JP2018040394A - 車両用ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】初期制動力を低下させることなくブレーキ操作解除後のディスクロータとブレーキパッド間の間隔を確保し得る車両用ディスクブレーキ装置を提供すること。【解決手段】キャリパ18の一部を構成するシリンダ部20内においてピストン22を往復移動させてブレーキパッド14,16を車輪と共に回転するディスクロータ12に対して接離させる車両用ディスクブレーキ装置10である。車両用ディスクブレーキ装置10は、ピストン22及びシリンダ部20のそれぞれに取り付けられた磁石(但し、少なくとも一方の磁石は電磁石30である)と、電磁石30へと供給される電流の流れを制御する電磁石制御部36と、を有する。これにより、ブレーキ操作解除後のブレーキパッドの戻り方向への移動が磁力により補助され、いわゆる引きずりが低減し、燃費の向上を図ることができる。また、ブレーキ操作時にはこのブレーキパッドの戻り方向への移動を補助する磁力を発生させないことで、装置の初期制動力の低下を回避することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ディスクブレーキ装置に関し、特に、キャリパの一部を構成するシリンダ部内においてピストンを往復移動させてブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに対して接離させる車両用ディスクブレーキ装置に関する。
従来、車両のブレーキ装置として、ディスクブレーキ装置が一般に用いられている。ディスクブレーキ装置とは、車輪とともに回転するディスクロータを、ブレーキキャリパに組みこまれたブレーキパッドで押さえつけることにより摩擦力を発生させ、その摩擦力、すなわち、運動エネルギーを熱エネルギーに変換して車輪を制動するブレーキ装置である。
図6は、従来のいわゆる浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置の断面を示す模式図である。図示のように、ディスクブレーキ装置100は、円板状のディスクロータ102の両側に配置されたインナブレーキパッド104及びアウタブレーキパッド106と、図示しないマウンティングに支持されたキャリパ108と、を有する。
キャリパ108は、アウタ側のアウタブレーキパッド106の背面側に接するアウタ爪部108aを有し、インナ側のシリンダ部108bにはリング状のゴム製ピストンシール110を外周面に装着したピストン112が挿入されている。
ピストン112、シリンダ部108b及びゴム製ピストンシール110で覆われた領域はブレーキ液が注入される領域であり、ブレーキ時には車両の運転者によるブレーキペダルの踏み操作に伴ってピストン112に液圧がかかり、ピストン112がインナブレーキパッド104をディスクロータ102の内側面102aに押し付ける一方、その反力を受けてアウタ爪部108aがアウタブレーキパッド106を引き寄せてディスクロータ102の外側面102bに押し付け、車輪を制動する。
運転者がブレーキペダルを離すと、ブレーキ液のシリンダ部108b外への移動に伴ってピストン112が引き戻され、インナブレーキパッド104及びアウタブレーキパッド106がそれぞれディスクロータ102の内側面102a及び外側面102bから離反することで車輪の制動が解除される。
しかし、上記ディスクブレーキ装置では、運転者によるブレーキ解除操作がなされた後、ブレーキ液のシリンダ部108b外への移動が遅かったり、弾性変形したゴム製ピストンシール110が元の形状に戻りにくかったりなどの理由で、ピストン112が元の位置まで戻りきらず、ディスクロータ102とブレーキパッド(インナブレーキパッド104及びアウタブレーキパッド106)との間隔を確保できずにいわゆる「引きずり」が発生し、抵抗が増えて燃費を悪化させる原因となっている。
特許文献1には、この引きずりを防止するための機構が開示されている。具体的には、一本のばね線材から曲成された平面視U字乃至V字形状のリトラクションスプリングの両先端部をそれぞれインナブレーキパッド及びアウタブレーキパッドに取り付け、両ブレーキパッド間に互いに間隔を広げようとする力を作用させるものである。
このリトラクションスプリングによれば、運転者によるブレーキ解除操作がなされた後はインナブレーキパッド及びアウタブレーキパッド間に互いに間隔を広げようとする力が作用し、ディスクロータ及びブレーキパッド(インナブレーキパッド104及びアウタブレーキパッド106)の間隔が確保される。
実開昭56−104637号公報
しかし、特許文献1のリトラクションスプリングによれば、運転者によるブレーキ操作解除後にディスクロータとブレーキパッドとの間隔を確保することが可能となるものの、インナブレーキパッド及びアウタブレーキパッドは常にリトラクションスプリングによってディスクロータから離反する方向に付勢されているため、ブレーキ操作の際にも抵抗が増大している。
すなわち、特許文献1のディスクブレーキ装置は、リトラクションスプリングが無いディスクブレーキ装置と比較してブレーキ操作時にブレーキパッドがディスクロータへと押し付けられるまでの時間が増大し、初期制動力が低下するおそれがある。初期制動力の低下は制動距離の増大をもたらすため、安全性の観点から問題となる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、初期制動力を低下させることなくブレーキ操作解除後のディスクロータとブレーキパッド間の間隔を確保し得る車両用ディスクブレーキ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
キャリパの一部を構成するシリンダ部内においてピストンを往復移動させてブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに対して接離させる車両用ディスクブレーキ装置において、前記ピストン及び前記シリンダ部のそれぞれに取り付けられた磁石(但し、少なくとも一方の磁石は電磁石である)と、前記電磁石へと供給される電流の流れを制御する電磁石制御部と、を有する前記ピストンの往復移動補助機構を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、電磁石制御部は電磁石へと供給される電流の流れを制御することで両磁石間の磁場を変化させ、ピストンの往復移動を補助する機能を奏する。すなわち、運転者のブレーキ操作に伴ってブレーキパッドがディスクロータに圧接して車輪が制動された後、ブレーキ操作が解除された際に、電磁石制御部が所定期間電磁石に電流を流す制御を行うことで、電磁石に他方の磁石に対して引き合う方向又は反発する方向へと変化する磁場を発生させてピストンのディスクロータから離反する方向への移動を補助することが可能となる。これにより、ブレーキ操作解除後のブレーキパッドとディスクロータとの間隔が確保される。
また、ブレーキ操作が必要なときには電磁石制御部が上述の場合と同じ方向に電流を流す制御を行わないことで、ブレーキパッドをディスクロータから離反させる磁力が発生しないようにすることができる。これにより、ディスクブレーキ装置による車輪の制動が必要なときにはその初期制動力が低下することはなく、制動距離の増大を回避することができる。
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の車両用ディスクブレーキ装置において、前記シリンダ部の底面部に前記磁石が取り付けられたことを特徴とする。
この構成によれば、ピストンの往復移動方向と磁石同士が引き合う方向(及び反発し合う方向)がほぼ同じ方向となるので、単純な磁石の配置構成でピストンの往復移動補助機構による補助効果を最大限に発揮させることができる。
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の車両用ディスクブレーキ装置において、前記シリンダ部の底面部に取り付けられた磁石が電磁石であり、前記ピストンに取り付けられた磁石が永久磁石であることを特徴とする。
この構成によれば、往復移動するピストンには導線を配線する必要が無くなるため、導線の破断等のおそれが低くなり、したがって、ピストンの往復移動補助機構の補助効果を長期にわたって保つことが可能となる。
請求項4に記載の発明は、
請求項3に記載の車両用ディスクブレーキ装置において、前記電磁石制御部による前記電磁石への電流の流れの制御が、車両のブレーキ操作が解除された場合に前記永久磁石と引き合う磁場を発生させるように前記電磁石に対して所定期間電流を流す制御であることを特徴とする。
この構成によれば、ブレーキ操作が解除された際にシリンダ部の底面部に取り付けられた電磁石とピストンに取り付けられた永久磁石とが引き合う磁場が発生するので、ピストンのシリンダ方向への移動が補助され、ブレーキパッドをディスクロータからより確実に離反させることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の車両用ディスクブレーキ装置において、前記電磁石制御部による前記電磁石への電流の流れの制御が、車両のブレーキ操作が行われた場合に前記永久磁石に対して反発する磁場を発生させるように前記電磁石に対して所定期間電流を流す制御を含むことを特徴とする。
この構成によれば、車両のブレーキ操作が行われた際にシリンダ部の底面部に取り付けられた電磁石とピストンに取り付けられた永久磁石とが反発し合う磁場が発生するので、ピストンのディスクロータ方向への移動が補助される。したがって、ブレーキ操作の際にブレーキパッドとディスクロータの距離を縮める時間が短縮され、初期制動力を向上させることが可能となる。
本発明によれば、電磁石制御部は電磁石へと供給される電流の流れを制御することで両磁石間の磁場を変化させ、ピストンの往復移動を補助する機能を奏する。すなわち、運転者のブレーキ操作に伴ってブレーキパッドがディスクロータに圧接して車輪が制動された後、ブレーキ操作が解除された際に、電磁石制御部が所定期間電磁石に電流を流す制御を行うことで、電磁石に他方の磁石に対して引き合う方向又は反発する方向へと変化する磁場を発生させてピストンのディスクロータから離反する方向への移動を補助することが可能となる。これにより、ブレーキ操作解除後のブレーキパッドとディスクロータとの間隔が確保され、いわゆる引きずりが低減し、燃費の向上及びブレーキパッドの寿命延長を図ることができる。
また、ブレーキ操作が必要なときには電磁石制御部が上述の場合と同じ方向に電流を流す制御を行わないことで、ブレーキパッドをディスクロータから離反させる磁力が発生しないようにすることができる。これにより、ディスクブレーキ装置による車輪の制動が必要なときにはその初期制動力が低下することはなく、制動距離の増大を回避でき、安全性の高いものとなっている。
本発明の実施の形態に係る車両用ディスクブレーキ装置の模式図である。 本実施の形態の車両用ディスクブレーキ装置の動作を示す要部模式図であり、それぞれ、(a)ブレーキ操作前、(b)ブレーキ操作中及び(c)ブレーキ操作後の状態を示す。 ブレーキ操作中の制動力の変化を経時的に示す図である。 ブレーキ操作解除後のブレーキパッド及びディスクロータ間の間隔と、両者の引きずり抵抗と、を経時的に示す図である。 電磁石に流れる電流と電磁石制御部に入力される信号との関係を同じ時間軸で示した図である。 従来の、浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置の断面の模式図である。
次に、本発明の実施の形態に係る車両用ディスクブレーキ装置10について、いわゆる浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置を採用した場合を例に図1〜図5を参照して詳細に説明する。図1は本実施の形態に係る車両用ディスクブレーキ装置の模式図、図2は車両用ディスクブレーキ装置の動作を示す要部模式図、図3はブレーキ操作中の制動力の変化を経時的に示す図、図4はブレーキ操作解除後のブレーキパッド及びディスクロータ間の間隔と、両者の引きずり抵抗と、を経時的に示す図、及び図5は電磁石に流れる電流と電磁石制御部に入力される信号との関係を同じ時間軸で示した図である。
図1に示すように、車両用ディスクブレーキ装置10は、車輪とともに回転する円板状のディスクロータ12と、ディスクロータ12の内側面及び外側面に対してそれぞれ対向配置されたインナブレーキパッド14及びアウタブレーキパッド16と、キャリパ18と、を有する。
キャリパ18は、ディスクロータ12、インナブレーキパッド14及びアウタブレーキパッド16を跨いだ状態で図示しないマウンティングに支持されており、アウタブレーキパッド16の背面16a側に接するアウタ爪部19を有する。
キャリパ18のインナ側には略円筒形状のシリンダ部20が設けられており、シリンダ部20には、インナブレーキパッド14の背面14aに一端部22aが取り付けられた略円柱形状のピストン22が挿入されている。
ピストン22には、外周面にリング状のゴム製ピストンシール24が装着されており、ピストン22、シリンダ部20及びゴム製ピストンシール24で覆われたシリンダ部20内の領域Rにブレーキ液が注入される。ピストン22は、この領域R内のブレーキ液の増減に伴ってシリンダ部20内をディスクロータ12の回転軸線150方向に往復移動してインナブレーキパッド14をディスクロータ12に対して接離させる。
一方、ピストン22の移動に伴う反力を受けるキャリパ18のアウタ爪部19はピストン22の移動方向と反対方向に移動してアウタブレーキパッド16をディスクロータ12に対して接離させる。
領域R内のブレーキ液の量は、車両の運転者によるフットブレーキ25の踏みこみ量に応じて調整される。なお、図1においては、フットブレーキ25の下流にはマスタシリンダ26しか記載されていないが、一般には図示しないブレーキブースター(倍力装置)が備えられている。ブレーキブースターとは、エンジンが吸気するときに生じる負圧を利用してフットブレーキ25の踏力を積極的に大きくする装置である。
次に、ピストン22の往復移動を補助するピストンの往復移動補助機構31について説明する。
ピストンの往復移動補助機構31は、ピストン22及びシリンダ部20のそれぞれに取り付けられた磁石(少なくとも一方の磁石は電磁石である)と、電磁石へと供給される電流の流れを制御する電磁石制御部36と、を有する。
ピストン22に取り付けられた磁石は、ピストンの他端部22bに取り付けられた永久磁石28である。
シリンダ部20に取り付けられた磁石は、他端部22bと対向する底面部20aに取り付けられた電磁石30である。電磁石30は、電流の流れる方向によって永久磁石28に対して引き合う方向及び反発する方向へと変化する磁場を発生させる。電磁石30は、ピストン22の他端部22bと向き合う面とは逆側の底面部20aの面から埋設され、取り付けられている。
本実施の形態においては、永久磁石28の磁極は、N極がピストン22の他端部22b側及びS極がシリンダ部20の底面部20a側となるように配置されているが、磁極が逆の配置となっていてもよい。その場合、磁極の向きに対応して電磁石に流れる電流の向きも変更される。
永久磁石28及び電磁石30は、ディスクロータ12の回転軸線150方向に並ぶように配置されており、したがって、上記磁場の変化によりピストン22の往復移動も補助される。
電磁石制御部36は、回路32を流れる電流の方向を、スイッチ34の切り替えを制御することにより変更し、これにより、電磁石制御部36は、電磁石30へと供給される電流の流れを制御する。
なお、電磁石制御部36は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータである。電磁石制御部36は、ROMに記憶させたプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。なお、上記プログラムはROMに記憶されている場合に限らず、NVRAM(Non−Volatile Randam Access Memory)に記憶されていてもよい。
スイッチ34は、例えば、トグルスイッチを用いることができ、上流に配置された制御部36からの信号により中立部位(回路が遮断される部位)、一方向へと電流を流す部位、逆方向へと電流を流す部位と切り替え可能なものを用いることができる。
回路32は、スイッチ34と協同して電磁石30に流れる電流の流れを一方向及び逆方向に変更可能に構成されたものを用いることができ、そのような回路及びスイッチの組み合わせは、DCモーターの正転、逆転及び停止回路などに採用される公知の構成を用いることができる。
電磁石制御部36は、フットブレーキ25の踏みこみを介して伝達された信号に基づきスイッチ34に信号を送り、その位置を切り替えさせる制御を行う。
この信号は、例えば、既存のブレーキランプに用いられる回路を介して電磁石制御部36に伝達されるものとすればよい。これによれば、電磁石制御部36への信号伝達のための新たな回路を設ける必要がなく、効率的である。
次に、本発明の車両用ディスクブレーキ装置10の作用について、車両の運転者がブレーキ操作をする場合を例に図2を参照して説明する。なお、図2においては、アウタ爪部19及びアウタブレーキパッド16の記載は省略し、アウタブレーキパッド16の動きについてはインナブレーキパッド14の動きの説明をもって省略する。
まず、車両の運転者がアクセルを踏み込み、車両を運転している場合においては、図2(a)に示すように、フットブレーキ25は踏み込まれていない。その場合、ブレーキ液はシリンダ部20内には注入されず、ピストン22は最もシリンダ部20の底面部20a寄りの位置にあり、したがって、インナブレーキパッド14とディスクロータ12の内側面との間隔は確保されている。
そして、図2(b)に示すように、車両の運転者が赤信号等の理由でフットブレーキ25を踏み込んだ場合、その踏み込みによってマスタシリンダ26からブレーキ液がシリンダ部20内へと注入され、ピストン22がディスクロータ12方向に移動し、インナブレーキパッド14をディスクロータ12に圧接させる。
同時に、フットブレーキ25の踏み込みにより信号が電磁石制御部36へと伝達され、電磁石制御部36はスイッチ34へと信号を送り、スイッチ34の位置を中立部位から一方向へと電流を流す部位に所定期間移動させる制御を行う。これにより、回路32には所定期間一方向へと電流が流れ、電磁石30のピストン22側の面がS極となり、ピストン22のディスクロータ12方向への移動が磁力によって補助される。
なお、電流を流す期間を所定期間とするのは、ブレーキ操作の間ずっと電磁石30に電流を流し続けることによる装置全体の温度上昇を防ぐためである。
このブレーキ操作時のピストンの往復移動補助機構31による効果を、図3により説明する。まず、ピストンの往復移動補助機構31を有さない従来のディスクブレーキ装置を用いた場合、フットブレーキの踏み込みによってブレーキパッドがディスクロータに圧接し、制動力が発生し出すまでに時間t2を要することとなる(一点鎖線のグラフを参照)。一方、ピストンの往復移動補助機構31を有する車両用ディスクブレーキ装置10によれば、フットブレーキ25の踏み込みに伴うピストン22のディスクロータ12方向への移動が磁力により速やかに補助されるので、制動力が発生し出すまでに要する時間がt1(<t2)と短縮されている(実線のグラフを参照)。すなわち、初期制動力を向上させることが可能となっている。
その後、図2(c)に示すように、赤信号が青信号に変わった等の理由で車両の運転者がフットブレーキ25から足を離し、ブレーキ操作が解除された場合、シリンダ部20内のブレーキ液がマスタシリンダ26方向へと移動し、ピストン22がシリンダ部20の底面部20a方向へと移動し、インナブレーキパッド14がディスクロータ12から離反する。
同時に、ブレーキ操作が解除され(すなわち、ブレーキランプが消え、ブレーキランプを点灯させる回路が遮断され)、今まで電磁石制御部36に伝達されていた信号が伝達されなくなった場合に、電磁石制御部36はスイッチ34の位置を一方向へと電流を流す部位(あるいは、すでに所定期間経過し、スイッチの位置が中立部位に戻っていた場合には中立部位)から逆方向へと電流を流す部位に所定期間移動させる制御を行う。
これにより、回路32には所定期間逆方向へと電流が流れ、電磁石30のピストン22側の面がN極となる。これにより、ピストン22のシリンダ部20の底面部20a方向への移動が磁力によって補助される。
なお、電流を流す期間を所定期間とするのは、ブレーキ操作解除後にずっと電磁石30に電流を流し続けることによる装置全体の温度上昇を防ぐためであり、また、弾性変形していたゴム製ピストンシール24が元の形状に戻り、インナブレーキパッド14及びディスクロータ12間に適正距離が確保された後はさらにピストン22の移動を補助する必要はないからである。
このブレーキ操作解除時のピストンの往復移動補助機構31による効果を、図4により説明する。まず、ピストンの往復移動補助機構31を有さない従来のディスクブレーキ装置を用いた場合、一点鎖線で示すように、ディスクロータとブレーキパッド間の間隔は、適正間隔Cを下回り、ブレーキ操作解除後所定時間経過した後であってもディスクロータとブレーキパッドとの摩擦による引きずり抵抗が残る(上側の破線参照)。これは、ブレーキ操作解除後にもブレーキ液がシリンダ部内から抜けづらいこと、及び、弾性変形したゴム製のピストンシールがもとの形状に戻りづらいこと、等の理由によりディスクロータとブレーキパッド間の間隔が適正間隔Cまで戻らなかったことが理由として考えられる。
一方、ピストンの往復移動補助機構31を有する車両用ディスクブレーキ装置10によれば、ブレーキ操作の解除に伴ってピストン22のシリンダ部20の底面部20a方向への移動が磁力によって補助されるので、実線に示すように、ディスクロータ12とインナブレーキパッド14との間隔を大きく確保することが可能となる。したがって、ブレーキ操作解除後、速やかにディスクロータ12とインナブレーキパッド14間の摩擦(すなわち、引きずり抵抗)が解消される(下側の破線参照)。
次に、フットブレーキ25の踏み込みに対応した信号と、電磁石30に流れる電流との対応関係を、通常の運転時の運転者によるブレーキ操作との関連で図5を参照して説明する。
図中、(i)の段階において、信号待ち等により運転者はフットブレーキ25を踏み続けており、したがって、信号が電磁石制御部36に送られ続けている。電磁石制御部36は、上述のとおり、所定期間スイッチ34の位置を中立部位から一方向へと流す部位に移動させる制御を行い、電流が+の方向へと所定期間流れることとなる。
次に、(ii)の段階において、信号が青に変わった等の理由により、運転者がフットブレーキ25から足を離した場合、今まで送られ続けていた信号が電磁石制御部36に送られなくなる。
すると、電磁石制御部36は、スイッチ34の位置を一方向へと電流を流す部位から逆方向へと電流を流す部位に所定期間移動させる制御を行うので、電流が−の方向へと所定期間流れることとなる。
その後、(iii)の段階において、所定期間が経過し、スイッチ34が中立部位に移動し、回路32が遮断される。
それからしばらく通常運転を続けた後、(iv)の段階において、再び運転者がフットブレーキ25を踏みブレーキ操作を行うと、信号が電磁石制御部36に伝達され、電磁石制御部36の制御により電流が+の方向へと所定期間流れる。
その後、所定期間経過後、(v)の段階において、スイッチ34が中立部位に移動し、回路32が遮断されるが、運転者はフットブレーキを踏み続けており、電磁石制御部36への信号は送られ続けている。
したがって、本実施の形態に係る車両用ディスクブレーキ装置10によれば、電磁石制御部36は電磁石30へと供給される電流の流れを制御することで両磁石間の磁場を変化させ、ピストン22の往復移動を補助する機能を奏する。
すなわち、運転者のブレーキ操作に伴ってインナブレーキパッド14がディスクロータ12に圧接して車輪が制動された後、ブレーキ操作が解除された際に、シリンダ部20の底面部20aに取り付けられた電磁石30とピストン22に取り付けられた永久磁石28とが引き合う磁場が発生するので、ピストン22のシリンダ部20方向への移動が補助され、インナブレーキパッド14をディスクロータ12からより確実に離反させることが可能となる。
また、シリンダ部20の底面部20aに電磁石30が取り付けられており、底面部20aと対向する略円柱状のピストン22の他端部22bに永久磁石28が取り付けられていることから、ピストン22の往復移動方向と磁石同士が引き合う方向(及び反発し合う方向)がほぼ同じ方向となる。これにより、単純な磁石の配置構成でピストンの往復移動補助機構31による補助効果を最大限に発揮させることができる。
そのうえ、ピストン22に取り付けられた磁石が永久磁石28であることから、往復移動するピストン22には導線を配線する必要がない。したがって、導線の破断等のおそれが低くなり、ピストンの往復移動補助機構31の補助効果を長期にわたって保つことが可能となる。
さらに、車両のブレーキ操作が行われた際には、シリンダ部20の底面部20aに取り付けられた電磁石30とピストン22に取り付けられた永久磁石28とが反発し合う磁場が発生するので、ピストン22のディスクロータ12方向への移動が補助される。したがって、ブレーキ操作の際にインナブレーキパッド14とディスクロータ12との距離を縮める時間が短縮され、初期制動力を向上させることが可能となる。
また、ピストンの往復移動補助機構31は、車両のバッテリーから供給される電気により作動することから、エンジンの動力に依存しないブレーキ補助機構である。したがって、走行中にエンジンが停止し、ブレーキブースターの作用が得られなくなった場合であっても運転者によるブレーキ操作に伴うピストン22のディスクロータ12方向への移動を補助し、制動力を確保することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施の形態においては、ブレーキ操作が行われた際に両磁石間に反発し合う磁場を発生させる制御を行っているが、この制御が必須というわけではない。すなわち、ブレーキ操作が行われた際に電磁石制御部36が回路32に電流を流さない制御を行うことも可能である。
この制御によれば、ブレーキパッド14をディスクロータ12から離反させる磁力が発生しないことから、ディスクブレーキ装置による車輪の制動が必要なときにはその初期制動力が低下することがなく、ブレーキ操作時の制動距離の増大を回避することができる。
また、本実施の形態においては、いわゆる浮動キャリパ型のディスクブレーキ装置を例に本願発明の説明を行っているが、ディスクロータを挟んで対向する一対のブレーキパッド(インナブレーキパッド及びアウタブレーキパッド)が、インナ側及びアウタ側にそれぞれ設けられたシリンダ−ピストン機構によってディスクロータに接離するいわゆる対向型キャリパを採用したディスクブレーキ装置に本願発明が適用されてもよい。
また、上記実施の形態においては、シリンダ部20に電磁石30を取付け、ピストン22に永久磁石28を取り付ける構成としているが、これに限られるものではなく、少なくとも一方の磁石が電磁石であれば良い。したがって、シリンダ部20に永久磁石が取り付けられ、ピストン22に電磁石が取り付けられていてもよく、双方の磁石が電磁石であってもよい。
また、上記実施の形態においては、シリンダ部20の底面部20aと、この底面部20aに対向するピストン22の他端部22bにそれぞれ磁石が取り付けられているがこれに限られるものではなく、ピストンの往復移動を磁力により補助しうる位置であればそれぞれの他の部位に磁石が取り付けられていても良い。
さらに、フットブレーキ25にブレーキストロークセンサを設けたり、キャリパ18にシリンダ部20内の領域R(図1参照)のブレーキ液圧を測定する液圧センサを設けたりすることとしても良い。
この構成によれば、単純にブレーキランプのON/OFFによってピストンの往復移動補助機構31の作動の有無が決定されるのではなく、フットブレーキ25の踏込量が一定の閾値を超えた場合に、あるいは、シリンダ部20内の液圧が一定の閾値を超えた場合にピストンの往復移動補助機構31が作動するものとすることができる。
10 車両用ディスクブレーキ装置
12 ディスクロータ
14 インナブレーキパッド(ブレーキパッド)
16 アウタブレーキパッド(ブレーキパッド)
18 キャリパ
20 シリンダ部
20a 底面部
22 ピストン
28 永久磁石(ピストンの往復移動補助機構)
30 電磁石(ピストンの往復移動補助機構)
36 電磁石制御部(ピストンの往復移動補助機構)

Claims (5)

  1. キャリパの一部を構成するシリンダ部内においてピストンを往復移動させてブレーキパッドを車輪と共に回転するディスクロータに対して接離させる車両用ディスクブレーキ装置において、
    前記ピストン及び前記シリンダ部のそれぞれに取り付けられた磁石(但し、少なくとも一方の磁石は電磁石である)と、前記電磁石へと供給される電流の流れを制御する電磁石制御部と、を有する前記ピストンの往復移動補助機構を備えたことを特徴とする車両用ディスクブレーキ装置。
  2. 前記シリンダ部の底面部に前記磁石が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ディスクブレーキ装置。
  3. 前記シリンダ部の底面部に取り付けられた磁石が電磁石であり、
    前記ピストンに取り付けられた磁石が永久磁石であることを特徴とする請求項2に記載の車両用ディスクブレーキ装置。
  4. 前記電磁石制御部による前記電磁石への電流の流れの制御が、車両のブレーキ操作が解除された場合に前記永久磁石と引き合う磁場を発生させるように前記電磁石に対して所定期間電流を流す制御であることを特徴とする請求項3に記載の車両用ディスクブレーキ装置。
  5. 前記電磁石制御部による前記電磁石への電流の流れの制御が、車両のブレーキ操作が行われた場合に前記永久磁石に対して反発する磁場を発生させるように前記電磁石に対して所定期間電流を流す制御を含むことを特徴とする請求項4に記載の車両用ディスクブレーキ装置。
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KR20200049245A (ko) * 2018-10-31 2020-05-08 주식회사 포스코 하이브리드 브레이크 장치

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