JP2018035937A - 2部品型の焼結金属ラビニヨキャリア - Google Patents

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Abstract

【課題】変速機での使用に必要とされる高いトルクの要求に合致する能力を有する、強度と製造容易性とを実現する改良された粉末金属キャリアアセンブリの提供。
【解決手段】キャリアアセンブリ50は、キャリアプレート56から延びる複数の一体的なキャリア脚部58を有するキャリアプレート52を含む粉末金属キャリア部材と、カバープレートから延びる複数の一体的なカバー脚部64を有するカバープレート62を含む粉末金属カバー部材54とを備える。このキャリアアセンブリは、キャリア脚部のそれぞれの端部とカバー脚部の端部とが、互いに整列させられており、且つ、互いに対して蝋付けされており、及び、ピニオンギヤを収容するように構成されたキャリアアセンブリの内部を画定するように構成される。
【選択図】図2

Description

本開示は、概して、変速機用の遊星キャリアアセンブリに関し、より詳細には、2部品型の焼結金属ラビニヨ(Ravigneaux)キャリアアセンブリと、そのアセンブリを製造するための方法とに関する。
本明細書で提示される背景技術の説明は、開示の背景を概略的に示すことを目的とするものである。この背景技術のセクション内で説明される範囲内の、現在挙げられている発明者の業績は、その他出願時点において従来技術と見なされていない説明の態様と同様に、現在の技術に対する従来技術として明示的にも黙示的にも認められることはない。
変速機の構成部品は、高い強度を有し、且つ、高いトルク容量に適していなければならない。粉末金属の変速機構成部品は、幾つかの技術的利点を提供し、製造上の戦略と展望から、より魅力的なものになりつつある。ラビニヨ遊星ギヤセットは、様々なギヤ比を効率的に実現するために、様々な自動変速機アセンブリにおいて一般的に使用されている二重遊星ギヤセットである。ラビニヨキャリア構造は、共通のキャリアを共有すると共に、1つのサンギヤにそれぞれが噛み合う2組の歯車を含む。典型的な粉末金属ラビニヨキャリア構造は、2組のピニオンギヤを収容するために、3つの部品、即ち、円筒形シェル又はドラムと、支持部材と、バッキングプレート(backing plate)とを含む。
一般的に、あらゆるアセンブリにおいて部品の個数を減少させることが、部品管理コスト及び材料コストの削減につながる。特に粉末金属に関しては、未焼結の構成部品は、焼結前は壊れやすい。したがって、個別の粉末金属構成部品の個数の削減は、部品点数を減少させるだけでなく、さらには、部品の取り扱いを減少させ、これにより、破損、品質問題、又は、欠陥のあらゆる危険性を低減させることが可能である。
したがって、変速機での使用に必要とされる高いトルクの要求に合致する能力を有する、強度と製造容易性とを実現する改良された粉末金属キャリアアセンブリが依然として求められている。
このセクションは、本開示の概括的な概要を提供するものであり、本開示の全体的範囲又は本開示の特徴のすべての包括的な開示ではない。
様々な態様において、本教示は、変速機用の遊星キャリアアセンブリを提供する。このキャリアアセンブリは、キャリアプレートと一体であり且つキャリアプレートから特定の距離を延びる複数のキャリア脚部を含むキャリアプレートを備える、粉末金属キャリア部材を提供する。このキャリアアセンブリは、さらに、カバープレートと一体であり且つカバープレートから特定の距離を延びる複数のカバー脚部を有するカバープレートを備える、粉末金属カバー部材も含む。このキャリアアセンブリは、キャリア脚部のそれぞれの端部とカバー脚部の端部とが、互いに整列させられ、且つ、例えば蝋付け接合部(braze joint)によって互いに固定されているように、構成されている。
他の態様においては、本教示は、自動変速機用のラビニヨ遊星キャリアアセンブリを提供する。このキャリアアセンブリは、第1及び第2の組のピニオンギヤを含んでもよい。そのキャリアプレートから延びる複数の一体的なキャリア脚部を有するキャリアプレートを含む、単体の粉末金属キャリア部材が備えられる。カバープレートから延びる複数の一体的なカバー脚部を有するカバープレートを含む、単体の粉末金属カバー部材も備えられる。このキャリアアセンブリは、キャリア脚部のそれぞれの端部とカバー脚部の端部とが、互いに整列させられ且つ互いに蝋付けされているように配置されており、第1及び第2の組のピニオンギヤを収容するように構成されているキャリアアセンブリの内部を画定する。
さらに別の態様では、本教示は、2構成部品型のラビニヨ遊星キャリアアセンブリをアセンブリするための方法を提供する。この方法は、(1)キャリアプレートから延びる複数の一体的なキャリア脚部を有するキャリアプレートを備える粉末金属キャリア部材と、(2)カバープレートから延びる複数の一体的なカバー脚部を有するカバープレートを備える粉末金属カバー部材とを整列させることを含む。様々な態様では、この整列は、サブアセンブリを形成するために、キャリア脚部のそれぞれの端部とカバー脚部の端部とが互いに整列させられることを結果的に生じさせる。整列が完了した後に、この方法は、カバー部材に対してキャリア部材のそれぞれの脚部を固定するために、そのサブアセンブリを焼結することを含むだろう。様々な態様において、この方法は、そのサブアセンブリを焼結する前に、キャリア脚部とカバー脚部とのそれぞれの端部に隣接して蝋付け材料を配置することを含むだろう。
適用範囲の更なる領域、及び上記技術を向上させる様々な方法は、本明細書で示される説明から明らかになるだろう。この概要における説明と特定の具体例は、例示だけを目的とすることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
本教示は、以下の詳細な説明と添付図面とから、より完全に理解されるだろう。
図1は、従来技術による3部品型ラビニヨキャリアアセンブリの斜視図である。 図2は、例示的な本開示の様々な態様による、カバー部材に固定されているキャリア部材を有するラビニヨキャリアアセンブリの斜視図である。 図3Aは、スリーブ部材とブレーキハブとをさらに含む図2のキャリアアセンブリの第1の斜視図である。 図3Bは、スリーブ部材とブレーキハブとをさらに含む図2のキャリアアセンブリの第2の斜視図である。 図4は、図2と図3のラビニヨキャリアアセンブリの分解斜視図である。 図5は、線5−5に沿った図3Bの部分断面図である。 図6Aは、図1の従来技術による3部品型ラビニヨアセンブリの部分断面図を示す略図である。 図6Bは、本開示の様々な態様による図2の2部品型ラビニヨキャリアアセンブリの部分断面図を示す略図である。 図7は、カバープレートから延びる一体的なカバー脚部を有するカバープレートを含む粉末金属カバー部材の斜視図である。 図8は、図7の粉末金属カバープレート部材の平面図である。 図9は、キャリアプレートから延びる一体的なキャリア脚部を有するキャリアプレートを含む粉末金属キャリア部材の斜視図である。 図10は、図9の粉末金属キャリア部材の底面図である。 図11は、本開示の教示の様々な態様による例示的なスリーブ部材の平面図である。 図12は、図11の例示的なスリーブ部材の底面図である。
本明細書で説明される図面は、特定の態様の説明のために、本技術の方法及び装置の特徴のうち、方法及び装置の概略的な特徴を例示することを意図していることに留意されたい。これらの図は、示された態様のあらゆる特徴を必ずしも詳細に反映しているわけではなく、且つ、本技術の範囲内の特定の実施形態を画定又は限定することを必ずしも意図しているわけではない。さらに、特定の態様は、図面の組み合わせからの特徴を組み込むことができる。
本技術は、概して、変速機、特に、自動車用自動変速機の様々なピニオンギヤと構成部品とを収容するために使用可能な2部品型の焼結金属ラビニヨ遊星キャリアアセンブリを提供する。このキャリアアセンブリは、2つの主要な焼結金属構成部品を備える。第1の主要な構成部品は粉末金属キャリア部材であり、このキャリア部材は、キャリアプレートから垂直方向に所定の距離だけ延びる複数の一体化されたキャリア脚部を有するキャリアプレ−トを含む。第2の主要な構成部品は、カバープレートから垂直方向に延びる複数の一体化されたカバー脚部を有するカバープレ−トを含む粉末金属カバー部材である。様々な態様では、キャリアアセンブリは、概して、キャリア脚部のそれぞれの端部とカバー脚部の端部とが互いに整列させられ、且つ互いに蝋付け(braze)されるように配置されている。キャリア部材とカバー部材との配置が、様々なピニオンギヤを収容するように構成されたキャリアアセンブリの内部を画定する。
ラビニヨ遊星歯車構造は、様々なギヤ比を実現するための自動変速機で使用可能であり、共通キャリアを共有する2段(two tiers)又は2組(two decks)のピニオンギヤを含む。図1は、例示的な従来技術の3部品型ラビニヨキャリアアセンブリ20の斜視図である。図示されているように、この典型的な従来技術のキャリアアセンブリ20は、概して、支持部材22と、円筒形シェル又はドラム24と、バッキングプレート又はエンドプレート26とを含む。
本技術は、2部品型粉末金属キャリアアセンブリを使用することによって2組の歯車の収容を提供する。したがって、本技術は、特に、部品点数と、製造コストと、生産時間とを低減させる。図2は、本開示の様々な態様による粉末金属カバー部材54に固定されている粉末金属キャリア部材52を有する、例示的な2部品型ラビニヨキャリアアセンブリ50の斜視図である。
様々な態様において、キャリア部材52は、単体の一体型の構成部品(即ち、1つの構成部品として形成されている)であってもよく、キャリアプレート56と一体化されて角度方向に互いに離間された複数のキャリア脚部58を含んだ概ね円形のキャリアプレート56部分を含む。キャリア脚部58は、概ね均一な長さを備えており、自由端部60まで延びている。例えば、キャリアプレート56の外面56a(図9参照)とキャリア脚部58の自由端部60との間の距離は、互いに間隔を空けた各キャリア脚部58において概ね同一であってもよい。キャリアプレート52の形状及び設計と同様に、様々な態様において、カバー部材54は、単体の一体型の構成部品(即ち、1つの構成部品として形成されている)であってもよく、カバープレート62と一体化された角度方向に互いに離間された複数のカバー脚部64を含んだ概ね円形であるカバープレート62を含む。カバー脚部64は、自由端部66まで延びる均一な長さを備えてもよい。例えば、カバープレート62の外面62a(図7参照)とカバー脚部64の自由端部66との間の距離は、互いに離間した各カバー脚部64において概ね同一であってもよい。2部品型のキャリアアセンブリ50は、キャリア脚部58のそれぞれの端部60とカバー脚部64の端部66とが少なくとも部分的に互いに整列させられており、且つ互いに対して固定されるように、概ね構成されている。様々な態様において、そのそれぞれの端部は、非限定的な例として、適切な蝋付け材料を使用して焼結プロセス中に形成される蝋付け接合部によって互いに接合されている。キャリア部材52とカバー部材54との配置は、様々なピニオンギヤと関連構成部品とを収容するように構成されるキャリアアセンブリ50の内部80(図5参照)を画定する。
図2及びそれに関連する説明は或る選択された実施形態に関するものであり、全体的な機能、目的、及び動作に影響を与えること無くその設計に対して様々な変更を加えることができる。特定の態様では、例えば脚部は、サイズ、形状、及び/又は、長さが全体的又は部分的に不均一であってもよいが、依然として2部品型キャリアアセンブリを形成する。さらに、キャリア部材52とカバー部材54とは、一体型の単体の構成部品であることが好ましいが、キャリア部材52又はカバー部材54の少なくとも一部分が、互いに機械的に(又は、他の形で)締結され、固定され、又は、他の形で互いに接合された2つ以上の構成部品を備える特定の望ましい態様が存在してもよい。
粉末冶金技術は、金属粉末から材料又は構成部品を製造する際の様々な方法を範囲内に含む。したがって、本技術の粉末金属組成は、特定の又は所望の最終用途にあわせて調整されることができる。様々な態様において、キャリア部材52とカバー部材54とは、同一の又は概ね同じ粉末金属組成を有することが可能である。他の態様では、キャリア部材52とカバー部材54とは、互いに異なる粉末金属組成を有することが望ましいことがある。
様々な態様において、キャリアアセンブリ50は、さらに、自動車変速機の機能と共に協働する補助的構成部品を含むことが望ましい場合がある。限定するものではない補助構成部品の例としては、スリーブ、ブレーキハブ、クラッチ、一方向クラッチ、レース(race)、及び軸受等が挙げられる。したがって、キャリアアセンブリ50は、キャリア部材52とカバー部材54の一方又は両方に固定される少なくとも1つの補助構成部品を含んでもよい。補助構成部品は、複数の部品又は組み合わされた構成部品を含むことができることを理解されたい。特定の態様では、補助部材は、蝋付け接合部又は溶接を使用して取り付けることができる。図3Aは、上側を向けたキャリア部材52と共に示された環状スリーブ部材68と環状ブレーキハブ70とをさらに含むキャリアアセンブリ50の第1の斜視図である。図3Bは、上側を向いたカバー部材54と共に示されたスリーブ部材68とブレーキハブ70とをさらに含む図2のキャリアアセンブリの第2の斜視図である。
図4は、図2及び図3のラビニヨキャリアアセンブリ50の分解斜視図である。図5は、キャリアアセンブリ50の追加的な詳細部分を示すための図であり、線5−5に沿った図3Bの部分断面図である。図5に詳細に示されているように、スチール製のスリーブ部材68の内周部72に隣接した領域106の少なくとも一部分が、キャリア部材52のそれぞれのキャリア脚部58の自由端部60において、キャリアアセンブリ50に固定されている。スリーブ部材68とキャリア部材52との間の連結部分は、カバー部材54とキャリア部材52とのそれぞれの脚部64、58の間の連結部分と同一の平面内に存在し、即ち、これらは両方ともキャリア部材52の自由端部60に接合されている。
様々な態様において、スリーブ部材68は、蝋付け接合部又は溶接によってキャリアアセンブリ50に固定されることができる。蝋付け接合部を使用する場合には、スリーブ部材68は、概して、焼結プロセスの温度に耐えることができなければならない。様々な態様において、キャリア脚部58及びカバー脚部64の少なくとも1つは、適切な蝋付け材料を焼結前に配置することが可能な蝋付け材料保持機構76を画定することができる。図5に示されるように、例えば、カバー脚部64の端部66は、蝋付け材料を所定の位置に保持するのに適した小さな開口部又は穴76を含むことができる。この蝋付け材料は蝋付けプロセス中に溶融して重力と毛細管作用(capillary action)とによって流動するだろう。追加的又は代替的に、キャリア脚部58の端部60が、小さな開口部又は穴(図示せず)を画定してもよい。他の態様では、補助部材は、追加的又は代替的に、適切な蝋付け材料保持機構を実現することができる。さらに別の態様では、脚部58、64の一部分を、焼結プロセス中に適切な接合領域に蝋付け材料を案内するように形成してもよい。
続けて図5を参照すると、様々な態様において、キャリア脚部58のそれぞれの端部60と、カバー脚部64の端部66とは、単一の平面内に配置されている蝋付け接合部78によって、互いに整列させられ、且つ、互いに対して固定される。特定の態様では、本明細書ではスチール製のスリーブ部材68である補助構成部品が、さらに、同一の単一平面内において、蝋付け接合部78によってキャリアアセンブリ50に固定されていてもよい。図示されているように、キャリア脚部58及びカバー脚部64のそれぞれが、互いに概ね面一に整列させられたそれぞれの内面又は内側壁58a、64aと、蝋付け平面の位置において互いからオフセットされたそれぞれの外面又は外側壁58b、64bとを画定し、このことが、補助部材のための適切な接合面を実現するだろう。
キャリア部材52とカバー部材54との配置は、少なくとも部分的に、複数のピニオンギヤと様々な他の関連構成部品とを収容するように構成されたキャリアアセンブリ50内の内部空洞80を画定する。キャリア部材52及びカバー部材54の形状は、多くの変形を含んでもよいことを理解されたい。例えば、特定の設計では2つの概ね互いに平行な平面66、67を画定するカバー部材54の底部が示されているが、自由端部66が平面67と整列させられるように1つの平面だけがあってもよい。様々な態様において、キャリアアセンブリ50は、互いに離間した4つのキャリア脚部58のそれぞれの組に接合された互いに離間した4つのカバー脚部64を含んでもよい。図5に示されるように、環状ブレーキハブ70の内周部82は、例えば溶接接合部84又は同等の締結機構によって、スチール製のスリーブ部材68の外周部74に固定されていてもよい。特定の態様では、スチール製のスリーブ部材68は、焼結プロセスの後に、再成形され、及び/又は、ブレーキハブ70に圧入されてもよく、且つ、その後に、この2つの構成要素が、アセンブリを形成するように互いに溶接されてもよい。
図6Aは、図1の従来技術による3部品型ラビニヨアセンブリの部分断面図を示す概略図である。比較のために、図6Bは、本開示による図2の2部品型ラビニヨキャリアアセンブリの部分断面図を示す概略図である。この両方の概略図は、同一のサン軸線36を共有する同一の大きなサンギヤ28と小さいサンギヤ30と、同一の長いピニオン軸線36上のピニオンギヤ34と、短いピニオン軸線40上の短いピニオンギヤ38とを有する構成を示す。
図7は、カバープレート62から延びてそれと一体化されたカバー脚部64を有するカバープレート62を含んだ例示的な粉末金属カバー部材54の斜視図であり、図8は、図7の粉末金属カバー部材54の平面図である。カバープレート62は、平らなウェブ表面(web surface)を有するか、又は、面取りされているか又は湾曲したエッジ86を含む外面62aを有した概ね円形の形状を備えることができる。様々な態様において、湾曲したエッジ86は機械加工によって形成することができる。カバー脚部の様々な内側壁64aは、ピニオンギヤと他の構成部品を収容するように湾曲させることができ、又は形作ることができる。脚部64の外側壁64bは、外面62aのエッジ86と概ね整列させられてもよい。カバープレート62は、粉末金属製造プロセス中に、又は、その後に機械加工される形で、様々な開口部とその開口部内に形成された他の機構を有する形に形成されてもよい。例えば、角度方向に離間された第1の複数の開口部88を、長いピニオンギヤ34のピニオンシャフト(図示せず)のために設けることができる。同様に、角度方向に離間された第2の複数の開口部90を、短いピニオンギヤ38のピニオンシャフトのために設けることができる。図示されているように、第2の複数の開口部90は、カバープレート62とカバー脚部64との両方を貫通しているが、一方で第1の複数の開口部88は、カバープレート62だけを貫通している。開口部93、95のような追加的な保持機構を設けることもできる。所望の設計に応じて、カバー部材54の他の構成も使用されてもよいということを理解されたい。
図9は、キャリアプレートから延びてそれと一体化されたキャリア脚部58を有するキャリアプレート56部分を含んだ例示的な粉末金属キャリア部材52の斜視図であり、図10は、図9の粉末金属キャリア部材52の底面図である。キャリアプレート56は、平らなウェブ表面を有するか、又は、低下させられているか又は傾斜したエッジ92を含む外面56aを有する、概ね円形の形状を備えることができる。様々な態様において、エッジ92は機械加工によって形成することができる。キャリア脚部58の様々な内側壁58aは、ピニオンギヤと他の構成部品とを収容するように湾曲させることができ、又は形作ることができる。脚部58の外側壁58bは、外面56aのエッジ92と概ね整列させられており、互いに離間されたスプライン94を任意に含んでもよい。キャリアプレート56は、粉末金属製造プロセス中に、又は、その後の機械加工中に、様々な開口部と、その中に形成されている他の機構とを伴う形で形成されてもよい。例えば、角度的に互いに離間された第1の複数の開口部96は、長いピニオンギヤ34のピニオンシャフト(図示せず)のために設けることができる。同様に、角度的に互いに離間された第2の複数の開口部98は、短いピニオンギヤ38のピニオンシャフトのために設けることができる。図示されているように、キャリア脚部58の内側壁58aが第2の複数の開口部98の周りに形成されているので、第1及び第2の複数の開口部96、98は、キャリアプレート56だけを貫通している。キャリア部材52の他の構成も、設計に応じて使用されてもよいということを理解されたい。
図11は、本開示の教示の様々な態様による例示的なスチール製のスリーブ部材68の平面図であり、図12は、図11のスリーブ部材68の底面図である。スリーブ部材68は、内周部72と外周部74とを画定する。内周部72は、ピニオンと他の構成部品とを収容するために、所定の曲率半径を持つ特定の領域を有するように形成することができる。この内周部は、さらに、蝋付け材料保持機構として構成され得る切り欠き部102を有するように成形されるか又はプレス加工されてもよい。スリーブ部材68の外周部74には、追加的な強度を実現し、且つ、上述したブレーキハブ70のような他の構成部品に溶接するために使用することが可能な延長環状端縁部分104を設けることができる。内周部72と外周部74との間の領域106の一部分は、図5に示されるように、スリーブ部材68をキャリア脚部58に固定するために使用することができる。
さらに別の態様では、本教示は、2構成部品型のラビニヨキャリアアセンブリ50のような遊星キャリアアセンブリを組み立てるための方法を提供する。この方法は、上述したように、任意の所望の機構を中に有するキャリア部材52とカバー部材54とを含む、粉末金属構成要素を形成することを含むことができる。この形成は、適切な鋳型を使用して、また形成ロッド(forming rod)等を使用して、未焼結の粉末金属成分を成形して圧縮することを含むことができる。その次に、この方法は、粉末金属キャリア部材52(キャリアプレート56から延びる複数の一体的なキャリア脚部58を有するキャリアプレート56を含む)と、粉末金属カバー部材54(カバープレート62から延びる複数の一体的なカバー脚部64を有するカバープレート62を含む)とを整列させることを含むことができる。様々な態様では、この整列は、図2及び図5に最も適切に示されているサブアセンブリに類似したサブアセンブリを形成するように、キャリア脚部58のそれぞれの端部60とカバー脚部68の端部66とが互いに整列させられることを結果的に生じさせるだろう。
整列が完了すると、この方法は、好ましくは単一の平面内において、キャリア部材52のそれぞれの脚部60、66をカバー部材54に固定するために、そのサブアセンブリを焼結することを含むことができる。様々な態様では、この方法は、サブアセンブリを焼結する前に、キャリア脚部58のそれぞれの端部60、66とカバー脚部64との付近に蝋付け材料を配置することを含むことができる。一例では、キャリア脚部58又はカバー脚部64のどちらかに、図5に示されるように、蝋付け材料保持開口部76を設けることができる。
特定の態様では、スリーブ部材68のような補助構成部品が、キャリア部材52及びカバー部材54に一体的に蝋付けされてもよい。焼結プロセスの後に、ブレーズハブ(braze hub)70又は他の構成部品が、上述したように、スリーブ部材に溶接されてもよい。
上述の説明は、例示と説明を目的として提示されており、本開示と本開示の適用又は使用を限定することは全く意図されていない。上述の説明は、排他的であることを意図しておらず、又は、この開示を限定することは意図されていない。特定の実施形態の個別的な要素又は特徴は、一般的に、その特定の実施形態だけに限定されず、明確に示されないか又は説明されない場合であっても、適用可能である場合には、相互交換可能であり、選択された実施形態において使用することが可能である。さらに、特定の実施形態の個別的な要素又は特徴は様々な形で変化させられてもよい。こうした変形は、本開示からの逸脱と見なされてはならず、こうした変更のすべては、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
本明細書で使用する場合に、語句「A、B、及び、Cの少なくとも1つ」が、非排他的な論理「又は(or)」を使用して、論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されなければならない。方法の様々な段階が、本開示の原理を変更することなしに、異なる順序で実行されてもよいということを理解されたい。範囲(range)の開示が、終点(endpoint)を含む、すべての範囲と、範囲全体内の細分化された範囲(subdivided range)との開示を含む。
本明細書で使用される(「背景技術」及び「発明の概要」のような)見出しと副次的な見出しとが、本開示内の論題の概略的な編成のためのものであるにすぎないことが意図されており、技術の開示又はそのあらゆる態様を限定することは意図されていない。上述した特徴を有する複数の実施形態の詳述が、追加の特徴を有する他の実施形態、又は、上述した特徴の様々な組合せを含む他の実施形態を排除することは意図されていない。
本明細書で使用される場合に、術語「備える(comprise)」及び「含む(include)」とその変形とが、非限定的であることを意図されており、したがって、連続した項目又はリストの詳説が、本技術の装置及び方法において有用であってもよい他の類似の項目の排除ではない。同様に、術語「可能である(can)」と「してもよい(may)」とこれらの変形とが非限定的であることを意図されており、したがって、一実施形態が特定の要素又は特徴要素を備えることが可能であるか又は備えてもよいという詳述は、これらの要素又は特徴要素を含まない本技術の他の実施形態を排除するものではない。
本開示の広範な教示が、様々な形態で具体化されることが可能である。したがって、本開示が特定の具体例を含むが、他の変更が、本明細書と後述する特許請求項との検討から当業者に明らかになるので、本開示の真の範囲がそのように限定されてはならない。1つの側面又は様々な側面に対する本明細書における言及が、実施形態又は特定のシステムに関連して説明されている特定の特徴要素、構造、又は、特徴が、少なくとも1つの実施形態又は側面に含まれているということを意味する。語句「一態様では(in one aspect)」(又は、その変形)の出現が、同一の態様又は同一の実施形態を必ずしも意味するものではない。さらに、本明細書で説明されている様々な方法の段階が、説明されている順序と同じ順序で必ずしも行われなくともよく、及び、方法の段階の各々が、各々の態様又は実施形態において必ずしも必要とされるわけではない。

Claims (20)

  1. 変速機用の遊星キャリアアセンブリであって、
    キャリアプレートと一体であり且つ前記キャリアプレートから所定の距離だけ延びる複数のキャリア脚部を含む前記キャリアプレートを備える、粉末金属キャリア部材と、
    カバープレートと一体であり且つ前記カバープレートから所定の距離だけ延びる複数のカバー脚部を有する前記カバープレートを備える、粉末金属カバー部材と、
    を備え、
    前記キャリア脚部のそれぞれの端部と前記カバー脚部の端部とは、互いに整列させられており、且つ、互いに対して固定されている、
    遊星キャリアアセンブリ。
  2. 前記キャリア脚部のそれぞれの端部と前記カバー脚部の端部とは、蝋付け接合部によって互いに対して固定されている、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  3. 前記キャリアアセンブリに固定されている少なくとも1つの補助構成部品をさらに備える、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  4. 前記少なくとも1つの補助構成部品は、蝋付け接合部によって前記キャリアアセンブリに固定されている、
    請求項3に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  5. 前記補助構成部品は、前記キャリア部材と前記カバー部材の一方又は両方に固定されているスリーブ部材を備える、
    請求項4に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  6. 前記スリーブ部材に固定されているブレーキハブをさらに備える、
    請求項5に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  7. 前記ブレーキハブの内周部が前記スリーブ部材の外周部に溶接されている、
    請求項6に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  8. 前記キャリア脚部のそれぞれの端部と前記カバー脚部の端部とが、単一の平面内に配置されている蝋付け接合部によって互いに対して整列させられ、且つ互いに対して固定されており、
    前記補助構成部品は、前記単一の平面内の蝋付け接合部によって前記キャリアアセンブリに固定されている、
    請求項4に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  9. 前記キャリア部材と前記カバー部材は、同一の粉末金属組成を備える、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  10. 前記キャリア部材と前記カバー部材は、互いに異なる粉末金属組成を備える、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  11. 少なくとも1つの前記キャリア脚部又は前記カバー脚部は、蝋付け材料保持機構を画定する、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  12. 互いに離間した4つのキャリア脚部に接合されている互いに離間した4つのカバー脚部を備える、
    請求項1に記載の遊星キャリアアセンブリ。
  13. 自動変速機用のラビニヨ遊星キャリアアセンブリであって、
    第1の組のピニオンギヤと、
    第2の組のピニオンギヤと、
    キャリアプレートから延びる複数の一体的なキャリア脚部を有するキャリアプレートを備える、単体の粉末金属キャリア部材と、
    カバープレートから延びる複数の一体的なカバー脚部を有するカバープレートを備える、単体の粉末金属カバー部材と、
    を備え、
    前記キャリア脚部のそれぞれの端部と前記カバー脚部の端部とは、互いに整列させられており、且つ、互いに対して蝋付けされており、前記第1の組のピニオンギヤ及び第2の組のピニオンギヤを収容するように構成された前記キャリアアセンブリの内部を画定する、
    ラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  14. 少なくとも1つの補助部材をさらに備え、
    前記補助部材、前記キャリア部材、及び前記カバー部材は、単一の平面内に位置している複数の蝋付け接合部によって互いに固定されている、
    請求項13に記載のラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  15. 前記補助部材は、前記キャリア脚部に固定されているスチール製のスリーブ部材を備える、
    請求項14に記載のラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  16. 前記キャリア脚部と前記カバー脚部は、それぞれの内側壁と外側壁を画定し、
    整列させられたキャリア脚部とカバー脚部の前記内側壁の少なくとも一部分は、組み立てられた状態において、互いに面一である、
    請求項13に記載のラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  17. 前記少なくとも1つのキャリア脚部は、蝋付け材料保持機構を画定する、
    請求項13に記載のラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  18. 前記少なくとも1つのカバー脚部は、蝋付け材料保持機構を画定する、
    請求項13に記載のラビニヨ遊星キャリアアセンブリ。
  19. 2構成部品型のラビニヨ遊星キャリアアセンブリの組立方法であって
    (1)キャリアプレートから延びる複数の一体的なキャリア脚部を有するキャリアプレートを備える粉末金属キャリア部材と、(2)カバープレートから延びる複数の一体的なカバー脚部を有するカバープレートを備える粉末金属カバー部材とを、前記キャリア脚部のそれぞれの端部と前記カバー脚部の端部とが互いに整列させられてサブアセンブリを形成するように、整列させることと、
    前記サブアセンブリを焼結することと、
    を備える方法。
  20. 前記サブアセンブリを焼結する前に前記キャリア脚部と前記カバー脚部とのそれぞれの端部の付近に蝋付け材料を配置することをさらに備える、
    請求項19に記載の方法。
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