混合物輸送装置とを備えるだけの簡素な装置で、本発明に係る固化培土を容易に製造することができる。また、本発明に係る固化培土製造方法によれば、第1〜第5工程を有するだけの簡素な手法で、本発明に係る固化培土を容易に製造することができる。
本発明に係る移植用苗によれば、例えば育苗室で育成した移植用苗を、固化培土を崩壊させることなく、あるいは固化培土を形成する土を脱落させることなく、栽培地に移植あるいは移送することができ、移植用苗の成長ないしは育成を促進することができる。
図1は、本発明に係る固化培土を伴った移植用苗の模式的な立面断面図である。 図2は、図1に示す固化培土の一部を拡大して示す模式的な立面断面図である。 図3は、籾殻ないしは籾殻片を含む固化培土を伴った移植用苗の模式的な立面断面図である。 図4は、本発明に係る固化培土を製造するための固化培土製造装置の模式的な側面断面図である。 図5(a)は成形装置を構成する上型の模式的な立面図であり、図5(b)は成形装置を構成するトレーの模式的な立面図であり、図5(c)は成形装置を構成する下型の模式的な立面図である。 図6は、トレーを下型にセットした状態における成形装置の模式的な立面図である。 図7は、トレーの上に上型をセットした状態における成形装置の模式的な立面図である。 図8は、上型を取り外した後において、トレーを下型から取り出した状態における成形装置の模式的な立面図である。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1に示すように、根1と茎2と葉3とを備えた、野菜又は草本性果物の移植用苗S(育苗施設等で育成され栽培地に移植されるべき栽培植物の苗)は固化培土Nを伴っている。すなわち、移植用苗Sの根1は(場合によっては茎2の一部も)、固化培土Nによって被覆されている。固化培土Nを構成する培土としては、例えばピートモスを用いることができる。また、土とピートモスを混合した培土を用いてもよい。
図2に示すように、固化培土Nは、移植用苗Sを育成する培土4(培養土)と、培土4に混合された多数の細長い形状(例えば、糸状又は紐状)を有するテングサ片5と、培土4を構成する土粒子4aの間隙6(空隙部)に存在する水(図示せず)と、土粒子4aの間隙6に存在するゲル状又は固体状の寒天7とを含んでいる。寒天7は、加熱によりテングサ片5から離脱して土粒子4aの間隙6に侵入した(染み出た)ものであり、間隙6に存在する水分が多いときにはゲル状態であり、間隙6に存在する水分が少ないときには固体状である。なお、通常、間隙6にはゲル状の寒天7と固体状の寒天7とが混在している。なお、本明細書において、テングサは、一般に寒天ないしはトコロテンを作成するための「テングサ」と呼ばれている赤藻類テングサ目、テングサ科に属する種々の海藻ないしは植物(例えば、マクサ、オニクサ等)を意味する。
固化培土Nにおいては、土粒子4a同士がゲル状又は固体状の寒天7によって結合ないしは接着され、かつ多数の細長いテングサ片5によって土粒子4a同士が変位、移動又は固体流動するのが抑制される。このため、固化培土Nは、所定の形状を有し、かつ移植用苗Sの移植時、保持時、移送時あるいは加工時にこの形状が容易には崩壊しない形状保持性ないしは固さ(固体性)を有している。なお、寒天7は、土粒子4aの間隙6の全部を満たしていなくてもよく、一部(例えば40〜60%)を満たしているだけでもよい。
固化培土Nに用いられる培土4の種類は、これに植え付けられる移植用苗Sの種類に応じて好ましく選択される。なお、培土4は適量の水分を含んでいる(例えば、含水比が40〜80%)。固化培土Nの形状は、例えば、円柱状(横断面が長円のものも含む)や角柱状であってもよく、また下方に狭まる円錐状、円錐台状、角錐状又は角錐台状であってもよい。また、糸状あるいは紐状の細長いテングサ片5の長さは、例えば0.5〜5cmの範囲内であるのが好ましく(より好ましくは2〜3cmの範囲内)、幅ないしは太さ(最大径)は0.5〜3mmの範囲内であるのが好ましい(より好ましくは1〜2mmの範囲内)。
固化培土Nのテングサ片5(乾燥基準)の含有率は、例えば固化培土Nの単位体積(1リットル)あたり5〜25g(より好ましくは10〜25g)に設定される。例えば、0.02リットル(20cc)の固化培土Nの場合は、乾燥状態で0.1〜0.5g(より好ましくは0.2〜0.5g)のテングサ片5を含有することになる。なお、一般に、テングサから食用の寒天ないしトコロテンを作成する場合は、乾燥状態にある1kgのテングサから、約20リットルのゼリー状寒天ないしはトコロテンを生成することができる。なお、固化培土Nのテングサ片5の含有率は、移植用苗Sの栽培形態に応じて固化培土Nに対して要求される形状保持性ないしは固形性に応じて設定される。
例えば愛知県の株式会社森田商店に係るテングサ入札会における乾燥状態にある食用のテングサの入札価格は1kgあたり1000〜2000円程度である。したがって、このような食用のテングサを固化培土Nに用いる場合、例えば乾燥状態で0.1〜0.5gのテングサ片5を含有する20ccの固化培土Nのテングサにかかる費用は0.1〜1.0円程度であるものと推測される。しかしながら、固化培土Nに用いるテングサはこのような高品質(美味)である必要はなく、低グレードのテングサを用いることができるので、前記のコストは1/3〜1/5程度まで低下させることができるものと予測される。
図3に示すように、固化培土Nに、籾殻又は籾殻片8を添加してもよい。この場合、固化培土Nを構成する培土にはピートモスを用いるのが好ましい。ここで、固化培土N中の籾殻又は籾殻片8の含有率は、20〜50質量%の範囲内であるのが好ましく、40〜50質量%の範囲内であるのがより好ましい。このように固化培土Nが籾殻又は籾殻片8を含む場合は、籾殻又は籾殻片8によって固化培土Nの形状保持性が一層高められる。また、籾殻又は籾殻片8は空気又は水を保持することができる容器状の形状をもつので、固化培土Nに多くの空気あるいは水が保持され、移植用苗Sの成長が促進される。
図4に示すように、本発明に係る固化培土を製造するための固化培土製造装置Pは、培土混合生成機10と成形装置11とを備えている。ここで、培土混合生成機10は、培土と水と多数のテングサ片とが混合されてなる培土混合物を収容するハウジング12を有している。そして、ハウジング12には、該ハウジング12内の培土混合物を加熱する加熱ヒータ13(加熱装置)が取り付けられている。加熱ヒータ13としては、例えば電気ヒータや、スチームジャケットや、熱媒ジャケットなどを用いることができる。さらに、ハウジング12内には、モータ14によって回転駆動され培土混合物を撹拌する撹拌爪15が設けられている。
培土混合生成機10内の加熱された培土混合物を成形装置11に輸送するために、一端がハウジング12に接続された第1輸送パイプ16が設けられ、この第1輸送パイプ16の他端に培土圧送ポンプ17の吸込口が接続されている。培土圧送ポンプ17の吐出口には、第2輸送パイプ18が接続されている。そして、第2輸送パイプ18には、成形装置11の一部をなす複数の培土供給管19が接続されている。成形装置11は、上型20と、下型21と、培土混合物を収容するトレー22とを備えている。
図5(a)〜図5(c)に示すように、上型20は、複数の空気抜き穴25と、複数のおおむね半球状の突出部26とを備えている。下型21は、下方に狭まる複数の円錐台状の凹部28を有し、各凹部28の底部にそれぞれ1本の培土供給管19が開口している。トレー22は、培土混合物を収容する複数の容器部27を有している。ここで、各容器部27は、下型21の凹部28と係合又は嵌合することができる下方に狭まる円錐台状の形状を有している。なお、各容器部27は、固化培土の形状に対応する相補形状(凸形状と凹形状とが嵌り合う形状)を有している。各容器部27の底部には、培土供給管19の先端部と係合することができる底穴(図示せず)が形成されている。
以下、図4〜図8を参照しつつ、固化培土製造装置Pを用いた固化培土Nの製造方法を説明する。
本発明に係る固化培土Nを製造する場合、まず培土混合生成機10のハウジング12内に、培土と水と多数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状のテングサ片とを投入し、これらを撹拌爪15によって撹拌する。これにより、培土混合物が生成される。なお、培土混合物におけるテングサ片5(乾燥基準)の含有率は、培土混合物の単位体積(1リットル)あたり5〜25g(より好ましくは10〜25g)に設定される。水は、例えば培土4の含水比が40〜80%となるように添加される。そして、ハウジング12内の培土混合物は加熱ヒータ13によって加熱され、例えば80〜95℃まで昇温させられ、この状態が所定時間(例えば、10〜60分)維持される。
その結果、テングサ片5に含まれていた寒天7は、水(熱湯)に溶解ないしは混和した状態で該テングサ片5から離脱して、土粒子4aの間隙6に侵入する(染み出る)。かくして、土粒子4aの間隙6の全部(大部分)ないしは一部は、熱湯に溶解ないしは混和した液状の寒天7で満たされる。このとき、液状の寒天7には、多数の微細な気泡が混入している。これらの気泡は、寒天7が固化した後も保持される。
そして、図6に示すように、下型21の上にトレー22をセットする。これにより、トレー22の容器部27は、下型21の凹部28に挿入ないしは嵌入される。このとき、各容器部27において、その底穴が、これに対応する培土供給管19の先端部と係合する。なお、上型20はトレー22の上方に位置している。
次に、図7に示すように、上型20を下方に移動させ、上型20でトレー22をクランプする。この状態で、培土圧送ポンプ17により、培土混合生成機10内の加熱された培土混合物を、第1輸送パイプ16と第2輸送パイプ18と各培土供給管19とを介して、トレー22の各容器部27に供給(圧入)する。その際、各容器部27内の空気は、空気抜き穴25を介して外部に排出される。かくして、各容器部27内に培土混合物が充填される。
この後、各容器部27内の培土混合物を、おおむね常温まで冷却(空冷)する。その結果、土粒子4aの間隙6に存在する寒天7(トコロテン)はゲル化ないしは固化する。これにより、培土混合物に適度な形状保持性が生じる。なお、土粒子4aの間隙6内のゲル状の寒天は、水分が失われると固化して固体状となる。かくして、トレー22の各容器部27内には固化した培土30が生成される。
そして、図8に示すように、上型20を上方に移動させた上で、各容器部27内に固化した培土30が収容されたトレー22を下型21から上方に移動させて取り外す。なお、固化した培土30の上面には、上型20の突出部26によって栽培用植物の種子を収容するための凹状部31が形成されている。この後、トレー22から固化した培土30を取り出して固化培土Nとする。固化した寒天7中には多数の微細な気泡が含まれているので、固化培土Nの空気の保持量が多くなり、これにより移植用苗Sの成長が促進される。このように製造された固化培土Nを伴った移植用苗Sは、例えば、固化培土Nの上面の凹状部31に移植用苗Sの種子をまき、これらの種子を発芽させることにより生成することができる。
なお、籾殻又は籾殻片を含む固化培土Nを製造する場合は、培土混合生成機10で培土混合物を生成する際に、籾殻又は籾殻片8を添加すればよい。この場合、培土混合物中の籾殻又は籾殻片の含有率は、20〜50質量%の範囲内であるのが好ましく、40〜50質量%の範囲内であるのがより好ましい。
固化培土Nにおいては、土粒子4aの間隙6に存在するゲル化又は固体化した寒天7により、移植時、保持時、移送時、接ぎ木加工時等に該固化培土Nの形状が崩壊しない形状保持性が付与される。さらに、培土4に埋め込まれている細長いテングサ片5によって土粒子4aの移動が抑制され、固化培土Nの形状保持性が一層高められる。また、この固化培土Nは、培土4と水と天然植物であるテングサ片5と、このテングサ片5から生じた寒天7とで構成され、工業的に製造された化学物質を含まないので、該固化培土Nを伴った移植用苗Sを栽培地に移植しても、栽培地の土質を損なうことはなく、また収穫される栽培植物に、固化培土Nに起因して化学物質が残留することもない。さらに、収穫される栽培植物を、有機食品のJAS規格に適合させることが容易となる。
N 固化培土、S 移植用苗、P 固化培土製造装置、1 根、2 茎、3 葉、4 培土、4a 土粒子、5 テングサ片、6 間隙、7 寒天、8 籾殻(籾殻片)、10 培土混合生成機、11 成形装置、12 ハウジング、13 加熱ヒータ、14 モータ、15 撹拌爪、16 第1輸送パイプ、17 培土圧送ポンプ、18 第2輸送パイプ、19 培土供給管、20 上型、21 下型、22 トレー、25 空気抜き穴、26 突出部、27 容器部、28 凹部、30 固化培土、31 凹状部。
前記課題を解決するためになされた本発明に係る移植用苗(すなわち、育苗施設で育成され栽培地に移植されるべき栽培植物の苗)の根を被覆して該移植用苗を育成する固化培土(固化培養土)は、所定の形状と、移植時、保持時(把持時)、移送時又は加工時(例えば、接ぎ木時)等にこの形状を保持する(すなわち、この形状が崩壊しない)形状保持性ないしは固形性とを有している。そして、この固化培土は、移植用苗を育成する培土と、前記培土の粒子同士が変位、移動又は固体流動するのが抑制されるように培土に混合された複数の細長い繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状(例えば、せん切り状)のテングサ片と、培土の粒子の間隙に存在する水と、培土の粒子の間隙の全部又は一部を満たす、テングサ片から離脱したゲル状の寒天(テングサ片から離脱して培土の粒子の間隙にゲル状態で存在する寒天)又は固体状の寒天(ゲル状の寒天から水分が失われ固体化した寒天)とを含んでいる。

Claims (10)

  1. 所定の形状と、移植時、保持時、移送時又は加工時に前記形状を保持する形状保持性とを有する、栽培地に移植される栽培植物の苗の根を被覆して該苗を育成する固化培土であって、
    前記苗を育成する培土と、
    前記培土に混合された複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状のテングサ片と、
    前記培土の粒子の間隙に存在する水と、
    前記培土の粒子の間隙に存在する、前記テングサ片から離脱したゲル状又は固体状の寒天とを含むことを特徴とする固化培土。
  2. 前記所定の形状が、円柱状、角柱状又は下方に狭まる円錐状、円錐台状、角錐状もしくは角錐台状であることを特徴とする、請求項1に記載の固化培土。
  3. 前記テングサ片の長さが0.5〜5cmの範囲内であり、前記テングサ片の幅又は太さが0.5〜3mmの範囲内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固化培土。
  4. 該固化培土の上面に、前記苗の種子を収容する凹状部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の固化培土。
  5. 前記培土はピートモスを含み、該固化培土は籾殻又は籾殻の破砕片を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の固化培土。
  6. 該固化培土中の前記籾殻又は破砕片の含有率が20〜50質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項5に記載の固化培土。
  7. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の固化培土の製造装置であって、
    培土と、水と、複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状のテングサ片とを混合して培土混合物を生成する培土混合生成機と、
    前記培土混合生成機内に収容されている前記培土混合物を加熱する加熱装置と、
    前記固化培土の形状に対応する相補形状を備えた培土収容部を有し、前記培土混合生成機内で加熱された前記培土混合物を受け入れて前記形状に成形した上で冷却し、前記固化培土を生成する成形装置と、
    前記培土混合生成機内で加熱された前記培土混合物を前記成形装置に輸送する培土混合物輸送装置とを備えていることを特徴とする固化培土の製造装置。
  8. 前記成形装置は、前記固化培土の形状に対応する相補形状を有し前記培土混合物を収容するトレーと、前記トレーを保持するとともに加熱された前記培土混合物を前記トレー内に注入する下型と、前記トレーの上側に配置され、前記トレー内の前記培土混合物の上面を成形する上型とを備えていることを特徴とする、請求項7に記載の固化培土の製造装置。
  9. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の固化培土の製造方法であって、
    培土と、水と、複数の繊維状、糸状、紐状、帯状、軸状、針状又は細片状のテングサ片とを混合して培土混合物を生成する工程と、
    前記培土混合物を加熱して、前記テングサ片に含まれている寒天を水に溶解した形態で前記培土の粒子の間隙に離脱させる工程と、
    加熱された前記培土混合物を、前記固化培土の形状に対応する相補形状を備えた培土収容部を有する成形装置に供給する工程と、
    前記成形装置内の前記培土混合物を冷却して前記培土の粒子の間隙に存在する寒天をゲル化又は固化させ、前記培土混合物に形状保持性を生じさせる工程と、
    前記成形装置から前記培土混合物を離脱させて前記固化培土とする工程とを有することを特徴とする固化培土の製造方法。
  10. 育苗施設で育成され栽培地に移植される栽培植物の苗であって、
    請求項1〜5のいずれか1つに記載の固化培土により根が被覆されていることを特徴とする苗。
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