JP2018041788A - 圧電素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電薄膜に発生するエネルギーを有効に活用でき、簡便に形成できる圧電素子を提供する。【解決手段】圧電薄膜3a、3bは積層構造とし、それぞれの圧電薄膜の圧電性を有する結晶配向方向を一方が上向きのとき、他方を下向きとする。圧電薄膜は支持基板1に両端が固定されていることと、圧電薄膜の一部を挟んで配置する一対の電極4a1〜4b2を複数組備え、少なくとも第1の圧電素子、第2の圧電素子および第3の圧電素子が形成されていることと、第1の圧電素子、第2の圧電素子および第3の圧電素子は、両端の一端側から他端側へ順に並べて配置されていることと、第1の圧電素子と第2の圧電素子、第2の圧電素子と第3の圧電素子は、圧電素子の電極から連続する延長部により直列接続されている。【選択図】図2

Description

本発明は圧電素子に関し、特に、高感度、低雑音の横圧電効果を利用した圧電素子に関するものである。
近年、急速に需要が拡大しているスマートフォンには、小型、薄型で、組立のハンダリフロー工程の高温処理耐性を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いたマイクロフォンが多く使われている。また、MEMSマイクロフォンに限らず、その他のMEMS素子が様々な分野で急速に普及してきている。
この種のMEMS素子の多くは、音響圧力等による振動板の振動変位を対向する固定板との容量変化としてとらえ、電気信号に変換して出力する容量素子である。しかし容量素子は、振動板と固定板との間隙の空気の流動によって生じる音響抵抗のために、信号雑音比の改善が限界になりつつある。
そこで、圧電薄膜で構成される単一の振動板の歪みにより音響圧力等を電圧変化として取り出すことができる圧電素子が注目されている。
ところでこの種の圧電素子では、振動板を構成する圧電薄膜が音響圧力等により振動変位する場合、圧電薄膜の厚さ方向で圧電薄膜に加わる歪みあるいは応力が逆方向となることが知られている。図7は一般的な構造の圧電素子において、圧電薄膜に加わる歪みあるいは応力を模式的に示した説明図である。図7に示す圧電素子は、支持基板となるシリコン基板1上に、シリコン酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜2を介して、圧電薄膜3が積層形成されている。また、図示しないスリットを形成し、両持ち梁構造としている。圧電薄膜3の表面と裏面には、圧電薄膜3を挟み込むように一対の電極4が形成され、電極4はそれぞれ配線電極5に接続する構造となっている。
このような構造の圧電素子では、例えば図7に示すように音響圧力信号がシリコン基板1側から印加されると、領域Aと領域Cでは圧電薄膜3のシリコン基板側では引張応力が発生し、表面側では引張応力が発生する。一方、領域Bでは圧電薄膜のシリコン基板側では圧縮応力が発生し、表面側では引張応力が発生する。
このように一対の電極に挟まれた圧電薄膜の中で、支持基板(シリコン基板1)に接着した領域と離れた領域では、発生する電圧の極性が逆になり、さらにまた、圧電薄膜の表面側とシリコン基板側とで発生する電圧の極性が逆になり、出力信号が得られない。
そこで、圧電薄膜に生じたエネルギーを有効に活用するため、図8に示すような圧電素子が提案されている(特許文献1)。図8に示す圧電素子は、支持基板となるシリコン基板1上に、絶縁膜2を介して多層構造の圧電薄膜3a、3bが固定され、圧電薄膜3aは上下から電極4aと電極4bにより、圧電薄膜3bは上下から電極4bと電極4cによりそれぞれ挟み込まれた構造となっている。圧電薄膜および電極はそれぞれ長方形の平面構造を有しており、一端がシリコン基板1に固定され、他端が自由端となる片持ち梁構造となっている。
このような圧電素子では、音響圧力等を受けて圧電薄膜3aが歪むとその内部に分極が起こり、電極4aに接続する配線金属5aと、電極4bに接続する配線電極5bから電圧信号をとりだすことが可能となる。同様に圧電薄膜3bが歪むとその内部に分極が起こり、電極4cに接続する配線金属5aと、電極4bに接続する配線金属5bから圧電信号を取り出すことが可能となる。しかしながら、このような構造の圧電素子を形成する場合、電極の形成と圧電薄膜の形成を繰り返し行う必要があり、製造工程が長く複雑になってしまう。
特許第5707323号公報
図7に示す構造の圧電素子は、圧電薄膜の変位によって圧電薄膜に発生するエネルギーを有効に活用できないという問題があった。また、図8に示す構造の圧電素子は、電極の形成と圧電薄膜の形成を繰り返し行う必要があり、製造工程が長く複雑になるという問題があった。本発明はこのような問題を解消し、圧電薄膜に発生するエネルギーを有効に活用でき、簡便に形成することができる圧電素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願請求項1に係る発明は、支持基板上に積層された圧電薄膜と、該圧電薄膜を挟んで配置された一対の電極とを備えた横圧電効果を利用した圧電素子において、前記圧電薄膜は、少なくとも第1の圧電薄膜と第2の圧電薄膜を含む積層構造からなり、前記第1の圧電薄膜と前記第2の圧電薄膜のそれぞれの圧電性を示す結晶配向方向は、一方が上向きのとき、他方は下向きであることを特徴とする。
本願請求項2に係る発明は、請求項1記載の圧電素子において、前記圧電薄膜は前記支持基板に両端が固定されていることと、前記圧電薄膜の一部を挟んで配置する前記一対の電極を複数組備え、少なくとも第1の圧電素子、第2の圧電素子および第3の圧電素子が形成されていることと、前記第1の圧電素子、前記第2の圧電素子および前記第3の圧電素子は、前記両端の一端側から他端側へ順に並べて配置されていることと、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子、前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子は、前記圧電素子の電極から連続する延長部により直列接続されていることを特徴とする。
本願請求項3に係る発明は、請求項1または2いずれか記載の圧電素子において、前記第1の圧電薄膜と前記第2の圧電薄膜の間に、圧電効果を有しない誘電体膜が積層されていることを特徴とする。
本願請求項4に係る発明は、請求項1乃至3いずれか記載の圧電素子において、前記圧電薄膜は、音響圧力によって振動する膜であることを特徴とする。
本発明の圧電素子は、圧電性を示す結晶配向方向が異なる(一方が上向きのとき、他方が下向き)圧電薄膜を積み重ねた構造とすることで、圧電薄膜の厚さ方向で極性が逆の電圧が発生した場合でも、結晶配向方向が上向きの圧電薄膜に発生する電圧と、結晶配向方向が下向きの圧電薄膜で発生する電圧を重畳して取り出すことが可能となり、圧電性を有する結晶配向方向が一方の向きとなる単層膜構造とした場合と比較して大きな出力信号を得ることができるという利点がある。
また、圧電薄膜の両端を支持基板に固定する両持ち梁構造とする場合、振動により湾曲変形する変曲点により区画される領域毎に圧電素子を形成し、それぞれの圧電素子から出力される電圧信号を重畳して出力するように接続することで、各領域で発生する電圧を重畳して取り出すことが可能となり、さらに大きな出力信号を得ることができるという利点がある。
特に、両持ち梁構造として複数の圧電素子を直列接続する際、圧電素子の電極を延長して形成した延長部により圧電素子間を接続する構造とすると、圧電薄膜の変位に影響を与えるスルーホール等の接続手段を必要とせず、好ましい。
本発明の圧電薄膜を、圧電特性を有しない誘電体薄膜を挟んで形成する構成とすると、薄膜の厚さ方向の中央面に対して相対的に応力の大きい薄膜の上下の表面側から出力信号を得ることができ、特性向上が期待できる。また、例えばシリコン酸化膜(SiO2)を介して積層する構造とすると圧電薄膜より誘電損が小さく好ましい。
本発明の圧電素子の圧電薄膜を音響圧力によって振動する厚さに設定し、音響トランスデューサとして使用した場合、高感度で信号雑音比の改善が期待される。
本発明の第1の実施例の圧電素子の平面図である。 本発明の第1の実施例の圧電素子の断面図である。 第1の実施例の圧電素子に音響圧力信号が印加し、圧電薄膜が歪んだ状態の説明図である。 本発明の第2の実施例の圧電素子の断面図である。 第2の実施例の圧電素子に音響圧力信号が印加し、圧電薄膜が歪んだ状態の説明図である。 本発明の第3の実施例の圧電素子の断面図である。 従来の圧電素子の説明図である。 従来の別の圧電素子の説明図である。
本発明の圧電素子は、支持基板上に積層された圧電薄膜を、少なくとも2層の圧電薄膜を含む積層構造とし、一方の圧電薄膜の圧電性を有する結晶配向方向を上向きの膜とし、他方の圧電薄膜の圧電性を有する結晶配向方向を下向きの膜としている。以下、本発明の圧電素子について音響トランスデューサとして構成する場合を例にとり詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施例の片持ち梁構造の圧電素子の平面図を、図2は図1に示す圧電素子のA−A面における断面図をそれぞれ示している。図2に示すように本実施例の圧電素子は、支持基板となるシリコン基板1上に、シリコン酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜2を介して、後述する圧電性を有する結晶配向方向を有する圧電薄膜3a、3bが形成されている。また、図1の図面横方向に延びる2本のスリット6aと、その中央部から図面縦方向に延びるスリット6bが形成され、シリコン基板1の裏面側の一部を除去して形成された空孔8に連通させることで、シリコン基板1(支持基板)に圧電薄膜を含む層の一端が支持され、他端が自由端となる片持ち梁構造とする。
図1、図2に示す実施例では、圧電薄膜3a、3bを挟んで配置された一対の電極4a1、4b1を備えた圧電素子C1と、圧電薄膜3a、3bを挟んで配置された一対の電極4a2、4b2とを備えた圧電素子C2が対向して形成されている。また、2つの圧電素子を直列に接続するため、電極4b1と電極4a2が配線金属7により接続されている。その結果、配線電極5aと配線金属5bとの間に、圧電素子C1と圧電素子C2が直列に接続した構成となる。電極および配線金属は、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等の金属薄膜で形成することができる。なお本発明は、2つの圧電素子を対向するように配置したり、直列に接続することは必ずしも必須ではなく、いずれか一方の圧電素子を備える構成であれば良い。また圧電素子の平面形状は、図1に示す長方形に限らず、台形、三角形、多角形等種々変更可能である。
次に本発明の圧電薄膜の圧電性を有する結晶配向方向について説明する。本実施例の圧電薄膜は、図2に圧電性を有する結晶配向方向(圧電極性)を矢印で示すように、圧電性を有する結晶配向方向が上向きの膜と下向きの膜を積み重ねた構造としている。具体的には、窒化アルミニウム(AlN)からなる圧電薄膜3aの圧電性を示す結晶配向であるc軸方位が下向きの場合、窒化アルミニウムからなる圧電薄膜3bのc軸方位は上向きとする。あるいは逆であっても良い。
結晶配向の制御は、周知の方法により行う。具体的には、窒素または酸素ガスを反応性ガスとして用いる反応性スパッタリング法によりウルツ鉱構造の窒化アルミニウムの薄膜を形成する場合、基板温度、スパッタリング圧力、窒素または酸素濃度、電力密度、膜厚を適宜設定することで、結晶配向性が良く、c軸方位の揃った成膜が可能となる。
さらにスパッタリング条件を変えることにより、c軸方位を180度変化させた窒化アルミニウム薄膜を積層生成することも可能である。
なおc軸方位は、図2に示すように圧電薄膜の表面に対して垂直方向に揃った場合に限らず、垂直方向からずれていても良い。さらに、上向きのc軸方位と下向きのc軸方位は、相互に逆向きの方向であれば良く、図2に示すように180度異なる向きでなくても良い。当然ながら180度異なる場合に感度が最も高く、好ましいことは言うまでもない。
このように構成した圧電素子では、図3に示すように音響圧力信号が印加されると、圧電薄膜が上向きに変位し、圧電薄膜3aに引張応力が、圧電薄膜3bに圧縮応力が発生する。このとき横圧電効果によって、圧電薄膜の拡がり方向(図面横方向)の応力に対して、それに垂直な方向(図面上下方向)に電界が発生する。
圧電薄膜3a、3bはそれぞれ圧電性を有する結晶配向方向が上向きの膜と下向きの膜を積み重ねた構造としているため、圧電薄膜3aの引張応力により横圧電効果により発生する電界の向きと圧電薄膜3bの圧縮応力による電界の向きは同一となる。
逆に圧電薄膜が下向きに変位する場合、2つの電極4a1、4b1間では、圧電薄膜3aでは圧縮応力が発生し、圧電薄膜3bでは引張応力が発生する。この場合も、圧電薄膜3aで発生する電界の向きと、圧電薄膜3bで発生する電界の向きは同一となる。その結果いずれの変位においても、電極4a1と電極4b1との間には、それぞれの圧電薄膜で発生した電圧が重畳され出力することになる。
同様に、電極4a2と電極4b2との間でも、圧電薄膜が上向きに変位した場合、圧電薄膜3aでは引張応力が発生し、圧電薄膜3bでは圧縮応力が発生し、それぞれの圧電薄膜で発生した電圧が重量されて出力される。また圧電薄膜が下向きに変位した場合、圧電薄膜3aでは圧縮応力が発生し、圧電薄膜3bでは引張応力が発生し、それぞれの圧電薄膜で発生した電圧が重畳されて出力される。
さらに、電極4b1と電極4a2が接続されていることから、配線電極5aと配線電極5bとの間には、2つの圧電素子C1、C2で発生した電圧が加算され出力されることになる。
このように本実施例の圧電素子は、圧電性を有する結晶配向方向が異なる(一方を上向き、他方を下向きとする)積層構造からなる圧電薄膜とすることで、圧電性を有する結晶配向方向が一方の向きとなる単層構造とした場合と比較して大きな出力信号が得られるという利点がある。
次に本発明の第2の実施例について説明する。図4は本発明の第2の実施例の圧電素子の断面図である。図4に示すように本実施例の圧電素子は、上記第1の実施例同様、支持基板となるシリコン基板1上に、シリコン酸化膜(SiO2)からなる絶縁膜2を介して、圧電性を有する結晶配向方向が異なる圧電薄膜3aと圧電薄膜3bが形成されている。本実施例では、上記第1の実施例で説明した図1に示すようにスリット6a、6bのうち、図面横方向に延びるスリット6aのみを形成し、シリコン基板1の裏面側の一部を除去して形成された空孔8に連通させることで、シリコン基板1(支持基板)に圧電薄膜を含む層の両端が支持された両持ち梁構造とする点が相違する。
また、電極の配置も相違している。図4に示す実施例では、圧電薄膜3aの裏面側に電極4a1と電極4a2が形成されており、電極4a1は配線電極5aに接続している。電極4a2は、配線電極5aやその他の電極には接続せず、フローティング状態となっている。さらに圧電薄膜3bの表面側には、電極4b1と電極4b2が形成されており、電極4b1は、配線電極5aやその他の電極には接続せずフローティング状態となっており、電極4b2は配線電極5bに接続している。また、図4に示すように各電極の長さを設定することで、圧電薄膜3a、3bを挟んで配置された一対の電極4a1、4b1を備えた圧電素子C1、一対の電極4a2、4b1を備えた圧電素子C2、さらに一対の電極4a2、4bを備えた圧電素子C3が形成される。また、圧電素子C1と圧電素子C2は、電極4b1(対抗する電極と重なっていない延長部)によって直列接続し、圧電素子C2と圧電素子C3は電極4a2(対抗する電極と重なっていない延長部)によって直列接続している。その結果、配線電極5aと配線電極5bとの間に、圧電素子C1、C2およびC3が直列に接続した構成となる。なお電極および配線金属は、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等の金属薄膜で形成することができる。なお延長部により接続することで、圧電薄膜内にスルーホール等の圧電薄膜の変位に影響を与える接続手段を形成する必要がなく好ましい。
次に本発明の圧電薄膜の圧電性を示す結晶配向方向について説明する。本実施例の圧電薄膜は、図4に圧電性を有する結晶配向方向を矢印で示すように、圧電性を有する結晶配向方向が上向きの膜と下向きの膜を積み重ねた構造としている。具体的には、窒化アルミニウムからなる圧電薄膜3aの圧電性を示すc軸方位が下向きの場合、窒化アルミニウムからなる圧電薄膜3bの結晶配向であるc軸方位は上向きとする。あるいは逆であっても良い。
結晶配向の制御も、上記第1の実施例同様、周知の方法により行う。具体的には、窒素または酸素ガスを反応性ガスとして用いる反応性スパッタリング法によりウルツ鉱構造の窒化アルミニウムの薄膜を形成する場合、基板温度、スパッタリング圧力、窒素または酸素濃度、電力密度、膜厚を適宜設定することで、結晶配向性が良く、c軸方位の揃った成膜が可能となる。
さらにスパッタリング条件を変えることにより、c軸方位を180度変化させた窒化アルミニウム薄膜を積層生成することも可能である。
なお、c軸方位は図4に示すようにシリコン基板表面に対して垂直方向に揃える場合に限らず、垂直方向からずれていても良い。さらに、上向きのc軸方位と下向きのc軸方位は、相互に逆向きの方向であれば良く、図4に示すように180度異なる向きでなくても良い。当然ながら180度異なる場合に感度が最も高く、好ましいことは言うまでもない。
このように構成した圧電素子では、図5に示すように音響圧力信号が印加されると、圧電薄膜が上向きに変位し、圧電薄膜3a、圧電薄膜3bに引張応力と圧縮応力が発生する。また、圧電薄膜が下向きに変位する場合は、逆の応力が発生する。このとき横圧電効果によって、圧電薄膜の拡がり方向(図面横方向)の応力に対して、それに垂直な方向(図面上下方向)に電界が発生する。
圧電薄膜3a、3bはそれぞれ圧電性を有する結晶配向方向が上向きの膜と下向きの膜を積み重ねた構造としているため、圧電薄膜3aの圧縮応力による電界の向きと圧電薄膜3bの引張応力による電界の向きは同一となる。また圧電薄膜3aの引張応力による電界の向きと圧電薄膜3bの圧縮応力による電界の向きが同一となる。
図5に示す例では、音響圧力信号が印加されることで2つの変曲点が発生し、圧電薄膜に対する応力の向きによって3つの領域に分かれる。例えば、圧電薄膜が上向きに変位する場合、領域Aと領域Cでは下向きの凸状に湾曲変位し、圧電薄膜3aには引張応力が発生し、圧電薄膜3bには圧縮応力が発生する。一方領域Bでは、上向きの凸状に湾曲変位し、圧電薄膜3aには圧縮応力が発生し、圧電薄膜3bには引張応力が発生する。
領域Aにおいて2つの電極4a1、電極4b1間では、圧電薄膜3aでは引張応力が発生し、圧電薄膜3bでは圧縮応力が発生するから、圧電薄膜3aで発生する電界の向きは、圧電薄膜3bで発生する電界の向きと同一となる。これは、領域Cにおいて2つの電極4b2、4b1間に発生する電界の向きとも同一である。一方領域Bでは、2つの電極4a2、4b1間では、圧電薄膜3aでは圧縮応力が発生し、圧電薄膜3bでは引張応力が発生し、圧電薄膜3aで発生する電界の向きは、圧電薄膜3bで発生する電界の向きと同一となり、かつ領域A、領域Cで発生する電界の向きと逆向きとなる。
ところで先に説明したように圧電素子C1と圧電素子C2の接続は電極4b1を介しており、圧電素子C2と圧電素子C3の接続は電極4a2を介しているから、配線電極5aと配線電極5bとの間には、3つの圧電素子C1、C2およびC3で発生した電圧はすべて加算され出力されることになる。
このように本実施例の圧電素子は、圧電性を有する結晶配向方向が異なる(一方を上向き、他方を下向きとする)積層構造からなる圧電薄膜とすることで、圧電性を有する結晶配向方向が一方の向きとなる単層膜構造とした場合と比較して大きな出力信号が得られるという利点がある。
次に本発明の第3の実施例について説明する。上記第1、第2の実施例では、圧電薄膜3aと圧電薄膜3bを直接重ね合せた構造としているが、圧電特性を有しない誘電体膜を介した積層構造とすることも可能である。図6は、上記第2の実施例の圧電薄膜の積層構造を変更した本発明の第3の実施例の圧電素子の断面図である。圧電薄膜3aと圧電薄膜3bの間に誘電体膜9が積層した構造となっている。
誘電体膜9は、圧電特性を有しない誘電体から選択することで、積層構造の圧電薄膜に対して音響圧力信号等が印加されて変位する際に、圧縮応力あるいは引張応力の大きさが薄膜の厚さ方向の中央面に対して相対的に大きい薄膜の表面部分あるいは裏面部分のみに圧電薄膜を配置される構造とすることができる。その結果、印加される音響信号圧力に対する出力信号電圧の比(感度)の高い圧電素子を形成することができる。
ここで誘電体膜9としてシリコン酸化膜(SiO2)を選択すると、誘電体膜9の誘電損(損失角tanδ)を窒化アルミニウムからなる誘電体薄膜の誘電損より小さくすることができ、感度と信号雑音比の向上が期待され好ましい。
誘電体膜9を備える構造は、図2に示す片持ち梁構造の誘電体薄膜の積層構造に適用することも可能である。
以上、本実施例の圧電素子について説明したが、本発明は、圧電薄膜として窒化アルミニウムに限定されるものでない。例えば、代表的な圧電材料である窒化アルミニウム、窒化スカンジウムアルミニウム(Al1-xScxN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)について圧電型マイクロフォンの特性に影響を与えるヤング率、横圧電歪係数などの材料定数を表1に示す。
Figure 2018041788
表1に示す信号雑音比に対応する性能指数(FOM)は、結合係数(k31 2)と損失角(tanδ)の比で表され、その値が大きい程、その値にほぼ比例した形で信号雑音比の向上が期待できる。表1に示すように、酸化亜鉛及びチタン酸ジルコン酸鉛に比べると窒化アルミニウムは6〜40倍性能指数が大きく、圧電型トランスデューサに適した材料であることがわかる。また、窒化アルミニウムにスカンジウムを添加した窒化スカンジウムアルミニウム(Al1-xScxN)は、窒化アルミニウムより横圧電歪係数が向上することが知られており、例えば、スカンジウムの比率を35%にした場合、性能指数が窒化アルミニウムより7倍程度向上することが期待できる。さらにまた、クロム(Cr)などを点かした窒化アルミニウム等を用いることも可能である。
なお、各電極の大きさ等は信号雑音比を最大化する観点から最適化されることが望ましい。これは配線電極5a、5bから見た等価的キャパシタの容量をCoutとした場合に、この等価的キャパシタに蓄えられるエネルギー(Cout・Vout 2/2)を最大化するように各電極の大きさを決めればよい。また、誘電体膜の厚さや材質は、所望の特性を得るために適宜選択すれば良い。
一例として、スマートフォンに搭載する音響マイクロフォンとして用いることを想定し、両持ち梁構造で、共振周波数を20kHzとした場合、両持ち梁の長さが700μm、幅が1400μm、窒化アルミニウムからなる圧電薄膜のトータルの厚さが500nm、モリブデンからなる電極の厚さが100nm、電極4a1、4b2のうち圧電素子の電極として機能する部分の長さを90μm、電極4b1、4a2の長さを500μmとすれば良い。また、スリットの幅は1μmとする。圧電薄膜の間にSiO2からなる誘電体膜を備える構造とする場合には、各窒化アルミニウムの厚さを330nm、誘電体膜の厚さを540nmとし、トータルの膜厚を1.2μm以下とすれば、振動膜として好ましい。圧電薄膜として窒化スカンジウムアルミニウムの場合は、1.4μm以下であれば振動膜として好ましい。
圧電薄膜の振動により湾曲変位するとき、変位の変曲点が2以上となる場合には、上記実施例に限定されず、変曲点により区画される領域毎に圧電素子の数を増やしたり、各領域に複数の素子を配置するようにしても良い。
1:シリコン基板、2:絶縁膜、3a、3b:圧電薄膜、4a1、4a2、4b1、4b2:電極、5a、5b:配線電極、6a、6b:スリット、7:配線金属、8:空孔、9:誘電体膜

Claims (4)

  1. 支持基板上に積層された圧電薄膜と、該圧電薄膜を挟んで配置された一対の電極とを備えた横圧電効果を利用した圧電素子において、
    前記圧電薄膜は、少なくとも第1の圧電薄膜と第2の圧電薄膜を含む積層構造からなり、前記第1の圧電薄膜と前記第2の圧電薄膜のそれぞれの圧電性を示す結晶配向方向が、一方が上向きのとき、他方は下向きであることを特徴とする圧電素子。
  2. 請求項1記載の圧電素子において、
    前記圧電薄膜は前記支持基板に両端が固定されていることと、
    前記圧電薄膜の一部を挟んで配置する前記一対の電極を複数組備え、少なくとも第1の圧電素子、第2の圧電素子および第3の圧電素子が形成されていることと、
    前記第1の圧電素子、前記第2の圧電素子および前記第3の圧電素子は、前記両端の一端側から他端側へ順に並べて配置されていることと、
    前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子、前記第2の圧電素子と前記第3の圧電素子は、前記圧電素子の電極から連続する延長部により直列接続されていることを特徴とする圧電素子。
  3. 請求項1または2いずれか記載の圧電素子において、前記第1の圧電薄膜と前記第2の圧電薄膜の間に、圧電効果を有しない誘電体膜が積層されていることを特徴とする誘電体素子。
  4. 請求項1乃至3いずれか記載の圧電素子において、前記圧電薄膜は、音響圧力によって振動する膜であることを特徴とする圧電素子。
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