JP2018040653A - 熱伝導率測定方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定試料の種類に拘らず設備の大型化を招くことなく、測定時間の短縮化と測定の高精度化とを両立することができる熱伝導率測定方法及びその装置を提供する。
【解決手段】測定試料Sを過渡的に加熱するセラミックヒータ22と、処理装置3と、均等間隔xに配置された温度センサ24a〜24dを設け、処理装置3が、隣り合う温度センサ24a〜24dの温度変化を差分した第1減衰特性Y1〜Y3を微分した第2減衰特性Z1〜Z3のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性Z1に隣接し且つピーク値が1未満の第2減衰特性Z2に対応した温度センサ24b,24cを代表測定領域Rに設定する代表測定領域設定部33と、代表測定領域Rに対応した第1減衰特性Y1の減衰時間Δtと温度低下値ΔTによる温度勾配係数Aを用いて熱容量Cを演算する熱容量演算部35と、減衰時間Δtと温度低下値ΔTを用いて熱伝導率λを演算する熱伝導率演算部36を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、測定試料の一端側部分を加熱手段により過渡的に加熱した後、測定試料の一端側部分よりも他端側の測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率を演算する熱伝導率測定方法及びその装置に関する。
近年、電子部品や電子機器等の分野では処理速度の高速化及び高集積化が推進され、また、モータ等の駆動機器の分野では駆動速度の高速化が推進されている。これに伴い、各ディバイスから発生する熱量が従前に比べて増大傾向にあり、熱劣化等によるディバイスの不具合が緊急に解決すべき問題となっている。
それ故、耐熱性や稼動効率を向上するため、各ディバイスが保有している熱的特性、所謂熱物性の十分な活用が不可欠であり、ディバイス固有の熱物性値である熱伝導率についての高精度な測定方法の確立が求められている。
熱伝導率とは、単位厚さの板材の両端に単位温度の差が有るとき、その板材の単位面積に単位時間当たりに流れる熱流量である。
通常、熱伝導率の測定には、一定の温度勾配を長時間測定試料に与えて測定する定常法と、過渡的な熱流量を測定試料に与えて測定する非定常法とが存在している。
定常法は、保護熱板法(GHP法)や同心円筒比較法等に代表され、一次元軸方向又は径方向の定常熱流により測定試料中に一定の温度分布が形成された定常状態を作り出してフーリエの法則に基づき測定試料の測定値から熱伝導率を直接的に測定する方法である。
この定常法は、熱絶縁体を含む全ての材料に適用でき、測定試料から熱伝導率を直接測定することができる。
非定常法は、レーザーフラッシュ法や熱線法等に代表され、面又は線にパルス的(過渡的)又は交流的な温度変化を与えた上で、方程式に初期条件と境界条件を用いて熱拡散率を演算し、既知の測定試料の比熱と密度を熱拡散率に積算することにより熱伝導率を間接的に測定する方法である。
この非定常法は、測定試料内における温度分布の定常性を問わないので、測定試料を小型化(小さく且つ薄く)することができ、測定時間の短縮化を図ることができる。
特許文献1の熱伝導率測定方法は、界面の伝熱抵抗及び熱伝導率を考慮して予め定めた複数の伝熱特性を有するガーネ・ルーリ(Gurney-Lurie)線図を備え、断熱材で全周を覆われた測定試料の一端部をパルス的に加熱すると共に他端部の温度変化特性を求め、複数の伝熱特性内から温度変化特性値が一致する特性値を備えた代表伝熱特性を特定し、特定された代表伝熱特性に基づいて熱拡散率を算出した後、この熱拡散率から熱伝導率を測定している。これにより、測定試料の小型化、設備の簡略化及び測定時間の短縮化を図っている。
特公平6−38071号公報
定常法では、現実の測定試料の熱物性から直接的に熱伝導率を測定することができるものの、測定試料が一定の温度分布を形成した定常状態になるまでに時間が掛かり、測定試料自体も一定以上の容積が必要であるため、測定設備が大型化する虞がある。
一方、非定常法では、熱拡散率を介して間接的に熱伝導率を演算するため、測定試料に与える熱量や温度勾配、温度の時間変化の測定に関する不確実性や、熱損出や輻射等の外部要因による1次元性の乱れに起因する不確実性を含むことから、正確な測定試料の温度依存性の測定を期待することが難しい。
また、測定試料は、均質で緻密な物性であることが要求され、採用した測定処理態様に適した形状に加工或いは調整する必要があるため、複合材料、積層材料、複合部材からなるディバイス(所謂モジュール)の熱伝導率測定には適していない。
特許文献1の熱伝導率測定方法は、ガーネ・ルーリ線図を用いることにより設備の簡略化や測定時間の短縮化等を図ることが可能である。
しかし、特許文献1の技術では、前述のように熱拡散率を介して間接的に熱伝導率を演算する上、比較モデルとしてガーネ・ルーリ線図により予め定められた複数の伝熱特性を用いることから、精度の高い熱伝導率の測定値を期待することができない虞がある。
また、断熱材で覆われた測定試料の一端部をパルス的に加熱して他端部の温度変化特性を求めているため、モジュールの熱伝導率を測定する場合、設備が大型化する虞もある。
本発明の目的は、測定試料の種類に拘らず設備の大型化を招くことなく、測定時間の短縮化と測定の高精度化とを両立することができる熱伝導率測定方法及びその装置等を提供することである。
請求項1の熱伝導率測定方法は、測定試料の一端側部分を加熱手段により過渡的に加熱した後、前記測定試料の一端側部分よりも他端側の測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率を演算する熱伝導率測定方法において、前記測定部分に他端側方向に均等間隔に配置された3以上の温度測定部の前記熱伝導率の測定時間内における温度変化を夫々検出する温度変化検出ステップと、隣り合う温度測定部の温度変化を差分した第1減衰特性を夫々微分することにより前記第1減衰特性毎の第2減衰特性を演算する減衰特性演算ステップと、前記第2減衰特性のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度測定部を代表測定領域に設定する代表測定領域設定ステップと、前記代表測定領域に対応した第1減衰特性においてピーク時から測定終了時までの減衰時間とピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値とを演算する代表特性演算ステップと、前記減衰時間と温度低下値とによる温度勾配係数を用いて前記測定試料の熱容量を演算する熱容量演算ステップと、前記熱容量演算ステップによって演算された熱容量と減衰時間と温度低下値を用いて熱伝導率を演算する熱伝導率演算ステップと、を有することを特徴としている。
この熱伝導率測定方法では、隣り合う温度測定部の温度変化を差分した第1減衰特性を夫々微分することにより前記第1減衰特性毎の第2減衰特性を演算する減衰特性演算ステップと、前記第2減衰特性のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度測定部を代表測定領域に設定する代表測定領域設定ステップを有するため、断熱材等を必要とすることなく、加熱手段からの輻射や測定試料自身からの放射等の外部要因の影響を受けない測定試料の正確な温度依存性を反映した代表測定領域を設定することができる。
前記代表測定領域に対応した第1減衰特性においてピーク時から測定終了時までの減衰時間とピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値とを演算する代表特性演算ステップと、前記減衰時間と温度低下値とによる温度勾配係数を用いて前記測定試料の熱容量を演算する熱容量演算ステップとを有するため、単位時間に測定試料内を進む温度速度である温度勾配係数を演算でき、この温度勾配係数を用いて測定試料の熱容量を演算することができる。また、前記熱容量演算ステップによって演算された熱容量と減衰時間と温度低下値を用いて熱伝導率を演算する熱伝導率演算ステップを有するため、温度勾配係数の演算に用いた減衰時間と温度低下値とを用いて熱伝導率を演算することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記温度勾配係数は、前記温度低下値を前記減衰時間によって除算した値であることを特徴としている。
この構成によれば、単位時間に測定試料内を進む温度速度を容易に求めることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記熱容量演算ステップは、熱容量をC、測定試料の体積をV、測定試料の密度をρ、測定試料の比熱をc、温度勾配係数をAとしたとき、
C=V×ρ×c×A
の式によって熱容量を演算することを特徴としている。
この構成によれば、測定試料の熱容量を、代表測定領域の温度勾配係数をパラメータとして容易に求めることができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記熱伝導率演算ステップは、熱伝導率をλ、減衰時間をΔt、温度低下値をΔT、隣り合う温度測定部の間隔をxとしたとき、
λ=(C×Δt×ΔT)/x
の式によって熱伝導率を演算することを特徴としている。
この構成によれば、減衰時間と温度低下値とを用いて熱伝導率を容易に演算することができる。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記代表測定領域設定ステップは、微分値のピーク値が1を超える前記第2減衰特性が存在しないとき、前記加熱手段の出力増加、加熱時間増加、隣り合う温度測定部の間隔の短縮化のうち少なくとも何れかを実行することを特徴としている。
この構成によれば、代表測定領域を容易に設定することができる。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか1項の発明において、前記代表測定領域設定ステップは、前記全ての第2減衰特性の微分値のピーク値が1を超えるとき、前記加熱手段の出力減少、加熱時間減少、隣り合う温度測定部の間隔の増加のうち少なくとも何れかを実行することを特徴としている。
この構成によれば、代表測定領域を容易に設定することができる。
請求項7の発明は、請求項1〜6の何れか1項の発明において、前記加熱手段が、前記測定試料の一端側部分に当接されていることを特徴としている。
この構成によれば、測定試料の一端側部分に確実且つ安定した加熱を行うことができる。
請求項8の発明は、測定試料の一端側部分を過渡的に加熱する加熱手段と、前記測定試料の一端側部分から他端側に連なる測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率を演算する制御手段とを備えた熱伝導率測定装置において、前記測定部分に他端側方向に均等間隔に配置された3以上の温度測定部を設け、前記制御手段が、前記熱伝導率の測定時間内における前記温度測定部の温度変化を夫々検出する温度変化検出手段と、隣り合う温度測定部の温度変化を差分した第1減衰特性を夫々微分することにより前記第1減衰特性毎の第2減衰特性を演算する減衰特性演算手段と、前記第2減衰特性のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度測定部を代表測定領域に設定する代表測定領域設定手段と、前記代表測定領域に対応した第1減衰特性においてピーク時から測定終了時までの減衰時間とピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値とを演算する代表特性演算手段と、前記減衰時間と温度低下値とによる温度勾配係数を用いて前記測定試料の熱容量を演算する熱容量演算手段と、前記熱容量演算手段によって演算された熱容量と減衰時間と温度低下値を用いて熱伝導率を演算する熱伝導率演算手段と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、断熱材等を必要とすることなく、加熱手段からの輻射や測定試料自身からの放射等の外部要因の影響を受けない測定試料の正確な温度依存性を反映した代表測定領域を設定することができる。そして、単位時間に測定試料内を進む温度速度である温度勾配係数を演算し、この温度勾配係数を用いて測定試料の熱容量を演算することにより、温度勾配係数の演算に用いた減衰時間と温度低下値とを用いて熱伝導率を演算することができる。
本発明の熱伝導率測定方法及びその装置によれば、測定試料の種類に拘らず設備の大型化を招くことなく、測定時間の短縮化と測定の高精度化とを両立することができる。
実施例1に係る熱伝導率測定装置の構成を示す全体概略図である。 熱伝導率測定装置の制御ブロック図である。 測定時間内における各温度測定部の温度変化を示すグラフである。 第1減衰特性を示すグラフである。 セラミックヒータに最も近い測定領域の第2減衰特性を示すグラフである。 セラミックヒータに最も近い測定領域に隣接した測定領域の第2減衰特性を示すグラフである。 測定試料の比熱及び密度のテーブルである。 測定処理手順を示すフローチャートである。 グラフェンシートの熱伝導率測定に係るモニタ表示例である。 銅テープの熱伝導率測定に係るモニタ表示例である。 バスバーの熱伝導率測定に係るモニタ表示例である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を複合部材からなるディバイスの熱伝導率を測定可能な熱伝導率測定装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
以下、本発明の実施例1について図1〜図11に基づいて説明する。尚、以下の説明は、熱伝導率測定方法の説明を含むものである。
熱伝導率測定装置1は、単一素材に加え、複合材料、積層材料、複合部材からなるディバイス(以下、モジュールと表す)を測定試料Sとしたときの測定機能を有している。
例えば、繊維や粒状物質の複合材料、異方性を備えたグラフェンシート、銅部材の周囲が錫メッキされたバッテリのバスバー等のモジュールの熱伝導λを測定可能である。
図1に示すように、熱伝導率測定装置1は、測定試料Sの支持装置2と、各検出結果に基づいて熱伝導率λの演算等を行う処理装置3と、キーボードで構成された入力装置4と、モニタで構成された出力装置5等を備えている。
まず、支持装置2について説明する。
支持装置2は、測定試料S等を支持する断熱材(例えばセラミック)からなる基台21と、この基台21に固定され且つ測定試料Sの基端側部分を過渡的に加熱するセラミックヒータ22(加熱手段)と、このセラミックヒータ22と協働して測定試料Sを挟持する押え板23と、セラミックヒータ22の他端側端部の近傍位置から測定試料Sの他端側方向に夫々配置された複数(例えば4つ)の温度センサ24a〜24d(温度測定部)と、基台21に固定され且つ測定試料Sの他端側部分を保持する吸熱温度管理部25等を備えている。ここで、測定試料Sのセラミックヒータ22の他端側端部対応位置から吸熱温度管理部25の基端側端部対応位置までの領域が測定部分に相当している。
セラミックヒータ22は、処理装置3に電気的に接続され、その上面が測定試料Sの基端側部分の下面に密着状に面当接されている。このセラミックヒータ22は、測定試料Sの基端側部分が予め設定された温度(例えば約170℃)になるように所定時間(例えば3.5sec)の間、事前に設定された電圧(例えば200V)をパルス的に印加可能に構成されている。
押え板23は、下面が測定試料Sの基端側部分の上面に密着状に面当接され、測定試料Sを下方に向けて押圧可能に構成されている。この押え板23は、基端側端部がセラミックヒータ22の基端側端部よりも基端側位置に配置され、他端側端部がセラミックヒータ22の他端側端部よりも他端側位置に配置されている。
図1,図2に示すように、温度センサ24a〜24dは、処理装置3に電気的に接続され、測定試料Sの長手直交方向中央部の下面に当接している。これら温度センサ24a〜24dは、他端側方向に向かって均等な離隔間隔x(例えば1cm)になるように夫々配設され、隣り合う測定領域を設定している。
ここで、測定領域とは、隣り合う温度センサ24a〜24dによって測定試料Sが長手方向に均等に区分された領域(測定単位に相当する部分)であり、隣り合う測定領域とは、測定領域が長手方向に直列状に隣接する形態や長手方向に連続する測定領域が一部分重複する形態を含むものである。
これら温度センサ24a〜24dは、基台21に支持された断面楔状のセンサ支持部26の長手直交方向中央部に夫々設置されている。
吸熱温度管理部25は、処理装置3に電気的に接続され、例えば金メッキブロックを介して基台21に設置されている。
次に、処理装置3について説明する。
処理装置3は、セラミックヒータ22からの輻射や測定試料S自身からの放射等の外部要因の影響を受けない測定試料Sの正確な温度依存性を反映した代表測定領域Rを温度センサ24a〜24dによって区分された各測定領域の内から設定し、温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量Cを演算すると共に温度勾配係数Aの演算用に求めた減衰時間Δtと温度低下値ΔTとを用いて熱伝導率λを演算している
この処理装置3は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。
ROMには、演算処理するための種々のプログラムやデータが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
図2に示すように、処理装置3は、温度変化検出部31と、減衰特性演算部32と、代表測定領域設定部33と、代表特性演算部34と、熱容量演算部35と、熱伝達率演算部36と、記憶部37等を備えている。
図3に示すように、温度変化検出部3は、測定開始から測定終了に至る間、所謂熱伝導率λの測定時間内における温度センサ24a〜24dからの温度検出信号に基づいて温度センサ24a〜24dと測定試料Sとの当接位置における各々の温度T1〜T4の推移を検出可能に形成されている。
減衰特性演算部32は、隣り合う温度センサ24a(T1)と24b(T2),24b(T2)と24c(T3),24c(T3)と24d(T4)との温度変化を差分した各々の第1減衰特性Y1(T1−T2),Y2(T2−T3),Y3(T3−T4)を演算可能に形成されている。
図4に示すように、隣り合う温度センサ24a〜24dの当接位置毎の温度差分傾向、換言すれば、温度センサ24a〜24dによって区分された測定領域毎の温度差分傾向を検出している。尚、説明の便宜上、第1減衰特性Y3については省略している。
また、図5,図6に示すように、この減衰特性演算部32は、演算された第1減衰特性Y1〜Y3を夫々微分することにより第1減衰特性Y1〜Y3の変化量である第2減衰特性Z1〜Z3を演算可能に形成されている。これにより、温度センサ24a〜24dによって区分された測定領域毎の温度差分傾向の変化量を検出している。尚、説明の便宜上、第2減衰特性Z3については省略している。
代表測定領域設定部33は、第2減衰特性Z1〜Z3のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度センサ24a〜24dによって区分された測定領域を代表測定領域Rに設定するように構成されている。
図5,図6に示すように、温度センサ24aと24bによって区分された測定領域の第2減衰特性Z1のピーク値が1を超え、その下流側に連続する温度センサ24bと24cによって区分された測定領域の第2減衰特性Z2のピーク値が1を下回っている。
従って、温度センサ24bと24cによって区分された測定領域が代表測定領域Rに設定される。尚、第2減衰特性Z2のピーク値が1を下回るため、第2減衰特性Z2の下流側に連続する第2減衰特性Z3のピーク値も1を下回ることになる。
本実施例では、微分値のピーク値が1を超える場合、この領域の温度が0.2sec間で1℃以上変化することを意味しており、想定可能な高熱伝導物質の伝導能力の2倍を超える値になることから、温度センサ24aと24bによって区分された測定領域の第1減衰特性Y1は測定試料Sの正確な熱物性を反映していないと見做すことができる。
温度センサ24bと24cによって区分された測定領域の第2減衰特性Z2は、微分値のピーク値が1を下回り且つ入熱源であるセラミックヒータ22に最も近接しているため、この第1減衰特性Y2は測定試料Sの熱物性を最も正確に反映する特性である。
これにより、断熱材等を必要とすることなく、セラミックヒータ22からの輻射や測定試料S自身からの放射等の外部要因の影響を受けることのない測定試料Sの正確な熱物性を反映した代表測定領域Rを設定している。
尚、第2減衰特性Z3のピーク値も1を下回るものの、温度センサ24cと24dによって区分された測定領域は、温度センサ24bと24cによって区分された測定領域よりも放射等の外部要因の影響を受けているため、第1減衰特性Y3は第1減衰特性Y2よりも不確実性を含んでいるものと予測される。
図4に示すように、代表特性演算部34は、代表測定領域Rに対応した第1減衰特性Y2において微分値のピーク時から測定終了時までの減衰時間Δtとピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値ΔTとを演算可能に形成されている。
これら減衰時間Δtと温度低下値ΔTとを用いた次式(1)によって、単位時間に測定試料S内を進む温度の速度を表す温度勾配係数Aを求めることができる。
A=ΔT/Δt …(1)
熱容量演算部35は、代表特性演算部34で求めた温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量C(J/s)を演算可能に構成されている。
この熱容量演算部35は、測定試料Sの体積をV、密度をρ、比熱をcとしたとき、下記式(2)によって熱容量Cを演算している。
C=V×ρ×c×A …(2)
代表測定領域Rの温度勾配係数Aは、測定試料Sの温度勾配係数Aと見做すことができるからである。
熱伝導率演算部36は、熱容量演算部35によって演算された熱容量Cと減衰時間Δtと温度低下値ΔTと温度センサ24a〜24dの離隔間隔xを用いて測定試料Sの熱伝導率λ(W/m・k)を演算可能に構成されている。
この熱伝導率演算部36は、下記式(3)によって熱伝導率λを演算している。
λ=(C×Δt×ΔT)/x …(3)
熱伝導率λは、測定試料S内における熱の伝わり易さ、つまり、単位時間に単位長さ後方に単位温度を伝達可能な熱量であるため、減衰時間Δtの間において測定試料Sの下流端方向に伝達された温度を元に戻すまでの総量と見做すことができるからである。
それ故、減衰時間Δtと温度低下値ΔTと温度センサ24a〜24dの離隔間隔x(代表測定領域Rの長手方向長さ)を用いて熱容量Cに基づき熱伝導率λを求めることができる。
図7に示すように、記憶部37は、測定試料Sに対応した各種材料の比熱ρ及び密度cを記憶可能に構成されている。尚、測定毎に比熱ρ及び密度cの値を直接測定しても良い。
また、記憶部37は、測定前の準備段階において、測定試料Sの長手直交方向(横)寸法、厚み、面積、長手方向(長さ)寸法及び体積等が入力装置4を介して入力され、これらの値を記憶するように形成されている。
図8のフローチャートに基づき、熱伝導率λの測定処理手順について説明する。
尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示す。
図8のフローチャートに示すように、測定処理では、まず、S1にて、準備工程を行う。
この準備工程では、測定試料Sの仕様(横寸法、厚み、面積、長さ寸法及び体積)を計測して入力する。更に、セラミックヒータ22を作動させる加熱時間と、セラミックヒータ22の目標温度である第1設定温度と、測定終了を判定するための第2設定温度を夫々設定する。第2設定温度は、セラミックヒータ22の内部温度計で判定されている。
例えば、加熱時間が3.5sec、第1設定温度が170℃、第2設定温度が50℃に設定されている。また、準備工程では、温度センサ24a〜24dの長手方向の離隔間隔xを設定し、離隔間隔xに応じてセンサ支持部26を夫々配設している。
次に、セラミックヒータ22に200Vの電圧を印加することで測定試料Sの加熱を開始し(S2)、S3に移行する。ここで、加熱時間判定用のタイマカウントも開始される。
S3では、温度センサ24a〜24dによる温度変化(T1〜T4)の測定を開始し、S4に移行する。
S4では、セラミックヒータ22が第1設定温度以上か否か判定する。
S4の判定の結果、セラミックヒータ22が第1設定温度以上の場合、S5に移行し、セラミックヒータ22が第1設定温度未満の場合、S2にリターンする。
S5では、設定された加熱時間が経過したか否か判定する。
S5の判定の結果、加熱時間が経過した場合、S6に移行し、セラミックヒータ22による加熱を終了する。加熱終了と同時に、加熱時間判定用のタイマカウントも終了する。
S5の判定の結果、加熱時間が経過していない場合、S2にリターンする。
次に、セラミックヒータ22が第2設定温度未満か否か判定する(S7)。
S7の判定の結果、セラミックヒータ22が第2設定温度未満の場合、測定を終了し(S8)、S9に移行する
S7の判定の結果、セラミックヒータ22が第2設定温度以上の場合、温度変化(T1〜T4)の測定を継続する。
次に、第1,第2減衰特性Y1〜T3,Z1〜Z3を作成し(S9)、これら第1,第2減衰特性Y1〜T3,Z1〜Z3に基づいて代表特性領域Rを設定する(S10)。
次に、S11では、代表特性領域Rに対応した第1減衰特性Y2に基づき測定試料Sの代表特性である減衰時間Δtと温度低下値ΔTを求め、式(1)を用いて温度勾配係数Aを演算して、S12へ移行する。
S12では、式(2)を用いて熱容量Cを演算する。
体積Vは準備工程で入力されており、密度ρ及び比熱cは予め記憶部37に記憶されている(図7参照)。
熱容量Cの演算の後、式(3)を用いて熱伝導率λを演算する(S13)。
ここで、S11で求めた減衰時間Δtと温度低下値ΔT及びS1で設定した温度センサ24a〜24dの離隔間隔xを用いて熱伝導率λを演算する。
次に、得られた熱伝導率λが妥当性有りか否か判定する(S14)。
S14の判定の結果、熱伝導率λが妥当性有りの場合、出力装置5に熱伝導率λを表示して終了する。これと同時に、熱伝導率λを密度ρ及び比熱cで除算することで測定試料Sの熱拡散率を求めることも可能である。
S14の判定の結果、熱伝導率λが妥当性なしの場合、S1にリターンする。
次に、前述した熱伝導率測定装置1と測定処理手順を用いて複数種類の測定試料Sの熱伝導率λを測定した測定結果を説明する。
測定試料Sとして、グラフェンシートS1、銅テープS2、バッテリの端子間を連結するバスバーS3の3種類を準備した。尚、バスバーS3は、内部が銅材、表面が錫メッキである。
図9にグラフェンシートS1の測定結果を示す。
このグラフェンシートS1は、体積Vが4.2×10−8、比熱ρが0.697kJ/kg・K、密度cが0.93×10kg/m(図7参照)、減衰時間Δtが301.8sec、温度低下値ΔTが12.984℃である。
図9に示すように、熱伝導率λとして458.97W/m・Kを得た。
この値は、一般に信頼性の高い熱伝導率として認識されている値(例えばベテル計測値)483W/m・Kに近い値であった。
図10に銅テープS2の測定結果を示す。
この銅テープS2は、体積Vが8.4×10−8、比熱ρが0.384kJ/kg・K、密度cが8.94×10kg/m(図7参照)、減衰時間Δtが314.2sec、温度低下値ΔTが3.548℃である。
図10に示すように、熱伝導率λとして363.01W/m・Kを得た。
この値は、一般に信頼性の高い熱伝導率として認識されている値384W/m・Kに近い値であった。
図11にバスバーS3の測定結果を示す。
このバスバーS3は、体積Vが6.66×10−7、比熱ρが0.37748kJ/kg・K、密度cが8.50×10kg/m、減衰時間Δtが253sec、温度低下値ΔTが0.556℃である。
図11に示すように、熱伝導率λとして66.06W/m・Kを得た。
この値は、錫の熱伝導率66.6W/m・Kに近い値であることから、内部が銅材、表面が錫メッキであるバスバーS3の熱伝導率λは、メッキ材の熱伝導率に影響を受けることが知見された。
次に、本実施例の熱伝導率測定方法及びその装置における作用、効果について説明する。
この熱伝導率測定方法では、隣り合う温度センサ24a〜24dの温度変化を差分した第1減衰特性Y1〜Y3を夫々微分することにより第1減衰特性Y1〜Y3毎の第2減衰特性Z1〜Z3を演算する減衰特性演算ステップと、第2減衰特性Z1〜Z3のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性Z1に隣接した第2減衰特性Z2であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性Z2に対応した1対の温度センサ24b,24cを代表測定領域Rに設定する代表測定領域設定ステップを有するため、断熱材等を必要とすることなく、セラミックヒータ22からの輻射や測定試料S自身からの放射等の外部要因の影響を受けない測定試料Sの正確な温度依存性を反映した代表測定領域Rを設定することができる。代表測定領域Rに対応した第1減衰特性Y2においてピーク時から測定終了時までの減衰時間Δtとピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値ΔTとを演算する代表特性演算ステップと、減衰時間Δtと温度低下値ΔTとによる温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量Cを演算する熱容量演算ステップとを有するため、単位時間に測定試料S内を進む温度速度である温度勾配係数Aを演算でき、この温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量Cを演算することができる。また、熱容量演算ステップによって演算された熱容量Cと減衰時間Δtと温度低下値ΔTを用いて熱伝導率λを演算する熱伝導率演算ステップを有するため、温度勾配係数Aの演算に用いた減衰時間Δtと温度低下値ΔTとを用いて熱伝導率λを演算することができる。
それ故、測定試料Sに対する単一の過渡的加熱のみで加熱工程を終了でき、測定試料Sを測定のために加工することなく熱伝導率λを求めることができる。
温度勾配係数Aは、温度低下値ΔTを減衰時間Δtによって除算した値であるため、単位時間に測定試料S内を進む温度速度を容易に求めることができる。
熱容量演算ステップは、熱容量をC、測定試料の体積をV、測定試料の密度をρ、測定試料の比熱をc、温度勾配係数をAとしたとき、C=V×ρ×c×A の式によって熱容量Cを演算するため、測定試料Sの熱容量Cを、代表測定領域Rの温度勾配係数Aをパラメータとして容易に求めることができる。
熱伝導率演算ステップは、熱伝導率をλ、減衰時間をΔt、温度低下値をΔT、隣り合う温度センサ24a〜24dの間隔をxとしたとき、λ=(C×Δt×ΔT)/x の式によって熱伝導率λを演算するため、減衰時間Δtと温度低下値ΔTとを用いて熱伝導率λを容易に演算することができる。
セラミックヒータ22が、測定試料Sの一端側部分に当接されているため、測定試料Sの一端側部分に確実且つ安定した加熱を行うことができる。
測定試料Sの一端側部分を過渡的に加熱するセラミックヒータ22と、測定試料Sの一端側部分から他端側に連なる測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率λを演算する処理装置3とを備えた熱伝導率測定装置1において、測定部分に他端側方向に均等間隔xに配置された3以上の温度センサ24a〜24dを設け、処理装置3が、熱伝導率λの測定時間内における温度センサ24a〜24dの温度変化を夫々検出する温度変化検出部31と、隣り合う温度センサ24a〜24dの温度変化を差分した第1減衰特性Y1〜Y3を夫々微分することにより第1減衰特性Y1〜Y3毎の第2減衰特性Z1〜Z3を演算する減衰特性演算部32と、第2減衰特性Z1〜Z3のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性Z1に隣接した第2減衰特性Z2であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性Z2に対応した1対の温度センサ24b,24cを代表測定領域Rに設定する代表測定領域設定部33と、代表測定領域Rに対応した第1減衰特性Y1においてピーク時から測定終了時までの減衰時間Δtとピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値ΔTとを演算する代表特性演算部34と、減衰時間Δtと温度低下値ΔTとによる温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量Cを演算する熱容量演算部35と、熱容量演算部35によって演算された熱容量Cと減衰時間Δtと温度低下値ΔTを用いて熱伝導率λを演算する熱伝導率演算部36とを有している。
これにより、断熱材等を必要とすることなく、セラミックヒータ22からの輻射や測定試料S自身からの放射等の外部要因の影響を受けない測定試料Sの正確な温度依存性を反映した代表測定領域Rを設定することができる。そして、単位時間に測定試料S内を進む温度速度である温度勾配係数Aを演算し、この温度勾配係数Aを用いて測定試料Sの熱容量Cを演算することにより、温度勾配係数Aの演算に用いた減衰時間Δtと温度低下値ΔTとを用いて熱伝導率λを演算することができる。
次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、測定試料の一端側部分に面当接するセラミックヒータを加熱手段とした例を説明したが、少なくとも測定試料の一端側部分を加熱できれば良く、測定試料から離隔したパルス光発生装置を設け、測定試料の一端側部分を照射加熱しても良い。このとき、長手直交方向の熱分布が均等になるように留意する。
2〕前記実施形態においては、3つの測定領域が重複しないように温度測定部である温度センサを4つ配設した例を説明したが、温度センサの数を増加することにより、セラミックヒータに最も近い測定領域と2番目に近い測定領域とを重複させ、2番目に近い測定領域と3番目に近い測定領域とを重複させるように設定しても良い。
これにより、セラミックヒータに極力近い代表測定領域を設定することができる。
3〕前記実施形態においては、セラミックヒータによる加熱工程を単一のパルス加熱にした例を説明したが、複数回加熱することも可能である。
この場合、測定領域を設定する1対の温度センサを設け、この1対の温度センサをセラミックヒータの近傍位置から離隔する方向に設置位置を移動させる。そして、設置位置を移動させる度に同条件(加熱温度、加熱時間、測定時間等)の加熱を行う。
4〕前記実施形態においては、セラミックヒータに最も近い測定領域の第2減衰特性のピーク値が1を超え且つ下流側に隣り合う測定領域の第2減衰特性のピーク値が1未満の例を説明したが、予め配設された温度センサにより設定された測定領域の何れにも微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性が存在しない場合、セラミックヒータの出力増加、加熱時間増加、隣り合う温度センサの間隔の短縮化のうち少なくとも何れかを実行しても良い。また、予め配設された温度センサにより設定された測定領域の全ての第2減衰特性の微分値のピーク値が1を超える場合、セラミックヒータの出力減少、加熱時間減少、隣り合う温度センサの間隔の増加のうち少なくとも何れかを実行しても良い。これにより、代表測定領域を容易に設定することができる。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
1 熱伝導率測定装置
3 処理装置
22 セラミックヒータ
31 温度変化検出部
32 減衰特性演算部
33 代表測定領域設定部
34 代表特性演算部
35 熱容量演算部
36 熱伝導率演算部
24a〜24d 温度センサ
S,S1〜S3 測定試料
Y1〜Y3 第1減衰特性
Z1〜Z3 第2減衰特性
R 代表測定領域
Δt 減衰時間
ΔT 温度低下値
A 温度勾配傾向
C 熱容量
λ 熱伝導率

Claims (8)

  1. 測定試料の一端側部分を加熱手段により過渡的に加熱した後、前記測定試料の一端側部分よりも他端側の測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率を演算する熱伝導率測定方法において、
    前記測定部分に他端側方向に均等間隔に配置された3以上の温度測定部の前記熱伝導率の測定時間内における温度変化を夫々検出する温度変化検出ステップと、
    隣り合う温度測定部の温度変化を差分した第1減衰特性を夫々微分することにより前記第1減衰特性毎の第2減衰特性を演算する減衰特性演算ステップと、
    前記第2減衰特性のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度測定部を代表測定領域に設定する代表測定領域設定ステップと、
    前記代表測定領域に対応した第1減衰特性においてピーク時から測定終了時までの減衰時間とピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値とを演算する代表特性演算ステップと、
    前記減衰時間と温度低下値とによる温度勾配係数を用いて前記測定試料の熱容量を演算する熱容量演算ステップと、
    前記熱容量演算ステップによって演算された熱容量と減衰時間と温度低下値を用いて熱伝導率を演算する熱伝導率演算ステップと、
    を有することを特徴とする熱伝導率測定方法。
  2. 前記温度勾配係数は、前記温度低下値を前記減衰時間によって除算した値であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導率測定方法。
  3. 前記熱容量演算ステップは、熱容量をC、測定試料の体積をV、測定試料の密度をρ、測定試料の比熱をc、温度勾配係数をAとしたとき、
    C=V×ρ×c×A
    の式によって熱容量を演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導率測定方法。
  4. 前記演算ステップは、熱伝導率をλ、減衰時間をΔt、温度低下値をΔT、隣り合う温度測定部の間隔をxとしたとき、
    λ=(C×Δt×ΔT)/x
    の式によって熱伝導率を演算することを特徴とする請求項3に記載の熱伝導率測定方法。
  5. 前記代表測定領域設定ステップは、微分値のピーク値が1を超える前記第2減衰特性が存在しないとき、前記加熱手段の出力増加、加熱時間増加、隣り合う温度測定部の間隔の短縮化のうち少なくとも何れかを実行することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱伝導率測定方法。
  6. 前記代表測定領域設定ステップは、前記全ての第2減衰特性の微分値のピーク値が1を超えるとき、前記加熱手段の出力減少、加熱時間減少、隣り合う温度測定部の間隔の増加のうち少なくとも何れかを実行することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の熱伝導率測定方法。
  7. 前記加熱手段が、前記測定試料の一端側部分に当接されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の熱伝導率測定方法。
  8. 測定試料の一端側部分を過渡的に加熱する加熱手段と、前記測定試料の一端側部分から他端側に連なる測定部分の温度変化に基づいて熱伝導率を演算する制御手段とを備えた熱伝導率測定装置において、
    前記測定部分に他端側方向に均等間隔に配置された3以上の温度測定部を設け、
    前記制御手段が、
    前記熱伝導率の測定時間内における前記温度測定部の温度変化を夫々検出する温度変化検出手段と、
    隣り合う温度測定部の温度変化を差分した第1減衰特性を夫々微分することにより前記第1減衰特性毎の第2減衰特性を演算する減衰特性演算手段と、
    前記第2減衰特性のうち微分値のピーク値が1を超える第2減衰特性に隣接した第2減衰特性であって、微分値のピーク値が1未満の第2減衰特性に対応した1対の温度測定部を代表測定領域に設定する代表測定領域設定手段と、
    前記代表測定領域に対応した第1減衰特性においてピーク時から測定終了時までの減衰時間とピーク時の温度から測定終了時の温度までの温度低下値とを演算する代表特性演算手段と、
    前記減衰時間と温度低下値とによる温度勾配係数を用いて前記測定試料の熱容量を演算する熱容量演算手段と、
    前記熱容量演算手段によって演算された熱容量と減衰時間と温度低下値を用いて熱伝導率を演算する熱伝導率演算手段と、
    を有することを特徴とする熱伝導率測定装置。
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