JP2018040478A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
車両用動力伝達装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018040478A JP2018040478A JP2016176690A JP2016176690A JP2018040478A JP 2018040478 A JP2018040478 A JP 2018040478A JP 2016176690 A JP2016176690 A JP 2016176690A JP 2016176690 A JP2016176690 A JP 2016176690A JP 2018040478 A JP2018040478 A JP 2018040478A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- clutch
- valve seat
- flow path
- power transmission
- side valve
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/62—Hybrid vehicles
Landscapes
- General Details Of Gearings (AREA)
- Hybrid Electric Vehicles (AREA)
- Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
Abstract
【課題】内燃機関、電動機および変速機との間の動力伝達経路の切り替えに際して加熱されたクラッチの摩擦摺動部分を、簡易な構成により必要なときに確実に冷却することができる車両用動力伝達装置を提供すること。【解決手段】車両用動力伝達装置は、液体供給機構7を備えている。液体供給機構7は、蓄積室71と、排出側流路72と、供給側流路73と、排出側弁座74と、供給側弁座75と、弁体76と、バネ77と、を含んで構成される。ハブ502が回転して、摩擦プレート52とセパレートプレート53との間に回転数差が生じ、摩擦係合部分に摩擦摺動が発生している場合、液体供給機構7は、遠心力により、弁体76はバネ77の付勢力に抗して供給側弁座75および排出側弁座74から離座しており、蓄積室71内の油を排出側流路72から摩擦係合部分に供給する。【選択図】図4
Description
本発明は、駆動源として内燃機関および電動機と、変速機と、を搭載した車両に適用される車両用動力伝達装置に関する。
駆動源として内燃機関および電動機を搭載した車両においては、内燃機関からの動力と電動機からの動力とが変速機に入力される。この場合、車両の状況に応じて、
(a)電動機からの動力を変速機に伝達する、
(b)内燃機関からの動力を変速機に伝達する、
(c)内燃機関からの動力および電動機からの動力を変速機に伝達する、
ように動力伝達経路を切り替える必要がある。
加えて、作動停止している内燃機関を始動させる状況では、
(d)電動機および/または変速機からの動力を内燃機関に伝達する、
ように動力伝達経路を切り替える必要がある。
(a)電動機からの動力を変速機に伝達する、
(b)内燃機関からの動力を変速機に伝達する、
(c)内燃機関からの動力および電動機からの動力を変速機に伝達する、
ように動力伝達経路を切り替える必要がある。
加えて、作動停止している内燃機関を始動させる状況では、
(d)電動機および/または変速機からの動力を内燃機関に伝達する、
ように動力伝達経路を切り替える必要がある。
例えば、特許文献1には、内燃機関に連結される入力軸と、変速機に連結される出力軸と、入力軸と出力軸とを係脱可能に連結するとともに電動機と連結されたクラッチと、を備えた車両用駆動装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が開示されている。この従来装置では、クラッチは、入力軸と出力軸との間で動力を伝達するように接続する接続状態と、入力軸と出力軸との間で動力を伝達しないように遮断する遮断状態と、に切り替えられる。
具体的に、クラッチは、入力軸にスプライン嵌合されたハブ部と、出力軸にスプライン嵌合されたドラム部と、を備えている。そして、ハブ部に摩擦材の設けられたハブ側プレートが設けられ、ドラム部にドラム側プレートが設けられるようになっている。これにより、クラッチにおいては、ハブ側プレートとドラム側プレートとを摩擦係合させることにより接続状態となり、ハブ側プレートとドラム側プレートとの摩擦係合を解除することにより遮断状態となる。このようなクラッチの作動により、従来装置では、上記(a)〜(d)の動力伝達経路を切り替えるようになっている。
ところで、上記(a)〜(d)のような動力伝達経路を切り替える場合、入力軸(内燃機関の動力を出力する出力軸に相当)の回転数と出力軸(変速機側に動力を入力する入力軸に相当)の回転数との間で回転数差が生じる場合がある。換言すれば、上記(a)〜(d)間で動力伝達経路を切り替える場合、従来装置におけるハブ側プレートの回転数とドラム側プレートの回転数との間で回転数差が生じる場合がある。特に、(d)の動力伝達経路のように、作動を停止している内燃機関を始動させる場合では、入力軸(内燃機関の動力を出力する出力軸に相当)の回転数がゼロであるので、ハブ側プレートの回転数とドラム側プレートの回転数との間の回転数差がより大きくなる。
従来装置のクラッチでは、ハブ側プレートとドラム側プレートとを摩擦係合させることにより接続状態になる。このため、ハブ側プレートの回転数とドラム側プレートの回転数との間に回転数差が生じている場合において、クラッチを遮断状態から接続状態に切り替えると、ハブ側プレートとドラム側プレートとには摩擦摺動に伴う摩擦熱が発生する。特に、動力伝達経路を上記(d)に切り替える場合には、摩擦摺動に伴う摩擦熱が発生しやすくなる。このように摩擦熱が発生する場合、ハブ側プレートとドラム側プレートとの摩擦係合部分が摩擦熱により加熱される。従って、ハブ側プレートとドラム側プレートとに摩擦摺動が生じる場合には、摩擦係合部分を冷却する必要がある。
この点に関し、従来装置においては、例えば、電動機のロータの回転に伴い、電動機を潤滑および冷却するために封入された油をクラッチの摩擦係合部分に跳ねかけることが考えられる。また、従来装置においては、例えば、クラッチを作動させるために設けられた電動ポンプを利用して油をクラッチの摩擦係合部分に吹きかけることも考えられる。
しかしながら、ロータの回転に伴って油をクラッチの摩擦係合部分に跳ねかける場合には、油をクラッチに積極的にかけることを意図していないので、油がドラム側プレートおよびハブ側プレートに確実に跳ねかかるとは限らない。このため、ドラム側プレートとハブ側プレートとの摩擦係合部分が摩擦熱により加熱されているときに、即ち、冷却が必要なときに、摩擦係合部分を冷却する確実性に乏しい。また、電動ポンプを利用する場合には、電動ポンプを作動させる頻度が多くなり、電動ポンプの耐久性を確保する必要がある。加えて、別途電動ポンプを作動させる場合には、電力等を別途確保する必要がある。これらの場合、製造コストが増大する可能性が高い。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、クラッチ装置の摩擦係合部分を、簡易な構成により必要なときに確実に冷却することができる車両用動力伝達装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る車両用動力伝達装置の発明は、駆動源として内燃機関および電動機と、内燃機関の出力軸から動力が入力されるとともに電動機と回転連結されて電動機から動力が入力される入力軸を有して駆動輪へ動力を出力する変速機と、を備えた車両に適用され、内燃機関の出力軸と変速機の入力軸との間に設けられるクラッチ装置であって、内燃機関の出力軸と一体回転する第一クラッチ部と、変速機の入力軸と一体回転する第二クラッチ部と、を備え、第一クラッチ部および第二クラッチ部を摩擦係合させて内燃機関の動力を変速機に伝達する接続状態と、第一クラッチ部および第二クラッチ部の摩擦係合を解除して内燃機関の動力を変速機に伝達することを遮断する遮断状態と、に切り替えるクラッチ装置と、クラッチ装置を接続状態または遮断状態に切り替え動作させるクラッチ作動機構と、第一クラッチ部および第二クラッチ部に対して冷却用の液体を供給する液体供給機構と、を備えた車両用動力伝達装置であって、液体供給機構は、第一クラッチ部に設けられており、クラッチ作動機構によりクラッチ装置が接続状態または遮断状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部が回転した場合に、第一クラッチ部と第二クラッチ部との摩擦係合部分に対して液体を供給するように構成される。
本発明の車両用動力伝達装置では、液体供給機構を第一クラッチ部に設ける。このため、第一クラッチ部が回転した場合であれば、液体供給機構も回転するので、液体供給機構に対して遠心力が発生する。これにより、液体供給機構は、第一クラッチ部が回転しているときに、発生した遠心力を利用して液体を摩擦係合部分に供給することができる状態になる。従って、第一クラッチ部が回転したときには、液体供給機構は、電動供給装置等を別途設けることなく、簡易な構造により、第一クラッチ部と第二クラッチ部との摩擦係合部分に冷却用の液体を供給することができる。
以下、本発明の実施形態に係る車両用動力伝達装置について図面を参照しながら説明する。本装置は、乗用車、商用車および大型車両等のハイブリッド車両(以下、単に「車両」と称呼する。)に適用される。図1に示すように、車両は、駆動源として機能する内燃機関1(以下、「エンジン1」とも称呼する。)と、駆動源として機能する電動機2(以下、「モータ2」とも称呼する。)と、エンジン1およびモータ2から動力が入力される変速機3と、を備えている。また、車両は、エンジン1と変速機3との間に設けられた車両用動力伝達装置4(以下、「本装置4」と称呼する。)を備えている。本装置4は、クラッチ装置5と、クラッチ作動機構6と、液体供給機構7と、を含んで構成されている。そして、モータ2、変速機3(具体的には、後述するトルクコンバータ31)および本装置4は、ケース8に収容されるようになっている。更に、車両は、制御装置9を備えている。
エンジン1は、図2および図3に示すように、動力(エンジントルク)により軸線P1回りに回転する出力軸10を備えている。エンジン1は、出力軸10を介して動力(エンジントルク)を変速機3に伝達する。出力軸10には、リング状のフライホイール11が、取付具10wによって、出力軸10と同軸となるように固定されている。
モータ2は、図2および図3に示すように、本装置4(具体的には、クラッチ装置5)と変速機3とを繋ぐ動力伝達経路に配置されている。モータ2は、動力(モータトルク)を変速機3に伝達する。加えて、モータ2は、車両の減速時等に電気エネルギーの回生を行う発電機としても機能する。モータ2は、ステータ20とロータ22とを備える。ステータ20は、後に詳述するケース8の内部に固定されており、鉄心に巻回された励磁巻線20cを有する。ロータ22は、磁石を備えており、ステータ20の内周側に隙間20xを介して同軸的に配置されている。ステータ20の励磁巻線20cに励磁電流が供給されると、回転磁界が軸線P1回りで発生してロータ22が回転するようになっている。
変速機3は、トルクコンバータ31を備えている。トルクコンバータ31は、出力軸10を介して伝達されるエンジン1の動力(エンジントルク)と、モータ2の動力(モータトルク)と、が伝達されて回転する入力軸30を含んで構成される。入力軸30は、エンジン1の出力軸10と同軸となるように、軸線P1回りに回転する。入力軸30は、変速機3を構成する図示しない変速ギア機構に動力伝達可能に連結されている。そして、変速機3は、伝達された動力を、図1に示すように、ディファレンシャルDFを介して左右の駆動輪R,Lに出力して伝達し、駆動輪R,Lを回転させる。
ケース8は、第一ケース81と、第一ケース81に連結された第二ケース82と、第二ケース82に連結された第三ケース83と、から構成されている。第一ケース81は、半径方向内方に沿って延設された第一壁810を備えている。第一壁810の内周面と後述するクラッチ装置5の入力部材50との間には、図2に示すように、軸受86aが設けられている。これにより、入力部材50は、第一ケース81に対して、軸線P1回りに回転することができる。第二ケース82は、その外壁筒部82xの内周面において、モータ2のステータ20を固定している。また、第二ケース82は、半径方向内方に沿って延設された第二壁820を備えている。ここで、第二壁820は、第一ケース81の第一壁810と対向するようになっている。第二壁820の内周部には、軸線P1に沿って延設された固定筒部84が形成されている。固定筒部84は変速機3の入力軸30を回転可能に固定するものであり、固定筒部84の内周面と入力軸30との間には(より詳しくは、後述するクラッチ装置5のクラッチドラム51を介して)軸受86bが設けられている。軸受86bは、係合部材86xにより固定筒部84に固定される。これにより、入力軸30および後述するクラッチ装置5のクラッチドラム51は、第二ケース82に対して、軸線P1回りに一体回転することができる。
更に、ケース8内には、図3に示すように、油貯留部85が形成される。油貯留部85は、ケース8が車両に搭載された場合において車両上下方向にて下方(鉛直方向下方)側に形成される。油貯留部85に貯留される油(液体であって、潤滑用の油および冷却用の油を含む)の油面85xは、クラッチ装置5および液体供給機構7の一部が浸漬する程度とされている。
再び、図1に戻り、制御装置9は、エンジン1と、モータ2と、変速機3と、制御弁90と、オイルポンプ91と、を制御するものである。なお、制御装置9による各装置の詳細な制御内容については、本発明に直接関係しないので、その詳細な説明を省略する。オイルポンプ91は電動式であり、エンジン1が作動していなくてもケース8内に形成された油貯留部85から油(潤滑油)を供給するポンプ作用を発揮できる。ここで、図1において、実線の矢印は、オイルポンプ91に繋がる油圧通路を示し、破線は制御装置9に繋がる信号線を示す。
次に、図2〜図8を参照して、本装置4を構成するクラッチ装置5、クラッチ作動機構6および液体供給機構7を詳細に説明する。
クラッチ装置5は、湿式多板クラッチとして構成されるものである。クラッチ装置5は、入力部材50と、クラッチドラム51と、を備えている。また、クラッチ装置5は、入力部材50に固定された摩擦プレート52と、クラッチドラム51に固定されたセパレートプレート53と、を含んで構成されている。
図2に示すように、入力部材50は、軸線P1回りに回転するものであり、出力軸10に固定されたフライホイール11に対してダンパ12を介して連結されている。これにより、入力部材50は、エンジン1の出力軸10と一体回転することができるようになっている。なお、出力軸10(より具体的にはフライホイール11)と入力部材50との間には軸受10aが設けられている。これにより、エンジン1の作動に伴って出力軸10に回転変動が生じた場合、フライホイール11およびダンパ12が回転変動を抑制する際の出力軸10と入力部材50との間の相対回転を許容するようになっている。
入力部材50は、軸本体部501を有している。軸本体部501には、その両軸端のうち、出力軸10側(即ち、エンジン1側)の軸端と反対側(即ち、変速機3側)の軸端から軸本体部501の半径方向の外方に向けて延設された円盤状のハブ502が形成されている。ハブ502は軸本体部501とともに軸線P1回りに一体回転する。ハブ502の外周端部には、軸本体部501およびハブ502とともに軸線P1回りに一体回転するリング状の保持部503が固定されている。保持部503は、その外周部において、リング状に形成された複数の摩擦プレート52を、それぞれが相対変位不能であり、且つ、軸線P1回りに一体回転するように固定している。
クラッチドラム51は、軸線P1回りに回転するものであり、変速機3の入力軸30の外周部にスプライン嵌合により連結されている。これにより、クラッチドラム51は、入力軸30と一体回転することができるようになっている。クラッチドラム51は、前記スプライン嵌合により入力軸30に固定される筒状の固定筒部510を有している。固定筒部510には、その軸線P1方向における両端のうち、入力部材50側(即ち、エンジン1側)の端部から半径方向の外方に延設された第一延設部511が形成されている。第一延設部511は、スラスト軸受502xを介して入力部材50のハブ502に当接するようになっている。第一延設部511には、その外周端において、軸線P1に沿って延出する内筒部512が形成されている。
内筒部512には、後述するクラッチ作動機構6を構成するピストン62に当接するピストンストッパ512xが形成されている。内筒部512には、その軸線P1方向における両端のうち、変速機3側の端部から半径方向の外方に延設された第二延設部513が形成されている。第二延設部513には、その外周端において、軸線P1に沿って延出する外筒部514が形成されている。外筒部514は、その内径が保持部503に固定された摩擦プレート52の外径よりも大きくなるように形成されている。外筒部514は、その開口側端が、ハブ502、保持部503および摩擦プレート52を覆うように延出されている。外筒部514は、その開口端側の内周部において、リング状に形成された複数のセパレートプレート53を、それぞれが相対変位不能であり、且つ、軸線P1回りに一体回転するように固定している。なお、セパレートプレート53は、外筒部514の内周面に対してリング状の係合部材514xにより固定されている。本実施形態においては、外筒部514の外周側はモータ2のロータ22と連結される。
ここで、クラッチドラム51を構成する内筒部512、第二延設部513および外筒部514は、ドラム室515を形成する。これにより、クラッチドラム51を構成する固定筒部510、第一延設部511およびドラム室515は、軸線P1回りに一体回転することができる。加えて、本実施形態においては、外筒部514とモータ2のロータ22とが連結されているので、クラッチドラム51およびロータ22は軸線P1回りに一体回転することができる。
図4に示すように、保持部503(即ち、ハブ502)に固定された複数の摩擦プレート52と、外筒部514(即ち、クラッチドラム51)に固定された複数のセパレートプレート53とは、互いに対面しつつ交互に配置される。これにより、摩擦プレート52とセパレートプレート53とを互いに圧着させた場合には、摩擦プレート52とセパレートプレート53とは圧着状態である摩擦係合状態となる(クラッチ装置5における接続状態)。これにより、摩擦プレート52とセパレートプレート53とは互いに摩擦係合する部分F(以下、この部分を「摩擦係合部分F」と称呼する。)が形成される(図5B、図5Cおよび図7を参照)。一方、摩擦プレート52とセパレートプレート53とを互いに離間させた場合には、摩擦プレート52とセパレートプレート53とは圧着解除状態である摩擦係合解除状態になる(クラッチ装置5における遮断状態)。
ここで、入力部材50、軸本体部501、ハブ502、保持部503および摩擦プレート52は、第一クラッチ部CW1を構成する。また、クラッチドラム51、固定筒部510、第一延設部511、内筒部512、第二延設部513、外筒部514、ドラム室515およびセパレートプレート53は、第二クラッチ部CW2を構成する。
次に、クラッチ作動機構6を詳細に説明する。クラッチ作動機構6は、クラッチ装置5を接続状態と遮断状態とに切り替え動作する。クラッチ作動機構6は、図2および図3に示すように、固定プレート61と、ピストン62と、バネ63と、液圧室64と、流路65と、を含んで構成される。
固定プレート61は、リング状に形成されており、クラッチドラム51のドラム室515の内部に配置されている。固定プレート61の内周側端部は、ドラム室515を構成する内筒部512の外周面に形成された止め溝にCリング状等の止め部材61xを介して固定されている(図2参照)。固定プレート61の内周側端面にはOリング状等のシール部材61yが設けられており(図3参照)、シール部材61yが固定プレート61の内周側端面と内筒部512の外周面との間を封止するようになっている。また、固定プレート61の外周側端面にはOリング状等のシール部材61zが設けられており(図3参照)、シール部材61zが固定プレート61の外周側端面と後述するピストン62の可動外筒部622の内周面との間を封止するようになっている。これにより、固定プレート61は、後述する液圧室64を液密的に形成することができる。
ピストン62は、ドラム室515の内部にて、軸線P1に沿った方向において固定プレート61よりも変速機3側に配置されている。ピストン62は、ドラム室515内部において軸線P1に沿った方向に移動可能に組み付けられている。ピストン62は、図3に示すように、互いに同軸となるように形成された可動内筒部621および可動外筒部622と、可動内筒部621および可動外筒部622を半径方向に沿って繋ぐ加圧部623と、を備えている。可動内筒部621は、加圧部623に対して、軸線P1に沿った方向において変速機3側に突出するように形成されており、ピストンストッパ512xと当接するようになっている。可動内筒部621には、Oリング状等のシール部材621xが設けられており、シール部材621xがドラム室515を構成する内筒部512の外周面との間を封止するようになっている。可動外筒部622は、加圧部623に対して、軸線P1に沿った方向においてクラッチ装置5側に突出するように形成されている。可動外筒部622は、クラッチ装置5に対向する先端部がクラッチ装置5のセパレートプレート53に当接して押圧するようになっている。
バネ63は、ドラム室515の内部にて、ピストン62の加圧部623のうちの変速機3側(背面側)とドラム室515を構成する第二延設部513との間に配置されている。バネ63は、ドラム室515の内部において、軸線P1の回りで周方向にほぼ均等な間隔を隔てて配置されている。バネ63の一端は第二延設部513に着座しており、他端はピストン62の背面側に着座するようになっている。バネ63は、ピストン62を、軸線P1に沿った方向(より詳しくは、可動外筒部622の先端部がセパレートプレート53を押圧する方向)に付勢するようになっている。
液圧室64は、図3に示すように、固定プレート61における変速機3側の表面610と、ピストン62の加圧部623におけるクラッチ装置5側の表面(加圧面)624と、ピストン62の可動外筒部622の内周面625と、クラッチドラム51を構成する内筒部512の外周面516と、の間に形成されている。液圧室64には、液圧室64に対して油を供給および排出させる流路65が連通している。流路65は、一端側が制御弁90を介してオイルポンプ91に繋がれている。これにより、制御装置9により制御弁90およびオイルポンプ91の作動が制御された場合、液圧室64に油が供給されると液圧室64内の油圧が増圧され、液圧室64から油が排出されると液圧室64内の油圧が減圧される。なお、液圧室64に対して油を給排する構成および作動の詳細については、本発明の直接関係しないので、その詳細な説明を省略する。
液圧室64に油圧が供給されていない場合、ピストン62の加圧部623に対してバネ63からの付勢力のみが付与される。この場合、ピストン62はクラッチ装置5に向けて移動する。従って、液圧室64に油圧が供給されていない場合には、ピストン62の可動外筒部622は、クラッチ装置5のセパレートプレート53に当接し、更にセパレートプレート53を摩擦プレート52に向けて移動させて摩擦係合させる。即ち、液圧室64に油圧が供給されていない場合、クラッチ装置5は接続状態になるので、本実施形態におけるクラッチ装置5は、ノーマルクローズタイプのクラッチである。接続状態のクラッチ装置5は、エンジン1の出力軸10から変速機3の入力軸30にエンジン1の動力(エンジントルク)を伝達させる。より詳しくは、エンジン1が作動していれば、出力軸10が回転するため、クラッチ装置5の入力部材50が回転し、摩擦係合状態の摩擦プレート52およびセパレートプレート53が軸線P1回りに一体回転する。これにより、クラッチドラム51がモータ2のロータ22とともに回転して変速機3の入力軸30が回転するので、左右の駆動輪R,Lが回転する。
液圧室64に油圧が供給された場合、ピストン62の加圧部623に対して液圧室64の油圧による力とバネ63からの付勢力とが付与される。液圧室64の油圧による力がバネ63からの付勢力よりも大きい場合、ピストン62は変速機3側に(クラッチ装置5から離れる方向に)移動する。従って、液圧室64に油圧が供給され、油圧による力がバネ63の付勢力よりも大きい場合には、ピストン62の可動外筒部622は、クラッチ装置5のセパレートプレート53から離間し、摩擦プレート52とセパレートプレート53との摩擦係合を解除させる。即ち、この場合、クラッチ装置5は遮断状態になる。遮断状態のクラッチ装置5は、エンジン1の出力軸10から変速機3の入力軸30へのエンジン1の動力(エンジントルク)の伝達を遮断する。この場合、モータ2が駆動していれば、ロータ22とともにクラッチドラム51が一体回転するので、変速機3の入力軸30にモータ2の動力(モータトルク)が伝達される。従って、左右の駆動輪R,Lは回転する。
次に、液体供給機構7を詳細に説明する。液体供給機構7は、図2および図3に示すように、第一クラッチ部CW1を構成するハブ502に設けられている。液体供給機構7は、ハブ502の側面において周方向に複数個所設けられる。液体供給機構7は、図4に拡大して示すように、蓄積室71と、排出側流路72と、供給側流路73と、排出側弁座74と、供給側弁座75と、弁体76と、バネ77(付勢部材)と、を含んで構成される。
蓄積室71は、摩擦プレート52とセパレートプレート53とに供給される冷却用の液体である油を蓄積して貯留する。蓄積室71は、ハブ502のエンジン1に対向する側面において、エンジン1側が開口するように凹状に形成された凹部71aと、凹部71aの開口部分を密封する蓋部材71bとにより形成される室である。なお、蓋部材71bは凹部71aの周縁部に対してシール材を介してボルトにより取り付けられる。ここで、蓄積室71は、保持部503および摩擦プレート52を外周端部において支持しているハブ502の側面に形成される。従って、蓄積室71は、第一クラッチ部CW1を構成する摩擦プレート52と第二クラッチ部CW2を構成するセパレートプレート53との摩擦係合部分Fよりも、第一クラッチ部CW1を構成するハブ502の半径方向(以下、単に「ハブ半径方向」と称呼する。)において内方(軸線P1方向)に形成される。
排出側流路72は、蓄積室71に貯留された油を摩擦係合部分Fに向けて排出する流路である。排出側流路72は、摩擦係合部分Fよりもハブ半径方向において内方であり、且つ、蓄積室71よりもハブ半径方向において外方に形成される。排出側流路72は、一端側が蓄積室71に接続されて開口し、他端側が摩擦係合部分Fに向けて開口している。
供給側流路73は、蓄積室71に油を供給する流路である。供給側流路73は、蓄積室71よりもハブ半径方向において内方に形成される。供給側流路73は、一端側が蓄積室71に接続されて開口し、他端側が、図2に示すように、蓄積室71に供給する油を貯留する貯留部78に接続されている。供給側流路73は、その流路径の大きさが油の流れを阻害しないような(流路抵抗が小さくなるような)流路径の大きさに形成される。ここで、蓄積室71には、クラッチ作動機構6の液圧室64から排出された油も供給され得る。この場合、クラッチ作動機構6の液圧室64から排出された油は、クラッチドラム51の第一延設部511に形成された流路731およびハブ502に形成された流路732を介して供給側流路73に合流する(例えば、図7を参照)。
排出側弁座74は、弁体76が着座するように、蓄積室71と排出側流路72との接続位置に設けられる。供給側弁座75は、弁体76が着座するように、蓄積室71と供給側流路73との接続位置に設けられる。弁体76は、排出側弁座74および供給側弁座75のうちの何れか一方に切り替わるように着座する。弁体76は、排出側弁座74および供給側弁座75に対して着座する弁部の形状が排出側流路72および供給側流路73の流路径よりも大きな直径を有する球面に形成されている。本実施形態においては、弁体76の形状として、球体を採用する。しかし、弁体76の形状は、これに限定されるものではなく、弁部の形状が球面であれば、長手軸線方向に沿った断面形状が楕円状であっても良い。バネ77は、その一端が排出側弁座74に形成されたバネ受け段部74aに固定され、他端が弁体76に固定されている。バネ77は、弁体76を排出側弁座74から供給側弁座75に向けて付勢する。これにより、弁体76は、バネ77の付勢力により、通常、供給側弁座75に着座するようになっている。ここで、バネ77の付勢力の大きさは、エンジン1がアイドル回転数A/Rよりも大きな回転数で作動している場合において、ハブ502とともに回転する液体供給機構7の弁体76に発生する遠心力の大きさよりも小さくなるように設定されている。
貯留部78は、ケース8内で油を貯留することができる部分であって、供給側流路73と連通する場所であれば何処に形成されていても良い。本実施形態では、変速機3の入力軸30の外周面と、クラッチ装置5におけるクラッチドラム51の先端面と、ケース8の軸受86bの下面と、によって形成される空間を貯留部78として利用する(図2を参照)。なお、貯留部78には、例えば、摩擦係合部分Fに排出されて回収される油や、モータ2のロータ22が回転することにより油貯留部85から跳ね上げられて回収される油、或いは、クラッチ作動機構6の液圧室64から排出されて回収される油等が貯留される。
(液体供給機構7の作動)
上記のように構成される液体供給機構7は、第一クラッチ部CW1を構成するハブ502に設けられる。このため、ハブ502が回転した場合であれば、液体供給機構7も回転するので、液体供給機構7には遠心力が発生する。液体供給機構7は、このように発生する遠心力を利用して、蓄積室71に貯留している油を摩擦係合部分Fに向けて排出する。そして、液体供給機構7は、このように発生する遠心力を利用して、油を蓄積室71に供給するとともに蓄積して貯留する。以下、図5A、図5Bおよび図5Cを用いて、液体供給機構7の作動を具体的に説明する。
上記のように構成される液体供給機構7は、第一クラッチ部CW1を構成するハブ502に設けられる。このため、ハブ502が回転した場合であれば、液体供給機構7も回転するので、液体供給機構7には遠心力が発生する。液体供給機構7は、このように発生する遠心力を利用して、蓄積室71に貯留している油を摩擦係合部分Fに向けて排出する。そして、液体供給機構7は、このように発生する遠心力を利用して、油を蓄積室71に供給するとともに蓄積して貯留する。以下、図5A、図5Bおよび図5Cを用いて、液体供給機構7の作動を具体的に説明する。
液体供給機構7が回転していない場合(即ち、ハブ502の回転数がゼロの場合)、弁体76にはハブ半径方向に遠心力が発生しない。この場合、図5Aに示すように、弁体76は、バネ77の付勢力により供給側弁座75方向に付勢されるので、供給側弁座75に着座する。これにより、液体供給機構7が回転していない場合には、少なくとも車両水平方向よりも車両上下方向にて上方(鉛直方向にて上方)に位置する蓄積室71においては、蓄積室71内に貯留されている油が供給側弁座75および供給側流路73を介して流れ出ることはない。即ち、この場合には、蓄積室71内の油は、貯留された状態で維持される。
なお、液体供給機構7の回転停止に伴って車両水平方向よりも車両上下方向にて下方(鉛直方向にて下方)に位置する蓄積室71においては、ケース8内に形成された油貯留部85に対して少なくとも排出側流路72の開口端部が浸漬された状態になる。これにより、車両水平方向よりも車両上下方向にて下方(鉛直方向にて下方)に位置する蓄積室71においては、蓄積室71に貯留された油が排出側弁座74および排出側流路72を介して流れ出ることはない。更に、液体供給機構7の回転停止に伴って車両水平方向近傍に位置する蓄積室71においては、排出側流路72を介して開放された状態となる。この場合、蓄積室71内の油が排出側流路72を介して若干流れ出る可能性があるが、蓄積室71の大きさに比べて排出側流路72の流路径が小さいので、蓄積室71内の油が全量流れ出ることはない。
液体供給機構7が回転すると、蓄積室71内の油には、ハブ半径方向において外方(即ち、排出側弁座74方向)に向けて遠心力が発生する。弁体76が排出側弁座74に着座していない場合には、排出側弁座74を介して蓄積室71と排出側流路72とは連通している。これにより、蓄積室71内の油は、図5Bに示すように、排出側弁座74および排出側流路72を通り、摩擦係合部分Fに向けて排出される。
また、液体供給機構7が回転すると、弁体76にハブ半径方向において外方(即ち、排出側弁座74方向)に向けて遠心力が発生する。この場合、液体供給機構7の回転に伴って、弁体76に作用する遠心力とバネ77の付勢力とが釣り合う状態から弁体76に作用する遠心力が大きくなると、図5Bに示すように、弁体76は、バネ77の付勢力に抗して供給側弁座75から離座する。そして、液体供給機構7の回転数が上昇して弁体76に作用する遠心力が大きくなるにつれて、弁体76は排出側弁座74に向けて移動する。
弁体76が供給側弁座75および排出側弁座74に着座していない状態では、蓄積室71内の油が摩擦係合部分Fに向けて排出されるとともに、供給側流路73内に存在している油が遠心力により蓄積室71に供給される。なお、供給側流路73内の油が遠心力によって蓄積室71方向に吸引されることにより、貯留部78の油が供給側流路73を介して蓄積室71まで流れる。従って、液体供給機構7が回転しており、且つ、蓄積室71内に油が供給され続けることにより、弁体76が排出側弁座74に着座するまでは、蓄積室71内の油が排出側弁座74および排出側流路72を介して摩擦係合部分Fに排出され続ける。
液体供給機構7の回転数が更に上昇し、弁体76に発生する遠心力がバネ77の発生し得る付勢力よりも大きくなると、図5Cに示すように、弁体76は排出側弁座74に着座する。弁体76が排出側弁座74に着座すると、蓄積室71から摩擦係合部分Fに向けて油の排出が禁止される。このように、弁体76が排出側弁座74に着座した状態で、液体供給機構7が回転すると、供給側流路73内に存在している油が遠心力により蓄積室71に流入する。これにより、液体供給機構7が回転しており、弁体76が排出側弁座74に着座した場合には、油が蓄積室71内に蓄積されて貯留される。そして、液体供給機構7の回転が停止した場合には、図5Aに示すように、弁体76が供給側弁座75に着座するので、蓄積室71内の油は貯留された状態で維持される。
(車両用動力伝達装置4の作動)
次に、上記(a)〜(d)の動力伝達経路、即ち、
(a)モータ2からの動力(モータトルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、
(b)エンジン1からの動力(エンジントルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、
(c)エンジン1からの動力(エンジントルク)およびモータ2からの動力(モータトルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、および、
(d)モータ2および/または変速機3からの動力(モータトルクおよび/または車両走行に伴う回転トルク)をエンジン1に伝達する動力伝達経路、
が切り替えられる際の本装置4の作動について、図6〜図8を用いて説明する。なお、下記理由に基づきクラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる場合を詳細に説明する。
次に、上記(a)〜(d)の動力伝達経路、即ち、
(a)モータ2からの動力(モータトルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、
(b)エンジン1からの動力(エンジントルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、
(c)エンジン1からの動力(エンジントルク)およびモータ2からの動力(モータトルク)を変速機3に伝達する動力伝達経路、および、
(d)モータ2および/または変速機3からの動力(モータトルクおよび/または車両走行に伴う回転トルク)をエンジン1に伝達する動力伝達経路、
が切り替えられる際の本装置4の作動について、図6〜図8を用いて説明する。なお、下記理由に基づきクラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる場合を詳細に説明する。
クラッチ装置5が接続状態から遮断状態に切り替えられる状況としては、エンジン1が出力軸10を介して入力軸30に動力を伝達している場合(動力伝達経路(b)および(c)の場合)である。この場合、クラッチ装置5が接続状態から遮断状態に切り替えられるときには、エンジン1(出力軸10)の回転数が低下する。従って、ハブ502の回転数が低下することにより、液体供給機構7の回転数も低下し、その結果、弁体76に発生する遠心力も小さくなる。これにより、液体供給機構7においては、弁体76が排出側弁座74から離座するので、蓄積室71内の油が摩擦係合部分Fに排出される。加えて、クラッチ装置5が接続状態から遮断状態に切り替えられる場合、クラッチ装置5においては、クラッチ作動機構6によって極短時間の内に接続状態から遮断状態に切り替えられる。これらにより、クラッチ装置5が接続状態から遮断状態に切り替えられる場合には、摩擦プレート52とセパレートプレート53との間で摩擦摺動が生じにくく且つ摩擦摺動により摩擦熱が発生しても必然的に冷却が行われる(図6に示す(II)の状態を参照)。
従って、以下の説明においては、上記(a)〜(d)の動力伝達経路の切り替えにおいて、摩擦プレート52(第一クラッチ部CW1)とセパレートプレート53(第二クラッチ部CW2)との間で摩擦摺動が生じて摩擦熱が発生する状況である、クラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる場合を詳細に説明する。
イグニッションスイッチ(図示省略)がON状態であり、運転者が車両を発進させるためにアクセルペダル(図示省略)を踏むと、先ず、動力伝達経路(a)により、モータ2の動力(モータトルク)がクラッチ装置5を介して変速機3の入力軸30に伝達され、左右の駆動輪R,Lが回転して車両が発進する。即ち、この場合には、エンジン1の作動が停止される。
動力伝達経路(a)においては、制御装置9はバッテリを電源とする制御弁90および電動式のオイルポンプ91を作動させる。これにより、オイルポンプ91によって油貯留部85から油が汲み出され、制御弁90を介して加圧された油(油圧)がクラッチ作動機構6の液圧室64に供給される。その結果、液圧室64に供給された油圧の力により、ピストン62がバネ63の付勢力に抗して変速機3方向に移動するので、可動外筒部622の先端部がセパレートプレート53から離間し、摩擦プレート52とセパレートプレート53との摩擦係合が解除される。従って、ノーマルクローズタイプのクラッチ装置5は、接続状態から遮断状態になる。
そして、制御装置9は、バッテリからモータ2の励磁巻線20cに電流を供給し、ロータ22を回転させる。ロータ22が回転すると、ロータ22に連結されているクラッチドラム51が入力軸30とともに軸線P1回りに回転するので、変速機3を介して左右の駆動輪R,Lが回転する。従って、車両は発進する。
この場合、クラッチ装置5が遮断状態であるので、摩擦プレート52とセパレートプレート53とは摩擦係合していない。加えて、モータ2のみが動力(モータトルク)を入力軸30に伝達しているので、エンジン1の出力軸10は回転していない。従って、この場合においては、図6に示す(III)の状態であり、本装置4の液体供給機構7は、弁体76が供給側弁座75に着座した状態となる。この状態においては、蓄積室71内の油は貯留されており、油量は蓄積室71を満たす油量V1となっている。
発進後、例えば、車両を加速させたり、或いは、車両を登坂走行させたりするために、運転者がアクセルペダルをより踏み込む場合「以下、この状況を「高負荷時」と称呼する。」には、エンジン1の動力が入力軸30に伝達される。即ち、この高負荷時においては、動力伝達経路は、動力伝達経路(a)から動力伝達経路(b)または動力伝達経路(c)に切り替えられる。これにより、動力伝達経路(a)から動力伝達経路(b)に切り替えられる場合には、エンジン1の動力(エンジントルク)のみが変速機3の入力軸30に伝達され、左右の駆動輪R,Lが回転して車両が走行する。また、動力伝達経路(a)が動力伝達経路(c)に切り替えられた場合には、エンジン1の動力(エンジントルク)およびモータ2の動力(モータトルク)が変速機3の入力軸30に伝達され、左右の駆動輪R,Lが回転して車両が走行する。
ところで、この場合、停止中のエンジン1を始動または再始動させる必要がある。このため、制御装置9は、一旦、動力伝達経路を動力伝達経路(a)から動力伝達経路(d)に切り替えてエンジン1を始動または再始動させる。以下、動力伝達経路(d)への切り替えについて説明する。
(動力伝達経路(d)への切り替え)
動力伝達経路(d)への切り替えにおいて、制御装置9は制御弁90および電動式のオイルポンプ91を制御し、クラッチ作動機構6の液圧室64への油圧供給を停止させる。このとき、制御装置9は、油圧が徐々に小さくなるように、液圧室64の油圧を減圧する。その結果、液圧室64における油圧の力がバネ63の付勢力よりも徐々に小さくなり、ピストン62がバネ63の付勢力によって緩やかにクラッチ装置5方向に移動するので、可動外筒部622の先端部がセパレートプレート53を徐々に押圧する。
動力伝達経路(d)への切り替えにおいて、制御装置9は制御弁90および電動式のオイルポンプ91を制御し、クラッチ作動機構6の液圧室64への油圧供給を停止させる。このとき、制御装置9は、油圧が徐々に小さくなるように、液圧室64の油圧を減圧する。その結果、液圧室64における油圧の力がバネ63の付勢力よりも徐々に小さくなり、ピストン62がバネ63の付勢力によって緩やかにクラッチ装置5方向に移動するので、可動外筒部622の先端部がセパレートプレート53を徐々に押圧する。
これにより、摩擦プレート52とセパレートプレート53とは、徐々に圧着されることで互いに摩擦摺動し、その後摩擦係合する。摩擦プレート52とセパレートプレート53とが摩擦係合すると、クラッチ装置5は、遮断状態から接続状態になる。このとき、図6にて示す(IV)の状態のように、摩擦プレート52とセパレートプレート53とが互いに摩擦摺動することにより、エンジン1の回転数(図6にて実線で示す)は徐々に上昇する。その後、摩擦プレート52とセパレートプレート53とが摩擦係合することにより、エンジン1の回転数とモータ2の回転数(図6にて破線で示す)とが一致し、更にエンジン1およびモータ2の回転数がアイドル回転数A/Rになると、エンジン1が始動(または再始動)する。
このように、動力伝達経路(d)においては、クラッチドラム51(即ち、モータ2の動力または変速機3の入力軸30の動力)の回転を伝達して、停止しているエンジン1を始動(再始動)させる、換言すれば、ハブ502の回転数をゼロからアイドル回転数A/R以下の回転数まで上昇させる。従って、動力伝達経路(d)に切り替えられる場合は、摩擦プレート52とセパレートプレート53とが摩擦摺動し、その結果、摩擦係合部分Fに摩擦熱が最も発生しやすい場合になる。
このように、摩擦熱が発生して冷却が必要な場合において、液体供給機構7は、ハブ502とともに回転するので、発生する遠心力の大きさに応じて、蓄積室71内の油を摩擦係合部分Fに対して供給することができる。そして、図6にて示す(IV)の状態および図7に示すように、発生する遠心力の大きさに応じて、弁体76は、供給側弁座75から離座し、排出側弁座74に向けて移動するので、蓄積室71内には供給側流路73を介して油が供給される。従って、動力伝達経路(d)に切り替えられた場合、換言すれば、冷却が必要なときに、液体供給機構7は摩擦係合部分Fを効果的に冷却することができる。なお、この状態においては、蓄積室71内に油が流入し続けており(つまり、蓄積室71内が空になることなく)、油量は油量V2(≠ゼロ)となっている。
そして、エンジン1がアイドル回転数A/Rよりも大きな回転数で作動している場合、弁体76にはバネ77が発生し得る付勢力よりも大きな遠心力が発生している。これにより、図6にて示す(I)の状態、図6にて示す(V)の状態および図8に示すように、弁体76は排出側弁座74に着座する。これにより、液体供給機構7は、エンジン1がアイドル回転数A/Rよりも大きな回転数で回転している状態では、摩擦係合部分Fに油を排出しない。
ここで、弁体76が供給側弁座75から離座している場合には、供給側流路73内の油が蓄積室71に向けて流れることに伴って、供給側流路73と連通する貯留部78内の油が供給側流路73内に吸引される。従って、貯留部78内に貯留されている油は、供給側流路73を介して、蓄積室71に供給される(図7および図8参照)。この場合、供給側流路73の流路径は大きくなっているので、油は蓄積室71内に流入することができる。これにより、液体供給機構7が回転する(即ち、ハブ502が回転する)状況では、蓄積室71内に蓄積されて貯留される。
ところで、動力伝達経路(a)により(即ち、クラッチ装置5が遮断状態で)モータ2が変速機3の入力軸30に対して動力(モータトルク)を伝達して車両が走行している、或いは、動力(モータトルク)を伝達できる状態で車両が停車している状況において、エンジン1が作動している場合がある。この場合としては、例えば、車両に搭載された補機類(例えば、パワーステアリング装置の油圧ポンプやエアコンディショナーのコンプレッサー等)を作動させるために、エンジン1がアイドル回転数A/Rで作動している場合がある。
このような状況において、車両が高負荷時になると、動力伝達経路を動力伝達経路(a)から動力伝達経路(b)または動力伝達経路(c)に切り替える必要がある。この場合においても、液体供給機構7は摩擦係合部分Fに液体を供給することができる。即ち、この場合、エンジン1がアイドル回転数A/Rで作動しているので、出力軸10を介してハブ502が回転している。従って、液体供給機構7もハブ502とともに回転しているので、摩擦係合部分Fに油を供給することができる。従って、エンジン1が作動している状態で動力伝達経路(a)から動力伝達経路(b)または動力伝達経路(c)に切り替えられた場合にも、冷却が必要なときに、液体供給機構7は摩擦係合部分Fを効果的に冷却することができる。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態に係る車両用動力伝達装置4は、駆動源として内燃機関(エンジン)1および電動機(モータ)2と、内燃機関(エンジン)1の出力軸10から動力が入力されるとともに電動機(モータ)2と回転連結されて電動機(モータ)2から動力が入力される入力軸30を有して駆動輪R,Lへ動力を出力する変速機3と、を備えた車両に適用される。
本実施形態に係る車両用動力伝達装置4は、内燃機関(エンジン)1の出力軸10と変速機3の入力軸30との間に設けられるクラッチ装置5であって、内燃機関(エンジン)1の出力軸10と一体回転する第一クラッチ部CW1と、変速機3の入力軸30と一体回転する第二クラッチ部CW2と、を備え、第一クラッチ部CW1および第二クラッチ部CW2を摩擦係合させて内燃機関(エンジン)1の動力を変速機3に伝達する接続状態と、第一クラッチ部CW1および第二クラッチ部CW2の摩擦係合を解除して内燃機関(エンジン)1の動力を変速機3に伝達することを遮断する遮断状態と、に切り替えるクラッチ装置5と、クラッチ装置5を接続状態または遮断状態に切り替え動作させるクラッチ作動機構6と、第一クラッチ部CW1および第二クラッチ部CW2に対して冷却用の液体(油)を供給する液体供給機構7と、を備えた車両用動力伝達装置であって、液体供給機構7は、第一クラッチ部CW1に設けられており、クラッチ作動機構6によりクラッチ装置5が接続状態または遮断状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1が回転した場合に、第一クラッチ部CW1と第二クラッチ部CW2との摩擦係合部分Fに対して液体(油)を供給するように構成される。
これによれば、液体供給機構7は、第一クラッチ部CW1(より具体的には、ハブ502)に設けられる。このため、第一クラッチ部CW1(より具体的には、ハブ502)が回転する(回転している)状態であれば、液体供給機構7も回転するので、液体供給機構7に対して遠心力が発生する。これにより、液体供給機構7は、クラッチ作動機構6によりクラッチ装置5が接続状態または遮断状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1(ハブ502)が回転しているときに、発生した遠心力を利用して冷却用の液体(油)を供給することができる。
また、この場合、第一クラッチ部CW1が回転し、且つ、第一クラッチ部CW1の回転数と第二クラッチ部CW2の回転数との間に回転数差が生じた場合に、第一クラッチ部CW1と第二クラッチ部CW2との摩擦係合部分Fに対して液体(油)を供給するように構成することができる。これによれば、クラッチ作動機構6によりクラッチ装置5が接続状態または遮断状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1(ハブ502および摩擦プレート52)の回転数と第二クラッチ部CW2(クラッチドラム51およびセパレートプレート53)の回転数との間の回転数差が生じていれば、第一クラッチ部CW1の摩擦プレート52および第二クラッチ部CW2のセパレートプレート53の間に摩擦摺動が発生している。従って、クラッチ作動機構6によりクラッチ装置5が接続状態または遮断状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1(ハブ502および摩擦プレート52)が回転し、且つ、第一クラッチ部CW1(ハブ502および摩擦プレート52)の回転数と第二クラッチ部CW2(クラッチドラム51およびセパレートプレート53)の回転数との間の回転数差が生じた場合には、液体供給機構7は、摩擦摺動によって摩擦熱の発生している摩擦係合部分Fに対して確実に冷却用の液体(油)を供給することができる。これにより、液体供給機構7は、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを冷却することが必要なときには、摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。
加えて、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転に伴い液体供給機構7に作用する遠心力を利用して液体(油)を第一クラッチ部CW1と第二クラッチ部CW2との摩擦係合部分Fに供給するので、別途電動供給装置等を設ける必要がない。従って、低コスト且つ簡易な構造により、液体供給機構7は、摩擦係合部分Fに液体(油)を供給して冷却することができる。
この場合、液体供給機構7は、クラッチ作動機構6によってクラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1が回転し、且つ、第一クラッチ部CW1の回転数と第二クラッチ部CW2の回転数との間に回転数差が生じた場合に、第一クラッチ部CW1と第二クラッチ部CW2との摩擦係合部分Fに対して液体(油)を供給するように構成される。
上述したように、クラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる際には、第一クラッチ部CW1と第二クラッチ部CW2との摩擦係合部分Fに摩擦摺動による摩擦熱が発生しやすくなる。従って、クラッチ装置5が遮断状態から接続状態に切り替えられる場合において、第一クラッチ部CW1(ハブ502および摩擦プレート52)が回転し、且つ、第一クラッチ部CW1(ハブ502および摩擦プレート52)の回転数と第二クラッチ部CW2(クラッチドラム51およびセパレートプレート53)の回転数との間の回転数差が生じた場合には、液体供給機構7は、摩擦摺動によって摩擦熱の発生している摩擦係合部分Fに対して確実に且つ多量に冷却用の液体(油)を供給することができる。これにより、液体供給機構7は、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを冷却することが必要なときには、摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。
これらの場合、液体供給機構7は、摩擦係合部分Fよりも半径方向(ハブ半径方向)において内方に形成されて、液体(油)を蓄積して貯留する蓄積室71と、摩擦係合部分Fよりも半径方向(ハブ半径方向)において内方で且つ蓄積室71よりも半径方向(ハブ半径方向)において外方に形成される流路であって、一端側が蓄積室71に接続され、他端側が摩擦係合部分Fに向けて開口しており、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転によって蓄積室71に貯留された液体(油)を摩擦係合部分Fに向けて排出する排出側流路72と、蓄積室71よりも半径方向(ハブ半径方向)において内方に形成される流路であって、一端側が蓄積室71に接続され、他端側が液体(油)の貯留部78と連通しており、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転によって蓄積室71に液体(油)を供給する供給側流路73と、蓄積室71と排出側流路72との接続位置に形成された排出側弁座74と、蓄積室71と供給側流路73との接続位置に形成された供給側弁座75と、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数に応じて、排出側弁座74および供給側弁座75のうちの一方に着座する弁体76と、を備えるように構成される。
これによれば、第一クラッチ部CW1(ハブ502)が回転することにより、蓄積室71、排出側流路72、供給側流路73、および、弁体76には遠心力が発生する。従って、これらの場合であっても、摩擦係合部分Fに冷却が必要なときには、液体供給機構7は、摩擦係合部分Fに対して確実に冷却用の液体(油)を供給することができる。従って、簡易且つ簡便な構造により、液体供給機構7は、液体(油)を摩擦係合部分Fに供給して冷却することができる。
また、これらの場合、弁体76は、第一クラッチ部CW1の回転数が内燃機関(エンジン)1のアイドル回転数A/Rよりも大きいときに、排出側弁座74に着座するように構成される。
上記(a)〜(c)の動力伝達経路の切り替えに際しては、切り替えに伴う衝撃等を和らげるため、内燃機関(エンジン)1がアイドル回転数A/R以下で作動しているときに切り替えられる場合がある。また、通常、上記(d)の動力伝達経路の切り替える場合には、内燃機関(エンジン)1の回転数がアイドル回転数A/Rになった時点で内燃機関(エンジン)1が始動(再始動)していると判定される。従って、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数が内燃機関(エンジン)1のアイドル回転数A/Rよりも大きくなったときに弁体76を排出側弁座74に着座させることができる。これにより、第一クラッチ部CW1(摩擦プレート52)と第二クラッチ部CW2(セパレートプレート53)との間に摩擦摺動が生じ易い状況において、選択的に、蓄積室71内の液体(油)を排出側弁座74および排出側流路72を介して摩擦係合部分Fに供給することができる。従って、液体供給機構7は、選択的に、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。
また、弁体76は、排出側流路72の流路径および供給側流路73の流路径の何れの流路径よりも大きな直径とされた球面を有し、球面が排出側弁座74および供給側弁座75のうちの一方に着座するように形成されており、弁体76が、排出側弁座74から供給側弁座75に向けて付勢する付勢部材(バネ)77により支持されており、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数がゼロのとき、少なくとも供給側弁座75に着座するように構成される。
これによれば、球体にされた弁体76は、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数がゼロのときには、付勢部材(バネ)77によって供給側弁座75に着座することができる。従って、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数がゼロの場合であって遠心力が発生していない場合であっても、蓄積室71内の液体(油)が供給側流路73から流出することを確実に防止することができる。ところで、弁体76に作用する遠心力は、弁体76の質量、弁体76の回転半径および弁体76の回転角速度(第一クラッチ部CW1の回転角速度、即ち、内燃機関(エンジン)1の回転数)に比例する。一方、弁体76が付勢部材(バネ)77により排出側弁座74から供給側弁座75に向けて付勢されている付勢力は、バネ定数の大きさを比例定数とすれば、弁体76の移動距離に比例する。従って、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数に応じて、弁体76を供給側弁座75から排出側弁座74に向けて移動させる場合、例えば、付勢部材(バネ)77のバネ定数を適宜設定することにより実現することができる。これにより、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転数に応じて、弁体76を供給側弁座75から排出側弁座74に向けて移動させることができる。
従って、この場合においても、液体供給機構7は、極めて簡易且つ簡便な構造により、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。
また、これらの液体供給機構7は、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の周方向に沿って複数設けられる。
これによれば、液体供給機構7が第一クラッチ部CW1(より具体的には、ハブ502)の周方向に沿って複数設けられるので、より確実に、冷却用の液体(油)を摩擦係合部分Fに供給することができる。また、1つの液体供給機構7(具体的に、1つの蓄積室71)だけ設けられている場合、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転が停止したときに排出側弁座74および排出側流路72が車両下方(鉛直上下方向における下方)を向くと、自重により液体(油)が排出側弁座74および排出側流路72を介して排出される可能性がある。これに対して、液体供給機構7が複数(蓄積室71が複数)形成されていれば、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転が停止したときに排出側弁座74および排出側流路72が車両上方(鉛直上下方向における上方)を向くものがあり、蓄積された液体(油)が全て排出されることを効果的に防止することができる。
従って、液体供給機構7は、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。加えて、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の周方向に沿って液体供給機構7(蓄積室71)が複数設けられた場合、第一クラッチ部CW1の質量を軽量化できる場合がある。第一クラッチ部CW1が軽量化されると、第一クラッチ部CW1のイナーシャーが低減されるので、動力伝達経路を介して動力を効率よく伝達することができる。
更に、これらの場合、電動機(モータ)2が、第二クラッチ部CW2に回転連結される。
これによれば、電動機(モータ)2を車両用動力伝達装置4と一体化することができる。これにより、内燃機関(エンジン)1と変速機3との間に別途電動機(モータ)を組み付ける必要がなくなり、作業者による組み付け作業性を向上させることができる。また、電動機(モータ)2を車両用動力伝達装置4と一体化させることにより、例えば、従来の内燃機関(エンジン)および変速機のみを有する車両に対して、大幅な変更を施すことなく、電動機(モータ)2と車両用動力伝達装置4を組み付けることが可能になる。即ち、一体化した電動機(モータ)2と車両用動力伝達装置4の汎用性を高めることができ、その結果、車両の製造コストを低減することも可能になる。
(本発明の実施形態の第一変形例)
上記実施形態においては、本装置4を構成する液体供給機構7の弁体76が球面を有する球体であるとして実施した。この場合、図9および図10に示すように、弁体76の形状を板状の弁体に変更して実施することが可能である。以下、この変形例を詳細に説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付しその説明を省略する。
上記実施形態においては、本装置4を構成する液体供給機構7の弁体76が球面を有する球体であるとして実施した。この場合、図9および図10に示すように、弁体76の形状を板状の弁体に変更して実施することが可能である。以下、この変形例を詳細に説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付しその説明を省略する。
この第一変形例においては、液体供給機構7は、板状体の弁体79を有する。弁体79は、第一弁体791と第二弁体792とから構成される。第一弁体791は、排出側弁座74に着座するように、蓄積室71内にて排出側弁座74側に設けられる。第二弁体792は、供給側弁座75に着座するように、蓄積室71内にて供給側弁座75側に設けられる。第一弁体791は、図9に示すように、バネ771によって排出側弁座74から離座する方向に付勢されている。第二弁体792は、図9に示すように、バネ772によって供給側弁座75に着座する方向に付勢されている。
このように構成された液体供給機構7においては、ハブ502が回転して液体供給機構7に遠心力が発生すると、第一弁体791および第二弁体792にも遠心力が発生する。第一弁体791は、ハブ502の回転数(即ち、エンジン1の出力軸10の回転数)がアイドル回転数A/Rよりも大きいときに、図10に示すように、発生した遠心力の大きさがバネ771の付勢力よりも大きくなって、排出側弁座74に着座する。第二弁体792は、ハブ502が回転しているときに、図10に示すように、発生した遠心力の大きさがバネ772の付勢力よりも大きくなって、供給側弁座75から離座する。
このように構成された第一変形例においても、液体供給機構7が回転していない状況(即ち、エンジン1の回転数がゼロでありハブ502が回転していない状況)では、遠心力が発生しないので、バネ772の付勢力により第二弁体792は供給側弁座75に着座している(図9参照)。これにより、既に蓄積室71に貯留されている油は供給側弁座75および供給側流路73を介して貯留部78に流れることはない。
また、この第一変形例においても、第一弁体791および第二弁体792に発生する遠心力の大きさは第一弁体791および第二弁体792の回転角速度(即ち、エンジン1の回転数)に比例して大きくなる。従って、第一弁体791および第二弁体792の回転角速度が大きくなるにつれて遠心力が大きくなり、発生した遠心力が第二弁体792に付与されているバネ772の付勢力よりも大きくなると、第二弁体792は供給側弁座75から離座する。これにより、蓄積室71と供給側流路73とが連通した状態になる。
従って、第二弁体792が供給側弁座75から離座して蓄積室71と供給側流路73とが連通している場合には、供給側流路73内に存在している油が遠心力により蓄積室71に向けて流れて流入する。また、供給側流路73内の油が蓄積室71に向けて流れることに伴って、供給側流路73と連通する貯留部78内の油が供給側流路73内に吸引される。従って、貯留部78内に貯留されている油は、供給側流路73を介して、蓄積室71に供給される。これにより、液体供給機構7が回転する(即ち、ハブ502が回転する)状況では、油が蓄積室71内に蓄積されて貯留される。
一方、液体供給機構7の回転が停止する(即ち、エンジン1の回転数が低下してハブ502の回転が停止する)状況では、第一弁体791および第二弁体792の回転角速度の低下に伴って遠心力の大きさが小さくなる。従って、この場合には、第二弁体792は、バネ772の付勢力により供給側弁座75方向に付勢されるので、液体供給機構7の回転が停止(即ち、エンジン1の回転数がゼロになってハブ502の回転が停止)すると、供給側弁座75に着座する。これにより、ハブ502の回転停止に伴って少なくとも車両水平方向よりも車両上下方向にて上方(鉛直方向にて上方)に位置する液体供給機構7においては、上述したように蓄積室71に貯留された油が供給側弁座75および供給側流路73を介して流れ出ることはない。
また、液体供給機構7と一体回転するハブ502(即ち、エンジン1の出力軸10)の回転数がエンジン1のアイドル回転数A/R以下に相当する回転数のときは、第一弁体791および第二弁体792の回転角速度は比較的小さい。従って、第一弁体791に発生する遠心力の大きさは比較的小さくなるので、第一弁体791は、バネ771を支点として排出側弁座74に着座する方向に回動する状態になる。
第一弁体791が排出側弁座74に着座していない状態では、排出側弁座74を介して、蓄積室71と排出側流路72とは連通している。加えて、液体供給機構7が回転する(即ち、ハブ502が回転する)状況では、蓄積室71内に存在する油にもハブ半径方向において外方に向けて遠心力が発生する。従って、第一弁体791の回転角速度が大きくなって第一弁体791が排出側弁座74に着座するまでの間は、蓄積室71内の油は、排出側弁座74および排出側流路72を通り、摩擦係合部分Fに向けて排出される。
一方で、上述したように、遠心力が発生して第二弁体792が供給側弁座75に着座していない状態では、供給側流路73を介して油が蓄積室71内に流入し続ける。つまり、第二弁体792が排出側弁座74に着座するまでは、蓄積室71内に油が供給され続けるので、蓄積室71内の油は排出側弁座74および排出側流路72を介して摩擦プレート52とセパレートプレート53との摩擦係合部分Fに排出され続ける。
更に、液体供給機構7と一体回転するハブ502(即ち、エンジン1の出力軸10)の回転数がエンジン1のアイドル回転数A/Rよりも大きな回転数に相当するときは、第一弁体791および第二弁体792の回転角速度も大きい。従って、第一弁体791に発生する遠心力がバネ771による付勢力よりも大きくなるので、第一弁体791は排出側弁座74に着座する。このように、ハブ502が回転しており、且つ、第一弁体791が排出側弁座74に着座している場合には、図10に示すように、蓄積室71内の油は排出側流路72を介して摩擦係合部分Fに向けて排出されない。
なお、この状態においても、第二弁体792は、供給側弁座75に着座していない。このため、供給側流路73内に存在している油および貯留部78に貯留されている油は遠心力により蓄積室71内に流入し続ける。従って、この場合には、供給側弁座75および供給側流路73を介して油が蓄積室71内に流入するので、蓄積室71内に油が満たされる。
このように、上記実施形態の第一変形例に係る液体供給機構7においては、弁体79(791,792)は、排出側流路72および供給側流路73をそれぞれ覆う板状体であり、排出側弁座74に着座する弁体791が、排出側弁座74に着座する方向に付勢する付勢部材(バネ)771により支持されて、第一クラッチ部CW1の回転数が内燃機関(エンジン)1のアイドル回転数A/Rよりも大きいとき、少なくとも排出側弁座74に着座するように構成され、供給側弁座75に着座する弁体792が、供給側弁座75に着座する方向に付勢する付勢部材(バネ)772により支持されて、第一クラッチ部CW1の回転数がゼロのとき、少なくとも供給側弁座75に着座するように構成される。
これによれば、第一クラッチ部CW1の回転数が内燃機関(エンジン)1のアイドル回転数A/Rよりも大きいときは、発生した遠心力により、弁体791が排出側弁座74に着座する。このため、液体供給機構7は、蓄積室71内の液体(油)を摩擦係合部分Fに排出しない。このため、第一クラッチ部CW1の回転数が内燃機関(エンジン)1のアイドル回転数A/Rよりも大きくなるまでは、発生した遠心力により、蓄積室71内の液体(油)を排出側弁座74および排出側流路72を介して摩擦係合部分Fに供給することができる。また、第一クラッチ部CW1の回転数がゼロになるまでは、発生した遠心力により、供給側流路73および供給側弁座75を介して蓄積室71内に液体(油)を蓄積することができる。さらに、第一クラッチ部CW1の回転数がゼロになると、弁体792が供給側弁座75に着座するので、蓄積室71内に液体(油)が供給側流路73を介して貯留部78に流出することを防止することができる。
従って、この第一変形例の場合においても、摩擦摺動で発生した摩擦熱により加熱された摩擦係合部分Fを確実に冷却することができる。加えて、この第一変形例の場合であっても、第一クラッチ部CW1(ハブ502)の回転に伴い液体供給機構7に作用する遠心力を利用して液体(油)を摩擦係合部分Fに供給するので、別途供給装置および別途制御装置等を設ける必要がない。従って、極めて簡易且つ簡便な構造により、液体供給機構7は、液体(油)を摩擦係合部分Fに供給して冷却することができる。
(本発明の実施形態の第二変形例)
上記実施形態および上記第一変形例においては、クラッチ装置5がノーマルクローズタイプのクラッチであるとして実施した。この場合、クラッチ装置5を、所謂、ノーマルオープンタイプのクラッチに変更して実施することも可能である。以下、上述した実施形態の第二変形例を詳細に説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
上記実施形態および上記第一変形例においては、クラッチ装置5がノーマルクローズタイプのクラッチであるとして実施した。この場合、クラッチ装置5を、所謂、ノーマルオープンタイプのクラッチに変更して実施することも可能である。以下、上述した実施形態の第二変形例を詳細に説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
この第二変形例においては、上述したクラッチ装置5のクラッチ作動機構6が図11に示すように変更される。具体的に、この第二変形例におけるクラッチ作動機構16においても、上述したクラッチ作動機構6の固定プレート61、ピストン62、バネ63および液圧室64と同様に機能する、固定プレート161、ピストン162、バネ163および液圧室164を有している。但し、この第二変形例においては、上述したクラッチ作動機構6のクラッチドラム51内におけるピストン62を中心としたときのバネ63および液圧室64の配置に対して、バネ163および液圧室164の配置が逆になる点で異なる。
このように構成される第二変形例においては、液圧室164に油圧が供給されていない場合、ピストン162に対してバネ163からの付勢力が付与される。この場合、ピストン162は変速機3側に(クラッチ装置5から離れる方向に)向けて移動する。従って、液圧室164に油圧が供給されていない場合には、ピストン162は、クラッチ装置5のセパレートプレート53から離間し、摩擦プレート52とセパレートプレート53との摩擦係合を解除させる。即ち、液圧室164に油圧が供給されていない場合、クラッチ装置5は遮断状態になるので、第二変形例におけるクラッチ装置5は、ノーマルオープンタイプのクラッチである。遮断状態のクラッチ装置5は、エンジン1の出力軸10から変速機3の入力軸30へのエンジン1の動力(エンジントルク)の伝達を遮断する。この場合、モータ2が駆動していれば、クラッチドラム51がモータ2のロータ22とともに回転するので、変速機3の入力軸30にモータ2の動力(モータトルク)が伝達される。従って、左右の駆動輪R,Lは回転する。
液圧室164に油圧が供給された場合、ピストン162に対して液圧室164の油圧による力とバネ163からの付勢力とが付与される。液圧室164の油圧による力がバネ163からの付勢力よりも大きい場合、ピストン162はクラッチ装置5に向けて移動する。従って、液圧室164に油圧が供給された場合には、ピストン162は、クラッチ装置5のセパレートプレート53に当接し、更にセパレートプレート53を摩擦プレート52に向けて移動させて摩擦係合させる。即ち、液圧室164に油圧が供給された場合、クラッチ装置5は接続状態になる。接続状態のクラッチ装置5は、エンジン1の出力軸10から変速機3の入力軸30にエンジン1の動力(エンジントルク)を伝達させる。より詳しくは、エンジン1が作動していれば、出力軸10が回転するため、クラッチ装置5の入力部材50が回転し、摩擦係合状態の摩擦プレート52およびセパレートプレート53が軸線P1回りに回転し、クラッチドラム51がモータ2のロータ22とともに回転し、変速機3の入力軸30が回転し、左右の駆動輪R,Lが回転する。
従って、この第二変形例においても、クラッチ作動機構6により、クラッチ装置5を遮断状態および接続状態に切り替えることができるので、上記実施形態および上記第一変形例と同様の効果が期待できる。
(その他の変形例)
本発明は上記実施形態および各変形例に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
本発明は上記実施形態および各変形例に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記実施形態においては、液体供給機構7を構成するバネ77が排出側弁座74側に設けられ、バネ77が弁体76を排出側弁座74から供給側弁座75に向けて付勢する(押圧する)ようにした。この場合、バネ77を供給側弁座75側に設け、バネ77が弁体76を排出側弁座74から供給側弁座75に向けて付勢する(吸引する)ようにもできる。このように、バネ77の配置を変更した場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態および各変形例では、ケース8内にモータ2を一体的に設けるようにした。この場合、モータ2をケース8外に設けることもできる。この場合においても、モータ2の動力(モータトルク)がクラッチ装置5に伝達されることにより、上記実施形態および各実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態および各変形例では、付勢部材としてバネ77およびバネ771,772を用いるようにした。この場合、上記実施形態および各変形例で説明したように、弁体76および弁体79(791,792)を付勢することができるもの(ソレノイド等の電磁的手段等)であれば、如何なるものをも付勢部材として採用できる。これにより、上記実施形態および各変形例と同様の効果が得られる。
更に、上記各実施形態および各変形例では、液体供給機構7の弁体76および弁体79(791,792)がバネ77およびバネ771,772によって付勢されるようにした。この場合、これらバネ77およびバネ771,772を省略することも可能である。液体(油)が蓄積室71に供給される場合、および、液体(油)が蓄積室71から排出される場合、液体(油)は蓄積室71内を流動する。流動する液体(油)は粘性を有しているので、液体(油)の流動に伴う押圧力または吸引力が弁体76および弁体791,792に作用する。これら押圧力および吸引力はバネ77およびバネ771,772の付勢力と同様に作用するので、バネ77およびバネ771,772を省略した場合であっても、上記実施形態および各変形例と同様の効果が得られる。
1…エンジン(内燃機関)、2…モータ(電動機)、3…変速機、4…車両用動力伝達装置、5…クラッチ装置、502…ハブ、51…クラッチドラム、52…摩擦プレート、53…セパレートプレート、6…クラッチ作動機構、7…液体供給機構、71…蓄積室、72…排出側流路、73…供給側流路、74…排出側弁座、75…供給側弁座、76…弁体、77…バネ、8…ケース、9…制御装置、CW1…第一クラッチ部、CW2…第二クラッチ部、F…摩擦係合部分、R,L…駆動輪
Claims (6)
- 駆動源として内燃機関および電動機と、前記内燃機関の出力軸から動力が入力されるとともに前記電動機と回転連結されて前記電動機から動力が入力される入力軸を有して駆動輪へ動力を出力する変速機と、を備えた車両に適用され、
前記内燃機関の前記出力軸と前記変速機の前記入力軸との間に設けられるクラッチ装置であって、前記内燃機関の前記出力軸と一体回転する第一クラッチ部と、前記変速機の前記入力軸と一体回転する第二クラッチ部と、を備え、前記第一クラッチ部および前記第二クラッチ部を摩擦係合させて前記内燃機関の動力を前記変速機に伝達する接続状態と、前記第一クラッチ部および前記第二クラッチ部の摩擦係合を解除して前記内燃機関の動力を前記変速機に伝達することを遮断する遮断状態と、に切り替えるクラッチ装置と、
前記クラッチ装置を前記接続状態または前記遮断状態に切り替え動作させるクラッチ作動機構と、
前記第一クラッチ部および前記第二クラッチ部に対して冷却用の液体を供給する液体供給機構と、
を備えた車両用動力伝達装置であって、
前記液体供給機構は、
前記第一クラッチ部に設けられており、
前記クラッチ作動機構により前記クラッチ装置が前記接続状態または前記遮断状態に切り替えられる場合において、前記第一クラッチ部が回転した場合に、前記第一クラッチ部と前記第二クラッチ部との摩擦係合部分に対して前記液体を供給するように構成された車両用動力伝達装置。 - 前記液体供給機構は、
前記摩擦係合部分よりも半径方向において内方に形成されて、前記液体を蓄積して貯留する蓄積室と、
前記摩擦係合部分よりも前記半径方向において内方で且つ前記蓄積室よりも前記半径方向において外方に形成される流路であって、一端側が前記蓄積室に接続され、他端側が前記摩擦係合部分に向けて開口しており、前記第一クラッチ部の回転によって前記蓄積室に貯留された前記液体を前記摩擦係合部分に向けて排出する排出側流路と、
前記蓄積室よりも前記半径方向において内方に形成される流路であって、一端側が前記蓄積室に接続され、他端側が前記液体の貯留部と連通しており、前記第一クラッチ部の回転によって前記蓄積室に前記液体を供給する供給側流路と、
前記蓄積室と前記排出側流路との接続位置に形成された排出側弁座と、
前記蓄積室と前記供給側流路との接続位置に形成された供給側弁座と、
前記第一クラッチ部の回転数に応じて、前記排出側弁座および前記供給側弁座のうちの一方に着座する弁体と、
を備えるように構成された、請求項1に記載の車両用動力伝達装置。 - 前記弁体は、
前記第一クラッチ部の回転数が前記内燃機関のアイドル回転数よりも大きいときに、前記排出側弁座に着座するように構成された、請求項2に記載の車両用動力伝達装置。 - 請求項2または請求項3に記載の車両用動力伝達装置において、
前記弁体は、
前記排出側流路の流路径および前記供給側流路の流路径の何れの流路径よりも大きな直径とされた球面を有し、前記球面が前記排出側弁座および前記供給側弁座のうちの一方に着座するように形成されており、
前記弁体が、
前記排出側弁座から前記供給側弁座に向けて付勢する付勢部材により支持されており、前記第一クラッチ部の回転数がゼロのとき、少なくとも前記供給側弁座に着座するように構成された車両用動力伝達装置。 - 請求項2または請求項3に記載の車両用動力伝達装置において、
前記弁体は、
前記排出側流路および前記供給側流路をそれぞれ覆う板状体であり、
前記排出側弁座に着座する前記弁体が、
前記排出側弁座に着座する方向に付勢する付勢部材により支持されて、前記第一クラッチ部の回転数が前記内燃機関のアイドル回転数よりも大きいとき、少なくとも前記排出側弁座に着座するように構成され、
前記供給側弁座に着座する前記弁体が、
前記供給側弁座に着座する方向に付勢する付勢部材により支持されて、前記第一クラッチ部の回転数がゼロのとき、少なくとも前記供給側弁座に着座するように構成された車両用動力伝達装置。 - 前記液体供給機構は、
前記第一クラッチ部の周方向に沿って複数設けられる、請求項1乃至請求項5のうちの何れか一項に記載の車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016176690A JP2018040478A (ja) | 2016-09-09 | 2016-09-09 | 車両用動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016176690A JP2018040478A (ja) | 2016-09-09 | 2016-09-09 | 車両用動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018040478A true JP2018040478A (ja) | 2018-03-15 |
Family
ID=61625476
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016176690A Pending JP2018040478A (ja) | 2016-09-09 | 2016-09-09 | 車両用動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018040478A (ja) |
-
2016
- 2016-09-09 JP JP2016176690A patent/JP2018040478A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US8561775B2 (en) | Vehicle drive device | |
CN102007012B (zh) | 车辆用驱动装置 | |
CN100472103C (zh) | 用于电动变速传动的扭矩减震器组件的液压回路 | |
JP5131153B2 (ja) | 車両用駆動装置 | |
US8327986B2 (en) | Combined power transmission, start-up unit and drive system | |
WO2012117914A1 (ja) | 車両用駆動装置 | |
US9636990B2 (en) | Hybrid drive apparatus | |
JP5672980B2 (ja) | 車両用駆動システム | |
JP5508835B2 (ja) | ハイブリッド車両の駆動装置 | |
JP2006137406A (ja) | 複数の駆動源を備えた車両用駆動装置 | |
JP2012102835A (ja) | 車両用クラッチ装置 | |
US20220379712A1 (en) | Compact p2 hybrid architecture | |
US20120217121A1 (en) | Hybrid drive apparatus | |
JP2014004895A (ja) | 車両用駆動力伝達構造 | |
JP2013199183A (ja) | 車両用駆動装置 | |
JP5310783B2 (ja) | 動力伝達装置 | |
JP2018040478A (ja) | 車両用動力伝達装置 | |
JP2013132996A (ja) | 車輌用駆動装置 | |
JP5533494B2 (ja) | 車両用クラッチ装置 | |
JP5375543B2 (ja) | ハイブリッド車両用駆動装置 | |
JP2013124769A (ja) | 車両用クラッチ装置 | |
JP2011069403A (ja) | 車両用駆動装置 | |
JP2014073756A (ja) | ハイブリッド車両用駆動装置 | |
JP2018168906A (ja) | 車両用動力伝達装置 | |
JP4690360B2 (ja) | カップリング |