JP6867790B2 - 圧電型memsマイクロフォン - Google Patents

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Description

本発明は圧電型MEMSマイクロフォン、特に小型のパッケージ実装に適した高感度・低雑音の圧電型MEMSマイクロフォンに関する。
従来から、例えば巨大な需要のあるスマートフォンには、小型で薄くかつハンダフロー時の高温処理耐性を有するMEMS(Micro Electro Mechanical System)マイクロフォンが多く使われている。
図9(A),(B)には、従来のMEMSマイクロフォンの概略構成が示されており、図9(A)はトップポート型であり、この図の符号1は、パッケージの基板、2は蓋、3は蓋に開けられた開口(ポート)、4はMEMS音響トランスデューサ、5はASIC(特殊用途半導体集積回路)であり、100はバックキャビティである。
図9(B)はボトムポート型であり、この場合は、基板1側に開口6が設けられている。このボトムポート型では、上記基板1の開口6、トップポート型では、上記蓋2の開口3が音響信号圧力の入力ポートとなり、音響トランスデューサ4(振動板部分)を挟んでこれら開口3,6の反対側の閉空間がバックキャビティとなる。上記ASIC5は、アナログ増幅回路、バイアス電圧回路或いはアナログディジタル変換回路等を含んでおり、一般的なMEMSマイクロフォンは、MEMS音響トランスデューサ4とASIC5を小型のパッケージに実装した構成とされる。
このようなマイクロフォンによれば、トップポート型は蓋側の開口3から、ボトムポート型は基板側の開口6から入力された音響信号圧力が音響トランスデューサ4で捉えられ、この音響トランスデューサ4の中の振動板の振動が電気信号に変換されており、その後、ASIC5で処理された信号が出力される。
A. Dehe, M. Wurzer, M. Fuldner and U. Krumbein, "The Infineon Silicon MEMS Microphone," AMA Conferences 2013−SENSOR 2013, OPTO 2013, IRS 2 2013, pp.95−99, 2013. R. Littrell* and K. Grosh,"Noise minimization in micromachined piezoelectric microphones,"21st Int. Congress on Acoustic(ICA), 2pEAa3, 2013.
ところで、上記音響信号圧力が入力された音響トランスデューサ4の反対側閉空間であるバックキャビティ100では、音響トランスデューサ4の振動板の振動に応じで閉じ込められた空気が圧縮・膨張させられるため、音響的コンプライアンスとして働くことになる。
図9(C)に、マイクロフォンの音響等価回路を単純化したものが示されている。
図において、入力音響信号圧力Pain は、振動板の音響コンプライアンスCm とバックキャビティの音響コンプライアンスCbcによって分圧され、振動板に印加される実効音響信号圧力Pamは、次の数式1で表される。
Pam = Cbc/(Cm +Cbc)×Pain … (1)
この数式(1)において、音響コンプライアンスCm が大きいと、実効音響信号圧力Pamは小さくなり、音響トランスデューサ4の実効感度や信号雑音比等のマイクロフォンにとって主要な特性を劣化させる原因となることは知られている(非特許文献1)。
特に、バックキャビティ100の音響コンプライアンスはその容積に比例するため、ボトムポート型[図9(B)]に比べてバックキャビティ容積の小さいトップポート型[図9(A)]の特性の大きな制限要因となっている。また、トップポート型ではバックキャビティ100の容積がMEMSの基板(シリコン基板)1の厚みに比例するため、基板1を薄板化することを困難にしている。
また、ボトムポート型においても、パッケージを小型薄型化しようとすると、バックキャビティ100の容積が小さくなるため、マイクロフォンの特性が犠牲となる。
以上のように、MEMSマイクロフォンでは、音響的制約からパッケージの小型薄型化が制限されているのが現状である。
一方、MEMSマイクロフォンの主な市場であるスマートフォンでは部品に対する小型薄型化の要求は年々厳しくなっている。近年注目されているスマートウオッチ等のウェアラブル端末市場では、スマートフォン以上の小型薄層化が求められているのは言うまでもない。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、バックキャビティの容積を小さくすると、マイクロフォンの実質的な特性が劣化するという不都合を解消し、小型薄型のパッケージ実装に適した高感度・低雑音の圧電型MEMSマイクロフォンを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る圧電型MEMSマイクロフォンは、音響信号圧力を圧電効果により電気信号に変換するセンス用圧電膜及びドライブ用圧電膜を含む振動板、この振動板により生じた電気信号を出力するためのセンス電極、電気信号によって上記振動板に振動を付加するためのドライブ電極を有し、サポート膜の上に、ドライブ電極膜、上記ドライブ用圧電膜、基準電位を与えるリファレンス電極膜、上記センス用圧電膜、及びセンス電極膜を順に積層配置するMEMS音響トランスデューサと、上記センス電極から出力された電気信号を増幅する増幅回路と、を含み、上記増幅回路で増幅した信号を上記ドライブ電極に帰還させることにより、音響信号圧力による上記振動板の振動を抑制することを特徴とする
請求項の発明は、検出域を複数の領域に分割し、それぞれの領域に、音響信号圧力を圧電効果により電気信号に変換するセンス用圧電膜及びドライブ用圧電膜を設けた振動板、この振動板により生じた電気信号を出力するためのセンス電極、電気信号によって上記振動板に振動を付加するためのドライブ電極を有し、分割領域のそれぞれのサポート膜の上に、ドライブ電極膜、上記ドライブ用圧電膜、基準電位を与えるドライブ用リファレンス電極膜、絶縁層となる誘電体膜、直列接続用のセンス用リファレンス電極膜、上記センス用圧電膜、及びセンス電極膜を順に積層配置し、この分割領域間の上記センス電極膜と上記センス用リファレンス電極膜の接続により、複数の分割領域を直列に接続して重畳した電気信号を出力するMEMS音響トランスデューサと、上記複数の分割領域から出力された上記重畳した電気信号を増幅する増幅回路と、を含み、上記増幅回路で増幅した信号を上記ドライブ電極に帰還させることにより、音響信号圧力による上記振動板の振動を抑制することを特徴とする。
以上の構成によれば、音響信号圧力による振動板の振動が電気信号に変換され、この電気信号がセンス電極膜から出力されており、この電気信号を増幅回路で増幅してドライブ電極膜に帰還させると、音響信号圧力による振動に対して逆位相となる振動がドライブ用圧電膜から付加され、実効的に振動板の振動を(振幅)を抑制することが可能となる。
即ち、振動板の音響コンプライアンスCm は、音響信号圧力Pamを受けた振動板により変位したバックキャビティの容積をΔVとすると、
Cm = ΔV/Pam … (2)
で表される。
この数式(2)で分かるように、振動板の振動を抑制することにより容積ΔVを小さくすれば、振動板の音響コンプライアンスCm が小さくなり、上記数式(1)では、振動板の音響コンプライアンスCm をバックキャビティの音響コンプライアンスCbcに対して十分に小さく抑えることができ、その結果、上記数式(1)で表される実効音響信号圧力Pamをバックキャビティ容積に関わらず入力音響信号圧力Pain に略等しくすることが可能となる。
本発明によれば、バックキャビティの容積を小さくすると、マイクロフォンの実質的な特性が劣化するという不都合を解消することができ、小型薄型のパッケージ実装に適した高感度・低雑音の圧電型MEMSマイクロフォンを実現することが可能となる。
本発明の圧電型MEMSマイクロフォンの基本的な原理を示す図である。 第1実施例の圧電型MEMSマイクロフォンの具体的な構成(帰還回路)を示す図(音響トランスデューサ部分は図2bのA−A断面図で一部をハッチングしたもの)である。 第1実施例の音響トランスデューサ部分の平面図である。 第1実施例の動作原理を示す説明図である。 第2実施例の圧電型MEMSマイクロフォンの具体的な構成(帰還回路)を示す図(一部の断面をハッチングしたもの)である。 第2実施例の音響トランスデューサ部分の平面図である。 第1実施例における振動板音響コンプライアンスの圧電膜厚依存性を示すグラフ図である。 第1実施例(圧電膜として窒化アルミニウムを使用した場合)の信号雑音比のバックキャビティ容積依存性を示すグラフ図である。 第1実施例(圧電膜として窒化スカンジウムアルミニウムを使用した場合)の信号雑音比のバックキャビティ容積依存性を示すグラフ図である。 第1実施例における信号雑音比の増幅回路利得幅依存性を示すグラフ図である。 従来のMEMSマイクロフォンの実装形態[図(A),(B)]と簡略化した音響等価回路[図(C)]を示す図である。
図1に、本発明の圧電型MEMSマイクロフォンの基本原理が示されており、図において、符号11は複数の圧電膜を持つ振動板、12はセンス電極、13はドライブ電極、14は増幅回路である。
上記の振動板11は、例えばセンス電極側から入力される音響信号圧力によって振動変位し、その機械的振動がセンス電極12で電気信号(センス信号)に変換される。この音響信号を電気信号に変換する部分が音響トランスデューサと呼ばれている部分であり、MEMS製造技術を用いて例えばシリコン基板上に作製される。
そして、上記センス電極12から出力されたセンス信号は、増幅回路14で増幅される。一般に、音響トランスデューサで変換された電気信号は、等価的出力インピーダンスが高く信号強度が小さいため、本発明では、増幅回路14によりインピーダンス変換すると共に、増幅したドライブ信号を発生させ、ドライブ電極13に帰還させる。このドライブ信号をドライブ電極13に印加すると、音響(機械)電気変換の逆変換によって振動板11に音響信号圧力と逆位相の機械的な抗力、即ち音響信号圧力が振動板11を変形させる力を相殺する力が与えられる。図1では、増幅回路14において、振動板11の変形を相殺する力を与えるように、その極性及び増幅利得を選定することになる。
このようにして、所謂、負帰還の原理によりセンス信号を、概ねループ利得(増幅回路14の利得だけでなく音響電気変換利得も考慮)分の1まで抑制することとなる。結果として、振動板11の振動は抑制され、数式(2)で規定される振動板11の音響コンプライアンス(Cm )をバックキャビティの音響コンプライアンス(Cbc)に対して十分小さく保つことができる。そのため、バックキャビティの容積を小さくしても感度や信号雑音比といったマイクロフォンの基本的特性を劣化させることがなく、マイクロフォンを小型薄型化したパッケージに実装することが可能となる。なお、MEMSマイクロフォンの出力としては、増幅回路14からの出力(ドライブ電圧信号)を用いるが、この際には、外部に取り出すためのバッファ回路やディジタル信号として取り出すためのアナログディジタル変換回路を付加してもよい。
図2aに、第1実施例の具体的な構成(音響トランスデューサ部分は図2bのA−A断面図)、図2bに、音響トランスデューサ部分の構成(上面から見た図)が示され、下記の表1には、各種の圧電膜材料の特性、性能が示されている。
図2aにおいて、符号21aはセンス用圧電膜(薄膜)、21bはドライブ用圧電膜(薄膜)、22はセンス電極膜(薄膜)、23はドライブ電極膜(薄膜)、25はサポート膜(誘電体薄膜)、26は、基準電位(接地50)に接続されるリファレンス電極膜(薄膜)であり、上記センス電極膜22、上記センス用圧電膜21a、リファレンス電極膜26、ドライブ用圧電膜21b、ドライブ電極膜23及びサポート膜25で振動板が構成される。27はシリコン(Si)基板である。この音響トランスデューサは、シリコン基板27に上記の各部材を順に積層して、MEMS製造技術を用いて製造される。
上記の圧電膜21a,21bは、下記の表1に示されるように、例えば窒化アルミニウム(AIN)膜を用い、電極膜22,23としては例えばモリブデン(Mo)膜を用いている。なお、上記窒化アルミニウムとしたセンス用圧電膜21aとドライブ用圧電膜21bとの結晶配向(圧電極性)は同一向きである。サポート膜25としては、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等の誘電体薄膜、或いは圧電膜と同じ窒化アルミニウムを用いる。また、このサポート膜25は、シリコン薄膜を用いてもよく、その場合には不純物をドーピングして導電性としてドライブ電極膜と兼用することも可能である。
図2bにも示されるように、この音響トランスデューサは、振動板(21a,21b,25)の下方の基板27の中心部に、バックキャビティ又は音響信号圧力の入力ポートとなる貫通孔(下部空間)200が形成されると共に、振動板の中央部に梁間ギャップ(切込み部)Gが形成されることにより、左右端の1辺で支持(3辺は開放)された片持ち梁構造となる。なお、実施例の振動板は、対向する2枚の長方形体から構成されているが、1辺が支持固定された複数の3角形や多角形、或いは円形の支持固定外周を持つ複数のくさび形から構成されていてもよい。
また、上記センス電極膜22のセンス信号を入力する増幅回路24が配置され、この増幅回路24の出力信号は、ドライブ信号としてドライブ電極膜23に帰還される。この増幅回路24は、ASIC(特殊用途シリコン半導体集積回路)の中に組み込まれ、このASICと上記音響トランスデューサは、図9(A),(B)に示すような小型パッケージに混載実装される。
このような第1実施例によれば、音響信号圧力によって振動板が振動することで、圧電効果によりセンス電極膜22からセンス信号が出力される。このセンス信号を、増幅回路24によって増幅してドライブ信号としてドライブ電極膜23に帰還することにより、ドライブ用圧電膜21bを介して逆圧電効果により機械的力が振動板に付加され、振動板の振動(振幅)が抑制される。
図3を用いて実施例の動作原理を説明する。
図3の上方から音響信号圧力が加わり、片持ち梁構造の振動板(圧電膜21a,21b及びサポート膜25)が下方(上に凸)に湾曲した場合を考える。図のE1 の部分に示されるように、振動板(梁)の上半分(圧電膜21a,21bを含む部分)には引張応力、下半分(サポート膜25)には圧縮応力が印加され、振動板の中心付近には応力の掛からない面(仮に芯面sとする)が存在する。なお、2層の圧電膜21a,21bはこの芯面sより上部に形成される。また、芯面sの高さ方向の位置は、振動板を構成する材料のヤング率等の材料力学的定数や膜厚によって異なるが、サポート膜25を同じ窒化アルミニウムで構成し、電極膜22,23,26の膜厚を無視した簡単な場合には、全体の厚さの中心面となる。
上述のように、2層の窒化アルミニウムの圧電膜21a,21bには、引張応力が発生し、この引張応力のとき、センス電極膜22に圧電効果により負の電圧が発生するように窒化アルミニウム薄膜の結晶方位(圧電特性)を選択(c軸を基板に対して垂直で上向きに)選択する。
そして、発生したセンス電圧を増幅回路24で反転増幅し、ドライブ電極膜23に帰還すると、ドライブ用圧電膜21bには逆圧電効果によって縮もうとする作用が働き、振動板を上方(下に凸)に湾曲させようとする。
上記ドライブ用圧電膜21bは、センス用圧電膜21aとサポート膜25で挟まれているため、図3のE2 で示されるように、ドライブ用圧電膜21bには引張応力、センス用圧電膜21aとサポート膜25にはその反作用として圧縮応力が発生する。即ち、帰還されたドライブ電圧によって、センス用圧電膜21aに音響信号圧力による引張応力とは逆の圧縮応力が発生し、増幅回路24の利得を十分大きく取っておくと、センス信号が発生しない(仮想接地)ように両応力はセンス電極領域の平均値として相殺される。同時に、振動板には音響信号圧力による湾曲(下向き)と逆方向に湾曲(上向き)させようとする回転モーメントが働くため、振動板の変位は抑えられ、音響コンプライアンス(Cm )が小さくなる。但し、音響コンプライアンスを十分小さくするためには、センス電極膜22の支持端からの延伸長(梁の長さLに対してαL)、ドライブ用圧電膜21bの膜厚(振動板のトータル厚2Hに対してβH)及びセンス用圧電膜21aの膜厚(γH)を慎重に選定する必要がある。
一つの代表的な設計例は、以下のようになる。但し、サポート膜25は圧電膜21a,21bと同じ窒化アルミニウムで構成し、電極膜22,23の膜厚を無視して近似解析したものとする。
例えば、片持ち梁構造の振動板において、支持端からの長さ(延伸長L)を350ミクロン、幅を1400ミクロンとしたものを対向させて設置し、振動板の膜厚(2H)を1.68ミクロン(H=0.84ミクロン)としてその共振周波数を約20kHzに設定する。上記センス電極膜22の延伸長(αL)は、信号雑音比最適化の観点から154ミクロン(α=0.44)で固定する。
図5には、ドライブ用圧電膜21bの膜厚をパラメータにしてセンス用圧電膜21aの厚みを変化させたときの振動板の音響コンプライアンスの変化の計算値が示されており、図5に示されるように、例えばドライブ用圧電膜厚を0.33ミクロン(β=0.4)とした場合は、センス用圧電膜厚を同じく0.33ミクロン(γ=0.4)にすると、音響コンプライアンスを略0にすることができる。
図6には、上記の条件で増幅回路24の利得を無限大として、従来構造と実施例構造の場合とで、信号雑音比のバックキャビティ容積依存性を計算したものが示されている。なお、比較対象の従来構造においても、実施例と同じサイズの片持ち梁として窒化アルミニウムを用い、振動板厚中心面(芯面s)にリファレンス電極を設けると共に、圧電膜の最上面及び最下面にそれぞれセンス電極を上記最適延伸長として配置した(膜厚は0.33ミクロン)。
図6に示されるように、従来構造ではバックキャビティ容積を小さくするにつれて信号雑音比は急速に劣化する。これに対して、実施例構造では、信号雑音比はバックキャビティ容積を減少させても、略一定に保つことができる。従来構造は、センス電極が2倍になっているため、バックキャビティ容積が大きい所では、実施例構造より約3dB、信号雑音比が大きくなっており、ボトムポート型の標準的なバックキャビティ容積3mmの場合には従来構造の方が僅かによい。
また、両特性線は2.5mmでクロスし、MEMSトランスデューサの開口部がバックキャビティとなるトップポート型ではバックキャビティ容積(シリコン基板厚≒0.6mm)は約0.6mmとなり、実施例構造の方が約5.6dB優れる結果となった。シリコン基板27の層厚を更に薄層化すると、両者の優劣はさらに顕著になり、実施例構造がMEMSマイクロフォンの小型薄層化を進めるのに適した構造であることが分かる。当然のことながら、圧電型MEMSマイクロフォンの特性は圧電材料の特性によって異なる。
表1に、代表的な圧電材料である窒化アルミニウム(AlN)、窒化スカンジウムアルミニウム(AIx-1ScN)、酸化亜鉛(ZnO)及びチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)について、マイクロフォン特性に影響を与えるヤング率、横圧電歪係数等の材料定数を比較したものを示す。
Figure 0006867790
表1に示されるように、信号雑音比に対応した性能指数(FOM)は、結合係数(k31 )と損失角(tanδ)の比で表され、この性能指数が大きい程、これに略比例した形で信号雑音比の向上が期待できる。酸化亜鉛やチタン酸ジルコン酸鉛に比べると窒化アルミニウムは6〜40倍性能指数が大きく、圧電型MEMSマイクロフォンには適した材料である。また、窒化アルミニウムにスカンジウムを添加した窒化スカンジウムアルミニウム(AIx-1ScN)では、窒化アルミニウムより横圧電歪係数が向上することが知られている。例えば、スカンジウムの比率を35%にした場合、性能指数が7倍程度向上することが期待できる。
図7に、圧電膜(21a,21b)として、窒化スカンジウムアルミニウム(AIx-1ScN:x=0.35)を用いた場合の信号雑音比のバックキャビティ容積依存性の計算結果(図6に対応した形)が示されている。平面寸法は、図6の値と同様であるが、振動板の共振周波数を20kHzにするため、窒化スカンジウムアルミニウムのトータル膜厚を1.86ミクロンと厚くし、α,β,γのパラメータは上記の値と同一とした。
図7に示されるように、この場合は、バックキャビティ依存性は定性的には図6と同様であるが、信号雑音比の絶対値が約8dB改善する。
図8には、上記窒化スカンジウムアルミニウムを用いた場合の信号雑音比の増幅回路24の利得依存性を計算した結果が示されており、これは、バックキャビティ容積が上記の0.6mmの場合と、基板27を100ミクロン以下まで薄層化した0.1mmの場合の2つの例を比較したものである。図8から、前者の0.6mmの場合は、利得50dB以上、後者の0.1mmの場合でも、利得67dB以上にすれば、信号雑音比の劣化を1dB以下に抑えられることが分かる。
また、第1実施例のドライブ電圧は、例えば44mV/Pa(−27dBV/Pa)となる。ところで、等価的ドライブ電圧出力抵抗(ドライブ電圧の出力インピーダンス、ドライブ電極膜23の抵抗及びリファレンス電極膜26の抵抗の総和)とドライブ電極容量の積で規定される時定数の逆数に比例する高周波領域遮断周波数(ドライブ電圧遮断周波数)をマイクロフォンに要求される帯域より大きくする必要がある。例えば、マイクロフォンの帯域を10kHzとし、ドライブ電圧遮断周波数を20kHzとした場合、等価的ドライブ電圧出力抵抗を45kΩより小さくする必要がある。この場合のドライブに要する消費電力は、要求される120dBSPLの音響信号圧力において消費電力は17μWと小さく、実用上問題とならない。
図4aに、第2実施例の音響トランスデューサの構成(図4bの振動板の左側部分の断面図)、図4bに、音響トランスデューサ部分の構成(平面図)が示されている。第2実施例は、第1実施例と同様な長方形の振動板(片持ち梁構造)を対向して配置したものであるが、図4bに示されるように、左右の振動板の上側のセンス域を領域I〜IVに分割し、合わせて8つの領域を設け、隣接するセンス域間でセンス電極膜とリファレンス電極膜を直列に接続することで、センス電圧が重畳するように構成する。
図4aにおいて、上側から符号の32はセンス電極膜、31aはセンス用圧電膜、36aは基準電位が与えられるセンス用リファレンス電極膜、38は絶縁膜(誘電体薄膜)、36bは基準電位(接地50)に接続されるドライブ用リファレンス電極膜、31bはドライブ用圧電膜、33はドライブ電極膜、35はサポート膜であり、これらは、図2aの場合と同様に、振動板としてシリコン基板上に順に積層配置され、MEMS製造技術を用いて製作される。上記センス電極膜32、センス用圧電膜31a及びセンス用リファレンス電極膜36aがセンス域、ドライブ電極膜33、ドライブ用圧電膜31b及びドライブ用リファレンス電極膜36bがドライブ域となる。
図4bにおいて、37はシリコン基板、200はこのシリコン基板37に形成された貫通孔(下部空間)、40aはセンス信号出力パッド、40bはセンス用リファレンスパッド、41a〜41eは配線である。第2実施例では、図4aで説明したセンス域が8分割されており、センス信号出力パッド40aに配線41aを介して領域Iの左側のセンス電極膜32を接続し、この領域Iのセンス用リファレンス電極膜36aに配線41bで領域IIのセンス電極膜32を接続するというようにして、8領域間のセンス用リファレンス電極膜36aとセンス電極膜32を配線41b〜41dで順に直列接続し、領域1の右側のセンス用リファレンス電極膜36aに配線41eを介してセンス用リファレンスパッドを接続し、最終的にはセンス信号出力パッド40a及びセンス用リファレンスパッド40bを介して増幅回路(24)を振動板に接続する。なお、ドライブ電極膜33、ドライブ用圧電膜31b及びドライブ用リファレンス電極膜36bからなるドライブ域は、分割される必要はなく、第1実施例と同様となっている。
また、上記センス用圧電膜31a、ドライブ用圧電膜31bとしては、例えば窒化アルミニウム膜や窒化スカンジウムアルミニウム膜、上記センス電極膜32、ドライブ電極膜33としては、モリブデンを用いる。窒化アルミニウム膜を用いる場合は、両圧電膜31a,31bの結晶配向(圧電極性)は同一向きとする。第1実施例と同様に、サポート膜35及び絶縁膜38としては、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等の誘電体膜又は窒化アルミニウムを用い、サポート膜35としてシリコン薄膜を用いる場合は、不純物をドーピングして導電性としてドライブ電極膜31bと兼用することも可能である。
第2実施例の音響トランスデューサにおいても、基板37の中心部に貫通孔200が形成され、振動板の中央部には梁間ギャップGが設けられることにより、左右端の1辺で保持された片持ち梁構造となる。なお、振動板は、1辺が支持固定された複数の3角形や多角形、或いは円形の支持固定外周を持つ複数のくさび形から構成されていてもよい。
第2実施例によれば、センス電圧を重畳加算して8倍(18dB)大きくすることができ、増幅回路(24)の入力換算雑音や利得に対する要求条件を緩和することができる。例えば、図8に示した増幅回路に要求される利得を18dB緩和することが可能となる。
また、第1実施例と同様に、センス電極膜32の延伸長、センス用圧電膜厚とドライブ用圧電膜厚を慎重に選定すると、振動板の音響コンプライアンス(Cm )をバックキャビティ(例えば200)の音響コンプライアンス(Cbc)に比べて無視できる程度まで低く抑えることが可能で、信号雑音比や感度を損なうことなくバックキャビティ容積を小さくすることができる。
なお、上記実施例では、片持ち梁構造の振動板の例を示したが、両端が基板に支持固定された両持ち梁構造の振動板や外周が基板に支持固定された円板状の振動板の構造に上記実施例を敷衍して、小型薄型のパッケージ実装に適した高感度・低雑音の圧電型MEMSマイクロフォンを制作することができる。
また、実施例では、センス用圧電膜31a、ドライブ用圧電膜31bを1つずつ配置したが、それぞれの圧電膜を上下方向で複数設けるようにしてもよい。
5…ASIC(特殊用途半導体集積回路)、
11…振動板、 12…センス電極、
13…ドライブ電極、 14,24…増幅回路、
21a,31a…センス用圧電膜、
21b,31b…ドライブ用圧電膜、
22,32…センス電極膜、
23,33…ドライブ電極膜、
25,35…サポート膜、 26…リファレンス電極膜、
27,37…シリコン基板、
36a…センス用リファレンス電極膜、
36b…ドライブ用リファレンス電極膜、
38…絶縁膜(誘電体膜)、
40a…センス信号出力パッド、
40b…センス用リファレンスパッド、
41a〜41e…配線、
200…貫通孔。

Claims (2)

  1. 音響信号圧力を圧電効果により電気信号に変換するセンス用圧電膜及びドライブ用圧電膜を含む振動板、この振動板により生じた電気信号を出力するためのセンス電極、電気信号によって上記振動板に振動を付加するためのドライブ電極を有し、サポート膜の上に、ドライブ電極膜、上記ドライブ用圧電膜、基準電位を与えるリファレンス電極膜、上記センス用圧電膜、及びセンス電極膜を順に積層配置するMEMS音響トランスデューサと、
    上記センス電極から出力された電気信号を増幅する増幅回路と、を含み、
    上記増幅回路で増幅した信号を上記ドライブ電極に帰還させることにより、音響信号圧力による上記振動板の振動を抑制することを特徴とする圧電型MEMSマイクロフォン。
  2. 検出域を複数の領域に分割し、それぞれの領域に、音響信号圧力を圧電効果により電気信号に変換するセンス用圧電膜及びドライブ用圧電膜を設けた振動板、この振動板により生じた電気信号を出力するためのセンス電極、電気信号によって上記振動板に振動を付加するためのドライブ電極を有し、分割領域のそれぞれのサポート膜の上に、ドライブ電極膜、上記ドライブ用圧電膜、基準電位を与えるドライブ用リファレンス電極膜、絶縁層となる誘電体膜、直列接続用のセンス用リファレンス電極膜、上記センス用圧電膜、及びセンス電極膜を順に積層配置し、この分割領域間の上記センス電極膜と上記センス用リファレンス電極膜の接続により、複数の分割領域を直列に接続して重畳した電気信号を出力するMEMS音響トランスデューサと、
    上記複数の分割領域から出力された上記重畳した電気信号を増幅する増幅回路と、を含み、
    上記増幅回路で増幅した信号を上記ドライブ電極に帰還させることにより、音響信号圧力による上記振動板の振動を抑制することを特徴とする圧電型MEMSマイクロフォン。
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