JP2018021992A - 直視型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現する直視型表示装置を提供すること。【解決手段】直視型表示装置1は、レーザー光源を有するプロジェクタ20と、プロジェクタ20のカラーの光出力をバックライトとして用いるモノクロ液晶パネル10と、入力映像信号をプロジェクタ用の色信号に変調すると共に、モノクロ液晶パネル用の輝度信号に変調する信号処理部50と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、直視型表示装置に関するものである。
従来、本願発明者らは、スーパーハイビジョン(SHV)用広ダイナミックレンジプロジェクタを開発してきた(非特許文献1参照)。また、国際標準規格ITU−R勧告BT.2020(以下、単に規格又はBT.2020という)では8Kスーパーハイビジョンの広色域が規定されている。しかし、高解像度で、高いダイナミックレンジ(High Dynamic Range:以下、HDRともいう)の映像を表示し、且つ、上記規格に規定される広色域を再現するような直視型表示装置は存在しないのが現状である。
例えば通常の液晶素子を用いた直視型表示装置やプロジェクタでは、バックライトの光を液晶素子が完全に遮断することができないため、いわゆる、黒浮きのような現象が生じ、HDRの映像を表示することができない。つまり、バックライトの光を明るくすれば、液晶デバイス(liquid crystal device:以下、LCD又は液晶パネルという)は、白のレベルが上がって明るく表示できるが、それにつられて黒い部分もレベルが上がってしまい(黒浮き)、比率が変わらなくなってしまう。
そのため、LCDを用いた直視型のHDRディスプレイでは、ローカルディミング(局所的な調光)という手法が用いられる。図6に模式的に示す従来の直視型表示装置100は、例えば液晶パネル110に、多数のRGBのカラーフィルタ111を備え、この液晶パネル110のバックライト120として、複数の領域をそれぞれ照射する発光ダイオード(light emitting diode:以下、LEDという)121からなるLEDアレイを用いることが多い。
ローカルディミングには、直下方式のバックライトとしてLEDアレイを用いることでバックライト120自体に局所的な明暗を付け、それを液晶パネル110で再変調することによってダイナミックレンジを増す技術が用いられる。LEDを用いたローカルディミングによると、バックライトが一様に光るのではなく、領域毎にLED121が強く光ったり、弱く光ったり、という動きを繰り返すことによって黒のレベルを下げることができる。例えば、液晶パネル110のダイナミックレンジがM:1であり、且つ、LEDアレイを用いるバックライト120のダイナミックレンジがN:1であれば、ローカルディミングを持つ表示装置のダイナミックレンジはM×N:1に拡大することができる。例えば、明るい方を1、M=0.01、N=0.01とするならば、10-4:1のダイナミックレンジで表示装置に映像を表示させることができる。
日下部裕一、他:「スーパーハイビジョン用二重変調方式広ダイナミックレンジプロジェクタ」、映像情報メディア学会誌、2011年、第65巻、第7号、p. 1045−1056
しかしながら、従来のLCDを用いた直視型のHDRディスプレイでは、LEDアレイを構成するLEDの個数は、液晶パネルの画素数に比べて圧倒的に少ない。例えばHDTV(High Definition TeleVision)の場合、液晶パネルの画素数は約200万画素(1920×1080画素)あるのに対して、LEDの個数は数千程度である。そのため、非常に解像度が高く高周波成分を含む画像で、画素の明暗が局所的に大きく変化するような画像(例えば金属の鏡面反射やダイヤモンドダストの映像等)では、バックライトを十分に細かな領域毎に制御することができず、局所的なコントラストが下がってしまう。つまり、LEDアレイを用いるローカルディミングでは、十分な画質の映像を表示することができないという問題がある。
LCDを用いた直視型のHDRディスプレイにおいて、LEDアレイを用いて十分な画質の映像を表示するためには、LCDの背面にLEDを非常に細かく敷き詰める必要がある。しかしながら、現実的にはLCDの背面にそのように精緻に敷き詰めるほどLEDを小さく製作することは出来ず、また出来たとしても発熱量の問題があるため、この方法は現実的な解決方法とは言えない。
加えて、LEDのバックライトでは、そもそも上記規格を満たすような広色域を実現することができない。さらに、広色域を実現するためにレーザーを直下方式のバックライトとしてそのまま用いると、ローカルディミングを実現することができない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現する直視型表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る直視型表示装置は、レーザー光源を有するプロジェクタと、前記プロジェクタのカラーの光出力をバックライトとして用いるモノクロ液晶パネルと、入力映像信号を前記プロジェクタ用の色信号に変調すると共に、前記モノクロ液晶パネル用の輝度信号に変調する信号処理部と、を備える構成とする。
かかる構成によれば、直視型表示装置では、モノクロ液晶パネルに光を投影するバックライトとしてプロジェクタのカラーの光出力を用いるので、バックライト自体に局所的な明暗の変化をつけることができる。加えて、プロジェクタ用の信号と液晶パネル用の信号とによって、レーザー光源からの光を二重変調することで、画素ごとの精緻なディミングを実現すると共に、ダイナミックレンジを広げることができる。また、プロジェクタはレーザー光源を有するので、プロジェクタのカラーの光出力をバックライトとして用いるモノクロ液晶パネルに表示される映像は、BT.2020に規定される広色域を再現することができる。
本発明に係る直視型表示装置によれば、局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現することができる。また、本発明に係る直視型表示装置は、プロジェクタからカラー映像を投射するため、カラーフィルタを用いないモノクロ液晶パネルを使用することができ、構造を簡易化し、コストを低減すると共に、光の利用効率を高くすることができる。
(第1実施形態)
[直視型表示装置の構成]
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る直視型表示装置1の構成について説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。図1に示すように、直視型表示装置1は、モノクロ液晶パネル10と、プロジェクタ20と、信号処理部50と、を備えている。
この直視型表示装置1は、リアプロジェクション方式の直視型表示装置であるが、表示面に拡散板を使用する通常のリアプロジェクション表示装置とは異なり、本実施形態では、表示面にモノクロ液晶パネル10を備えている。
[直視型表示装置の構成]
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る直視型表示装置1の構成について説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。図1に示すように、直視型表示装置1は、モノクロ液晶パネル10と、プロジェクタ20と、信号処理部50と、を備えている。
この直視型表示装置1は、リアプロジェクション方式の直視型表示装置であるが、表示面に拡散板を使用する通常のリアプロジェクション表示装置とは異なり、本実施形態では、表示面にモノクロ液晶パネル10を備えている。
モノクロ液晶パネル10は、一般的なカラーの液晶パネルからカラーフィルタを取り除いて構成されている。つまり、モノクロ液晶パネル10は、例えば、下部偏光フィルタと、下部ガラス基板と、下部透明電極と、下部配向膜と、液晶と、上部配向膜と、上部透明電極と、上部ガラス基板と、上部偏光フィルタと、を備えている。このモノクロ液晶パネル10は、プロジェクタ20のカラーの光出力をバックライトとして用いる。
モノクロ液晶パネル10は、高解像度であることが好ましく、例えば8Kの解像度を有する(7680×4320画素)。モノクロ液晶パネル10のサイズは、直視型としての一般的なサイズを有し、例えば60型(60インチ)以上であることが好ましい。なお、投射型表示装置用の一般的なスクリーンよりは小さい。
モノクロ液晶パネル10は、高解像度であることが好ましく、例えば8Kの解像度を有する(7680×4320画素)。モノクロ液晶パネル10のサイズは、直視型としての一般的なサイズを有し、例えば60型(60インチ)以上であることが好ましい。なお、投射型表示装置用の一般的なスクリーンよりは小さい。
プロジェクタ20は、例えばカラー液晶プロジェクタである。プロジェクタ20は、レーザー光源を有する。なお、蛍光体で励起された光を用いるタイプのプロジェクタでは前記規格を満たすことができないので、本実施形態では、プロジェクタ20の光源は、3原色をそれぞれ発光する単色光の半導体レーザーを備えることとしている。RGBの半導体レーザーの波長は、BT.2020に準拠したものを採用する。
このようなBT.2020に準拠した広色域表示が可能なプロジェクタとしては、例えば下記参考文献に記載されたものを採用することができる。なお、参考文献に記載されたプロジェクタは、例えば赤色(R)発光の半導体レーザーの波長:639nm、緑色(G)発光の半導体レーザーの波長:532nm、青色(B)発光の半導体レーザーの波長:462nmとしている。このプロジェクタの性能は、ダイナミックレンジが5000:1、光出力が3000ANSIlumenである。
参考文献:日下部裕一、他:「広色域スーパーハイビジョンプロジェクタ」、映像情報メディア学会年次大会講演予稿集、2013年、16-1
参考文献:日下部裕一、他:「広色域スーパーハイビジョンプロジェクタ」、映像情報メディア学会年次大会講演予稿集、2013年、16-1
プロジェクタ20の画素数は、モノクロ液晶パネル10の画素数に一致する必要はない。その理由は、表示装置としての画素数はモノクロ液晶パネル10によって決まるからである。そのため、プロジェクタ20の画素数は、モノクロ液晶パネル10の画素数に比べて少なくてもよい。以下では、一例として、モノクロ液晶パネル10の4画素にプロジェクタ20の1画素が対応することして説明する。なお、直視型表示装置1では、プロジェクタ20からの光をモノクロ液晶パネル10の背面に位置合わせして投射させ、プロジェクタ20の光出力をバックライトとして有効に利用できるように構成されている。
ここで、プロジェクタの構成例について図2を参照して説明する。
図2において、光源からの光は、コンデンサレンズ22、コールドミラー23、インテグレータ24及びフィールドレンズ25を介して各液晶素子に導かれる。レーザー発振部44は、このプロジェクタ20の光源として、3原色をそれぞれ発光する単色光の半導体レーザーを備える。すなわち、レーザー発振部44は、赤色(R)発光の半導体レーザーと、緑色(G)発光の半導体レーザーと、青色(B)発光の半導体レーザーと、を備える。RGBのレーザー光は、光ファイバ45を介してプロジェクタ内部に引き込まれる。
図2において、光源からの光は、コンデンサレンズ22、コールドミラー23、インテグレータ24及びフィールドレンズ25を介して各液晶素子に導かれる。レーザー発振部44は、このプロジェクタ20の光源として、3原色をそれぞれ発光する単色光の半導体レーザーを備える。すなわち、レーザー発振部44は、赤色(R)発光の半導体レーザーと、緑色(G)発光の半導体レーザーと、青色(B)発光の半導体レーザーと、を備える。RGBのレーザー光は、光ファイバ45を介してプロジェクタ内部に引き込まれる。
図2に示すプロジェクタ20は、一例として、反射型液晶素子(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)を用いて構成されている。具体的には、プロジェクタ20は、ダイクロイックミラー26と、ミラー27,28と、ダイクロイックミラー29と、フィールドレンズ30と、PBS(Polarized Beam Splitter)31と、1/4波長板32と、G用液晶素子33と、フィールドレンズ34と、PBS35と、1/4波長板36と、R用液晶素子37と、フィールドレンズ38と、PBS39と、1/4波長板40と、B用液晶素子41と、ダイクロイックプリズム42と、投射レンズ43と、を備えている。
このプロジェクタ20では、レーザー光源からの光は、ダイクロイックミラー26,29により、RGBの各色に分解され、R用液晶素子37、G用液晶素子33及びB用液晶素子41にてそれぞれの色に対応する映像信号で変調される。各色で変調された光は、ダイクロイックプリズム42で結合される。この結合された光(三原色光)は、投射レンズ43から投射されモノクロ液晶パネル10上で結像する。結像した光はLCD用信号で更に変調され、カラー画像が表示される。
図1に戻って直視型表示装置1の構成の説明を続ける。
信号処理部50は、入力信号(入力映像信号)をプロジェクタ20用の色信号に変調すると共に、モノクロ液晶パネル10用の輝度信号に変調するものである。ここで、入力信号は、フレームレート120Hzのスーパーハイビジョンの伝送信号であり、例えばスーパーハイビジョンカメラからの映像信号である。信号処理部50は、1つの入力映像から、プロジェクタ用の映像と、LCD用の映像と、を作り出す。以下では、プロジェクタ20用の変調された色信号(色変調信号)のことをプロジェクタ用信号といい、モノクロ液晶パネル10用の変調された輝度信号(輝度変調信号)のことをLCD用信号という。
信号処理部50は、入力信号(入力映像信号)をプロジェクタ20用の色信号に変調すると共に、モノクロ液晶パネル10用の輝度信号に変調するものである。ここで、入力信号は、フレームレート120Hzのスーパーハイビジョンの伝送信号であり、例えばスーパーハイビジョンカメラからの映像信号である。信号処理部50は、1つの入力映像から、プロジェクタ用の映像と、LCD用の映像と、を作り出す。以下では、プロジェクタ20用の変調された色信号(色変調信号)のことをプロジェクタ用信号といい、モノクロ液晶パネル10用の変調された輝度信号(輝度変調信号)のことをLCD用信号という。
信号処理部50は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリ等の記憶手段と、入出力インタフェースと、を備えている。信号処理部50が、プロジェクタ20用の信号と、モノクロ液晶パネル10用の信号とを生成し、これによってレーザー光源からの光を二重変調する方法としては、例えば非特許文献1に記載された信号処理手法を用いることができる。なお、非特許文献1には、液晶素子を有する投射型表示装置内にてキセノンランプからの光を二重変調する方式が記載されている。
ここで、信号処理部50による信号処理手法の概略について図3を参照して説明する。
まず、入力映像信号よりも低解像度の色変調信号であるプロジェクタ用信号の算出方法について記す。最初に、入力映像信号(7680×4320画素)を逆ガンマ補正(γ-1)によりリニア領域の信号に変換する(S51)。そして、低解像度の色変調信号に画素数を合わせるため、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)とサブサンプリングにより3840×2160画素ヘダウンサンプリングを行う(S52)。
まず、入力映像信号よりも低解像度の色変調信号であるプロジェクタ用信号の算出方法について記す。最初に、入力映像信号(7680×4320画素)を逆ガンマ補正(γ-1)によりリニア領域の信号に変換する(S51)。そして、低解像度の色変調信号に画素数を合わせるため、低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)とサブサンプリングにより3840×2160画素ヘダウンサンプリングを行う(S52)。
続いて、前記S52で得られた色変調信号(RGBs)に入力映像信号の輝度成分の平方根を割り当てるため、画素ごとにRGBの最大値(MAX)を検出し(S53)、その平方根の逆数で定義された係数Cを算出し(S54)、この係数Cを色変調信号(RGBs)に掛ける(S55)。なお、輝度成分の平方根を割り当てるためにこのような処理を行う理由は、入力信号の彩度が高い場合に信号の飽和が生じるのを防ぐためである。最後に、前記S55で得られた信号をガンマ補正(γC)によりビデオ領域の信号に変換することで(S56)、低解像度の色変調信号であるプロジェクタ用信号を得る。
次に、入力映像信号と同様の高解像の輝度変調信号であるLCD用信号の算出方法について記す。まず、前記S51で得られた信号、すなわち、入力映像信号を逆ガンマ補正(γ-1)によりリニア領域の信号に変換した信号、を用いて公知のマトリクス演算(S57)により、入力映像信号の輝度成分Yinを得ておく。
一方、前記S56で得られた色変調信号すなわちプロジェクタ用信号を、再度逆ガンマ補正(γ-1 C)によりリニア領域の信号に変換し(S58)、続いて、投射レンズ43(図2参照)の影響を模擬したデフォーカスフィルタを通す(S59)。この信号から、公知のマトリクス演算(S60)により、プロジェクタ用信号の輝度成分Ycolを得ておく。
そして、前記S57で得られた入力映像信号の輝度成分Yinと、前記S60で得られたプロジェクタ用信号の輝度成分Ycolとの比を算出する(S61)。最後に、前記S61で得られた信号をガンマ補正(γY)によりビデオ領域の信号に変換することで(S62)、輝度変調信号であるLCD用信号を得る。
この直視型表示装置1からの出力信号は、LCD用信号とプロジェクタ用信号との積として得られる。この出力信号は、入力信号の輝度成分は高解像度のまま保存し、色成分は局所的な平均値を待つ信号となる。
直視型表示装置1は、信号処理部50からのプロジェクタ用信号によって、R用液晶素子37、G用液晶素子33及びB用液晶素子41にてそれぞれの色に対応する映像信号で光源からの光を変調してモノクロ液晶パネル10の背面にバックライトとして投射する。さらに、信号処理部50からのLCD用信号によって、モノクロ液晶パネル10にて輝度に対応する映像信号で、バックライトを再変調する。直視型表示装置1は、このように光源からの光を二重変調することで、黒のレベルを沈めて黒浮きを防止するので、ダイナミックレンジを拡大することができる。例えば、モノクロ液晶パネル10のダイナミックレンジがM:1であり、且つ、プロジェクタ20のダイナミックレンジがN:1であれば、直視型表示装置1のダイナミックレンジをM×N:1に拡大することができる。例えば、明るい方を1、M=0.01、N=2×10-4とするならば、2×10-6:1のダイナミックレンジで表示装置に映像を表示させることができる。
また、直視型表示装置1は、レーザー光源を有するプロジェクタ20からのカラーの光出力を、モノクロ液晶パネル10のバックライトに用いている。本実施形態では、プロジェクタ20の画素数は、モノクロ液晶パネル10の例えば1/4としており、従来のLEDによるバックライトを使ったローカルディミングのような制御を、従来よりも非常に精緻に行うことができる。直視型表示装置1は、この非常に精緻なバックライト制御によって、局所的な明暗の差が大きいHDR画像も忠実に再現することができる。
また、プロジェクタ20は、一般的なプロジェクタと同様にスクリーンや白壁等に映像を投射するような強力な光出力を有している。具体的には、前記参考文献に記載された3000ANSIlumenの光出力のプロジェクタを用いた場合、このプロジェクタから出力される光を、例えば60型(インチ)でゲイン1.0のスクリーンに投射すると、およそ1000cd/m2のピーク輝度が得られる。ただし、本実施形態の場合、プロジェクタ20から出力される光を、スクリーンではなく、モノクロ液晶パネル10に投射する。そのモノクロ液晶パネル10が例えば60型(インチ)のサイズであれば、図4に示すように、モノクロ液晶パネル10の横幅S1は約1.3mとなる。このとき、プロジェクタ20が、モノクロ液晶パネル10に映像を投射するために必要な距離L1は例えば2〜3mとなる。なお、図4では信号処理部50の図示を省略した。
一方、プロジェクタ20が、直視型表示装置1の外部に仮想的に配置された例えば300型(インチ)のスクリーン200(横幅S2は約6.6m)に対して映像を投射するために必要な距離L2は例えば10m以上となる。なお、公知のフルスペック8Kスーパーハイビジョンプロジェクタは例えば450型(インチ)の大スクリーンに映像を投影することができる。このように直視型表示装置1は、通常はスクリーンや白壁等に映像を投射するようなプロジェクタからの光を、直視型表示装置で通常用いられるようなサイズの液晶パネルに集めるので、白のレベルが上がり、観察者Pは非常に明るい映像を見ることができる。
以上説明したように、直視型表示装置1は、本来は広い範囲に投射することが可能な強力な光を狭い範囲に集めることによって白のレベルを上げつつ、光源からの光を二重変調することによって黒のレベルをあまり変えずに、HDRの映像を表示することができる。さらに、プロジェクタ20はレーザー光源を有しているので、このカラーの光出力をバックライトとして用いるモノクロ液晶パネル10に表示される映像は、BT.2020に規定される広色域を再現することができる。そのため、直視型表示装置1は、局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現することができる。
さらに、直視型表示装置1は、カラーフィルタを用いないモノクロ液晶パネル10を備えている。一般に、液晶ディスプレイで広色域を実現するためには、特殊なカラーフィルタを用いることが必要であるが、カラーフィルタを用いる必要がなく、構造を簡易化し、コストを低減することができる。また、一般的なローカルディミング付きのLCDでは、白色LEDとカラーフィルタ付きのLCDとを用いることでカラー表示を行うが、その際にカラーフィルタがあるために光の利用効率は1/3程度に減少してしまう。これに対して、直視型表示装置1は、カラーフィルタを用いないので、光の利用効率を高くすることができる利点もある。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る直視型表示装置の内部構成の概略を示す模式図である。直視型表示装置1Bは、モノクロ液晶パネル10と、プロジェクタ20と、信号処理部50と、鏡60と、を備えている。鏡60は、プロジェクタ20からモノクロ液晶パネル10までの光路の途中に設けられている。なお、図5では信号処理部50の図示を省略した。この直視型表示装置1Bも、直視型表示装置1と同様に、局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現することができる。
図5は、本発明の第2実施形態に係る直視型表示装置の内部構成の概略を示す模式図である。直視型表示装置1Bは、モノクロ液晶パネル10と、プロジェクタ20と、信号処理部50と、鏡60と、を備えている。鏡60は、プロジェクタ20からモノクロ液晶パネル10までの光路の途中に設けられている。なお、図5では信号処理部50の図示を省略した。この直視型表示装置1Bも、直視型表示装置1と同様に、局所的な明暗の差が大きい画像を広色域で再現することができる。
さらに、直視型表示装置1Bは、プロジェクタ20の光出力を、鏡60を用いて反射させてモノクロ液晶パネル10に投射させることができるので、直視型表示装置1Bの奥行き距離D2は、図4の直視型表示装置1の奥行き距離D1よりも小さくすることができる。例えば、プロジェクタ20から鏡60までの距離L3と、鏡60からモノクロ液晶パネル10までの距離L4との和は、図4に示すプロジェクタ20からモノクロ液晶パネル10までの距離L1と概ね等しい。よって、奥行き距離D2が奥行き距離D1の半分程度になるように直視型表示装置1Bを小型化することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。例えば、モノクロ液晶パネル10の4画素にプロジェクタ20の1画素が対応するものとしたが、モノクロ液晶パネル10の16画素にプロジェクタ20の1画素が対応する程度までは問題なく画像が表示できる。例えば、モノクロ液晶パネル10で8K(7680×4320画素)の画素数で表示する場合には、HD(1920×1080画素)相当の画素数を持つプロジェクタを用いればよい。これにより、製造コストをさらに低減することができる。
また、前記実施形態では、プロジェクタ20が、反射型液晶素子(LCOS)を用いて構成されているものとしたが、透過型の液晶素子を用いたプロジェクタであってもよい。
プロジェクタ20として、DLP(登録商標)方式のプロジェクタを用いて構成してもよい。その場合、DLP方式のプロジェクタからの出力光がモノクロ液晶パネル10に入射する光路の途中に、例えば円偏光を直線偏光にする偏光板を必要とする。なお、カラー液晶プロジェクタを使用した場合には偏光板は不要なので、直視型表示装置の全体構成が簡単になる。また、DLP方式のプロジェクタを採用するときに追加する偏光板は、光のパワーを損失させる原因になる。一方、カラー液晶プロジェクタの出力光は、偏光が揃っているので、モノクロ液晶パネル10に直接入射しても、明るさの強弱をつけることができる。よって、プロジェクタ20は、カラー液晶プロジェクタで構成されることが好ましい。
1,1B 直視型表示装置
10 モノクロ液晶パネル
20 プロジェクタ
43 投射レンズ
44 レーザー発振部
45 光ファイバ
50 信号処理部
60 鏡
10 モノクロ液晶パネル
20 プロジェクタ
43 投射レンズ
44 レーザー発振部
45 光ファイバ
50 信号処理部
60 鏡
Claims (5)
- レーザー光源を有するプロジェクタと、
前記プロジェクタのカラーの光出力をバックライトとして用いるモノクロ液晶パネルと、
入力映像信号を前記プロジェクタ用の色信号に変調すると共に、前記モノクロ液晶パネル用の輝度信号に変調する信号処理部と、
を備える直視型表示装置。 - 前記プロジェクタの画素数が、前記モノクロ液晶パネルの画素数よりも少ない、請求項1に記載の直視型表示装置。
- 前記プロジェクタの光出力を、鏡を用いて反射させて前記モノクロ液晶パネルに投射する、請求項1又は請求項2に記載の直視型表示装置。
- 前記レーザー光源は、3原色をそれぞれ発光する単色光の半導体レーザーを備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の直視型表示装置。
- 前記プロジェクタは、カラー液晶プロジェクタである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の直視型表示装置。
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