JP2018022899A - プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理装置及びプラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】いわゆるチルティング現象を効果的に抑制し、生産効率の向上と生産コストの低減を図ること。【解決手段】この容量結合型プラズマエッチング装置において、上部電極26の上部に配設されている電磁石32は、コア部材34およびコイル36,38,40,42を有している。これらのコイルの中で、中心軸線Zから見て3番目のコイル40は、半径方向において半導体ウエハWの周辺部と外側とに跨るように配設されている。電磁石駆動回路56は、制御部60の制御の下でコイル36,38,40,42のいずれか1つを択一的に任意の励起電流で通電させることができるだけでなく、任意の組み合わせで複数のコイルを同時に共通または個別の任意の励起電流で通電させることができる。【選択図】 図1

Description

本発明は、容量結合型のプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスでは、処理ガスのプラズマを被処理基板たとえば半導体ウエハに作用させて、被処理基板にエッチング等の処理を施すプラズマ処理装置が用いられている。従来より、枚葉式のプラズマエッチングには容量結合型のプラズマエッチング装置が多く用いられている。
一般に、容量結合型のプラズマエッチング装置は、真空チャンバとして構成される処理容器内に上部電極と下部電極とを平行に配置し、下部電極の上に半導体ウエハを載置して、両電極間に高周波電力を印加する。そうすると、両電極の間で処理ガスの高周波放電によるプラズマが発生し、プラズマ中のラジカルやイオンによって基板表面に所望のパターンでエッチング加工が施される。
従来より、容量結合型のプラズマエッチング装置では、主に処理容器内のプラズマ密度分布を制御するために、処理容器内の処理空間を所定のルートで貫くような閉ループの磁力線または磁界を形成する磁界形成機構が用いられている。
たとえば、特許文献1には、処理容器の側壁の周囲(外)に異方性セグメント柱磁石からなる多数のダイポールリング磁石を環状に一定間隔で配置して、処理容器内の処理空間に一様な水平磁界を形成する磁界形成機構が開示されている。特許文献2には、水平方向に被処理基板の口径サイズよりも十分に離したN極とS極とを有する回転磁石を処理容器の天井の上に配置し、処理容器の中心軸を回転中心にして該回転磁石を回転させて処理容器内の処理空間に一様な水平磁界を形成する磁界形成機構が開示されている。また、特許文献3には、N極とS極とを鉛直方向に立てる多数の電磁石を処理容器の天井の上に放射状に配置し、処理容器内の処理空間に放射状の磁界を形成する磁界形成機構が開示されている。
特許第3375302号 特許第3037848号 特許第4107518号
ところで、半導体デバイスの製造工程においては、容量結合型のプラズマエッチング装置を用いて半導体ウエハ上に高アスペクト比でエッチング加工を施す場合に、特に高アスペクト比のコンタクトホールを形成する場合に、ウエハ面内の一部の領域(たとえばウエハ周辺部領域)でコンタクトホールが傾く現象(チルティング)が発生することがあり、これが歩留まり低下の原因になっている。
このようなチルティングが発生する要因の一つには、被処理基板の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面に凹凸が生じ、この凹部と凸部との境目付近で上記界面に傾斜部分が生じることにある。つまり、イオンシースとバルクプラズマとの界面が傾斜していると、その付近でウエハに入射するイオンの角度(入射角)が垂直にならずに斜めに傾いて、エッチングホールまたはエッチング溝に傾きが生じる所謂チルティング(Tilting)が生じることになる。
特に、プラズマ処理装置の処理容器内では、被処理基板の外周縁部と、それよりも半径方向外側の部分とでは、その構造や材質が異なるため、上方に形成されるイオンシースの厚さに段差や変化が生じやすく、それによってイオンシースとバルクプラズマとの界面に凹凸が生じやすい。
また、或る型式の容量結合型プラズマエッチング装置において、処理空間のプラズマ密度ひいてはウエハ面内のエッチングレートがウエハ周辺部よりもウエハ中心部で相対的に高くなる傾向がある場合は、上部電極と下部電極との間の電極間ギャップがウエハ中心部よりもウエハ周辺部で狭くなるように、上部電極の周辺部(ウエハエッジの直上ないしそれよりも半径方向外側の部分)にテーパ状の傾斜部または段差状の突出部を設ける構成が採られている。しかしながら、このような電極面の勾配によって、電極表面に形成されるイオンシースにも半径方向に傾斜が生じる。さらには、電極間ギャップが不均一に存在していることも、イオンシースの厚さに影響を与える。たとえば、ウエハ中心部の上に形成されるイオンシースの厚さが、ウエハ周辺部の上に形成されるイオンシースの厚さと異なる場合には、半導体ウエハの或る領域たとえば中間部領域ではイオンが斜めに入射する割合が高くなり、チルティングが発生しやすくなる。
従来の容量結合型プラズマエッチング装置は、上記特許文献1,2,3に記載のような磁界形成機構を備えても、このようなチルティングを効果的に抑制することはできない。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するとともに、従来に比べて生産効率の向上と生産コストの低減を図ることができるプラズマ処理装置およびプラズマ処理方法を提供する。
本発明のプラズマ処理装置は、被処理基板に処理ガスのプラズマを作用させて処理を施すプラズマ処理装置であって、前記被処理基板を出し入れ可能に収容する処理容器と、前記処理容器内に配設され、前記被処理基板が載置される下部電極と、前記処理容器内に配設され、プラズマ生成空間を介して前記下部電極と対向する上部電極と、前記上部電極と前記下部電極との間に高周波電力を印加する高周波電源と、前記処理容器の上部または上方で前記下部電極の中心を上下方向に通過する中心軸線を中心とする1つまたは複数の環状コイルを有する電磁石と、前記電磁石の各環状コイルに励起電流を供給するための電磁石励起回路と、前記被処理基板の上に形成されるイオンシースとバルクプラズマとの界面の勾配を制御するために、前記電磁石励起回路を通じて前記電磁石のいずれかの環状コイルを選択的に通電してその周囲に磁界を発生させる制御部とを有し、前記電磁石の環状コイルの1つが半径方向において前記被処理基板の周辺部と外側とに跨るように配設されている。
上記構成のプラズマ処理装置においては、電磁石のいずれかのコイルを励起(通電)すると、処理容器内ではその通電したコイルより半径方向内側にオフセットした領域でプラズマ密度が高くなり、そのコイルの直下の領域でプラズマ密度が低くなるような磁気効果が奏される。したがって、たとえば、一定の要因で被処理基板上の一部または全部の領域でチルティング現象が発生する場合は、電磁石のいずれかのコイルを選択的に励起(通電)し、そのコイルの回りで上記のような磁気効果を発揮させることにより、被処理基板の当該領域の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面を平坦化し、それによって基板の表面にイオンを垂直に入射させ、チルティングを抑制することができる。
特に、上記構成のプラズマ処理装置において、上部電極と下部電極との間の電極間ギャップが、下部電極の中心を通る鉛直の中心軸線に対して軸対称のプロファイルを有し、半径方向において該中心軸線から下部電極上に載置される被処理基板のエッジの位置に対応する第1の位置まで延びる第1の領域では均一な第1のギャップ幅を有し、第1の位置からそれより半径方向外側の第2の位置まで延びる第2の領域では第1のギャップ幅より小さい均一な第2のギャップ幅を有する場合は、電極間ギャップが変わる場所付近つまり基板の周辺部の上ではイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いて、その周辺部領域にイオンが外側から斜めに入射する割合が高くなり、たとえばプラズマエッチングの場合はチルティング角度が負の値になるようなチルティングが発生しやすい。しかし、他方で、上記の構成においては、電磁石のいずれかのコイルを励起(通電)すると、処理容器内ではその通電したコイルより半径方向内側にオフセットした領域でプラズマ密度が高くなり、プラズマ生成空間の当該コイルの直下の領域でプラズマ密度が低くなるような磁気効果が奏される。そして、電磁石の環状コイルの1つが、半径方向において被処理基板の周辺部と外側とに跨っている。これにより、この環状コイルを選択的に通電させることにより、基板の周辺部領域の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面を平坦化し、それによって基板の表面にイオンを垂直に入射させ、上記のようなチルティングを抑制することができる。
本発明のプラズマ処理方法は、本発明の上記プラズマ処理装置を用いて被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、前記被処理基板の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面の勾配を平坦化することによって、プラズマエッチングにより前記被処理基板上の被エッチング材に形成されるパターンにチルティングが発生することを抑制することを特徴とする。
本発明のプラズマ処理装置またはプラズマ処理方法によれば、上記のような構成および作用により、いわゆるチルティング現象を効果的に抑制することが可能であり、生産効率の向上と生産コストの低減を図ることができる。
本発明の実施形態に係るプラズマエッチング装置の概略構成を模式的に示す図である。 図1のプラズマエッチング装置の要部の概略構成を模式的に示す図である。 電磁石によって形成される磁界の例を示す図である。 チルティングの発生状態を説明するための図である。 コイル36を通電させた場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびウエハ上のチルティング角度分布特性の測定結果を示すグラフ図である。 コイル38を通電させた場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびウエハ上のチルティング角度分布特性の測定結果を示すグラフ図である。 コイル40を通電させた場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびウエハ上のチルティング角度分布特性の測定結果を示すグラフ図である。 コイル42を通電させた場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびウエハ上のチルティング角度分布特性の測定結果を示すグラフ図である。 一変形例におけるプラズマエッチング装置の概略構成を模式的に示す図である。 別の実施例におけるプラズマエッチング装置の概略構成を模式的に示す図である。 別の変形例におけるプラズマエッチング装置の概略構成を模式的に示す図である。 別の変形例におけるプラズマエッチング装置の要部の構成を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1に、一実施形態におけるプラズマ処理装置の概略断面構成を模式的に示す。このプラズマ処理装置10は、容量結合型のプラズマエッチング装置として構成されており、たとえば300mm口径の半導体ウエハWを出し入れ可能に収容する密閉可能な円筒状のチャンバ(処理容器)12を有している。
チャンバ12内の中央下部には、処理対象の半導体ウエハWを載置する円板形状の載置台14が配設されている。この載置台14は、基台14aおよび静電チャック14bを含んでいる。基台14aは、アルミニウム等の導電性の部材で構成されている。
基台14aの上面の周縁の領域には、半導体ウエハWの周囲を囲むように、環状のフォーカスリング16が設けられている。また、基台14aの上面の中央の領域には、円板形状の静電チャック14bが設けられている。静電チャック14bは、電極膜を封入した絶縁膜を有している。この電極膜には直流電源(図示せず)より直流電圧が供給され、それによって静電チャック14bの発生する静電力により半導体ウエハWを吸着して保持するようになっている。
静電チャック14bの上に半導体ウエハWが載置された状態では、半導体ウエハWの中心を上下方向に通過する中心軸線Zは、基台14aおよび静電チャック14bの中心軸線に略一致する。
基台14aは、下部電極を構成している。この基台14aには、プラズマ生成用の高周波電力を発生する第1の高周波電源18が、第1の整合器20を介して電気的に接続されている。第1の高周波電源18は、たとえば、周波数100MHzの高周波電力を発生する。第1の整合器20は、高周波電源18の出力インピーダンスと基台(下部電極)14a側の負荷インピーダンスとを整合させるための整合回路を有している。
この実施形態において、第1の高周波電源18は、処理ガスの高周波放電に適した所望の周波数(たとえば50kHz)および所望のデューティ比(たとえば20%)でプラズマ生成用の高周波電力をパルス状に出力できるようになっている。このように、パルス周波数の1サイクル内にプラズマ生成期間とプラズマ非生成期間とを設けることにより、半導体ウエハW上の特定の部位に電荷の蓄積が生じることを軽減できるようになっている。すなわち、プラズマ生成期間中にプラズマ中の電子密度の不均一さによって半導体ウエハW上の電子密度の高い特定の部位に電荷の蓄積が生じても、そのような電荷をプラズマ非生成期間中に周囲へ分散させて、電荷の蓄積を解消することができる。これによって、ウエハ表面で絶縁膜の破壊等が生じるのを防止することができる。
また、基台14aには、イオン引き込み用の高周波バイアス電力を発生する第2の高周波電源22が、第2の整合器24を介して電気的に接続されている。第2の高周波電源22は、載置台14上の半導体ウエハWに入射するイオンのエネルギーを制御するのに適した周波数(たとえば3.2MHz)の高周波電力を発生する。第2の整合器24は、高周波電源22の出力インピーダンスと下部電極側の負荷インピーダンスとを整合させるための整合回路を有している。
載置台(下部電極)14の上方には、処理空間Sを介して載置台14と対向するように、上部電極26が配設されている。上部電極26は、チャンバ12の天板を構成しており、処理空間Sをその上方から画成している。上部電極26は、その中心軸線が、載置台14の中心軸線Zと略一致するように配置されている。
上部電極26は、所定の処理ガスを処理空間S内にシャワー状に導入するシャワーヘッドの機能を兼ねている。この実施形態においては、上部電極26には、バッファ室26a、内部ガスライン26bおよび複数のガス孔26cが形成されている。バッファ室26aには、内部ガスライン26bおよび外部ガスライン28を介して処理ガス供給部30が接続されている。上部電極26のガス孔26cはバッファ室26aから下方に延びて、処理空間Sに向けて開口している。一方、チャンバ12の底部には、図示しないTMP(Turbo Molecular Pump)およびDP(Dry Pump)等の排気機構が接続されており、チャンバ12内の処理空間Sを所定圧力の減圧雰囲気に維持できるようになっている。
上部電極26の上部には、電磁石32が配設されている。電磁石32は、コア部材34およびコイル36,38,40,42を有している。コア部材34は、柱状部44、複数の円筒部46,48,50,52およびベース部またはバックプレート部54が一体形成された構造を有しており、軟磁性体から構成されている。バックプレート部54は、水平に延びて略円板形状を有しており、その中心軸線は中心軸線Zに沿うように設けられている。柱状部44および円筒部46,48,50,52は同心状に設けられ、バックプレート部54の下面から下方に突出するように延びている。柱状部44は、略円柱形状を有しており、その中心軸線が中心軸線Zに沿うように設けられている。この柱状部44の半径L1(図2参照)は、たとえば30mmである。
円筒部46,48,50,52の各々は、中心軸線Zと平行に延びる円筒形状を有している。図2に示すように、円筒部46,48,50,52は、中心軸線Zを中心とする複数の同心円C2,C3,C4,C5に沿ってそれぞれ設けられている。より詳細には、円筒部46は、半径L1よりも大きい半径L2の同心円C2に沿って配設されている。円筒部48は、半径L2よりも大きい半径L3の同心円C3に沿って配設されている。円筒部50は、半径L3よりも大きい半径L4の同心円C4に沿って配設されている。円筒部52は、半径L4よりも大きい半径L5の同心円C5に沿って配設されている。
一例においては、半径L2,L3,L4,L5は、それぞれ76mm、127mm、178mm、229mmである。また、コイル36,38,40,42の中心の位置は、それぞれ中心軸線Zから略50mm,100mm,150mm,200mmとなっている。
コア部材34において、柱状部44と最内周の円筒部46との間には、下面の開いた環状の溝が形成されている。図1に示すように、この溝には、柱状部44の外周面に沿って巻回されたコイル36が収容されている。これにより、コイル36の下面が露出し、コイル36の内側面、外側面および上面がコア部材34の柱状部44、円筒部46およびバックプレート部54によって覆われている。
円筒部46とその外隣の円筒部48との間にも下面の開いた環状の溝が形成されている。この溝には、円筒部46の外周面に沿って巻回されたコイル38が収容されている。これにより、コイル38の下面が露出し、コイル38の内側面、外側面および上面がコア部材34の円筒部46,48およびバックプレート部54によって覆われている。
円筒部48とその外隣の円筒部50との間にも下面の開いた環状の溝が形成されており、この溝には円筒部48の外周面に沿って巻回されたコイル40が収容されている。これにより、コイル40の下面が露出し、コイル40の内側面、外側面および上面がコア部材34の円筒部48,50およびバックプレート部54によって覆われている。
また、円筒部50とその外隣(最外周)の円筒部52との間にも下面の開いた環状の溝が形成されており、この溝には円筒部50の外周面に沿って巻回されたコイル42が収容されている。これにより、コイル42の下面が露出し、コイル42の内側面、外側面および上面がコア部材34の円筒部50,52およびバックプレート部54によって覆われている。
上記したとおり、電磁石32において、半径L4,L5は半導体ウエハWの半径150mmよりも大きい。したがって、図1に示すように、最外周のコイル42は、半導体ウエハWの外周エッジよりも径方向外側に位置し、少なくともその一部がフォーカスリング16の上方に位置するよう配設されている。また、最内周のコイル36は、半導体ウエハWの中心部の上方に位置するように配設されている。また、中心軸線Zから見て2番目のコイル38は、半径方向において半導体ウエハWの中間部と周辺部とに跨るように配設されている。そして、中心軸線Zから見て3番目のコイル40は、半径方向において半導体ウエハWの周辺部と外側とに跨るように配設されている。
コイル36,38,40,42の各々の両端は、電磁石励起回路56に電気的に接続されている。電磁石励起回路56は、後述する制御部60の制御の下でコイル36,38,40,42のいずれか1つを択一的に任意の励起電流で通電させることができるだけでなく、任意の組み合わせで複数のコイルを同時に共通または個別の任意の励起電流で通電させることができる。
上記構成の電磁石32によれば、コイル36,38,40,42のうち1つ以上のコイルに電流を供給することにより、中心軸線Zに対して径方向に沿った水平磁界成分Bを有する磁界Bを処理空間Sにおいて形成することができる。図3に、電磁石32によって形成される磁界の例を示す。
図3の(a)には、中心軸線Zに対して半平面内における電磁石32の断面および中心軸線Zから2番目のコイル38に電流が供給されたときの磁界Bが示されている。図3の(b)には、コイル38に電流が供給されたときの水平磁界成分Bの強度分布が示されている。
また、図3の(c)には、中心軸線Zに対して半平面内における電磁石32の断面および最外周のコイル54に励起電流が供給されたときの磁界Bが示されている。図3の(d)には、コイル54に電流が供給されたときの水平磁界成分Bの強度分布が示されている。図3の(b)および(d)に示すグラフにおいては、横軸は中心軸線Zの位置を0mmとしたときの径方向の位置を示しており、縦軸は水平磁界成分Bの強度(磁束密度)を示している。
電磁石32のコイル38に電流を供給すると、図3の(a)に示すような磁界Bが形成される。すなわち、柱状部44および円筒部46の下端から出て下方の処理空間Sを経由して円筒部48,50,52の下端に入るような磁力線ループを有する磁界Bが形成される。この磁界Bの磁力線ループは、ヨーク部材34の中では、円筒部48,50,52の下端よりバックプレート部54を回って柱状部44および円筒部46に戻る。
このような磁界Bの水平磁界成分Bの径方向の強度分布は、図3の(b)に示すように、コイル38のコイル導体の中心部の下方においてピークを有する強度分布となる。一例においては、コイル38のコイル導体の中心の位置は、軸線Zから約100mmの位置であり、直径300mmのウエハWが処理される場合には、径方向においてウエハWの中心とエッジの中間位置である。
また、電磁石32のコイル42に電流を供給すると、図3の(c)に示すような磁界Bが形成される。すなわち、柱状部44および円筒部46,48,50の下端から出て下方の処理空間Sを経由して最外周の円筒部52の下端に入るような磁力線ループを有する磁界Bが形成される。この磁界Bの磁力線ループは、ヨーク部材34の中では、円筒部52の下端よりバックプレート部54を回って柱状部44および円筒部46,48,50に戻る。
このような磁界Bの水平磁界成分Bの径方向の強度分布は、図3の(d)に示すように、コイル42のコイル導体の中心部の下方においてピークを有する強度分布となる。一例においては、コイル42の中心の位置は、軸線Zから約200mmの位置であり、直径300mm(半径150mm)のウエハWが処理される場合には、径方向においてウエハWのエッジの外側、つまりフォーカスリング26の位置である。
このプラズマエッチング装置10において、制御部60は、1つまたは複数のマイクロコンピュータを含み、外部メモリまたは内部メモリに格納されるソフトウェア(プログラム)およびレシピ情報にしたがって、装置内の各部、特に高周波電源18,22、整合器20,24、処理ガス供給部30、電磁石励起回路56、排気装置等の個々の動作および装置全体の動作(シーケンス)を制御する。
また、制御部60は、キーボード等の入力装置や液晶ディスプレイ等の表示装置を含むマン・マシン・インタフェース用の操作パネル(図示せず)および各種プログラムやレシピ、設定値等の各種データを格納または蓄積する外部記憶装置(図示せず)等とも接続されている。この実施形態では、制御部60が1つの制御ユニットとして示されているが、複数の制御ユニットが制御部60の機能を並列的または階層的に分担する形態を採ってもよい。
このプラズマエッチング装置10において、載置台14上の半導体ウエハWにエッチング加工を施すときは、処理ガス供給部30よりシャワーヘッド(上部電極)26を介してチャンバ12内の処理空間Sに処理ガスつまりエッチングガスを供給し、第1の高周波電源18からの高周波電力を載置台(下部電極)14に与えて、上部電極26と載置台14との間に高周波電界を発生させる。これにより、処理空間Sにおいて処理ガスの高周波放電によるプラズマが生成される。そして、処理ガスを構成する分子または原子がプラズマ中で解離ないし電離して生成されたラジカルおよびイオンにより、半導体ウエハWの表面の被処理膜にエッチングマスクで規定される所定パターンのエッチング加工を施すことができる。また、第2の高周波電源20から下部電極としての載置台14に与える高周波バイアスの電力を調整することにより、半導体ウエハWに入射するイオンのエネルギーを制御することができる。
しかしながら、半導体ウエハW上に高アスペクト比でエッチング加工を施す場合には、特に高アスペクト比のコンタクトホールを形成する場合には、ウエハ面内の一部の領域でコンタクトホールが傾く現象(チルティング)が発生することがある。
図4に、半導体ウエハWにプラズマエッチングによりホールやライン形状を形成した場合の径方向に沿った断面の拡大図の例を模式的に示す。なお、図4において、左側が半導体ウエハWの中心方向、右側がフォーカスリング(半導体ウエハWの周縁部)の方向となっている。
図4に示すように、プラズマエッチングによりホールや溝を形成した場合、イオンが半導体ウエハWに対して斜めに入射し、エッチング状態に半導体ウエハWに対して傾きが生じると、形成されたホールや溝の上端部における空間の中心の位置(上端部空間中心)と、底部における空間の中心の位置(底部空間中心)とに径方向にずれが生じ、これらを結んだ線A1が、上端部空間中心から下した垂線A2に対して傾いた状態となる。
このような状態が、チルティングが発生した状態であり、この線A1と垂線A2とのなす角度(以下、「チルティング角度」という。)を測定することによって、チルティングの発生状態を定量的に評価することができる。このようなチルティングは、微細化の進展やたとえば3次元NANDにおける多層化の進展において大きな課題となっている。
ここで、この実施形態のプラズマエッチング装置を用いて、半導体ウエハW表面の絶縁膜にチルティングを実質的に発生せずに高アスペクト比のホールを形成するプラズマエッチングのアプリケーションにおいて、電磁石32のコイル36,38,40,42の中の1つを選択的に通電させた場合の作用を説明する。なお、この実験における主なエッチング条件は、次のとおりである。
チャンバ内圧力:5.32Pa(40mTorr)
処理ガス:C/C/Ar/O=35/10/400/20sccm
第1の高周波:周波数100MHz、電力300W、パルス周期50kHz、デューティー比20%
第2の高周波:周波数3.2MHzMHz、電力10000W
処理時間:60秒
図5に、最内周のコイル36に電流を流して15Gの磁界を形成した場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびチルティング角度分布特性の測定結果をそれぞれ示す。
図5に示すように、エッチングレート分布特性は、コイル36より半径方向内側にオフセットした中心部の領域(約0〜20mm)で高く盛り上がり、コイル36の直下の領域(約30〜70mm)ではウエハ中心側からウエハエッジ側にかけて落ち込む傾向を示した。
このエッチングレート分布特性から、コイル36を励起(通電)すると、処理空間S内のプラズマ密度は、中心部の領域(約0〜20mm)で相対的に高く、コイル36の直下の領域(約30〜70mm)で相対的に低いことがわかる。一般に、処理空間S内の或る場所に磁場が存在していると、その付近では、電子がローレンツ力を受けてドリフト運動することにより、処理ガスの分子や原子との電離衝突を多く繰り返す結果、プラズマ密度が高くなる。検証の結果、プラズマ密度を左右する磁場の作用が、コイル36より半径方向内側にオフセットした中心部の領域(約0〜20mm)でポジティブに働き、コイル36の直下の領域(約30〜70mm)ではネガティブに働いていることがわかった。
また、チルティング角度分布特性は、図示のように、ウエハWの中心から0mm、30mm、60mm、80mm、100mm、125mm、145mmのそれぞれの位置で、−0.6,0.4,2.7,1.3,0.3,1.9、−0.3度(deg)であった。すなわち、コイル36より半径方向内側の領域でチルティング角度が負の値(−0.6度)を示す箇所(0mm)が存在し、コイル36の直下からウエハエッジ位置付近にかけての領域(約30〜125mm)でチルティング角度が正の値を示した。なお、ウエハエッジ位置(150mm)ではチルティング角度が負の値(−0.3度)であった。しかし、ウエハエッジ位置は、コイル36から相当離れていて、コイル36によって形成される磁場の影響を殆ど受けないので、チルティング角度が負の値(−0.3度)になるのは別の要因と考えられる。
このチルティング角度分布特性から、ウエハWないしフォーカスリング16上に形成されるイオンシースのプロファイルを推定または同定することができる。すなわち、イオンは電子に比べて格段に重いうえ運動速度が小さいため、処理空間S内はもちろんイオンシース内でもイオンが磁場から受けるローレンツ力ないし加速度は無視できるほど小さい。つまり、イオンがウエハWの表面に入射するときの運動速度(ベクトル)は、イオンシース内の電界(ベクトル)によって決まるといえる。また、イオンシース内の電界(ベクトル)の方向は、イオンシースの平坦度または傾斜度に依存し、ウエハWの表面が平坦であると仮定すると、イオンシースとバルクプラズマとの界面の平坦度または傾斜度に依存する。
したがって、上記のように、コイル36の直下の位置(60mm)でチルティング角度が正の値(2.7度)を示したことからすると、図5に一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩上がりに傾いている、換言すればプラズマ密度が右肩下がりに傾いていると、推測することができる。このことは、上記のような図5のエッチングレート分布特性ともよく符合している。
他の領域でも、チルティング角度が正の値を示す位置では、その付近のウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩上がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩下がりに傾いていると、推定してよい。また、チルティング角度が負の値を示す位置では、その付近のウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩上がりに傾いていると、推定してよい。
図6に、コイル38に電流を流して15Gの磁界を形成した場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびチルティング角度分布特性の測定結果をそれぞれ示す。
図6に示すように、エッチングレート分布特性は、コイル38より半径方向内側にオフセットした領域(約30〜60mm)で高く盛り上がり、コイル38の直下の領域(約80〜110mm)ではウエハ中心側からウエハエッジ側にかけて落ち込む傾向を示した。
このことから、コイル38を励起(通電)すると、処理空間S内のプラズマ密度を左右する磁場の作用が、コイル38より半径方向内側にオフセットした中心部寄りの領域(約30〜60mm)でポジティブに働き、コイル36の直下の領域(約80〜110mm)ではネガティブに働いていることがわかる。
また、チルティング角度分布特性は、図示のように、ウエハWの中心から0mm、30mm、60mm、80mm、100mm、125mm、145mmのそれぞれの位置で、−0.4,−2.3,−2.2,1.0,0.8,1.1、0.0度(deg)であった。すなわち、コイル38の半径方向内側でチルティング角度が負の値(−2.3度,−2.2度)を示す箇所(30mm,60mm)が存在し、コイル38の直下およびそれより半径方向外側の全ての領域(約100〜150mm)でチルティング角度が正または零の値を示した。
このようにコイル38の直下の位置(100mm)でチルティング角度が正の値(1.0度)を示したことからすると、図6に一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩上がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩下がりに傾いていると、推測することができる。また、コイル38より半径方向内側にオフセットした中心部寄りの位置(30mm,60mm)で負の値(−2.3度,−2.2度)を示したことから、一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩上がりに傾いていると、推測することができる。したがって、チルティング角度が負の値から正の値に反転する辺り(70mm付近)でプラズマ密度が極大になっていると、推測することができる。
図7に、コイル40に電流を流して15Gの磁界を形成した場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性およびチルティング角度分布特性の測定結果をそれぞれ示す。
図7に示すように、エッチングレートの分布特性は、コイル40の半径方向内側の近傍の領域(約80〜110mm)で高く盛り上がり、コイル40の直下の領域(約130mm〜)ではウエハ中心側からウエハエッジ側にかけて落ち込む傾向を示した。
このことから、コイル40を励起(通電)すると、処理空間S内のプラズマ密度を左右する磁場の作用が、コイル40より半径方向内側にオフセットしたウエハ中間部上の領域(約80〜110mm)でポジティブに働き、コイル40の直下の領域(約130mm〜)ではネガティブに働いていることがわかる。
また、チルティング角度は、図示のように、ウエハWの中心から0mm、30mm、60mm、80mm、100mm、125mm、145mmのそれぞれの位置で、0.5,−0.6,−1.7,−1.9,0.0,3.2、0.5度(deg)であった。すなわち、コイル40より半径方向内側でチルティング角度が負の値(−0.6度,−1.7度,−1.9度)を示す領域(30mm,60mm,80mm)が存在し、コイル40の直下およびそれより半径方向外側の全ての領域(約125mm〜150mm)でチルティング角度が正の値を示した。
このようにコイル40の直下付近の位置(125mm,145mm)でチルティング角度が正の値(3.2度、0.5度)を示したことからすると、図7に一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩上がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩下がりに傾いていると、推測することができる。また、コイル40より半径方向内側にオフセットしたウエハ中間部上の位置(60mm,80mm)で負の値(−1.7度,−1.9度)を示したことから、一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩上がりに傾いていると、推測することができる。したがって、チルティング角度が負の値から正の値に反転する辺り(100mm付近)でプラズマ密度が極大になっていると推測することができる。
図8に、コイル42に電流を流して15Gの磁界を形成した場合に得られたウエハ上のエッチングレート分布特性の測定結果およびチルティング角度分布特性の測定結果をそれぞれ示す。
図8に示すように、エッチングレート分布特性は、コイル42の半径方向内側の近傍の領域(約110〜140mm)で高く盛り上がる傾向を示した。
このことから、コイル42を励起(通電)すると、処理空間S内のプラズマ密度を左右する磁場の作用が、コイル42より半径方向内側にオフセットしたウエハ周辺部上の領域(約110〜140mm)でポジティブに働いていることがわかる。
また、チルティング角度分布特性は、図示のように、ウエハWの中心から0mm、30mm、60mm、80mm、100mm、125mm、145mmのそれぞれの位置で、0.0,0.1,0.1,−0.5,−0.1,−0.6、−1.8度(deg)であった。すなわち、コイル42より半径方向内側でチルティング角度が負の値(−0.5度,−0.1度,−0.6度、−1.8度)を示す領域(60mm,80mm,125mm,145mm)が存在した。
このようにコイル42より半径方向内側にオフセットしたウエハ周辺部上の位置(140mm)で負の値(−1.8度)を示したことから、一点鎖線SHで示すようにその付近ではウエハW上でイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いている、つまりプラズマ密度が右肩下がりに傾いていると推測することができる。
上記のように、電磁石32のコイル36,38,40,42の中の1つを選択的に通電させると、半導体ウエハW上では、その通電したコイルつまり処理空間S内に磁界を形成するコイルより半径方向内側に幾らかオフセットした領域で、エッチングレートつまりプラズマ密度が相対的に高くなり、それによって負のチルティング角度が発生しやすくなり、当該コイルと上下方向で重なる真下の領域では、エッチングレートつまりプラズマ密度が相対的に低くなり、それによって正のチルティング角度が発生しやすいことがわかる。
このことから、上記実施形態のプラズマエッチング装置(図1)の一変形例として、たとえば図9に示すように、上部電極26と下部電極(載置台)14との間の電極間ギャップが、半径方向の少なくとも一箇所または一領域で連続的に変化する場合に、電磁石32をチルティングの発生を抑制するのに有効利用することができる。
図9の例では、上部電極26と下部電極(載置台)14間の電極間ギャップが300mm口径の半導体ウエハWのエッジの直上付近(φ=150mm)から半径方向外側に向かって一定の角度でテーパ状に狭くなっている。上部電極26は、下部電極(載置台)14上に載置されている半導体ウエハWの中心部と平行に向き合う第1の下面領域26eと、半導体ウエハWの周辺部と斜めに向かい合う第2の下面領域26fとを含んでいる。このように電極間ギャップが半導体ウエハWのエッジ位置(φ=150mm)付近から半径方向外側に向かってテーパ状に狭くなる場合は、上部電極26の傾斜部26fの直下でプラズマ密度が相対的に高くなるので、ウエハWの上ではイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾く。このことから、半導体ウエハWの周辺部領域ではイオンが外側から斜めに入射する割合が高くなり、チルティング角度が負の値になる(図4において−方向に傾く)ようなチルティングが発生しやすくなる。
このような場合には、電磁石32において中心軸線Zから見て3番目のコイル40を選択的に通電させて処理空間Sに磁界Bを形成する形態を好適に採ることができる。この場合、上述したように、コイル40を通電させて処理空間Sに磁界Bを形成することにより、コイル40より半径方向内側にオフセットしたウエハ中間部領域の上でプラズマ密度を高くし、コイル40の直下の領域でプラズマ密度を低くするような磁気効果が奏される。これにより、半導体ウエハWの周辺部領域の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面を平坦化し、それによってウエハWの表面にイオンを垂直に入射させること、つまりチルティングを抑制することが可能となる。こうして、半導体ウエハWに対するエッチングプロセスの歩留まりを向上させ、ひいては生産効率の向上と生産コストの低減を図ることができる。
上記実施形態のプラズマエッチング装置(図1)の別の実施例として、図10に示すように、上部電極26と下部電極(載置台)14との間の電極間ギャップが半径方向の少なくとも一箇所または一領域でステップ状に変化する場合にも、上記と同様に電磁石32をチルティング発生の抑制に有効利用することができる。
図10の実施例では、上部電極26は、半導体ウエハWと第1のギャップG1を介して平行に向き合う第1の下面領域26gと、第1のギャップG1より小さい第2のギャップG2を介して平行に向き合う第2の下面領域26hとを含んでいる。ここで、第1の下面領域26gと第2の下面領域26hとの境界26jは、半導体ウエハWのエッジ位置(φ=150mm)付近に設けられている。このような場合にも、電極間ギャップが半導体ウエハWのエッジ位置(φ=150mm)付近で狭くなることにより、ウエハWのエッジ付近の上ではイオンシースとバルクプラズマとの界面が半径方向において右肩下がりに傾いて、イオンが外側から斜めに入射する割合が高くなり、チルティング角度が負の値になる(図4において−方向に傾く)ようなチルティングが発生しやすくなる。
このような場合にも、上記と同様に、電磁石32においてコイル中心から3番目のコイル40を選択的に通電させて処理空間Sに磁界Bを形成する形態を採ることにより、半導体ウエハWのエッジ付近の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面を平坦化し、それによってウエハWのエッジ付近にイオンを垂直に入射させること、つまりチルティングを抑制することができる。

[他の実施形態または変形例]
本発明は上記の実施形態及び実施例に限定されるものではなく、各種の変形が可能であることは、勿論である。
特に、上部電極26と下部電極(載置台)14との間の電極間ギャップのプロファイルあるいは上部電極26の下面の凹凸形状については、上記実施形態の外にも種種の形態が可能であり、それに応じて電磁石32においてコイル36,38,40,42の中の1つまたは複数を選択的に通電させる方式も種種の形態が可能である。
上記のように、本発明のプラズマ処理装置においては、電磁石32のコイル36,38,40,42を選択的に通電させることにより、チャンバ12の処理空間Sで生成されるプラズマの密度分布を半径方向で任意に制御することができる。図12に示すプラズマエッチング装置は、このような電磁石32のプラズマ密度制御機能に鑑みて、シャワーヘッド(上部電極)26のガスバッファ室をリング状の隔壁70により半径方向で複数(たとえば4つ)の独立した小ガス室26(1),26(2),26(3),26(4)に分割している。平面視では、中心部の小ガス室26(1)は円形であり、他の小ガス室26(2),26(3),26(4)は中心部の小ガス室26(1)の半径方向外側に異なる径で環状に分布している。これらの独立した小ガス室26(1),26(2),26(3),26(4)から、処理ガスを独立したガス種、混合比および流量で処理空間S内に導入できるように構成している。
したがって、これらの独立した小ガス室26(1),26(2),26(3),26(4)から同一処理ガスを処理空間S内に供給する場合は、それぞれのガス流量の比を制御することで、電磁石32による上記の磁気効果から独立して、コイル処理空間S内で生成されるラジカルの密度分布を半径方向で任意に制御することができる。それによって、たとえば、エッチングレートに関してウエハ上の面内均一性を容易に向上させることが可能となる。
上記実施形態の容量結合型プラズマエッチング装置は、下部2周波波印加方式を採っており、チャンバ12内の載置台(下部電極)14にプラズマ生成用の第1の高周波電源18とイオン引き込み用の第2の高周波電源22とを接続している。しかし、図11に示すように、上部電極26にプラズマ生成用の第1の高周波電源18を接続し、載置台(下部電極)14にイオン引き込み用の第2の高周波電源22を接続する構成にも本発明は適用可能である。
本発明は、プラズマエッチング装置に限定されず、容量結合型のプラズマCVD装置、プラズマ酸化装置、プラズマ窒化装置などにも適用可能である。また、本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ、有機EL、太陽電池用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。
10 プラズマエッチング装置
12 チャンバ(処理容器)
14 載置台
26 上部電極
18 (プラズマ生成用)の第1の高周波電源
20 (イオン引き込み用)の第2の高周波電源
32 電磁石
34 ヨーク部材
36,38,40,42 コイル
44 柱状部
46,48,50,52 円筒部
54 バックプレート部
56 コイル励起回路
60 制御部

Claims (5)

  1. 被処理基板に処理ガスのプラズマを作用させて処理を施すプラズマ処理装置であって、
    前記被処理基板を出し入れ可能に収容する処理容器と、
    前記処理容器内に配設され、前記被処理基板が載置される下部電極と、
    前記処理容器内に配設され、プラズマ生成空間を介して前記下部電極と対向する上部電極と、
    前記上部電極と前記下部電極との間に高周波電力を印加する高周波電源と、
    前記処理容器の上部または上方で前記下部電極の中心を上下方向に通過する中心軸線を中心とする1つまたは複数の環状コイルを有する電磁石と、
    前記電磁石の各環状コイルに励起電流を供給するための電磁石励起回路と、
    前記被処理基板の上に形成されるイオンシースとバルクプラズマとの界面の勾配を制御するために、前記電磁石励起回路を通じて前記電磁石のいずれかの環状コイルを選択的に通電してその周囲に磁界を発生させる制御部と
    を有し、
    前記電磁石の環状コイルの1つが、半径方向において前記被処理基板の周辺部と外側とに跨るように配設されている、
    プラズマ処理装置。
  2. 複数の前記環状コイルは、同じ面内で同心状に配置される、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記電磁石は、各々の前記コイルの下面を除いてその内周面、外周面および上面を覆うヨークを有する、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記上部電極と前記下部電極との間の電極間ギャップが、前記下部電極の中心を通る鉛直の中心軸線に対して軸対称のプロファイルを有し、半径方向において前記中心軸線から前記下部電極上に載置される前記被処理基板のエッジの位置に対応する第1の位置まで延びる第1の領域では均一な第1のギャップ幅を有し、前記第1の位置からそれより半径方向外側の第2の位置まで延びる第2の領域では前記第1のギャップ幅より小さい均一な第2のギャップ幅を有し、
    前記被処理基板の周辺部の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面の勾配を平坦化するために、前記被処理基板の周辺部と外側とに跨る環状コイルを選択的に通電させる、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置を用いて被処理基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理方法であって、
    前記被処理基板の上でイオンシースとバルクプラズマとの界面の勾配を平坦化することによって、プラズマエッチングにより前記被処理基板上の被エッチング材に形成されるパターンにチルティングが発生することを抑制することを特徴とするプラズマ処理方法。
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