JP2018035390A - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

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Yuji Takatsuka
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Abstract

【課題】より一層比抵抗を低下させると共に、厚み方向に高抵抗部分がないことにより、誘電体薄膜を高速成膜することが可能な、新規かつ改良されたスパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】BaxSr1-xTiyO3で示される組成を有し、1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の水素原子を含み、比抵抗の最大値が10mΩ・cm以下であり、平均結晶粒径が5μm以下であり、相対密度が98%以上である、スパッタリングターゲット。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜コンデンサー、圧電素子や圧電センサー等に用いられる誘電体薄膜を形成するために用いられるスパッタリングターゲットに関するものである。
BaTiO3、SrTiO3またはこれらの複合酸化物であるBaxSr1-xTiO3(左記組成において、xは0以上1以下)は、高い誘電特性を示すキャパシタ薄膜として有望な材料である。このキャパシタ薄膜をスパッタリング法で成膜する場合、BaTiO3、SrTiO3またはこれらの複合酸化物のスパッタリングターゲットが用いられている。以下、「BaTiO3、SrTiO3またはこれらの複合酸化物」を「チタン含有酸化物」とする場合がある。
TiO2系材料のスパッタリングターゲットは、耐スパッタ特性が高いために成膜速度が低くなる。よって、このようなスパッタリングターゲットを用いて高速成膜するためには、高出力でのスパッタリングが必要である。しかしながら、チタン含有酸化物は、元来、絶縁材料であるため、従来のスパッタリングターゲットを用いて高出力でスパッタリングすると、絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊を起こしてしまい、スパッタリングターゲットが割れる等の問題が発生する場合があった。
上記した絶縁破壊や熱破壊を解決するため、特許文献1、2では、スパッタリングターゲットに酸素欠損を導入して導電性を持たせること、特に導電性を向上させることで発熱を抑え、熱破壊を無くす方法が提案されている。しかしながら、この方法であっても、スパッタリングターゲット内の電気伝導性のばらつき、特にスパッタリングターゲットの厚み方向において電気伝導性のばらつきが発生する場合があった。このようなばらつきがあると、長時間スパッタリングを行った場合に、高抵抗部分がスパッタリングターゲットの表面に現れてしまい、この高抵抗部分において局所的な発熱を起こすといった問題や、局所的に電荷が蓄積されてそれが放電する(異常放電)といった問題が発生することがあった。
一方、特許文献3では、BaTiO3粉末や薄膜の酸素の一部を負の電荷をもつ水素化物イオン(H-)で置換することで、この粉末や薄膜を低抵抗化することが提案されている。
特開平9−316630号公報 特開2000−256837号公報 国際公開第2013/008705号
しかしながら、BaTiO3やSrTiO3を用いてスパッタリングターゲットを製造するためには、これらの粉末を焼結することが必要である。そして、粉末を焼結するためには、粉末を1000℃から1500℃の高温にしたり、ホットプレスやHIPのように真空中で加熱したりする。そのため、水素化物イオンを含有させたBaTiO3粉末やSrTiO3粉末を用いてスパッタリングターゲットを製造しようとすると、焼結するための高温化や加熱等により、これらの粉末に置換した水素化物イオンが脱離してしまう。そのため、製造したスパッタリングターゲット中の水素化物イオンの含有量は、粉末のときと比べて少なくなってしまい、スパッタリングターゲットを低抵抗化することは叶わなかった。
上記の問題点に鑑み、高出力で高速スパッタリングを行ってもスパッタリングターゲットの破壊やスパークが生じない、低抵抗で厚み方向の高抵抗部分の生成が抑制されたチタン含有酸化物のスパッタリングターゲットが要求されている。そこで本発明では、より一層比抵抗を低下させると共に、厚み方向の高抵抗部分の生成が抑制されたことにより、誘電体薄膜を高速成膜することが可能な、新規かつ改良されたスパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、種々の検討を行った。その結果、チタン含有酸化物の粉末を、低酸素分圧下で焼結して焼結体に酸素欠損を導入して導電性を向上させることで、スパッタリングターゲットを低抵抗化できることがわかった。ただし、酸素欠損を導入するだけでは、比抵抗の低下には限界があり、高出力で高速スパッタリングすることが可能なスパッタリングターゲットを得ることができなかった。
また、チタン含有酸化物を焼結する際に、組成中のTiO2の割合が過剰になると、BaTi25相のような融点が低い相が出現し、これにより部分的に液相焼結が起こって粗大粒子が形成されることがわかった。さらに、このような粗大粒子の内部に酸素欠損を導入することが難しいため、粗大粒子の抵抗が高くなりやすくなる結果、スパッタリングターゲット中に破壊やスパークの要因となる高抵抗の領域が発生し易いことを見出した。
上記の知見に基づき、さらなる検討を行ったところ、まず、第一原理計算の結果から、チタン含有酸化物中の酸素置換水素がドナーとして働くことに着目し、チタン含有酸化物の原料粉末を固体炭素に接触させて焼結すれば、チタン含有酸化物の焼結体中に酸素欠陥を生成させることができることを見出した。さらに、前記酸素欠陥が生成したチタン含有酸化物を原子状水素雰囲気中で熱処理することで、酸素欠損部を水素原子に置き換えることにより、熱処理後のスパッタリングターゲットの比抵抗が低下することを見出した。
更に、スパッタリングターゲットの組成に着目したところ、チタンの原子数と、バリウムの原子数およびストロンチウムの原子数の和との原子数比、すなわち、「Ti/(Ba+Sr)」を0.985以上0.995以下に制御することで、スパッタリングターゲット中の粗大粒子の発生を抑制できることを見出した。本発明者らは、これらの知見を得て、本発明を想到するに至った。
上記課題を解決するために、本発明のスパッタリングターゲットは、下記式1で示される組成を有し、1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の水素原子を含み、比抵抗の最大値が10mΩ・cm以下であり、平均結晶粒径が5μm以下であり、相対密度が98%以上であることを特徴とするスパッタリングターゲットが提供される。
Figure 2018035390
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、下記式1で示される組成の粉末を、還元雰囲気下にて1100℃以上1550℃以下の焼結温度で焼結する焼結工程と、原子状水素雰囲気下で、前記焼結工程により得た焼結体の焼結体温度を200℃以上600℃以下に保持する焼結体温度保持工程とを含むことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法が提供される。
Figure 2018035390
以上説明したように、本発明によれば、より一層比抵抗を低下させると共に、厚み方向の高抵抗部分の生成が抑制されたことにより、誘電体薄膜を高速成膜することが可能な、新規かつ改良されたスパッタリングターゲットを提供することができる。
実施例における焼結工程に用いたホットプレス機の斜視概略図である。 実施例における焼結体温度保持工程に用いた真空チャンバーの断面概略図である。
以下、本発明のスパッタリングターゲットおよびスパッタリングターゲットの製造方法の実施の形態について、詳細に説明する。
[スパッタリングターゲット]
本発明のスパッタリングターゲットは、下記式1で示される組成を有する。
Figure 2018035390
式1において、xが0以上1以下であることから、本発明のスパッタリングターゲットは、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物およびバリウムとストロンチウムとの複合酸化物のいずれかである。これらの酸化物をスパッタリングターゲットとすることにより、高い誘電特性を示すキャパシタ薄膜等を形成することができる。
また、式1において、yは0.985以上0.995以下である。Tiが過剰な組成となって異常粒成長が起こると、スパッタリングターゲット内に粗大な粒子が形成される場合がある。このような粗大な粒子が存在すると、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となり、スパッタリングターゲットの比抵抗値が大きくなるおそれがある。本発明のスパッタリングターゲットにおいて、yを上記範囲内とすることにより、Tiが過剰な組成が異常粒成長することを抑制することができるため、原子状水素が十分に拡散し、スパッタリングターゲットの比抵抗が上昇することを抑えることができる。
yが0.995よりも大きいと、局所的にTiが過剰な組成ができ、液相の出現による異常粒成長が起こる場合がある。水素の拡散は結晶粒界が早く、結晶粒内が遅いため、例えば平均結晶粒径が5μmを超えるような異常粒成長が起きると、結晶粒中央に水素が十分拡散できなくなり、スパッタリングターゲット全体を低抵抗にできなくなる。スパッタリングターゲット中に高抵抗の領域があると、スパッタリング中に絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊を起こすことがあるため、好ましくない。
一方、yが0.985よりも小さい場合には、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物およびバリウムとストロンチウムとの複合酸化物において、Ba1.054Ti0.9642.964のような酸素が欠損した組成や、過剰なBaを含む異相が存在する場合がある。このような異相が多く存在する結果として、スパッタ膜である誘電体薄膜等の誘電特性が悪くなり、キャパシタ特性が悪化する場合があるため、好ましくない。
前記yは、0.988以上0.992以下であることが、より好ましい。結晶粒が均一で微細になるからである。
本発明のスパッタリングターゲットは、1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の水素原子を含む。水素原子数がこの範囲内であることにより、バリウム酸化物、ストロンチウム酸化物およびバリウムとストロンチウムとの複合酸化物のいずれかからなるスパッタリングターゲットを低抵抗化することができる。水素原子の数が1×1019個/cm3未満の場合には、スパッタリングターゲットの抵抗が十分に低下しない場合があるため、好ましくない。一方で、水素原子の数が2×1021個/cm3を超えると、スパッタリングターゲットの強度が低下しているものと推測しているが、スパッタリング中にスパッタリングターゲットが割れるため、好ましくない。
前記水素原子の数のより好ましい範囲は、5×1019個/cm3以上1×1021個/cm3以下である。水素原子の数がこの範囲内であれば、焼結体の強度が高く低抵抗なスパッタリングターゲットとなるからである。
本発明のスパッタリングターゲットは、平均結晶粒径が5μm以下である。平均結晶粒径が5μm以下であることにより、スパッタリングターゲットにおいて局所的に高抵抗の領域が出現することを抑制することができ、抵抗にばらつきが生じにくくなり、スパッタリングターゲットの抵抗値を均一化することができる。一方で、平均結晶粒径が5μmを超えるような粗大化した結晶粒が、スパッタリングターゲット中に存在すると、水素原子が十分に拡散していない状態となり、スパッタリングターゲットの抵抗にばらつきが生じ易く、スパッタリングターゲット中に高抵抗の領域が出現する場合がある。このようなスパッタリングターゲットを使用すると、スパッタリング中に絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊を起こす場合がある。
前記平均結晶粒径は、3.0μm以上5.0μm以下であることが、より好ましい。平均結晶粒径が3.0μm未満の場合には、水素を含む粒界が多くなり、スパッタリングターゲットの焼結体としての強度が不十分となるおそれがある。また、平均結晶粒径が5.0μmより大きい場合には、スパッタ膜の組成が不均一になりやすいため、好ましくない。
本発明のスパッタリングターゲットは、比抵抗の最大値が10mΩ・cm以下である。当該最大値が10mΩ・cm以下であることは、スパッタリングターゲットの抵抗値に局所的なバラつきが少なく、局所的に高抵抗の領域が存在しない状態である。このような状態のスパッタリングターゲットであれば、スパッタリング中に異常放電による絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊を起こす問題を解消することができる。一方で、前記比抵抗の最大値が10mΩ・cmを超える場合には、比抵抗が10mΩ・cmを超える領域が高抵抗な領域となり、スパッタリング中に異常放電による絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊を起こすおそれがある。
上記比抵抗の測定は、例えば4端針法により行うことができる。具体的には、スパッタリングターゲットに4本の針状の電極(探針)を直線状に置き、外側の2本の探針間に一定電流を流し、内側の2本の探針間に生じる電位差を測定することにより、比抵抗を測定することができる。例えば、スパッタリングターゲットの表面において、測定部分として無作為に10か所を選択し、比抵抗を10回測定することにより、比抵抗の最大値を求めることができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットは、相対密度が98%以上である。相対密度が98%以上のスパッタリングターゲットであれば、スパッタリング中に割れや欠け等の破壊が生じることのない、緻密で十分な強度を有する。なお、スパッタリングターゲットの相対密度が98%未満であると、緻密さに欠け、スパッタリングターゲットの強度が不足し、スパッタリング中にターゲットが割れるおそれがあるため、好ましくない。
ここで、スパッタリングターゲットの相対密度は、実測値の密度を理論密度で除して100を乗じたものであり、下記式2により算出される。
Figure 2018035390
例えば、式1において、x=1、y=0.990である場合、スパッタリングターゲットの組成はBaTi0.993であるが、相対密度の計算においてはy=1とみなし、BaTiO3であるとする。BaTiO3の真密度は6.02g/cm3であり、この真密度を「理論密度」とし、スパッタリングターゲットの実際の密度を「実測値の密度」として、相対密度を算出する。また、式1において、x=0、y=0.990である場合、スパッタリングターゲットの組成はSrTi0.993であるが、相対密度の計算においてはy=1とみなし、SrTiO3であるとする。SrTiO3の真密度は5.13g/cm3であり、この真密度を「理論密度」として相対密度を算出する。
一方で、BaとSrが共存するバリウムとストロンチウムとの複合酸化物の場合は、BaTiO3とSrTiO3が共存するとみなして、理論密度を定義することができる。すなわち、BaTiO3とSrTiO3は同じ結晶系であるので、BaTiO3とSrTiO3の間の線形平均を理論密度として、相対密度を算出する。具体的には、式1に示すBaxSr1-xTiO3のスパッタリングターゲットの理論密度を、「6.02x+5.13(1−x)」とする。
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、比抵抗の平均値が、0.8mΩ・cm以上6.5mΩ・cm以下であることが好ましい。比抵抗の平均値が、この範囲内のスパッタリングターゲットであれば、高抵抗の領域が存在せず、局所的なバラつきのないスパッタリングターゲットであるといえる。このようなスパッタリングターゲットであれば、スパッタリングの耐久性がさらに優れることから、スパッタリング中に絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊が起こることを防止することができる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、比抵抗の値の標準偏差が、0.500以下であることが好ましい。標準偏差が0.500以下のスパッタリングターゲットであれば、スパッタリングターゲット内において比抵抗の偏りがなく、比抵抗の均一なスパッタリングターゲットであるといえる。このようなスパッタリングターゲットであれば、スパッタリングの耐久性により優れることから、スパッタリング中に絶縁破壊あるいは発熱による熱破壊が起こることを防止することができる。また、スパッタリングによって形成した誘電体膜等は、組織に偏りが無く優れた絶縁特性を示す。
[スパッタリングターゲットの製造方法]
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、焼結工程と、焼結体温度保持工程とを含む。以下、焼結する粉末、焼結工程および焼結体温度保持工程について説明する。
(焼結する粉末)
焼結する粉末は、下記式1で示される組成の粉末である。yを0.985以上0.995以下とすることにより、下記焼結工程において、液相が出現することによる異常粒の成長を防止することができる。その結果、スパッタリングターゲットの平均結晶粒径を5μm以下に制御することができる。この制御により、比抵抗が大きな粗大粒子が減少し、スパッタリングターゲットの抵抗のバラツキを小さくすることができる。
Figure 2018035390
上記粉末は、例えばBaCO3粉末、SrCO3粉末およびTiO2粉末を適量秤量し、ボールミルで混合後、1000℃から1300℃で2〜12時間仮焼きして固相反応させ、得られた仮焼粉をさらにボールミルで解砕して製造することができる。粉末の混合を湿式混合で行う場合には、回転数100rpmで15〜50時間程度混合させることができる。固相反応の反応式は、以下の式2に示すようになる。
Figure 2018035390
また、原料である炭酸バリウム、炭酸ストロンチウムおよび酸化チタンに不純物が含まれている場合、その不純物がスパッタリングターゲットに混入することとなる。そのために、使用する原料として、純度の高いものを選択すること、およびスパッタリングターゲットを製造する際に不純物が混入しないことが、非常に重要である。このような観点から、ボールミルで解砕等する場合は、ボールからの不純物混入を避けるために、例えば硬度があって耐摩耗性に優れたSiNxボールを使用することが好ましい。
上記粉末の粒子径は、R90が1.0μm以上5.0μm以下、かつR50が0.8μm以上3.0μm以下であることが好ましい。R90とR50がこの範囲内であることにより、焼結工程にて焼結体へ酸素空孔を偏りなく均一に分布させることができると共に、高密度のスパッタリングターゲットを得ることができる。R90が1.0μm未満又はR50が0.8μm未満では、微細な粒子が多く乾燥時の嵩密度や成型時の成型体密度が低くなって、焼結後の密度が上がりにくい場合がある。また、R90が5.0μm又はR50が3.0μmより大きい場合には、粒子が大きいことにより酸素空孔の分布に偏りが生じ、均一に分布させることが困難となる場合がある。なお、平均粒子径は、レーザー回折法により測定することが出来る。
(焼結工程)
焼結工程は、上記粉末を還元雰囲気下にて1100℃以上1550℃以下の焼結温度で焼結する工程である。還元雰囲気下で焼結することにより、上記粉末が部分的に還元されて、酸素空孔を生成させることができる。還元雰囲気下とする方法は、特に限定されないが、例えば、上記粉末をグラファイト製の容器に入れ、固体炭素に触れた状態で不活性ガス雰囲気、還元雰囲気又は真空中で焼成する方法が挙げられる。ここで、不活性ガス雰囲気とするために導入するガスとして、窒素ガスを使用すると、窒素原子が上記粉末中に侵入し、アクセプターとなる可能性があるため、好ましくない。上記粉末中へ侵入するおそれのない、粉末の空隙よりも大きいガスであれば、アクセプターなるおそれがないため、好ましい。このようなガスとして、例えばAr等の希ガスを使用することができる。また、焼結方法としては、常圧焼結、ホットプレスまたはHIP法(熱間等方圧加圧加工法)が使用できる。
上記焼結温度は、焼結方法にもよるが、1100℃以上1550℃以下とすることにより、誘電体薄膜を高速成膜することが可能な、スパッタリングターゲットを製造することができる。焼結温度が1100℃未満では、スパッタリングターゲットの相対密度が98%に達しない場合があるので、好ましくない。また、焼結温度が1550℃を超えると、スパッタリングターゲットの平均結晶粒径が5μmを超える場合があるので、好ましくない。
(焼結体温度保持工程)
焼結体温度保持工程は、原子状水素雰囲気下で、前記焼結工程により得た焼結体の焼結体温度を200℃以上600℃以下に保持する工程である。原子状水素雰囲気下にて焼結体の温度を上記範囲に保持することにより、前記焼結工程により生成した焼結体の酸素空孔が水素に還元され、1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の水素原子を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。水素原子の数が上記範囲内であることにより、スパッタリングターゲットを低抵抗化することができる。
焼結体温度が200℃未満では、水素の拡散速度が遅く、酸素欠損を置換しないため、スパッタリングターゲットを低抵抗化することができない場合がある。また、焼結体温度が600℃を超えると、水素による酸素欠損の還元が進んでスパッタリングターゲットの強度が低下し、スパッタリング中に割れるおそれがあるため、好ましくない。
焼結体温度保持工程は、原子状水素雰囲気下で、前記焼結体の温度を200℃以上600℃以下に保持することができる方法であれば、特に限定されない。例えば、真空チャンバー内でタングステン線を高温に加熱させ、当該真空チャンバーへ水素ガスを導入することにより、原子状水素を発生させることができる。このように原子状水素が存在する状態で、上記範囲の温度に保持した前記焼結体を原子状水素と接触させることにより、水素原子によって酸素欠損を還元することができる。なお、原子状水素は、Arガスがグロー放電しているところへ水素ガス(H2)を導入することや、アンモニアを熱分解することによっても、発生させることができる。
前記焼結体を原子状水素と接触させる場合において、原子状水素の圧力は、10Pa以上50Pa以下とすることが好ましい。かかる圧力をこの範囲に設定することにより、水素原子による酸素欠損の還元が良好に進行し、スパッタリングターゲットの水素原子の数を1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の範囲内とすることが容易となる。上記圧力が10Pa未満の場合には、水素原子による酸素欠損が十分に還元されないことにより、スパッタリングターゲット中の水素原子の数が1×1019個/cm3に満たないおそれがある。また、上記圧力が50Paより大きい場合には、水素原子により酸素欠損が過剰に還元されてしまう場合があり、スパッタリングターゲットの強度が低下し、スパッタリング中にスパッタリングターゲットが破損するおそれがある。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上記工程に限定され、他の工程を含むことができる。例えば、焼結体温度保持工程を実施する前に、焼結体の表面を清浄にする工程や、スパッタリングターゲットとしての外形を確保するべく、最外部を研磨する工程を含むことができる。また、焼結体温度保持工程後に、スパッタリング特性を向上させるためにスパッタリングターゲットの表面を均一にするべく、研磨する工程を含むことができる。
以下、実施例および比較例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[スパッタリングターゲットの作製および物性評価]
〈実施例1〉
(原料粉末の作製)
Ti/Baが0.99、すなわち、式1においてx=1およびy=0.99となるように、BaCO3(3N(純度99.9質量%以上)、日本化学工業株式会社製)とルチル型のTiO2(3N(純度99.9質量%以上)、関東化学株式会社製)を100:99の割合で秤量し、窒化シリコン(SiNz:z=0.1以上1.3以下)ボールを用いて、湿式ボールミルで湿式混合を20時間行い、BaCO3とTiO2との混合物を得た。得られた混合物を乾燥後、アルミナ製の容器に入れて、1100℃の温度で10時間、大気中で仮焼きし、仮焼粉を得た。その後、仮焼粉を上記の窒化シリコンボールを用いて湿式ボールミルで6時間解砕し、純水にて洗浄後、濾過して乾燥させて、BaTi0.993組成の原料粉末を得た。得られた原料粉末の平均粒子径を、レーザー回折法により測定したところ、R90が2.8μm、R50が1.7μmであった。平均粒子径の測定は、具体的には、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−2300、島津製作所)を用いて粒度分布を測定し、粒子体積の累積が90%になる粒子径R90と粒子体積の累積が50%になる粒子径R50を測定した。
(焼結工程)
焼結工程は、図1に示すホットプレス機100を用いて、原料粉末をホットプレスすることにより行った。図1では、ホットプレス機100の一部分についての概略斜視図を示す。ホットプレス機100としては、既存のホットプレス機を使用することができ、円筒状の外型101と、外型101の内周に設置されるスリーブ102と、ホットプレスする試料を載置する載置台103と、加圧Aを加えて試料をプレスするプレスラム104を備えている。本焼結工程では、上記にて作製した原料粉末をグラファイト製の型150に入れて、型150の上下を更にグラファイト製のスペーサ151aおよび151bで挟み、ホットプレス法により真空中で1200℃、圧力19.62MPaで2時間焼結を行った。焼結後の焼結体の最外部を研磨して、形を整え、直径75mm厚み6mmの焼結体を作製した。
(焼結体温度保持工程)
焼結体温度保持工程は、図2に示す真空チャンバー200を用いて、原子状水素雰囲気下で焼結工程にて得た焼結体300を加熱して所定温度に保持することにより行った。真空チャンバー200は、原子状水素発生部210と、焼結体温度保持部250とを備える。原子状水素発生部210は、水素原子発生ボックス211と、電源212と、電源212とタングステン線213を導通接続する導線214と、矢印Bに示すように水素分子を水素発生ボックス211に導入する水素分子導入管215を、少なくとも備える。一方、焼結体温度保持部250は、焼結体300の温度を保持する温度保持ボックス251と、発熱体を有し、焼結体300を載置して焼結体300の温度を加熱し、所定温度で保持する載置台252を、少なくとも備える。真空チャンバー200は、さらに、原子状水素発生部210と焼結体温度保持部250とを接続し、矢印Cにて示すように原子状水素を水素原子発生ボックス211から温度保持ボックス251へ導入する水素原子導入管230と、原子状水素の導入量を調整する水素原子導入バルブ231と、水素発生ボックス211および温度保持ボックス251の内部を真空にすることのできる真空ポンプ260と、真空ポンプ260と温度保持ボックス251を接続する真空ポンプ接続管261と、矢印Dにて示すように真空ポンプ接続管261を通過する空気等のガスの流量を調節するガス流量調節バルブ262と、を備える。
本焼結体温度保持工程では、まず、焼結工程にて得た焼結体300を温度保持ボックス251に入れて載置台252に載置して焼結体300の温度を300℃まで上昇させ、真空ポンプ260にて空気を排気して温度保持ボックス251内の圧力を1×10-3Paに調節した。次に、電源212より導線214を介してタングステン線213に電流を流してタングステン線213の温度を1700℃まで上昇させ、水素原子発生ボックス211へ水素分子導入管215を介して水素ガスを流して、水素原子発生ボックス211内で原子状水素を発生させた。そして、水素原子導入バルブ231により、水素原子発生ボックス211から温度保持ボックス251へ導入する原子状水素の導入量を調整して、温度保持ボックス251内の原子状水素の圧力を30Paにした。焼結体温度は300℃で1時間保持し、スパッタリングターゲットを得た。
(スパッタリングターゲットの物性評価)
得られたスパッタリングターゲットの表面を研磨紙で軽く研磨し、重量と外径厚みを測定し、密度を求めたところ、スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%であった。そして、X線回析法により結晶構造解析をした結果、ペロブスカイト型の結晶構造を有することを確認した。また、走査型電子顕微鏡(SEM)(日本電子株式会社製 型式:JSM−7001F、エネルギー分散型X線分光器(EDS))による結晶構造の観察から、平均結晶粒径は3.5μmであった。なお、平均結晶粒径は、数平均結晶粒径であり、その計算法方法を説明すると、実際の倍率がわかっているSEM写真の測定範囲内にある結晶粒数Nを数え、測定範囲の全面積AMを結晶粒数Nで除して、結晶粒1個あたりの面積Agを求めた。結晶粒の形状を円と仮定して、Agから半径を算出して、その値を平均結晶粒径dAVEとした。
スパッタリングターゲットの比抵抗は、四探針測定器(三菱化学株式会社製 型式:Loresta IP)を用いて、4端子法により無作為に10点測定を行った。比抵抗の最大値は5.3mΩ・cmで、平均値は5.0mΩ・cmで、標準偏差は0.311であった。
また、スパッタリングターゲットの水素原子の濃度を、二次イオン質量分析(Dynamic SIMS(Cs+イオン))で、スパッタリング面の表面から深さ方向50μmまでの測定を行ったところ、濃度は8.3×1020個/cm3で深さ方向に一定であった。スパッタリングターゲットを構成する粒子の結晶粒径は、3μmから10μmであるため、深さ方向に50μmの範囲の水素原子の濃度を測定すると、5〜15個程度の粒子の水素濃度を見ていることになる。ここで、水素原子の濃度が一様になっていると、気相−固相で平衡に達し、水素がスパッタリングターゲットの表面から焼結体内部および結晶粒子内部まで十分に拡散していることを意味し、スパッタリングターゲットの深さ方向に水素原子の濃度が一様、つまり比抵抗も一様であることを意味している。スパッタリングターゲットの評価結果を表1に示す。
〈実施例2〉
焼結工程における焼結温度を1400℃にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、実施例2の原料粉末のR90が2.8μm、R50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が4.2mΩ・cm、平均値が3.6mΩ・cm、標準偏差が0.447であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、5.5×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
〈実施例3〉
焼結体温度保持工程における焼結体の温度を450℃とした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、実施例3の原料粉末のR90が2.8μm、R50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が2.1mΩ・cm、平均値が1.9mΩ・cm、標準偏差が0.138であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、9.5×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
〈実施例4〉
Ti/(Ba+Sr)が0.99、すなわち、式1においてx=0.5およびy=0.99となるように、BaCO3(3N(純度99.9質量%以上)、日本化学工業株式会社製)、SrCO3(3N(純度99.9質量%以上)、関東化学株式会社製)およびルチル型のTiO2(3N(純度99.9質量%以上)、関東化学株式会社製)を50:50:99の割合で秤量した以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、実施例4の原料粉末のR90が2.3μm、R50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.2%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が1.1mΩ・cm、平均値が1.0mΩ・cm、標準偏差が0.063であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、7.8×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
〈実施例5〉
焼結工程における焼結温度を1400℃にした以外は、実施例4と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、実施例5の原料粉末のR90が2.3μm、R50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.9%で、平均結晶粒径は4.7μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が1.4mΩ・cm、平均値が1.4mΩ・cm、標準偏差が0.024であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、6.7×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
〈比較例1〉
焼結工程における焼結温度を1600℃にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、スパッタリングターゲットの相対密度は、99.7%であった。しかしながら、平均結晶粒径は、焼結温度が高いことに起因して、8.1μmと大きくなる結果となり、粒径が10μmを超える粗大な結晶粒子も存在した。また、このような粗大な粒子の存在により、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となった結果、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、スパッタリングターゲットの表面において7.1×1020個/cm3、測定場所を厚さ方向に内部へ50μm移動した場所において3.7×1019個/cm3となり、スパッタリングターゲットの内部へ進むに従って、水素原子の濃度が低下した。さらに、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となったことに起因して、比抵抗の最大値が11.2mΩ・cm、平均値が6.7mΩ・cm、標準偏差が2.810となり、実施例1〜5の結果と比べて比抵抗値が大きくなる結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈比較例2〉
焼結工程における焼結温度を1000℃にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、スパッタリングターゲットの相対密度は、焼結温度が低いことに起因して82.9%と、実施例1〜5の結果と比べて低くなった。平均結晶粒径は2.7μmであった。そして、スパッタリングターゲットの密度が低いことに起因して原子状水素が拡散し易くなった結果、比抵抗の最大値が1.6mΩ・cmで、平均値が1.5mΩ・cm、標準偏差が0.110と、比抵抗値が小さくなる結果となった。また、焼結体中の水素原子の濃度は1.7×1021個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈比較例3〉
焼結体温度保持工程における焼結体の温度を150℃にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。ただし、焼結体温度保持工程において原子状水素処理をする際の焼結体の温度が低過ぎたため、原子状水素の焼結体への拡散が不十分となった結果、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、スパッタリングターゲットの表面において2.3×1020個/cm3、測定場所を厚さ方向に内部へ50μm移動した場所において3.7×1018個/cm3となり、スパッタリングターゲットの内部へ進むに従って、水素原子の濃度が低下した。さらに、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となったことに起因して、比抵抗の最大値が14.3mΩ・cm、平均値が11.1mΩ・cm、標準偏差が2.718となり、実施例1〜5の結果と比べて比抵抗値が大きくなる結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈比較例4〉
焼結体温度保持工程における焼結体の温度を700℃にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。ただし、焼結体温度保持工程において原子状水素処理をする際の焼結体の温度が高過ぎたため、原子状水素の焼結体への拡散が過剰となった結果、比抵抗の最大値が0.8mΩ・cm、平均値が0.7mΩ・cm、標準偏差が0.075と、実施例1〜5の結果と比べて比抵抗値が小さくなる結果となった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、厚さ方向に一定ではあったが、5.2×1021個/cm3と、本発明で特定した水素原子の濃度の上限を超えた。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈比較例5〉
Ti/Baが1.01、すなわち、式1においてx=1およびy=1.01となるように、BaCO3とTiO2の割合を100:101にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、比較例5の原料粉末のR90が3.9μm、R50が1.9μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%であった。しかしながら、Ti/Baが0.995を超えたことにより、Tiが過剰な組成となって異常粒成長が起こった結果、平均結晶粒径は8.9μmと大きくなり、粒径が10μmを超える粗大な結晶粒子も存在した。また、このような粗大な粒子の存在により、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となった結果、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、スパッタリングターゲットの表面において7.2×1020個/cm3、測定場所を厚さ方向に内部へ50μm移動した場所において3.1×1019個/cm3となり、スパッタリングターゲットの内部へ進むに従って、水素原子の濃度が低下した。さらに、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となったことに起因して、比抵抗の最大値が12.6mΩ・cm、平均値が8.5mΩ・cmで、標準偏差が3.456となり、実施例1〜5の結果と比べて比抵抗値が大きくなる結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈比較例6〉
Ti/Baが0.95、すなわち、式1においてx=1およびy=0.95となるように、BaCO3とTiO2の割合を100:95にした以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、比較例6の原料粉末のR90が2.5μm、R50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%で、平均結晶粒径は3.4μmであった。また、比抵抗を測定した結果、最大値が5.5mΩ・cm、平均値が5.0mΩ・cm、標準偏差が0.400であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、8.2×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈従来例1〉
焼結体温度保持工程を行わない以外は、実施例1と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、従来例1の原料粉末R90が2.8μm、R50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。そして、比抵抗を測定した結果、焼結体温度保持工程を行わなかったことに起因して、最大値が65.0mΩ・cm、平均値が59.2mΩ・cm、標準偏差が4.494と、比抵抗値が大きくなる結果となった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、2.2×1018個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、従来例1の結果からわかるように、原子状水素雰囲気下における処理を行っていない場合であっても、水素原子を測定する装置の検出限界も関係するが、2.2×1018個/cm3程度の水素原子の濃度値が検出される結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
〈従来例2〉
焼結体温度保持工程を行わない以外は、実施例4と同じ方法で焼結体を作製してスパッタリングターゲットとし、実施例1と同様にスパッタリングターゲットの物性を評価した。
その結果、従来例2の原料粉末のR90が2.3μm、R50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.2%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。そして、比抵抗を測定した結果、焼結体温度保持工程を行わなかったことに起因して、最大値が63.0mΩ・cm、平均値が55.4mΩ・cm、標準偏差が6.427と、比抵抗値が大きくなる結果となった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、2.2×1018個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、従来例2では、原子状水素雰囲気下における処理を行っていないが、従来例1と同様の理由により、所定量の水素原子の濃度値が検出された。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
[スパッタリング試験]
(スパッタリングターゲットの耐久性の評価)
スパッタリングターゲットの耐久性の評価について、スパッタリング装置(アルバック株式会社製 型式:SIH−450)を用いて行った。スパッタリング条件は、Ar圧力を0.5Paとし、スパッタ時のDC投入電力を14W/cm2として、6時間連続してスパッタを行い、スパッタリング後のスパッタリングターゲットについて割れの有無を評価した。結果を表1に示す。表1において、割れの認められないスパッタリングターゲットを〇、割れの認められたスパッタリングターゲットを×とした。
表1に示すように、実施例1〜5のスパッタリングターゲットには、割れたスパッタリングターゲットは無かった。一方で比較例および従来例については、比較例6を除き、比較例1〜5ならびに従来例1および2のスパッタリングターゲットには、割れが生じた。
(薄膜キャパシタの性能評価)
次にスパッタリングターゲットの耐久性の評価で割れなかった実施例1〜5と比較例6のスパッタリングターゲットを用いて、スパッタ法で薄膜キャパシタを作製して、比誘電率を測定した。
基板としてSi/SiO2(厚み5000nm)/TiO2(厚み200nm)/Pt(厚み200nm)を使用して、スパッタリング装置(アルバック株式会社製 型式:SIH−450)を用いて、Ar圧力を0.5Pa、DC投入電力を14W/cm2として誘電体を膜厚400nm形成した。スパッタリングレートは178nm/分であった。成膜後に大気中にて700℃で1時間、基板に熱処理を行った。
熱処理後の基板に、φ0.35mmのマスクを用いてPt電極(厚み200nm)をスパッタ法で作製し、誘電特性を測定した。測定にはsolatron製のLF周波数アナライザー(LF Frequency response Analyzer 1255B)とインターフェース(Dielectric−interface 1296)を使用し、測定電圧0.1V、測定周波数1MHzの測定条件で、スパッタ膜の電気容量Cの測定を行った。
電気容量Cは、電極面積A、真空中の誘電率ε0、比誘電率εrおよびスパッタ膜の膜厚dから、以下の式4で計算される。
Figure 2018035390
上記式4から比誘電率εrを計算した。結果を表1に示す。表1において、要求される比誘電率を満足するものを〇、要求される比誘電率を満足しないものを×とした。結果として、実施例1〜5のスパッタリングターゲットを用いて作製した誘電体膜の比誘電率は、500前後であり、スパッタ法により作製する薄膜キャパシタに要求される比誘電率として、十分な値であった。一方で、比較例6のスパッタリングターゲットを用いて作製した誘電体膜の比誘電率は、250と低く、薄膜キャパシタに要求される比誘電率よりも低いことが分かった。
Figure 2018035390
[まとめ]
実施例より明らかなように、本発明のスパッタリングターゲットとその製造方法は、特に薄膜キャパシタ形成用材料に好適に用いられるものである。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明のスパッタリングターゲットおよびその製造方法であれば、より一層比抵抗を低下させると共に、厚み方向に高抵抗部分がないことにより、誘電体薄膜を高速成膜することが可能な、新規かつ改良されたスパッタリングターゲットを提供することが可能であることから、産業上有用である。
100 ホットプレス機
101 円筒状の外型
102 スリーブ
103 載置台
104 プレスラム
150 型
151a、151b スペーサ
200 真空チャンバー
210 原子状水素発生部
211 水素原子発生ボックス
212 電源
213 タングステン線
214 導線
215 水素分子導入管
230 水素原子導入管
231 水素原子導入バルブ
250 焼結体温度保持部
251 温度保持ボックス
252 載置台
260 真空ポンプ
261 真空ポンプ接続管
262 ガス流量調節バルブ
300 焼結体
上記粉末の粒子径は、90が1.0μm以上5.0μm以下、かつ50が0.8μm以上3.0μm以下であることが好ましい。90と50がこの範囲内であることにより、焼結工程にて焼結体へ酸素空孔を偏りなく均一に分布させることができると共に、高密度のスパッタリングターゲットを得ることができる。90が1.0μm未満又は50が0.8μm未満では、微細な粒子が多く乾燥時の嵩密度や成型時の成型体密度が低くなって、焼結後の密度が上がりにくい場合がある。また、90が5.0μm又は50が3.0μmより大きい場合には、粒子が大きいことにより酸素空孔の分布に偏りが生じ、均一に分布させることが困難となる場合がある。なお、平均粒子径は、レーザー回折法により測定することが出来る。
[スパッタリングターゲットの作製および物性評価]
〈実施例1〉
(原料粉末の作製)
Ti/Baが0.99、すなわち、式1においてx=1およびy=0.99となるように、BaCO3(3N(純度99.9質量%以上)、日本化学工業株式会社製)とルチル型のTiO2(3N(純度99.9質量%以上)、関東化学株式会社製)を100:99の割合で秤量し、窒化シリコン(SiNz:z=0.1以上1.3以下)ボールを用いて、湿式ボールミルで湿式混合を20時間行い、BaCO3とTiO2との混合物を得た。得られた混合物を乾燥後、アルミナ製の容器に入れて、1100℃の温度で10時間、大気中で仮焼きし、仮焼粉を得た。その後、仮焼粉を上記の窒化シリコンボールを用いて湿式ボールミルで6時間解砕し、純水にて洗浄後、濾過して乾燥させて、BaTi0.993組成の原料粉末を得た。得られた原料粉末の平均粒子径を、レーザー回折法により測定したところ、90が2.8μm、50が1.7μmであった。平均粒子径の測定は、具体的には、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−2300、島津製作所)を用いて粒度分布を測定し、粒子体積の累積が90%になる粒子径90と粒子体積の累積が50%になる粒子径50を測定した。
その結果、実施例2の原料粉末の90が2.8μm、50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が4.2mΩ・cm、平均値が3.6mΩ・cm、標準偏差が0.447であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、5.5×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
その結果、実施例3の原料粉末の90が2.8μm、50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が2.1mΩ・cm、平均値が1.9mΩ・cm、標準偏差が0.138であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、9.5×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
その結果、実施例4の原料粉末の90が2.3μm、50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.2%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が1.1mΩ・cm、平均値が1.0mΩ・cm、標準偏差が0.063であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、7.8×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
その結果、実施例5の原料粉末の90が2.3μm、50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.9%で、平均結晶粒径は4.7μmであった。結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。そして、比抵抗を測定した結果、最大値が1.4mΩ・cm、平均値が1.4mΩ・cm、標準偏差が0.024であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、6.7×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。
その結果、比較例5の原料粉末の90が3.9μm、50が1.9μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%であった。しかしながら、Ti/Baが0.995を超えたことにより、Tiが過剰な組成となって異常粒成長が起こった結果、平均結晶粒径は8.9μmと大きくなり、粒径が10μmを超える粗大な結晶粒子も存在した。また、このような粗大な粒子の存在により、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となった結果、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、スパッタリングターゲットの表面において7.2×1020個/cm3、測定場所を厚さ方向に内部へ50μm移動した場所において3.1×1019個/cm3となり、スパッタリングターゲットの内部へ進むに従って、水素原子の濃度が低下した。さらに、結晶粒子内への原子状水素の拡散が不十分となったことに起因して、比抵抗の最大値が12.6mΩ・cm、平均値が8.5mΩ・cmで、標準偏差が3.456となり、実施例1〜5の結果と比べて比抵抗値が大きくなる結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
その結果、比較例6の原料粉末の90が2.5μm、50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は99.3%で、平均結晶粒径は3.4μmであった。また、比抵抗を測定した結果、最大値が5.5mΩ・cm、平均値が5.0mΩ・cm、標準偏差が0.400であった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、8.2×1020個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
その結果、従来例1の原料粉末90が2.8μm、50が1.7μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.5%で、平均結晶粒径は3.5μmであった。そして、比抵抗を測定した結果、焼結体温度保持工程を行わなかったことに起因して、最大値が65.0mΩ・cm、平均値が59.2mΩ・cm、標準偏差が4.494と、比抵抗値が大きくなる結果となった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、2.2×1018個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、従来例1の結果からわかるように、原子状水素雰囲気下における処理を行っていない場合であっても、水素原子を測定する装置の検出限界も関係するが、2.2×1018個/cm3程度の水素原子の濃度値が検出される結果となった。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
その結果、従来例2の原料粉末の90が2.3μm、50が1.4μmであった。スパッタリングターゲットの相対密度は98.2%で、平均結晶粒径は4.3μmであった。そして、比抵抗を測定した結果、焼結体温度保持工程を行わなかったことに起因して、最大値が63.0mΩ・cm、平均値が55.4mΩ・cm、標準偏差が6.427と、比抵抗値が大きくなる結果となった。また、スパッタリングターゲット中の水素原子の濃度は、2.2×1018個/cm3であり、かつ、スパッタリングターゲットの厚さ方向に一定であった。なお、従来例2では、原子状水素雰囲気下における処理を行っていないが、従来例1と同様の理由により、所定量の水素原子の濃度値が検出された。なお、結晶構造はペロブスカイト型であることを確認した。
Figure 2018035390

Claims (6)

  1. 下記式1で示される組成を有し、
    1×1019個/cm3以上2×1021個/cm3以下の水素原子を含み、
    比抵抗の最大値が10mΩ・cm以下であり、
    平均結晶粒径が5μm以下であり、
    相対密度が98%以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
    Figure 2018035390
  2. 前記比抵抗の平均値が、0.8mΩ・cm以上6.5mΩ・cm以下である、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記比抵抗の値の標準偏差が、0.500以下である、請求項1または2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 下記式1で示される組成の粉末を、還元雰囲気下にて1100℃以上1550℃以下の焼結温度で焼結する焼結工程と、
    原子状水素雰囲気下で、前記焼結工程により得た焼結体の焼結体温度を200℃以上600℃以下に保持する焼結体温度保持工程と
    を含むことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
    Figure 2018035390
  5. 前記焼結工程は、前記粉末が固体炭素に触れた状態で焼結する工程である、請求項4に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
  6. 前記焼結工程は、希ガス雰囲気下にて焼結する工程である、請求項4または5に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
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JP2022114315A (ja) * 2021-01-26 2022-08-05 国立大学法人東京工業大学 水素置換酸化物バルク焼結体の製造方法、水素置換酸化物バルク焼結体、及び熱電変換素子

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