JP2018032784A - 炭化珪素基板用研磨剤組成物 - Google Patents

炭化珪素基板用研磨剤組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018032784A
JP2018032784A JP2016164887A JP2016164887A JP2018032784A JP 2018032784 A JP2018032784 A JP 2018032784A JP 2016164887 A JP2016164887 A JP 2016164887A JP 2016164887 A JP2016164887 A JP 2016164887A JP 2018032784 A JP2018032784 A JP 2018032784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
silicon carbide
salt
polishing
carbide substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016164887A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6788432B2 (ja
Inventor
秀雄 櫻井
Hideo Sakurai
秀雄 櫻井
堀本 真樹
Maki Horimoto
真樹 堀本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaguchi Seiken Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Yamaguchi Seiken Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaguchi Seiken Kogyo Co Ltd filed Critical Yamaguchi Seiken Kogyo Co Ltd
Priority to JP2016164887A priority Critical patent/JP6788432B2/ja
Publication of JP2018032784A publication Critical patent/JP2018032784A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6788432B2 publication Critical patent/JP6788432B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】高い研磨速度で、被研磨表面にキズ、スクラッチの無い状態に仕上げ、表面粗度に優れた基板を作製することのできる研磨剤組成物を提供する。【解決手段】炭化珪素基板用研磨剤組成物は、コロイダルシリカ、金属酸および/またはその塩、酸素供与剤、無機酸塩および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にある。また、使用されるコロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、好ましくは10〜200nmである。【選択図】なし

Description

本発明は、炭化珪素基板等を研磨する研磨剤組成物に関する。さらに詳しくは、炭化珪素パワー半導体、光デバイス分野での窒化ガリウム薄膜形成の下地基板を効果的に研磨するのに有用な研磨剤組成物に関する。
炭化珪素パワー半導体は、シリコンパワー半導体に比較し、次のような優れた特性を有している。(1)炭化珪素の禁制帯幅は、シリコンの約3倍あり、高温条件下で使用できる。(2)炭化珪素の絶縁破壊電圧は、シリコンの約10倍あり、高耐圧が可能となり、パワーデバイスの小型化が可能となる。(3)炭化珪素の熱伝導率は、シリコンの約3倍あり、放熱性に優れ冷却されやすく大電流化が可能である。炭化珪素は、シリコンより優れた特性を有し、パワーデバイス用半導体基板として、サーバーなどの情報機器、ハイブリッド車のモーター用インバーターの展開が図られている。このようなパワーデバイスの実現には、炭化珪素半導体層をエピタキシャル成長させるための表面粗度の優れた炭化珪素単結晶基板が必要である。
さらに、青色レーザーダイオードは、高い密度で情報を記録する光源として、白色ダイオードは、蛍光灯に替わる光源として注目されている。この発光素子は、窒化ガリウム半導体を用いて作製されており、基板として、炭化珪素単結晶基板が用いられている。炭化珪素ウエハは、一般に炭化珪素粉末を昇華して、種結晶を再結晶化で成長させた円柱状の炭化珪素半導体単結晶ブロックをダイヤモンドソーなどで、所定の厚さに切り出し、面取り、両面ラッピング、化学機械的研磨、洗浄の一連の工程を経て加工される。炭化珪素は、モース硬度が9.6でダイヤモンドに次ぐ材質で、酸に不溶で化学的に極めて安定な硬質材料である。炭化珪素用研磨剤組成物は、種々開示されているが、研磨に要する時間が長くなる問題点がある。
上述のように炭化珪素は、硬質材料であるため、従来から炭化珪素基板をダイヤモンド砥粒で研磨する方法が知られている。
特許文献1、特許文献2および特許文献3には、酸化クロム(III)を炭化珪素基板の研磨に用いる半導体ウエハのメカノケミカル研磨方法が開示されている。
特許文献4には、炭化珪素基板を過ヨウ素酸などの酸化剤で化学的研磨を行い、コロイダルシリカ砥粒で機械的研磨を行う方法が開示されている。
特許文献5には、炭化珪素基板をバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウムなどのバナジン酸塩、および酸素供与剤を用いて化学的研磨を行い、コロイダルシリカ砥粒で機械的研磨を行う方法が開示されている。
特許文献6には、炭化珪素基板を、酸化ケイ素粒子と酸化剤と有機アミン化合物などの潤滑剤と無機塩を含有する塩基性の研磨剤を用いて研磨する方法が開示されている。
特開平7−288243号公報 特開平7−80770号公報 特開2001−205555号公報 特開2007−27663号公報 特開2008−179655号公報 国際公開第2012/036087号
しかしながら、従来のメカノケミカルによる炭化珪素基板の研磨方法では、研磨速度が遅く、生産性に問題があった。従来から行われているダイヤモンド砥粒による炭化珪素基板の研磨では、研磨速度は速いが、被研磨表面にキズ等が発生する。
特許文献1、特許文献2および特許文献3の炭化珪素基板の研磨に酸化クロム(III)を使用する研磨方法は、使用した研磨廃液に環境汚染などの環境問題があり、実用上制限がある。
特許文献4は、炭化珪素基板の研磨に過ヨウ素酸などのヨウ素化合物を酸化剤に用い、コロイダルシリカで研磨する方法であるが、研磨速度が不十分である。
特許文献5は、炭化珪素基板の研磨にバナジン酸アンモニウム、バナジン酸ナトリウムなどのバナジン酸塩、および酸素供与剤を用いて、珪素−炭素結合を酸化開裂する方法であるが、これも研磨速度は不十分である。
特許文献6は、炭化珪素基板の研磨において、酸化ケイ素粒子と酸化剤と有機アミン化合物などの潤滑剤と無機塩を含有する塩基性の研磨剤を用いる方法であるが、これも研磨速度は不十分である。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、高い研磨速度で、表面粗度に優れた基板を作製することのできる研磨剤組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、コロイダルシリカ、金属酸および/またはその塩、酸素供与剤、無機酸塩および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にある研磨剤組成物を使用することにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、炭化珪素基板等の基板を研磨する際に使用する研磨剤組成物が提供される。
[1]コロイダルシリカ、金属酸および/またはその塩、酸素供与剤、無機酸塩および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にある炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[2]前記金属酸および/またはその塩が、バナジン酸および/またはその塩、モリブデン酸および/またはその塩、タングステン酸および/またはその塩から選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[3]前記酸素供与剤が、過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、およびメタ過ヨウ素酸塩から選ばれる少なくとも1種である前記[1]または[2]に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[4]前記酸素供与剤が、過酸化水素である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[5]前記無機酸塩が、無機酸カリウム塩、および無機酸マンガン塩から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[6]前記無機酸塩を構成する無機酸が、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸から選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[7]前記無機酸塩が、炭酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、および硫酸マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
[8]前記コロイダルシリカの平均粒子径(D50)が、10〜200nmである前記[1]〜[7]のいずれかに記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
本発明の研磨剤組成物を用いることにより、高い研磨速度にて、被研磨表面にキズ、スクラッチの無い状態に仕上げることができる。また、本発明の研磨剤組成物は、研磨時間を短縮し、低コストで炭化珪素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、インジウム燐等の半導体基板、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の単結晶基板等を製造することができる。特に炭化珪素基板の研磨に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明の研磨剤組成物は、コロイダルシリカ、金属酸および/またはその塩、酸素供与剤、無機酸塩および水を含有する。そして、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲である。
(コロイダルシリカ)
本発明で使用されるコロイダルシリカは、平均粒子径(D50)が好ましくは10〜200nmである。コロイダルシリカの平均粒子径が大きくなるにつれて、炭化珪素基板を機械的に研磨するコロイダルシリカの作用が強まるため、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度は向上する。ただし、あまり平均粒子径が大きくなると、研磨後の炭化珪素基板の表面粗度が悪化する。
コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸アルカリ金属塩を原料とし、当該原料を水溶液中で縮合反応させて粒子を成長させる水ガラス法、またはテトラエトキシシラン等のアルコキシシランを原料とし、当該原料をアルコール等の水溶性有機溶媒を含有する水中で、酸またはアルカリでの加水分解による縮合反応によって粒子を成長させるアルコキシシラン法等で得られる。
コロイダルシリカは球状、鎖状、金平糖型、異形型などの形状が知られており、水中に一次粒子が単分散してコロイド状をなしている。研磨剤組成物中の含有量は通常1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。コロイダルシリカの含有量が多くなるにつれて、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度は向上する。コロイダルシリカの含有量が少なくなるにつれて、研磨剤組成物のコストが下がり経済性の点で有利である。
(金属酸および/またはその塩)
本発明で使用される金属酸および/またはその塩としては、バナジン酸および/またはその塩、モリブデン酸および/またはその塩、タングステン酸および/またはその塩などを挙げることができる。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。金属酸塩の具体例としては、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、バナジン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウムなどを挙げることができる。
金属酸の好ましい具体例としては、バナジン酸、モリブデン酸などを挙げることができる。金属酸塩の好ましい具体例としては、バナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、などを挙げることができる。
本発明の研磨剤組成物中の金属酸および/またはその塩の濃度は、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.2質量%以上である。金属酸および/またはその塩の濃度が高くなるにつれて、研磨速度は向上する。また金属酸および/またはその塩の濃度が10質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下である。金属酸および/またはその塩の濃度が低くなるにつれて、不溶解分が生成する懸念が少なくなる。また、経済的にも有利となる。
本発明で使用される金属酸および/またはその塩と後述する酸素供与剤は共同して、研磨剤組成物による炭化珪素基板の研磨速度を向上させる働きをする。この働きは、金属酸および/またはその塩の電離により生じる金属酸イオンが、酸素供与剤から酸素の供与を受けることにより、準安定なペルオキソ金属酸イオンを生成し、このイオンが炭化珪素基板の表面において、珪素−炭素結合の酸化開裂を促進するためと考えられる。
(酸素供与剤)
本発明の研磨剤組成物中の酸素供与剤は、前述した金属酸および/またはその塩に酸素を供与し、生成した準安定なペルオキソ金属酸イオンが炭化珪素基板の表面において、珪素−炭素結合の酸化開裂を促進する働きをする。また、酸素供与剤は、炭化珪素基板の被研磨面が(0001)面である場合に酸化皮膜を形成するものである。この酸化皮膜を機械的な力で被研磨面から除去することにより、炭化珪素基板の研磨が促進される。すなわち、炭化珪素基板は難研磨材料であるが、研磨剤中の酸素供与剤により、炭化珪素基板(0001)面の表面に酸化皮膜を形成することができる。形成された酸化皮膜は、難研磨材料である炭化珪素基板に比べて硬度が低く、研磨されやすいので、砥粒であるコロイダルシリカ粒子により効果的に除去することができる。その結果、高い研磨速度が発現する。
本発明で使用される酸素供与剤としては、過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、およびメタ過ヨウ素酸塩から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。好ましくは、過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、メタ過ヨウ素酸ナトリウムなどを挙げることができる。特に好ましいのは、過酸化水素である。
研磨速度向上効果を得るために、本発明の研磨剤組成物中の酸素供与剤の濃度は、研磨剤組成物の全質量に対して、0.1〜20質量%の範囲であり、研磨速度と表面粗度を考慮して適宜設定することが好ましい。研磨剤組成物の全質量に対して、0.5〜15質量%の範囲がより好ましく、1.0〜10質量%の範囲が特に好ましい。
(無機酸塩)
本発明に使用される無機酸塩としては、無機酸金属塩であることが好ましい。無機酸塩としては、無機酸アルカリ金属塩、無機酸アルカリ土類金属塩、無機酸遷移金属塩などを挙げることができ、好ましくは無機酸カリウム塩、無機酸マンガン塩である。無機酸塩を構成する無機酸としては、炭酸、ハロゲン化水素酸(フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸)、硝酸、硫酸、リン酸、ホスホン酸などを挙げることができ、好ましくは、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸である。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無機酸塩の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化マンガン、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができる。これらの中でも好ましくは、炭酸カリウム、炭酸マンガン、塩化カリウム、塩化マンガン、硝酸カリウム、硝酸マンガン、硫酸カリウム、硫酸マンガンである。これらから、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の無機酸塩の添加効果としては、電気二重層の圧縮効果によるコロイダルシリカの炭化珪素基板への効率的な接触により、研磨速度が向上することが考えられる。
本発明の研磨剤組成物中の無機酸塩の濃度は、0.01〜10.0質量%が好ましく、0.1〜5.0質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では研磨速度向上効果が不十分であり、10.0質量%以上では、研磨剤組成物の流動性が低下するので良くない。
(pH調整剤)
本発明においては、pH値(25℃)を0.5〜7.0の任意の値に調整する目的で、pH調整剤として、酸性物質又は塩基性物質を使用することができる。酸としては、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸などの無機酸、酢酸などの有機酸を挙げることができる。塩基としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジンなどを挙げることができる。本発明の研磨剤組成物において、pH調整剤の濃度は、設定pH値に応じて、適宜決められる。本発明の研磨剤組成物のpH値(25℃)が7.0を超えると、酸素供与剤の安定性低下や、炭化珪素基板の(0001)面を研磨する際の研磨速度低下などが起こり、好ましくない。
(水)
本発明の研磨剤組成物に用いられる水としては、蒸留水、イオン交換水、などが挙げられる。炭化珪素基板の洗浄性を考慮すると、イオン交換水が好ましい。水は研磨剤の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は、研磨速度のような目標とする研磨特性に合わせて適宜設定することができる。例えば、水の含有割合は、研磨剤全質量に対して40〜90質量%の範囲とすることが好ましい。水の含有量が、研磨剤全質量に対して40質量%未満では、研磨剤の粘性が高くなり流動性が損なわれる場合があり、90質量%を超えると、砥粒であるコロイダルシリカの濃度が低くなり、十分な研磨速度が得られないことがある。尚、本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素基板を研磨するのに適した濃度に調整したものを製造してもよいが、濃厚液として製造したものを、使用時に適宜希釈して使用しても良い。
(その他の成分)
本発明の研磨剤組成物は、必要に応じて、通常の研磨剤組成物に含まれる成分を含有してもよい。そのような成分としては、界面活性剤、清浄剤、防錆剤、表面改質剤、粘度調節剤、抗菌剤、分散剤などが挙げられる。
(研磨対象)
本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素、ケイ素、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウム燐、インジウム燐等の半導体基板、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の単結晶基板等の研磨に利用することができる。特に、炭化珪素基板用研磨剤組成物として好適に用いることができる。
炭化珪素の結晶面の種類には、(0001)、(000−1)、(1−100)、(11−20)などの面がある。本発明の研磨剤組成物は、研磨加工の困難な(0001)面および(0001)面以外の結晶面いずれの研磨においても好適に用いることができるが、特に(0001)面の研磨に用いることが好ましい。
本発明の研磨剤組成物を用いることにより、研磨速度を向上させ、表面粗度の良い炭化珪素基板を製造することができる。本発明の研磨剤組成物は、すべての組成物を含有する一液型で供給されてもよく、また二液型で供給されてもよい。
以下に、本発明の研磨剤組成物を実施例により説明する。なお、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施できることはいうまでもない。
本発明のコロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、以下の方法により測定した。
まず、コロイダルシリカの粒子径(Heywood径)を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製、透過型電子顕微鏡JEM2000FX(200kV))を用いて倍率10万倍の視野の写真を解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて解析することによりHeywood径(投射面積円相当径)として測定した。
コロイダルシリカの平均粒子径(D50)は、前述の方法で2000個程度のコロイダルシリカの粒子径を解析し、小粒径側からの積算粒径分布(累積体積基準)が50%となる粒径を上記解析ソフト(マウンテック(株)製、Mac−View Ver.4.0)を用いて算出した。
研磨試験を行う際の研磨条件を以下に示す。
研磨対象物:直径3インチ、n型 4H−SiC−4°off基板
研磨対象結晶面:(0001)面
研磨加工機:不二越機械工業(株)製 RDP−500 片面研磨加工機
研磨パッド:SUBA800(ニッタ・ハース(株)製)
研磨圧力:500gf/cm
定盤回転数:68rpm
研磨時間:2h
研磨剤組成物の供給方法:循環
研磨剤組成物の供給速度:200ml/min
[被研磨面の特性評価・研磨速度の算出方法]
被研磨面の特性評価で、研磨速度は、下式により求めた。スクラッチ、キズの状態は、光学顕微鏡を用い、倍率200倍で調べた。表面にスクラッチ、キズがない状態を「○」、ほとんど認められない状態を「△」、認められるものを「×」、研磨試験未実施もしくは表面の観察を行っていないものを「−」とした。
研磨速度(nm/h)=(炭化珪素基板の研磨前質量−炭化珪素基板の研磨後質量)(g)÷炭化珪素基板の研磨面積(cm)÷炭化珪素基板の密度(g/cm)÷研磨時間(h)×10
[研磨剤組成物の調製方法]
実施例1〜13および比較例1〜5で使用した研磨剤組成物は、下記の材料を、下記の含有量または添加量で含んだ研磨剤組成物である。これらの研磨剤組成物を使用して研磨試験を行った結果を表1に示した。
コロイダルシリカ(平均粒子径(D50):50nm、市販のコロイダルシリカ)25質量%(実施例1〜13、比較例1〜5で使用)
バナジン酸ナトリウム 2.0質量%(実施例1、12、比較例2で使用)
モリブデン酸ナトリウム 2.0質量%(実施例2〜4、6〜11、13、比較例3、5で使用)
モリブデン酸 4.0質量%(実施例5、比較例4で使用)
過酸化水素 1.0質量%(実施例1、12、比較例2で使用)、5.0質量%(実施例2〜4、6〜11、比較例1、3、5で使用)、9.0質量%(実施例5、比較例4で使用)
メタ過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO) 1.0質量%(実施例13で使用)
硫酸カリウム(KSO) 1.00質量%(実施例1、2、5、13、比較例1で使用)、3.00質量%(実施例3で使用)、5.00質量%(実施例4で使用)
塩化カリウム(KCl) 1.00質量%(実施例6で使用)、3.00質量%(実施例7で使用)
硝酸カリウム(KNO) 1.00質量%(実施例8で使用)、3.00質量%(実施例9で使用)
炭酸カリウム(KCO) 1.00質量%(実施例10で使用)
硫酸マンガン(MnSO) 0.25質量%(実施例11、12で使用)
硝酸 pH値(25℃)が設定値になるように必要量を添加(実施例1〜13、比較例1〜5で使用)
Figure 2018032784
[考察]
実施例1と比較例1の対比により、無機酸塩(硫酸カリウム)存在下でさらに金属酸塩(バナジン酸塩)を添加することにより、研磨速度が増大することがわかる。また実施例1と比較例2の対比により、金属酸塩(バナジン酸塩)存在下でさらに無機酸塩(硫酸カリウム)を添加することにより、研磨速度が増大することがわかる。同様に、実施例2と比較例1の対比により、無機酸塩(硫酸カリウム)存在下でさらに金属酸塩(モリブデン酸塩)を添加することにより、研磨速度が増大することがわかる。さらに、実施例2と比較例3の対比により、金属酸塩(モリブデン酸塩)存在下で無機酸塩(硫酸カリウム)を添加することにより、研磨速度が増大することがわかる。
また実施例5と比較例1の対比により、無機酸塩(硫酸カリウム)存在下でさらに金属酸(モリブデン酸)を添加することにより、研磨速度が増大することがわかる。また実施例5と比較例4の対比により、金属酸(モリブデン酸)存在下でさらに無機酸塩(硫酸カリウム)を添加すると、研磨速度が増大することがわかる。無機酸塩の種類を変化させた実施例6〜12についても、実施例1および実施例2と同様の効果が確認できる(実施例6〜11は比較例3との対比、実施例12は比較例2との対比)。
一方、比較例5の結果から、研磨剤組成物のpH値(25℃)が7.0を超えると酸素供与剤(過酸化水素)の分解により研磨が不可能となることがわかる。以上のことから、本発明により被研磨面の表面状態を良好に保ちながら、研磨速度向上が実現できることがわかる。
本発明の研磨剤組成物は、炭化珪素パワー半導体、光デバイス分野での窒化ガリウム薄膜の下地基板としての炭化珪素基板の製造に使用することができる。

Claims (8)

  1. コロイダルシリカ、金属酸および/またはその塩、酸素供与剤、無機酸塩および水を含有し、pH値(25℃)が0.5〜7.0の範囲にある炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  2. 前記金属酸および/またはその塩が、バナジン酸および/またはその塩、モリブデン酸および/またはその塩、タングステン酸および/またはその塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  3. 前記酸素供与剤が、過酸化水素、オルト過ヨウ素酸、オルト過ヨウ素酸塩、メタ過ヨウ素酸、およびメタ過ヨウ素酸塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  4. 前記酸素供与剤が、過酸化水素である請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  5. 前記無機酸塩が、無機酸カリウム塩、および無機酸マンガン塩から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  6. 前記無機酸塩を構成する無機酸が、炭酸、塩酸、硝酸、硫酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  7. 前記無機酸塩が、炭酸カリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、および硫酸マンガンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
  8. 前記コロイダルシリカの平均粒子径(D50)が、10〜200nmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭化珪素基板用研磨剤組成物。
JP2016164887A 2016-08-25 2016-08-25 炭化珪素基板用研磨剤組成物 Active JP6788432B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016164887A JP6788432B2 (ja) 2016-08-25 2016-08-25 炭化珪素基板用研磨剤組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016164887A JP6788432B2 (ja) 2016-08-25 2016-08-25 炭化珪素基板用研磨剤組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018032784A true JP2018032784A (ja) 2018-03-01
JP6788432B2 JP6788432B2 (ja) 2020-11-25

Family

ID=61304558

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016164887A Active JP6788432B2 (ja) 2016-08-25 2016-08-25 炭化珪素基板用研磨剤組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6788432B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010284784A (ja) * 2009-05-15 2010-12-24 Yamaguchi Seiken Kogyo Kk 研磨剤組成物
JP2012004229A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Lion Corp 研磨助剤、研磨剤組成物、および半導体基板の研磨方法
WO2015146363A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社 フジミインコーポレーテッド 研磨用組成物、その使用方法、及び基板の製造方法
JP2015199839A (ja) * 2014-04-08 2015-11-12 山口精研工業株式会社 研磨用組成物
JP2016093884A (ja) * 2014-11-07 2016-05-26 株式会社フジミインコーポレーテッド 研磨方法およびポリシング用組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010284784A (ja) * 2009-05-15 2010-12-24 Yamaguchi Seiken Kogyo Kk 研磨剤組成物
JP2012004229A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Lion Corp 研磨助剤、研磨剤組成物、および半導体基板の研磨方法
WO2015146363A1 (ja) * 2014-03-27 2015-10-01 株式会社 フジミインコーポレーテッド 研磨用組成物、その使用方法、及び基板の製造方法
JP2015199839A (ja) * 2014-04-08 2015-11-12 山口精研工業株式会社 研磨用組成物
JP2016093884A (ja) * 2014-11-07 2016-05-26 株式会社フジミインコーポレーテッド 研磨方法およびポリシング用組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6788432B2 (ja) 2020-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101141178B1 (ko) 연마용 조성물 및 연마방법
JP5981980B2 (ja) 炭化ケイ素基板用研磨剤組成物
JP5716838B2 (ja) 研磨液
US8114178B2 (en) Polishing composition for semiconductor wafer and polishing method
JP5275595B2 (ja) 半導体ウエハ研磨用組成物および研磨方法
JP4523935B2 (ja) 炭化珪素単結晶基板の研磨用水系研磨スラリー及び研磨法。
JP4759298B2 (ja) 単結晶表面用の研磨剤及び研磨方法
JP5384037B2 (ja) サファイア基板用研磨液組成物、及びサファイア基板の研磨方法
KR102350734B1 (ko) 사파이어 표면 연마용 화학적 기계적 연마 조성물 및 그의 사용방법
US9493678B2 (en) Polishing composition
CN102484059A (zh) 研磨剂、制造化合物半导体的方法和制造半导体器件的方法
JP6358740B2 (ja) 研磨用組成物
KR102028217B1 (ko) 연마용 조성물
TW201213522A (en) Polishing agent and polishing method
JP6788433B2 (ja) 炭化珪素基板用研磨剤組成物
JPWO2013021946A1 (ja) 化合物半導体研磨用組成物
JP6788432B2 (ja) 炭化珪素基板用研磨剤組成物
JP6358739B2 (ja) 研磨用組成物
JP5736430B2 (ja) サファイア基板用研磨液組成物、及びサファイア基板の研磨方法
JP6788474B2 (ja) 窒化物半導体基板用研磨剤組成物
JP6381068B2 (ja) 炭化ケイ素基板研磨用組成物
US20160060487A1 (en) Composition and method for polishing a sapphire surface
Chunli et al. CMP of GaN using sulfate radicals generated by metal catalyst

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200519

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201013

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201030

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6788432

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250