JP2018042360A - 太陽光発電装置の検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】メガソーラーのような大型の太陽光発電装置を俯瞰する全体画像を作成して異常を検出する、太陽光発電装置の検査装置を提供する。【解決手段】本発明の太陽光発電装置の検査装置は、太陽光発電装置の一部領域である複数の区画の複数の区画画像を受信する受信部と、複数の区画画像のそれぞれに付与されているGPSデータを読み取るGPSデータ読み取り部と、複数の区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出する検出部と、GPSデータに基づいて、複数の区画画像を、太陽光発電装置の区画に対応する位置に配置する配置部と、異常部位および特定部位の少なくとも一方に基づいて、複数の区画画像の位置を調整する調整部と、配置部および調整部での処理に基づいて、複数の区画画像から太陽光発電装置の全体画像を生成する生成部と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、太陽光発電装置の状況を把握するために上空から撮像して全体俯瞰画像を生成する太陽光発電装置の検査装置に関する。
いずれの国においても、文明的な生活を形作るために、電力を生成する必要がある。この電力生成のために、水力発電、火力発電、原子力発電などが行われており、これらの発電所が整備されている。一方で、近年の環境保護意識の高まり、地球温暖化対応のための二酸化炭素排出削減、化石燃料の使用量削減などの状況により、再生可能エネルギーを用いた発電が普及しつつある。
この再生可能エネルギーによる発電の一つとして太陽光発電がおこなわれるようになっており、我が国を始めとして、各国で普及し始めている。普及率の高い国や地域においては、発電量全体の数割程度を賄うまでになっている。太陽光発電装置が様々な場所に設置され、太陽光発電が実現されている。
このような太陽光発電の普及の進み始めている国では、多数の太陽光発電パネルを同じ地域に並べて、メガワット級の大きな電力を生成するメガソーラーなどが設置されるようになっている。このメガソーラーのような大型太陽光発電装置が設置されて、従来型の発電所に匹敵するほどの電力を生成するようになってきている。
メガソーラーのような大型太陽光発電装置は、非常に数多くの太陽光発電パネルを備える。近年の太陽光発電パネルの価格低下によって、数多くの太陽光発電パネルを組み合わせる大型太陽光発電装置が実現できるようになっている。
このような大型太陽光発電装置は、数1000枚以上の太陽光発電パネルが組み合わされて構成される。多数の太陽光発電パネルが整列して設置され、それぞれが電気的に接続される。また、必要な区画ごとでパワーコンディショナーや蓄電池が設けられ、発電した電力を効率的に取り出すことができるようになっている。
このような構成を有する大型太陽光発電装置は、空き地に設置されることが多い。しかしながら我が国を始めとして多くの国や地域では、広大な平野が余っていないことが多い。このため、平野部であって周囲に建造物がある中で、余っている隙間の空き地などが活用されることが多い。あるいは山間部の窪地が活用されることがある。あるいは、工場の跡地、駅の跡地などのまとまった広さのある跡地が活用されることがある。
このような隙間の空き地に、大型太陽光発電装置が設置される傾向がある。上述の通り、メガソーラーのような大型太陽光発電装置は、多くの太陽光発電パネルを使用する。すなわち、全体の領域は非常に大きい。結果として、隙間のような空き地に、非常に大きな領域を占める大型太陽光発電装置が設置される。
太陽光発電装置は、これを構成する太陽光発電パネルのそれぞれが正常かつ適切に動作することで、最適な発電を実現できる。太陽光発電パネルのいずれかが劣化、故障、誤動作すると、太陽光発電装置は、最適な発電を実現できない。あるいは、太陽光発電パネル同士を接続する電気接続系統に故障等があれば、同じように、最適な発電を実現できない。
上述の通り、メガソーラーのような大型太陽光発電装置では、多くの太陽光発電パネルが使用される。このため、数多くの太陽光発電パネルのいずれかが劣化、故障、誤動作する可能性があり、枚数の多さにより確率が高くなる。数多くの太陽光発電パネルが組み込まれているので、いずれかの太陽光発電パネルの劣化や故障などの問題を発見するのは非常に難しい問題がある。
加えて、上述の通り、隙間となる空き地に設置されていることが多く、作業者が太陽光発電パネルの検査のために赴くことが難しいこともある。特に、山間部の傾斜地に設置されている場合には、現地での確認作業が大変となることがある。山間部の斜面を登って行かなければならなかったり、広大な敷地を歩いて確認しなければならなかったりするからである。
また、多くの太陽光発電パネルは、架台に載せられていることが多い。このため、作業者が、太陽光発電パネルを上から目視して確認することも難しい問題がある。
一方で、太陽光発電パネルの劣化、故障、誤動作などの異常を、早期に把握できることは、太陽光発電装置全体での継続的かつ最適な発電にとって必要である。このため、太陽光発電パネルの異常を把握することが求められている。このような状況において、ラジコンヘリコプターから太陽光発電装置を撮像して、太陽光発電パネルの問題を把握する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015−146371号公報
特許文献1は、ラジコンヘリコプターに赤外線カメラを搭載し、ラジコンヘリコプター並びに赤外線カメラを遠隔操作してソーラーパネルの赤外画像を撮影し、撮影された赤外画像を映像モニターに出力することで、ソーラーパネル50の不具合箇所を検知・特定して、故障診断を行うソーラーパネル故障診断システムを開示する。
特許文献1の技術は、上空からラジコンヘリコプターでソーラーパネルの画像を撮影し、画像を解析することで、ソーラーパネルの故障を診断して修理や交換に対応することを目的としている。
しかしながら、上述したように、メガソーラーなどの大型太陽光発電装置は、非常に数多くの太陽光発電パネルを備えている。また、非常に広い領域に渡って構成されているので、非常に広い範囲に太陽光発電パネルが存在する。この広い範囲にある太陽光発電パネル全体の画像を撮影することは非常に大変である。
特許文献1では、ラジコンヘリコプターで画像を撮像するが、ラジコンヘリコプターの上昇できる高さは、数10mからせいぜい数100m程度である。また、備わるカメラの画角も光学的な制約により制限がある。このため、一枚の撮像で、大型の太陽光発電装置全体の画像を撮影することは困難である。もし、一枚の撮像で大型の太陽光発電装置全体の画像を撮影するために、魚眼レンズのような広い画角のカメラを用いたり、ラジコンヘリコプターを非常に高い高度に上昇させたりすると、画質が悪くなり、問題を把握することが難しくなる問題がある。これは赤外画像であっても同様である。
また、一枚の画像に太陽光発電装置全体を入れることができない場合には、複数の区画に分割して画像を撮影し、それぞれの画像を解析して問題を検出することも考えられる。しかしながら、太陽光発電装置は、ほぼ同じ形状や外観の太陽光発電パネルが並んでおり、複数の画像のそれぞれを区別することが難しい。加えて、それぞれの画像が、実際の太陽光発電装置のいずれの位置に対応するのかを同定するのが難しい問題もある。
実際には、複数の区画に分割して複数の画像を撮影し、これらを組み合わせて太陽光発電装置全体を俯瞰する全体画像を作成することが必要となる。いずれの位置の太陽光発電パネルに問題があるかを把握する必要があるからである。
しかしながら、上述の通り、複数の区画に分割して撮像された画像は、同様の形状や外観の写真が写っているだけで、実際の太陽光発電装置のいずれの場所の画像であるかを判断することは極めて難しい。このような複数の画像を組み合わせて、正しく太陽光発電装置の全体画像を作成することは極めて困難である。
また、ラジコンヘリコプターは、その上空での位置および撮像角度を厳密に制御することは難しい。この制御の難しさによって、撮像される複数の画像のそれぞれは、太陽光発電装置全体での位置との対応性が、更に分かりにくくなる。
このような問題があることで、設置されている太陽光発電装置のいずれの太陽光発電パネルに問題があるかを、全体を俯瞰しながら特定して解析することが難しい問題があった。
本発明は、以上の課題に鑑み、メガソーラーのような大型の太陽光発電装置を俯瞰する全体画像を作成して異常を検出する、太陽光発電装置の検査装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の太陽光発電装置の検査装置は、太陽光発電装置の一部領域である複数の区画の複数の区画画像を受信する受信部と、
複数の区画画像のそれぞれに付与されているGPSデータを読み取るGPSデータ読み取り部と、
複数の区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出する検出部と、
GPSデータに基づいて、複数の区画画像を、太陽光発電装置の区画に対応する位置に配置する配置部と、
異常部位および特定部位の少なくとも一方に基づいて、複数の区画画像の位置を調整する調整部と、
配置部および調整部での処理に基づいて、複数の区画画像から太陽光発電装置の全体画像を生成する生成部と、を備える。
本発明の太陽光発電装置の検査装置は、撮像された区画画像にGPSデータが組み込まれている。組み込まれているGPSデータにより、区画画像が、実際の太陽光発電装置のいずれの区画の画像であるかを判別できる。加えて、分割画像が含む温度異常位置と特異位置とを用いることで、別の分割画像の相対位置関係を確定させることができる。
これらの判別と組み合わせが実施されることで、複数の分割画像を組み合わせて、全体を俯瞰する全体画像を作成することができる。この全体画像が得られることで、太陽光発電装置全体の状況を、問題位置の特定と合わせて把握することができる。
特に、メガソーラーなどの非常に大型の太陽光発電装置では、非常に広大な領域となりえるが、この広大な太陽光発電装置の全体画像を作成できる。近年、設置が進んでいる大型の太陽光発電装置の問題を早期に検出できることで、発電効率の向上や設備維持の容易化が実現できる。
大型の太陽光発電装置の模式図である。 太陽光発電装置の一部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1における太陽光発電装置の検査装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1における区画画像の一例を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における区画画像の撮像を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における無人操縦機200から通信ネットワークで区画画像を受け取る模式図である。 本発明の実施の形態1における配置部による区画画像の配置を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における異常部位を用いた区画画像の組み合わせを示す模式図である。 本発明の実施の形態1における全体画像の模式図である。 本発明の実施の形態2における区画画像の組み合わせを示す説明図である。 本発明の実施の形態2における検査装置のブロック図である。 本発明の実施の形態2における検査装置のブロック図である。 本発明の実施の形態2におけるホットスポットの検出と区画画像構築のフローチャートである。
本発明の第1の発明に係る太陽光発電装置の検査装置は、太陽光発電装置の一部領域である複数の区画の複数の区画画像を受信する受信部と、
複数の区画画像のそれぞれに付与されているGPSデータを読み取るGPSデータ読み取り部と、
複数の区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出する検出部と、
GPSデータに基づいて、複数の区画画像を、太陽光発電装置の区画に対応する位置に配置する配置部と、
異常部位および特定部位の少なくとも一方に基づいて、複数の区画画像の位置を調整する調整部と、
配置部および調整部での処理に基づいて、複数の区画画像から太陽光発電装置の全体画像を生成する生成部と、を備える。
この構成により、細切れで撮像された複数の区画画像から、高い精度で位置合わせして太陽光発電装置の全体画像を得ることができる。
本発明の第2の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1の発明に加えて、区画画像は、太陽光発電装置の上空から、無人操縦機で撮像される。
この構成により、区画画像を容易かつ低コストで得ることができる。
本発明の第3の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1または第2の発明に加えて、区画画像は、重複する部分を含むことがある。
この構成により、重複している区画画像の配置と組み合わせにより、漏れる部分なく、全体画像を構成できる。
本発明の第4の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、複数の区画画像の集合は、太陽光発電装置全体を含む。
この構成により、太陽光発電装置全体の全体画像を生成できる。
本発明の第5の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、GPSデータは、無人操縦機で撮像される際に、無人操縦機により付与される。
この構成により、GPSデータを有した区画画像が得られる。また、このGPSデータを用いて、区画画像の配置を行うことができる。
本発明の第6の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、配置部は、区画画像を、GPSデータに基づいて、相互の位置関係に合わせて並べて大まかな略全体画像を生成する。
この構成により、大体の配置での全体画像を生成でき、これを調整することで最終的な全体画像を生成できる。特に、略全体画像が生成されていることで、調整部での調整処理が容易かつ高速となる。
本発明の第7の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第6の発明に加えて、配置部は、区画画像に含まれるGPSデータでの位置関係が不明な場合には、仮の位置に当該区画画像を配置する。
この構成により、略全体画像を、一定レベルで構成できる。
本発明の第8の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、調整部は、異なる区画画像に含まれる異常部位もしくは特定部位が同一であるかを判定し、同一であると判定する場合には、異なる区画画像同士を、同一の異常部位もしくは特定部位を基準として、位置調整する。
この構成により、調整部は、重複する部分を有する複数の区画画像を、正確な位置において組み合わせることができる。これが繰り返されることで、全ての区画画像の配置と組み合わせが、撮像対象の太陽光発電装置に対応するようになる。
本発明の第9の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、異常部位は、区画において、温度が所定値以上の部位である。
本発明の第10の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、異常部位は、区画において、温度が所定値未満の部位である。
これらの構成により、区画画像の組み合わせのための基準を入手できるようになる。
本発明の第11の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、特定部位は、太陽光発電装置に含まれる太陽光発電パネルの角部、端面、配線および特殊地形の少なくとも一つを含む。
この構成により、特定部位を、区画画像同士の組み合わせの基準として使用できるようになる。
本発明の第12の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第11のいずれかの発明に加えて、全体画像は、太陽光発電装置全体を俯瞰できる。
この構成により、太陽光発電装置の全体を俯瞰して、問題点を早期に検討することができる。
本発明の第13の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、全体画像に含まれる異常部位に基づいて、太陽光発電装置が含む複数の太陽光発電パネルの内、不良のある不良太陽光発電パネルを識別する識別部を更に備える。
この構成により、不良などの問題のある太陽光発電パネルを、検出して、メンテナンスなどに役立てることができる。
本発明の第14の発明に係る太陽光発電装置の検査装置では、第13の発明に加えて、不良太陽光発電パネルの、不良レベルを解析する解析部を更に備える。
この構成により、メンテナンス等への活用が更に促進される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(全体概要)
図1は、大型の太陽光発電装置の模式図である。図1に示される太陽光発電装置100は、いわゆるメガソーラーなどと言われる、広い場所に多数の太陽光発電パネルを並べて、メガワット級の発電を行う。図1のような大型の太陽光発電装置100は、多数の太陽光発電パネルを並べて設置されるので、平野部、谷沿いの広い領域、河原などの広い領域に設置される。
これらの設置の結果、太陽光発電装置100は、広い領域を占める。加えて、設置される場所の地形に応じて、その設置形状もさまざまである。図1でも、外周を形成する領域での設置形状は様々である。
図2は、太陽光発電装置の一部を示す斜視図である。太陽光発電装置100は、図1のように、設置が可能である場所に設置されている。この太陽光発電装置100は、太陽光発電パネル101を備えている。図2のように、多数の太陽光発電パネル101が組み合わされて、太陽光発電装置100が構成されている。
図3は、本発明の実施の形態1における太陽光発電装置の検査装置のブロック図である。太陽光発電装置の検査装置(以下、必要に応じて「検査装置」と略す)1は、受信部2、GPSデータ読み取り部3、検出部4、配置部5、調整部6、生成部7を、備える。
受信部2は、太陽光発電装置100の一部領域である区画の区画画像を受信する。何らかの撮像装置により、太陽光発電装置100の上空から画像が撮影される。このとき、太陽光発電装置100は、極めて大きく広い面積を有する。このため、この太陽光発電装置100の一部領域である区画ごとに区切って、画像が撮影される。太陽光発電装置100はその大きさから、複数の区画を有する。この複数の区画のそれぞれに対応する区画画像が撮影される。
受信部2は、この撮像装置によって撮像された複数の区画画像を受信する。ここで、受信とは、撮像装置から有線、無線などの通信ネットワークで区画画像のデータを受信する態様であってもよい。あるいは、半導体メモリや磁気メモリなどの記憶媒体の手段で、区画画像のデータを受け取ってもよい。受信部2は、区画画像のデータを、種々の手段(人的作業も含む)で、受け取ればよい。このような種々の態様での区画画像の受け取りを総称して受信としている。
ここで、太陽光発電装置100の区画は、きれいに分割されていてもよいし、隣接する区画同士の少なくとも一部が重なっていてもよい。このため、複数の区画画像のそれぞれは、きれいに分割された区画ごとの画像であってもよいし、一部が重複した状態の画像であってもよい。
図4は、本発明の実施の形態1における区画画像の一例を示す模式図である。図4に示されるように、区画画像20は、太陽光発電装置100の一部の領域である区画に対応する画像である。
このような区画画像20を、受信部は受信して、検査装置1での処理を開始できる。
GPSデータ読み取り部3は、受信部2が受信した複数の区画画像20のそれぞれに付与されているGPSデータを読み取る。撮像装置は、太陽光発電装置100の上空から区画画像20を撮影する。この撮像において、撮像装置は、区画画像20に対応する区画のGPSデータを付与する。撮像装置がGPS機能を有していれば。撮像した区画に対応するGPSデータを付与できるからである。
このため、区画画像20は、撮像された内容に加えて撮像された区画に対応するGPSデータを有している。GPSデータ読み取り部3は、この区画画像20に付与されているGPSデータを読み取る。この結果、検査装置1は、区画画像20の内容とGPSデータとを、情報として使用することができる。
検出部4は、区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出する。区画画像は、その位置や状況によって、異常部位や特定部位の少なくとも一つを含むことがある。検出部4は、画像処理や画像検索によって、区画画像20に含まれる異常部位および特定部位を検索する。この検索の結果、存在していれば、異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出できる。
配置部5は、GPSデータに基づいて、複数の区画画像を、太陽光発電装置100の区画に対応する位置に配置する。複数の区画画像は、一部の重複がある場合もあるが、太陽光発電装置100の領域が区分された区画のそれぞれに対応する。配置部5は、GPSデータを用いて、複数の区画画像を並べて、撮像対象となった太陽光発電装置100に対応するように複数の区画画像を配置する。
調整部6は、異常部位および特定部位の少なくとも一方に基づいて、複数の区画画像の位置を調整する。配置部5は、区画画像が有するGPSデータを用いて、区画画像を、撮像対象である太陽光発電装置100の位置に合わせて配置する。しかしながら、GPSデータの精度や撮像時の撮像角度などによって、区画画像を太陽光発電装置100の位置に正確に当てはめることが難しいことがある。
例えば、太陽光発電装置100のある位置に配置されるべき区画画像のGPSデータのわずかな違いにより、この区画画像がこの位置に配置できないことがある。あるいは、区画画像のそれぞれは、隣接する一部と重複していることがある。
このような場合に、ある区画画像と別の区画画像のそれぞれに、同じものと判断できる異常部位もしくは特定部位が含まれていることがある。この同じものと判断できる異常部位と特定部位とから、ある区画画像と別の区画画像の位置関係が特定できることがある。
この位置関係の特定によって、GPSデータだけでは位置合わせの難しい区画画像の配置を調整できる。特に、区画画像は、太陽光発電装置100を区画ごとに撮像したものである。このため、同じような太陽光発電パネル101が並んでいるだけであり、区画画像ごとでの区別が困難である。
このような場合に、複数の区画画像に含まれる異常部位もしくは特定部位を用いて、区画画像同士の位置関係が整理できる。この整理によって、区画画像のそれぞれの配置を調整でき、あるべき位置に、対応する区画画像が配置された状態となる。
生成部7は、配置部5および調整部6での処理に基づいて、複数の区画画像から、太陽光発電装置100の全体画像を生成する。全体画像は、図1に示されるように、太陽光発電装置100全体を示す全体画像が生成される。この全体が等は、複数の区画画像が、あるべき位置に配置されて生成される。
配置部5におけるGPSデータによる配置と、調整部6における異常部位および特定部位による位置関係の調整に基づいて、複数の区画画像が適切に並べられる。この並べられた結果が、全体画像となる。すなわち、全体画像は、複数の区画画像が並べられることで、得られるものである。
このような全体画像が生成されることで、太陽光発電装置100の全体を俯瞰して、種々の問題を解析することができるようになる。特に、大型の太陽光発電装置100は、上空から撮像装置で大量の区画画像を撮像せざるを得ない。1つの画像で、一定の解像度をもって全体画像を得ることは困難である。
このような場合にも対応して、実施の形態1の検査装置1は、大量の区画画像を正確に配置して、全体画像を得ることができる。この全体画像は、実際の太陽光発電装置100を表したものであり、全体を俯瞰するのに最適である。
全体が俯瞰できることで、太陽光発電装置100の問題や不具合の予兆を検査することができる。特に、メガソーラーのような大型の太陽光発電装置100は、その全体像を上空から俯瞰することは困難である。ヘリコプターなどで上空から目視したとしても、問題点を探すことは困難である。
これに対して、生成部7によって全体画像が生成されると、これを俯瞰、解析することで、太陽光発電装置100における問題や不具合の予兆を検査できる。この検査によって、早期に太陽光発電装置100の診断を行うことができる。
次に、各部の詳細について説明する。
(区画画像)
区画画像は、図1に示されるような太陽光発電装置100の上空から撮像装置によって撮像される。例えば、区画画像は、太陽光発電装置100の上空から、無人操縦機で撮像されることで、得られる。図5は、本発明の実施の形態1における区画画像の撮像を示す模式図である。
無人操縦機200は、太陽光発電装置100の上空にある。無人操縦機200は、例えばドローンのような無線操縦可能な小型飛行可能デバイスである。無人操縦機200は、上空から太陽光発電装置100の区画110の画像を撮影する。区画110は、太陽光発電装置100の一部の領域である。区画110は、無人操縦機200の撮像可能範囲およびGPSデータの付与範囲に応じて、定められれば良い。
太陽光発電装置100は、複数の区画110に仮想的に分けられて、無人操縦機200によってそれぞれの区画110が撮像される。このとき、無人操縦機200の上空での姿勢や位置によって多少のずれが生じうる。このずれによって、複数の区画画像には、重複する部分を含むこともある。あるいは、予め区画110を分ける際に、隣接する一部を重複するように撮像してもよい。この撮像により、一部が重複した状態の区画画像が得られる。
複数の区画画像において、一部の部分が重複していることで、大量の区画画像を、太陽光発電装置100に合わせた位置に配置する作業が容易となる。特に、異常部位や特定部位を用いて区画画像の位置を調整するので、複数の区画画像に渡って、同じ領域の部分が含まれている(重複している)ことは好ましい。
無人操縦機200は、このようにして、太陽光発電装置100の全てをカバーリングする複数の区画画像を撮像する。この複数の区画画像の集合は、太陽光発電装置100全体を含んでいる。すなわち、複数の区画画像をすべて配置すれば、太陽光発電装置100全体の全体画像を形成できる。
無人操縦機200は、このように全体を網羅できる複数の区画画像を撮像する。この際に、部分的に重複する状態で区画画像を撮影することも好適である。無人操縦機200によって撮像された区画画像は、無人操縦機200から無線もしくは有線での通信ネットワークで、受信部2に送信されてもよい。あるいは、無人操縦機200の備える記憶媒体が受信部2に接続されて送信されてもよい。あるいは、記憶媒体が取り外されて、受信部2に渡されてもよい。
また、無人操縦機200は、GPSデバイスを備えている。このGPSデバイスによって、無人操縦機200は、撮像した区画画像にGPSデータを付与することができる。無人操縦機200は、操縦される際にGPSデバイスで飛行位置や飛行計画を決定する。このGPSデバイスを用いて、撮像した区画画像に、GPSデータを付与することができる。
GPSデータは、画像データと合わせて区画画像データに含まればよい。
(受信部)
受信部2は、区画画像データを受信する。区画画像データは、いわゆるデジタルデータであってもよい。可視画像としてのデータでもよいし、温度分布や色分布などのある基準に従ったデジタルデータであってもよい。
受信部2は、通信ネットワークによって区画画像を受け取ってもよいし、記憶媒体からの取り出しや、記憶媒体の移動などによって、区画画像を受け取ってもよい。
図6は、本発明の実施の形態1における無人操縦機200から通信ネットワークで区画画像を受け取る模式図である。受信部2は、通信ネットワークを介して、無人操縦機200から区画画像のデータを受信している。このとき、撮像の度に一つずつの区画画像のデータを受け取ってもよいし、撮像が終わってから、まとめて区画画像のデータを受け取ってもよい。
また、無人操縦機200が収容する記憶媒体が、人力で取り外されてから、受信部2に区画画像データが送られてもよい。
受信部2は、複数の区画画像データであってGPSデータを含んだ区画画像データを受け取って、検査装置1での処理につなげる。
(GPSデータ読み取り部)
GPSデータ読み取り部3は、区画画像に付与されているGPSデータを読み取る。GPSデータは、緯度、経度などで定義された位置データであり、区画画像の中心位置などの緯度、経度データを含んでいる。
GPSデータ読み取り部3が区画画像のGPSデータを読み取ることで、区画画像の位置を判断する材料を用意できる。すなわち、区画画像が、太陽光発電装置100でのどの位置に対応するものであるかを、GPSデータによって判断できる。
(配置部)
配置部5は、GPSデータを基にして、複数の区画画像を太陽光発電装置100の位置のそれぞれに合わせて配置する。
図7は、本発明の実施の形態1における配置部による区画画像の配置を示す模式図である。図7には、3枚の区画画像20が示されている。下側においては、配置前の3枚の区画画像20A,20B、20Cが示されている。これら3枚の区画画像20A、20B、20Cのそれぞれは、GPSデータを有している。GPSDデータは上述のように、緯度、経度の情報を含んでいる。
配置部5は、区画画像20AのGPSデータに基づいて、区画画像20Aのあるべき位置に配置する。同様に、区画画像20BのGPSデータに基づいて、区画画像20Bをあるべき位置に配置する。更に、区画画像20CのGPSデータに基づいて、区画画像20Cをあるべき位置に配置する。図7の矢印は、この配置を示している。
配置部5による3枚の区画画像の配置結果が、図7の上側に示される状態である。3枚の別々の区画画像20A〜20Cが、並べられて配置される。図7では、図示の都合上、3枚の区画画像の配置を示しているが、全ての区画画像を配置することで、GPSデータに基づいて大まかに並べられた略全体画像が生成される。
GPSデータで判断できる精度での大まかな略全体画像が生成できる。
GPSデータの精度が高く、更に撮像時の撮像装置の姿勢や位置が適正であれば、複数の区画画像から生成される略全体画像の精度は一定以上である。しかしながら、GPSデータの精度や撮像時の姿勢などによって、略全体画像の精度は十分ではないことが多い。
また、GPSデータでの位置関係が不明な場合や複数の区画画像の相対的な位置関係が不明な場合には、配置部5は、仮の位置に区画画像を配置する。仮の位置に配置しておくことで、調整部6によって、その位置を修正して、最終的な全体画像の生成が行えるようになる。
(検出部)
検出部4は、区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一つを検出する。もちろん、区画画像に異常部位や特定部位が含まれていなければ、検出ないままでよい。
ここで、異常部位は、区画画像に対応する区画において、温度が所定値以上の部位である。いわゆるホットスポットと言われる部位である。このような部位は、何らかの理由で発生しており、区画画像の中で識別することができる要素である。区画画像は、いずれも同じ太陽光発電パネルが並んでいるだけであるので、いずれも同じような写真である。
これに対して、異常部位は、区画画像同士を区別することもできるし、同じ異常部位に基づいて、複数の区画画像同士の位置関係を整理することもできる。ホットスポットと呼ばれる、周囲との温度差が所定値以上である部位を異常部位として検出することで、複数の区画画像同士の位置関係を整理できる。
また、異常部位は、区画画像に対応する区画において、温度が所定値未満(周囲との温度差が下方において所定値以上)である部位であってもよい。この場合でも、区画画像同士の位置関係を整理できる情報となるからである。
異常部位は、太陽光発電パネルの形状や地形に関するものではなく、太陽光発電パネルの状態に関するものである。このため、形状や地形の特徴が表れにくい区画でも、異常部位によって、その位置関係を整理することができる。
特定部位は、太陽光発電装置100に含まれる太陽光発電パネルの角部、端部、配線および特殊地形の少なくとも一つである。
ほとんどの領域で、同じような太陽光発電パネル101が並んでおり、区画画像のそれぞれを区別することが難しい。区別が難しいことで、位置関係の整理も難しくなる。
特定部位は、上述のように形状や地形の特徴であって、これによって、区画画像のそれぞれを区別したり、区画画像の位置関係を整理したりすることができる。
特定部位は、太陽光発電パネルの角部、端面、配線などであることで、区画画像が、実際の太陽光発電装置100のいずれの位置にあるものかを、判別しやすくなる。角部や端面は、特徴ある形状であるので、複数の区画画像に同じ特定部位が含まれていることを識別しやすい。配線も同じである。
同じ特定部位が複数の区画画像に含まれている場合には、この複数の区画画像の位置関係を整理できるようになる。
また、特定部位は、地形の特徴である特殊地形であることも好適である。特殊地形であることで、区画画像が、太陽光発電装置100のいずれの位置のものであるかを、判別できるようになる。特殊地形とは、例えば、河川、がけ、段々地形など、区画画像に含まれる種々の地形上の特性である。
このような異常部位や特定部位が含まれていることを、検出部4は、検出して調整部6に出力する。
(調整部)
調整部6は、配置部5で配置された区画画像の位置を調整したり、配置部5で配置が出来なかった(仮の位置に配置されたなど)区画画像の位置を決定したりする。配置部5において、GPSデータである程度の精度で区画画像のそれぞれは、配置されている。
しかしながら、正確な配置ができていない区画画像が残っていたり、配置されていても不十分な位置精度のままであることもありえる。
調整部6は、検出部4で検出された異常部位もしくは特定部位を用いて、複数の区画画像同士の位置関係を整理したり、区画画像の位置を整理したりする。このとき、GPSデータも活用してもよい。あるいは、配置部5での配置結果を活用してもよい。
例えば、ある区画画像の一部に、異常部位もしくは特定部位が含まれている。この区画画像のGPSデータだけでは、この区画画像の正確な位置が分かりにくいことがある。このような場合には、この区画画像に異常部位か特定部位が含まれており、他の区画画像にも同じ異常部位か特定部位が含まれている場合がある。
このように、複数の区画画像にまたがって、同じ異常部位や特定部位が含まれている場合には、この異常部位や特定部位を基準として、複数の区画画像を組み合わせて、その位置を調整できる。
図8は、本発明の実施の形態1における異常部位を用いた区画画像の組み合わせを示す模式図である。
図8では、2つの区画画像20Dと20Eとがある。区画画像20Dには、異常部位41が含まれている。区画画像20Eには、異常部位42が含まれている。調整部6は、この2つの区画画像20D、20Eを分析する。この分析において、異常部位41と異常部位42とが同一であると判断する。その態様、位置、周囲との関係、それぞれの区画画像のGPSデータなどから、異常部位41と異常部位42とが同一であると判断できる。
すなわち、調整部6は、まず複数の区画画像に含まれる異常部位や特定部位が、同一のものであるかを判定する。図8では、区画画像20Dの異常部位41と、区画画像20Eの異常部位42とが同一であると判定している。
このように同一であると判定する場合には、調整部6は、異なる区画画像同士を、位置調整する。図8の場合には、異常部位41、42を一致させるようにして、区画画像20Dと区画画像20Eとの位置関係を調整する。すなわち、区画画像20Dと区画画像20Eの一部同士が重複するように、位置関係が調整される。
調整部6は、区画画像であって位置関係の整理が不十分なものについては、このように複数の区画画像にまたがっている異常部位や特定部位を用いて、区画画像を組み合わせる。GPSデータによる配置にこの組み合わせ処理が相まって、複数の区画画像が正確に配置される。この配置によって、全体画像が生成できる。
(生成部)
生成部7は、配置部5で配置され、更に調整部6で位置が調整された複数の区画画像により、太陽光発電装置100の全体画像を生成する。複数の区画画像は、全ての集合によって、太陽光発電装置100全体を形成できる画像を含んでいる。
すなわち、複数の区画画像をあるべき位置に並べることができれば、全体画像を得ることができる。
配置部5は、複数の区画画像のそれぞれを、GPSデータに基づいて、配置している。このGPSデータに基づいて、区画画像が実際の区画に対応する位置に割り当てられている。
調整部6は、GPSデータでの配置に加えて、異常部位および特定部位の少なくとも一つに基づいて、区画画像が実際の区画に対応する位置に対して調整されている。例えば、複数の区画画像が重複する部分を少しずつ含んでいる場合に、異常部位を用いてこれらの画像を組み立てて太陽光発電装置100のある領域を形成する。
このような処理結果を受けて、生成部7は、全体画像を生成する。
図9は、本発明の実施の形態1における全体画像の模式図である。全体画像300は、複数の区画画像が組み合わされて構成されている。生成部7は、このような全体画像を生成する。全体画像は、太陽光発電装置100全体を俯瞰できる。この俯瞰によって、管理者は、太陽光発電装置100の問題や不具合の予兆などを検査、確認することができる。
生成部7が生成する全体画像200は、図9のような可視画像でもよいし、温度分布を示す温度画像でもよいし、異常部位を示す特殊画像でもよい。全体画像200は、管理者にとって使い勝手のよい態様であればよい。
以上のように、実施の形態1における検査装置1は、区画ごとに小分けされて撮像された複数の区画画像を、高い精度で配置、組み合わせを行って、全体画像を生成できる。特に、区画画像には、ほとんど同じ太陽光発電パネル101しか映っていなくても、GPSデータと異常部位などを活用することで、高い精度絵配置・組み合わせを行える。
このようにして得られた全体画像300によって、太陽光発電装置100全体を俯瞰して検査等を行うことができる。
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、追加要素やバリエーションについて説明する。
(調整部での画像の組み合わせ)
調整部6は、実施の形態1で説明したように、異常部位および特定部位の少なくとも一つに基づいて、複数の区画写真の位置関係や組み合わせを調整する。
図10は、本発明の実施の形態2における区画画像の組み合わせを示す説明図である。図10においては、5枚の区画画像20が異常部位もしくは特定部位に基づいて組み合わされる状態を示している。
5枚の区画画像20のそれぞれは、太陽光発電装置100のある部分を重複して撮像されており、ある部分を、それぞれが含んだ状態である。本来であれば、この5枚の区画画像20は、この重複している共通部分を重ねるように組み合わされる必要がある。
しかしながら、5枚の区画画像20のそれぞれには、太陽光発電パネル101が写っており、目視でこれを区別することは困難である。もちろん、画像処理を用いても難しい。それぞれの区画画像20に写っている太陽光発電パネル101が、実際の太陽光発電装置100のいずれの位置に対応するものであるかを判定することが困難だからである。
ここで、5枚の区画画像20のそれぞれには、検出部4によって異常部位もしくは特定部位が検出されている。調整部7は、これら検出された異常部位もしくは特定部位のそれぞれが、5枚の区画画像20のそれぞれで共通している(同一である)と判定できる。
5枚の区画画像20はGPSデータを有している。このGPSデータにより、調整部6は、5枚の区画画像20のそれぞれは、近接した位置の画像であると判断できる。また、異常部位は、例えば、周辺に比較して温度差が所定値以上であったり、温度が所定値以上であったりすることで検出される。このため、複数の区画画像20のそれぞれで検出された異常部位の同一性を判定できる。
すなわち、GPSデータ情報と異常部位の特徴とを合わせて、複数の区画画像20にて検出されたある異常部位が、同一であると判定できる。これは、複数の区画画像20にて検出された特定部位でも、同じように判定できる。
図10では、複数の異常部位と特定部位が検出されている。このうち、5枚の区画画像20において共通する(同一)異常部位や特定部位が判定されている。異常部位や特定部位同士を結ぶ線は、同一であると判定された異常部位や特定部位を示している。
これらの判定の結果、5枚の区画画像20のそれぞれで検出された異常部位や特定部位のいずれか同士が同一である。この同一である異常部位同士や特定部位同士を一致させるように5枚の区画画像20を組み合わせる。この組み合わせによって、ある領域を重複して撮像している複数の区画画像20の位置関係が整理でき、ある領域を画像として構成することができる。
もちろん、配置部5においてGPSデータでの配置がなされているので、ある領域として画像が構成されれば、撮像対象の太陽光発電装置100に対応する位置の画像を構成できる。
このようにして、調整部6は、異常部位や特定部位を活用して複数の区画画像を組み合わせることができる。
なお、異常部位の同一性は、その異常部位の温度で判断すればよい。これは、異常部位が、温度が所定値以上や温度差分が所定値以上などによって検出されているからである。特定部位の同一性は、その形状で判断すればよい。特定部位は、太陽光発電パネルの角部、端面、配線あるいは地形特徴などによって検出されるからである。
(識別部)
生成部7が生成した全体画像に含まれる異常部位に基づいて、太陽光発電装置100の太陽光発電パネル101の内、不良のある不良太陽光発電パネルを識別する識別部を更に備えることも好適である。
図11は、本発明の実施の形態2における検査装置のブロック図である。実施の形態1に比較して、識別部8が追加されている。識別部8は、上述の通り、全体画像の結果に基づいて、不良太陽光発電パネルを識別する。このとき、検出部4での検出結果も利用する。
異常部位は、上述したように、温度が所定値以上である部位である。あるいは、他の場所に比較して所定値以上、温度が高い部位である。太陽光発電パネル101において、このような温度あるいは温度差が所定値以上である場合には、当該太陽光発電パネル101は、何らかの問題や不具合の予兆を有している可能性がある。例えば、太陽光発電パネル101を構成するセルが損傷していたり、機能不全を起こしていたりする。
検出部4は、このような異常部位を検出している。調整部6は、全体画像を構成するために、この異常部位を利用しているが、識別部8は、異常のありえる不良太陽光発電パネルを識別するのに利用する。
識別部8は、全体画像に基づいて、異常部位が含まれている太陽光発電パネル101を不良太陽光発電パネルとして識別する。このとき、異常部位が含まれているすべての太陽光発電パネルを不良太陽光発電パネルとして識別してもよい。
あるいは、異常部位の個数が所定値以上である太陽光発電パネルを不良太陽光発電パネルとして識別してもよい。あるいは、異常部位のレベルに応じて(温度差のレベルなど)不良太陽光発電パネルを識別してもよい。
このようにして、問題や不具合の予兆を生じている可能性のある不良太陽光発電パネルを識別する。
なお、不良太陽光発電パネルとは、不良状態にあるというだけではなく、不良となる可能性もある太陽光発電パネルも含んでいる。
(解析部)
図12は、本発明の実施の形態2における検査装置のブロック図である。図11の場合に比較して、解析部9が追加されている。
解析部9は、識別部8で識別された不良太陽光発電パネルの不良レベルを解析する。解析部9は、例えば、ある不良太陽光発電パネルに含まれる異常部位の数が、所定値以上である場合に、不良レベルが高いとして解析する。あるいは、異常部位の温度(温度差)が非常に高い場合に、不良レベルが高いとして解析する。
逆に、ある不良太陽光発電パネルに含まれる異常部位の数が、所定値未満である場合や、温度差が所定値未満である場合には、不良レベルが低いとして解析する。
不良レベルが高い場合には、解析部9は、不良太陽光発電パネルが近い将来に故障や不具合を生じさせる可能性が高いとして判定する。あるいは、不良レベルが低い場合には、解析部9は、不良太陽光発電パネルに注意をしておくべきとして判定する。このような解析によって、太陽光発電装置100の問題を、早期に検出して、対応を行うことができる。
以上のように、実施の形態2における太陽光発電装置の検査装置1は、問題を検査するための全体画像を精度よく構成できる。また、太陽光発電装置100に含まれる太陽光発電パネル101の中で、不良であるものや不良レベルの識別や解析を行える。この結果、太陽光発電装置100のメンテナンスや早期対応が可能となる。
実施の形態1、2で説明された異常部位において、温度が所定値以上であったり、他の部位との温度差が所定値以上であったりするものを、ホットスポットとして定義することも好適である。
図13を用いて、ホットスポットの検出とこれを用いた区画画像の構築の流れの一例を説明する。図13は、本発明の実施の形態2におけるホットスポットの検出と区画画像構築のフローチャートである。
まず、ホットスポットとしての検出における温度条件が設定される。次いで、複数の区画画像の全てにおいて、ホットスポットが検出されたかどうかが確認される。全てにおいて検出されれば、図13の矢印の下に移行する。すなわち、検出されたホットスポットについて、新たに座標を計算する。このとき、区画画像の左上隅をGPSデータの座標位置として設定し、この区画画像中のホットスポットとこの左上隅との位置関係から、ホットスポットの座標位置を再計算する。
仮に、全ての区画画像においてホットスポットが検出されない場合には、ホットスポットの検出されていない区画画像に、自動的にホットスポットを入れる(図13では、特異点としてホットスポットが定義されている)。
新たな座標位置として計算された各区画画像のホットスポットの座標位置において、座標位置が近いものが、同一のホットスポットであるとして決定される。同一としてのホットスポットをリンクさせることで関係づけることができる。
このリンクされたホットスポット(特異点=異常部位)を基準として、複数の区画画像同士の位置関係と組み合わせを構築する。この処理手順によって、全体画像を構成できる。
このような手順でホットスポットを利用した全体画像の構築も行える。
なお、実施の形態1〜 で説明された は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 太陽光発電装置の検査装置
2 受信部
3 GPSデータ読み取り部
4 検出部
5 配置部
6 調整部
7 生成部
8 識別部
9 解析部
20 区画画像
100 太陽光発電装置
200 無人操縦機
300 全体画像

Claims (14)

  1. 太陽光発電装置の一部領域である複数の区画の複数の区画画像を受信する受信部と、
    前記複数の区画画像のそれぞれに付与されているGPSデータを読み取るGPSデータ読み取り部と、
    前記複数の区画画像に含まれる異常部位および特定部位の少なくとも一方を検出する検出部と、
    前記GPSデータに基づいて、前記複数の区画画像を、前記太陽光発電装置の区画に対応する位置に配置する配置部と、
    前記異常部位および前記特定部位の少なくとも一方に基づいて、前記複数の区画画像の位置を調整する調整部と、
    前記配置部および前記調整部での処理に基づいて、前記複数の区画画像から前記太陽光発電装置の全体画像を生成する生成部と、を備える、太陽光発電装置の検査装置。
  2. 前記区画画像は、前記太陽光発電装置の上空から、無人操縦機で撮像される、請求項1記載の太陽光発電装置の検査装置。
  3. 前記区画画像は、重複する部分を含むことがある、請求項1または2記載の太陽光発電装置の検査装置。
  4. 前記複数の区画画像の集合は、前記太陽光発電装置全体を含む、請求項1から3のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  5. 前記GPSデータは、前記無人操縦機で撮像される際に、前記無人操縦機により付与される、請求項1から4のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  6. 前記配置部は、前記区画画像を、前記GPSデータに基づいて、相互の位置関係に合わせて並べて大まかな略全体画像を生成する、請求項1から5のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  7. 前記配置部は、前記区画画像に含まれる前記GPSデータでの位置関係が不明な場合には、仮の位置に当該区画画像を配置する、請求項6記載の太陽光発電装置の検査装置。
  8. 前記調整部は、異なる前記区画画像に含まれる前記異常部位もしくは前記特定部位が同一であるかを判定し、
    同一であると判定する場合には、異なる前記区画画像同士を、同一の前記異常部位もしくは前記特定部位を基準として、位置調整する、請求項1から7のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  9. 前記異常部位は、前記区画において、温度が所定値以上の部位である、請求項1から8のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  10. 前記異常部位は、前記区画において、温度が所定値未満の部位である、請求項1から8のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  11. 前記特定部位は、前記太陽光発電装置に含まれる太陽光発電パネルの角部、端面、配線および特殊地形の少なくとも一つを含む、請求項1から10のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  12. 前記全体画像は、前記太陽光発電装置全体を俯瞰できる、請求項1から11のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  13. 前記全体画像に含まれる前記異常部位に基づいて、前記太陽光発電装置が含む複数の太陽光発電パネルの内、不良のある不良太陽光発電パネルを識別する識別部を更に備える、請求項1から12のいずれか記載の太陽光発電装置の検査装置。
  14. 前記不良太陽光発電パネルの、不良レベルを解析する解析部を更に備える、請求項13記載の太陽光発電装置の検査装置。
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