JP2018033793A - インプラント用ゲージ及びインプラント用器具組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】寛骨臼に対する人工股関節の寛骨臼カップの位置決め精度を向上でき、かつ人工股関節の置換作業の効率を改善できるインプラント用ゲージ及びインプラント用器具組立体を提供する。
【解決手段】本発明は、寛骨臼カップを寛骨臼に埋め込むための器具に付属して用いられるインプラント用ゲージに関する。かかるゲージは、器具に取り付けられる取付機構と、該取付機構から延びる支柱軸線に沿った支柱と、取付機構に対して支柱の長手方向に間隔を空けた状態で、支柱軸線と直角に交差する指標軸線に沿った指標要素と、取付機構に対して支柱の長手方向に間隔を空けて配置され、かつ支柱に対して固定される第1の固定体と、支柱軸線を中心に旋回可能に第1の固定体に取り付けられる第1の可動体とを備え、指標要素が、第1の可動体から指標軸線に沿って延び、かつ第1の可動体に対して固定される。また、本発明は、このようなゲージを有するインプラント用器具組立体に関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、人工股関節の寛骨臼カップを患者の寛骨臼に埋め込むための器具に付属して用いられるインプラント用ゲージに関する。さらに、本発明は、このようなインプラント用ゲージ及び器具を有するインプラント用器具組立体に関する。
人工股関節置換術においては、人工股関節の寛骨臼カップを患者の寛骨臼に埋め込む作業(以下、「単に「埋め込み作業」という)が行われている。埋め込み作業においては、多くの場合、細長形状の器具の先端部に寛骨臼カップを取り付けた状態で、医師等の術者が、寛骨臼カップを寛骨臼に挿入するように器具を操作し、さらに、術者は、ハンマー等を用いて器具の基端部を叩くことによって、寛骨臼カップを寛骨臼に打ち込んでいる。
かかる埋め込み作業においては、術者が、器具に取り付けられたゲージを指標としながら寛骨臼に対して寛骨臼カップを位置決めすることがある。かかるゲージの一例としては、器具の長手方向の中間領域に取り付けられる取付機構と、該取付機構と一体形成される支柱と、該支柱の長手方向と直交する平面上で延びると共に支柱の先端と一体形成される2つの指標要素とを備え、支柱及び2つの指標要素を、寛骨臼に対して寛骨臼カップを埋め込むべき一定の位置及び角度に対応するように固定したものが挙げられる。
また、人工股関節置換術においては、患者が横向きになった状態で埋め込み作業を行う場合(以下、このように行われる作業を「横向き埋め込み作業」という)と、患者が仰向けになった状態の埋め込み作業を行う場合(以下、このように行われる作業を「仰向け埋め込み作業」という)とがあり、これらの埋め込み作業においては、それぞれ異なるゲージが用いられている。例えば、横向き埋め込み作業用のゲージ及び仰向け埋め込み作業用のゲージは、器具の長手方向に対する支柱の長手方向の角度、支柱の長手方向に対する指標要素の長手方向の角度等の点で互いに異なる。
しかしながら、寛骨臼カップを寛骨臼に埋め込むべき位置及び角度は患者毎に異なる。そのため、埋め込み作業においては、術者が、器具に取り付けたゲージを指標とした上で、その経験等に基づいて個別の患者の特徴に合わせるように、寛骨臼に対する寛骨臼カップの位置及び角度を調節している。このような埋め込み作業においては、寛骨臼に対する寛骨臼カップの位置決め精度が、術者の経験等に起因してばらつくこととなり、かかる位置決め精度が低下するおそれがある。そこで、寛骨臼に対する寛骨臼カップの位置決め精度のバラツキを低減すること等によって、寛骨臼に対する寛骨臼カップの位置決め精度を向上させることが望まれる。
また、横向き埋め込み作業と仰向け埋め込み作業とでゲージを使い分けることも煩わしい作業である。そのため、このような煩わしい作業を省略すること等によって、人工股関節の置換作業の効率を改善することもまた望まれる。
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るインプラント用ゲージによれば、人工股関節の寛骨臼カップを寛骨臼に埋め込むための器具に付属して用いられるインプラント用ゲージであって、前記器具に取り付け可能に構成される取付機構と、該取付機構から延びる支柱軸線に沿って配置される支柱と、前記取付機構に対して前記支柱の長手方向に間隔を空けた状態で、前記支柱軸線と直角に交差する指標軸線に沿って配置される指標要素と、前記取付機構に対して前記支柱の長手方向に間隔を空けて配置され、かつ前記支柱に対して固定される第1の固定体と、前記支柱軸線を中心に旋回可能に前記第1の固定体に取り付けられる第1の可動体とを備え、前記指標要素が、前記第1の可動体から前記指標軸線に沿って延びるように配置され、かつ前記第1の可動体に対して固定されている。
本発明の一態様に係るインプラント用器具組立体によれば、本発明の一態様に係るインプラント用ゲージと、細長形状に形成された前記器具とを備え、該器具の長手方向の先端部が寛骨臼カップを取り付け可能とするように構成され、前記インプラント用ゲージの支柱軸線が前記器具に沿ってその長手方向に延びる器具軸線と交差し、かつ前記支柱軸線と直角に交差する旋回軸線が前記器具の長手方向に対して直角な方向に向いた状態で、前記インプラント用ゲージの取付機構が前記器具の長手方向の中間領域に取り付けられている。
本発明の一態様に係るインプラント用ゲージ及びインプラント用器具組立体によれば、患者の寛骨臼に対する人工股関節の寛骨臼カップの位置決め精度を向上させることができ、かつ人工股関節の置換作業の効率を改善することができる。
人工股関節の一例を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係るインプラント用器具組立体を、左側斜め上方から見て概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るインプラント用ゲージを、補助指標要素を取り付けた状態で、左側斜め上方から見て概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るインプラント用ゲージを、後面側斜め上方から見て概略的に示す斜視図である。 本発明の実施形態に係るインプラント用ゲージを概略的に示す上面図である。 本発明の実施形態に係るインプラント用ゲージを概略的に示す左側面図である。 図5のインプラント用ゲージを変化させた状態で概略的に示す上面図である。 図6のインプラント用ゲージを変化させた状態で概略的に示す左側面図である。 本発明の実施形態において指標要素の先端側指標部の支柱側区域を、左側斜め前方から見て概略的に示す拡大斜視図である。 本発明の実施形態において補助指標要素の取付部を、後面側斜め下方から見て概略的に示す拡大斜視図である。 本発明の実施形態において第1の可動体及び第1の固定体を概略的に示す拡大右側面図である。 本発明の実施形態において第1の可動体及び第1の固定体を概略的に示す拡大左側面図である。 本発明の実施形態において第2の可動体及び第2の固定体を概略的に示す拡大前面図である。 本発明の実施形態において第2の可動体及び第2の固定体を概略的に示す拡大後面図である。 本発明の実施形態において横向きになった患者の寛骨臼に、インプラント用器具組立体を用いて寛骨臼カップを埋め込む作業を説明するための模式的上面図である。 本発明の実施形態において横向きになった患者の寛骨臼に、インプラント用器具組立体を用いて寛骨臼カップを埋め込む作業を説明するために模式的左側面図である。 本発明の実施形態において仰向けになった患者の寛骨臼に、補助指標要素付きのインプラント用器具組立体を用いて寛骨臼カップを埋め込む作業を説明するための模式的上面図である。 本発明の実施形態において仰向けになった患者の寛骨臼に、補助指標要素付きのインプラント用器具組立体を用いて寛骨臼カップを埋め込む作業を説明するための模式的左側面図である。 本発明の実施形態の変形例に係るインプラント用器具組立体を、左側斜め上方から見て概略的に示す斜視図である。
本発明の実施形態に係るインプラント用ゲージ及びそれを有するインプラント用器具組立体について以下に説明する。本実施形態に係るインプラント用器具組立体は、人工股関節の寛骨臼カップを患者の寛骨臼に埋め込むために用いられる。
[人工股関節について]
最初に、人工股関節の一例について説明する。図1に示すように、人工股関節Jは、患者Pの寛骨臼Aに埋め込まれる寛骨臼カップ(以下、「カップ」という)Cと、患者Pの大腿骨Fに埋め込まれる細長形状のステムSと、カップC及びステムSを接続する略球形状の骨頭Hとを有している。カップCは、カップ軸線L1を中心軸線とするように略半球殻形状に形成されている。カップCはまた略半球形状に形成された窪み部c1を有し、かつカップCの内周面c2及び外周面c3は略半球面形状に形成されることとなる。
このようなカップCは、その外周面c3を寛骨臼Aの窪みに向けた状態で寛骨臼Aに埋め込まれる。ステムSは、その長手方向の先端を大腿骨Fの上端から露出させた状態で大腿骨Fに埋め込まれる。骨頭Hは、ステムSの先端に取り付けられており、さらに、骨頭Hは、カップCの窪み部c1内に収容されるようになっており、カップCとステムSとはボールジョイントの態様で接続されるようになっている。
[インプラント用器具組立体の概略について]
インプラント用器具組立体1の概略について説明する。図2に示すように、インプラント用器具組立体(以下、「器具組立体」という)1は、カップCを患者Pの寛骨臼Aに埋め込むための器具2と、この器具2に付属して用いられるインプラント用ゲージ(以下、「ゲージ」という)3とを備えている。なお、ここで示した図2、及び後述の説明にて用いる図19においては、器具2を基準として、前側を矢印Fiにより示し、上側を矢印Uiにより示し、かつ左側を矢印Liにより示している。
かかる器具組立体1において、器具2は、器具軸線L2に沿った方向を長手方向とするように細長形状に形成されている。器具2の長手方向の先端部2aは、カップCを取り付け可能とするように構成されている。ゲージ3は、カップCを寛骨臼Aに対して位置決めするための指標として用いられるようになっている。
[器具の詳細について]
器具2の詳細について説明する。図2に示すように、器具2の先端部2aがカップCの窪み部c1内に挿入されると共に器具軸線L2がカップ軸線L1と実質的に一致した状態で、カップCが器具2の先端部2aに取り付けられるようになっている。カップCは器具2の先端部2aに対して着脱可能になっている。器具2の長手方向の基端部2bは、器具軸線L2に対して略直角に交差する方向に広がるように形成されると好ましい。カップCを寛骨臼Aに埋め込む際に、医師等の術者は、この基端部2bをハンマー等(図示せず)によって叩く作業を行う。
器具2の先端部2a及び基端部2b間に位置する中間領域2cには、ゲージ3が取り付けられる。器具2の中間領域2cには、術者によって把持されるグリップ部2dがさらに設けられている。グリップ部2dは、器具2の基端部2bとゲージを取り付ける部分(以下、「取付部」という)2eとの間に配置されている。器具2の中間領域2cには、先端部2aとゲージ取付部2eとを連結するアーム部2fが設けられている。アーム部2fは、器具軸線L2に対して略直角に交差する方向に向かって膨らむように湾曲しながら先端部2aとゲージ取付部2eとの間で延びている。
[ゲージの詳細について]
図2〜図8を参照してゲージ3の詳細について説明する。なお、かかる説明に用いる図3〜図8、及び後述の説明に用いる図9〜図14においては、ゲージ3を基準として、前側を矢印Fgにより示し、上側を矢印Ugにより示し、かつ左側を矢印Lgにより示している。
図2〜図8に示すように、ゲージ3は、器具2の取付部2eに取り付け可能に構成される取付機構4と、この取付機構4から延びる支柱軸線L3に沿って配置される支柱5と、取付機構4に対して支柱5の長手方向に間隔を空けた状態で、支柱軸線L3と略直角に交差する指標軸線L4に沿って配置される指標要素6とを有している。特に図2に示すように、ゲージ3の取付機構4が器具2の取付部2eに取り付けられた状態では、支柱軸線L3が器具軸線L2と交差するようになっている。ゲージ3の取付機構4は、器具2の取付部2eに対して着脱可能になっていると好ましい。
図3に示すように、ゲージ3は、指標要素6に着脱可能に取り付けられる補助指標要素7をさらに有している。補助指標要素7は、支柱5の長手方向に対して略直角な方向を向くと共に指標軸線L4と略直角に交差する補助指標軸線L5に沿って配置されている。図3及び図4に示すように、かかる補助指標要素7は、選択的に指標要素6に取り付けられるようになっている。
図3〜図8に示すように、ゲージ3はまた、その取付機構4に対して支柱5の長手方向に間隔を空けて配置され、かつ支柱5に対して固定される第1の固定体8と、支柱軸線L3を中心に旋回可能に第1の固定体8に取り付けられる第1の可動体9とを有している。指標要素6は、かかる第1の可動体9から指標軸線L4に沿って延びるように配置され、かつ第1の可動体9に対して固定されている。
このようなゲージ3において、図5及び図7に示すように、指標要素6は、支柱5に対して支柱軸線L3を中心に旋回可能となっており、支柱5の長手方向から見た場合に、器具軸線L2に対する指標軸線L4の角度(以下、「指標角度」という)αは変化可能となっている。なお、指標軸線L4が器具軸線L2に対して一方側に振れた場合に指標角度αは正の値を示し、かつ指標軸線L4が器具軸線L2に対して他方側に振れた場合に指標角度αは負の値を示すものとする。具体的には、支柱軸線L3に対して器具2の先端部2a側に位置する指標軸線L4の先端側領域が、器具2の基端部2bから先端部2aに向かう方向で見て右側に振れた場合に、指標角度αが正の値を示し、かつ支柱軸線L3に対して器具2の先端部2a側に位置する指標軸線L4の先端側領域が、器具2の基端部2bから先端部2aに向かう方向で見て左側に振れた場合に、指標角度αが負の値を示すものとする。
このように第1の可動体9が第1の固定体8に対して旋回可能となることによって、指標要素6が支柱5に対して旋回可能となっている。その一方で、第1の可動体9は、後述する所定の状態で第1の固定体8に対して係止されるようになっている。このような第1の固定体8及び第1の可動体9によって、指標要素6は支柱5に対して係止可能になっている。特に、第1の固定体8及び第1の可動体9によって、指標要素6は、器具軸線L2を基準として略対称に振れた状態のそれぞれにおいて支柱5に対して係止可能になっていると好ましい。
さらに、図3〜図8に示すように、ゲージ3は、取付機構4に対して固定される第2の固定体10と、支柱軸線L3と略直角に交差する旋回軸線L6を中心に旋回可能に第2の固定体10に取り付けられる第2の可動体11とを有している。なお、図2に示すように、ゲージ3の取付機構4が器具2の取付部2eに取り付けられた状態では、旋回軸線L6は器具2の長手方向と略直角な方向を向くようになっている。支柱5は、第2の可動体11に対して固定されている。図6及び図8に示すように、支柱5はまた、取付機構4に対して旋回軸線L6を中心に旋回可能となっており、旋回軸線L6の延在方向から見た場合に、器具軸線L2に対する支柱軸線L3の角度(以下、「支柱角度」という)βは変化可能となっている。
このように第2の可動体11が第2の固定体10に対して旋回可能となることによって、支柱5が取付機構4に対して旋回可能となっている。その一方で、第2の可動体11は、後述する所定の状態で第2の固定体10に対して係止されるようになっている。
[指標要素の詳細について]
図3〜図9を参照して指標要素6の詳細について説明する。図3〜図8に示すように、指標要素6は、第1の可動体9から支柱軸線L3に対して器具2の先端側で指標軸線L4に沿って延びる細長形状の先端側指標部12と、第1の可動体9から支柱軸線L3に対して器具2の基端側で指標軸線L4に沿って延びる細長形状の基端側指標部13とを有している。特に、先端側指標部12は基端側指標部13よりも長くなっていると好ましく、指標要素6は第1の可動体9と一体化されると好ましい。
先端側及び基端側指標部12,13のそれぞれは、その厚さ方向にて互いに対向する頂面12a,13a及び底面12b,13bを有している。先端側及び基端側指標部12,13の頂面12a,13aは、支柱軸線L3に対して略直角に交差する平面に沿って平坦形状に形成されている。このような先端側及び基端側指標部12,13の各横断面は、略四角形状に形成されると好ましい。
また、先端側及び基端側指標部12,13のそれぞれは、その幅方向にて互いに対向する一対の側面12c,13cをさらに有している。図3に示すように、支持軸線L3寄りに位置する先端側指標部12の支柱側区域12dには、補助指標要素7が取り付けられるようになっている。図9に示すように、かかる支柱側区域12dの一方の側面12cには、先端側指標部12の厚さ方向に延びる溝12eが形成されている。詳細は後述するが、この溝12eは、補助指標要素7を指標要素6の先端側指標部12に固定するために用いられる。
しかしながら、本発明の指標要素は、これに限定されず、次のように構成されてもよい。指標要素が、それと別体である第1の可動体に取り付けられてもよく、この場合、指標要素が第1の可動体に対して着脱可能になっていてもよい。先端側及び基端側指標部のうち少なくとも一方の横断面が、略四角形状以外の形状に形成されてもよく、例えば、かかる横断面は、略三角形状、略半円形状、略半楕円形状等に形成することができる。先端側指標部の支柱側区域における一対の側面に溝が形成されてもよい。また、先端側指標部の支柱側区域における一対の側面のうち少なくとも一方にて、溝の代わりに、先端側指標部の厚さ方向に延びる突起が形成されてもよい。
[補助指標要素の詳細について]
補助指標要素7の詳細について説明する。図3及び図10に示すように、補助指標要素7は、先端側指標部12の支柱側区域12dに取り付けられる取付部14を有している。図10に示すように、かかる取付部14には、先端側指標部12の支柱側区域12dに対応する凹状区域14aが形成されている。凹状区域14aは、先端側指標部12の頂面12aに対向する頂面14bと、先端側指標部12の一対の側面12cにそれぞれ対向する一対の側面14cとを有している。凹状区域14aの一方の側面14cには、先端側指標部12の溝12eに対応して延びる突起14dが形成されている。
このような補助指標要素7の突起14dが先端側指標部12の溝12eと嵌合した状態で、補助指標要素7が先端側指標部12に対して保持される。かかる取付部14は、先端側指標部12の支柱側区域12dに対して着脱可能となっている。さらに、図3に示すように、補助指標要素7は、補助指標軸線L5に沿って取付部14からその両側にそれぞれ延びる一対の補助指標部15を有している。各補助指標部15は細長形状に形成されている。
しかしながら、本発明の補助指標要素は、これに限定されず、次のように構成されてもよい。取付部が先端側指標部の支柱側区域と一体化されてもよい。上述のように先端側指標部の支柱側区域における一対の側面に溝が形成される場合、取付部の凹状区域における一対の側面に、これらの溝に対応するように先端側指標部の厚さ方向に延びる突起がそれぞれ形成されてもよい。上述のように先端側指標部の支柱側区域における一対の側面のうち少なくとも一方に、先端側指標部の厚さ方向に延びる突起が形成される場合、取付部の凹状区域における一対の側面のうち少なくとも一方に、かかる突起に対応するように先端側指標部の厚さ方向に延びる溝が形成されてもよい。
[第1の固定体及び第1の可動体の詳細について]
第1の固定体8及び第1の可動体9の詳細について説明する。図11及び図12に示すように、第1の固定体8は支柱5の長手方向の先端と一体化されている。第1の固定体8及び第1の可動体9は、それぞれ、支柱5の長手方向にて互いに対向する摺動面8a,9aを有している。
第1の固定体8は、支柱軸線L3の周囲にて第1の可動体9の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1の凹部8bを有している。各第1の凹部8bは第1の固定体8の摺動面8aに形成されている。第1の可動体9は、2つの第1の凸部9bを有している。2つの第1の凸部9bは第1の可動体9の摺動面9aにて突出するように形成されている。さらに、各第1の凸部9bは、少なくとも1つの第1の凹部8bに対応するように形成されている。このような2つの第1の凸部9bがそれぞれ複数の第1の凹部8bのうち2つに嵌合した状態で、第1の可動体9が第1の固定体8に対して係止されるようになっている。特に、第1の可動体9をその旋回方向の2つ以上の位置にて第1の固定体8に対して係止可能とするためには、各第1の凸部9bが、第1の可動体9の旋回方向に並ぶ2つ以上の第1の凹部8bそれぞれに対応するように形成され、かつ2つ以上の第1の凹部8bそれぞれに嵌合可能であるとよい。
一例として、2つの第1の凸部9bは、支柱軸線L3を基準として略対称に配置されると好ましい。この場合、複数の第1の凹部8bにおける一部が、支柱軸線L3を基準として支柱軸線L3に略直交する方向の一方側に配置され、2つの第1の凸部9bにおける一方が、これら複数の第1の凹部8bにおける一部に係止可能に構成されると好ましい。その一方で、複数の第1の凹部8bにおける別の一部が、支柱軸線L3を基準として支柱軸線L3に略直交する方向の他方側に配置され、2つの第1の凸部9bにおける他方が、これら複数の第1の凹部8bにおける別の一部に係止可能に構成されると好ましい。
第1の固定体8において、隣接する第1の凹部8bは、互いに支柱軸線L3を中心として所定の角度(以下、「第1の係止角度」という)を成すように配置されている。第1の係止角度は、約1°以上かつ約10°以下であるとよい。特に、支柱5に対する指標要素6の旋回角度を微調節可能とすることと、第1の固定体8及び第1の可動体9が大型化することを防ぐこととを考慮すると、第1の係止角度は、約3°以上かつ約7°以下であると好ましく、さらには、約5°であるとより好ましい。
第1の凹部8b及び第1の凸部9bの形状は、第1の凹部8b及び第1の凸部9bを互いに嵌合可能とする一方で、第1の可動体9の旋回方向に一定の大きさ以上の力を加えることによって第1の可動体9を第1の固定体8に対して旋回可能とするように定められるとよい。特に、第1の凹部8b及び第1の凸部9bの各横断面が、略三角形状に形成されると好ましく、この場合、第1の凹部8b及び第1の凸部9bの斜面の傾斜が適宜定められるとよい。
一例として、図11及び図12においては、第1の係止角度を約5°とした42個の第1の凹部8bを有する第1の固定体8と、支柱軸線L3を基準として略対称に配置された2個の第1の凸部9bを有する第1の可動体9とが示されており、このような第1の固定体8及び第1の可動体9の構成において、指標要素6は、支柱軸線L3を中心として器具軸線L2の両側に約5°刻みの角度で支柱5に対して係止可能となっており、指標角度αの範囲は約−50°以上かつ約+50°以下となっている。
さらに、ゲージ3においては、第1の固定体8及び第1の可動体9の周辺に配置される第1の解除操作部16を操作することによって、第1の可動体9が第1の固定体8に対して旋回可能な状態となるとよい。その一方で、第1の固定体8及び第1の可動体9の周辺に配置される第1の係止操作部17を操作することによって、第1の可動体9が第1の固定体8に対して係止された状態となるとよい。
一例として、第1の解除操作部16は、第1の固定体8の外周に配置され、かつ支柱軸線L3に略直交する方向に移動可能に構成されると好ましい。また、第1の係止操作部17は、支柱軸線L3に沿って第1の可動体9に配置され、かつ支柱軸線L3に沿って移動可能に構成されると好ましい。このような第1の解除操作部16及び第1の係止操作部17が互いに協働することによって、第1の可動体9が第1の固定体8に対して係止された状態と、第1の可動体9が第1の固定体8に対して旋回可能な状態とが切り換えられると好ましい。
例えば、第1の係止操作部17が第1の可動体9を支柱軸線L3に沿って第1の固定体8に押し付けた状態で、第1の係止操作部17が第1の解除操作部16に係合することによって、第1の可動体9を第1の固定体8に対して係止することができる。その一方で、第1の解除操作部16及び第1の係止操作部17の係合を解除することによって、第1の可動体9を第1の固定体8に対して支柱軸線L3に沿って移動可能とした状態で、第1の可動体9を第1の固定体8に対して旋回可能とすることができる。
しかしながら、本発明の第1の固定体及び第1の可動体は、これに限定されず、次のように構成されてもよい。第1の固定体は、それと別体である支柱の先端部に取り付けられてもよく、この場合、第1の固定体が支柱の先端部に対して着脱可能になっていてもよい。第1の可動体が複数の第1の凹部を有し、かつ第1の固定体が2つの第1の凸部を有していてもよい。第1の固定体又は第1の可動体が1つ又は3つ以上の第1の凸部を有していてもよい。第1の凹部及び第1の凸部の各横断面が、略三角形状以外の形状に形成されてもよく、例えば、各横断面は略台形形状に形成することもできる。
[第2の固定体及び第2の可動体の詳細について]
第2の固定体10及び第2の可動体11の詳細について説明する。図13及び図14に示すように、第2の固定体10は、取付機構4と一体化されている。第2の固定体10及び第2の可動体11は、それぞれ、旋回軸線L6の延在方向にて互いに対向する摺動面10a,11aを有している。
第2の可動体11はまた、旋回軸線L6の周囲にて第2の可動体11の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第2の凹部11bを有している。各第2の凹部11bは第2の可動体11の摺動面11aに形成されている。各第2の固定体10は2つの第2の凸部10bを有している。2つの第2の凸部10bは第2の固定体10の摺動面10a上にて突出するように形成されている。さらに、各第2の凸部10bは、少なくとも1つの第2の凹部11bに対応するように形成されている。このような2つの第2の凸部10bが、それぞれ、複数の第2の凹部11bのうち2つに嵌合した状態で、第2の可動体11が第2の固定体10に対して係止されるようになっている。特に、第2の可動体11をその旋回方向の2つ以上の位置にて第2の固定体10に対して係止可能とするためには、各第2の凸部10bが、第2の可動体11の旋回方向に並ぶ2つ以上の第2の凹部11bそれぞれに対応するように形成され、かつ2つ以上の第2の凹部11bそれぞれに嵌合可能であるとよい。
一例として、第2の凸部10bは、旋回軸線L6を基準として略対称に配置されると好ましい。この場合、複数の第2の凹部11bにおける一部が、旋回軸線L6を基準として旋回軸線L6に略直交する方向の一方側に配置され、2つの第2の凸部10bにおける一方が、これら複数の第2の凹部11bにおける一部に係止可能に構成されると好ましい。その一方で、複数の第2の凹部11bにおける別の一部が、旋回軸線L6を基準として旋回軸線L6に略直交する方向の他方側に配置され、第2の凸部10bにおける他方が、これら複数の第2の凹部11bにおける別の一部に係止可能に構成されると好ましい。
第2の可動体11において、隣接する第2の凹部11bは、互いに旋回軸線L6を中心として所定の角度(以下、「第2の係止角度」という)を成すように配置されている。第2の係止角度は、約1°以上かつ約10°以下であるとよい。特に、取付機構4に対する支柱5の旋回角度を微調節可能とすることと、第2の固定体10及び第2の可動体11大型化することを防ぐこととを考慮すると、第2の係止角度は、約3°以上かつ約7°以下であると好ましく、さらには、約5°であるとより好ましい。
第2の凹部11b及び第2の凸部10bの形状は、第2の凹部11b及び第2の凸部10bを互いに嵌合可能とする一方で、第2の可動体11の旋回方向に一定の大きさ以上の力を加えることによって第2の可動体11を第2の固定体10に対して旋回可能とするように定められるとよい。特に、第2の凹部11b及び第2の凸部10bの各横断面が、略三角形状に形成されると好ましく、この場合、第2の凹部11b及び第2の凸部10bの斜面の傾斜が適宜定められるとよい。
一例として、図13及び図14においては、旋回軸線L6を基準として略対称に配置された2個の第2の凸部10bを有する第2の固定体10と、第2の係止角度を約5°とした22個の第2の凹部11bを有する第2の可動体11とが示されており、このような第2の固定体10及び第2の可動体11の構成において、支柱5は、旋回軸線L6を中心として約5°刻みの角度で取付機構4に対して係止可能となっており、支柱角度βの範囲は約0°以上かつ約50°以下となっている。
さらに、ゲージ3においては、第2の固定体10及び第2の可動体11の周辺に配置される第2の解除操作部18を操作することによって、第2の可動体11が第2の固定体10に対して旋回可能な状態となるとよい。その一方で、第2の固定体10及び第2の可動体11の周辺に配置される第2の係止操作部19を操作することによって、第2の可動体11が第2の固定体10に対して係止された状態となるとよい。
一例として、第2の解除操作部18は、第2の固定体10の外周に配置され、かつ旋回軸線L6に略直交する方向に移動可能に構成されると好ましい。また、第2の係止操作部19は、旋回軸線L6に沿って第2の可動体11に配置され、かつ旋回軸線L6に沿って移動可能に構成されると好ましい。このような第2の解除操作部18及び第2の係止操作部19が互いに協働することによって、第2の可動体11が第2の固定体10に対して係止された状態と、第2の可動体11が第2の固定体10に対して旋回可能な状態とが切り換えられると好ましい。
例えば、第2の係止操作部19が第2の可動体11を旋回軸線L6に沿って第2の固定体10に押し付けた状態で、第2の係止操作部19が第2の解除操作部18に係合することによって、第2の可動体11を第2の固定体10に対して係止することができる。その一方で、第2の解除操作部18及び第2の係止操作部19の係合を解除することによって、第2の可動体11を第2の固定体10に対して旋回軸線L6に沿って移動可能とした状態で、第2の可動体11を第2の固定体10に対して旋回可能とすることができる。
しかしながら、本発明の第2の固定体及び第2の可動体は、これに限定されず、次のように構成されてもよい。第2の固定体は、それと別体である取付機構に取り付けられてもよく、この場合、第2の固定体が取付機構に対して着脱可能になっていてもよい。第2の固定体が複数の第2の凹部を有し、かつ第2の可動体が2つの第2の凸部を有していてもよい。第2の固定体又は第2の可動体が1つ又は3つ以上の第2の凸部を有していてもよい。第2の凹部及び第2の凸部の各横断面が、略三角形状以外の形状に形成されてもよく、例えば、各横断面は略台形形状に形成することもできる。
[寛骨臼へのカップの埋め込み作業について]
図15〜図18を参照して、本実施形態に係る器具組立体1を用いてカップCを患者Pの寛骨臼Aに埋め込む作業について説明する。なお、図15及び図16においては、鉛直方向の上方を矢印Usにより示し、患者Pの頭部側を矢印Hsにより示し、かつ患者Pの正面側を矢印Fsにより示す。図17及び図18においては、鉛直方向の上方を矢印Ubにより示し、患者Pの頭部側を矢印Hbにより示し、かつ患者Pから見て左側を矢印Lbにより示す。
カップCを寛骨臼Aに埋め込むための条件については、患者Pの身長の方向に延びる軸線(以下、「身長軸線」という)L7を想定した場合、典型的には、身長軸線L7に対してカップCのカップ軸線L1を患者Pの正面側に傾けた正面側角度θ1を約10度以上かつ約20度以下の範囲内とし、かつ身長軸線L7に対してカップCのカップ軸線L1を患者Pの横方向外側に傾けた横側角度θ2を約40度以上かつ約60度以下の範囲内とすると好ましいとされている。
しかしながら、最適な正面側角度θ1及び横側角度θ2は患者毎に個別具体的に異なっている。そのため、埋め込み作業の前に、レントゲン、CT、MRI等の撮影によって患者Pの股関節及びその周辺の情報を得て、得られた情報に基づいて、患者Pの最適な正面側角度θ1及び横側角度θ2を個別具体的に設定し、器具組立体1のゲージ3における指標角度α及び支柱角度βを、これらの最適な正面側角度θ1及び横側角度θ2に基づいて調節する。
また、カップCを寛骨臼Aに埋め込む作業は、患者Pが横向きになった状態又は患者が仰向けになった状態で行われる。患者Pが横向きになった状態の埋め込み作業(以下、「横向き埋め込み作業」という)においては、図15及び図16に示すように、患者Pが自分から見て左側を向いた状態で、患者Pから見て右側の寛骨臼AにカップCを埋め込む場合(以下、「右側置換の場合」という)と、特に図示はしないが、患者Pが自分から見て右側を向いた状態で、患者Pから見て左側の寛骨臼AにカップCを埋め込む場合(以下、「左側置換の場合」という)とがある。患者Pが仰向けになった状態の埋め込み作業(以下、「仰向け埋め込み作業」という)においては、図17及び図18に示すように、患者Pから見て左側の寛骨臼AにカップCを埋め込む場合(以下、「左側置換の場合」という)と、特に図示はしないが、患者Pから見て右側の寛骨臼AにカップCを埋め込む場合(以下、「右側置換の場合」という)とがある。
なお、患者Pの両脇の腸骨稜Iを結ぶように延びる軸線(以下、「腸骨稜軸線」という)L8を想定した場合、かかる腸骨稜軸線L8は身長軸線L7に対して略直角な方向を向き、仰向け埋め込み作業では、術者は、患者Pの両脇の腸骨稜Iを容易に視認できる。そのため、仰向け埋め込み作業においては、術者は、身長軸線L7の代わりに、腸骨稜軸線L8を基準として寛骨臼Aに対してカップCを位置合わせすることもできる。
[横向き埋め込み作業の詳細について]
ここで、横向き埋め込み作業の詳細について説明する。図15及び図16に示すように、横向き埋め込み作業の右側置換の場合、器具組立体1のゲージ3において、指標角度αを正の値とし、かつ指標角度αの絶対値を予め設定された最適な正面側角度θ1の値に略一致するように、ゲージ3の指標要素6を調節する。また、支柱角度βを、約90°から予め設定された横側角度θ2を引いた値に略一致するように、ゲージ3の支柱5を調節する。患者Pを自分から見て左側を向いた状態で手術台に載せる。
器具組立体1の器具2の先端部2aにカップCを取り付ける。器具2に取り付けられたゲージ3の先端側指標部12の頂面12aを水平にし、かつゲージ3の指標軸線L4を患者Pの身長軸線L7と同方向に向ける。このような器具組立体1の姿勢を維持しながら、カップCを右側の寛骨臼Aに挿入する。さらに、ハンマー等によって器具2の基端部2bを叩き、これによって、カップCを右側の寛骨臼Aに打ち込む。その結果、カップCが右側の寛骨臼Aに埋め込まれることとなる。
特に図示はしないが、横向き埋め込み作業の左側置換の場合、器具組立体1のゲージ3において、指標角度αを負の値とし、かつ指標角度αの絶対値を予め設定された最適な正面側角度θ1の値に略一致するように、ゲージ3の指標要素6を調節する。また、支柱角度βを、約90°から予め設定された横側角度θ2を引いた値に略一致するように、ゲージ3の支柱5を調節する。患者Pを自分から見て右側を向いた状態で手術台に載せる。
器具組立体1の器具2の先端部2aにカップCを取り付ける。器具2に取り付けられたゲージ3の先端側指標部12の頂面12aを水平にし、かつゲージ3の指標軸線L4を患者Pの身長軸線L7と同方向に向ける。このような器具組立体1の姿勢を維持しながら、カップCを左側の寛骨臼Aに挿入する。さらに、ハンマー等によって器具2の基端部2bを叩き、これによって、カップCを左側の寛骨臼Aに打ち込む。その結果、カップCが左側の寛骨臼Aに埋め込まれることとなる。
[仰向け埋め込み作業の詳細について]
仰向け埋め込み作業の詳細について説明する。図17及び図18に示すように、仰向け埋め込み作業の左側置換の場合、器具組立体1のゲージ3において、指標角度αを正の値とし、かつ指標角度αの絶対値を予め設定された最適な横側角度θ2の値に略一致するように、ゲージ3の指標要素6を調節する。また、支柱角度βを、約90°から予め設定された最適な正面側角度θ1を引いた値に略一致するように、ゲージ3の支柱5を調節する。さらに、ゲージ3の先端側指標部12に補助指標要素7を取り付ける。患者Pを仰向けの状態で手術台に載せる。
器具組立体1の器具2の先端部2aにカップCを取り付ける。器具2に取り付けられたゲージ3の先端側指標部12の頂面12aを水平にし、かつゲージ3の指標軸線L4を患者Pの身長軸線L7と実質的に同方向に向けるか、又はゲージ3の補助指標軸線L5を腸骨稜軸線L8と実質的に同方向に向ける。このような器具組立体1の姿勢を維持しながら、カップCを左側の寛骨臼Aに挿入する。さらに、ハンマー等によって器具2の基端部2bを叩き、これによって、カップCを左側の寛骨臼Aに打ち込む。その結果、カップCが左側の寛骨臼Aに埋め込まれることとなる。
特に図示はしないが、仰向け埋め込み作業の右側置換の場合、器具組立体1のゲージ3において、指標角度αを負の値とし、かつ指標角度αの絶対値を予め設定された最適な横側角度θ2の値に略一致するように、ゲージ3の指標要素6を調節する。また、支柱角度βを、90°から予め設定された最適な正面側角度θ1を引いた値に略一致するように、ゲージ3の支柱5を調節する。さらに、ゲージ3の先端側指標部12に補助指標要素7を取り付ける。患者Pを仰向けの状態で手術台に載せる。
器具組立体1の器具2の先端部2aにカップCを取り付ける。器具2に取り付けられたゲージ3の先端側指標部12の頂面12aを水平にし、かつゲージ3の指標軸線L4を患者Pの身長軸線L7と実質的に同方向に向けるか、又はゲージ3の補助指標軸線L5を腸骨稜軸線L8と実質的に同方向に向ける。このような器具組立体1の姿勢を維持しながら、カップCを右側の寛骨臼Aに挿入する。さらに、ハンマー等(図示せず)によって器具2の基端部2bを叩き、これによって、カップCを右側の寛骨臼Aに打ち込む。その結果、カップCが右側の寛骨臼Aに埋め込まれることとなる。
以上、本実施形態に係るゲージ3によれば、人工股関節JのカップCを寛骨臼Aに埋め込むための器具2に付属して用いられるゲージ3であって、器具2に取り付け可能に構成される取付機構4と、該取付機構4から延びる支柱軸線L3に沿って配置される支柱5と、取付機構4に対して支柱5の長手方向に間隔を空けた状態で、支柱軸線L3と直角に交差する指標軸線L4に沿って配置される指標要素6と、取付機構4に対して支柱5の長手方向に間隔を空けて配置され、かつ支柱5に対して固定される第1の固定体8と、支柱軸線L3を中心に旋回可能に第1の固定体8に取り付けられる第1の可動体9とを備え、指標要素6が、第1の可動体9から指標軸線L4に沿って延びるように配置され、かつ第1の可動体9に対して固定されている。このようなゲージ3においては、指標要素6は、寛骨臼Aに対してカップCを位置決めするための主な指標となり、かかる指標要素6が、第1の固定体8及び第1の可動体9間の相対的な旋回によって、支柱5に対して旋回可能となっている。そのため、埋め込み作業の前に、支柱5に対する指標要素6の指標角度αを患者毎の特徴に合わせて予め調節して、埋め込み作業においては、医師等の術者が、このように調節された指標要素6を有するゲージ3を用いてカップCを寛骨臼Aに対して正確に位置決めすることができる。例えば、埋め込み作業の前に、レントゲン、CT、MRI等の撮影により得られた患者Pの股関節及びその周辺部の情報に基づいて、指標角度αを予め調節すれば、埋め込み作業において、術者は、このように調節された指標要素6を有するゲージ3を用いてカップCを寛骨臼Aに対してより正確に位置決めすることができる。その結果、寛骨臼Aに対するカップCの位置決め精度を向上させることができる。また、指標角度αを、横向き埋め込み作業及び仰向け埋め込み作業のそれぞれに対応するように調節することができるので、横向き埋め込み作業と仰向け埋め込み作業とでゲージを取り替える作業を省略することができる。その結果、人工股関節Jの置換作業の効率を改善することができる。
本実施形態に係るゲージ3によれば、第1の固定体8が、支柱軸線L3の周囲にて第1の可動体9の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1の凹部8bを有し、第1の可動体9が、複数の第1の凹部8bのうち少なくとも一部に嵌合可能に形成される少なくとも1つの第1の凸部9bを有し、少なくとも1つの第1の凸部9bが複数の第1の凹部8bにおける少なくとも1つに嵌合した状態で、第1の可動体9が第1の固定体8に対して係止されるように構成されている。また、第1の可動体が第1の凹部を有し、かつ第1の固定体が少なくとも1つの第1の凸部を有することもできる。そのため、指標要素6が支柱5に対して意図せずに旋回することを防止できる。特に、埋め込み作業において、術者がハンマー等を用いて器具2の基端部2bを叩くことによってカップCを寛骨臼Aに打ち込む場合には器具2に振動が生じるが、かかる振動に起因して指標要素6が支柱5に対して意図せずに旋回することを確実に防止できる。その結果、指標角度αが意図せずにズレることを防止でき、さらには、かかるズレに起因して寛骨臼Aに対するカップCの位置決め精度が低下することを防止できる。
また、第1の解除操作部16及び第1の係止操作部17が互いに協働することによって、第1の可動体9が第1の固定体8に対して係止された状態と、第1の可動体9が第1の固定体8に対して旋回可能な状態とが切り換え可能である場合には、第1の凹部8b及び第1の凸部9bの嵌合に加えて、第1の解除操作部16及び第1の係止操作部17の協働によって、第1の可動体9を第1の固定体8に対して安定的に係止することができる。そのため、指標要素6が支柱5に対して意図せずに旋回することをより確実に防止できる。
本実施形態に係るゲージ3によれば、取付機構4に対して固定される第2の固定体10と、支柱軸線L3と直角に交差する旋回軸線L6を中心に旋回可能に第2の固定体10に取り付けられる第2の可動体11とをさらに備え、支柱5が第2の可動体11に対して固定されている。このようなゲージ3においては、支柱5は、器具2に対する指標要素6の角度を間接的に定めることになるが、かかる支柱5が、第2の固定体10及び第2の可動体11間の相対的な旋回によって、器具2に対して旋回可能となっている。そのため、埋め込み作業の前に、支柱角度βを患者毎の特徴に合わせて予め調節して、埋め込み作業において、術者は、このように調節された支柱5と、上述のように調節された指標要素6とを有するゲージ3を用いてカップCを寛骨臼Aに対して正確に位置決めすることができる。例えば、埋め込み作業の前に、レントゲン、CT、MRI等の撮影により得られた患者Pの股関節及びその周辺部の情報に基づいて、支柱角度βを予め調節すれば、埋め込み作業においては、術者は、このように調節された支柱5と、上述のように調節された指標要素6とを有するゲージ3を用いてカップCを寛骨臼Aに対してより正確に位置決めすることができる。その結果、寛骨臼Aに対するカップCの位置決め精度を向上させることができる。また、支柱角度βを、横向き埋め込み作業及び仰向け埋め込み作業のそれぞれに対応するように調節できるので、横向き埋め込み作業と仰向け埋め込み作業とでゲージ3を取り替える作業を省略することができる。その結果、人工股関節Jの置換作業の効率を改善することができる。
本実施形態に係るゲージ3によれば、第2の可動体11が、旋回軸線L6の周囲にて第2の可動体11の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第2の凹部11bを有し、第2の固定体10が、第2の凹部11bのうち少なくとも一部に嵌合可能に形成される少なくとも1つの第2の凸部10bを有し、少なくとも1つの第2の凸部10bが複数の第2の凹部11bにおける少なくとも1つに嵌合した状態で、第2の可動体11が第2の固定体10に対して係止されるように構成されている。また、第2の固定体が複数の第2の凹部を有し、かつ第2の可動体が少なくとも1つの第2の凸部を有することもできる。そのため、支柱5が取付機構4に対して意図せずに旋回することを防止できる。特に、上述のような埋め込み作業時の振動に起因して支柱5が取付機構4に対して意図せずに旋回することを確実に防止することができる。その結果、支柱角度βが意図せずにズレることを防止でき、さらには、かかるズレに起因して寛骨臼Aに対するカップCの位置決め精度が低下することを防止できる。
また、第2の解除操作部18及び第2の係止操作部19が互いに協働することによって、第2の可動体11が第2の固定体10に対して係止された状態と、第2の可動体11が第2の固定体10に対して旋回可能な状態とが切り換え可能である場合には、第2の凸部10b及び第2の凹部11bの嵌合に加えて、第2の解除操作部18及び第2の係止操作部19の協働によって、第2の可動体11を第2の固定体10に対して安定的に係止することができる。そのため、支柱5が取付機構4に対して意図せずに旋回することをより確実に防止できる。
本実施形態に係るゲージ3によれば、支柱5の長手方向に対して直角な方向を向き、かつ指標軸線L4と直角に交差する補助指標軸線L5に沿って配置される補助指標要素7をさらに備え、補助指標要素7は指標要素6に取り付けることができる。そのため、仰向け埋め込み作業において、術者から見て、腸骨稜軸線L8に沿って補助指標要素7を配置すれば、術者は、かかる補助指標要素7を基準としてカップCを寛骨臼Aに対してより正確に位置合わせすることができる。
本実施形態に係る器具組立体1によれば、上述のようなゲージ3と、細長形状に形成された器具2とを備え、該器具2の長手方向の先端部2aがカップCを取り付け可能とするように構成され、ゲージ3の支柱軸線L3が器具2に沿ってその長手方向に延びる器具軸線L2と交差し、かつ旋回軸線L6が器具2の長手方向に対して直角な方向に向いた状態で、ゲージ3の取付機構4が器具2の長手方向の中間領域2cに取り付けられている。そのため、上述のようなゲージ3及びそれを取り付けた器具2を用いて、カップCを寛骨臼Aに対してより正確に位置決めすることができる。
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
例えば、本発明の変形例として、図19に示すように、器具組立体1における器具2のアーム部2gを、器具軸線L2に沿って略直線状に延びるように形成してもよい。
1 インプラント用器具組立体(器具組立体)、2 器具、2a 先端部、2c 中間領域、3 インプラント用ゲージ(ゲージ)、4 取付機構、5 支柱、6 指標要素、7 補助指標要素、8 第1の固定体、8b 第1の凹部、9 第1の可動体、9b 第1の凸部、10 第2の固定体、10b 第2の凸部、11 第2の可動体、11b 第2の凹部、12 先端側指標部、12d 支柱側区域
J 人工股関節、C 寛骨臼カップ(カップ)、c1 窪み部、c2 内周面、c3 外周面、S ステム、H 骨頭
P 患者、A 寛骨臼、F 大腿骨、I 腸骨稜
L1 カップ軸線、L2 器具軸線、L3 支柱軸線、L4 指標軸線、L5 補助指標軸線、L6 旋回軸線、L7 身長軸線、L8 腸骨稜軸線
α 指標角度、β 支柱角度、θ1 正面側角度、θ2 横側角度

Claims (6)

  1. 人工股関節の寛骨臼カップを寛骨臼に埋め込むための器具に付属して用いられるインプラント用ゲージであって、
    前記器具に取り付け可能に構成される取付機構と、
    該取付機構から延びる支柱軸線に沿って配置される支柱と、
    前記取付機構に対して前記支柱の長手方向に間隔を空けた状態で、前記支柱軸線と直角に交差する指標軸線に沿って配置される指標要素と、
    前記取付機構に対して前記支柱の長手方向に間隔を空けて配置され、かつ前記支柱に対して固定される第1の固定体と、
    前記支柱軸線を中心に旋回可能に前記第1の固定体に取り付けられる第1の可動体と
    を備え、
    前記指標要素が、前記第1の可動体から前記指標軸線に沿って延びるように配置され、かつ前記第1の可動体に対して固定されている、インプラント用ゲージ。
  2. 前記第1の固定体及び前記第1の可動体の一方が、前記支柱軸線の周囲にて前記第1の可動体の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第1の凹部を有し、前記第1の固定体及び前記第1の可動体の他方が、各第1の凹部に嵌合可能に形成される少なくとも1つの第1の凸部を有し、前記少なくとも1つの第1の凸部が前記複数の第1の凹部における少なくとも1つに嵌合した状態で、前記第1の可動体が前記第1の固定体に対して係止されるように構成されている、請求項1に記載のインプラント用ゲージ。
  3. 前記取付機構に対して固定される第2の固定体と、前記支柱軸線と直角に交差する旋回軸線を中心に旋回可能に前記第2の固定体に取り付けられる第2の可動体とをさらに備え、前記支柱が前記第2の可動体に対して固定されている、請求項1又は2に記載のインプラント用ゲージ。
  4. 前記第2の固定体及び前記第2の可動体の一方が、前記旋回軸線の周囲にて前記第2の可動体の旋回方向に互いに間隔を空けて配置される複数の第2の凹部を有し、前記第2の固定体及び前記第2の可動体の他方が、各第2の凹部に嵌合可能に形成される少なくとも1つの第2の凸部を有し、前記少なくとも1つの第2の凸部が前記複数の第2の凹部における少なくとも1つに嵌合した状態で、前記第2の可動体が前記第2の固定体に対して係止されるように構成されている、請求項3に記載のインプラント用ゲージ。
  5. 前記支柱の長手方向に対して直角な方向を向き、かつ前記指標軸線と直角に交差する補助指標軸線に沿って配置される補助指標要素をさらに備え、前記補助指標要素が前記指標要素に取り付けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインプラント用ゲージ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインプラント用ゲージと、
    細長形状に形成された前記器具と
    を備え、
    該器具の長手方向の先端部が寛骨臼カップを取り付け可能とするように構成され、
    前記インプラント用ゲージの支柱軸線が前記器具に沿ってその長手方向に延びる器具軸線と交差し、かつ前記支柱軸線と直角に交差する旋回軸線が前記器具の長手方向に対して直角な方向に向いた状態で、前記インプラント用ゲージの取付機構が前記器具の長手方向の中間領域に取り付けられている、インプラント用器具組立体。
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