JP2018036258A - 残留農薬の分析用試料の調製方法 - Google Patents

残留農薬の分析用試料の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】GC/MSを用いて食品の残留農薬を高精度に分析するのに適した分析用試料を簡単にかつ短時間で調製する。
【解決手段】水溶性の溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する。残留農薬を吸着可能な吸着剤層110により内部が上下に区画された遠沈管Aにおいて、10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜130を吸着剤層110上に配置し、第1処理層を形成する。分離膜130上に混合液を注入して遠沈管Aに遠心力を加え、混合液を分離膜130および吸着剤層110に通過させる。脱水層211と精製層212とを備えた第2処理層210により内部が上下に区画された遠沈管Bの第2処理層210上に混合液を通過させた吸着剤層110を配置し、この吸着剤層110上に抽出溶媒を注入して遠沈管Bに遠心力を加える。第2処理層210を通過した抽出溶媒を残留溶液の分析用試料として用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、残留農薬の分析用試料の調製方法、特に、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を分析するための試料の調製方法に関する。
農薬等が規定量を超えて残留する食品の販売を原則禁止するいわゆるポジティブリスト制度が本邦において2006年に施行され、多数の農薬のうち、人の健康を損なうおそれのないことが明らかな一部の農薬を除く約800種類の農薬の全てについて残留基準値が設定されるに至っている。そこで、販売される食品については約800種類の農薬を一斉に分析する必要が生じ、厚生労働省は、そのための分析法を通知している(非特許文献1)。
厚生労働省が通知する一斉分析法(以下、「通知法」と称する。)は、基本的に、食品試料を粉砕することで均一化するための試料調製工程、調製された試料から残留農薬を抽出するための抽出工程、抽出工程で得られた抽出液から夾雑物質を除去するための精製工程および精製工程により得られた試験溶液を分析するための測定・解析工程からなる。抽出工程では、試料調製工程において均一化された試料に溶媒(アセトニトリル)を加えてホモジナイズした後に吸引ろ過する。そして、このろ液を塩析した後に溶媒を除去して得られた残留物を混合溶媒(アセトニトリルとトルエンとの混合溶媒)に溶解し、抽出液を調製する。精製工程では、グラファイトカーボン/アミノプロピルシリル化シリカゲル積層ミニカラムに対して抽出工程で得られた抽出液およびアセトニトリルとトルエンとの混合溶媒をこの順に注入し、ミニカラムからの溶出液を得る。そして、この溶出液から溶媒を除去して得られた残留物を所定の溶媒に溶解することで所定量の試験溶液を調製する。測定・解析工程では、調製された試験溶液をGC/MS若しくはGC/MS/MSまたはLC/MS若しくはLC/MS/MSにより分析することで食品試料に含まれる農薬を一斉に評価する。
しかし、通知法は、GC/MSおよびLC/MSの両方に対応可能な汎用性を有する試験溶液を調製することから、操作工程が多く複雑である。例えば、ミニカラムを用いることから多量の有機溶媒を必要とする一方、溶媒の除去操作が何度か必要になる。しかも、各工程での操作が煩雑であることから、所要の試験溶液を調製するために長時間を要するばかりではなく、試験溶液の信頼性が操作者の熟度や技量により変動し得る。
そこで、簡単な操作により比較的短時間で分析用の試料が得られるQuEChERS法(キャッチャーズ法)が提案されている(非特許文献2)。QuEChERS法は、EU規格においても採用されており、通知法に替わる残留農薬の一斉分析法として本邦でも食品事業者等において採用されつつある。
QuEChERS法は、食品試料から残留農薬を抽出するための抽出工程、抽出工程で得られた抽出液の塩析工程、塩析工程を経た抽出液の精製工程および精製工程を経た抽出液を分析するための測定・解析工程からなる。抽出工程では、食品試料にアセトニトリルを加え、残留農薬を振とう抽出する。塩析工程では、抽出工程で得られた抽出液に塩を加えて振とうすることで水とアセトニトリルとを分離させ、抽出液に含まれている残留農薬をアセトニトリル層へ移行させるとともに、高極性の夾雑物質を水層へ移行させる。精製工程では、塩析工程を経た抽出液に含まれる夾雑物質を吸着可能なエチレンジアミン−N−プロピルシリル化シリカゲルやグラファイトカーボンなどの粉末状または粒状の固相を抽出液に添加・分散して振とうした後に遠心分離する。そして、測定・解析工程では、精製工程での遠心分離により得られた上澄み溶液をGC/MS若しくはGC/MS/MSまたはLC/MS若しくはLC/MS/MSにより分析することで食品試料に含まれる農薬を一斉に評価する。
QuEChERS法は、抽出液に対して固相を添加することで抽出液に含まれる夾雑物質を除去していることから、ミニカラムを用いる通知法に比べて操作が簡単であり、短時間で分析用の試料(試験溶液)を調製することができる。しかし、その精製工程は、分散固相抽出であることから、試験溶液中に食品マトリックス等の夾雑物質が残留しやすく、それが分析結果に影響する可能性がある。また、得られた試験溶液は、残留する夾雑物質によってGC/MS等の分析機器やそのカラムを著しく汚染する可能性がある。
厚生労働省、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法」、[平成28年8月3日検索]、インターネット(URL:http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/zanryu3/siken.html)
一般財団法人 食品分析開発センターSUNATEC、「QuEChERS法について」、[平成28年8月3日検索]、インターネット(URL:http://www.mac.or.jp/mail/140401/03.shtml)
本発明は、GC/MS、GC/MS/MSまたはGC/TOFMSのようなガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を高精度に分析するのに適した分析用試料を簡単にかつ短時間で調製できるようにするものである。
本発明は、残留農薬の分析用試料の調製方法、特に、GC/MS、GC/MS/MSまたはGC/TOFMSのようなガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を分析するための試料の調製方法に関するものである。この調製方法は、次の工程を含む。
・水溶性の第1溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1。
・通液性を有しかつ残留農薬を吸着可能な吸着剤層と、吸着剤層の上方に配置された10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜とを有する第1処理層により内部が上下に区画された第1遠沈管の分離膜上に混合液を注入し、第1遠沈管に遠心力を加えることで混合液を第1処理層に通過させる工程2。
・通液性を有しかつ脱水剤を含む第2処理層により内部が上下に区画された第2遠沈管の第2処理層の上方に工程2を経た吸着剤層を配置した後、残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を吸着剤層上に注入し、第2遠沈管に遠心力を加えることで第2溶媒を吸着剤層および第2処理層に通過させる工程3。
工程1において抽出液に水を混合すると、抽出液中の夾雑物質である疎水性物質が析出する。このため、工程1において調製される混合液では、疎水性物質が析出した状態になる。工程2において、工程1で調製された混合液を分離膜上に注入した第1遠沈管に遠心力を加えると、混合液は遠心力を受け、第1処理層の分離膜と吸着剤層とをこの順に通過する。この際、混合液において析出した疎水性物質および他の夾雑物質は、分離膜により捕捉され、また、混合液中の残留農薬は吸着剤層に吸着する。この結果、混合液は、分離膜に捕捉された夾雑物質、吸着剤層に吸着した残留農薬および第1処理層を通過した液分に分離される。
工程3において、第2溶媒を吸着剤層上に注入した第2遠沈管に遠心力を加えると、第2溶媒は遠心力を受け、吸着剤層と第2処理層とをこの順に通過する。この際、第2溶媒は、吸着剤層に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層を通過する。したがって、第2溶媒は、残留農薬を吸着剤層から抽出した抽出液となって第2処理層を通過する。第2処理層を通過するとき、残留農薬を抽出した第2溶媒に含まれる水分は、第2処理層の脱水層により除去される。したがって、第2遠沈管の底部には、第2溶媒による残留農薬の抽出液であって脱水処理されたものが得られる。この抽出液は、残留農薬の分析用試料として、ガスクロマトグラフ質量分析計に適用することができる。
第2処理層は、吸着剤層を通過した第2溶媒に含まれる夾雑物質を捕捉可能な精製層を脱水層の下方に配置するのが好ましい。この場合、脱水層により脱水処理された、第2溶媒による残留農薬の抽出液は、そこに残留する夾雑物質が精製層に捕捉されることで除去される。したがって、この場合、ガスクロマトグラフ質量分析計をより汚染しにくい分析用試料を調製することができる。
本発明の調製方法は、第1溶媒としてアセトニトリルまたはアセトンを用いるのが好ましい。また、分離膜として孔径が0.05〜0.45μmでありかつポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを用いるのが好ましい。さらに、吸着剤層としてスチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂またはフェニル基若しくはオクタデシル基を導入したシリカを含む層を用いるのが好ましい。さらに、脱水層として炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムを含むものを用い、かつ、第2溶媒としてアセトン、酢酸エチル、アセトニトリルまたはアセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒を用いるのが好ましい。
他の観点に係る本発明は、同じく、残留農薬の分析用試料の調製方法、特に、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を分析するための試料の調製方法に関するものである。この調製方法は、次の工程を含む。
・水溶性の第1溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1。
・10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により内部が上下に区画された第1遠沈管の分離膜上に混合液を注入し、第1遠沈管に遠心力を加えることで混合液を分離膜に通過させてろ液を得る工程2−1。
・通液性を有しかつ残留農薬を吸着可能な吸着剤層により内部が上下に区画された第2遠沈管の吸着剤層上にろ液を注入し、第2遠沈管に遠心力を加えることでろ液を吸着剤層に通過させる工程2−2。
・通液性を有しかつ脱水剤を含む処理層により内部が上下に区画された第3遠沈管の処理層の上方に工程2−2を経た吸着剤層を配置した後、残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を吸着剤層上に注入し、第3遠沈管に遠心力を加えることで第2溶媒を吸着剤層および処理層に通過させる工程3。
工程1において抽出液に水を混合すると、抽出液中の夾雑物質である疎水性物質が析出する。このため、工程1において調製される混合液では、疎水性物質が析出した状態になる。工程2−1において、工程1で調製された混合液を分離膜上に注入した第1遠沈管に遠心力を加えると、混合液は遠心力を受け、分離膜を通過する。この際、混合液において析出した疎水性物質および他の夾雑物質は、分離膜により捕捉される。この結果、混合液は、分離膜に捕捉された夾雑物質が除去されたろ液として第1遠沈管の底部に溜まる。
次に、工程2−2において、工程2−1で得られたろ液を吸着剤層上に注入した第2遠沈管に遠心力を加えると、ろ液は遠心力を受け、吸着剤層を通過する。この際、ろ液中の残留農薬は吸着剤層に吸着する。この結果、ろ液は、吸着剤層に吸着した残留農薬と、吸着剤層を通過した液分とに分離される。
工程3において、第2溶媒を吸着剤層上に注入した第3遠沈管に遠心力を加えると、第2溶媒は遠心力を受け、吸着剤層と処理層とをこの順に通過する。この際、第2溶媒は、吸着剤層に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層を通過する。したがって、第2溶媒は、残留農薬を吸着剤層から抽出した抽出液となって処理層を通過する。処理層を通過するとき、残留農薬を抽出した第2溶媒に含まれる水分は、処理層の脱水層により除去される。したがって、第3遠沈管の底部には、第2溶媒による残留農薬の抽出液であって脱水処理されたものが得られる。この抽出液は、残留農薬の分析用試料として、ガスクロマトグラフ質量分析計に適用することができる。
処理層は、吸着剤層を通過した第2溶媒に含まれる夾雑物質を捕捉可能な精製層を脱水層の下方に配置するのが好ましい。この場合、脱水層により脱水処理された、第2溶媒による残留農薬の抽出液は、そこに残留する夾雑物質が精製層に捕捉されることで除去される。したがって、この場合、ガスクロマトグラフ質量分析計をより汚染しにくい分析用試料を調製することができる。
この観点に係る本発明の調製方法は、第1溶媒としてアセトニトリルまたはアセトンを用いるのが好ましい。また、工程1で調製する混合液において抽出液(A)と水(B)との混合比率を体積比(A:B)で50:50〜60:40に設定し、かつ、分離膜として孔径が0.05〜0.2μmでありかつポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを用いるのが好ましい。さらに、吸着剤層としてスチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂またはフェニル基若しくはオクタデシル基を導入したシリカを含む層を用い、かつ、工程2−1で得られたろ液における第1溶媒(A)と水(B)との混合比率を体積比(A:B)で40:60〜50:50に調整後、工程2−2において吸着剤層上に混合比率が調整されたろ液を注入するのが好ましい。さらに、脱水層として炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムを含むものを用い、かつ、第2溶媒としてアセトン、酢酸エチル、アセトニトリルまたはアセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒を用いるのが好ましい。
この観点に係る本発明の調製方法では、例えば、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて残留農薬を分析するための試料として工程2−1で得られたろ液の一部を分取して確保し、工程2−1で得られたろ液の残部を工程2−2において吸着剤層上に注入することができる。
この場合、本発明の調製方法は、食品の残留農薬について、ガスクロマトグラフ質量分析計での分析に適した分析用試料と、高速液体クロマトグラフ質量分析計での分析に適した分析用試料との二種類を調製することができる。
さらに他の観点に係る本発明は、残留農薬の分析用試料の調製器、特に、水溶性の溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出することで得られる抽出液と水との混合液からガスクロマトグラフ質量分析計を用いて残留農薬を分析するための試料を調製するための調製器に関するものである。この分析用試料の調製器は、第1ユニットと第2ユニットとを備えている。
第1ユニットは、底部が閉鎖された遠沈管Aと、遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、遠沈管Aに対して挿入したときに、通液性を有しかつ混合液に含まれる残留農薬を吸着可能な吸着剤層により遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A1と、筒状体A1の内部に対して挿入・抜き取り可能であり、筒状体A1に対して挿入したときに、10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜を吸着剤層の上方に配置可能な筒状体A2とを含む。
一方、第2ユニットは、遠沈管Aとは別体の、底部が閉鎖された遠沈管Bと、遠沈管Bの内部に対して挿入・抜取り可能であり、遠沈管Bに対して挿入したときに、通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により遠沈管Bの内部を上下に区画可能な筒状体B1とを含む。
第1ユニットの筒状体A1は、第2ユニットの筒状体B1の内部に重ねて挿入可能である。
本発明のこの分析用試料の調製器を用いて残留農薬の分析用試料を調製する場合、第1ユニットにおいて、遠沈管Aに筒状体A1を挿入し、この筒状体A1に対して筒状体A2をさらに挿入することで、遠沈管A、筒状体A1および筒状体A2を一体化する。一方、第2ユニットにおいて、遠沈管Bに筒状体B1を挿入し、遠沈管Bと筒状体B1とを一体化する。
一体化された第1ユニットにおいて、筒状体A2の分離膜上に混合液を注入し、遠沈管Aに遠心力を加えると、混合液は遠心力を受け、筒状体A2の分離膜と筒状体A1の吸着剤層とをこの順に通過して遠沈管Aの底部に溜まる。この際、混合液において析出する疎水性物質および他の夾雑物質は、分離膜により捕捉され、また、混合液中の残留農薬は吸着剤層に吸着する。この結果、混合液は、分離膜に捕捉された夾雑物質、吸着剤層に吸着した残留農薬および遠沈管Aの底部に溜まった液分に分離される。
次に、遠沈管Aから筒状体A2および筒状体A1を抜き取る。そして、一体化された第2ユニットの筒状体B1に対し、吸着剤層側から筒状体A1を挿入し、第2ユニットに対して筒状体A1を一体化する。続いて、残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な抽出溶媒を筒状体A1の吸着剤層上に注入し、遠沈管Bに遠心力を加えると、抽出溶媒は遠心力を受け、筒状体A1の吸着剤層と筒状体B1の処理層とをこの順に通過する。この際、抽出溶媒は、吸着剤層に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層を通過する。このため、抽出溶媒は、残留農薬を吸着剤層から抽出した抽出液となって処理層をさらに通過する。処理層を通過の際、残留農薬を抽出した抽出溶媒に含まれる水分は、処理層の脱水剤により除去される。したがって、遠沈管Bの底部には、抽出溶媒による残留農薬の抽出液であって脱水処理されたものが得られる。この抽出液は、残留農薬の分析用試料として、ガスクロマトグラフ質量分析計に適用することができる。
さらに他の観点に係る本発明は、残留農薬の分析用試料の調製器、特に、水溶性の溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出することで得られる抽出液と水との混合液からガスクロマトグラフ質量分析計を用いて残留農薬を分析するための試料を調製するための調製器に関するものである。この分析資料調製器は、第1ユニットと第2ユニットとを備えている。
第1ユニットは、底部が閉鎖された遠沈管Aと、遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、遠沈管Aに対して挿入したときに、通液性を有しかつ混合液に含まれる残留農薬を吸着可能な吸着剤層により遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A1’と、遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、遠沈管Aに対して挿入したときに、10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A2’とを含む。
一方、第2ユニットは、遠沈管Aとは別体の、底部が閉鎖された遠沈管Bと、遠沈管Bの内部に対して挿入・抜取り可能であり、遠沈管Bに対して挿入したときに、通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により遠沈管Bの内部を上下に区画可能な筒状体B1とを含む。
第1ユニットの筒状体A1’は、第2ユニットの筒状体B1の内部に重ねて挿入可能である。
本発明のこの分析用試料の調製器を用いて残留農薬の分析用試料を調製する場合、第1ユニットにおいて、遠沈管Aに筒状体A2’を挿入し、遠沈管Aと筒状体A2’とを一体化する。一方、第2ユニットにおいて、遠沈管Bに筒状体B1を挿入し、遠沈管Bと筒状体B1とを一体化する。
一体化された第1ユニットの筒状体A2’の分離膜上に混合液を注入し、遠沈管Aに遠心力を加えると、混合液は遠心力を受け、筒状体A2’の分離膜を通過して遠沈管Aの底部に溜まる。この際、混合液において析出する疎水性物質および他の夾雑物質は、分離膜により捕捉される。この結果、混合液は、分離膜に捕捉された夾雑物質と、遠沈管Aの底部に溜まったろ液とに分離される。
次に、遠沈管Aから筒状体A2’を抜き取り、遠沈管Aの底部に溜まったろ液を採取する。その後、遠沈管Aに筒状体A1’を挿入し、遠沈管Aと筒状体A1’とを一体化する。そして、一体化された第1ユニットの筒状体A2’の吸着剤層上に先に遠沈管Aから採取したろ液を注入し、遠沈管Aに遠心力を加えると、ろ液は遠心力を受けて筒状体A1’の吸着剤層を通過して遠沈管Aの底部に溜まる。この際、ろ液中の残留農薬は吸着剤層に吸着する。この結果、ろ液は、吸着剤層に吸着した残留農薬および遠沈管Aの底部に溜まった液分とに分離される。
次に、遠沈管Aから筒状体A1’を抜き取る。そして、一体化された第2ユニットの筒状体B1に対し、吸着剤層側から筒状体A1’を挿入し、第2ユニットに対して筒状体A1’を一体化する。続いて、残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な抽出溶媒を筒状体A1’に注入し、遠沈管Bに遠心力を加えると、抽出溶媒は遠心力を受け、筒状体A1’の吸着剤層と筒状体B1の処理層とをこの順に通過する。この際、抽出溶媒は、吸着剤層に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層を通過する。このため、抽出溶媒は、残留農薬を吸着剤層から抽出した抽出液となって処理層をさらに通過する。処理層を通過の際、残留農薬を抽出した抽出溶媒に含まれる水分は、処理層の脱水剤により除去される。したがって、遠沈管Bの底部には、抽出溶媒による残留農薬の抽出液であって脱水処理されたものが得られる。この抽出液は、残留農薬の分析用試料として、ガスクロマトグラフ質量分析計に適用することができる。
さらに他の観点に係る本発明は、食品の残留農薬の分析方法に関するものである。この分析方法は、次の工程を含む。
・水溶性の第1溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1。
・10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により内部が上下に区画された第1遠沈管の分離膜上に混合液を注入し、第1遠沈管に遠心力を加えることで混合液を分離膜に通過させてろ液を得る工程2−1。
・ろ液の一部を分取して確保する工程2−2A。
・通液性を有しかつ残留農薬を吸着可能な吸着剤層により内部が上下に区画された第2遠沈管の吸着剤層上に工程2−2Aで一部を分取後の残部のろ液を注入し、第2遠沈管に遠心力を加えることでろ液を吸着剤層に通過させる工程2−2B。
・通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により内部が上下に区画された第3遠沈管の処理層の上方に工程2−2Bを経た吸着剤層を配置した後、残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を吸着剤層上に注入し、第3遠沈管に遠心力を加えることで第2溶媒を吸着剤層および処理層に通過させる工程3。
・高速液体クロマトグラフ質量分析計を用い、工程2−2Aで分取したろ液を分析する工程4。
・ガスクロマトグラフ質量分析計を用い、工程3において吸着剤層および処理層を通過した第2溶媒を分析する工程5。
工程1において抽出液に水を混合すると、抽出液中の夾雑物質である疎水性物質が析出する。このため、工程1において調製される混合液では、疎水性物質が析出した状態になる。工程2−1において、工程1で調製された混合液を分離膜上に注入した第1遠沈管に遠心力を加えると、混合液は遠心力を受け、分離膜を通過する。この際、混合液において析出した疎水性物質および他の夾雑物質は、分離膜により捕捉される。この結果、混合液は、分離膜に捕捉された夾雑物質が除去されたろ液として第1遠沈管の底部に溜まる。
工程2−2Aにおいて、一部を分取して確保されたろ液は、食品から抽出された残留農薬を含む水溶性の溶液であり、工程4での分析用試料として利用可能である。
次に、工程2−2Bにおいて、ろ液の残部を吸着剤層上に注入した第2遠沈管に遠心力を加えると、ろ液は遠心力を受け、吸着剤層を通過する。この際、ろ液中の残留農薬は吸着剤層に吸着する。この結果、ろ液は、吸着剤層に吸着した残留農薬と、吸着剤層を通過した液分とに分離される。
工程3において、第2溶媒を吸着剤層上に注入した第3遠沈管に遠心力を加えると、第2溶媒は遠心力を受け、吸着剤層と処理層とをこの順に通過する。この際、第2溶媒は、吸着剤層に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層を通過する。したがって、第2溶媒は、残留農薬を吸着剤層から抽出した抽出液となって処理層を通過する。処理層を通過するとき、残留農薬を抽出した第2溶媒に含まれる水分は、処理層の脱水層により除去される。したがって、第3遠沈管の底部には、第2溶媒による残留農薬の抽出液であって脱水処理されたものが得られ、この抽出液は、工程5での分析用試料として利用可能である。
本発明に係る残留農薬の分析用試料の調製方法は、上述の工程を含むものであることから、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を高精度に分析するのに適した分析用試料を簡単にかつ短時間で調製することができる。
本発明に係る残留農薬の分析用試料の調製器は、上述の第1ユニットと第2ユニットとを備えているため、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を高精度に分析するのに適した分析用試料を簡単にかつ短時間で調製することができる。
本発明に係る残留農薬の分析方法は、上述の工程を含むものであることから、食品から抽出した残留農薬を高速液体クロマトグラフ質量分析計およびガスクロマトグラフ質量分析計の両方を用いて分析することができ、食品の残留農薬についてのより信頼性の高い分析結果を得ることができる。
本発明に係る分析用試料の調製器の形態1の各部の縦断面図。 前記形態1の第1ユニットを一体化した状態の縦断面図。 前記形態1の第2ユニットを一体化した状態の縦断面図。 前記形態1を用いた分析用試料の調製方法の一工程を示す図。 前記形態1を用いた分析用試料の調製方法の他の工程を示す図。 前記形態1を用いた分析用試料の調製方法のさらに他の工程を示す図。 本発明に係る分析用試料の調製器の形態2において用いられる第1ユニットの各部の縦断面図。 前記形態2を用いた分析用試料の調製方法の一工程を示す図。 前記形態2を用いた分析用試料の調製方法の他の工程を示す図。 実施例1について、各農薬のオクタノール/水分配係数(LogPow)と回収率との関係を示すグラフ。 各実施例および各比較例について、回収率が70%以上の農薬の割合を調べた結果を示すグラフ。 比較例1、2において得られた各分析用試料のGC/MS SCANクロマトグラム。 実施例1、2において得られた各分析用試料のGC/MS SCANクロマトグラム。 実施例3、4において得られた各分析用試料のGC/MS SCANクロマトグラム。
[分析用試料の調製器の形態1]
図1を参照し、本発明に係る分析用試料の調製器の形態1を説明する。この形態の調製器1は、食品から残留農薬を抽出することで得られた抽出液を用いて調製される後記の混合液から食品の残留農薬をGC/MS、GC/MS/MSまたはGC/TOFMSのようなガスクロマトグラフ質量分析計を用いて一斉分析するのに適した分析用試料を調製するためのものであり、第1ユニット100と第2ユニット200とを主に備えている。
第1ユニット100は、遠沈管A、筒状体A1および筒状体A2を備えている。これらの器具は、耐溶媒性を有する樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、パーフルオロアルコキシアルカン樹脂またはポリアミド樹脂を用いて形成されたものである。また、遠沈管Aは、ガラス製であってもよい。
遠沈管Aは、実験室で使用可能な遠心分離機に適用可能な円筒状の容器であり、上端部の全体が開口するとともに底部が例えば円錐状に形成されることで閉鎖されている。
筒状体A1は、遠沈管Aの開口からその内部に対して挿入・抜取り可能な円筒状の器具であり、上部が開口し、底部に吸着剤層110を有している。筒状体A1の上部は、水平方向に突出した第1フランジ部120を有している。
吸着剤層110は、粉末状、粒子状または顆粒状の吸着剤を一定の厚さに成形したものであって混合液が通過可能な通液性を有しており、筒状体A1の底部に配置された通液性を有するシートまたはネット(図示省略)により筒状体A1内に支持されている。
吸着剤層110において用いられる吸着剤は、混合液に含まれる残留農薬を吸着可能である一方、後記する抽出溶媒へ吸着した農薬を脱着可能なものである。このような機能を有する吸着剤として、例えば、塩基性、中性若しくは酸性のアルミナ、シリカゲル等のシリカ、活性炭、グラファイトカーボン、メソポーラスカーボン若しくは活性炭素繊維等の各種の炭素系材料、または、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体系樹脂若しくはジビニルベンゼン共重合体系樹脂等の樹脂材料を用いて形成された樹脂多孔質体などを用いることができる。スチレン/ジビニルベンゼン共重合体系樹脂としては、スチレンおよびジビニルベンゼンを構成単位として含むものであれば各種のものを用いることができ、例えば、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂やスチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂を用いることができる。また、ジビニルベンゼン共重合体系樹脂としては、ジビニルベンゼンを構成単位として含むものであれば各種のものを用いることができ、例えば、ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂やジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂を用いることができる。
吸着剤は、混合液に含まれる農薬の吸着性を高めるために、化学修飾により官能基を導入したものを用いることもできる。例えば、吸着剤として用いられる各種アルミナおよびシリカは、シアノプロピル基、フェニル基またはオクタデシル基などの芳香環やアルキル鎖を導入したものであってもよい。また、樹脂材料は、例えば、カルボキシジビニルベンゼンビニルピロリドン共重合体樹脂やピペラジンジビニルベンゼンビニルピロリドン共重合体樹脂等、カルボキシ基やピペラジン基を導入したものであってもよい。
吸着剤として特に好ましいものは、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂、フェニル基を導入したシリカゲルまたはオクタデシル基を導入したシリカゲルである。
吸着剤層110は、混合液に含まれる残留農薬の吸着性および抽出溶媒への残留農薬の脱着性等を損なわない程度において、賦形剤などの他の材料を含んでいてもよい。
筒状体A2は、筒状体A1の開口からその内部に対して挿入・抜取り可能な円筒状の容器であり、上部が開口し、底部が分離膜130により閉鎖されている。筒状体A2の上部は、水平方向に突出する、外径が第1フランジ部120と同じに設定された第2フランジ部140を有している。
分離膜130は、混合液に含まれる夾雑物質を捕捉する一方で残留農薬を通過させることのできるものであり、少なくとも10,000分子量カットオフ(MWCO)の孔径を有するものを用いる。10,000MWCO未満の孔径の分離膜は、混合液に含まれる夾雑物質の捕捉能が高いものの、残留農薬の一部を併せて捕捉しやすくなることから、混合液からの残留農薬の回収率を低下させる可能性、特に、当該回収率を70%未満に低下させる可能性があり、調製器1により調製される分析用試料の信頼性を損なう可能性がある。一方、分離膜130は、孔径が0.45μm以下のものが好ましい。孔径が0.45μmを超える分離膜は、混合液からの夾雑物質の分離が困難になる可能性がある。これらの観点から、分離膜130は、通常、孔径が0.01〜0.45μmのものが好ましく、0.05〜0.2μmのものが特に好ましい。
分離膜130としては、上述の孔径を有するものであれば、耐溶媒性を有する有機膜または無機膜を用いることができる。
分離膜130として用いることができる有機膜は、有機質材料を用いて形成されたものであり、例えば、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル−ポリアクリロニトリル共重合体樹脂またはポリカーボネート樹脂などの樹脂材料からなるものが挙げられる。このうち、耐溶媒性の点において、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂またはポリアミド樹脂が好ましい。特に、残留農薬を吸着しにくいポリフッ化ビニリデン樹脂またはポリテトラフルオロエチレン樹脂を用いるのが好ましい。
一方、分離膜130として用いることができる無機膜は、無機質材料を用いて形成された膜であり、例えば、アルミナ、酸化チタンまたはジルコニアなどからなるものが挙げられる。このうち、アルミナ膜が好ましい。
分離膜130として用いられる有機膜は、プラズマ処理またはオゾン処理により親水性または疎水性が高められたものであってもよい。特に、プラズマ処理またはオゾン処理により親水性が高められた有機膜は、孔径が小さなものであっても混合液に含まれる残留農薬を円滑に通過させることができることから、残留農薬の回収率を損なわずに夾雑物質の分離効果を高めることができる。
分離膜130として特に好ましいものは、混合液に含まれる残留農薬の通過性を損ないにくく、夾雑物質、特に、疎水性物質並びに分子量の大きな糖やタンパク質等の分離能が高いことから、孔径が0.05〜0.45μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものである。
第1ユニット100は、図2に示すように、筒状体A1を吸着剤層110側から遠沈管A内に挿入し、また、遠沈管A内に挿入した筒状体A1内に筒状体A2を分離膜130側から挿入することで一体化することができる。一体化された第1ユニット100において、筒状体A1の吸着剤層110は、遠沈管Aの内部を上下に区画する。また、筒状体A2は、分離膜130を吸着剤層110の上方に配置する。この結果、遠沈管Aに挿入された筒状体A1、A2は、分離膜130を上層とし、吸着材層110を下層とする第1処理層150を形成する。
第2ユニット200は、遠沈管Bと、筒状体B1とを備えている。これらの器具は、第1ユニット100の各器具と同様の材料を用いて形成されている。
遠沈管Bは、実験室で使用可能な遠心分離機に適用可能な円筒状の容器であって第1ユニット100の遠沈管Aよりも大型であり、上端部の全体が開口するとともに底部が例えば円錐状に形成されることで閉鎖されている。
筒状体B1は、遠沈管Bの開口からその内部に対して挿入・抜取り可能な円筒状の器具であり、上部が開口し、底部に通液性を有する第2処理層210を有している。筒状体B1の上部は、水平方向に突出した第1フランジ部220を有している。また、筒状体B1は、その内部に対して第1ユニット100の筒状体A1を挿入・抜取り可能なように、内径が筒状体A1の外径と略同じに設定されている。
第2処理層210は、脱水剤を含む脱水層211と、当該脱水層211の下方に積層された、精製剤を含む精製層212とを備え、筒状体B1の底部に配置された通液性を有するシートまたはネット(図示省略)により筒状体B1内に支持されている。
脱水層211は、粉末状、粒子状または顆粒状の脱水剤を一定の厚さに成形することで形成されたものである。ここで用いられる脱水剤は、各種の溶媒や溶液に含まれる水分を除去可能なものであり、例えば、硫酸ナトリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムまたは塩化カリウムなどである。これらのうち、水分の吸収速度が速く、水分の吸収量が多いことから、炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムが好ましく、溶媒の種類にかかわらずに高い脱水能を有する炭酸カリウムが特に好ましい。脱水剤は、二種以上のものが併用されてもよい。
精製層212は、粉末状、粒子状または顆粒状の精製剤を一定の厚さに成形することで形成されたものである。ここで用いられる精製剤は、各種の溶液に含まれる夾雑物質を除去可能なものであり、例えば、塩基性、中性若しくは酸性のアルミナ、シリカゲル等のシリカ、ケイ酸マグネシウム、活性炭、グラファイトカーボン若しくは活性炭素繊維等の各種の炭素系材料、または、スチレン/ジビニルベンゼン共重合体系樹脂若しくはジビニルベンゼン共重合体系樹脂等の樹脂材料を用いて形成された樹脂多孔質体などを用いることができる。スチレン/ジビニルベンゼン共重合体系樹脂およびジビニルベンゼン共重合体系樹脂としては、吸着剤層110において用いられる吸着剤として利用可能なものと同様のものを用いることができる。
上述の精製剤は、溶液に含まれる夾雑物質の吸着性を高めるために、化学修飾によりエチレンジアミンN−プロピル基、アミノプロピル基、オクタデシル基、オクチル基、トリメチルアミノプロピル基、シアノプロピル基、フェニル基、ジオール基またはアミノ基などの官能基を導入したものであってもよい。
精製剤として特に好ましいものは、エチレンジアミン−N−プロピルシリル化シリカゲル、アミノプロピルシリル化シリカゲル、グラファイトカーボン、オクタデシル化シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムである。
精製剤は、二種以上のものが併用されてもよい。
脱水層211および精製層212は、必要に応じ、脱水能や精製能を損なわない程度において、賦形剤などの他の材料を含んでいてもよい。
第2ユニット200は、図3に示すように、筒状体B1を第2処理層210側から遠沈管B内に挿入することで一体化することができる。一体化された第2ユニット200において、筒状体B1の第2処理層210は、遠沈管Bの内部を上下に区画する。
分析用試料の調製器1は、通常、一体化された第1ユニット100と一体化された第2ユニット200とをセットとして輸送したり、販売したりすることができる。一体化された各ユニット100、200は、第1処理層150や第2処理層210等の各部の汚染を防止するために、それぞれ開口部を閉鎖する蓋(図示省略)が装着されていてもよい。この蓋としては、例えば、一体化された各ユニット100、220のフランジ部分全体を覆うように遠沈管A、Bの外周面に螺旋止め可能なものや、フランジ部分全体を覆うよう遠沈管A、Bの上端部に嵌め込み可能な柔軟性を有するものなどが用いられる。
次に、形態1の調製器1を用い、食品の残留農薬をガスクロマトグラフ質量分析計により一斉分析するための分析用試料を調製するための方法を説明する。この分析用試料の調製方法は、主に、以下に説明する工程1〜3の3段階の工程を含み、QuEChERS法と同程度の短時間で、ガスクロマトグラフ質量分析計やそのカラムを汚染しにくい目的の分析用試料を簡単に調製することができる。
(工程1)
この工程では、溶媒(第1溶媒)を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する。残留農薬の抽出対象となる食品は、各種の農作物、食肉、魚介類またはこれらの加工品など、種類が特に限定されるものではなく、通常、所要量を残留農薬の抽出のために微細な状態に粉砕するか、或いは切り刻むことで均一化する。
食品からの残留農薬の抽出は、通知法またはQuEChERS法において採用されている方法に従って実行することができる。すなわち、これらの方法では、先ず、均一化された所要量の食品試料に溶媒を加えてホモジナイズし、スラリーを調製する。ここで用いられる溶媒は、残留農薬を溶解可能であるとともに水に溶解しやすい高極性の水溶性有機溶媒、例えば、アセトニトリル、メタノールまたはアセトン等である。特に、アセトニトリルまたはアセトンを用いるのが好ましい。
次に、通知法では、得られたスラリーを吸引ろ過し、ろ液、すなわち残留農薬の抽出液を得る。この抽出液は、通常、リン酸緩衝液と塩化ナトリウムとを添加することでpHを調整するとともに塩析し、水溶性有機溶媒層と水層とに分離する。そして、分離した水溶性有機溶媒層を定容し、それから必要量を分取して濃縮したものを混合液を調製するための抽出液とする。一方、QuEChERS法では、得られたスラリーに塩を添加することで水溶性有機溶媒層と水層とに分離する。ここで用いられる塩は、塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム若しくはその水和物、クエン酸水素二ナトリウム若しくはその水和物、無水硫酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、無水酢酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウム等である。これらの塩は、併用することもできる。そして、分離した水溶性有機溶媒層を遠心分離して固形分と液分とに分離し、液分から必要量を分取して混合液を調製するための抽出液とする。
混合液の調製では、通知法またはQuEChERS法に従って得られた抽出液に水(通常は蒸留水や純水などの精製水)を加えて混合する。こうして得られる混合液は、抽出液に含まれる夾雑物質のうちの疎水性物質が混合された水のために析出、分散した状態になる。
混合液の調製時における抽出液(A)と水(B)との混合比率は、抽出液に含まれる疎水性物質の析出を促進可能な比率であれば、特に限定されるものではないが、通常、体積比(A:B)で10:90〜60:40に設定するのが好ましい。
(工程2)
この工程では、図4に示すように、一体化された第1ユニット100(一体化された第1ユニット100の遠沈管Aが第1遠沈管に相当する。)の筒状体A2内に工程1で調製した混合液Lを注入する。そして、第1ユニット100を遠心分離機に装着し、遠心力を加えると、筒状体A2内に注入した混合液Lが遠心力を受け、図4に矢印で示すように筒状体A2の分離膜130および筒状体A1の吸着材層110をこの順に通過する。この際、混合液Lに含まれる夾雑物質、特に、分子量の大きな糖やタンパク質並びに混合液Lにおいて析出した疎水性物質は、分離膜130により捕捉され、また、混合液L中の残留農薬は吸着剤層110に吸着する。この結果、混合液Lは、分離膜130に捕捉された夾雑物質、吸着剤層110に吸着した残留農薬および分離膜130と吸着剤層110とを通過して遠沈管Aの底部に溜まった液分L1とに分離される。
(工程3)
この工程では、工程2を経た第1ユニット100を遠沈管A、筒状体A1および筒状体A2に分解する。そして、図5に示すように、一体化された第2ユニット200(一体化された第2ユニット200の遠沈管Bが第2遠沈管に相当する。)の筒状体B1内に吸着剤層110側から筒状体A1を挿入し、筒状体A1を第2ユニット200と一体化する。これにより、筒状体B1の第2処理層210の上方に工程2を経た吸着剤層110が配置される。
次に、図6に示すように、筒状体A1内に溶媒S(第2溶媒に相当)を注入する。ここで用いられる溶媒は、吸着剤層110に吸着した残留農薬を溶解可能でありかつガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能なものであり、例えば、アセトン、酢酸エチル、トルエンおよびアセトニトリルを挙げることができる。また、アセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒を用いることもできる。この混合溶媒において用いられる炭化水素溶媒は、通常、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンまたはデカン等の脂肪族炭化水素溶媒やトルエン等の芳香族炭化水素溶媒である。炭化水素溶媒は、二種以上のものが併用されてもよい。混合溶媒としては、アセトンとヘキサンとを1:1の体積比で混合した混合溶媒または酢酸エチルとヘキサンとを9:1の体積比で混合した混合溶媒が特に好ましい。
次に、筒状体A1内に溶媒Sを注入した第2ユニット200を遠心分離機に装着し、遠心力を加えると、筒状体A1内に注入した溶媒Sが遠心力を受け、図6に矢印で示すように筒状体A1の吸着剤層110および筒状体B1の処理層210をこの順に通過する。この際、溶媒Sは、吸着剤層110に吸着した残留農薬を溶解しながら吸着剤層110を通過する。このため、溶媒Sは、残留農薬を吸着剤層110から抽出した抽出液となって第2処理層210をさらに通過する。溶媒Sによる抽出液が第2処理層210を通過する際、抽出液に混入している水分(この水分は、主に、吸着剤層110に含まれるものであり、溶媒Sが吸着剤層110の残留農薬を抽出する際に付随するものである。)は、処理層210の脱水層211に含まれる脱水剤により除去される。また、抽出液に混入している夾雑物質は、処理層210の精製層212に含まれる精製剤に捕捉されて除去される。したがって、遠沈管Bの底部には、溶媒Sによる残留農薬の抽出液Eであって脱水・精製処理されたものが溜まる。この抽出液Eは、ガスクロマトグラフ質量分析計による残留農薬の分析用試料として用いることができる。
本工程において用いる溶媒Sは、第2処理層210の脱水層211に含まれる脱水剤の種類との組み合わせにより脱水効果が相違するが、脱水剤として汎用性の高い炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムを用いる場合、吸着剤層110からの残留農薬の抽出能に特に優れたアセトン、酢酸エチル、アセトニトリルまたは上述の混合溶媒(すなわち、アセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒。)を用いるのが好ましい。
この工程において遠沈管Bの底部に溜まった残留農薬の抽出液E、すなわち、残留農薬の分析用試料は、遠沈管Bから筒状体A1とともに筒状体B1を抜き取ることで採取することができる。採取した抽出液Eは、そのままで、或いは、必要により適宜濃縮し、ガスクロマトグラフ質量分析計に適用することができる。
形態1に係る調製器1を用いた分析用試料の調製方法は、工程1において調製する混合液の条件(抽出液と水との混合比率)と分離膜130の種類との組み合わせを選択することで、工程2において混合液に含まれる残留農薬と夾雑物質との分離精度を高めることができる。例えば、工程1において調製する混合液において、抽出液(A)と水(B)との混合比率を上述のように体積比(A:B)で10:90〜60:40に設定するとともに、分離膜130として孔径が0.05〜0.45μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを選択した場合、工程2において混合液に含まれる残留農薬と夾雑物質とを分離膜130との分離精度が特に高まり、第2ユニット200の筒状体B1の第2処理層210において、精製層212を省くこともできる。
[分析用試料の調製器の形態2]
図7を参照し、本発明に係る分析用試料の調製器の形態2を説明する。形態2は、形態1の第1ユニット100のみを以下の第1ユニット101に変更したものであり、第2ユニット200は形態1と同じである。
本形態の第1ユニット101は、遠沈管A、筒状体A1’および筒状体A2’を備えている。遠沈管Aは、大きさや材料などの仕様が形態1の遠沈管Aと同じである。筒状体A1’および筒状体A2’は、いずれも、形態1の筒状体A1および筒状体A2と同様の材料を用いて形成されたものである。
筒状体A1’は、遠沈管Aの開口からその内部に対して挿入・抜取り可能な円筒状の器具であり、上部が開口し、底部に吸着剤層110を有している。筒状体A1’の上部は、水平方向に突出した第1フランジ部120を有している。吸着剤層110は、形態1の筒状体A1のものと同様のものであり、筒状体A1’の底部に配置された通液性を有するシートまたはネット(図示省略)により筒状体A1’内に支持されている。
筒状体A2’は、遠沈管Aの開口からその内部に対して挿入・抜取り可能な円筒状の容器であり、上部が開口し、底部が分離膜130により閉鎖されている。筒状体A2’の上部は、水平方向に突出した第2フランジ部140を有している。分離膜130は、形態1の筒状体A1のものと同様のものである。
第1ユニット101の遠沈管Aは、筒状体A1’および筒状体A2’のそれぞれを個別に挿入可能である。すなわち、遠沈管Aは、図8に示すように、その内部に対し、分離膜130側から筒状体A2’を挿入することができる。この場合、筒状体A2’の分離膜130は、遠沈管Aの内部を上下に区画する(この状態の遠沈管Aは、第1遠沈管に相当する。)。また、遠沈管Aは、図9に示すように、その内部に対し、吸着剤層110側から筒状体A1’を挿入することができる。この場合、筒状体A1’の吸着剤層110は、遠沈管Aの内部を上下に区画する(この状態の遠沈管Aは、第2遠沈管に相当する。)。
次に、形態2の調製器1を用い、食品の残留農薬をガスクロマトグラフ質量分析計により一斉分析するための分析用試料の調製方法を説明する。この調製方法は、主に、以下に説明する工程1〜3の3段階の工程を含み、QuEChERS法と同程度の短時間で、ガスクロマトグラフ質量分析計やそのカラムを汚染しにくい目的の分析用試料を簡単に短時間で調製することができる。
(工程1)
この工程では、溶媒(第1溶媒)を用いて食品から残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する。この工程の詳細は、形態1の調製器1を用いた調製方法の工程1と同様である。
(工程2)
この工程は、次の工程2−1と工程2−2とを含む。
工程2−1:
この工程では、図8に示すように、遠沈管Aの内部に筒状体A2’を挿入し、この筒状体A2’内に工程1で調製した混合液Lを注入する。この状態で遠沈管Aを遠心分離機に装着し、遠心力を加えると、筒状体A2’内に注入した混合液Lが遠心力を受け、分離膜130を通過する。この際、混合液Lに含まれる夾雑物質、特に、分子量の大きな糖やタンパク質並びに混合液Lにおいて析出した疎水性物質は、分離膜130により捕捉され、疎水性物質の除去されたろ液が遠沈管Aの底部に溜まる。この結果、混合液は、分離膜130に捕捉された夾雑物質と、分離膜130を通過した残留農薬を含むろ液とに分離される。遠沈管Aの底部に溜まったろ液は、ピペット等を用いて全量を採取し、次の工程2−2で利用する。
工程2−2:
この工程では、図9に示すように、遠沈管Aの内部に筒状体A1’を挿入し、この筒状体A1’内に工程2−1で採取したろ液を注入する。この状態で遠沈管Aを遠心分離機に装着し、遠心力を加えると、筒状体A1’内に注入したろ液が遠心力を受け、吸着剤層110を通過する。この際、ろ液中の残留農薬が吸着剤層110に吸着し、それによって残留農薬が分離された液分が遠沈管Aの底部に溜まる。この結果、ろ液は、吸着剤層110に吸着した残留農薬と、吸着剤層110を通過した液分とに分離される。
(工程3)
この工程は、工程2−2を経た筒状体A1’を遠沈管Aから抜き取り、この筒状体A1’を形態1による調製方法の場合と同様に一体化された第2ユニット200(この状態の第2ユニット200の遠沈管Bは、第3遠沈管に相当する。)の筒状体B1内に吸着剤層110側から挿入して第2ユニット200と一体化する。これにより、筒状体B1の第2処理層210の上方に工程2−2を経た吸着剤層110が配置される。
以下、形態1による調製方法の工程3と同じく、筒状体A1’内に溶媒Sを注入して吸着剤層110に吸着された残留農薬を抽出すると、遠沈管Bの底部には、溶媒Sによる残留農薬の抽出液Eであって脱水・精製処理されたものが溜まる。この抽出液Eは、ガスクロマトグラフ質量分析計による残留農薬の分析用試料として用いることができる。
形態2の調製器1を用いた分析用試料の調製方法は、工程2において、工程2−1の条件とは別に工程2−2の条件を設定することができる。例えば、工程2−1で得られたろ液(すなわち、残留農薬が溶解している第1溶媒と水との混合液)に対して第1溶媒または水を追加的に添加することで、ろ液における第1溶媒と水との体積比率を工程2−2においてろ液中の残留農薬が吸着剤層110により吸着されやすい条件に設定することができる。
例えば、第1ユニット100の吸着剤層110としてスチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂またはフェニル基若しくはオクタデシル基を導入したシリカを含む層を用いる場合、工程2−1で得られたろ液における第1溶媒(A)と水(B)との混合比率を体積比(A:B)で40:60〜50:50に調整後、当該ろ液を工程2−2において筒状体A1’の吸着剤層110上に注入すると、工程2−2において吸着剤層110を通過する残留農薬が減少することから、調製される分析用試料の信頼性が高まる。
形態2に係る調製器1を用いた分析用試料の調製方法は、工程1において調製する混合液の条件(抽出液と水との混合比率)と分離膜130の種類との組み合わせを選択することで、工程2において混合液に含まれる残留農薬と夾雑物質との分離精度を高めることができる。例えば、工程1において調製する混合液において、抽出液(A)と水(B)との混合比率を体積比(A:B)で50:50〜60:40に設定するとともに、分離膜130として孔径が0.05〜0.2μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを選択した場合、工程2−1において混合液に含まれる残留農薬と夾雑物質とを分離膜130との分離精度が特に高まり、第2ユニット200の筒状体B1の第2処理層210において、精製層212を省くこともできる。
形態2に係る調製器1を用いた分析用試料の調製方法では、LC/MS、LC/MS/MSまたはLC/TOFMS等の高速液体クロマトグラフ質量分析計に対して適用可能な残留農薬の分析用試料(第1分析用試料)とガスクロマトグラフ質量分析計に対して適用可能な残留農薬の分析用試料(第2分析用試料)との両方を工程1で調製した混合液から調製することもできる。
この場合、工程2−1において遠沈管Aの底部に溜まったろ液の一部を分取して確保し、これを高速液体クロマトグラフ質量分析計に対して適用するための第1分析用試料として用いる。そして、以降の工程は、工程2−2において遠沈管Aの内部に挿入した筒状体A1’内に遠沈管Aの底部に溜まった残部のろ液の全量を注入する点を除き、形態2に係る調製器1を用いた上述の分析用試料の調製方法と同様に実行し、工程3において遠沈管Bの底部に溜まった抽出液Eをガスクロマトグラフ質量分析計に対して適用するための第2分析用試料として用いる。
第1分析用試料および第2分析用試料を用いる残留農薬の分析方法では、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて第1分析用試料を分析し、また、ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて第2分析用試料を分析する。このようにすることで、高速液体クロマトグラフ質量分析計での分析に適した残留農薬種を高速液体クロマトグラフ質量分析計により分析し、また、ガスクロマトグラフ質量分析計での分析に適した残留農薬種をガスクロマトグラフ質量分析計により分析することになることから、分析可能な残留農薬種がより多種類になるとともに各残留農薬種の分析精度が高まり、信頼性の高い分析結果が得られる。
この分析方法において、第1分析用試料は、水、緩衝液または有機溶媒などを加えて希釈したものを高速液体クロマトグラフ質量分析計での分析に適用することができる。この場合、高速液体クロマトグラフ質量分析計での分析結果において、第1分析用試料に含まれる夾雑物の影響が抑えられ、より高精度の分析結果を期待することができる。
本発明に係る分析用試料の調製方法および調製器は、食品の残留農薬を一斉分析する場合だけではなく、残留農薬を個別に分析するための試料を調製する際に用いることもできる。
[食品試料の調製]
食品試料1:
市版の韮(ニラ)を微細に切り刻むことで均一化し、食品試料1を作成した。
食品試料2:
市版のリンゴを微細に切り刻むことで均一化し、食品試料2を作成した。
[比較例1](欧州規格EN15662に従ったQuEChERS法による分析用試料の調製)
食品試料1の10.0gと農薬標準液(関東化学株式会社の商品名「農薬標準混合液70(旧31)」)とを容量50mLの遠沈管(以下、遠沈管T1という。)に量り採り、攪拌・混合後に暫時静置した。農薬標準液は、食品試料1での濃度が200ppbとなるよう添加した。
食品試料1等を量り採った遠沈管T1にアセトニトリル10mLを加えて手作業で1分間振とうした。これにクエン酸三ナトリウム二水和物1g、クエン酸水素二ナトリウム1.5水和物0.5g、塩化ナトリウム1g、無水硫酸マグネシウム4gを加えて手作業で1分間激しく振とうし、塩析した。続いて、遠沈管T1を遠心分離機に装着して3,500rpmで10分間遠心分離した。
別の遠沈管(以下、遠沈管T2という。)に硫酸マグネシウム150mg、エチレンジアミン−N−プロピルシリル化シリカゲル(ジーエルサイエンス株式会社の商品名「InertSep PSA」)25mgおよびグラファイトカーボン(Waters社の商品名「Graphitized Carbon Black」)7.5mgを加え、これに遠沈管T1から分取した液層1mLを加えてボルテックスミキサーで30秒間振とうすることで攪拌した。そして、遠沈管T2を遠心分離機に装着して13,000rpmで2分間遠心分離し、遠沈管T2内の上澄み液500μLを採取した。この上澄み液にインジェクションスパイクとしてフェナントレンd−10、アントラセンd−10および9−ブロモアントラセンの3種類をそれぞれ濃度が100ppbとなるように添加し、試料濃度が1g/mLの分析試料とした。この分析試料の調製に要した時間は、食品試料1等を量り採った遠沈管T1にアセトニトリルを加える作業を開始した時点から30分であった。
[比較例2](通知法による分析試料の調製)
食品試料1の20.0gを量り採り、これに50ppbとなるように農薬標準液(関東化学株式会社の商品名「農薬標準混合液70(旧31)」)を添加し、攪拌・混合後に暫時静置した。これにアセトニトリル50mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過し、第1のろ液を得た。また、ろ紙上の残留物にアセトニトリル20mLを加えてホモジナイズした後、吸引ろ過し、第2のろ液を得た。第1のろ液と第2のろ液とを合わせ、これにアセトニトリルを加えて正確に100mLに調整することで抽出液を調製した。
分取した20mLの抽出液に塩化ナトリウム10gおよび0.5mol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)20mLを加え、これを振とう機で振とうした後に静置し、分離した水層を廃棄した。一方、アセトニトリル層は、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後に40℃以下で溶媒を除去した。この残留物にアセトニトリルとトルエンとを3:1の体積割合で混合した溶媒2mLを加え、試料溶液を得た。
次に、グラファイトカーボン500mgとアミノプロピルシリル化シリカゲル500mgとを積層充填したミニカラム(ジーエルサイエンス株式会社の商品名「InertSep GC/NH」)のグラファイトカーボン側からアセトニトリルとトルエンとを3:1の体積割合で混合した溶媒10mLを注入し、流出液を廃棄した。そして、このミニカラムのグラファイトカーボン側から試料溶液を注入した後、アセトニトリルとトルエンとを3:1の体積割合で混合した溶媒20mLを注入し、溶出液の全てを確保した。この溶出液を40℃以下で1mL以下に濃縮し、これにアセトン10mLを加えて40℃以下で再度1mL以下に濃縮した。この濃縮物に再度アセトン5mLを加えて溶解した後、溶媒を除去した。このときの残留物を体積が正確に1mLになるようアセトンに溶かし、試料濃度が4g/mLの分析用試料とした。分析用試料の調製に要した時間は、食品材料と農薬標準液との混合後にアセトニトリルを加える作業を開始した時点から110分であった。この分析用試料は、インジェクションスパイクとして、フェナントレンd−10、アントラセンd−10および9−ブロモアントラセンの3種類をそれぞれ濃度が100ppbとなるように添加した。
[実施例1]
下記の仕様の形態2に係る分析用試料の調製器1を用意した。
◎第1ユニット101
遠沈管A:
内径15.3mm、高さ120mm、容量15mL
筒状体A1’:
外径15.0mm、高さ61.7mm、容量5.5mL
筒状体A2’:
外径15.0mm、高さ62.7mm、容量4mL
吸着剤層110:
フェニル基を導入したシリカゲル650mgを高さ11mmに設定したもの。
分離膜130:
孔径0.1μm、厚さ30μmのポリテトラフルオロエチレン樹脂膜。
◎第2ユニット200
遠沈管B:
内径27.6mm、高さ114.5mm、容量50mL
筒状体B1:
外径17.3mm、高さ85.0mm、容量12mL
第2処理層210:
炭酸カリウム1,800mgを高さ7mmに設定した脱水層211と、グラファイトとアミノプロピル基を導入したシリカゲルとの混合物を高さ2mmに設定した精製層212とからなるもの。
工程1:
食品試料1の10.0gと農薬標準液(関東化学株式会社の商品名「農薬標準混合液70(旧31)」)とを容量50mLの遠沈管(以下、遠沈管T3という。)に量り採り、攪拌・混合後に暫時静置した。農薬標準液は、食品試料1での濃度が150ppbとなるよう添加した。
食品試料1等を量り採った遠沈管T3にアセトニトリル10mLを加えて1分間ホモジナイズした。これにクエン酸三ナトリウム二水和物1g、クエン酸水素二ナトリウム1.5水和物0.5g、塩化ナトリウム1gおよび無水硫酸マグネシウム4gを加えて手作業でさらに1分間激しく振とうし、塩析した。続いて、遠沈管T3を遠心分離機に装着して3,500rpmで10分間遠心分離し、遠沈管T3内から分取した1mLの上澄み液に水0.82mLを加えて混合液を調製した。
工程2−1:
図8に示すように、遠沈管Aの内部に筒状体A2’を挿入し、この筒状体A2’内に工程1で調製した混合液を注入した。この状態の遠沈管Aを遠心分離機に装着し、2,500rpmで10分間処理した。そして、遠沈管Aから筒状体A2’を抜き取り、遠沈管Aの底部に溜まったろ液をピペットを用いて採取した。採取したろ液は、水を添加することでアセトニトリルと水との体積比率が45:55になるよう調整した。
工程2−2:
図9に示すように、工程2−1で用いた遠沈管Aの内部に筒状体A1’を挿入した。そして、この筒状体A1’内に、工程2−1でアセトニトリルと水との体積比率を調整したろ液の全量を注入した。この状態の遠沈管Aを工程2−1で用いたものと同じ遠心分離機に装着し、2,000〜3,500rpmで8分間処理した。
工程3:
工程2−2の後、筒状体A1’を遠沈管Aから抜き取った。そして、一体化された第2ユニット200の筒状体B1内に吸着剤層110側から筒状体A1’を挿入することで筒状体A1’を第2ユニット200と一体化し、筒状体A1’内に抽出溶媒としてアセトン3.5mLを注入した。この第2ユニット200を工程2−1で用いたものと同じ遠心分離機に装着し、400rpmで5分間処理した。
遠心分離機による処理後の第2ユニット200について、遠沈管Bから筒状体A1’および筒状体B1を抜き取り、遠沈管Bの底部に溜まったアセトン溶液を分析用試料として確保した。分析用試料の調製に要した時間は、食品試料1等を量り採った遠沈管T3にアセトニトリルを加える作業を開始した時点から50分であった。この所要時間は、実施例2〜4についても同じであった。
[実施例2]
工程3において、抽出溶媒として酢酸エチル3.5mLを用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、分析用試料を得た。
[実施例3]
工程3において、抽出溶媒としてアセトンとヘキサンとの体積比率が1:1の混合溶媒3.5mLを用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、分析用試料を得た。
[実施例4]
工程3において、抽出溶媒として酢酸エチルとヘキサンとの体積比率が9:1の混合溶媒3.5mLを用いた点を除いて実施例1と同様に操作し、分析用試料を得た。
比較例1、2および実施例1〜4の評価
実施例1〜4および比較例1、2でそれぞれ調製した分析用試料を適宜濃縮するか、或いは、アセトンで適宜希釈し、GC/MSにより分析することで食品試料1に添加した農薬の回収率を求めた。また、実施例1〜4および比較例1、2でそれぞれ調製した分析用試料を濃縮するか、或いは、アセトンで希釈することで濃度を2g/mLに調整し、これをGC/MSにより分析することでSCANクロマトグラムを比較した。GC/MSの測定条件は次のとおりである。
GC/MS機器:
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社の商品名「Trace GC/PolarisQ」
カラム:
5%フェニル−メチルシリコン 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:
50℃(1分)−30℃/分−125℃(0分)−5℃/分−200℃(0分)−10℃/分−300℃(11分30秒)
注入口温度:
220℃
キャリヤーガス:
ヘリウム
イオン化モード(電圧):
EI(70eV)
食品試料1に添加した農薬標準液に含まれる各農薬について、20℃、pH7でのオクタノール/水分配係数(LogPow)と実施例1での回収率との関係を図10に示す。また、実施例1〜4および比較例1、2のそれぞれについて、回収率が70%以上の農薬の割合を調べた結果を図11に示す。さらに、図12に比較例1、2において得られた各分析用試料のGC/MS SCANクロマトグラムを示し、図13、14に実施例1〜4において得られた各分析用試料のGC/MS SCANクロマトグラムを示す。
図10によると、多くの農薬の回収率が70%以上であり、実施例1は、ガスクロマトグラフ質量分析計により食品の残留農薬を一斉分析するための試料の調製方法として適していることがわかる。比較例1、2と実施例1〜4について、農薬の回収率を比較すると、厚生労働省の「食品中に残留する農薬等に関する試験方法の妥当性評価ガイドライン」の要求基準である70〜120%を満たす回収率が得られた農薬の割合は、いずれについてもほぼ90%であった。但し、図12〜14によると、実施例1〜4の方が比較例1、2よりも夾雑ピークが少なく、精製効果が高い。このため、実施異例1〜4において得られた分析用試料は、比較例1および2で得られたものよりも、ガスクロマトグラフ質量分析計やそのカラムを汚染しにくいものと考えられる。
分析用試料の調製に要した時間は、実施例1〜4および比較例1、2にそれぞれ記載のとおり、実施例1〜4については50分、比較例1(QuEChERS法)については30分、比較例2(通知法)については110分である。多種類の食品検体から分析用試料を調製する場合、実施例1〜4は、一つの食品検体の分析用試料の調製中に他の食品検体から分析用試料を調製するための工程の多くを同時に並行して進めることができるのに対し、比較例1、2ではこれが多少限定的になる。このため、例えば、16種の食品検体から分析用試料を調製する場合に要する時間は、実施例1〜4については概ね170分、比較例1については概ね150分、比較例2については概ね1,050分となり、実施例1〜4は、比較例2に対する所要時間の短縮効果がより顕著となる一方、比較例1に対する所要時間上の短所が改善される。
[実施例5]
第2処理層210の脱水層211を硫酸マグネシウム1,100mgを高さ8mmに設定したものに変更した点を除き、実施例1で用いたものと同様の仕様の形態2に係る分析用試料の調製器1を用意した。この調製器1を用い、以下の工程を実行した。
工程1:
食品試料2の10.0gと農薬標準液(関東化学株式会社の商品名「農薬標準混合液70(旧31)」、同「農薬混合標準液55」および同「農薬混合標準液58」の三種類。)とを容量50mLの遠沈管(以下、遠沈管T3という。)に量り採り、攪拌・混合後に暫時静置した。農薬標準液は、食品試料2での濃度が「農薬標準混合液70(旧31)」は10ppbとなるように、また、「農薬混合標準液55」および「農薬混合標準液58」はそれぞれ40ppbとなるよう添加した。
食品試料2等を量り採った遠沈管T3にアセトニトリル10mLを加えて1分間ホモジナイズした。これにクエン酸三ナトリウム二水和物1g、クエン酸水素二ナトリウム1.5水和物0.5g、塩化ナトリウム1gおよび無水硫酸マグネシウム4gを加えて手作業でさらに1分間激しく振とうし、塩析した。続いて、遠沈管T3を遠心分離機に装着して3,500rpmで10分間遠心分離し、遠沈管T3内から分取した1.25mLの上澄み液に水1.025mLを加えて混合液を調製した。
工程2−1:
図8に示すように、遠沈管Aの内部に筒状体A2’を挿入し、この筒状体A2’内に工程1で調製した混合液を注入した。この状態の遠沈管Aを遠心分離機に装着し、2,800rpmで10分間処理した。そして、遠沈管Aから筒状体A2’を抜き取り、遠沈管Aの底部に溜まったろ液の一部(0.455mL)をピペットで採取し、第1分析用試料とした。また、遠沈管Aの底部に残ったろ液は、水を添加することでアセトニトリルと水との体積比率が45:55になるよう調整した。
工程2−2:
図9に示すように、工程2−1で用いた遠沈管Aの内部に筒状体A1’を挿入した。そして、この筒状体A1’内に、工程2−1でアセトニトリルと水との体積比率を調整したろ液の全量を注入した。この状態の遠沈管Aを工程2−1で用いたものと同じ遠心分離機に装着し、2,000rpmで5分間処理した。
工程3:
工程2−2の後、筒状体A1’を遠沈管Aから抜き取った。そして、一体化された第2ユニット200の筒状体B1内に吸着剤層110側から筒状体A1’を挿入することで筒状体A1’を第2ユニット200と一体化し、筒状体A1’内に抽出溶媒としてアセトン3.5mLを注入した。この第2ユニット200を工程2−1で用いたものと同じ遠心分離機に装着し、400rpmで8分間処理した。続いて、筒状体A1’内にアセトン2.5mLを注入後、第2ユニット200を遠心分離機に再度装着し、400rpmで8分間さらに処理した。
遠心分離機による処理後の第2ユニット200について、遠沈管Bから筒状体A1’および筒状体B1を抜き取り、遠沈管Bの底部に溜まったアセトン溶液を0.5mLまで濃縮し、これを第2分析用試料として確保した。第2分析用試料の調製に要した時間は、食品試料2等を量り採った遠沈管T3にアセトニトリルを加える作業を開始した時点から50分であった。
実施例5の評価
実施例5で得られた第1分析用試料および第2分析用試料をそれぞれLC/MS/MSおよびGC/MS/MSにより分析することで食品試料2に添加した農薬の回収率を求めた。この際、第1分析試料は、水0.045mLを加えて希釈し、LC/MS/MSに適用した。また、第2分析用試料は、そのままGC/MS/MSに適用した。LC/MS/MSおよびGC/MS/MSの測定条件は次のとおりである。
LC/MS/MS測定条件:
LC/MS/MS機器:
アジレント・テクノロジー株式会社の商品名「Agilent 1260 Infinity/6460 トリプル四重極」
カラム:
C18 内径2.1mm、長さ100mm、粒子径1.8μm
カラム温度:
40℃
移動相:
A:0.1%ギ酸および10mMギ酸アンモニウムを含む精製水
B:アセトニトリル
グラジエント(経過時間/組成):
0分 /A90%、B10%
20分/A10%、B90%
30分/A10%、B90%
45分/A90%、B10%
流速:
300μL/分
注入量:
5μL
測定モード:
MRM
GC/MS/MS測定条件:
GC/MS/MS機器:
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社の商品名「TRACE 1310 GC/TSQ8000Evo」
カラム:
5%フェニル−メチルシリコン 内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm
カラム温度:
100℃(1分)−30℃/分−125℃(0分)−5℃/分−200℃(0分)−10℃/分−300℃(11分30秒)
注入口温度:
260℃
キャリヤーガス:
ヘリウム
イオン化電圧:
70eV
測定モード:
Timed−SRM
第1分析用試料をLC/MSにより分析することで求めた個別の農薬の回収率を表1A、表1Bに示し、第2分析用試料をGC/MSにより分析することで求めた個別の農薬の回収率を表2A、表2Bに示す。なお、各表の回収率は、実施例5の工程に従って同じ食品試料2から調製した、それぞれ三種類の第1分析用試料および第2分析用試料を分析した平均値である。
Figure 2018036258
Figure 2018036258
Figure 2018036258
Figure 2018036258
第1分析用試料に含まれていた農薬のうち、Thiaclopridは食品試料2からも検出されたことから、表1A、表1Bに反映していない。また、第2分析用試料に含まれていた農薬のうち、TrifloxystrobinおよびPropargiteは食品試料2からも検出されたことから、また、Allethrin-1,2はそのピークが妨害ピークと重なり、定量が困難であったことから、表2A、表2Bに反映していない。
表1A、表1Bによると、第1分析用試料において、厚生労働省の「食品中に残留する農薬等に関する試験方法の妥当性評価ガイドライン」の要求基準である70〜120%を満たす回収率が得られた農薬の割合は100%であった。また、表2A、表2Bによると、第2分析用試料において、上記要求基準を満たす回収率が得られた農薬の割合は88%であった。
1 調製器
100、101 第1ユニット
110 吸着剤層
130 分離膜
150 第1処理層
200 第2ユニット
210 第2処理層
211 脱水層
212 精製層
A、B 遠沈管
A1、A2、A1’、A2’、B1 筒状体
L 混合液
S 抽出溶媒

Claims (16)

  1. ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を分析するための試料の調製方法であって、
    水溶性の第1溶媒を用いて前記食品から前記残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1と、
    通液性を有しかつ前記残留農薬を吸着可能な吸着剤層と、前記吸着剤層の上方に配置された10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜とを有する第1処理層により内部が上下に区画された第1遠沈管の前記分離膜上に前記混合液を注入し、前記第1遠沈管に遠心力を加えることで前記混合液を前記第1処理層に通過させる工程2と、
    通液性を有しかつ脱水層を含む第2処理層により内部が上下に区画された第2遠沈管の前記第2処理層の上方に工程2を経た前記吸着剤層を配置した後、前記残留農薬を溶解可能でありかつ前記ガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を前記吸着剤層上に注入し、前記第2遠沈管に遠心力を加えることで前記第2溶媒を前記吸着剤層および前記第2処理層に通過させる工程3と、
    を含む残留農薬の分析用試料の調製方法。
  2. 前記第2処理層において、前記吸着剤層を通過した前記第2溶媒に含まれる夾雑物質を捕捉可能な精製層を前記脱水層の下方に配置する、請求項1に記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  3. 前記第1溶媒としてアセトニトリルまたはアセトンを用いる、請求項1または2に記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  4. 前記分離膜として孔径が0.05〜0.45μmでありかつポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを用いる、請求項1から3のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  5. 前記吸着剤層としてスチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂またはフェニル基若しくはオクタデシル基を導入したシリカを含む層を用いる、請求項1から4のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  6. 前記脱水層として炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムを含むものを用い、かつ、前記第2溶媒としてアセトン、酢酸エチル、アセトニトリルまたはアセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒を用いる、請求項1から5のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  7. ガスクロマトグラフ質量分析計を用いて食品の残留農薬を分析するための試料の調製方法であって、
    水溶性の第1溶媒を用いて前記食品から前記残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1と、
    10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により内部が上下に区画された第1遠沈管の前記分離膜上に前記混合液を注入し、前記第1遠沈管に遠心力を加えることで前記混合液を前記分離膜に通過させてろ液を得る工程2−1と、
    通液性を有しかつ前記残留農薬を吸着可能な吸着剤層により内部が上下に区画された第2遠沈管の前記吸着剤層上に前記ろ液を注入し、前記第2遠沈管に遠心力を加えることで前記ろ液を前記吸着剤層に通過させる工程2−2と、
    通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により内部が上下に区画された第3遠沈管の前記処理層の上方に工程2−2を経た前記吸着剤層を配置した後、前記残留農薬を溶解可能でありかつ前記ガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を前記吸着剤層上に注入し、前記第3遠沈管に遠心力を加えることで前記第2溶媒を前記吸着剤層および前記処理層に通過させる工程3と、
    を含む残留農薬の分析用試料の調製方法。
  8. 前記処理層において、前記吸着剤層を通過した前記第2溶媒に含まれる夾雑物質を吸着可能な精製層を前記脱水層の下方に配置する、請求項7に記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  9. 前記第1溶媒としてアセトニトリルまたはアセトンを用いる、請求項7または8に記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  10. 前記混合液において前記抽出液(A)と前記水(B)との混合比率を体積比(A:B)で50:50〜60:40に設定し、かつ、前記分離膜として孔径が0.05〜0.2μmでありかつポリテトラフルオロエチレン樹脂製またはポリフッ化ビニリデン樹脂製のものを用いる、請求項7から9のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  11. 前記吸着剤層としてスチレン/ジビニルベンゼン共重合体樹脂、スチレン/ジビニルベンゼン/メタクリレート共重合体樹脂、ジビニルベンゼン/ビニルピロリドン共重合体樹脂またはフェニル基若しくはオクタデシル基を導入したシリカを含む層を用い、かつ、工程2−1で得られたろ液における前記第1溶媒(A)と前記水(B)との混合比率を体積比(A:B)で40:60〜50:50に調整後、工程2−2において前記吸着剤層上に前記ろ液を注入する、請求項7から10のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  12. 前記脱水層として炭酸カリウムまたは硫酸マグネシウムを含むものを用い、かつ、前記第2溶媒としてアセトン、酢酸エチル、アセトニトリルまたはアセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルのうちの少なくとも一つと炭化水素溶媒との混合溶媒を用いる、請求項7から11のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  13. 高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて前記残留農薬を分析するための試料として工程2−1で得られた前記ろ液の一部を分取して確保し、工程2−1で得られた前記ろ液の残部を工程2−2において前記吸着剤層上に注入する、請求項7から12のいずれかに記載の残留農薬の分析用試料の調製方法。
  14. 水溶性の溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出することで得られる抽出液と水との混合液からガスクロマトグラフ質量分析計を用いて前記残留農薬を分析するための試料を調製するための分析試料調製器であって、
    底部が閉鎖された遠沈管Aと、
    前記遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、前記遠沈管Aに対して挿入したときに、通液性を有しかつ前記混合液に含まれる前記残留農薬を吸着可能な吸着剤層により前記遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A1と、
    前記筒状体A1の内部に対して挿入・抜き取り可能であり、前記筒状体A1に対して挿入したときに、10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜を前記吸着剤層の上方に配置可能な筒状体A2と、
    を含む第1ユニットと、
    前記遠沈管Aとは別体の、底部が閉鎖された遠沈管Bと、
    前記遠沈管Bの内部に対して挿入・抜取り可能であり、前記遠沈管Bに対して挿入したときに、通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により前記遠沈管Bの内部を上下に区画可能な筒状体B1と、
    を含む第2ユニットと、
    を備え、
    前記筒状体A1は、前記筒状体B1の内部に重ねて挿入可能である、
    残留農薬の分析用試料の調製器。
  15. 水溶性の溶媒を用いて食品から残留農薬を抽出することで得られる抽出液と水との混合液からガスクロマトグラフ質量分析計を用いて前記残留農薬を分析するための試料を調製するための分析試料調製器であって、
    底部が閉鎖された遠沈管Aと、
    前記遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、前記遠沈管Aに対して挿入したときに、通液性を有しかつ前記混合液に含まれる前記残留農薬を吸着可能な吸着剤層により前記遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A1’と、
    前記遠沈管Aの内部に対して挿入・抜取り可能であり、前記遠沈管Aに対して挿入したときに、10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により前記遠沈管Aの内部を上下に区画可能な筒状体A2’と、
    を含む第1ユニットと、
    前記遠沈管Aとは別体の、底部が閉鎖された遠沈管Bと、
    前記遠沈管Bの内部に対して挿入・抜取り可能であり、前記遠沈管Bに対して挿入したときに、通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により前記遠沈管Bの内部を上下に区画可能な筒状体B1と、
    を含む第2ユニットと、
    を備え、
    前記筒状体A1’は、前記筒状体B1の内部に重ねて挿入可能である、
    残留農薬の分析用試料の調製器。
  16. 食品の残留農薬の分析方法であって、
    水溶性の第1溶媒を用いて前記食品から前記残留農薬を抽出し、得られた抽出液を水と混合して混合液を調製する工程1と、
    10,000分子量カットオフ以上の孔径を有する分離膜により内部が上下に区画された第1遠沈管の前記分離膜上に前記混合液を注入し、前記第1遠沈管に遠心力を加えることで前記混合液を前記分離膜に通過させてろ液を得る工程2−1と、
    前記ろ液の一部を分取して確保する工程2−2Aと、
    通液性を有しかつ前記残留農薬を吸着可能な吸着剤層により内部が上下に区画された第2遠沈管の前記吸着剤層上に工程2−2Aで一部を分取後の残部の前記ろ液を注入し、前記第2遠沈管に遠心力を加えることで前記ろ液を前記吸着剤層に通過させる工程2−2Bと、
    通液性を有しかつ脱水層を含む処理層により内部が上下に区画された第3遠沈管の前記処理層の上方に工程2−2Bを経た前記吸着剤層を配置した後、前記残留農薬を溶解可能でありかつ前記ガスクロマトグラフ質量分析計に適用可能な第2溶媒を前記吸着剤層上に注入し、前記第3遠沈管に遠心力を加えることで前記第2溶媒を前記吸着剤層および前記処理層に通過させる工程3と、
    高速液体クロマトグラフ質量分析計を用い、工程2−2Aで分取した前記ろ液を分析する工程4と、
    ガスクロマトグラフ質量分析計を用い、工程3において前記吸着剤層および前記処理層を通過した前記第2溶媒を分析する工程5と、
    を含む残留農薬の分析方法。
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